JP3979275B2 - プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に係わり、特に自動車用防錆表面処理鋼板として用いられ、プレス加工時に摺動性が良い溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、自動車用鋼板としては、加工性に優れた冷延鋼板、あるいは防錆性に優れ、めっき後加熱してめっき層をFe−Zn合金とし、摺動性や化成処理性、電着塗装性を良好とした合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GA鋼板と略す)が主に用いられている。
【0003】
ところが、合金化せずに単に99質量%以上が亜鉛のめっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板は、その亜鉛めっき層が軟質であるため、プレス成形時に型かじりを起し易く、自動車用鋼板としての利用はあまりなされていなかった。しかしながら、近年、経済性の観点より、安価でかつ防錆性に富む、めっき層の合金化が施されない溶融亜鉛めっき鋼板(以下GI鋼板と略す)を自動車用鋼板として用いることが検討されるようになり、GI鋼板の外観やプレス成形性といった性能を以前より向上させる必要が生じている。
【0004】
今まで自動車用鋼板として多用されてきたGA鋼板については、その表面粗度及び形状を調整して摺動性を改善し、プレス成形性を向上させる方法が多々開示されている。
【0005】
例えば、溶融亜鉛−鉄合金めっき鋼板を1回目の(以下、第1という)調質圧延により、めっき鋼板の表面うねり(表面が波状になっており、そのうねり程度を表した数値、JIS B 0610 参照)Wca:0.7〜0.5μm、表面度粗Ra:0.5〜1.0μmとし、次いで2回目の(以下、第2という)調質圧延により、Wca:0.5μm未満、表面粗度Ra:0.5〜1.0μmに保持することで、プレス成形性と鮮映性とを向上する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を表面粗度(Ra)が0.01〜0.5μmのロールを使用して、0.3〜1.0%の伸び率により第1のスキンパス(調質)圧延を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面うねり(Wca)を0.5μm以下とし、次いで、表面粗度(Ra)が1.0〜1.5μmのロールを使用して、0.3〜1.0%の伸び率により第2のスキンパス圧延を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面粗度(Ra)を0.6〜1.0μm、表面うねり(Wca)を0.5μm以下とし、塗装鮮映性とプレス潤滑性とを兼ね備えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが開示されている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−15901号公報(2頁)
【特許文献2】
特開平7−124604号公報(2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、GI鋼板のめっき層はGA鋼板のそれに比較して軟質であり、前記したGA鋼板について提案されている従来の技術は、GI鋼板に対しては適用できない。本発明は、かかる事情に鑑み、摺動性を従来より良好にして、且つプレス成形性をも改善した溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、GI鋼板の摺動性を確保するには、表面に、プレス加工時に潤滑油が溜まる凹部を形成させて、適度な表面粗さを付与する必要があるが、表面の凸部が鋭角であると、金型との摩擦抵抗が大きくなって摺動性が確保できないことを知った。そして、GI鋼板の表面粗さが適度であり、且つ凸部の頂が平坦となるような調質圧延方法について検討し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、表面粗さRa:1.0〜3.5μmのロールを使用して、伸び率0.7%以上の第1調質圧延を施し、その後に表面粗さRa:0.9μm以下のロールを使用して、伸び率0.2〜0.4%の第2調質圧延を施すことを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0010】
なお、本発明でいう表面粗さRaは、JIS B 0601に準拠してカットオフ値を0.08mm、評価長さを25mmとした算術平均粗さである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、まず第1調質圧延を表面粗さRa:1.0〜3.5μmのロールを使用して、伸び率0.7%以上で行う。これは、溶融亜鉛めっき鋼板の表面を、最終的に適度な表面粗さ(Ra:0.5〜1.5μm)とするために、表面に凹凸を付与する目的で実施する。第1調質圧延に使用するロールの表面粗さRaが1.0μm未満であったり、伸び率が0.7%未満であると、鋼板表面に形成する凹凸が小さく、プレス加工時に油溜まりとなる凹部が十分に形成しない。また、第1調質圧延に使用するロールの表面粗さRaが3.5μm超であると、後述する第2調質圧延を行っても、低面圧でプレス加工を施す時に、摺動性が悪化する。
【0012】
そして、本発明では、上記の第1調質圧延を施した後に、第2調質圧延を行う。その第2調質圧延では、表面粗さRa:0.9μm以下のロールを用い、伸び率を0.2〜0.4%とする。この第2調質圧延は、第1調質圧延にて鋼板表面に形成させた凹凸の凸部の頂を潰して平坦とする目的で行う。その際、ロールの表面がある程度平滑でないと、鋼板表面の凸部の頂を平滑化することができない。そのため、第2調質圧延で用いるロールの表面粗さRaは、0.9μm以下である必要がある。また、第2調質圧延時の伸び率が0.2%未満であると、鋭角な凸部の頂の平滑化が十分でなくなる。さらに、第2調質圧延時の伸び率が0.4%超であると、最終的に適正の表面粗さを鋼板に対して付与できなくなり、結果としてプレス加工時に潤滑油が溜まるための凹部の深さが浅くなり、特に高面圧下における金型と鋼板との摩擦係数が大きくなり、プレス加工性が劣化する。
【0013】
図1は、第2調質圧延時におけるGI鋼板の伸び率が該GI鋼板と金型との摩擦係数に及ぼす影響を調査した結果である。これは、2スタンドからなる調質圧延機を用い、前段スタンドでは表面粗さRa:1.5μmのロールを用いて伸び率0.8%で第1調質圧延を行い、後段スタンドでは、表面粗さRa:0.9μmのロールを用いて第2調質圧延を行って得られたGI鋼板に関する調査結果である。また、この調査には、以下に示す低面圧試験及び高面圧試験が採用されている。
【0014】
低面圧試験:
鋼板の剪断時に発生するバリを除いた後、日本パーカライジング(株)製の防錆油(ノックスラスト550KH)を鋼板表面に1.5g/m2塗油し、平板摺動金型を用いて、面圧9.8MPa、摺動距離100mmの条件で摺動試験を行い、引き抜き荷重から摩擦係数を計算した。なお、金型面は、#1000のペーパーで研磨した。
【0015】
高面圧試験:
日本パーカライジング(株)製の防錆油(ノックスラスト550KH)を鋼板表面に1.5g/m2塗油し、ボタン型摺動金型を用い、荷重1.96kN、摺動部形状を2.5mmφの円形とし、摺動距離50mmとして摺動試験を行い、摩擦係数を求めた。なお、金型面は、低面圧試験と同様に、#1000のペーパーで研磨した。
【0016】
図1より、低面圧、高面圧ともに後段スタンドの伸び率が0.2〜0.4%の範囲で摩擦係数が低いことがわかる。また、図2には、後段スタンドの伸び率を0(後段スタンド圧延無)として圧延した場合に得られたGI鋼板の表面性状を測定した結果(図2(a))と、後段スタンドの伸び率を0.3%として圧延した場合に得られたGI鋼板の表面形状を測定した結果(図2(b))とを示す。図2より、後段スタンドで軽圧下の圧延を施すと、平坦な山頂部の面積が増加していることが明らかである。このことから、後段スタンドで伸び率0.2〜0.4%の軽圧下圧延を施すことにより摺動試験時の摩擦抵抗が減少したのは、鋼板と金型との摩擦係数の増大原因となる鋭角な凸部が減少したためと考えられる。
【0017】
【実施例】
常法に従って溶融亜鉛めっきを施した鋼板に、前後段2スタンドからなる調質圧延機を用いて調質圧延を施すにあたり、表1に示すように、各スタンドの伸び率を変化させて、表面性状の異なる種々のGI鋼板を得た。
【0018】
【表1】
【0019】
得られたGI鋼板について、上述の低面圧試験および高面圧試験を実施して、摩擦係数を求めた。その結果を表1に合わせて示す。なお、前段スタンドの圧延が第1調質圧延に当り、後段スタンドの圧延が第2調質圧延に当る。また、下線は、本発明の要件を外れる数値であることを表している。
【0020】
表1より、本発明の製造方法にしたがって製造された発明例では、いずれも摩擦係数が小さいことが明らかである。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、プレス成形時の金型との接触時に、潤滑油を適正に保持でき、且つ金型と接触する表面が平坦なGI鋼板が製造できるようになる。つまり、プレス加工性の良好なGI鋼板が安定して製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】後段スタンドにおける調質圧延(第2調質圧延)での鋼板の伸び率が、該鋼板の摺動性に及ぼす影響を示す図である。
【図2】調質圧延後のGI鋼板の表面状態を示す図であり、(a)は後段調質圧延(第2調質圧延)を施さない場合、(b)は後段調質圧延(第2調質圧延)を施した場合である。
Claims (1)
- 鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、表面粗さRa:1.0〜3.5μmのロールを使用して、伸び率0.7%以上の第1調質圧延を施し、その後に表面粗さRa:0.9μm以下のロールを使用して、伸び率0.2〜0.4%の第2調質圧延を施すことを特徴とするプレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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