JP2868286B2 - 超電導素子およびこれを備えた回路素子 - Google Patents
超電導素子およびこれを備えた回路素子Info
- Publication number
- JP2868286B2 JP2868286B2 JP2133842A JP13384290A JP2868286B2 JP 2868286 B2 JP2868286 B2 JP 2868286B2 JP 2133842 A JP2133842 A JP 2133842A JP 13384290 A JP13384290 A JP 13384290A JP 2868286 B2 JP2868286 B2 JP 2868286B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- superconducting
- oxide
- semiconductor
- yba
- thin film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高速、低消費電力でスイッチング動作を行な
う、超電導スイッチング素子等、超電導エレクトロニク
スの分野に係り、特にデジタル回路、アナログ回路の分
野に応用される超電導素子に関するものである。
う、超電導スイッチング素子等、超電導エレクトロニク
スの分野に係り、特にデジタル回路、アナログ回路の分
野に応用される超電導素子に関するものである。
〔従来の技術〕 金属超電導体を用いた、弱結合素子及び電界効果型超
電導三端子素子は、超高速コンピューターの演算素子と
して注目されている。しかし、金属超電導体の超電導転
移温度は低く(<25K)、素子として活用するために高
価な液体ヘリウムが必要である。近年発見された酸化物
超電導体は、転移温度が液体窒素温度より高く高価な液
体ヘリウムが必要でないため素子としての応用が期待さ
れている。
電導三端子素子は、超高速コンピューターの演算素子と
して注目されている。しかし、金属超電導体の超電導転
移温度は低く(<25K)、素子として活用するために高
価な液体ヘリウムが必要である。近年発見された酸化物
超電導体は、転移温度が液体窒素温度より高く高価な液
体ヘリウムが必要でないため素子としての応用が期待さ
れている。
上記素子を酸化物超電導体を用いて作製する際に、格
子の整合性や接合作製時に生じる元素の拡散が問題とな
る。このため、従来の電界効果形超伝導三端子素子にお
いて使われていたSi、GaAs等を半導体相として用いるの
は難しい。そこで、酸化物半導体を半導体相として用い
ることが注目されている。この際に、酸化物半導体の条
件として重要になるのは、(1)酸化物超電導体と格子
整合性が良いこと、(2)接合作製時に元素の拡散が少
ない、あるいは、拡散が存在しても元素としての性能に
与える影響が小さいこと、が重要である。
子の整合性や接合作製時に生じる元素の拡散が問題とな
る。このため、従来の電界効果形超伝導三端子素子にお
いて使われていたSi、GaAs等を半導体相として用いるの
は難しい。そこで、酸化物半導体を半導体相として用い
ることが注目されている。この際に、酸化物半導体の条
件として重要になるのは、(1)酸化物超電導体と格子
整合性が良いこと、(2)接合作製時に元素の拡散が少
ない、あるいは、拡散が存在しても元素としての性能に
与える影響が小さいこと、が重要である。
YBa2Cu3OyのYをPrで置換していくと、超伝導性が失
われることは知られている。また、PrBa2Cu3Oyは酸化物
超電導体YBa2Cu3Oyと同形であり、Baを共通のアルカリ
土類元素として含むため拡散の影響が少なく、上記の条
件を満たす酸化物半導体である。PrBa2Cu3Oyをジョセフ
ソン接合の半導体相として用いた例がアプライドフィジ
ックスレターズ55巻2032頁、1989年(Appl.Phys.Lett.5
5(1989)2032)に示された。
われることは知られている。また、PrBa2Cu3Oyは酸化物
超電導体YBa2Cu3Oyと同形であり、Baを共通のアルカリ
土類元素として含むため拡散の影響が少なく、上記の条
件を満たす酸化物半導体である。PrBa2Cu3Oyをジョセフ
ソン接合の半導体相として用いた例がアプライドフィジ
ックスレターズ55巻2032頁、1989年(Appl.Phys.Lett.5
5(1989)2032)に示された。
前記PrBa2Cu3Oyにおいて、PrがBaを部分置換すること
が指摘されている。このため、作製された化合物の化学
量論組成が目的からずれ、さらに、不純物を生成する。
また、PrBa2Cu3Oyは、電界効果を用いた超電導三端子素
子における半導体相として用いるためにはキャリア密度
が大き過ぎるため、素子として必要な十分な大きさの電
界効果が得られない。
が指摘されている。このため、作製された化合物の化学
量論組成が目的からずれ、さらに、不純物を生成する。
また、PrBa2Cu3Oyは、電界効果を用いた超電導三端子素
子における半導体相として用いるためにはキャリア密度
が大き過ぎるため、素子として必要な十分な大きさの電
界効果が得られない。
本発明の目的は、半導体相として不純物を含まずキャ
リア濃度が低い物質を用いることにより、超電導素子を
構成することにある。
リア濃度が低い物質を用いることにより、超電導素子を
構成することにある。
上記目的を達成するために、酸化物系の超電導三端子
素子に用いる酸化物半導体材料および素子構造を以下の
様にした。
素子に用いる酸化物半導体材料および素子構造を以下の
様にした。
すなわち、酸化物超電導材料および酸化物系の半導体
特性を有する材料、すなわち酸化物半導体によって構成
される超電導素子において、二個の超電導電極が酸化物
半導体を介して接続された構造からなり、酸化物半導体
をPr1+xBa2-xCu3Oyの薄膜とする。ただし、Pr1+xBa2-xC
u3Oyは、PrBa2Cu3OyにおいてBaをPrが部分置換した物質
である。xの範囲としては0<x<0.5が望ましい。な
ぜならば、x=0ではBaCuO2、BaPrO3を不純物として生
じ、x>0.5では、キャリア濃度が1018個/cm3以下の非
常に小さな値になり、半導体相として適さないからであ
る。
特性を有する材料、すなわち酸化物半導体によって構成
される超電導素子において、二個の超電導電極が酸化物
半導体を介して接続された構造からなり、酸化物半導体
をPr1+xBa2-xCu3Oyの薄膜とする。ただし、Pr1+xBa2-xC
u3Oyは、PrBa2Cu3OyにおいてBaをPrが部分置換した物質
である。xの範囲としては0<x<0.5が望ましい。な
ぜならば、x=0ではBaCuO2、BaPrO3を不純物として生
じ、x>0.5では、キャリア濃度が1018個/cm3以下の非
常に小さな値になり、半導体相として適さないからであ
る。
超電導素子の構造としては、以下の様にした。酸化物
超電導体薄膜及び酸化物半導体薄膜が積層化された構
造、あるいは0.2μmあるいはこれ以下のギャップをも
って互いに近接して配置された酸化物超電導体薄膜が、
酸化物系半導体薄膜を介して接続された構造とする。こ
れら酸化物半導体薄膜としては、Pr1+xBa2-xCu3Oy薄膜
とする。さらに、酸化物半導体に、電界を印加するため
のゲート電極を絶縁膜を介して配置する構造とすること
により三端子型の超電導素子とした。
超電導体薄膜及び酸化物半導体薄膜が積層化された構
造、あるいは0.2μmあるいはこれ以下のギャップをも
って互いに近接して配置された酸化物超電導体薄膜が、
酸化物系半導体薄膜を介して接続された構造とする。こ
れら酸化物半導体薄膜としては、Pr1+xBa2-xCu3Oy薄膜
とする。さらに、酸化物半導体に、電界を印加するため
のゲート電極を絶縁膜を介して配置する構造とすること
により三端子型の超電導素子とした。
上記超電導素子を要素部品として用いることにより、
超電導性論理スイッチング機能あるいは記憶機能を有す
る回路素子を得ることができる。
超電導性論理スイッチング機能あるいは記憶機能を有す
る回路素子を得ることができる。
以上の酸化物系超電導素子に用いる酸化物系超電導材
料、酸化物系半導体材料、および素子構造は以下に述べ
る理由により素子の動作特性を向上せしめるものであ
る。
料、酸化物系半導体材料、および素子構造は以下に述べ
る理由により素子の動作特性を向上せしめるものであ
る。
半導体相としてPrがBaサイトを積極的に部分置換した
物質Pr1+xBa2-xCu3Oyを用いることにより、PrBa2Cu3Oy
においてPrがBaを部分置換することによって生じる化学
量論組成からのずれ及び不純物の問題は解決される。さ
らに、PrBa2Cu3Oyにおいて高すぎたキャリア濃度は、2
価のBaを3価のPrが置換したために低くなり、素子とし
て必要で十分な電界効果が得られるようになる。
物質Pr1+xBa2-xCu3Oyを用いることにより、PrBa2Cu3Oy
においてPrがBaを部分置換することによって生じる化学
量論組成からのずれ及び不純物の問題は解決される。さ
らに、PrBa2Cu3Oyにおいて高すぎたキャリア濃度は、2
価のBaを3価のPrが置換したために低くなり、素子とし
て必要で十分な電界効果が得られるようになる。
また、酸化物系の代表的な高臨界温度超電導材料であ
るRBa2Cu3Oy(R=希土類元素)はBaを構成元素として
含むために、他の材料と接して配置さた場合、Ba原子の
拡散を生じやすく、その界面において容易に組成変化を
生じる。この、組成変化により、界面における超電導特
性が劣化し、接続された半導体膜に対して超電導電子が
しみださなくなる。本発明に掲げたPr1+xBa2-xCu3Oyで
はBaが共通の元素として含まれるために超電導−半導体
界面においてBa原子の拡散にともなう組成変化を生じな
い。さらにRBa2Cu3OyとPr1+xBa2-xCu3Oyは結晶構造が同
一であり、界面における超電導電子の反射を抑え、RBa2
Cu3OyからPr1+xBa2-xCu3Oyへの超電導電子のしみだし振
幅を大きくする。
るRBa2Cu3Oy(R=希土類元素)はBaを構成元素として
含むために、他の材料と接して配置さた場合、Ba原子の
拡散を生じやすく、その界面において容易に組成変化を
生じる。この、組成変化により、界面における超電導特
性が劣化し、接続された半導体膜に対して超電導電子が
しみださなくなる。本発明に掲げたPr1+xBa2-xCu3Oyで
はBaが共通の元素として含まれるために超電導−半導体
界面においてBa原子の拡散にともなう組成変化を生じな
い。さらにRBa2Cu3OyとPr1+xBa2-xCu3Oyは結晶構造が同
一であり、界面における超電導電子の反射を抑え、RBa2
Cu3OyからPr1+xBa2-xCu3Oyへの超電導電子のしみだし振
幅を大きくする。
以上の材料的な特徴は素子としての特性を向上させ
る。すなわち、不純物がない、キャリア濃度が低い、及
び、超電導素子の反射が少ないことにより大きな電界効
果が得られ、かつ。超電導電子のしみだしが大きくな
り、スイッチング特性を向上させる。
る。すなわち、不純物がない、キャリア濃度が低い、及
び、超電導素子の反射が少ないことにより大きな電界効
果が得られ、かつ。超電導電子のしみだしが大きくな
り、スイッチング特性を向上させる。
〔実施例1〕 以下本発明を実施例をあげて説明する。
超電導相をYBa2Cu3Oy薄膜、半導体相をPr1+xBa2-xCu3
Oy薄膜とする電界効果型の超電導素子の作製を行なう。
素子構造は第1図に示す通りである。(110)面方位単
結晶のSrTiO3基板1上に形成したPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x
=0.1)半導体相2上に、YBa2Cu3Oy薄膜ソース3、YBa2
Cu3Oyドレイン4を形成し、3,4間に、寸法0.1μm以下
のギャップを形成する。その後、SrTiO3絶縁膜5を設
け、YBa2Cu3Oy薄膜ゲート6を形成する。
Oy薄膜とする電界効果型の超電導素子の作製を行なう。
素子構造は第1図に示す通りである。(110)面方位単
結晶のSrTiO3基板1上に形成したPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x
=0.1)半導体相2上に、YBa2Cu3Oy薄膜ソース3、YBa2
Cu3Oyドレイン4を形成し、3,4間に、寸法0.1μm以下
のギャップを形成する。その後、SrTiO3絶縁膜5を設
け、YBa2Cu3Oy薄膜ゲート6を形成する。
YBa2Cu3Oy薄膜ソースおよびドレイン、Pr1.1Ba1.9Cu3
Oy(x=0.1)半導体相及びSrTiO3絶縁膜は、高周波マ
グネトロンスパッタリング装置によって成膜を行なう。
雰囲気ガスはArと酸素の50パーセントずつの混合ガスと
し、全圧力は50mTorrとする。ターゲット材は(Y,Ba,C
u)酸化物、(Pr,Ba,Cu)酸化物、および(Sr,Ti)酸化
物の円盤状焼結体とする。電源としては周波数13.56MHz
で電力100Wの高周波を用いる。膜形成時の基板温度は60
0℃とする。この様な条件で形成したPr1.1Ba1.9Cu3O
y(x=0.1)半導体相2は斜方晶結晶のc軸が基板面と
平行な結晶配向性を有する。a軸及びb軸は基板面に対
して45度の角度をなす。YBa2Cu3Oy薄膜ソース3,YBa2Cu3
Oy薄膜ドレイン4はPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体
相2と同一の結晶構造を有し、結晶の配向性も同一であ
り、SrTiO3絶縁膜5は(110)面が基板面に平行に成長
する。なお、3,4の超電導臨界温度は約80Kである。
Oy(x=0.1)半導体相及びSrTiO3絶縁膜は、高周波マ
グネトロンスパッタリング装置によって成膜を行なう。
雰囲気ガスはArと酸素の50パーセントずつの混合ガスと
し、全圧力は50mTorrとする。ターゲット材は(Y,Ba,C
u)酸化物、(Pr,Ba,Cu)酸化物、および(Sr,Ti)酸化
物の円盤状焼結体とする。電源としては周波数13.56MHz
で電力100Wの高周波を用いる。膜形成時の基板温度は60
0℃とする。この様な条件で形成したPr1.1Ba1.9Cu3O
y(x=0.1)半導体相2は斜方晶結晶のc軸が基板面と
平行な結晶配向性を有する。a軸及びb軸は基板面に対
して45度の角度をなす。YBa2Cu3Oy薄膜ソース3,YBa2Cu3
Oy薄膜ドレイン4はPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体
相2と同一の結晶構造を有し、結晶の配向性も同一であ
り、SrTiO3絶縁膜5は(110)面が基板面に平行に成長
する。なお、3,4の超電導臨界温度は約80Kである。
超電導素子の作製行程は以下の通りとする。すなわ
ち、Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体相2を(110)
面方位単結晶のSrTiO3基板1上に形成する。膜厚は100n
mとする。この上にYBa2Cu3Oy薄膜ソース3,YBa2Cu3Oy薄
膜ドレイン4を300nm厚、形成する、この後、3、4お
よびPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)薄膜チャンネル7、さ
らには配線を含んだパタン加工をSF6ガスを用いた反応
性イオンビームエッチング法により形成する。7のYBa2
Cu3Oy薄膜の隙間は80nmとする。この上にSrTiO3絶縁膜
5およびYBa2Cu3Oy薄膜ゲート6を形成する。それぞれ
の膜厚は100nmおよび150nmとする。
ち、Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体相2を(110)
面方位単結晶のSrTiO3基板1上に形成する。膜厚は100n
mとする。この上にYBa2Cu3Oy薄膜ソース3,YBa2Cu3Oy薄
膜ドレイン4を300nm厚、形成する、この後、3、4お
よびPr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)薄膜チャンネル7、さ
らには配線を含んだパタン加工をSF6ガスを用いた反応
性イオンビームエッチング法により形成する。7のYBa2
Cu3Oy薄膜の隙間は80nmとする。この上にSrTiO3絶縁膜
5およびYBa2Cu3Oy薄膜ゲート6を形成する。それぞれ
の膜厚は100nmおよび150nmとする。
成膜後、YBa2Cu3Oy薄膜ゲート6に、反応性イオンビ
ームエッチング法によってゲート電極膜としてのパタン
を加工、成型する。以上の行程により超電導素子を得
る。
ームエッチング法によってゲート電極膜としてのパタン
を加工、成型する。以上の行程により超電導素子を得
る。
この超電導素子の電流−電圧特性においては、約1mA
の超電導電流が流れ、これ以上のバイアス電流に対して
電圧状態になる。さらにゲートに対して3Vの電圧を印加
した場合、超電導電流は0.5mAに減少し、これ以上のバ
イアス電流で電圧が発生する。以上のごとく、本超電導
素子は、三端子素子としての基本特性を有する。
の超電導電流が流れ、これ以上のバイアス電流に対して
電圧状態になる。さらにゲートに対して3Vの電圧を印加
した場合、超電導電流は0.5mAに減少し、これ以上のバ
イアス電流で電圧が発生する。以上のごとく、本超電導
素子は、三端子素子としての基本特性を有する。
本素子については、x=0.3,x=0.4の組成を持つ半導
体相を用いた場合においても、同様の素子としての効果
が確認された。
体相を用いた場合においても、同様の素子としての効果
が確認された。
〔参考例1〕 第2図に示すごとく、(110)面方位単結晶のSrTiO3
基板1としてYBa2Cu3Oy下部電極8を形成する。YBa2Cu3
Oy下部電極8の膜厚は200nmとする。膜形成は高周波マ
グネトロンスパッタリング法によって行なう。成膜方法
及び成膜条件は実施例1で述べた通りである。
基板1としてYBa2Cu3Oy下部電極8を形成する。YBa2Cu3
Oy下部電極8の膜厚は200nmとする。膜形成は高周波マ
グネトロンスパッタリング法によって行なう。成膜方法
及び成膜条件は実施例1で述べた通りである。
このYBa2Cu3Oy下部電極8上に同じく高周波マグネト
ロンスパッタリング法により、Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=
0.3)半導体相9の形成を行なう。膜厚は40nmとする。Y
Ba2Cu3Oy下部電極8とPr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.3)半導
体相9の形成は膜表面を大気に晒すことなく、同一のス
パッタリング装置中で行なう。形成したPr1.3Ba1.7Cu3O
y半導体相9はYBa2Cu3Oy下部電極8と同一の結晶構造を
有し、結晶の配向性も同一である。
ロンスパッタリング法により、Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=
0.3)半導体相9の形成を行なう。膜厚は40nmとする。Y
Ba2Cu3Oy下部電極8とPr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.3)半導
体相9の形成は膜表面を大気に晒すことなく、同一のス
パッタリング装置中で行なう。形成したPr1.3Ba1.7Cu3O
y半導体相9はYBa2Cu3Oy下部電極8と同一の結晶構造を
有し、結晶の配向性も同一である。
さらにこの上にYBa2Cu3Oy上部電極10を同じスパッタ
リング成膜条件によって形成する。ただしYBa2Cu3Oy上
部電極10の膜厚は400nmとする。YBa2Cu3Oy上部電極10も
Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.3)半導体相9と同じく、下地
膜表面を大気に晒すことなく同一スパッタリング装置を
用いることにより成膜を行なう。これにより、界面に不
純物が介在することによる超電導カップリング特性の劣
化を防止する。
リング成膜条件によって形成する。ただしYBa2Cu3Oy上
部電極10の膜厚は400nmとする。YBa2Cu3Oy上部電極10も
Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.3)半導体相9と同じく、下地
膜表面を大気に晒すことなく同一スパッタリング装置を
用いることにより成膜を行なう。これにより、界面に不
純物が介在することによる超電導カップリング特性の劣
化を防止する。
以上のごとき成膜行程を経ることにより、YBa2Cu3Oy
−Pr1.3Ba1.7Cu3Oy−YBa2Cu3Oy三層膜を得る。この三層
膜のパタン形成行程は以下のごとき方法によって行な
う。すなわち水平方向に移動することが出来るシャッタ
ー板を基板に対して0.5mm以内の間隔に保って保持す
る。シャッター板を基板に対して部分的に覆うことによ
り、YBa2Cu3Oy下部電極8及びYBa2Cu3Oy上部電極10の薄
膜が部分的に重なった形成11に仕上げることが出来る。
第3図に示すごとく、シャッター移動方向に対して膜面
内で垂直な方向のパタン形成は三層膜形成後、反応性イ
オンビームエッチングを施すことにより得る。ガス種と
してはSF6を用い、加速電圧500V、ガス圧力0.2mTorrの
条件でエッチングを行なう。以上の製造行程により、弱
結合型の超電導素子を得る。
−Pr1.3Ba1.7Cu3Oy−YBa2Cu3Oy三層膜を得る。この三層
膜のパタン形成行程は以下のごとき方法によって行な
う。すなわち水平方向に移動することが出来るシャッタ
ー板を基板に対して0.5mm以内の間隔に保って保持す
る。シャッター板を基板に対して部分的に覆うことによ
り、YBa2Cu3Oy下部電極8及びYBa2Cu3Oy上部電極10の薄
膜が部分的に重なった形成11に仕上げることが出来る。
第3図に示すごとく、シャッター移動方向に対して膜面
内で垂直な方向のパタン形成は三層膜形成後、反応性イ
オンビームエッチングを施すことにより得る。ガス種と
してはSF6を用い、加速電圧500V、ガス圧力0.2mTorrの
条件でエッチングを行なう。以上の製造行程により、弱
結合型の超電導素子を得る。
以上の方法により作製した超電導素子の特性は第4図
に示すごとくになる。すなわち約0.4mAの超電導電流が
流れ、これ以上のバイアス電流に対しては電圧が発生す
る。この超電導電流が電極間のショートによるものか、
あるいは位相のずれによるジョセフソン電流によるもの
かを判定するために、素子に対してマイクロ波を照射す
る。周波数9.3GHzのマイクロ波を照射しながら電圧−電
流特性を測定した場合、電圧20μV毎に電流のステップ
が観測される。このことは超電導電流が位相変化をとも
なうジョセフソン電流であることを意味している。
に示すごとくになる。すなわち約0.4mAの超電導電流が
流れ、これ以上のバイアス電流に対しては電圧が発生す
る。この超電導電流が電極間のショートによるものか、
あるいは位相のずれによるジョセフソン電流によるもの
かを判定するために、素子に対してマイクロ波を照射す
る。周波数9.3GHzのマイクロ波を照射しながら電圧−電
流特性を測定した場合、電圧20μV毎に電流のステップ
が観測される。このことは超電導電流が位相変化をとも
なうジョセフソン電流であることを意味している。
本素子については、x=0.1,x=0.45の組成を持つ半
導体相を用いた場合においても、同様の素子としての効
果が確認された。
導体相を用いた場合においても、同様の素子としての効
果が確認された。
〔参考例2〕 超電導素子の組合せにより基本スイッチングゲートの
作製を行なう。ゲートは参考例1において述べた弱結合
型の超電導素子により構成する。ゲートの構成は第5図
に示すとおりである。すなわち超電導素子12、2個と抵
抗13を接続することにより、ORスイッチングゲートを形
成する。スイッチングゲートに対して並列に負荷抵抗14
を配置する。負荷抵抗はPt薄膜とし、電子ビーム蒸着法
により成膜する。超電導素子、及びYBa2Cu3Oy超電導配
線の形成方法は実施例1及び2において述べた通りであ
る。
作製を行なう。ゲートは参考例1において述べた弱結合
型の超電導素子により構成する。ゲートの構成は第5図
に示すとおりである。すなわち超電導素子12、2個と抵
抗13を接続することにより、ORスイッチングゲートを形
成する。スイッチングゲートに対して並列に負荷抵抗14
を配置する。負荷抵抗はPt薄膜とし、電子ビーム蒸着法
により成膜する。超電導素子、及びYBa2Cu3Oy超電導配
線の形成方法は実施例1及び2において述べた通りであ
る。
このORスイッチングゲートの動作特性は以下の通りで
ある。すなわち0.3mAのバイアス電流に対して0.2mAの信
号電流まで、ゲートは零電圧状態に保たれ、負荷抵抗の
両端には電圧が発生しない。さらに信号電流を増加した
場合、ゲートは電圧状態になり、負荷抵抗の両端で電圧
が検出される。以上のごとく本ゲートはORスイッチング
ゲートとしての動作を確認する。
ある。すなわち0.3mAのバイアス電流に対して0.2mAの信
号電流まで、ゲートは零電圧状態に保たれ、負荷抵抗の
両端には電圧が発生しない。さらに信号電流を増加した
場合、ゲートは電圧状態になり、負荷抵抗の両端で電圧
が検出される。以上のごとく本ゲートはORスイッチング
ゲートとしての動作を確認する。
以上述べたスイッチングゲートは参考例1に述べた超
電導素子だけでなく、実施例1において述べた電界効果
型の超電導素子を用いることによっても構成できる。こ
の場合、必要な素子は一個でよい。
電導素子だけでなく、実施例1において述べた電界効果
型の超電導素子を用いることによっても構成できる。こ
の場合、必要な素子は一個でよい。
さらに本発明にかかる超電導素子を用いて、ANDゲー
トも構成できる。これらOR、ANDスイッチングゲートを
組み合わせることにより、論理回路を構成できる。超電
導素子と超電導ループを組み合わせることにより、記憶
素子も構成できる。
トも構成できる。これらOR、ANDスイッチングゲートを
組み合わせることにより、論理回路を構成できる。超電
導素子と超電導ループを組み合わせることにより、記憶
素子も構成できる。
本発明にかかる酸化物半導体は以下の効果を有する。
(1)不純物を含まず十分にキャリア濃度の低い物質を
半導体相として用いたので、電界効果型三端子超電導素
子を作製することが出来る。
半導体相として用いたので、電界効果型三端子超電導素
子を作製することが出来る。
(2)上記超電導素子を用いた超電導論理回路、記憶回
路を構成することが出来る。
路を構成することが出来る。
第1図は電界効果型の超電導素子の断面図、第2図は弱
結合型の超電導素子の断面面、第3図は弱結合型の超電
導素子の断面図、第4図は弱結合型の超電導素子の電流
−電圧特性、第5図はOR−スイッチングゲートの構成図
である。 1……SrTiO3基板、 2……Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体相、3……YB
a2Cu3Oy薄膜ソース、 4……YBa2Cu3Oy薄膜ドレイン、 5……SrTiO3絶縁膜、6……YBa2Cu3Oy薄膜ゲート、7
……Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)薄膜チャネル、8……
YBa2Cu3Oy下部電極、9……Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.
3)半導体相、10……YBa2Cu3Oy上部電極、11……接合
部、12……超電導素子、 13……抵抗、14……負荷抵抗。
結合型の超電導素子の断面面、第3図は弱結合型の超電
導素子の断面図、第4図は弱結合型の超電導素子の電流
−電圧特性、第5図はOR−スイッチングゲートの構成図
である。 1……SrTiO3基板、 2……Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)半導体相、3……YB
a2Cu3Oy薄膜ソース、 4……YBa2Cu3Oy薄膜ドレイン、 5……SrTiO3絶縁膜、6……YBa2Cu3Oy薄膜ゲート、7
……Pr1.1Ba1.9Cu3Oy(x=0.1)薄膜チャネル、8……
YBa2Cu3Oy下部電極、9……Pr1.3Ba1.7Cu3Oy(x=0.
3)半導体相、10……YBa2Cu3Oy上部電極、11……接合
部、12……超電導素子、 13……抵抗、14……負荷抵抗。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤松 正一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 斎藤 真一郎 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 深沢 徳海 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 兼堀 恵一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 樽谷 良信 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平1−102974(JP,A) 特開 平1−144688(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】酸化物系超電導材料および酸化物系の半導
体特性を有する材料、すなわち酸化物系半導体により構
成される超電導素子において、二個の超電導電極が酸化
物半導体を介して接続された構造からなり、酸化物半導
体は酸化物超電導体と同様にBaを含む構造をなす一般式
Pr1+xBa2-xCu3Oy(ただし、式中のxは、0<x<0.5の
範囲とする。) で示され、かつ該酸化物半導体に対して絶縁体薄膜を介
して電界を印加するためのゲート電極膜が付加された三
端子素子であることを特徴とする超電導素子。 - 【請求項2】酸化物系超電導材料および酸化物系の半導
体特性を有する材料、すなわち酸化物系半導体により構
成される超電導素子において、二個の超電導電極が酸化
物半導体を介して接続された構造からなり、酸化物半導
体は酸化物超電導体と同様にBaを含む構造をなす一般式
Pr1+xBa2-xCu3Oy(ただし、式中のxは、0<x<0.5の
範囲とする。) で示され、かつ該酸化物半導体に対して絶縁体薄膜を介
して電界を印加するためのゲート電極膜が付加された三
端子素子である超電導素子を要素部品として構成された
論理スイッチング機能あるいは記憶機能を有することを
特徴とする回路素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2133842A JP2868286B2 (ja) | 1990-05-25 | 1990-05-25 | 超電導素子およびこれを備えた回路素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2133842A JP2868286B2 (ja) | 1990-05-25 | 1990-05-25 | 超電導素子およびこれを備えた回路素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0429381A JPH0429381A (ja) | 1992-01-31 |
JP2868286B2 true JP2868286B2 (ja) | 1999-03-10 |
Family
ID=15114316
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2133842A Expired - Fee Related JP2868286B2 (ja) | 1990-05-25 | 1990-05-25 | 超電導素子およびこれを備えた回路素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2868286B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01102974A (ja) * | 1987-10-16 | 1989-04-20 | Hitachi Ltd | 超伝導デバイス |
JPH01144688A (ja) * | 1987-12-01 | 1989-06-06 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 酸化物超伝導体薄膜 |
-
1990
- 1990-05-25 JP JP2133842A patent/JP2868286B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0429381A (ja) | 1992-01-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3221403B2 (ja) | 酸化物超電導体 | |
US5274249A (en) | Superconducting field effect devices with thin channel layer | |
US5250817A (en) | Alkali barrier superconductor Josephson junction and circuit | |
US5627139A (en) | High-temperature superconducting josephson devices having a barrier layer of a doped, cubic crystalline, conductive oxide material | |
US5250506A (en) | Superconductive switching element with semiconductor channel | |
JP2868286B2 (ja) | 超電導素子およびこれを備えた回路素子 | |
JPH0714079B2 (ja) | 酸化物超電導三端子素子 | |
US5480859A (en) | Bi-Sr-Ca-Cu-O superconductor junction through a Bi-Sr-Cu-O barrier layer | |
JP2500302B2 (ja) | 超電導素子及び超電導回路 | |
Liu et al. | Investigation on Ag/Pb (Zr0. 53Ti0. 47) O3/YBa2Cu3O7− δ three-terminal system with small gate area | |
JP3186035B2 (ja) | 電界効果素子用積層薄膜および該積層薄膜を用いた電界効果トランジスター | |
Fink et al. | Ba1− x K x BiO3 thin film Josephson tunnel junctions | |
JPH0278282A (ja) | ジヨセフソン素子 | |
JP2515947B2 (ja) | 超電導素子 | |
JP2907831B2 (ja) | ジョセフソン素子 | |
JP3379533B2 (ja) | 超電導デバイスの製造方法 | |
JP3221037B2 (ja) | 電流変調装置 | |
US5362709A (en) | Superconducting device | |
JPH02186681A (ja) | 超電導接合装置 | |
JP2698858B2 (ja) | 酸化物超伝導体の成膜方法 | |
Setsune et al. | Planar SNS Josephson junctions using multilayer Bi system | |
JPH07235699A (ja) | マイクロブリッジ型酸化物超電導接合およびそれを用いた超電導素子 | |
JPH1126822A (ja) | 高温超伝導ジョセフソン素子およびその製造方法 | |
JPH07193285A (ja) | ジョセフソン接合素子 | |
Pavuna et al. | Superconducting YBa2Cu307 films for novel optoelectronic device structures |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |