JP3015379U

JP3015379U - 倒壊防止構造区画を有する木造建築物

Info

Publication number: JP3015379U
Application number: JP1995002499U
Authority: JP
Inventors: 博司原木
Original assignee: 博司原木
Priority date: 1995-03-03
Filing date: 1995-03-03
Publication date: 1995-08-29
Anticipated expiration: 2001-03-03

Abstract

(57)【要約】【目的】例えば大地震での木造住宅の倒壊による住人
の圧死を防止し、家屋内部に安全な避難場所を確保でき
るようにする。【構成】区画配置された複数の部屋Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３
・・・を有する木造建築物１において、建物内部の一区
画のスペースが倒壊しないような倒壊防御室ＰＳを設置
する。この倒壊防御室ＰＳは、Ｈ型鋼、鉄あるいは金属
樹脂積層材を加工したパネル合板４等の耐火部材、耐震
補強部材等による骨組み、壁、天井、床等を形成して、
新築時あるいは既存の木造建築物１内の一区画でのリフ
ォーム時に設置する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、一般の木造住宅やテラスハウスその他の木造建築物において、例えば大地震での木造住宅の倒壊による住人の圧死を防止し、家屋内部に安全な避難場所を確保できるようにした低コストな倒壊防止構造区画を有する木造建築物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、木造住宅の建築構造物の主流としては、（１）筋交いや金物を多用した在来工法である軸組構造、（２）主要な木材の断面寸法にちなんで呼称された所謂枠組壁工法といわれるツーバイフォー工法、（３）木枠に合板を接着剤で貼り付けたパネルでもって壁、床、屋根を作る工法であるパネル式プレハブ工法等の木構造が知られている。また、近年、震度６〜７クラスの大地震により木造住宅の殆どが倒壊し、そのため住人は建物の下敷となって圧死状態に陥り、多大なる被害を蒙るという実状が報じられる中、各種の免震構造による建築物工法の早急なる提案が余儀なくされている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、こうした従来の木造建築構造によれば、大地震等により木造住宅の殆どが倒壊を免れるということは皆無に等しいというのが現状である。また、現在の住宅等の建築構造では、免震構造による建築物工法というものが未だ開発途上にあり、コストも通常のものよりも高くついてしまうという問題点を有していた。

【０００４】そこで、本考案は叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、大地震での木造住宅の倒壊による住人の圧死防止と、家屋内部で安心した避難場所を確保できるような低コストによる倒壊防止構造区画を有する木造建築物を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため、本考案にあっては、区画配置された複数の部屋Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３・・・を有する木造建築物１において、建物内部の一区画のスペースが倒壊しないよう骨組み、壁、天井、床が耐震補強部材によって構築された倒壊防御室ＰＳを設けたことを特徴とする。

【０００６】また、倒壊防御室ＰＳは、既設の木造建築物１内の少なくとも一区画あるいは１スパンを占有させる骨組み構造体２を備え、パネル式プレハブ工法で構築可能とさせても良く、さらに、骨組み構造体２を構成する支柱や梁が耐震耐火性のＨ型鋼であり、壁、天井、床が耐震耐火性を有する鉄あるいは金属樹脂積層材を加工させたパネル合板４であるものとすることができる。

【０００７】

【作用】

本考案に係る倒壊防止構造区画を有する木造建築物にあって、万一、大地震により建物全体が倒壊したとしても、建物内部の一区画である倒壊防御室ＰＳだけは倒壊全壊せずに残存し、家屋倒壊の危険から身を守ることができ、住人に対する安全避難室として機能する。

【０００８】また、少なくとも１スパンで構成される倒壊防御室ＰＳは、新築時あるいは既設の木造建築のリフォーム時であってもプレハブ式に簡単かつ低コストに建造される。さらに、木造建築物１を支持するための骨組み構造体２と、壁、天井、床等を構成するパネル合板４が耐震性、耐火性の堅固な補強部材であるので、地震発生後の余震や火災等の二次災害によっても消失することはない。また、Ｈ型鋼の支柱や梁等の骨組み構造体２は、倒壊防御室ＰＳ全体の歪、軋み、圧潰破断に対する耐力強度を確保する。

【０００９】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明するに、図において示される符号１は、例えば二階建の住宅木造建築物内を区画配置させることで例えば一階に複数の部屋Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３，Ｐ４，Ｐ５を設置した木造建築物であり、該木造建築物１のいずれか一つの区画あるいは１スパンの範囲の例えば図２に示す如く、６帖間の部屋Ｐ１だけを骨組み、壁、天井、床が耐震性、耐火性の補強部材によって構築された倒壊防御室ＰＳとして設けてある。

【００１０】図１に示す如く、倒壊防御室ＰＳを構成する骨組みは、支柱や梁も共に耐力強度、耐火強度の優れた例えばＨ型鉄骨あるいはＨ型鋼等から成る耐震補強部材を耐震性の基礎構造の上に櫓状に軸組溶接させた骨組み構造体２を形成し、該骨組み構造体２の耐震補強部材により囲繞された壁、天井、床に相当する枠状部３に耐力強度、耐火強度の優れた例えば鉄や金属樹脂積層材等から加工されて成るパネル合板４を溶接にて固着させることで、倒壊防御室ＰＳ全体をパネル式プレハブ工法で形成できるようにしている。また、骨組み構造体２の四周にある夫々の壁の略中央には逃げ用の開口部５を設ける等して、大地震の際に木造建築物１が万一倒壊しても中に居る住人が倒壊防御室ＰＳ内に閉じ込められるようなことがないようにし、また、普通の生活での出入りを可能にしている。なお、図示は省略するが、この開口部５の代わりにパネル合板４に設けた窓孔であったり、パネル合板４の一部を非常用扉に構成しても良い。

【００１１】前記パネル合板４を形成する金属樹脂積層材は、異種の材料を２層以上重ね合わせたもので、耐力強度、断熱性、防火性、加工性、吸音性、振動減衰性に優れたものである。例えばアルミニウム表面板の間にポリエチレン樹脂の心材を入れた３層材が多く採用されるものであり、その他鋼−ポリプロピレン樹脂、アルミニウム−ポリプロピレン樹脂等を採用しても良い。

【００１２】また、既設の木造建築物１内に倒壊防御室ＰＳを設置する場合には、倒壊防御室ＰＳの天井部分を現在の天井の下面に当接し、また、倒壊防御室ＰＳの壁部分を現在の壁に当接するような状態で構築しておき、床面だけは予め骨組み構造体２に壁や天井を形成しておいてから後に別構成にて形成している。

【００１３】尚、図示例にあって、木造建築物１を新築する場合、倒壊防御室ＰＳは予めパネル式プレハブ工法で構築しておき、以後の施工は通常の木造建築物構造の工法、すなわち、筋交いや金物を多用した軸組構造、枠組壁工法（ツーバイフォー工法）、パネル式プレハブ工法とすることも可能である。

【００１４】次に、本考案に係る倒壊防止構造区画を有する木造建築物の組立の一例を説明するに、例えば図１に示すように、倒壊防御室ＰＳは、新築時あるいは既存の木造建築のリフォーム時であってもプレハブ式に簡単かつ低コストで建築されるように構成されている。例えば、新築時には基礎作りの過程において予め一区画に倒壊防御室ＰＳを構築しておき、その後に本来の木造建築物１の支柱や梁等の骨組みを組み立てれば良い。また、既設の木造建築物１にあっては、特定の部屋Ｐ１，Ｐ２・・・内において骨組み、壁、天井、床等として耐震性、耐火性の補強部材を持込みこれをパネル式プレハブ工法で組み立ててから継ぎ目溶接すれば良い。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、区画配置された複数の部屋Ｐ１，Ｐ２，Ｐ３・・・を有する木造建築物１において、建物内部の一区画のスペースが倒壊しないよう骨組み、壁、天井、床が耐震補強部材によって構築された倒壊防御室ＰＳを設けたので、この倒壊防御室ＰＳは、大地震での木造住宅の倒壊による住人の圧死防止となり、また家屋内部に安全な避難場所を確保できる。

【００１６】また、倒壊防御室ＰＳは、既設の木造建築物１内の少なくとも一区画あるいは１スパンを占有させる骨組み構造体２を備え、パネル式プレハブ工法で構築可能とさせたので、新築時、リフォーム時を問わずにプレハブ式に簡単かつ低コストに建築することができる。

【００１７】さらに、骨組み構造体２を構成する支柱や梁が耐震耐火性のＨ型鋼であり、壁、天井、床が耐震耐火性を有する鉄あるいは金属樹脂積層材を加工させたパネル合板４であるので、特にＨ型鋼の支柱や梁等の骨組み構造体２は、大地震の際の倒壊防御室ＰＳ全体の歪、軋み、圧潰破断に対する耐力強度を確保することができ、また、地震発生後の余震や火災等の二次災害によっても消失することはないのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すもので、木造建築物内
に設置された倒壊防御室の態様を示す全体斜視図であ
る。

【図２】同じく木造建築物内に設置された倒壊防御室の
概略を示す横断平面図である。

【符号の説明】

ＰＳ…倒壊防御室Ｐ１，Ｐ２，Ｐ
３，Ｐ４，Ｐ５…部屋１…木造建築物２…骨組み構造
体３…枠状部４…パネル合板５…開口部

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】区画配置された複数の部屋を有する木造
建築物において、建物内部の一区画のスペースが倒壊し
ないよう骨組み、壁、天井、床が耐震補強部材によって
構築された倒壊防御室を設けたことを特徴とする倒壊防
止構造区画を有する木造建築物。
【請求項２】倒壊防御室は、既設の木造建築物内の少
なくとも一区画あるいは１スパンを占有させる骨組み構
造体を備え、パネル式プレハブ工法で構築可能とさせた
請求項１記載の倒壊防止構造区画を有する木造建築物。
【請求項３】倒壊防御室は、骨組み構造体を構成する
支柱や梁が耐震耐火性のＨ型鋼であり、壁、天井、床が
耐震耐火性を有する鉄あるいは異種の材料を２層以上重
ね合わせて成る金属樹脂積層材を加工させたパネル合板
である請求項１または２記載の倒壊防止構造区画を有す
る木造建築物。
【請求項４】区画配置された複数の部屋を有する木造
建築物において、建物内部の一区画のスペースが倒壊し
ないよう耐火部材、耐震補強部材により形成された骨組
み構造体と、耐震耐火性を有する鉄あるいは金属樹脂積
層材を加工させた壁、天井、床のパネル合板とからパネ
ル式プレハブ工法で木造建築物内の一区画に倒壊防御室
を設けたことを特徴とする倒壊防止構造区画を有する木
造建築物。