JP3018910B2 - プレス成形性、塗装後鮮映性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板 - Google Patents

プレス成形性、塗装後鮮映性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板

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JP3018910B2 JP6182807A JP18280794A JP3018910B2 JP 3018910 B2 JP3018910 B2 JP 3018910B2 JP 6182807 A JP6182807 A JP 6182807A JP 18280794 A JP18280794 A JP 18280794A JP 3018910 B2 JP3018910 B2 JP 3018910B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス成形性、塗装
後鮮映性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品および鋼製家具等の外
板のように、塗装後の仕上がり外観が良好であることを
要求される鋼板には、従来、表面粗さが調節された冷延
鋼板が使用されていた。また、自動車用鋼板等のよう
に、優れた防錆効果が要求される鋼板として、表面粗さ
が調節された冷延鋼板に、電気亜鉛メッキ処理を施すこ
とによって製造された、薄目付けの電気亜鉛メッキ鋼板
が使用されていた。
【0003】近年、更に優れた防錆効果が要求されてお
り、厚目付けの表面処理鋼板に対するニーズが高まって
いることから、塗装性、溶接性および耐食性に優れてお
り、しかも比較的安価に厚目付けが可能な、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板が広く使用されるようになってきた。
【0004】しかしながら、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
は、最終の溶融亜鉛メッキ工程および合金化処理工程に
おいて、メッキ層の表面粗さが大きく変化するために、
上述した鋼板の表面粗さを調節する方法による効果は期
待できなかった。一方、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板特有
の、その表面に形成されている多数の微細な凹部は、塗
装後鮮映性およびプレス成形性に悪影響を及ぼすことが
知られている。
【0005】そこで、プレス成形性と塗装後鮮映性の両
者を満足し得るように、鋼板の表面粗さを調節すること
が従来から種々研究されており、例えば、特開平2-274,
853号公報、特開平2-274,854 号公報、特開平2-274,855
号公報、特開平2-274,856号公報および特開平2-274,85
9 号公報等には、レーザービームによって表面にダル仕
上げ加工が施されたロール即ちレーザーダルロールを使
用し、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に調質圧延を施し、そ
の表面に所定の凹凸を付与することによってプレス成形
性および塗装後鮮映性を改善する技術が開示されている
(以下、特開平2-274859号公報に開示された技術を先行
技術1という)。
【0006】一方、特開平2-57,670号公報には、溶融亜
鉛メッキラインの酸化−還元工程において、鋼板表面に
形成される酸化膜の量を抑制することによって、鋼板の
表面粗度を 1.0μmRa 以下に、そして、メッキ層の表面
粗さをピークカウント(PPI)(カットオフ値 :1.25μm )
で250 以上となした、プレス成形性に優れた合金化溶
融亜鉛メッキ鋼板が開示されている(以下、先行技術2
という)。
【0007】更に、特開平−293905号公報およ
び特開平−293907号公報には、鋼板の表面形状
を周波数解析したときの、585μm≦λ≦2730μm
の範囲内に含まれる波長λの波長成分強度を規定した、
塗装後鮮映性に優れた鋼板が開示されている(以下、先
行技術3という)
【0008】また、特開平3-234,301 号公報および特開
平3-54,412号公報には、波長1.0 〜6.0mm の範囲内に設
定された塗膜鮮映性阻害波長域、および、波長0〜1.0m
m の範囲内に設定されたプレス成形性向上波長域または
波長 200μm 〜1.0mm の範囲内に設定された薄塗装塗膜
鮮映性阻害波長域のパワースペクトルを規定した塗装用
鋼板が開示されている(以下、先行技術4という)。
【0009】そして、特開平2-225,652 号公報には、冷
延鋼板の表面に、波長域が10〜500μm の多数の微細な
凹部を形成し、そして、合金化処理過程において、波長
域が10〜100 μm であり、且つ、凹部の深さが10μm 位
の多数の凹部を形成せしめ、これによってプレス成形性
を向上させる方法が開示されている(以下、先行技術5
という)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術1は、次のような問題を有している。 鋼板表面上のめっき層に形成された多数の微細な凹
部の各々の面積が500 〜10,000μm2と比較的大きいため
に、凹部に溜まったプレス油の保持性が悪く、凹部から
プレス油が流れ出しやすい。従って、プレス工程におけ
る鋼板搬送時に、凹部からプレス油が流れ出して、プレ
ス成形性が低下する。
【0011】 多数の微細な凹部のうちの隣接する2
つの凹部間の距離が50〜300 μm と比較的広いので、凹
部に溜まったプレス油の保持によるプレス成形性の向上
に限界がある。即ち、たとえ、凹部にプレス油が保持さ
れても、隣接する2つの凹部間の平坦部が長いために、
プレス時にダイが平坦部を通過する間に油切れが生じ、
急激な摩擦係数の上昇によるミクロ的な焼付けが発生し
て、型かじりやプレス割れが生じる。
【0012】 隣接する2つの凹部間の距離が上述し
たように広いと、鮮映性を低下させる、いわゆる、うね
り成分が合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のめっき層の表面上
に残るので、塗装後鮮映性の向上には限界がある。
【0013】 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を製造した
後、レーザーダルロールにより鋼板に調質圧延を施し、
メッキ層の表面に所定の凹凸を付与すると、調質圧延の
際に、ロール表面の凹凸によってメッキ層が局所的な剪
断変形を受けるので、上記メッキ層が剥離しやすい。
【0014】 レーザービームによってロール表面に
ダル加工を施すには、多大のコストがかかり、しかも、
ロール表面に形成された凹凸の損耗が激しいので、ロー
ルを頻繁に交換する必要がある。
【0015】先行技術2は、次のような問題を有してい
る。即ち、先行技術2は、溶融亜鉛メッキ層の合金化処
理において、メッキ層自体の合金化反応により、メッキ
層に高いPPI を付与するものであるが、ただ単にPPI が
高いだけでは、自己潤滑効果が不十分であり、且つ、凹
部に保持されるプレス油の量が少ない。その結果、プレ
ス成形時に、ダイがメッキ層の表面を進行する間に油切
れが生じ、急激な摩擦係数の上昇によるミクロ的な焼付
けによって、型かじりやプレス割れが発生する。更に、
後述する、鮮映性に影響する波長領域の表面凹凸に対す
る配慮がなされていないので、良好な塗装後鮮映性が得
られない。
【0016】先行技術3は、レーザーダルロールによっ
て鋼板の表面に所定の凹凸を付与する技術を発展させ、
塗装後鮮映性に及ぼす波長域の凹凸の成分強度を規定し
たものであり、従って、上記先行技術1について述べた
と同じ問題点を有している。
【0017】先行技術4は、次のような問題を有してい
る。即ち、先行技術4においては、プレス成形性向上波
長域について規定しているが、その波長範囲が0〜1mm
と広く、塗装後鮮映性に影響を及ぼす波長域を含んでい
るために、塗装条件によっては、塗装後鮮映性が劣る場
合がある。また、先行技術4は、プレス成形性向上波長
域の波長範囲0〜1mmの表面凹凸を付与するために、レ
ーザーダルロールにより所定の凹凸を鋼板表面に付与し
ていることから、先行技術1について述べたと同じ問題
を有している。
【0018】先行技術5は、次のような問題を有してい
る。即ち、先行技術5においては、合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板の表面に形成された多数の微細な凹凸について、
その量が規定されていない。従って、プレス油を保持
し、ミクロプールを形成し得る凹凸が形成されていると
は限らず、その結果、潤滑効果が不足し、型かじりやプ
レス割れが生ずる場合がある。
【0019】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、プレス成形性、塗装後鮮映性および耐パウダ
リング性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を提供する
ことにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明は、鋼板の少な
くとも1つの表面上に、多数の微細な凹部を有する合金
化溶融亜鉛メッキ層が形成された合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板であって、前記合金化溶融亜鉛メッキ層表面の断面
曲線をフーリエ変換して得られるパワースペクトルの波
長の 100〜2000μm の積分値が 200μm3以下であり、そ
して、前記パワースペクトルの波長の15〜100 μm 未満
の積分値が0.15μm3以上となるように、前記多数の微細
な凹部が形成されていることに特徴を有するものであ
る。
【0021】前記多数の微細な凹部の各々は、2μm 以
上、めっき層の最大厚さ以下の深さを有しており、前記
メッキ層1mm2 当りの前記多数の微細な凹部の数は、 2
01〜8192個の範囲内であり、そして、前記メッキ層の単
位面積に対する、前記多数の微細な凹部の開口面積の合
計は、10〜70%の範囲内であることが好ましい。
【0022】
【作用】本発明者等は、冷延鋼板に対する溶融亜鉛メッ
キ処理条件および合金化処理条件と、合金化溶融亜鉛メ
ッキ層の構造との関係について調べ、プレス成形性を改
善するための方法について検討を行った。先ず、本発明
者等は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板特有の、合金化溶融
亜鉛メッキ層表面の凹凸の波長を解析し、各波長成分と
塗装後鮮映性との関係を、以下に述べる方法によって調
べた。
【0023】3次元表面粗さ計によって、X軸測定長さ
8mmの断面曲線を、Y軸に50μm ピッチで21本採取し
た。このようにして採取した21本の断面曲線をX軸倍率
20倍、Y軸倍率40倍、Z軸倍率1000倍で描いた3次元表
面断面曲線の一例を、図1に示す。
【0024】次に、データ点数を断面曲線1本当り1024
点とし、断面曲線を最小自乗法により水平化処理してそ
の傾きを無くし、鋼板のメッキ層表面に生じている凹凸
の不規則な波形、即ち、X軸に対して不規則な高さ変動
を示す波形をフーリエ変換し、各波長毎の波高の2乗和
に分解することによって波高分布を計算した。このよう
にして得られた21本の波高分布をリニア加算し平均して
1つの波高分布とし、各波長毎の波高の2乗和をパワー
として表示しこれを直線で結ぶことによってパワースペ
クトルを作成した。図2は、パワースペクトルの一例を
示すグラフである。
【0025】上記の波長解析結果に基づき、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板の各波長毎のパワーと、合金化溶融亜鉛
メッキ層表面にED塗装、中塗り塗装および上塗り塗装か
らなる3コート塗装を施した後の鮮映性を示すNSIC値と
の相関関係を調べた。図3は、NSIC値と各波長域のパワ
ーの相関係数を波長毎にプロットした結果を示すグラフ
である。図3から明らかなように、100 〜2000μm の波
長のパワーと塗装後鮮映性との相関は大であり、従っ
て、この範囲の波長の凹凸が塗装後鮮映性に悪影響を与
えることが判明した。
【0026】そこで、本発明者等は、100 〜2000μm の
範囲内の波長の凹凸を低下させることが、塗装後鮮映性
の改善に効果的であることに着目し、この点に基づいて
更に検討を重ねた。図4は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
のパワースペクトルの波長100 〜2000μm の積分値とNS
IC値との関係を示すグラフである。図4から明らかなよ
うに、パワースペクトルの波長100 〜2000μm の積分値
が200 μm3以下になるとNSIC値は85以上になり、塗装後
鮮映性は良好なレベルになる。
【0027】図5に、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造
過程における鋼板のパワースペクトルの変化の一例を示
す。図5において、曲線a,b,cは、下記各鋼板のパ
ワースペクトルを示している。 a:冷延鋼板、 b:冷延鋼板aの表面上に合金化溶融亜鉛メッキ層が形
成された、調質圧延が施されていない合金化溶融亜鉛メ
ッキ鋼板、 c:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板bに対し、調質圧延後の
鋼板のパワースペクトルの波長 100〜2000μm の積分値
が 200μm3以下となるように表面凹凸が調整されたロー
ルを使用し調質圧延を施した合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板。
【0028】図5から明らかなように、冷延鋼板aの表
面上に合金化溶融亜鉛メッキ層が形成された合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板bにおいては、波長 150μm 未満のパワ
ーが増加した。一方、波長 150μm 以上のパワーは、冷
延鋼板aのパワーとほぼ同じ値を示した。冷延鋼板aの
表面上に合金化溶融亜鉛メッキ層を形成し、次いで、塗
装後鮮映性が良好となるように調質圧延を施した合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板cにおいては、波長 100〜2000μm
のパワーが大きく低下し、更に、波長 100μm未満のパ
ワーも、ある程度低下した。
【0029】図6に、図5に示した冷延鋼板aに対し、
条件を変えてメッキ処理および合金化処理を施した合金
化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造過程におけるパワースペク
トルの変化を示した。図6において、曲線a,d,e
は、下記各鋼板のパワースペクトルである。 a:冷延鋼板、 d:冷延鋼板aを、温度 510℃、Al濃度0.15wt.%の亜鉛
メッキ浴中に、侵入板温 510℃で浸漬し、初期合金化反
応を 510℃の温度で起こさせた後、同温度で合金化処理
することにより、鋼板の表面上に合金化溶融亜鉛メッキ
を形成した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、 e:合金化溶融亜鉛メッキ鋼板dに対し、調質圧延後の
鋼板のパワースペクトルの波長 100〜2000μm の積分値
が 200μm3以下となるように表面凹凸が調整されたロー
ルを使用し調質圧延を施した合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板。
【0030】図7は図5に示した合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板bの、図8は図6に示した合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板dの、また図9は図6に示した合金化溶融亜鉛メッキ
鋼板eの、各表面組織の走査型電気顕微鏡写真である。
図7から、鋼板bにおいては、その表面上に微細なFe−
Zn合金結晶の生成していることがわかり、図8から、鋼
板dにおいては、鋼板の表面上に微細なFe−Zn合金結晶
が生成していると共に、合金化溶融亜鉛メッキ層に、2
μm 以上、メッキ層の最大厚さ以下の深さの、1mm2
り 200〜8200個の微細な凹部が形成されていることがわ
かる。そして、図9から、鋼板eにおいては、調質圧延
によって、Fe−Zn合金結晶が潰されている一方、メッキ
層に形成された上記微細な凹部は消滅していないことが
わかる。
【0031】図10に、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板cのパ
ワースペクトルと、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板eのパワ
ースペクトルとを比較して示す。図10から、鋼板cと鋼
板eとは、波長 100μm 以上のパワーにおいてほぼ同じ
値であるが、波長 100μm 未満のパワーにおいては差が
認められる。
【0032】即ち、鋼板eにおける波長 100μm 未満の
パワーの低下は、鋼板cのそれよりも小さい。このよう
に、鋼板eにおける波長 100μm 未満のパワーの低下が
小さいのは、メッキ条件および合金化処理条件の相違に
よって、メッキ層表面に微細な凹部を生成させ、波長 1
00μm 未満のパワーを高くしたことに加え、生成した微
細な凹部は調質圧延によっても消滅しないためであると
考えられる。
【0033】鋼板cおよび鋼板eについて摩擦係数の測
定を行ったところ、鋼板cの摩擦係数よりも鋼板eの摩
擦係数の方が低い値を示した。このことから、塗装後鮮
映性を改善するため、 100〜2000μm の範囲の波長の凹
凸を低下させた場合に、塗装後鮮映性に影響を及ぼさな
い 100μm 未満の波長のパワーの低下を極力抑えること
が、摩擦係数の低下に効果的であることが判明した。
【0034】そこで、摩擦係数を低下させることを目的
として、波長 100μm 未満のパワーに着目し検討を重ね
た。メッキ条件および合金化条件を変えて種々の合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板を調製し、この合金化溶融亜鉛メッ
キ鋼板に対し、調質圧延後の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
のパワースペクトルの波長 100〜2000μm の積分値が 2
00μm3以下となるように表面凹凸が調整されたロールを
使用し、調質圧延を施して、パワースペクトルの波長 1
00〜2000μm の積分値が30μm3前後で、波長15〜100 μ
m 未満の積分値が異なるサンプルを準備した。このサン
プルについて摩擦係数を測定し、その結果を図11に示し
た。図11から、パワースペクトルの波長15〜100 μm 未
満の積分値が0.15μm3以上になると、摩擦係数の低下す
ることが判明した。
【0035】一般に、プレス加工時のプレス割れは、鋼
板の金型への流入抵抗が鋼板の破断限界を超えたときに
発生する。鋼板の総合的な流入抵抗は、鋼板の曲げおよ
び曲げ戻しの変形抵抗と、摩擦成分とにより成り立って
いる。従って、流入抵抗の低減のためには、鋼板表面の
摩擦抵抗を下げることが有効である。プレス加工時の摩
擦は、金型と鋼板表面とが接触して滑る際に生じ、金型
と鋼板との直接接触により凝着が発生した場合に摩擦抵
抗が増大する。
【0036】通常、プレス加工時において、金型と鋼板
との接触界面にプレス油による油膜を形成させ、これに
よって、摩擦力の増大を防止している。しかしながら、
金型と鋼板との接触面圧が高い場合には、油膜が破壊さ
れて金型と鋼板との直接接触が生じ、摩擦抵抗が増大す
る。このような状況下において、摩擦抵抗の増大を抑制
するためには、油膜の保持能力が重要である。
【0037】このようなことから、本願発明において
は、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のメッキ層表面に、パワ
ースペクトルの波長15〜100 μm 未満の積分値が0.15μ
m3以上となる多数の微細な凹部を形成したことによっ
て、この多数の微細な凹部の各々内にプレス油が保持さ
れ、摩擦界面においてミクロプールが独立した形で存在
するようになる。このように、ミクロプール内に封じ込
まれたプレス油は、金型と鋼板との接触面圧が低い場合
でも、面圧の一部を受けるので、金型と鋼板とが直接接
触することはなく、従って、良好なプレス成形性が得ら
れる。
【0038】次に、この発明の合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板において、合金化溶融亜鉛メッキ層の性状を前述した
条件に数値限定した理由について説明する。合金化溶融
亜鉛メッキ層表面の断面曲線をフーリエ変換して得られ
るパワースペクトルの波長の 100〜2000μm の積分値は
200μm3以下に限定すべきである。上記積分値が 200μ
m3を超えると、塗装後鮮映性が良好にならない。上記積
分値のより好ましい範囲は 100μm3以下であり、更に好
ましい範囲は50μm3以下である。
【0039】前記パワースペクトルの波長の15〜100 μ
m 未満の積分値は、0.15μm3以上に限定すべきである。
上記積分値が0.15μm3未満では、摩擦係数が高くなり、
プレス不良が発生する。
【0040】メッキ層に形成された多数の微細な凹部の
各々の深さは、2μm 以上、メッキ層の最大厚さ以下の
深さを有していることが好ましい。多数の微細な凹部の
各々の深さが2μm 未満では、プレス油を十分に保持す
ることができるミクロプールを形成することができな
い。
【0041】前記多数の微細な凹部のうちの、2μm 以
上、メッキ層の最大厚さ以下の深さを有する凹部の数
は、メッキ層1mm2 当り 200〜8200個の範囲内であるこ
とが好ましい。凹部の数がメッキ層1mm2 当り 200個未
満では、隣接する2つの凹部間の距離が広すぎるので、
たとえ凹部内にプレス油が保持されても、2つの凹部間
の平坦部の長さが長いために、プレス時にダイが平坦部
を通過する間に油切れが生じ、急激な摩擦係数の上昇に
よるミクロ的な焼き付きが発生して、型かじりやプレス
割れが発生する。一方、メッキ層1mm2 当り8200個を超
えた数の凹部を形成することは、技術的に困難であり、
実操業上適さない。
【0042】メッキ層の単位面積に対する、多数の微細
な凹部の開口面積の合計即ち凹部の面積率は、10〜70%
の範囲内であることが好ましい。上記凹部の面積率が10
%未満では、凹部内に保持される油の量が不足する。そ
の結果、プレス時にダイが平坦部を通過する間に油切れ
が生じ、また、油量の不足によって、面圧に抗するため
の十分な静水圧が得られないために、油膜が破壊され、
型かじりやプレス割れが発生する。一方、上記凹部の面
積率が70%を超えると、凹部以外の山の部分が細くな
り、山部分が有する破壊限界が小さくなる結果、金型の
荷重が破壊限界を超えやすくなり、山の部分が破壊脱落
する問題が生ずる。
【0043】上述した、この発明のプレス成形性、塗装
後鮮映性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板を製造する方法としては、その表面上に溶
融亜鉛メッキ層が形成された冷延鋼板に対し合金化処理
を施す際に、合金化反応を利用して凹部を形成し、次い
で、調質圧延後の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のパワース
ペクトルの波長 100〜2000μm の積分値が 200μm3以下
となるように表面凹凸が調整されたロールを使用して調
質圧延することからなる方法が挙げられるが、上記方法
に限定されることはない。
【0044】また、この発明の合金化溶融亜鉛メッキ鋼
板において、合金化溶融亜鉛メッキ層表面の断面曲線を
フーリエ変換して得られるパワースペクトルの波長の 1
00〜2000μm の積分値が 200μm3以下であり、そして、
前記パワースペクトルの波長の15〜100 μm 未満の積分
値が0.15μm3以上となるように、メッキ層表面に多数の
微細な凹部を形成する技術、および、多数の微細な凹部
を、その各々が2μm以上、メッキ層の最大厚さ以下の
深さを有し、そして、メッキ層1mm2 当りの凹部の数を
200〜8200個の範囲内とし、且つ、凹部の面積率を10〜
70%の範囲内になるように形成する技術は、合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板だけではなく、他のメッキ鋼板または冷
延鋼板に対しても適用可能である。
【0045】
【実施例】次に、この発明を、実施例により比較例と共
に説明する。 〔実施例1〕メッキ原板として、板厚0.8mm の冷延鋼板
を使用し、連続溶融亜鉛メッキライン(CGL) によって、
上記冷延鋼板に対し溶融亜鉛メッキ処理および合金化処
理を施し、冷延鋼板の表面上に、鋼板片面当り60g/m2
量の合金化溶融亜鉛メッキ層が形成された合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板を調製した。このとき、上記冷延鋼板に対
する溶融亜鉛メッキ条件および合金化処理条件を変える
ことによって、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の断面曲線を
フーリェ変換して得られるパワースペクトルの波長15〜
100 μm の積分値を変化させた。
【0046】次いで、上記合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に
対し、種々のロールを使用し、調質圧延条件を変えて調
質圧延することにより、メッキ鋼板の断面曲線をフーリ
ェ変換して得られるパワースペクトルの波長 100〜2000
μm の積分値を変化させた。
【0047】上記パワースペクトルは、以下に述べる方
法によって求めた。即ち、3次元表面粗さ計によって、
X軸測定長さ8mmの断面曲線を、Y軸に50μm ピッチで
21本採取する。次いで、データ点数を断面曲線1本当り
1024点とし、断面曲線を最小自乗法により水平化処理し
てその傾きを無くし、鋼板のメッキ層表面に生じている
凹凸の不規則な波形、即ち、X軸に対して不規則な高さ
変動を示す波形をフーリエ変換し、各波長毎の波高の2
乗和に分解することによって波高分布を計算する。この
ようにして得られた21本の波高分布をリニア加算し平均
して1つの波高分布とし、各波長毎の波高の2乗和をパ
ワーとして表示しこれを直線で結ぶことによってパワー
スペクトルを作成し、所定の波長範囲を積分する。
【0048】このようにして、合金化溶融亜鉛メッキ層
の表面に、その断面曲線をフーリエ変換して得られるパ
ワースペクトルの波長の 100〜2000μm の積分値が 200
μm3以下であり、そして、パワースペクトルの波長の15
〜100 μm 未満の積分値が0.15μm3以上である、多数の
微細な凹部が形成された、本発明の範囲内の合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板の各々から試験片を切り出し、各種の本
発明試験片を調製した。
【0049】比較のために、上記パワースペクトルの波
長の 100〜2000μm の積分値または15〜100 μm 未満の
積分値がこの発明の範囲外である各種の比較用試験片を
調製した。
【0050】表1に、本発明試験片および比較用試験片
に関する、パワースペクトルの波長の 100〜2000μm の
積分値およびパワースペクトルの波長の15〜100 μm 未
満の積分値を示す。
【0051】
【表1】
【0052】上述した本発明試験片および比較用試験片
の各々について、下記の方法により、プレス成形性、塗
装後鮮映性および耐パウダリング性を調べ、その結果
を、表1に併せて示した。
【0053】プレス成形性を評価する、鋼板表面の摩擦
係数は、図12に示す摩擦係数測定用試験機を使用して測
定した。即ち、試験片2をローラー4上の試料台3に固
定し、押付け荷重N:400Kg 、引き抜き速度:1m/分に
よって、試料台3をレール7に沿って引き抜き、ビード
1を試験片2に押し付けた状態で、ロードセル5、6に
よって測定される、引抜き荷重Fと押付け荷重Nとか
ら、試験片2の摩擦係数F/N を算出した。
【0054】なお、ビード1として、その材質が SKD11
で、接触面積が 3mm×10mmの形状のものを使用した。ま
た、潤滑油として、日本パーカライジング(株)製の
「ノックスラスト530F」を使用し、これを試験片2の表
面に塗布した。このようにして求められた摩擦係数に基
づき、下記基準によってプレス成形性を評価した。 ○:摩擦係数が0.150 以下でありプレス成形性が優れて
いる。 △:摩擦係数が0.150 超、0.160 未満でありプレス成形
性がやや劣っている。 ×:摩擦係数が0.160 以上でありプレス成形性が劣って
いる。
【0055】メッキ層の耐パウダリング性は、図13に概
略正面図で、図14にビードおよびダイ部分の拡大概略断
面図で示すドロービード試験機を使用し、ドロービード
テストによって、次のようにして評価した。先ず、幅30
mm×長さ120mm の寸法の試験片10の非対象面のメッキ層
を希硫酸で溶解剥離し、次いで、脱脂してその重量を測
定した。次いで、試験片10を、ドロービード試験機のビ
ード8とダイ9との間に装着し、油圧装置12により圧力
P=500Kgfで、ダイ9を試験片10を介してビード8に押
し付け、その押し付け圧力Pをロードセル11によって測
定した。
【0056】次いで、このようにビード8とダイ9との
間に挟まれた試験片10を、引抜き速度V=200mm/分で上
方に引き抜いた。潤滑油として、日本パーカライジング
(株)製「ノックスラスト530F」を使用し、この潤滑油
を、試験片10の表面に塗布した。次いで、試験片10を脱
脂し、測定対象面にテープを張りつけそしてこれを剥離
し、再度脱脂した後、試験片10の重量を測定し、試験前
後における試験片の重量差からパウダリング量を求め
た。このようにして求めた耐パウダリング性に基づき、
下記基準によって耐パウダリング性を評価した。 ○:パウダリング量が5g/m2未満であって、耐パウダリ
ング性が優れている。 △:パウダリング量が5g/m2以上、6g/m2未満であっ
て、耐パウダリング性がやや劣っている。 ×:パウダリング量が6g/m2以上であって、耐パウダリ
ング性が劣っている。
【0057】更に、実機に近いプレス成形試験を行いプ
レス不具合の発生状態を調べた。即ち、100mm ×1400mm
×0.75mmt のブランクを使用し、フロントフェンダーパ
ネルのプレス成形試験を行い、型かじりやプレス割れ等
のプレス不具合の発生状態を調べ、下記によって評価し
た。なお、実施した試験条件では、しわの発生はなかっ
た。 ○:プレス不具合が全く発生していない。 △:プレス不具合がやや発生している。 ×:プレス不具合が多く発生している。
【0058】塗装後鮮映性は、次のようにして評価し
た。日本パーカライジング(株)製の「PB-L3080」を使
用して、試験片に化成処理を施し、次いで、関西ペイン
ト(株)製の「El-2000 」、「TP-37 グレー」、「TM-1
3 (RC)」を使用して、それぞれED塗装、中塗り塗装、上
塗り塗装からなる3コート塗装を施した。このようにし
て塗装された試験片のNSIC値を、スガ試験機(株)製の
「写像鮮明度測定装置NSIC型」を使用して測定した。な
お、NSIC値は、黒板研磨ガラスを100 とし、その値が10
0 に近いほど良好な鮮映性を示すものとし、得られたNS
IC値に基づき、下記基準によって塗装後鮮映性を評価し
た。 ○:NSIC値が85.0以上であって、塗装後鮮映性が優れて
いる。 ×:NSIC値が85.0未満であって、塗装後鮮映性が劣って
いる。
【0059】表1から明らかなように、パワースペクト
ルの波長15〜100 μm 未満の積分値がこの発明の範囲を
外れて少ない比較用試験片No. 1および2においては、
摩擦係数F/N 値が0.160 以上であって、何れもプレス成
形性が劣っており、且つ、実機に近いプレス成形試験結
果も劣っていた。また、パワースペクトルの波長100〜2
000μm の積分値がこの発明の範囲を超えて多い比較用
試験片No.14 および15においては、NSIC値が85.0未満で
あって、塗装後鮮映性が劣っていた。
【0060】これに対し、パワースペクトルの波長 100
〜2000μm の積分値および波長15〜100 μm 未満の積分
値が何れもこの発明の範囲内である本発明試験片No. 3
〜13においては、何れも摩擦係数 F/N値が0.150 以下で
且つNSIC値が85.0以上であり、実機に近いプレス成形性
も良好であって、プレス成形性、塗装後鮮映性および耐
パウダリング性のすべてが優れていた。
【0061】なお、通常の合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の
摩擦係数F/N 値は 0.155〜0.175 であり、また、合金化
溶融亜鉛メッキ層の上に 80%Fe−Znメッキ層が形成され
た2層型合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の摩擦係数F/N 値は
0.135〜0.145 である。従って、この発明の合金化溶融
亜鉛メッキ鋼板は、2層型合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に
匹敵する優れたプレス成形性を有していることが明らか
である。
【0062】〔実施例2〕メッキ原板として、実施例1
と同じく板厚0.8mm の冷延鋼板を使用し、連続溶融亜鉛
メッキライン(CGL) によって、上記冷延鋼板に対し溶融
亜鉛メッキ処理および合金化処理を施し、冷延鋼板の表
面上に、鋼板片面当り60g/m2の量の合金化溶融亜鉛メッ
キ層が形成された合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を調製し
た。このとき、上記冷延鋼板に対する溶融亜鉛メッキ条
件および合金化処理条件を変えることによって、合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の断面曲線をフーリェ変換して得ら
れるパワースペクトルの波長15〜100 μm の積分値、お
よび、メッキ層の単位面積に対する多数の微細な凹部の
開口面積の合計即ち凹部の面積率を変化させ、そして、
メッキ層1mm2 当たりの微細な凹部の数を、結晶粒の大
きさを変えた鋼板を使用することによって変化させた。
【0063】次いで、上記合金化溶融亜鉛メッキ鋼板に
対し、種々のロールを使用し、調質圧延条件を変えて調
質圧延することにより、メッキ鋼板の断面曲線をフーリ
ェ変換して得られるパワースペクトルの波長 100〜2000
μm の積分値を変化させた。
【0064】このようにして、合金化溶融亜鉛メッキ層
の表面に、その断面曲線をフーリエ変換して得られるパ
ワースペクトルの波長の 100〜2000μm の積分値が 200
μm3以下で且つ上記波長の15〜100 μm 未満の積分値が
0.15μm3以上であり、しかも、この発明において好まし
い条件である、多数の微細な凹部のうちの、2μm 以
上、メッキ層の最大厚さ以上の深さを有する微細な凹部
の数が、メッキ層1mm2あたり200 〜8200個の範囲内で
且つ凹部の面積率が10〜70%である、本発明の範囲内の
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の各種試験片を調製した。
【0065】比較のために、この発明の好ましい範囲の
条件が外れた各種本発明試験片、および、パワースペク
トルの波長の15〜100 μm 未満の積分値がこの発明の範
囲を外れた各種の比較用試験片を調製した。
【0066】表2に、本発明試験片および比較用試験片
に関する、パワースペクトルの波長の 100〜2000μm お
よび15〜100 μm 未満の積分値、メッキ層1mm2 当たり
の凹部の数、および、凹部の面積率を示す。
【0067】
【表2】
【0068】上述した本発明試験片および比較用試験片
の各々について、前述した方法により、プレス成形性、
塗装後鮮映性、耐パウダリング性、および、メッキ層1
mm2当たりの凹部の数並びに凹部の面積率を調べ、その
結果を、表2に併せて示した。なお、凹部の数は、試験
片の表面を走査型電子顕微鏡により観察し、100 倍の拡
大写真における25mm2 中の凹部の数を測定し、1mm2
数に換算することによって算出した。
【0069】表2から明らかなように、パワースペクト
ルの波長15〜100 μm 未満の積分値がこの発明の範囲を
外れて少なく、且つ、メッキ層1mm2 当たりの凹部の数
が、この発明の好ましい範囲を外れて少ない比較用試験
片No.33, 34, 35 においては、プレス成形性、耐パウダ
リング性および実機に近いプレス成形試験結果が何れも
劣っていた。
【0070】メッキ層1mm2 当りの凹部の数が、この発
明の好ましい範囲を外れて少ない本発明試験片No.16 に
おいては、プレス成形性および耐パウダリング性がやや
劣っていたが塗装後鮮映性は優れていた。凹部の面積率
がこの発明の好ましい範囲を外れて少ない本発明試験片
No.18 および24においては、プレス成形性がやや劣って
いたが、塗装後鮮映性および耐パウダリング性は優れて
いた。
【0071】これに対し、パワースペクトルの波長 100
〜2000μm の積分値および波長15〜100 μm 未満の積分
値が何れもこの発明の範囲内であり、且つ、メッキ層1
mm2当りの凹部の数および凹部の面積率が、何れもこの
発明の好ましい範囲内である本発明試験片No.17, No.19
〜23, No.25 〜32においては、何れもプレス成形性、塗
装後鮮映性および耐パウダリング性のすべてが優れてい
た。
【0072】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
プレス成形性、塗装後鮮映性および耐パウダリング性に
優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得られる工業上有用
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メッキ層表面凹凸の波長と塗装後鮮映性との関
係を調べるために採取した21本本の断面曲線を描いた、
3次元表面断面曲線の一例を示す図である。
【図2】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のパワースペクトル
の一例を示す図である。
【図3】塗装後鮮映性を示すNSIC値と、各波長域のパワ
ーの相関係数を波長毎にプロットした結果を示す図であ
る。
【図4】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板のパワースペクトル
の波長100 〜2000μm の積分値と、塗装後鮮映性を示す
NSIC値との関係を示す図である。
【図5】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造過程における
パワースペクトルの変化の一例を示す図である。
【図6】図5に示した冷延鋼板aに対し、条件を変えて
メッキ処理および合金化処理を施した合金化溶融亜鉛メ
ッキ鋼板の製造過程におけるパワースペクトルの変化の
一例を示す図である。
【図7】図5に示した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板bの表
面組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図6に示した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板dの表
面組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図6に示した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板eの表
面組織を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】合金化溶融亜鉛メッキ鋼板cのパワースペク
トルと、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板eのパワースペクト
ルとを比較して示す図である。
【図11】パワースペクトルの波長15〜100 μm の積分
値と摩擦係数との関係を示す図である。
【図12】鋼板表面の摩擦係数を測定するための試験機
の概略正面図である。
【図13】メッキ層の耐パウダリング性を測定するため
のドロービード試験機の概略正面図である。
【図14】ドロービード試験機におけるビードおよびダ
イ部分の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
1 ビード、 2 試験片、 3 試料台、 4 ローラー、 5 ロードセル、 6 ロードセル、 7 レール、 8 ビード、 9 ダイ、 10 試験片、 11 ロードセル、 12 油圧装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも1つの表面上に、多数
    の微細な凹部を有する合金化溶融亜鉛メッキ層が形成さ
    れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板であって、 前記合金化溶融亜鉛メッキ層表面の断面曲線をフーリエ
    変換して得られるパワースペクトルの波長の 100〜2000
    μm の積分値が 200μm3以下であり、そして、前記パワ
    ースペクトルの波長の15〜100 μm 未満の積分値が0.15
    μm3以上となるように、前記多数の微細な凹部が形成さ
    れていることを特徴とする、プレス成形性、塗装後鮮映
    性および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛メッ
    キ鋼板。
  2. 【請求項2】 前記多数の微細な凹部のうちの、2μm
    以上、メッキ層の最大厚さ以下の深さを有する凹部の数
    は、前記メッキ層1mm2 当りの 200〜8200個の範囲内で
    あり、且つ、前記メッキ層の単位面積に対する、前記多
    数の微細な凹部の開口面積の合計は、10〜70%の範囲内
    である、請求項1記載のプレス成形性、塗装後鮮映性お
    よび耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼
    板。
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