JP2005264121A - ポリスチレン系樹脂発泡粒子およびその製造方法と発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 予備発泡したポリスチレン系樹脂粒子とガラス転移点が−20℃〜50℃である軟質樹脂エマルジョン(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン)とを混合して樹脂粒子の表面全面に軟質樹脂エマルジョンを塗布し、それを乾燥して発泡粒子の表面全面に軟質樹脂皮膜を形成する。それを型内に充填し、加熱し型内発泡させて全表面が軟質樹脂層で覆われたポリスチレン系樹脂発泡成形体とする。
【選択図】 なし
Description
[実施例1]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子として積水化成品(株)製、商品名:エスレンビーズQSD5(発泡剤:ブタン5.5重量%含有、粒径約0.9mm)を使用し、この樹脂粒子を内容積約40Lの小型バッチ式予備発泡機にて常圧下で水蒸気により加熱し、嵩倍率47倍に予備発泡した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの塗布量を60g(有効固形分で3.0重量%)に変えた以外は、実施例1と同様にして表面をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂皮膜で覆われたポリスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子表面の樹脂皮膜の厚みは0.5μmであった。
軟質樹脂エマルジョン種をガラス転移点の違うエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(電気化学工業(株)製、商品名:デンカEVAテックス#88、有効固形分56%、粘度約1500mPa・S、ガラス転移点11℃)に変更し、塗付量を130g(有効固形分で7.3重量%)に変えた以外は実施例1と同様にして表面をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂皮膜で覆われたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子表面の樹脂皮膜の厚みは1.2μmであった。
軟質樹脂エマルジョン種をエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体樹脂エマルジョン(住友化学工業(株)製、商品名:スミカフレックスS−830、有効固形分50%、粘度約150mPa・S、ガラス転移点20℃)に変更し、塗付量を100g(有効固形分で5.0重量%)に変えた以外は実施例1と同様にして表面をエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体樹脂皮膜で覆われたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子表面の樹脂皮膜の厚みは0.8μmであった。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンを塗布しない以外は、実施例1と同様にして型内発泡成形し、300mm×400mm×50mmの板状発泡成形体を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの塗布量を10g(有効固形分で0.5重量%)に変えた以外は実施例1と同様にして表面をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂皮膜で覆われたポリスチレン樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子表面の樹脂皮膜の厚みは0.08μmであった。
軟質樹脂エマルジョン種をエチレン−酢酸ビニル−特殊エステル系共重合体樹脂エマルジョン(住友化学工業(株)製、商品名:スミカフレックスS−950、有効固形分53%、粘度約1500mPa・S、ガラス転移点−30℃)に変更し、塗付量を170g(有効固形分で9.0重量%)に変えた以外は実施例1と同様にして表面をエチレン−酢酸ビニル−特殊エステル系共重合体樹脂皮膜で覆われたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子表面の樹脂皮膜の厚みは1.5μmであった。得られた予備発泡粒子は表面がべとつき粒子同士に合着がみられた。
以上述べた実施例1〜4、比較例1〜3で得られた板状発泡成形体を40℃で24時間乾燥した後、成形体の成形倍数と融着率を下記の方法で測定した。次に、バンドソーを用いて、この成形体から必要数の測定用試料片を切り出し、下記の方法で落球衝撃値を測定して、成形体の耐割れ特性を評価した。その結果を表1に示す。
成形倍率は、成形体の寸法(ここでは、300mm×400mm×50mm)と重量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。なお、樹脂比重は1.00として算出した。
成形倍率(倍)=成形体体積(cm3)/成形体質量(g)×樹脂比重
板状発泡成形体(長さ400mm、幅300mm、厚み50mm)の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿って、カッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について粒子内で破断している粒子数(a)と、粒子同士の界面で破断している粒子数(b)とを数え、式[(a)/((a)+(b))]×100に代入して得られた値を融着率(%)とした。
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」記載の方法に準じて測定した。すなわち、215mm×40mm×厚み20mmの試験片を150mmスパンになるように両端をクランプにて固定し、重さ321gの鋼球を、試験片の中央部に落下させ破壊の有無を観察した。試験は試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで、5cm間隔で高さを変えて行い、JIS K7211記載の計算式より落球衝撃値を算出した。
・ガラス転移点(Tg)測定方法
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」記載の方法により測定した。すなわち、示差走査熱量計装置DSC200型(セイコー電子工業(株)製)を用い測定容器に試料を10mg充填して、窒素ガス流量30ml/minのもと20℃/minの昇温速度で220℃まで昇温し10分間保持後取り出し室温にて急冷する。その後、再度、窒素ガス流量30ml/minのもと10℃/minの昇温速度で220℃まで昇温してガラス転移温度を測定し、中間点温度をガラス転移点とした。
発泡粒子をほぼ2分割に切断し、切断面を四酸化ルテニウムとオスミウム酸にて染色固化後、切断面の拡大写真を透過型電子顕微鏡H−7600((株)日立製作所製)にて撮影し染色された軟質樹脂皮膜層の厚みを読み取った。
表1から、実施例品の衝撃荷重に対する耐割れ特性は比較例とくらべ大きく向上しており、本発明の優位性が示される。軟質樹脂の皮膜厚み(樹脂皮膜厚み)が薄い場合には融着率も低く、耐割れ特性に大きな向上は見られない。従って、軟質樹脂の皮膜厚みは0.5μm以上であることが好ましいことがわかる。
Claims (8)
- 発泡ポリスチレン系樹脂粒子の表面全面にガラス転移点が−20℃〜50℃である軟質樹脂の皮膜を有しているポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 軟質樹脂のガラス転移点が0℃〜30℃であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 軟質樹脂がエチレン−酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル系樹脂、またはゴム系樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 軟質樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 軟質樹脂の皮膜厚みが0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 軟質樹脂の皮膜厚みが0.5〜2.5μmの範囲であることを特徴とする請求項5に記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子。
- 予備発泡したポリスチレン系樹脂粒子とガラス転移点が−20℃〜50℃である軟質樹脂エマルジョンとを混合して予備発泡粒子の表面全面に軟質樹脂エマルジョンを塗布し、それを乾燥して予備発泡粒子の表面全面に軟質樹脂皮膜を形成することを特徴とする軟質樹脂皮膜を有するポリスチレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡粒子を型内に充填し、加熱し型内発泡させて発泡粒子同志を融着させて得られる全表面が軟質樹脂層で覆われたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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2004
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