JP3017295B2 - 離型シート用組成物 - Google Patents

離型シート用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン等の発泡
成型品を注型するに際して、金型からの成型品の取り出
しを円滑にするために用いられる離型シート用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリウレタン等の発泡成型品を製
造する際には注型発泡された成型品を金型から取り出し
やすくするために、予め金型表面にシリコーン、ワック
ス等の離型剤を塗布する方法が採られていた。
【0003】しかしながら、かかる方法では成型サイク
ル毎に離型剤を塗布しなければならず、そのために作業
工程が煩雑化するばかりか、スプレー等によって塗布す
る場合は離型剤が周囲に飛散して作業環境が悪化すると
いう問題を有していた。また、このような問題を改善す
るために従来よりポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン系フィルムやポリビニルアルコール等の水
溶性樹脂フィルム、テフロンシート等を上記離型剤の代
わりに予め金型内に配設しておいて注型、発泡させる方
法が提案されているが、(特開昭50−66562号公
報、特開昭50−79568号公報、特開昭52−15
1360号公報、特開昭60−178012号公報、特
開昭61−125815号公報等)これらの離型シート
はいずれも柔軟性と伸縮性に乏しいために発泡時の温度
と圧力では金型の凹凸形状をそのまま成型品に反映させ
ることができず、従って一旦金型表面に離型シートを真
空吸引等の方法で強制的に吸着させておいて発泡性樹脂
を注型しなければならないことから、複雑な構造の金型
が必要で、しかもかかる金型形状に一旦塑性変形したシ
ートでは金型からの取り出しはスムーズに行えるもの
の、取り出された成型品から離型シートを取り除くのが
困難で、たとえシートを伸ばしながら少しずつ取り除い
たとしても塑性変形したシートの形状と金型形状との間
に微妙なくい違いができて再使用できないという新たな
問題が生ずるなど、必ずしも満足できるものでなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたものであり、その目的とするところは発泡
性樹脂の注型作業が極めて簡単で、しかも取り出された
成型品からのシートの離脱が極めて容易であるなど生産
スピードの向上に顕著な効果を奏し得るばかりかシート
の繰り返し使用が可能であるという経済的にも有利な発
泡成形時の離型シート用組成物を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、注型後の
発泡成型品の取り出しに好適な離型シート用組成物につ
いて鋭意検討の結果、特定のアマイド系ワックスを含有
する熱可塑性ポリウレタン樹脂に更に所定量のシリコー
ン系樹脂粉末が配合された樹脂組成物からなるシートで
あれば、熱可塑性ポリウレタン樹脂の柔軟性により金型
の凹凸形状を正確に反映させることができると共に取り
出された成型品から離型シートを取り除く際にも該アマ
イド系ワックスの優れた離型効果にシリコーン系樹脂粉
末の滑り効果と熱可塑性ポリウレタン樹脂本来の伸縮性
に基づく復元効果が相俟って、極めて容易に離脱するこ
とができるばかりか、取り除かれた離型シートは再度繰
り返し使用できるという数々の特徴が具備されることを
知見し本発明に想到したものである。
【0006】即ち、本発明は不飽和結合を有する高級脂
肪酸のアマイド系ワックス0.1乃至3.0重量部を含
有する熱可塑性ポリウレタン樹脂100重量部に対し
て、粒径5乃至30μのシリコーン系樹脂粉末が0.1
乃至5.0重量部配合されていることを特徴とする発泡
成型時の離型シート用組成物に係るものである。
【0007】以下、本発明の発泡成型時の離型シート用
組成物について添付の図面に基づき詳しく説明する。図
1は本発明の組成物を用いた発泡成型用離型シートの一
例を示す断面図であり、不飽和結合を有する高級脂肪酸
のアマイド系ワックスを含有する熱可塑性ポリウレタン
樹脂1にシリコーン系樹脂粉末2が配合された離型シー
ト3を示すものである。また図2は、図1の如き本発明
の組成物を用いた離型シートを使用して発泡成型した場
合の一例を示すもので、同図(イ)は上型4と下型5の
間に離型シート3を配して型締めし、上型型面に貼着し
た離型紙6と離型シート3の間からバルブ7を開けて発
泡性ポリウレタン樹脂材料8を注入している状態を示す
断面図、(ロ)は上下の金型の間に発泡性ポリウレタン
樹脂材料8が膨張して充満した状態を示す断面図、
(ハ)は発泡成型体9を金型から取り出した状態を示す
断面図、更に(ニ)は該発泡成型体9から離型シート3
を取り除いている様子を示す断面図である。
【0008】本発明において、熱可塑性ポリウレタン樹
脂とはニ官能性ポリオールとジイソシアネート及びグリ
コールを主原料としてなる、分子構造中にウレタン基を
含有するゴム状弾性体高分子のうち熱可塑性を有するも
のであり、具体的には使用される前記ポリオール等の原
料の種類によって区別されるところのポリエステル系、
ポリエーテル系、ポリカーボネート系等のポリウレタン
樹脂の少なくとも一種からなるものである。
【0009】かかる熱可塑性ポリウレタン樹脂の硬度
は、発泡成型時の圧力によって金型の凹凸形状に追随で
きるものであればいかなる硬さのものでもさしつかえな
いが、シートへの成型性、凹凸形状への追随性及び復元
力等の点から、JIS硬度で50乃至90Hsのものが
好ましい。
【0010】本発明の組成物からなる離型シートは樹脂
本来の特性として上記柔軟性と伸縮性、機械的強度、耐
摩耗性等に優れた熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いるも
のであるから、注型時の発泡性樹脂の膨張圧力によって
離型シートが金型の凹凸形状に極めてよく追随し、金型
の形状をそのまま正確に成型品に反映させることができ
るという特徴に加えて、復元性と耐久性に優れることか
ら繰り返し使用が可能であるという特徴をも奏し得るも
のである。
【0011】尚、かかる熱可塑性ポリウレタン樹脂に
は、その柔軟性と伸縮性、復元力等を大きく損なわない
範囲内で他の例えばポリオレフィン系、ポリスチレン
系、ポリ塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系
等の樹脂あるいはエラストマーを添加してもよく、また
帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、フィラ
ー、着色剤等の添加剤を適宜配合してもさしつかえな
い。
【0012】本発明の離型シート用組成物に用いられる
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、不飽和結合を有する高級
脂肪酸のアマイド系ワックスを含有するものである。こ
こで不飽和結合を有する高級脂肪酸のアマイド系ワック
スとはエチレンビスオレイン酸アマイド、オレイン酸ア
マイド、エルカ酸アマイド、ベヘン酸アマイド、リシノ
ール酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイ
ド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド等のワッ
クスの少なくとも一種からなり、その配合量は0.1乃
至3.0重量部好ましくは1.0乃至2.0重量部が望
ましい。該アマイド型ワックスは熱可塑性ポリウレタン
樹脂との相溶性等の関係からシート表面に移行しやす
く、これにより優れた離型効果が発現する。
【0013】従って本発明で用いられるアマイド系ワッ
クスの含有量が0.1重量部未満の場合は、シート表面
に移行する量が少なく充分な離型効果が得られないのに
対し、3.0重量部より多い場合はシート表面に移行す
る量が多すぎるためシートがべたついたり滑り性不良と
なって作業性が悪くなるばかりか発泡成型品表面の汚染
やシート製造時に押出機のスクリューへのくい込みが悪
く押出変動の原因となる等の問題が生じる。
【0014】また、本発明に用いられるシリコーン樹脂
系粉末は元来、粘着性が強く滑り性の悪い熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂に対して、該樹脂シートの表面に微細な凹
凸を形成させることにより前記アマイド系ワックスのみ
では充足できない滑り性を改善しシートのハンドリング
性及び離型性、作業性をより一層向上させる効果を奏す
るものであり、粒径5乃至30μの粉末を0.1乃至
5.0重量部好ましくは0.5乃至3.0重量部配合す
るものである。
【0015】ここで、シリコーン系樹脂粉末とはシロキ
サン結合で架橋された三次元網目構造をもった球状ある
いは不定形の粉体であり、その粒径が5μ未満の場合は
シート表面の凹凸が小さく滑り性の改善効果が乏しいた
めに作業性が悪く、一方30μを越える場合は外観不良
の問題に加えシート製膜時に穴開きが発生しやすく製膜
安定性に欠けるという問題が生じる。また、同様に添加
量が0.1重量部より少ない場合は、滑り性の向上が認
められず、5.0重量部より多い場合は外観不良に加え
て製膜安定性が悪化する。
【0016】尚、本発明の組成物から離型シートを製造
する方法としては、押出成型によるインフレーション法
あるいはTダイ法等が最も一般的であるがその他カレン
ダー法、流延法等でシート状に成型したものでもよく、
その際シートの厚さは通常20乃至100μ程度が取り
扱い作業性等の点で良好である。
【0017】
【実施例】以下、本発明の発泡成型時の離型シート用組
成物について実施例により詳しく説明する。
【0018】実施例1〜3、比較例2〜7 熱可塑性ポリウレタン樹脂(武田バーディシェポリウレ
タン工業(株)製、エーテル系熱可塑性ポリウレタン樹
脂「タケラックT880」JIS硬度80Hs)に不飽
和型の高級脂肪酸のアマイドであるエチレンビスオレイ
ン酸アマイド及びシリコーン系樹脂粉末(東芝シリコー
ン(株)製「トスパール」)を種々の添加量で配合した
ものを口径50mmの押出機を用いてインフレーション
成型することにより厚さ30μのシートを作製した。こ
れらの離型シートを図2に示すような形状の上下の金型
の内側に配設し、同図の要領に従い発泡性ポリウレタン
フォーム((株)ABC商会発売の発泡ウレタンフォー
ム「インサルパック25#」)を注入発泡させた。各シ
ートの離型性、滑り性、外観を表1に示した。
【0019】実施例4 アマイド系ワックスとして不飽和型の高級脂肪酸のアマ
イドであるオレイン酸アマイドを用いる以外は上記実施
例と同様な方法で試験を行い、その結果を表1に示し
た。
【0020】比較例1 アマイド系ワックスとして飽和型の高級脂肪酸のアマイ
ドであるエチレンビスステアリン酸アマイドを用いる以
外は上記実施例と同様な方法で試験を行い、その結果を
表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】表中の各性能評価は次の方法で行った。 (1)離型性 発泡成型品と離型シートの180゜剥離強度が10g/
20mm未満のものを(○)、10g/20mm以上の
ものを(×)とした。 (2)滑り性 傾斜が自由に変えられる台上と所定重量のスレッドの底
面にそれぞれ離型シートを固定し、台の角度を大きくし
た際スレッドが滑り始めるときの角度が35゜未満のも
のを(○)、35゜以上のものを(×)とした。 (3)外観 目視により判定し良好なものを(○)、不良なものを
(×)とした。 (4)総合評価 離型性、滑り性、外観の評価結果から離型シートとして
適しているものを(○)、適していないものを(×)と
した。
【0023】
【発明の効果】以上の如く、本発明の発泡成型時の離型
シート用組成物は、不飽和結合を有するアマイド系ワッ
クスの優れた離型効果とシリコーン系樹脂粉末添加によ
る滑り性向上効果及び熱可塑性ポリウレタン樹脂本来の
伸縮性に基づく復元効果が相俟って作業性が極めて良好
で且つ、熱可塑性ポリウレタン樹脂のもつ柔軟性により
金型の凹凸形状を成型時の発泡圧によって容易に成型品
に反映させることができるものである。
【0024】また本発明の組成物から得られたシートは
伸縮性に富むため一度使用した後でも再使用できるとい
う特徴を有するほか、前述の如く離型作業が簡単である
ことから発泡サイクルの短縮化を実現し、生産性の向上
に大きく寄与するなど経済的メリットも実に多大であ
る。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組成物から得られた離型シートの一例
を示す断面図である。
【図2】(イ)乃至(ニ)は本発明の離型シートを用い
た発泡成型の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 不飽和結合を有するアマイド系ワックスを含有する
熱可塑性ポリウレタン樹脂 2 シリコーン系樹脂粉末 3 離型シート 4 上型 5 下型 6 離型紙 7 バルブ 8 発泡性ポリウレタン樹脂材料 9 発泡成型品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29K 75:00 B29L 7:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和結合を有する高級脂肪酸のアマイ
    ド系ワックス0.1乃至3.0重量部を含有する熱可塑
    性ポリウレタン樹脂100重量部に対して、粒径5乃至
    30μのシリコーン系樹脂粉末が0.1乃至5.0重量
    部配合されていることを特徴とする発泡成型時の離型シ
    ート用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性ポリウレタン樹
    脂が、JIS硬度50乃至90Hsの硬さを有するもの
    である離型シート用組成物。
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