JP3018432B2 - 熱定着用トナー及び加熱ローラー定着方法 - Google Patents

熱定着用トナー及び加熱ローラー定着方法

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JP3018432B2 JP02216543A JP21654390A JP3018432B2 JP 3018432 B2 JP3018432 B2 JP 3018432B2 JP 02216543 A JP02216543 A JP 02216543A JP 21654390 A JP21654390 A JP 21654390A JP 3018432 B2 JP3018432 B2 JP 3018432B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、電子写真の分野における熱定着用トナー及
び該トナーを使用する加熱ローラー定着方法に関するも
のである。
<従来の技術> 従来電子写真法として米国特許第2297691号、特公昭4
2−23910号公報および特公昭43−24748号公報などに種
々の方法が記載されているが、一般には光導電物質を利
用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成
し、次いで該潜像をトナーで現像し必要に応じて紙など
に粉像を転写した後、加熱、加圧あるいは溶剤蒸気など
により定着するものである。
また、近年、分光された光で露光して原稿の静電潜像
を形成せしめ、これを各色のカラートナーで現像して色
付きの複写画像を得、あるいは各色の複写画像を重ね合
わせてフルカラーの画像を得るカラー複写の方法も実用
化されている。
トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂
などのバインダー樹脂中に各種の着色剤(カーボンブラ
ックなどの染顔料)や帯電制御剤を分散させたものを1
〜30μm程度に微粉砕した粒子が用いられており、この
ようなトナーはガラスビーズ、鉄粉またはファーなどの
キャリア物質と混合して用いられる。
これらのトナーいずれにしても、トナー像を被定着シ
ート上に永久的に定着させる方式としては、加熱ローラ
ーによる圧着加熱方式が一般に採用されている。
<発明が解決しようとする問題点> 従来用いられてきたトナーには、以下のような問題点
があった。
1)低温で定着することができないため、エネルギー消
費が大きく高速定着に不向きである。
2)熱ロール定着時のオフセット現象が発生しやすく、
定着器への負担が大きい。
3)軟質塩化ビニルシートへの付着や移行が見られ、画
像の汚染・欠落が生じやすい。
4)定着後の透明性や光沢性が悪く、フルカラートナー
の用途には使用できない。
5)機械的耐久性が低いため長期の使用ができない。
また、従来の加熱ローラーによる圧着加熱定着方式
は、加熱ローラー表面と被定着シート上のトナー像面と
が直接圧接触するため、熱効率が極めて高く、比較的少
ない熱エネルギーで迅速に定着できるという利点を有す
るものである。しかし、逆に、定着ローラー表面に付着
して移転し、つぎの被定着シート上にこれを再移転して
いわゆるオフセット減少を生じ、支持体にしばしば汚れ
を発生せしめる現象を防止するために、たとえばローラ
ー表面を弗素系樹脂などのトナーに対して離型性の優れ
た材料で形成するとともに、その表面にシリコーンオイ
ルなどの離型剤を供給することなどがおこなわれてい
る。この場合、軟化点の高い樹脂を含有するトナーをよ
り高速に供給するには、加熱ローラーの温度を高く保つ
ためにローラー表面への熱エネルギーの供給を多くする
必要がある。しかし、弗素系樹脂は、高温かつ高荷重下
での連続使用に対して劣化が激しく耐久性に限度があ
る。また、シリコーンオイルなどの離型剤は加熱される
ことにより臭気を発生しやすいなどの問題があった。
これらの問題点を解決するために、トナーの材料面や
処方面で多くの検討がなされている。一般にスチレン系
樹脂に対し、ポリエステル樹脂は塩化ビニール付着性や
低温定着性の面から有利であるとされる。また、透明性
などにも優れるのでフルカラートナー用の樹脂としても
使用される。しかし、いくつかの問題点も残されてお
り、総合的に満足するものは未だ提出されていないのが
実状である。従って、速やかな改良が望まれていた。
<問題点を解決するための手段> 本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、
その目的は、上記の問題点が解消された高性能の熱定着
用トナーを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、比較的低温でも被定着シ
ート上に強固に融着し、しかもその表面に離型剤を供給
しない定着ローラーを使用した場合でも、トナーのオフ
セット減少を発生させずに高速度で効率よく定着を行う
ことができる加熱ローラー定着方法を提供することにあ
る。
そこで、本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検
討した結果、着色剤及び特定の種類のバインダー樹脂を
組み合わせて使用することにより、上記目的を満足し得
ることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、着色剤並びにポリエステ
ル樹脂及びフェノキシ樹脂を含有することを特徴とする
熱定着用トナー、並びに被定着用シート上でトナー像を
形成する熱定着用トナーを、該シートとともに加熱定着
ローラーを通過させて該シートに熱溶融定着させる加熱
ローラー定着方法において、該熱定着用トナーが、着色
剤並びにポリエステル樹脂及びフェノキシ樹脂を含有す
ることを特徴とする加熱ローラー定着方法に存する。
<作 用> 以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ポリエステル樹脂とフェノキシ樹脂
とを混合したものをバインダーとし、これに着色剤その
他の必要な成分を含有させてトナーを構成する。
このうち、ポリエステル樹脂としては何ら限定される
ものではなく、公知のあらゆるポリエステル樹脂が使用
可能であるが、その中でも特に本発明に好ましいものと
しては、樹脂の分子量分布の広がりの目安であるMw/Mn
の値が3.0以上のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂のMw/Mnの値を3.0以上とするために
は、分子量の異なる数種の樹脂を溶解または溶融状態で
混合する方法や単量体成分から重合体を形成するときに
ある程度の架橋を施す方法など各種の方法を採用するこ
とができる。これらの製造法のうちでも、架橋の程度を
低い範囲内に抑えてMw/Mnを調整する方法が本発明に最
もふさわしい方法であり、それは重合反応系に架橋性の
モノマーを添加することによって達成される。
Mw/Mnを3.0以上とすることにより、低温定着性を保持
ししかも熱ロール定着における高温での耐オフセット性
を著しく向上させることができる。
本発明に係わるポリエステル樹脂は、多価アルコール
と多塩基酸とより成り、必要に応じてこれら多価アルコ
ールおよび多塩基酸の少なくとも一方が3価以上の多官
能性成分を含有する単量体組成物を重合することにより
得られる。
以上において、ポリエステル樹脂の合成に用いられる
2価のアルコールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオールなどのジオール類、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化
ビスフェノールAやポリオキシプロピレン化ビスフェノ
ールAなどのビスフェノールAやアルキレンオキシド付
加物、その他を挙げることができる。これらのモノマー
のうち、特にビスフェノールAアルキレンオキシド付加
物を主成分モノマーとして用いるのが好ましく、中でも
一分子当りのアルキレンオキシドの平均付加数が2〜7
の付加物がより好ましい。
ポリエステルの架橋化に関与する3価以上の多価アル
コールとしては、例えばソルビドール、1,2,3,6−ヘキ
サンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリト
ール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタ
ントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリ
オール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−
トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることが
できる。
一方、多塩基酸としては、例えばマレイン酸、フマー
ル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼ
ライン酸、マロン酸、これらの酸の無水物、低級アルキ
ルエステル、その他の2価の有機酸を挙げることができ
る。
ポリエステルの架橋化に関与する3価以上の多塩基酸
としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、
1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサ
ントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサ
ントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル
−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレン
カルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカル
ボン酸、およびこれらの無水物、その他を挙げることが
できる。
Mw/Mnを3.0以上とするために、ポリエステルの架橋化
に関与する3価以上の多価アルコールおよび/または多
塩基酸による成分は、重合体における構造単位としての
アルコール成分または酸成分の各々における3〜80mol
%の割合で含有されるのが好ましい。3mol%以下の場
合、架橋の程度が不十分なためMw/Mnが3.0以上のポリエ
ステルを得ることが困難であり、従って定着時の高温オ
フセットを防止し難い。また、80mol%以上の使用量で
は、溶剤不溶分であるゲルコンテントが極端に増大する
ため定着性が悪化し好ましくない。
なお、本発明におけるポリエステル樹脂は、通常公知
の方法で合成することができる。具体的には、反応温度
(170℃〜250℃)、反応圧力(5mmHg〜常圧)などの条
件をモノマーの反応性などに応じて決め、所望の物性が
得られた時点で反応を終了すればよい。
これらのポリエステル樹脂においては、その軟化点が
90℃より低い場合は、容易にブロッキングを起こすため
保存安定性が悪かったり、機械的な耐久性の面で問題を
生じる場合がある。また、軟化点が150℃を越える場合
には、定着性能が悪化し、透明性や光沢性にも難が生ず
る場合があるので本発明トナー用ポリエステル樹脂の軟
化点は90〜150℃の範囲内にあるのが好ましく、さらに
は100〜130℃の範囲内にあるのがより好ましい。
さらに、一般にポリエステル樹脂の酸価が高い場合、
高温高湿時における帯電安定性が悪化する傾向にあるの
で、本発明のポリエステル樹脂においては、その酸価が
10KOHmg/g以下、より好ましくは5KOHmg/gとなるよう調
整するのがよい。
酸価を低く調節するための方法としては、たとえばエ
ステル交換法により、酸モノマー成分をあらかじめ低級
アルキルエステル化したものを用いて合成する方法やア
ミノ基含有グリコールなどの塩基性成分を組成中に添加
することにより、残存酸基を中和する方法などが挙げら
れるが、これらに限らず公知のあらゆる方法を採用でき
る。
本発明においては、以上述べたポリエステル樹脂の他
にフェノキシ樹脂を主成分とする。
フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒ
ドリンとから合成される高分子量ポリヒドロキシポリエ
ーテルであって、下記の化学構造式(1)で示される。
化学構造式(1) 以上のフェノキシ樹脂の軟化点として、耐衝撃性や強
靭性などの機械的耐久性の改善などのため、180℃以上
である必要がある。
かかるフェノキシ樹脂は、弾性が大きいので、ポリエ
ステル樹脂との併用により、オフセット現象の発生防止
に極めて有効である。
本発明に用いるのに好適なフェノキシ樹脂の具体的な
例としては、ベークライトPKHJ、PKHH、PKHC(以上、ユ
ニオンカーバイド社製商品名)などが挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂とフェノキシ樹脂と
の使用割合としては、重量比で95〜60:5〜40であるのが
好ましい。この範囲よりフェノキシ樹脂が少ない場合
は、機械的耐久性が低いため長期間安定的に使用するこ
とができない場合がある。また、フェノキシ樹脂が多い
時は、軟化点が上昇するので低温定着しにくくなり、透
明性や光沢性も悪化する傾向にある。
本発明に係わるトナーは、特に低温定着性に優れるポ
リエステル樹脂と、特にオフセット防止効果の高いフェ
ノキシ樹脂を併用しており、両者の長所を兼ね備えてい
る。
なお、ポリエステル樹脂とフェノキシ樹脂とは、トナ
ー作製時に樹脂同士で混合してもよいが、予めポリエス
テル樹脂製造時にその重合反応終了の際、フェノキシ樹
脂を添加して加熱溶融せしめて一体化する方が、より均
一な樹脂組成物が得られるので好ましい。
また、ポリエステル樹脂とフェノキシ樹脂は、ともに
透明性が高いので、本発明はフルカラートナー及びフル
カラートナーを用いた加熱ローラー定着方法に好適であ
る。
本発明に使用できる着色剤としては、カーボンブラッ
ク、ランプブラック、鉄黒、群青、アニリンブルー、フ
タロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザ
イエローG、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キ
ナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、ト
リアリルメタン系染料、モノアゾおよびジスアゾ系染顔
料など従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合
して使用し得る。これらの着色剤は、樹脂100重量部に
対して好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは2〜1
0重量部の範囲で用いられる。
本発明においては、以上の樹脂成分及び着色剤の他に
各種の構成成分を含んでよい。
まず、トナー用樹脂として、上記の本発明に係わる樹
脂の他に、必要に応じて他の樹脂を添加することを考慮
してもよい。この種の樹脂としては、例えばエポキシ樹
脂、スチレン/アクリル共重合樹脂、スチレン/アミノ
アクリル共重合樹脂、シリコーン樹脂など各種公知のも
のを挙げることができる。
また、現像機構上または画像を向上せしめる目的のた
め、磁性微粉体をトナー中に含有させることができる。
該磁性微粉体としてはフェライト、マグネタイトなど強
磁性を示す元素を含む合金あるいは化合物を挙げること
ができ、該磁性微粉体は平均粒径0.05〜1μmの微粉末
の形で樹脂中に70重量%以下の量を分散させて用いるこ
とができる。
帯電制御剤としては、公知のものがすべて使用可能で
ある。例えば、正帯電性用としてニグロシン染料、4級
アンモニウム塩、スチレン/アミノアクリレート共重合
体体、ポリアミン樹脂などがあり、負帯電性用としてク
ロム、コバルト、アルミニウム等の金属含有アゾ染料、
アルキルサリチル酸の金属塩等が知られている。使用量
としては、樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、より好
ましくは0.5〜5重量部がよい。帯電制御剤は、樹脂中
に混合してもトナー粒子表面に付着させた形で用いても
よい。
この他、トナー中には熱特性・物理特性等を調整する
目的で各種可塑剤・離型剤等の助剤を添加することも可
能である。たとえば、オフセット性改良のための低分子
量ポリオレフィンや流動性改良のためのコロイダルシリ
カなどが挙げられる。その添加量は、樹脂100重量部に
対し、0.1〜10重量部が適当である。
本発明に係わるトナーの一般的製造法は、以下の通り
である。
樹脂、着色剤、帯電制御剤などをヘンシェルミキサ
ーなどで均一に分散する。
分散物をニーダー、エクストルーダー、ロールミル
などで溶融混練する。
混練物をハンマーミル、カッターミルなどで粗粉砕
後、ジェットミル、I式ミルで微粉砕する。
微粉砕物を分散式分級器、ジグザグ分級器などで分
級する。
場合により、分級物中にシリカなどをヘンシェルミ
キサーなどで分散する。
本発明のトナーをキャリアと混合して二成分系現像剤
として使用する場合、キャリアとしては粒径30〜200μ
m程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉など従来
から公知のものが使用できる。また、これらの表面にシ
リコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂などあるい
はこれら樹脂の混合物をコーティングしたものも好適に
使用できる。キャリアとトナーとの混合重量比は、100:
1〜10が良好である。
なお、本発明におけるポリエステル樹脂のMw/Mnの値
はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP
C)によって測定した値から算出した。測定条件は、温
度25℃で溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流
速で流し、試料濃度8mg/mlのテトラヒドロフランの試料
溶液を0.5ml注入して測定する。カラムとしては、概ね
5×102〜5×106の分子量領域を的確に測定するため
に、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせ
るのがよい。試料の分子量測定にあたっては、試料の有
する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料
により作製された検量線の対数値とカウント数との関係
から算出した。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を
使用した。
本発明における樹脂の軟化点は、JIS K7210およびK6
719に記載されるフローテスターを用いて測定した。具
体的には、第1図に示すように、フローテスター(CFT
−500,島津製作所製)を用いて約1gの試料3を昇温速度
6℃/min.で加熱しながら、面積1cm2のプランジャー1
により20kg/cm2の荷重を与え、孔径1mm、長さ1mmのダイ
4から押し出す。これにより第2図に示すようにプラン
ジャーストローク−温度曲線を描き、そのS字曲線の高
さをhとするとき、h/2に対応する温度を軟化温度とし
たものである。
一方、本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は、JI
S K0070に記載される方法に準じて測定される。
本発明に係わるトナーを使用して被定着シート上に形
成したトナー像は、その表面にオフセット防止用の離型
剤を供給しない定着ローラーを使用した場合にもトナー
のオフセット現象を発生することなく比較的低温で効率
よく良好な加熱ローラー定着を行うことができる。定着
ローラーとしては、その表面をたとえばテフロンTFE,FE
P,PFA(以上いずれもデュポン社製)などの弗素系樹脂
あるいはKE−1300RTV(信越化学社製)、PRF−305(ト
ーレ・シリコーン社製)、YSR3022(東芝シリコーン社
製)などの比較的硬質のシリコーンゴムで形成した平滑
面を有するものや、場合によっては金属表面を有するも
のが有効に使用される。
<実施例> 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は
これらに限定されるものではない。実施例中「部」は
「重量部」を示す。
合成例1(ポリエステル樹脂Aの合成) ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン 1070g (平均分子量約355、以下同様) フマール酸 240g ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸 40g 以上の物質をガラス製2リットルの4つ口フラスコに
入れ、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサ
ーおよび窒素導入管を取り付け、電熱マントルヒーター
中で窒素気流下、前半200℃常圧、後半220℃減圧にて撹
拌しつつ反応を進めた。
得られた樹脂の酸価は2.0KOHmg/g、軟化点は111℃で
あった。また、Mw/Mnは5.5であった。
合成例2(ポリエステル樹脂Bの合成) ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン 540g ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン 490g (平均分子量約325) テレフタル酸 330g ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸無水物 100g 以上の物質を用いる以外は合成例1と同様に反応を行
って樹脂を得た。
得られた樹脂の酸価は3.3KOHmg/g、軟化点は123℃で
あった。また、Mw/Mnは14.5であった。
合成例3(ポリエステル樹脂Cの合成) ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン 530g ペンタエリスリトール 200g フマール酸 230g 以上の物質を用いる以外は合成例1と同様に反応を行
って樹脂を得た。
得られた樹脂の酸価は0.8KOHmg/g、軟化点は127℃で
あった。また、Mw/Mnは34.8であった。
(実施例1〜7および比較例1〜2) 表1に実施例1〜7および比較例1〜2のトナー組成
を一覧表にして示す。
トナーの作製法としては以下のように行った。
各々のトナーの材料をニーダーで溶融混練し、冷却後
ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット
方式による微粉砕機で微粉砕した。得られた微粉末を分
級して粒径5〜20μmを選別してトナーを得た。コール
ターカウンターによって測定された体積平均粒径は、い
ずれも10±0.5μmの範囲内であった。
これらのトナーとキャリアとを混合して現像剤を作製
するが、キャリアとしては、正帯電トナーの場合(実施
例1〜5および比較例1)はフッ素系樹脂でコーティン
グされた平均粒径約70μmのフェライト粉を用い、負帯
電性トナーの場合(実施例6,7および比較例2)はシリ
コーン樹脂でコーティングされた平均粒径約70μmのフ
ェライト粉を用いた。トナー濃度としてはいずれも5wt
%とし、Vブレンダーにて所定時間混合して現像剤を得
た。
なお、上記の現像剤で画像出しを行うに当たっては、
市販の複写機を使用し、正帯電性現像剤では有機光導電
体を、負帯電性現像剤ではセレンをそれぞれ感光体とす
るものを用いた。
これらのトナーおよび現像剤を用いて以下のようなテ
ストを行い、トナーの評価を行った。なお、トナー像の
定着に関しては、熱ローラー定着装置用の定着ローラー
として、表面をテフロンPFA(デュポン社製、テトラフ
ルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル
との共重合体)で形成した定着ローラーを用いたが、最
低定着温度と耐オフセット温度の評価には他に表面をKE
−1334(信越化学製、シリコーンゴム)で形成した定着
ローラーも用いて行なった。
(摩擦帯電量) ブローオフ法によって現像剤の摩擦帯電量を測定し
た。
(最低定着温度および耐オフセット温度) 市販の複写機の熱ロール定着器(上ロール:テフロン
又はシリコーン、下ロール:シリコーン)を温度可変に
改造した定着ユニットを用い、一定のトナー量が現像さ
れた未定着の紙を通す。熱ロール温度を変えながら同じ
ことを繰り返し、指で擦ってトナー像が剥離しない最低
のロール温度を最低定着温度とする。また、目視で高温
オフセット現象の発生が見られない最高のロール温度を
耐オフセット温度とする。
(耐塩化ビニール性) 容器に入れたトナーの中に、白色シート状の軟質塩化
ビニールを差込んだ後、50℃の温度で一昼夜保持した時
の塩化ビニールシートへのトナー汚染の状況を目視で観
察する。全て汚染しないものを○とし、汚染するものを
×と評価する。
(OHP透過性) OHP(オーバーヘッドプロジェクター)で透過しても
鮮明な色調を再現することは、フルカラートナーにおい
ては必須の性能である。OHP透過性は、トナー像を定着
したOHP用シートを実際にOHPで透過させ、目視により判
定した。透過像の色再現が良好なものを○、不鮮明なも
のを×とした。
(連続実写テスト) 作製した現像剤を用いて、前記のような複写機で各々
10万枚の連続実写テストを行った。評価は、画像濃度・
カブリの推移を中心とした画質の変化を総合的に見て耐
久性を判定した。
以上のテストの評価結果を表2にまとめた。
これからも明らかなように、本発明に係わるトナーは
優れた性能を有している。
<発明の効果> 本発明によって得られた効果は以下の通りである。
本発明に係わるトナーの使用により、 (1) 比較的低温で定着することが可能なので、少な
いエネルギーの消費で迅速且つ強固に融着できるととも
に、フルカラートナーなどの透明性や光沢性にを要求さ
れる分野にも好適である。
(2) 熱ロール定着時の高温オフセットの現象が発生
し難いため、あらゆる定着条件で汚れのない鮮明なトナ
ー定着画像が得られる。
(3) 軟質塩化ビニールシートへのトナーの付着や移
行がないので、トナー画像の欠落や汚染が発生しない。
(4) 良好なOHP透過性を有するので、フルカラート
ナーにも適用が容易である。
(5) 機械的な耐久性が高いため、長期間の使用や連
続使用においても初期と同様の画質を維持しうる。
(6) 定着ローラーに離型剤を供給することなくオフ
セット現象の発生を防止できるので、ローラー定着装置
の中に離型剤供給装置を必要とせず、定着装置の機構が
簡素化できる。
(7) 加熱ローラー材料としては耐熱限界が低いもの
を使用することができるので、その耐久性を著しく向上
することができるとともに、それによって高速複写機の
設計を容易にすることができる。
以上のように、本発明によれば容易に熱定着に適した
トナーが得られ、工業的有利に加熱ローラー定着を行う
ことができるので、本発明は工業的にきわめて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はフローテスターの中心部分を示す簡略の断面図
であり、第2図はフローテスターのプランジャーストロ
ーク(変位)−温度曲線である。 1……プランジャー、2……シリンダー、3……試料、
4……ダイ、5……ダイ押え。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾田 博文 神奈川県茅ケ崎市円蔵370番地 三菱化 成株式会社茅ヶ崎事業所内 (56)参考文献 特開 昭58−181057(JP,A) 特開 昭60−247249(JP,A) 特開 昭56−11459(JP,A) 特開 昭54−94037(JP,A) 特開 昭54−84729(JP,A) 特開 昭52−143025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】着色剤、並びにポリエステル樹脂及び軟化
    点が180℃以上のフェノキシ樹脂を含有することを特徴
    とする熱定着用トナー。
  2. 【請求項2】被定着シート上でトナー像を形成する熱定
    着用トナーを、該シートとともに加熱定着ローラーを通
    過させて該シートに熱溶融定着させる加熱ローラー定着
    方法において、該熱定着用トナーが、着色剤、並びにポ
    リエステル樹脂及び軟化点が180℃以上のフェノキシ樹
    脂を含有することを特徴とする加熱ローラー定着方法。
  3. 【請求項3】前記加熱定着ローラーの表面に、離型剤を
    供給しないことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載
    の加熱ローラー定着方法。
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