JP4329481B2 - プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Description
また、さらなる防錆性の向上を目指し、自動車メーカーでは厚目付けの亜鉛系めっき鋼板に対する要望が強くなりつつあるが、前述した合金化溶融亜鉛めっき鋼板で厚目付け化を実施すると、合金化に長時間を要し、合金化不良いわゆる焼けムラが発生しやすく、逆にめっき層全体で合金化を完了させようとすると、過合金化となり、めっき−鋼板界面で脆いΓ相が生成し、加工時にめっき剥離が発生しやすくなるため、厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することは非常に困難である。
一方、Al系酸化物層を一部破壊し、新生面を露出させた後に、表面を酸化させる処理を行うと、この新生面上ではZn系酸化物及び/またはZn系水酸化物が形成され、またこの新生面上へのZn系酸化物及び/またはZn系水酸化物層は容易に付与できる。このようにして形成されためっき表面のZn系酸化物及び/またはZn系水酸化物は、摺動抵抗の低減効果を有することがわかった。
さらに、前記Zn系酸化物及び/またはZn系水酸化物に、Feを含有させることで、より大きな摺動抵抗低減効果が得られる。その理由は明らかではないが、Feを含む酸化物とすることで、Zn系酸化物及び/またはZn系水酸化物の密着性が向上し、摺動時でも摺動抵抗低減効果が持続し易いと考えられる。さらに、Zn系酸化物及び/またはZn系水酸化物にFeを含有させることは、酸化物の形成量やZn系酸化物及び/またはZn系水酸化物の形状(大きさ)の制御に対しても有効であることが明らかとなった。
このような溶融亜鉛めっき鋼板と金型との凝着を抑制するためには、表面に厚い酸化物層を形成することが有効である。すなわち、めっき鋼板表面に存在するAl系酸化物層の一部を破壊し、酸化処理を行うことによりZn系酸化物層を形成することがめっき鋼板の摺動特性の向上に対して重要である。
さらに、前記Zn系酸化物に、Feを含有させることで、より大きな摺動抵抗低減効果が得られる。Feの含有量としては、FeとZnの原子濃度からFe/(Fe+Zn)の式で算出されるFe原子比率を指標とした場合、1%以上50%以下である。より好ましくは、5%以上25%以下とすることである。Fe原子比率が50%を超えると酸化物が剥離しやすいうえ、本発明で得られるような微細凹凸を有する結晶形態を得ることが困難となり十分な特性を得ることができない。一方、1%未満では微細凹凸の形状制御効果が得られなくなる。なお、Zn系酸化物中のFeとZnの原子濃度の測定方法としては、FIB-μサンプリング法により作製した表面酸化物を含むめっき表面の断面試料に対し、透過電子顕微鏡(TEM)とエネルギー分散型X線分析器(EDS)を用いて測定したスペクトルから求める方法が最も適当である。他の手法(例えばAESやEPMA)では、分析領域の空間分解能を十分に小さくすることができず、表面の酸化物のみの分析を行うことが困難である。
さらに、めっき表面に形成させるZn系酸化物に微細な凹凸を付与することにより、さらなる摺動抵抗の低下を実現できる。ここで微細凹凸とは、凸部と凸部より囲まれる不連続な凹部からなるものであり、微細な凹部が分散していればよく、凹部の周囲の凸部は同じ高さである必要はなく、ある程度の高さ変動があってもかまわない。そして、好ましくは、微細凹凸は、粗さ曲線の平均粗さRa(以下、Raと称す)で1nm以上100 nm以下、局部山頂の平均間隔S(以下、Sと称す)で10nm以上1000 nm以下の表面粗さとなっていることである。微細凹凸の構成例としては、Zn系酸化物の表面が微細凹凸を有しているもの、あるいは、めっき表面上に、粒状、板状、リン片状などの形状を有するZn系酸化物が分布することで微細凹凸が形成されているものである。
なお、めっき表面におけるZn系酸化物の平均厚さは、Arイオンスパッタリングと組み合わせたオージェ電子分光(AES)により求めることができる。この方法においては、所定厚さまでスパッタした後、測定対象の各元素のスペクトル強度から相対感度因子補正により、その深さでの組成を求めることができる。このうち、酸化物に起因するOの含有率は、ある深さで最大値となった後(これが最表層の場合もある)、減少し、一定となる。Oの含有率が最大値より深い位置で、最大値と一定値との和の1/2となる深さを、酸化物の厚さとする。
Zn系酸化物を形成する手法としては、溶融亜鉛めっき鋼板をpH緩衝作用を有する酸性溶液に接触させ、その後、1〜30秒放置する酸化処理を行った後、水洗・乾燥する方法が有効である。なお、本発明のFeを含むZn系酸化物は、前記pH緩衝作用を有する酸性溶液にFeを添加することで形成することができ、例えば、硫酸第一鉄(7水和物)を5〜400g/l(Zn系酸化物中のFe比率を5〜25%とするためには、5〜200g/l)の範囲で添加することで製造が可能である。
なお、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板を製造するに関しては、めっき浴中にAlが添加されていることが必要であるが、Al以外の添加元素成分は特に限定されない。すなわち、Alの他に、Pb、Sb、Si、Sn、Mg、Mn、Ni、Ti、Li、Cuなどが含有または添加されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。また、酸化処理中に不純物が含まれることにより、P、S、N、B、Cl、Na、Mn、Ca、Mg、Ba、Sr、Siなどが酸化物層中に微量取り込まれても、本発明の効果が損なわれるものではない。
得られた結果を表1に示すとともに、以下に、特性評価方法、及び皮膜解析方法について記述する。
(1)プレス成形性(摺動特性)評価(摩擦係数測定)
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
図2は、摩擦係数測定装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定され、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテーブル支持台5が設けられ、これを押上げることにより、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重Nを測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル支持台5に取付けられている。上記押付力を作用させた状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるための摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、スライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。なお、潤滑油として、スギムラ化学社製のプレス用洗浄油プレトンR352Lを試料1の表面に塗布して試験を行った。
供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。
(2)酸化物中Fe比率の測定
酸化物中のFe比率は、FIB-μサンプリング法により作製した表面酸化物を含むめっき表面の断面試料に対し、透過電子顕微鏡(TEM; フィリップス社製 CM20FEG)とエネルギー分散型X線分析器(EDS; EDAX社製)を用いて行った。EDSにより酸化物のスペクトルを測定し、そのピーク強度からFe及びZnの原子濃度比を見積もり、酸化物中のFe比率として、Fe/(Fe+Zn)を算出した。
(3)Zn系酸化物の被覆率測定
Zn系酸化物の被覆率を測定するために、走査電子顕微鏡(LEO社LEO1530)を用い、加速電圧0.5 kVでインレンズタイプの二次電子検出器を用いて低倍率の二次電子像を観察した。この観察条件で、Zn系酸化物が形成された部分は暗いコントラストとして、このような酸化物が形成されていない部分と明瞭に区別することができる。得られた二次電子像を画像処理ソフトウエアにより二値化し、暗い部分の面積率を求めてZn系酸化物の形成された被覆率とした。
(4)Zn系酸化物の微細凹凸の形状及び粗さパラメータの測定
Zn系酸化物の微細凹凸が形成されていることは、走査電子顕微鏡(LEO社LEO1530)を用い、加速電圧0.5 kVで試料室内に設置されたEverhart-Thornly型の二次電子検出器を用いて高倍率の二次電子像を観察することにより確認した。
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第1ロードセル
8 第2ロードセル
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
Claims (2)
- めっき層が主としてη相からなる溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき表面に、凸部と凸部より囲まれる不連続な凹部からなる微細凹凸を有し、Fe原子比率(Fe/(Fe+Zn))が1%以上50%以下のFeを含むZn系酸化物及び/またはZn系水酸化物が存在することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記Zn系酸化物及び/または前記Zn系水酸化物が存在する部分は、前記めっき表面に占める割合が面積率で15%以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
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