JP5045231B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents
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Description
。そのような用途での合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、プレス成形を施されて使用に供される。しかし、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣るという欠点を有する。これはプレス金型での合金化溶融亜鉛めっき鋼板の摺動抵抗が冷延鋼板に比べて大きいことが原因である。すなわち、金型とビードでの摺動抵抗が大きい部分で合金化溶融亜鉛めっき鋼板がプレス金型に流入しにくくなり、鋼板の破断が起こりやすい。
特許文献6の方法により製造される合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面には、Znを主体とする酸化物層が形成されており、このZnを主体とする酸化物層がプレス時に金型との凝着を抑制し摺動抵抗を低減している。このZnを主体とする酸化物(以下、Zn系酸化物と称することもある)は、主に、調質圧延等により形成される平坦部に形成される。実際のプレス成形において、金型と優先的に接触する面はこの平坦部であり、接触面圧が低い場合には、平坦部表面のZn系酸化物が、金型とめっき層表面の直接接触を抑制することでプレス成形性の向上効果が得られる。しかし、めっきの下地鋼板として高強度鋼を使用する場合は、軟質鋼よりも成形荷重が高く型かじりや割れを生じやすく、このような場合には、特許文献6に記載されるZn系酸化物層では効果が不十分であることがわかった。
本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]Fe-Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、該Fe-Zn合金めっき相の表面には平坦部を有し、さらに、該平坦部表面には、ZrをZr/Znの原子比で0.01〜0.4含み、Znを必須成分とする酸化物が、平均厚さ10nm以上200nm以下で形成されていることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
さらに、本発明では、平坦部表面に含有するZr量は、Zr/Znの原子比で0.01〜0.4とする。Zr/Znの原子比が0.01より小さいとZrを含有させた効果が不十分である。Zr/Znの原子比が0.4を越えた場合、効果はあるものの、製造することが困難になり工業的に不利である。
そして、このような酸化物層の平均厚さは平坦部において、10 nm以上200nm以下とする。酸化物層の平均厚さが10nm未満になるとZrを含有させても摺動抵抗を低下させる効果が不十分となる。一方、酸化物層の平均厚さが200nmを越えると、プレス加工中に皮膜が破壊し摺動抵抗が上昇し、また溶接性が低下する傾向にある。本発明では、平坦部における酸化物層の厚さと組成を規定しているが、同様の酸化物層が平坦部以外の領域に存在していても問題ない。摺動性の点からは酸化物層が平坦部以外の領域に存在することで、摺動性が向上する傾向にあり、好ましい。その理由は、接触面圧が高い場合、平坦部に加え、平坦部以外の領域も金型と直接接触するようになると考えられる。
以上より、本発明では、ZrをZr/Znの原子比で0.01〜0.4含み、Znを必須成分とする酸化物を、平均厚さ10nm以上200nm以下で、平坦部表面に形成するものとする。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を酸性溶液に接触させる方法には特に制限はないが、例えば、めっき鋼板を酸性溶液に浸漬する方法、めっき鋼板に酸性溶液をスプレーする方法、塗布ロールを介して酸性溶液をめっき鋼板に塗布する方法等があり、最終的に薄い液膜状で鋼板表面に存在することが望ましい。これは、鋼板表面に存在する酸性溶液の量が多いと、亜鉛の溶解が生じても溶液のpHが上昇せず、次々と亜鉛の溶解が生じるのみであり、酸化物層を形成するまでに長時間を有するだけでなく、めっき層の損傷も激しく、本来の防錆鋼板としての役割も失うことが考えられるためである。この観点から、鋼板表面に形成する溶液膜量は、10g/m2以下に調製することが好ましく有効である。なお、溶液膜量の調整は、絞りロール、エアワイピング等で行うことができる。
また、これらの製品を製造するにあたっては、溶融金属と素地鋼板との界面に硬くて脆い合金層が成長するのを抑制しめっき密着性を向上させるために、主成分(ZnやAl等)である溶融金属中に主成分以外の成分(例えば主成分Znに対するAl等)が少量添加されることが多い。
また本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板への添加元素成分は特に限定されるものではなく、通常添加されるAl以外にも、例えば、Fe、Pb、Sb、Si、Sn、Mg、Mn、Ni、Ti、Li、Cuなどが含有または添加されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。
板厚0.8mmの冷延鋼板上に、常法の合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成し、更に調質圧延を行い、めっき相表面に平坦部を形成した。引き続き、酸化物形成処理として、酢酸ナトリウム40g/lの酸性水溶液に表1に示す濃度にてZrを添加した酸性溶液に3秒浸漬した。なお、温度は表1に示す通り、適宜変えて行った。その後、ロール絞りを行い、液量を調整した後、1〜30秒間大気中、室温にて放置し、十分水洗を行った後、乾燥を実施した。比較材として、Zrを添加しないで上記と同様の処理を行った材料を作製した。なお、Zrイオン源としてZr(SO4)2・4H2Oを用いた。
オージェ電子分光(AES)によりめっき表層の平坦部について、Arイオンスパッタリングを用いて、構成元素の深さ方向分析を行い、深さ方向の各元素の組成分布を測定した。その組成分布において、O濃度が、最大値より深い位置で、最大値と一定値との和の1/2となる深さを酸化物層の厚さとした。そして、平坦部の2箇所について酸化物層の厚さを測定し、平均値を酸化物層の厚さとした。
平坦部における酸化物層中のZr含有量の評価は、レプリカ法を用いた。酸化物層が存在する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、アセチルセルロースフィルムを、アセトンを介して試料表面に30秒間圧着し、剥離した。剥離面にカーボンを蒸着したのちアセチルセルロースを溶解して透過電子顕微鏡(TEM)用の試料とした。TEM(フィリップス社製 CM30)を用い加速電圧200kVで、平坦部の酸化物層から採取した酸化物層の薄片について、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いてスタンダードレス定量(薄膜近似法)を行い、得られた結果からZrとZnの原子比を計算した。測定は、1試料あたり5ヶ所以上について実施し平均した。
酸化物層が存在する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、アセチルセルロースフィルムを、アセトンを介して試料表面に30秒間圧着し、剥離する試験を行った。SEM(LEO1530)を用い、加速電圧0.5kVで上記試料表面を走査し、画像をデジタルデータで取り込んだ。画像の取り込みは、剥離試験前後で同一視野について同一条件にて行った。ここでは、表面酸化物の分布を可視化できる条件でSEM画像の取り込みを実施した(酸化物層が存在する領域が暗いコントラストで示される(特開2005-121467号参照)。それぞれの画像データから、平坦部の明るさの平均を数値化した。それぞれの画像データを酸化物が存在する領域としない領域(自然酸化膜厚程度は存在すると考えられる)を明るさで二値化した。その後、酸化物が存在する面積を求め、剥離試験前後のその面積の減少率を密着性の指標とした。すなわち、剥離試験により剥離された皮膜面積率が求まり値が小さいほど密着性が高くなる。ここでSEMの観察倍率は2000倍で、1試料あたり異なる5視野を測定して平均を求めた。なお明るさの数値化は、市販のソフトウエアPhotoshop(Adobe製)を用いて256階調で数値化した。
プレス成形性を評価するために、各供試材の摩擦係数を以下のようにして測定した。
No.1、2は、酸性溶液での処理を行っているものの酸化物層がZrを含有していない比較例である。酸性溶液処理を行わない比較例の摩擦係数に比べると、めっき相表面の平坦部にはZnを主体とする酸化物層が形成されているため、低くなっているが、本発明例に比べると高い。また、酸化物層の密着性試験では平均して面積率50%強で剥離が生じている。
No.3〜12は、Zrを含む酸化物層を平坦部に付与した本発明例である。面積減少率は20%弱と比較例より低く、密着性は良好である。
また、本発明例の摩擦係数は比較例よりも低くなっている。特に、面圧の高い条件2において摩擦係数が低位で安定している。
酸化物層の密着性は、Zrの含有量が高いほど良好であることがわかる。摩擦係数は酸化物層厚に関連しており、層が厚いほど摩擦係数は小さくなる傾向がある。そして、酸化物層厚が同程度でZrを含む本発明例とZrを含まない比較例で比べると、本発明例の方が明らかに、密着性が高く、摩擦係数が低い。この特性発現は、酸化物層にZrを含むことによる効果である。
No.13の比較例3は、酸化処理を行っていないものである。摩擦係数は条件1、2とも本発明例よりも高い。
2 試料台
3 スライドテーブル
4 ローラ
5 スライドテーブル支持台
6 ビード
7 第一ロードセル
8 第二ロードセル
N 押付荷重
F 摺動抵抗力
Claims (1)
- Fe-Zn合金めっき相を少なくとも鋼板の片面に有し、かつ、該Fe-Zn合金めっき相の表面には平坦部を有し、さらに、該平坦部表面には、ZrをZr/Znの原子比で0.01〜0.4含み、Znを必須成分とする酸化物が、平均厚さ10nm以上200nm以下で形成されていることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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