JP3015590B2 - 空気式土壌掘削装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、土壌を機械式に掘削
し、その破砕土砂を真空吸引力により排土して穴堀り掘
削作業する空気式土壌掘削装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、土中に地下管路を埋設したり、電
柱等を立てるための深い穴を、機械的に効率良く掘る土
壌掘削装置が考えられている。この種の掘削作業では、
人家等が多く、既にガス管、水道管等が埋設されている
場所で行われることが多く、このため土壌掘削装置とし
ては、土中の埋設物を破壊する危険の少ない方式を採用
する。また、掘削時の騒音が少なく、掘削した土砂の排
土を容易に行うこと等が要求され、このような要求を満
たすため空気圧を利用した掘削方式が考えられている。

【０００３】従来、上記空気圧を利用した掘削装置とし
ては、例えば特開昭５８−２２２２２８号公報の先行技
術に示す真空掘削機が知られている。この真空掘削機
は、吸引用ブロワに連通されたバキュームホースの先端
に土砂の吸込み口を備え、作業者がそのホースの吸込み
口を掘削場所の土壌面に対向して押し当て、この状態で
ブロワの吸引力により土砂を吸い上げて掘削するもので
ある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記先行技
術のものにあっては、真空吸引力を利用して土砂を吸い
上げるように掘削して進行する方式であるから、地中の
埋設物に対する安全性、排土機能の点では有利である
が、掘削能力が非常に小さい。このため、通常の踏み固
められた土壌の掘削の場合は、作業者が予め掘削棒や掘
削機により土壌を破砕して吸引排土できる状態にするこ
とが必要になる。このような土壌の破砕作業には、多大
な労力と時間を要することから作業性が極めて悪くな
り、この作業の際に埋設物を損傷することもある。

【０００５】そこで、このような真空吸引式の土壌破砕
機能を向上するため、回転する切削チップやオーガを併
用することが考えられる。しかしこの機械式掘削手段を
用いると、土壌の破砕による掘削能力は増大するが、そ
の反面地中に埋設されている種々の埋設物に対してもそ
れを破砕することになって、その埋設物を破壊、損傷す
るおそれがある。このため、機械式掘削手段を用いる場
合には、埋設物に対する安全性を簡単な手段により確保
しつつ掘削することが必要になる。

【０００６】本発明は、この点に鑑みてなされたもの
で、真空吸引式に機械式掘削手段を組合わせた方式にお
いて、土壌のみを破砕して地中の埋設物に対する安全性
を常に確保し、且つ真空吸引力により破砕された土砂の
吸引排土機能を有効に発揮することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、真空吸引用ブロワと、このブロワの吸引
経路に連通して設けられる土砂収集室と、この土砂収集
室に連通した状態で昇降可能に支持される中空筒と、こ
の中空筒の下部に装着される機械式掘削手段とを有し、
この機械式掘削手段は中空筒の先端にその内部の土砂吸
引通路と連通して真空吸引力が作用する掘削筒を備え、
この掘削筒の切削チップを具備する掘削ヘッドが、中空
筒側に取付けられる油圧モータに所定の速度で回転して
土壌を掘削するように連結し、油圧モータの出力側に所
定の負荷がかかった場合に切断するトルクリミッタを介
設して構成されるものである。

【０００８】

【作用】上記構成に基づき、機械式掘削手段における掘
削ヘッドの切削チップが、油圧モータにより回転して土
壌が効果的に掘削され、このときブロワの真空吸引力が
中空筒の土砂吸引通路を介し掘削筒に作用して、同時に
破砕された土砂が吸引排土され、こうして土壌の掘削に
応じて効率良く穴掘りされる。そして、この穴掘りの進
行に伴い中空筒と共に機械式掘削手段が順次自重下降
し、自動的に更に深く穴掘りが進行して、所定深さの穴
を形成するように掘削作業が行われる。またこの掘削中
に切削ヘッドが地中の埋設物に当たると、トルクリミッ
タが切断して自動的に掘削作業が中断し、その埋設物の
損傷等が未然に防止される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図３において、運転席を有する低床型トラックに
空気式土壌掘削装置を装備した形態の全体の構成につい
て説明する。符号１はトラック、２は運転席、３は車台
であり、車台３上にエンジン４、エンジン４により駆動
される真空吸引用ブロワ５、ブロワ５の吸引経路上に設
置される箱形のフィルタ室６と土砂収集室７が装備され
ている。

【００１０】上記真空吸引用ブロワ５は、連通管８を介
してフィルタ室６の上部の排気室６ａに連通されてい
る。フィルタ室６は仕切板６ｃにより上部の排気室６ａ
と、下部の吸引室６ｂに区画される。仕切板６ｃから下
部の吸引室６ｂ内には、複数個の蛇腹状ホースのように
形成されるフィルタバッグ９が吊設され、このフィルタ
バッグ９はその下端が支持板１０に固着され、支持板１
０はコイルスプリング１１を介してフィルタ室６の底部
に弾性的に支持されている。そして、フィルタ室６内の
吸入気流が支持板１０の入口開口部からフィルタバッグ
９の内部に入り、フィルタバッグ９の筒壁を透過して仕
切板６ｃの出口開口部から排気室６ａに流れ、この過程
において気流中に混入する土砂の細塵をフィルタ作用で
除去するように構成され、フィルタ室６の底部が連通路
１２を介して土砂収集室７の上部に連通されている。

【００１１】土砂収集室７は、後部の高位置に土砂の流
入口７ａが開口され、この流入口７ａの外に蛇腹状のバ
キュームダクト１５が接続されている。土砂収集室７の
内部において流入口７ａと対向する位置には、斜めに配
置される衝突板１３が一端を支点に上下動可能に設置さ
れ、流入口７ａから吸引投入される土砂を衝突板１３に
衝突して、比重の大きい土砂は下方の収集室７に落下し
て溜め、軽い空気流は衝突板１３を迂回して連通路１２
を介しフィルタ室６の底部に流入するように構成され
る。尚、土砂収集室７の底部には開閉操作される扉１４
を有し、この扉１４を開くことで底部の収集土砂を外部
に排出可能になっている。

【００１２】トラック１の車台３の後部には、左右方向
に延びる断面コ字形の連結金具１８が装備され、この連
結金具１８にヒッチピン１９を介して前後方向に延びる
ブーム２０が連結される。ブーム２０は外筒２０ａに対
して内筒２０ｂを伸縮可能に嵌挿して構成され、内筒２
０ｂの端部に取付け板２１を介して掘削部の支持架台２
２が着脱可能に固着されている。

【００１３】図１において、掘削部について詳細に説明
する。支持架台２２は取付け板２１に対して接合固着さ
れる取付け板２３を備えた垂直フレーム２４と、この垂
直フレーム２４の上下端に装着される支持部材２５，２
６により垂直に立設される昇降ガイド支柱２７と、垂直
フレーム２４の下部に油圧シリンダ機構２８により上下
伸縮可能に設けられる一対のアウトリガー２９と、移動
車輪３０とを有している。そして、油圧シリンダ機構２
８を伸長して左右一対のアウトリガー２９を地面に載置
することにより、支持架台２２の全体を安定して接地固
定する。

【００１４】支持架台２２の昇降ガイド支柱２７は、角
パイプ材であって側面にラック２７ａが形成されてい
る。また、ガイド支柱２７には昇降体３５が、そのピニ
オン３２をラック２７ａに噛み合わせ、一対のローラ３
３，３４をピニオン３２と反対側でガイド支柱２７に押
圧接触して、ガイド支柱２７に沿い昇降するように設け
られる。ピニオン３２にはハンドル３６が取付けられ、
ハンドル３６によりピニオン３２を回動して昇降体３５
を上昇または下降し、図示しないロック機構により所定
の高さ位置に固定保持する。

【００１５】昇降体３５には固定具３５ａにより中空筒
３７が地面に直立するように垂直に固定され、この中空
筒３７の内部の土砂吸引通路３８がバキュームダクト１
５に接続して、吸引排土することが可能になっている。
また、これらの昇降体３５と中空筒３７に機械式掘削手
段４０が装着されている。

【００１６】機械式掘削手段４０は、下端部に比較的小
径の掘削ヘッド４１を一体的に備えた細長い掘削筒４２
を有し、この掘削筒４２が中空筒３７に対して上下の軸
受４３により抜止めして回動可能に嵌合されている。掘
削ヘッド４１は内部に先広がり状に形成される筒口４１
ａが固着され、この筒口４１ａが破砕した土砂を円滑に
土砂吸引通路３８に導くように連通されている。また、
掘削ヘッド４１の外周には切削チップ４４が所定の間隔
で突設され、その内部にも粒径の大きい石土の吸引を防
止するトラップ４５と共に複数の切削チップ４４が所定
の配置状態で突設され、掘削筒４２と共に切削チップ４
４が回転することにより土壌を積極的に破砕するように
なっている。

【００１７】次いで、掘削筒４２の回転と埋設物に対す
る安全対策について説明する。先ず昇降体３５と中空筒
３７、掘削筒４２が一体的に移動することから、この昇
降体３５の支持金具４６に回転駆動源の油圧モータ５０
が装着され、この油圧モータ５０の出力側にトルクリミ
ッタ５１が連結される。そしてトルクリミッタ５１の出
力軸５２のギヤ５３が、掘削筒４２の外周に固着される
ギヤ５４に噛合い、油圧モータ５０により掘削筒４２と
切削チップ４４を所定の速度で回転する。また掘削中に
切削チップ４４が地中の埋設物等に当たって過大な負荷
が作用した場合は、トルクリミッタ５１の切断により動
力伝達を自動的に遮断するように構成されている。

【００１８】次に、この実施例の作用について説明す
る。先ず、掘削作業に際して、掘削場所の付近にトラッ
ク１を走行して停車する。そして、支持架台２２を地面
に接地固定し、掘削筒４２を掘削対象の土壌の直上に直
立配置して、その下端の掘削ヘッド４１を土壌面に当接
する。この準備完了後に、エンジン４により真空吸引用
ブロワ５を作動し、同時に油圧モータ５０を給油により
作動して掘削作業を開始する。

【００１９】すると、油圧モータ５０の回転動力がトル
クリミッタ５１、ギヤ５３，５４を介して掘削筒４２に
伝達し、これにより掘削筒４２とその掘削ヘッド４１の
切削チップ４４が、中空筒３７により支持した状態で安
定して高速回転する。このとき、切削チップ４４には昇
降体３５以降の中空筒３７、掘削筒４２等の大きい自重
がかかっており、このため切削チップ４４は土中に突き
刺さりながら回動し、この切削チップ４４の作用により
掘削ヘッド４１の下部の土壌Ａが掻き崩されて効果的に
破砕される。

【００２０】またこの掘削時にブロワ５からの真空吸引
力Ｆが、連通管８、フィルタ室６、土砂収集室７、バキ
ュームダクト１５、土砂吸引通路３８４１を介して掘削
筒４２の筒口４１ａに作用する。ここで上記切削チップ
４４による土壌Ａの破砕の際に、崩れた土砂の上に掘削
ヘッド４１が被さって高いシール効果が確保され、これ
により上記真空吸引力Ｆが筒口４１ａで土壌Ａに強力に
作用する。このため破砕された土砂Ｂは、強い真空吸引
力Ｆにより順次連続的に容易に浮動して吸引され、土砂
吸引通路３８からバキュームダクト１５を通過して土砂
収集室７に搬送され、この土砂収集室７内に自動的に排
土される。

【００２１】こうして、掘削ヘッド４１において切削チ
ップ４４による機械式掘削作用と、真空吸引力Ｆによる
破砕土砂の排土作用とが同時に進行されることで、土壌
掘削に応じて所定の深さずつ効率良く穴掘りされること
になる。そして、この穴掘りの進行に伴い中空筒３７と
共に機械式掘削手段４０が順次自重下降して、自動的に
更に深く穴掘りするように進行し、これによりヘッド口
径に対応した小径の深い縦穴Ｃを形成するように掘削作
業が行われる。

【００２２】また上述の掘削作業において切削チップ４
４が地中の埋設物Ｄ等に当たると、掘削筒４２の自重等
も加算されてトルクリミッタ５１に過大な負荷がかか
る。このため、トルクリミッタ５１が自動的に切断して
掘削筒４２の回転が極度に低下したりまたは停止し、掘
削作業の進行が悪くなる。このような掘削筒４２の回転
異常は、その掘削筒４２が外部に露出しているため作業
者は直ちに知ることができ、このとき油圧モータ５０の
作動を停止したり、または中空筒３７を上昇するように
操作することで、埋設物Ｄの破壊、損傷が確実に防止さ
れる。

【００２３】図２において、本発明の他の実施例につい
て説明する。この実施例は機械式掘削手段４０を口径の
大きい穴掘りに適応したものであり、中空筒３７の下端
に大径の掘削筒６０が装着される。この場合の掘削筒６
０は、中空筒３７に固着される円板６１に筒状の掘削ヘ
ッド６２が回転可能に装着され、掘削ヘッド６２に切削
チップ６３が取付けられ、掘削ヘッド６２の内部に螺旋
状の切り刃６４ａを備えたオーガ６４が設けられてい
る。また、円板６１には２つの油圧モータ６５，６６が
装備され、一方の油圧モータ６５はオーガ６４の軸６４
ｂに回転駆動するように連結される。他方の油圧モータ
６６はトルクリミッタ６７、ギヤ６８を介して掘削ヘッ
ド６２の上部に環状に設けられるラック６９に連結さ
れ、動力伝達を遮断することが可能になっている。

【００２４】そこでこの実施例では、２つの油圧モータ
６５，６６の作動により大径の掘削ヘッド６２とその内
部のオーガ６４が共に土壌Ａ中で回転して、切削チップ
６３とオーガ６４の切り刃６４ａにより口径の大きい縦
穴Ｃ’が一度に掘削される。そしてこの掘削時に破砕さ
れた土砂Ｂが、上述と同様に真空吸引力Ｆにより中空筒
３７の土砂吸引通路３８を介し搬送して排土される。ま
たこの実施例でも、地中に埋設物Ｄがある場合は、切削
チップ６３がその埋設物Ｄに当たってトルクリミッタ６
７が切断し、自動的に掘削ヘッド６２の回転が停止する
と共に掘削作業の進行が止まることになり、こうして埋
設物Ｄの損傷等が防止される。

【００２５】以上、本発明の実施例について説明した
が、これのみに限定されない。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、空
気式の土壌掘削装置が真空吸引式に機械式掘削手段を組
合わせて構成されるので、掘削作業の効率が大幅に向上
する。機械式掘削手段は油圧モータの動力伝達系にトル
クリミッタを有し、切削チップが地中の埋設物に当たっ
た場合には、掘削作業を自動的に中断するように構成さ
れるので、埋設物の破壊、損傷等を確実に防止すること
ができ、構造も簡単である。機械式掘削手段は吸引排土
する中空筒に装着されるので、組付性、作業の安定性が
良い。掘削筒の内部にオーガを設けた実施例では、一度
に口径の大きい穴を掘削することができ、口径の大きい
穴掘りに適する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の空気式土壌掘削装置の実施例を一部断
面して示す側面図である。

【図２】本発明の他の実施例を示す要部の断面図であ
る。

【図３】空気式土壌掘削装置の全体の構成を一部断面し
て示す側面図である。

【符号の説明】

５ 真空吸引用ブロワ ７ 土砂収集室 ３７ 中空筒 ３８ 土砂吸引通路 ４０ 機械式掘削手段 ４１ 掘削ヘッド ４２ 掘削筒 ４４ 切削チップ ５０ 油圧モータ ５１ トルクリミッタ ５２ 出力軸 ５３，５４ ギヤ

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−327689（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−327688（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−156884（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−327687（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−327686（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−327685（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−7488（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−26365（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−39696（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−39695（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−124896（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−172588（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E21B 7/18 E21B 7/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 真空吸引用ブロワと、このブロワの吸引
   経路に連通して設けられる土砂収集室と、この土砂収集
   室に連通した状態で昇降可能に支持される中空筒と、こ
   の中空筒の下部に装着される機械式掘削手段とを有し、
   この機械式掘削手段は中空筒の先端にその内部の土砂吸
   引通路と連通して真空吸引力が作用する掘削筒を備え、
   この掘削筒の切削チップを具備する掘削ヘッドが、中空
   筒側に取付けられる油圧モータに所定の速度で回転して
   土壌を掘削するように連結し、油圧モータの出力側に所
   定の負荷がかかった場合に切断するトルクリミッタを介
   設して構成されることを特徴とする空気式土壌掘削装
   置。
2. 【請求項２】 上記機械式掘削手段の掘削ヘッドは、比
   較的小径に形成されて複数の切削チップを所定の配置状
   態で具備することを特徴とする請求項１記載の空気式土
   壌掘削装置。
3. 【請求項３】 上記上記機械式掘削手段の掘削ヘッド
   は、大径に形成されて内部にオーガを有することを特徴
   とする請求項１記載の空気式土壌掘削装置。