JP3017455B2 - 液状物に含まれる蛋白質の除去方法 - Google Patents

液状物に含まれる蛋白質の除去方法

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JP3017455B2 JP9116738A JP11673897A JP3017455B2 JP 3017455 B2 JP3017455 B2 JP 3017455B2 JP 9116738 A JP9116738 A JP 9116738A JP 11673897 A JP11673897 A JP 11673897A JP 3017455 B2 JP3017455 B2 JP 3017455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状物に含まれる
蛋白質を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、清酒、味醂、ワイン、ビー
ル、食酢、醤油、果汁等の蛋白質を含有する液状物から
蛋白質を分離する方法として、種々の方法が知られてお
り、例えば、清酒のオリ下げ工程においては、シリカゾ
ルを用いる方法が知られている(特公昭59−3335
1号公報)。また、シリカゾルとともに、ゼラチンまた
はゼラチンを酵素分解し水に溶けやすくした分子量50
00〜20000程度のペプタイド(ポリペプチド)を
用いる方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
蛋白質分離方法では、十分なフロック強度が得られず、
加圧や水との接触を伴う工程でフロックが破壊され、蛋
白質が再分散し、その一部が濾過漏れし、十分な蛋白質
の除去ができないという欠点を有していた。
【0004】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点を解消し、簡単でより効率的な液状物からの蛋白質
の除去方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シリカゾ
ルとして正電荷のシリカゾルを用いることにより、濾過
工程におけるフロックの破壊が防止され、極めて効率的
に蛋白質を分離し得ることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】すなわち、本発明は、蛋白質を含有する液
状物に、正電荷シリカゾルを添加することを特徴とする
蛋白質の除去方法である。また、本発明においては、正
電荷シリカゾルとともに負電荷シリカゾルを併用し添加
してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いる正電荷のシ
リカゾルは、粒子表面が正電荷を帯びているコロイダル
シリカのゾルである。一般に、コロイダルシリカは酸性
酸化物であるため、その粒子表面は負の電荷を帯びてい
るが、この負電荷のコロイダルシリカの粒子表面を、例
えば、正電荷を有する微細な金属化合物で被覆すること
によりコロイダルシリカに正電荷を付与することができ
る。このような正電荷を有する金属化合物としては、ア
ルミナ(酸化アルミニウム)、酸化鉄、ジルコニア(酸
化ジルコニウム)、酸化チタンなどの塩基性金属酸化物
が挙げられる。実用上及び経済的な面からは、アルミナ
が最も好ましい。
【0008】負電荷のコロイダルシリカの粒子表面を、
正電荷を有する微細な金属化合物で被覆する方法として
は、スプレー法、真空蒸着法、含浸加熱法、加水分解法
などの方法を挙げることができるが、好ましい被覆方法
としては、負電荷のシリカゾルと塩基性塩化金属塩の水
溶液の一種または二種以上を混合し、酸及び/またはア
ルカリで適宜pHを調整することにより、負電荷シリカ
ゾルの表面に塩基性塩化金属塩の加水分解物等を沈着さ
せて被覆する方法が挙げられる。使用する塩基性塩化金
属塩としては、アルミナの場合、塩基性塩化アルミニウ
ムが用いられ、酸化鉄の場合、塩基性塩化鉄が用いら
れ、ジルコニアの場合、塩基性塩化ジルコニウムが用い
られ、酸化チタンの場合、塩基性塩化チタニウムが用い
られる。この加水分解による被覆の詳細については、例
えば、米国特許3007878号や特開平4−2701
07号公報等に記載されている。なお、加水分解して析
出する金属酸化物は、微細なアモルファスの水和物であ
ることが好ましい。
【0009】上記正電荷を有する金属酸化物などの金属
化合物によるコロイダルシリカの被覆量は、コロイダル
シリカに対し2〜40重量%程度が好ましい。被覆量が
2重量%未満であると、十分な正電荷を付与することが
できない場合があり、被覆量が40重量%を超えると塩
基性金属酸化物等の一部がシリカゾル表面に付着しない
場合があったり、あるいは経済的に不利な場合が生じ
る。
【0010】本発明において用いる正電荷シリカゾルの
平均粒子径は3〜100nm程度が好ましく、さらに好
ましくは5〜50nm程度である。また正電荷シリカゾ
ル中のシリカ含有量は15〜45重量%程度であること
が好ましく、さらに好ましくは15〜30重量%程度で
ある。
【0011】本発明に用いる正電荷シリカゾルとして
は、特に制限はなく、通常の市販品を用いることができ
る。市販品としては、コポロック25P(大塚化学株式
会社製、シリカ含有量25重量%)が挙げられる。液状
物に対する正電荷シリカゾルの添加量としては、シリカ
含有量25重量%のシリカゾルの場合で、液状物1キロ
リットルに対して、一般に100〜3000ml程度、
好ましくは300〜2000ml程度が好ましい。
【0012】本発明においては、上述のように、正電荷
シリカゾルとともに負電荷シリカゾルを併用することが
できる。負電荷シリカゾルとしては、一般的なコロイダ
ルシリカを用いることができる。このような負電荷シリ
カゾルとしては、特に制限はないが、シリカ含有量15
〜45重量%程度のシリカゾルが好ましい。市販品とし
ては、コポロック300及び306(大塚化学株式会社
製、シリカ含有量30重量%)等を特に好ましく用いる
ことができる。負電荷シリカゾルの添加量としては、シ
リカ含有量30重量%のシリカゾルの場合で、液状物1
キロリットルに対して、一般に100〜3000ml程
度が好ましく、さらに好ましくは300〜2000ml
程度である。また、シリカ含有量20重量%のシリカゾ
ルの場合には、300〜3000ml程度が好ましい。
負電荷シリカゾルを併用する場合、正電荷シリカゾルと
負電荷シリカゾルの添加割合の比率は、正電荷シリカゾ
ル:負電荷シリカゾル=1:0〜50(重量比)が好ま
しく、さらに好ましくは1:0〜20(重量比)であ
る。
【0013】本発明においては、正電荷シリカゾルに加
えて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにゼラチ
ン、水溶性高分子ゼラチン、ペプタイド、小麦蛋白等の
蛋白質、アルギン酸、カラーギナン、寒天、キトサン等
の多糖類、ポリアクリル酸ソーダ等のゲル化剤、柿渋、
タンニン酸、PVPP(ポリビニルポリピロリドン)、
シリカゲル、ベントナイト、酸性白土、タルク、ミョウ
バン、ゼオライト、活性炭等の吸着剤、セルロース、ケ
イソウ土等のろ過助剤の一種または二種以上を併用して
もよい。
【0014】正電荷シリカゾル、場合により負電荷シリ
カゾル及びその他の成分が添加された蛋白質を含有する
液状物は、数分から数日の間に蛋白質が凝集沈降する。
この凝集物は、1回または2回以上の濾過工程により濾
過することができる。濾過に際しては、加圧濾過を採用
してもよい。
【0015】本発明の方法は、清酒、味醂、ワイン、ビ
ール、食酢、醤油、魚醤、果汁等の蛋白質を含有する液
状物の製造工程の原料調整、精製、廃液処理に至るまで
様々な場面で適用することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明に従う具体的な実施例を示し本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例
に限定されるものではない。
【0017】実施例1〜3及び比較例1 清酒に、活性炭(武田薬品工業株式会社製、商品名「特
選白鷺」)を500g/klの割合となるように添加・
攪拌した後、100mlのメスシリンダーに移し、正電
荷シリカゾルとしてのコポロック25P(商品名、大塚
化学株式会社製、シリカ含有量25重量%、アルミナ被
覆量0.9重量%(シリカに対して3.6重量%))及
び負電荷シリカゾルとしてのコポロック306(商品
名、大塚化学株式会社製、シリカ含有量30重量%)
を、表1に示す割合となるように添加した後攪拌し、さ
らに低分子ゼラチンとしての精製ゼラチン(商品名、株
式会社トミヤマ製)を添加・攪拌し、24時間後の上澄
液の濁度を測定した。なお、濁度は、日本電色工業株式
会社製、NDH−20D型濁度計で測定した。
【0018】さらに、上澄液を吸引濾過し、上澄液濾過
後の濁度を測定した。濾紙は、アドバンテック東洋株式
会社製のNo.6の濾紙を使用し、この濾紙に予め米国
セライト社製のケイソウ土(商品名「スタンダートスー
パーセル」)を酸洗したものを1gプリコートしてから
濾過を行った。
【0019】次に、上澄液の濾過後、メスシリンダーに
沈降したオリ部分に100mlの水を加え、引き続き
1.0kgf/m2 の加圧下で濾過(水押し)し、濾液
の濁度を測定した。上記それぞれの濁度の測定結果を表
1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から明らかなように、本発明に従い正
電荷シリカゾルを添加した実施例1〜3では、正電荷シ
リカゾルを添加していない比較例1に比べ、水押し時に
おける濁度が著しく低くなっている。従って、本発明に
従い正電荷シリカゾルを添加することにより、凝集・沈
降したフロックのフロック強度が高められ、濾過工程に
おけるフロックの破壊が防止され、極めて効率的に蛋白
質を分離し得ることがわかる。
【0022】
【発明の効果】本発明では、正電荷シリカゾルを単独
で、あるいは負電荷シリカゾルと併用することにより、
凝集・沈降するフロックのフロック強度を高め、加圧や
水との接触を伴う工程でのフロックの破壊を有効に防止
することができる。従って、本発明によれば、液状物か
ら蛋白質を簡単でより効率的に除去することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−35979(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12H 1/00 - 1/22 A23L 2/00 - 2/84 C01B 33/00 - 33/193 B01D 21/01 101 - 111 A23L 1/238 104

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛋白質を含有する液状物に、正電荷シリ
    カゾルを添加することを特徴とする液状物に含まれる蛋
    白質の除去方法。
  2. 【請求項2】 蛋白質を含有する液状物に、正電荷シリ
    カゾル及び負電荷シリカゾルを添加することを特徴とす
    る液状物に含まれる蛋白質の除去方法。
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