JP2003138362A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
合金化溶融亜鉛めっき鋼板Info
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Abstract
融めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 めっき表面の平坦部に、厚さが1〜400nm
のFe、ZnおよびAlの酸化物層と、該酸化物層の上に、突
起部の最大高さが5〜300nmのFeおよびZnの酸化物および
/または水酸化物からなる突起物、若しくは前記突起物
を有する突起物層を備えることを特徴とする合金化溶融
亜鉛めっき鋼板である。前記で、断面でみて、突起物の
個数が、長さ10μmあたり20〜1000個であることを特徴
とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
Description
ける摺動性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する
ものである。
き鋼板と比較して塗装性及び溶接性に優れることから、
自動車や家電製品等に広く利用されている。
プレス成形を施されて目的の用途に供される。しかし、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス
成形性が劣るという欠点を有する。これは合金化溶融亜
鉛めっき鋼板とプレス金型との摺動抵抗が、冷延鋼板の
場合に比較して大きいことが原因である。即ち、ビード
と亜鉛系めっき鋼板との摺動抵抗が著しく大きい部分
で、合金化溶融亜鉛めっき鋼板がプレス金型に流入しに
くくなり、鋼板の破断が起こりやすい。
向上させる方法としては、一般に高粘度の潤滑油を塗布
する方法が広く用いられている。しかしこの方法では、
潤滑油の高粘性のために、塗装工程で脱脂不良による塗
装欠陥が発生したり、またプレス時の油切れにより、プ
レス性能が不安定になる等の問題がある。前記問題を解
決するには、潤滑油の塗布量を極力低減できることが必
要であり、そのためには、合金化溶融亜鉛めっき鋼板自
体のプレス成形性を改善することが必要となる。
めっきを施した後、加熱処理を行い、鋼板中のFeとめっ
き層中のZnが拡散する合金化反応が生じることにより、
Fe-Zn合金相を形成させたものである。このFe-Zn合金相
は、通常、Γ相、δ1相、ζ相からなる皮膜であり、Fe
濃度が低くなるに従い、すなわち、Γ相→δ1相→ζ相
の順で、硬度ならびに融点が低下する傾向がある。この
ため、摺動性の観点からは、高硬度で、融点が高く凝着
の起こりにくい高Fe濃度の皮膜が有効であり、プレス成
形性を重視する合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、皮膜中の
平均Fe濃度を高めに製造されている。
き−鋼板界面に硬くて脆いΓ相が形成されやすく加工時
に、界面から剥離する現象、いわゆるパウダリングが生
じ易い問題を有している。このため、特開平1-319661号
公報に示されているように、摺動性と耐パウダリング性
を両立するために、上層に第二層として硬質のFe系合金
を電気めっきなどの手法により付与する方法がとられて
いる。
が余計にかかるという問題も有している。この問題を解
決する方法として、特開昭53-60332号公報および特開平
2-190483号公報は、亜鉛系めっき鋼板の表面に電解処
理、浸漬処理、塗布酸化処理、または加熱処理を施すこ
とにより、ZnOを主体とする酸化膜を形成させて溶接
性、または加工性を向上させる技術を開示している。特
開平4-88196号公報は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、リ
ン酸ナトリウム5〜60g/lを含みpH2〜6の水溶液中にめっ
き鋼板を浸漬するか、電解処理、また、上記水溶液を散
布することによりP酸化物を主体とした酸化膜を形成し
て、プレス成形性及び化成処理性を向上させる技術を開
示している。特開平3-191093号公報は、亜鉛系めっき鋼
板の表面に電解処理、浸漬処理、塗布処理、塗布酸化処
理、または加熱処理により、Ni酸化物を生成させること
によりプレス成形性および化成処理性を向上させる技術
を開示している。特開平7-18402号公報は、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の表面に凹部を形成させることで、潤滑
油を鋼板表面に保持しやすくし、プレス成形性を向上さ
せる技術を開示している。
た先行技術を合金化溶融亜鉛めっき鋼板に適用した場
合、プレス成形性の改善効果を安定して得ることはでき
ない。発明者らは、この原因について詳細な検討を行っ
た。その結果、合金化溶融めっき鋼板はAl酸化物が不均
一に存在することにより表面の反応性が不均一であるこ
と、及びめっき表面の凹凸が大きいことが原因であるこ
とを見出した。即ち、上述した先行技術を合金化溶融め
っき鋼板に適用した場合、表面の反応性が不均一である
ため、電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理及び加熱処理
等を行っても所定の皮膜を表面に均一に形成することは
困難であり、反応性の低い部分(Al酸化物量が多い部
分)では膜厚が薄くなってしまう。また、表面の凹凸が
大きいため、プレス成型時にプレス金型と直接接触する
のは表面の凸部となるが、凸部のうち膜厚の薄い部分と
金型との接触部での摺動抵抗が大きくなり、プレス成形
性の改善効果が十分には得られない。
これだけでは十分なプレス成形性が得られないことがわ
かった。これは、凹部には潤滑油が溜まり易いが、逆
に、摺動性に与える影響が大きい凸部には潤滑油が溜ま
りにくいという問題があるためと考えられる。
なされたもので、プレス成形における摺動性に優れた合
金化溶融めっき鋼板を提供することを目的とする。
目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のめっき表面に形状の制御された微細な
突起物を形成することで、高度に安定して優れたプレス
成形性が得られることを知見した。
るには、めっき層と金型との凝着を防ぐのが有効であ
り、そのためには、めっき層の表面のすべり性を改善す
ることが有効である。この考えに基づき検討を進めた結
果、めっき表層に、酸化物層とその上に微細な突起物を
形成させた2層構造とすることで、摺動性を向上できる
ことを見出した。
き表面に平坦部を形成し、平坦部に酸化物と、その上に
微細な突起物を形成させた2層構造とすることで、摺動
性を格段に向上できることを見出すに至った。合金化溶
融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の上記平坦部は、周囲と
比較すると凸部として存在する。プレス成形時に実際に
プレス金型と接触するのは、平坦部が主体となるため、
この平坦部における摺動抵抗を小さくすることが、プレ
ス成形性を安定して改善することにつながるのである。
のである。 (1)めっき表面の平坦部に、厚さが1〜400nmのFe、Znお
よびAlの酸化物層と、該酸化物層の上に、突起部の最大
高さが5〜300nmのFeおよびZnの酸化物および/または水
酸化物からなる突起物、若しくは前記突起物を有する突
起物層を備えることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき
鋼板。
μmあたり20〜1000個であることを特徴とする前記(1)に
記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
する。合金化溶融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性を向上
させるためには、めっき表面のプレス成形時に金型が直
接接触する部分のすべり性向上が必要であり、そのため
には該部分に金型との凝着を防止する硬質かつ高融点の
物質が存在することが重要である(後記する表面に平坦
部を有するめっき皮膜では、平坦部がめっき表面のプレ
ス成形時に金型が直接接触する部分になる)。係る観点
から、めっき表面のプレス成形時に金型が直接接触する
部分を、硬質かつ高融点の酸化物および/または水酸化
物で構成することが有利である。プレス成形時に金型が
接触しない凹んだ部分(後記するめっき表面に平坦部を
有するめっき皮膜では、平坦部以外の部分)の構造は、
プレス成形性に及ぼす悪影響はほとんどない。
層に微細な突起物を形成することが有効であることがわ
かった。これは、微細な突起物の突起部分が金型と接す
ることによってめっきと金型の凝着を防ぐこと、さらに
めっき表面と金型の間に潤滑油が溜まることによってめ
っき鋼板が滑り易くなるため、プレス成型時の摺動性を
格段に向上できるものと考えられる。めっき表層に微細
な突起物を形成する利点は次の二点であると考えられ
る。1)めっきと金型との圧力を効果的に分散できるこ
と。2)突起部分が存在することによって、摺動時にめっ
き表面の平坦部と金型の間の潤滑油を効果的に保持する
ことが可能になること。
時の鋼板−めっき界面の反応性の差により、めっき表面
に凹凸が存在している。このような表面に対して凸部の
頂部に平坦部を形成し、該平坦部の表面に前記の微細な
突起物を形成させることにより、摺動性が格段に向上す
ることがわかった。具体的にはまず、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板に調質圧延を施す。調質圧延を施すことによっ
て、めっき表面の凹凸を緩和し、表面を平滑にすると同
時にめっき表面の凸部の頂部を平坦にする。このように
して形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面の平坦部
は、プレス成形時に金型が直接接触する部分であるた
め、平坦部に微細な突起物を形成することによって、平
坦部のすべり性を向上させることができる。
安定に存在する必要がある。そのためには平坦部にめっ
きと密着性のよい酸化物層の連続層を下層として形成
し、その上部に下層と密着性のよい微細な突起部のある
酸化物および/または水酸化物からなる突起物を形成さ
せる必要がある。すなわち、前記のように、制御して作
製した平坦部に、めっきとの密着性の良い下層を形成
し、その上に微細な突起物を制御して形成させる2層構
造にすることにより摺動性が格段に向上する。
nmで、その上に形成される突起物の突起部の最大高さが
5〜300nmであれば良好な摺動性を得ることができる。下
層の厚さが1nm未満になると密着性が劣り、400nm超にな
るとプレス成型時に下層が割れて剥離しめっき表面にキ
ズが付きやすくなる。突起部の最大高さが5nm未満では
潤滑油保持効果が不十分になり、摺動性が劣り、300nm
超になると突起物自身が剥離しめっき表面にキズが付き
やすくなる。
起物の突起部の最大高さの和(以下、2層の合計の高
さ)は500nm以下であることが望ましい。これは、2層の
合計高さが500nmより大きくなると、突起物自身が剥離
しめっき表面にキズが付きやすくなることによる。
ことでその効果を発揮する。具体的には、断面でみて、
長さ10μmあたり20〜1000個の突起物が存在すると、良
好な摺動性を示す合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られ
る。突起物の数が長さ10μmあたり20個未満になると、
前記した圧力分散効果および潤滑油保持効果が低下し、
摩擦抵抗が上昇するため好ましくない。また突起物の数
が、長さ10μmあたり1000個を超えると、突起構造の接
触抵抗が増加し、摩擦抵抗が上昇するため好ましくな
い。
度)であればよく、その分布状態は限定されない。突起
物同士は、その基部が互いに離れ、分散していてもよい
し、その基部が部分的につながっていてもよいし、基部
が完全につながり連続した層となっていてもよい。本明
細書では、後者を突起物層と称している。また、突起部
の高さにばらつきがあってもよい。
積率は高ければ高いほどその効果が大きく、面積率で平
坦部の50%以上とするのがより望ましい。
としてZn、FeおよびAlの酸化物からなる酸化物層を形成
し、その上に、ZnおよびFeの酸化物および/または水酸
化物からなる突起物、若しくは前記突起物を有する突起
物層を形成させることに工業上の利点がある。その理由
は、他の金属や金属化合物を形成させるためには、新た
な工程を追加する必要があるが、上記酸化物および/ま
たは水酸化物であれば、めっき皮膜中に含まれる金属成
分を利用できるため、前記2層構造を比較的簡便な処理
により平坦部表面に形成できるからである。さらに、新
たな工程を追加する必要が少ないため、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板本来の特性を劣化させる心配が少なく、新た
な元素を追加する必要がないため添加元素による影響の
心配もない。また、下層のZn、FeおよびAlの酸化物から
なる酸化物層は、めっき皮膜との密着性に優れ、その上
に形成された突起物または突起物層との密着性に優れる
ので、良好な摺動性を得る上でも好適である。
る前記酸化物層、およびその上に形成されている突起物
を構成する化学成分、その構造および突起物の密度、突
起部の最大高さは、集束イオンビーム装置(FIB)によ
りめっき表面の平坦部表層の断面試料を作製し、透過電
子顕微鏡(TEM)を用いた組織観察およびエネルギー分
散型X線分光分析法による組成分析によって評価でき
る。
(酸素)を含む層、突起物層は、Alを含まず、Feおよび
ZnとO(酸素)および/又はH(水素)を含む層として特
定される。下層の酸化物層の厚さは、TEMによる断面観
察でめっき表面からの厚さの平均で求められる。突起物
の突起部の最大高さはTEMによる断面観察で、観察領域
における下層表面からの最大高さ(最も高い頂上の高
さ)で定義する。突起物の個数は、観察領域における突
起部の最大高さ(最も高い頂上の高さ)と突起部に挟ま
れた凹部(谷部)の最低部分の高さの和の1/2を超える
連続した領域(突起物が不連続な場合は観察領域におけ
る突起部の最大高さの1/2の値を超える連続した領域)
を1つの突起物とみなして、前記突起物の10μm当たりの
数から求められる。
溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の平坦部に形成された
酸化物層と、その上に形成された微細な突起物のある2
層構造組織を説明するの断面組織の模式図である。図1
において、Aはめっき皮膜(平坦部)、Bは酸化物層、C
は突起物である。めっき皮膜A上に形成された酸化物層B
はほぼ平坦な連続層であり、該酸化物層B上に突起部を
有する突起物Cが形成されている。酸化物層BはZn、Feお
よびAlの酸化物から構成され、その上に形成された突起
物はZnおよびFeの酸化物および/または水酸化物から構
成されている。
分的に不連続なものもあるが、本発明においては、隣り
合う突起物同士はその基部で互いに連続していてもよ
い。
て、めっき表面に平坦部を形成させる場合、平坦部の面
積率は、20%以上80%以下とするのが望ましい。平坦部
の面積率が20%未満では、実際に金型に接触する面積の
うち、平坦部を除く部分(凹部)と金型との接触面積が
大きくなり、突起物による摺動性改善効果を発揮できる
平坦部と金型との接触面積が小さくなるため、プレス成
形性の改善効果が小さくなる。平坦部を除く部分は、プ
レス成型時に潤滑油を保持する役割を持つ。平坦部を除
く部分の面積率が20%未満になる(平坦部の面積率が80
%を超える)とプレス成形時に油切れを起こしやすくな
り、プレス成形性の改善効果が小さくなる。このなかで
も、平坦部の面積率は30%以上、70%以下の範囲がより
望ましい。
あるいは走査型電子顕微鏡等で表面を観察することで容
易に識別可能である。めっき表面における平坦部の面積
率は、上記顕微鏡写真を画像解析することにより求める
ことができる。
板のめっき皮膜の表面層を除く合金相については特に規
定しない。しかし、Γ相、Γ1相がめっき/下地界面に厚
く生成すると、プレス加工時にめっき皮膜が剥離するパ
ウダリングが生じやすくなるため、これらを厚く生成さ
せない方が有利である。
製造するには、亜鉛めっき浴でめっきし、合金化処理を
行い、更に調質圧延を行う。亜鉛めっき浴中にAlが添加
されていることが必要であるが、Al以外の添加元素成分
は特に限定されない。すなわち、Alの他にFe、Pb、Sb、
Si、Sn、Mn、Ni、Ti、Li、CuあるいはPなどが含有また
は添加されていても、本発明の効果が損なわれるもので
はない。次いで調質圧延でめっき層の凸部の頂部を平坦
にしてめっき表面に平坦部を形成する。その際、圧延条
件を調整し、平坦部の面積率を前記で説明した範囲にす
る。
Fe、ZnおよびAlの酸化物からなる下層の酸化物層と、そ
の上にZnおよびFeの酸化物および/または水酸化物から
なる突起物、若しくは前記突起部がその基部で互いに連
続している突起物層を形成する。前記下層の酸化物層
と、その上に形成された前記突起物または突起物層から
なる2層構造組織の形成方法としては、例えば、調質圧
延を行って凸部の頂部を平坦にして平坦部を形成した合
金化溶融亜鉛めっき鋼板を、アルカリ性溶液に浸漬して
表面の活性化処理を施した後、硫酸第一鉄、硫酸亜鉛お
よび酢酸ナトリウムを添加した酸性水溶液に浸漬し、該
酸性水溶液から引き出した後所定時間放置し、その後水
洗、乾燥して形成する方法を例示できる。前記方法にお
いて、酸性水溶液から引き出した後所定時間放置するこ
とが不可欠である。酸性水溶液から引き出した後直ちに
水洗すると、本発明で規定する前記2層構造組織を形成
することができない。所定時間放置することによって、
本発明で規定する2層構造組織が形成される理由は現時
点では明らかになっていない。
と、その上に突起物または突起物層が形成されるなら、
その形成方法は、前記方法に限定されない。また、下層
の酸化物層、その上に形成された突起物または突起物層
には、めっき皮膜に含有または添加されているZn、Fe、
Al以外の成分や前記下層の酸化物層、その上に形成され
た突起物または突起物層を形成する処理液などに含まれ
るZn、Fe、Al以外の成分が不可避的に取り込まれていて
もよい。このような場合でも、本発明のプレス成形性改
善効果が損なわれることはない。
する。板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化溶融亜
鉛めっき法により、鉄−亜鉛合金めっき皮膜を形成し、
更に調質圧延を行った。この際、調質圧延の圧下荷重を
変化させることで、表面における平坦部の面積率を変化
させた。次に、pH:12.5の水酸化ナトリウム水溶液中に
浸漬し、合金化処理時の加熱により生成した酸化物層を
除去した(以下、アルカリ処理)。表層におけるAlの量
をこの処理時間により調整した。引き続き、以下に記載
する条件で酸化処理を施して酸化皮膜を形成させた。 (酸化処理方法)合金化溶融めっき鋼板を、硫酸第一
鉄:400g/l、硫酸亜鉛:15g/lおよび酢酸ナトリウム:3
0g/lを含む酸性水溶液(pH:1.5、温度:50℃)中に短時
間浸漬し、絞りロールで前記水溶液付着量を調整し、所
定時間放置した後、水洗・乾燥させた。その際、供試材
5〜11については放置時間を4〜20秒の範囲で変化させ
て、供試材4については放置時間を0.4秒として、平坦部
に形成される酸化皮膜の構造を調整した。
リ処理、酸化物形成処理のうちの少なくとも一つ以上の
処理を施さなかった。
平坦部に形成された層の層構造(断面構造)、表面構
造、層の構成元素、層の厚さ(突起部がある場合、突起
部の高さ)および突起物密度を測定し、さらにプレス成
形性試験を行った。層の厚さ、密度および構成元素の測
定、およびプレス成形性試験は以下のようにして行っ
た。
験材の断面試料を作製し、透過電子顕微鏡(TEM)で観
察調査した。下層の厚さはめっき表面からの高さの平均
値、突起部の高さは下層の酸化物層からの最大高さ(試
験材No.2はめっき皮膜表面からの最大高さ)で求めた。
また、各層の構成元素はエネルギー分散型X線エネルギ
ー分光分析による組成分析で決定し、観察視野中に存在
する突起物の数から線密度を求めた。このとき、試料は
観察可能な厚さまで薄膜化されておりその厚さは20〜20
0nmの間で観察を行った。
試験」 プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数
を、以下のようにして測定した。図2は、摩擦係数測定
装置を示す概略正面図である。同図に示すように、供試
材から採取した摩擦係数測定用試料1が試料台2に固定さ
れ、試料台2は、水平移動可能なスライドテーブル3の上
面に固定されている。スライドテーブル3の下面には、
これに接したローラ4を有する上下動可能なスライドテ
ーブル支持台5が設けられ、これを押上げることによ
り、ビード6による摩擦係数測定用試料1への押付荷重N
を測定するための第1ロードセル7が、スライドテーブル
支持台5に取付けられている。上記押付力を作用させた
状態でスライドテーブル3を水平方向へ移動させるため
の摺動抵抗力Fを測定するための第2ロードセル8が、ス
ライドテーブル3の一方の端部に取付けられている。な
お、潤滑油として、日本パーカライジング社製ノックス
ラスト550HNを試料1の表面に塗布して試験を行った。
寸法を示す概略斜視図である。ビード6の下面が試料1の
表面に押しつけられた状態で摺動する。図3に示すビー
ド6の形状は、幅10mm、試料の摺動方向長さ12mm、摺動
方向両端の下部は曲率4.5mmRの曲面で構成され、試料が
押付けられるビード下面は幅10mm、摺動方向長さ3mmの
平面を有する。図4に示すビード6の形状は、幅10mm、試
料の摺動方向長さ69mm、摺動方向両端の下部は曲率4.5m
mRの曲面で構成され、試料が押付けられるビード下面は
幅10mm、摺動方向長さ60mmの平面を有する。
行った。 [条件1]図3に示すビードを用い、押付荷重N:400kg
f、試料の引き抜き速度(スライドテーブル3の水平移動
速度):100cm/minとした。この時、評価は、摩擦係数に
より行ない、0.15未満を合格とした。供試材とビードと
の間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで算出した。 [条件2]図4に示すビードを用い、 押付荷重N:400kg
f、試料の引き抜き速度:20cm/minとした。この時、評価
は、摩擦係数により行い、0.21未満を合格とした。 供試材とビードとの間の摩擦係数μは、式:μ=F/Nで
算出し、以下のように評価した。 [条件1] ○:摩擦係数が0.150未満 ×:摩擦係数が0.150以上 [条件2] ○:摩擦係数が0.210未満 ×:摩擦係数が0.210以上 試験結果を表1に示す。
れておらず、また調質圧延が施されていないため平坦部
がないため、摩擦係数が高い。 (2)供試材2は、平坦部がないため、酸化物層の剥離が起
こり摩擦係数が高い。 (3)供試材3は、平坦部に平坦な酸化物層だけの1層構造
が形成されているため、凹凸による潤滑油の保持が低く
摩擦係数が高い。 (4)供試材4は、本発明範囲を外れる2層構造組織が形成
されているため、凹凸による潤滑油の保持が低く摩擦係
数が高い。
構造組織を有しており、供試材1〜4に比べて摩擦係数が
低く、摺動性が大幅に改善されている。なお、めっき皮
膜の密着性(耐パウダリング性)もドロビード試験によ
り調査したが、供試材5〜11は、いずれも耐パウダリン
グ性は良好であり、摺動性の向上によりパウダリング性
が低下することはなかった。
レス成形時の摺動抵抗が小さく、また耐パウダリング性
も優れているので、安定して優れたプレス成形性が得ら
れる。
き鋼板のめっき表面の平坦部に形成された酸化物層と、
その上に形成された微細な突起物のある2層構造組織を
説明するの断面組織の模式図である。
る。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 めっき表面の平坦部に、厚さが1〜400nm
のFe、ZnおよびAlの酸化物層と、該酸化物層の上に、突
起部の最大高さが5〜300nmのFeおよびZnの酸化物および
/または水酸化物からなる突起物、若しくは前記突起物
を有する突起物層を備えることを特徴とする合金化溶融
亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 断面でみて、突起物の個数が、長さ10μm
あたり20〜1000個であることを特徴とする請求項1に記
載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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