JP3016070B2 - 赤色顔料 - Google Patents

赤色顔料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤色顔料、それを
配合してなる顔料組成物および化粧料に関する。さらに
詳しくは、分光反射特性が制御され、分散性に優れ、し
かもCaおよびFeの溶出がほとんどない複合酸化物か
らなる赤色顔料、それを配合してなる顔料組成物および
化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】有機顔料は、色が鮮明であり、その種類
が豊富であることから、種々の分光反射特性を有するも
のが存在するが、一般的に耐水性、耐溶剤性、耐候性、
耐熱性などの安定性に劣るものが多い。
【0003】一方、無機顔料は、安定性に優れるもの
の、その種類が乏しいため、種々の分光反射特性を有す
るものが得られていない。特に赤色顔料においては、安
定性および安全性の面から、α-Fe23 のみが使用され
ているのが現状である。
【0004】しかしながら、α-Fe23 を用いた場合に
は、得られる分光反射特性のうち変曲点波長は、形状お
よび粒子径にほとんど依存せず、物質固有の値をとる。
したがって、このような特性をもつα-Fe23 を化粧料
に配合したとしても、分光反射特性が非常に限られた化
粧料しか得られないという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みなされたものであり、顔料自体の分光反射特性
を制御し、さらにこれを配合した化粧料の分光反射特性
を制御しうる赤色顔料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 (1) 式:Cax Fey x+(3y/2) (式中、xは0.6〜2の数、yは2〜3の数を示す)
で表わされ、波長領域600 〜640nm に変曲点波長を有す
る複合酸化物からなる赤色顔料、 (2) 複合酸化物をその濃度が5重量%の濃度となる
ように体質顔料と混合してなる試料の分光反射スペクト
ルにおいて、500 〜620nm の波長領域でスペクトルに窪
みを有し、500nm および620nm の反射率を直線で結び、
この窪みとの間に形成された部分の面積が300 %・nm
以上である前記(1)記載の赤色顔料、 (3) 複合酸化物が、α-Fe23 結晶相の含有率30
重量%以下およびCa2 Fe2O5 結晶相の含有率40重量%
以下を有するものである前記(1)または(2)記載の
赤色顔料、 (4) 複合酸化物が、体積平均粒子径0.01〜50μm を
有するものである前記(1)〜(3)いずれか記載の赤
色顔料、 (5) 複合酸化物をイオン交換水に懸濁させたとき
に、CaおよびFeの溶出量がそれぞれ500ppm以下であ
る前記(1)〜(4)いずれか記載の赤色顔料、 (6) 前記(1)〜(5)いずれか記載の赤色顔料を
配合してなる顔料組成物、ならびに (7) 前記(1)〜(5)いずれか記載の赤色顔料を
配合してなる化粧料に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の赤色顔料は、前記したよ
うに、式:Cax Fey x+(3y/2) (式中、xは0.6〜2の数、yは2〜3の数を示す)
で表わされ、波長領域600 〜640nm に変曲点波長を有す
る複合酸化物からなる。
【0008】前記複合酸化物の分光反射特性を分光光度
計で測定した際、得られる分光スペクトルの反射率の急
激に変化する領域の変曲点波長(分光スペクトルの1次
微分導関数の最大値または2次微分導関数が0を示す波
長)を600 〜640nm の範囲で制御することで、この顔料
を化粧料等に配合した際に、分光反射スペクトルにおい
て500 〜620nm の波長領域でスペクトルに窪みを有す
る。
【0009】一方、一般に健康的な素肌は、分光反射ス
ペクトルにおいて、波長500 〜620nm の領域でスペクト
ルに窪みを有するが、これとは逆に、素肌がくすむにつ
れて波長500 〜620nm の領域でスペクトルの窪みが小さ
くなることが知られている。
【0010】従来の化粧料、特にファンデーションで
は、この波長500 〜620nm の領域におけるスペクトルの
窪みが極めて小さいため、これを塗布すると本来素肌が
有している波長500 〜620nm のスペクトルの窪みを小さ
くしてしまい、分光反射スペクトルがくすんだ肌と同様
の状態となり、自然で健康的な化粧肌が得られ難かっ
た。これは、従来の化粧料に用いられている赤色顔料が
赤色酸化鉄(α-Fe23 )であり、該赤色酸化鉄の変曲
点波長が580nm 付近であることが原因である。
【0011】したがって、分光特性、特に変曲点波長を
制御した顔料を用いれば、化粧料としたときの波長500
〜620nm におけるスペクトルの窪みを大きくすることが
可能である。そのときの赤色顔料の変曲点波長は、600
〜640nm が好ましく、620 〜635nm が最適である。
【0012】また、前記赤色顔料を例えば、硫酸バリウ
ム、タルク、シリカ、マイカなどの屈折率が1.6 〜1.8
程度の体質顔料に5重量%の濃度となるように混合した
試料の分光反射スペクトルにおいて、500 〜620nm の波
長領域でスペクトルに窪みを有し、500nm および620nm
の反射率を直線で結び、この窪みとの間に形成された部
分の面積(以下、S500 という)は300%・nm以上
となる。
【0013】また、前記分光反射特性を満足させるため
には、複合酸化物を構成しているCaとFeのモル比(Ca
/Fe)の値は、0.3〜0.7の範囲内で、この複合
酸化物中のα-Fe23 の含有量が30重量%以下で、か
つCa2Fe2O5の含有率が40重量%以下であることが好まし
い。前記モル比(Ca/Fe)の値は、より好ましく
は、0.4〜0.55であり、また複合酸化物中のα-F
e23 の含有量が15重量%以下で、かつCa2Fe2O5の含
有率が10重量%以下である。これは、赤色顔料中のα
-Fe23 の含有量が30重量%を超えて含有されると、
得られる分光反射特性の変曲点波長が600nm よりも短波
長の領域で存在し、配合した際にスペクトルに大きな窪
みを得ることができなくなり、またCa2Fe2O5の含有率が
40重量%を超えて存在すると、彩度がなくなり、明度
も低下するからである。
【0014】また、本発明の赤色顔料を化粧料や塗料な
どの顔料として使用する場合には、前記複合酸化物の体
積平均粒子径は、0.01〜50μm の範囲内、好ましくは0.
1 〜3μm の範囲内にあることが好ましい。本発明の赤
色顔料を化粧料や塗料用の顔料として用いる場合、公知
の有機着色顔料、無機着色顔料、無機体質顔料等と混合
し、顔料組成物とすることができる。かかる顔料として
は、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マ
イカ、シリカ等が挙げられる。
【0015】更に、この複合酸化物をイオン交換水に懸
濁させたとき、該複合酸化物を構成しているCaおよびFe
の溶出量がそれぞれ500ppm以下、好ましくは100ppm以下
というようにCaおよびFeの溶出がほとんどないことが好
ましい。これは、Caイオンの溶出量が500ppmを超える
と、液性が高アルカリ状態となり、化粧料などへの配合
ができなくなり、さらに肌に刺激を与えるようになるた
めである。
【0016】本発明に用いられる複合酸化物を製造する
方法としては、例えばα-Fe23 などの酸化鉄粉末、α
−FeOOH 、β−FeOOH 、γ−FeOOH などのオキシ水酸化
鉄、Fe(OH)3 で表わされる水酸化鉄などの粉末と、CaO
、Ca(OH)2 、 CaCO3などの粉末をエタノールなどの溶
媒中で十分に混合し、溶媒を除去した後、800 〜1000℃
で焼成する固相反応法があげられる。かかる方法に用い
られる原料には特に限定がなく、焼成することでCaO-Fe
2O3 の複合酸化物を生成することができれば、いずれの
ものでもよい。また、前記方法以外にも、例えば、CaCl
2 、 Ca(NO3)2 などのCa塩とFeCl2 、FeCl3 、Fe(NO3)3
等の可溶性のFe塩の混合水溶液を、例えばNaOH、KOH 、
LiOH、NH3 等のアルカリで中和して得られる水酸化物を
焼成する方法を採用することもできる。
【0017】なお、CaおよびFeの供給源は、前記したも
のに限定されず、例えば、中和によって水酸化物を生じ
るものであれば特に限定がない。また、沈殿剤として、
シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる
が、生成した沈殿物を焼成してCaO-Fe2O3 複合酸化物を
生じるものであれば、特にこれらに限定されるものでは
ない。また、水熱反応法による焼成を必要としない方法
や、噴霧熱分解法等の気相法によっても得ることができ
る。また、α-Fe2O3およびCa2Fe2O5を存在させるため
に、CaとFeとの仕込みモル比を調整する以外に、第三成
分としてCaと化合物をつくるもの、例えばSiO2やZrO2
どを添加し、Ca2SiO4 やCaZrO3を生成させることでα-F
e2O3の存在量を調整することも可能である。
【0018】このようにして得られた式:Cax Fey
x+(3y/2)(式中、xは0.6〜2の数、yは2〜3の
数を示す)で表わされる複合酸化物からなる赤色顔料
は、分光反射特性を制御し、微粒子で分散性に優れ、し
かもCaおよびFeの溶出がほとんどなく、結晶性を有する
ことから、耐候性および耐退色性に優れたものである。
【0019】したがって、本発明の赤色顔料は、種々の
顔料組成物、化粧料などに適量で配合して用いることが
できるものである。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定される
ものではない。
【0021】実施例1 Ca/Fe モル比の値が0.5 となるように原料粉末であるCa
(OH)2 29.425重量部とα−FeOOH70.575 重量部との割合
で両者を秤量して合計量を100gとした。これを容量
が500ml のZrO2製のボールミルポットに入れ、10mmφの
ZrO2製のボール1200g と溶媒として150gのエタノールを
用いて、12時間混合を行なった。
【0022】その後、スラリーとボールとを分離し、ス
ラリー中のエタノールを留去してCa(OH)2-α-FeOOHの均
一混合粉体を得た。これを電気炉にて1000℃、3 時間の
焼成条件で焼成することにより、赤色顔料を得た。
【0023】得られた赤色顔料は、X線回折分析の結
果、CaFe2O4 単相であった。
【0024】また、得られた組成物の光学特性を以下の
方法に従って評価したところ、変曲点波長が625nm に存
在し、S500 は381.0 %・nmであった。また、体積平
均粒子径は、(株)堀場製作所製、レーザー散乱式粒度
分布計(LA−700型)によって測定したところ、1.
35μm であり、また、CaおよびFeの溶出量を以下に示す
方法に従って調べたところ、各々50ppm および2ppmであ
った。
【0025】(1)光学特性(分光反射特性)の測定方
法 試料粉体(赤色顔料)1.0gを粉体測定用セルに詰め、標
準白色板にて補正を行なった分光光度計((株)日立製
作所製、商品名:U−4000)で、380 〜780nm の可
視波長範囲での分光反射スペクトルを測定し、得られた
スペクトルを一次微分導関数の最大値または二次微分導
関数が0となる波長を変曲点波長として求める。
【0026】つぎに、赤色顔料の濃度が5重量%となる
ように白色顔料(硫酸バリウム)と混合して得られた試
料の分光反射スペクトルにおいて、500 〜620nm の波長
領域において、波長500nm および620nm の反射率を直線
で結び、スペクトルの窪みとの間で形成された部分の面
積(S500 )を求める。
【0027】(2)CaおよびFeの溶出量の測定方法 試料粉体(赤色顔料)1.0gをイオン交換水(水温:20
℃)100ml に懸濁させ、12時間撹拌後、フィルターによ
って粉体と溶液とを分離し、得られたろ液中のCaおよび
Feの溶出量をプラズマ発光分析(ICP) にて測定する。
【0028】実施例2 実施例1において、Ca/Fe モル比の値が0.4 となるよう
に調整した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。
その結果、得られた赤色顔料の変曲点波長は623.5nm 、
S500 は393.3 %・nmで、得られた赤色顔料をX線回
折分析したところ、CaFe2O4 相以外にα-Fe2O3相が生成
していた。更に、同分析によりCaFe2O4とα-Fe2O3の存
在比の定量を行なった結果、CaFe2O4 相にα-Fe2O3相が
10重量%含有されていた。また、体積平均粒子径は1.54
μm で、CaおよびFeの溶出量は、各々48ppm および2ppm
であった。
【0029】実施例3 実施例1において、Ca/Fe モル比の値が0.6となるよう
に調整した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。
その結果、得られた赤色顔料の変曲点波長は627nm 、S
500 は323.4 %・nmで、得られた赤色顔料をX線回折
分析したところ、CaFe2O4 相以外にCa2Fe2O5相が生成し
ていた。このとき、Ca2Fe2O5の混入量は22重量%であ
った。
【0030】また、体積平均粒子径は1.36μm で、Caお
よびFeの溶出量は、各々89ppm および3ppmであった。
【0031】実施例4 室温で撹拌下でNaOH0.8 モルを含む水溶液1リットル
に、CaCl2 0.1 モルおよびFeCl3 0.2 モルを含む水溶液
(Ca/Fe のモル比の値:0.5)1リットルを定量ポン
プを用いて10ml/minの速度で滴下した。
【0032】滴下終了後のpHは12.5であった。ここで得
られたCaおよびFeの混合水酸化物をよく水洗したのち乾
燥し、その乾燥物を電気炉にて900 ℃、3 時間の焼成を
行なった。
【0033】その結果、得られた赤色顔料のX線回折分
析したところ、CaFe2O4 単相であった。また、変曲点波
長を測定したところ、該変曲点波長は623nm であった。
また、S500 は325.4 %・nm、平均粒子径は1.12μ
m、CaおよびFeの溶出量は、各々34ppm および3ppmであ
った。
【0034】実施例5 実施例4において、焼成温度およびその時間を800 ℃で
3 時間とした以外は、実施例4と同様の操作を行なっ
た。その結果、X線回折分析より、得られた赤色顔料の
組成はCaFe2O4 であることが判明した。また、変曲点波
長を測定したところ、該変曲点波長は608.5nm であっ
た。また、S500 は431.6 %・nm、平均粒子径は0.78
μm、CaおよびFeの溶出量は、各々97ppm および5ppmで
あった。
【0035】実施例6 実施例4において、Ca/Fe モル比の値を0.4とした以
外は、実施例4と同様の操作を行なった。その結果、X
線回折分析により、CaFe2O4 相以外にα-Fe2O3相が、10
重量%含有された赤色顔料が得られたことが確認され
た。また、変曲点波長を測定したところ、該変曲点波長
は618.5nm であった。また、S500 は400.6 %・nm、
平均粒子径は1.32μm、CaおよびFeの溶出量は、各々26
ppm および2ppmであった。
【0036】実施例7 (COOH)2 0.3 モルを含む水溶液1リットルを100 ℃に加
熱、撹拌し、CaCl2 0.1 モルおよびFeCl2 0.2 モルを含
む水溶液(Ca/Fe のモル比の値:0.5)1リットルを
滴下ロートにて1分間で滴下し、そのままの温度で撹拌
下1 時間の熟成を行なった。その後、生成したCaおよび
Feのシュウ酸塩をろ別し、水洗した後、乾燥した。この
乾燥粉末を電気炉にて1000℃、1 時間焼成した。得られ
た赤色顔料は、X線回折分析より、CaFe2O4 単相と同定
でき、その変曲点波長は625nm で、S500 は413.7 %・
nmであった。また、CaおよびFeの溶出量は、各々6ppm
および3ppm であった。
【0037】実施例8 実施例7において、Ca/Fe のモル比の値を0.4とした
以外は、実施例7と同様の操作を行なった。その結果、
X線回折分析より、CaFe2O4 相以外にα-Fe2O3相が8重
量%含有した赤色顔料が得られた。得られた赤色顔料の
変曲点波長は622.5nm であり、S500 は430.2 %・n
m、平均粒子径は1.25μmであった。さらに、このとき
のCaおよびFeの溶出量は、各々56ppmおよび2ppm であ
った。
【0038】実施例9 実施例2において、Ca原料およびFe原料を各々CaCO3
よびα-Fe2O3とした以外は、実施例1と同様の操作を行
なった。その結果、X線回折分析より、得られた赤色顔
料はCaFe2O4 単相であった。また、変曲点波長は、627.
5nm であり、S500 は300.5 %・nm、平均粒子径は1.
56μmであった。さらに、このときのCaおよびFeの溶出
量は、各々52ppm および2ppm であった。
【0039】実施例10 実施例9において、Ca/Fe のモル比の値を0.4とした
以外は、実施例9と同様の操作を行なった。その結果、
X線回折分析より、得られた赤色顔料は、CaFe2O4 相以
外にα-Fe2O3相を12重量%含有したものであった。ま
た、変曲点波長は616.5nm であり、S500 は356.6 %・
nm、平均粒子径は1.32μmであった。さらに、このと
きのCaおよびFeの溶出量は、各々46ppm および1 ppm で
あった。
【0040】実施例11 実施例1で得られた赤色顔料10gおよび同顔料濃度が
1重量%となるようにマイカに均一に混合した粉末10
gを20mmφの円盤状に成形し、前記分光光度計にて
測色した後、室温下2週間蛍光灯下(照度:約500ル
クス)で露光し、その後、前記と同様にして測色して露
光前後の色変化率ΔEを求めた。その結果、色変化率Δ
Eはそれぞれ0.09および0.8であり、色の変退色
は認められなかった。
【0041】比較例1 市販の化粧品用α-Fe2O3について分析したところ、変曲
点波長は、585.5nm であり、S500 は584.5 %・nm、
平均粒子径は0.34μmであった。
【0042】比較例2 (COOH)2 0.26モルを含む水溶液1リットルを100 ℃に加
熱、撹拌し、CaCl2 0.06モルおよびFeCl2 0.2 モルを含
む水溶液(Ca/Fe のモル比の値:0.3)1リットルを
滴下ロートにて1分間で滴下し、そのままの温度で撹拌
下1 時間の熟成を行なった。その後、生成したCaおよび
Feのシュウ酸塩をろ別し、水洗した後、乾燥させた。こ
の乾燥粉末を電気炉にて1000℃、1 時間焼成した。得ら
れた組成物はX線回折分析より、CaFe2O4 相以外にα-F
e2O3を47重量%含有したものと同定でき、その変曲点
波長は595nm で、S500 は553.1 %・nmであった。ま
た、CaおよびFeの溶出量は、各々31ppm および2 ppm で
あった。
【0043】比較例3 実施例1において、Ca/Fe のモル比の値を0.7とした
以外は、実施例1と同様の操作を行なった。その結果、
変曲点波長は628.5nm 、S500 は274.3 %・nmで、得
られた赤色顔料をX線回折分析したところ、CaFe2O4
以外にCa2Fe2O524重量%およびα-Fe2O310重量%が
生成していた。また、体積平均粒子径は1.35μm であ
り、CaおよびFeの溶出量は、各々123ppmおよび3ppm で
あった。
【0044】比較例4 変曲点波長が620nmに存在する有機顔料の赤色20
2号について、同顔料10gおよび同顔料を1重量%と
なるようにマイカに均一に混合した粉末10gを20m
mφの円盤状に成形し、実施例14と同様にして色変化
率ΔEを求めた。その結果、色変化率ΔEはそれぞれ
1.7および2.2であり、明らかに変退色が認められ
た。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、顔料自体の分光反射特
性を制御し、さらにこれを配合した化粧料の分光反射特
性を制御しうる赤色顔料が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪口 美喜夫 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究 所内 (56)参考文献 特開 昭58−60623(JP,A) 特開 平9−48618(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09C 1/22 C01G 49/00 A61K 7/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式:Cax Fey x+(3y/2) (式中、xは0.6〜2の数、yは2〜3の数を示す)
    で表わされ、波長領域600 〜640nm に変曲点波長を有す
    る複合酸化物からなる赤色顔料。
  2. 【請求項2】 複合酸化物をその濃度が5重量%の濃度
    となるように体質顔料と混合してなる試料の分光反射ス
    ペクトルにおいて、500 〜620nm の波長領域でスペクト
    ルに窪みを有し、500nm および620nm の反射率を直線で
    結び、この窪みとの間に形成された部分の面積が300 %
    ・nm以上である請求項1記載の赤色顔料。
  3. 【請求項3】 複合酸化物が、α-Fe23 結晶相の含有
    率30重量%以下およびCa2 Fe2O5 結晶相の含有率40
    重量%以下を有するものである請求項1または2記載の
    赤色顔料。
  4. 【請求項4】 複合酸化物が体積平均粒子径0.01〜50μ
    m を有するものである請求項1〜3いずれか記載の赤色
    顔料。
  5. 【請求項5】 複合酸化物をイオン交換水に懸濁させた
    ときに、CaおよびFeの溶出量がそれぞれ500ppm以下
    である請求項1〜4いずれか記載の赤色顔料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載の赤色顔料を
    配合してなる顔料組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5いずれか記載の赤色顔料を
    配合してなる化粧料。
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