JP3014782B2 - ラクトンまたはエステル化合物の製造方法 - Google Patents

ラクトンまたはエステル化合物の製造方法

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JP3014782B2 JP3037314A JP3731491A JP3014782B2 JP 3014782 B2 JP3014782 B2 JP 3014782B2 JP 3037314 A JP3037314 A JP 3037314A JP 3731491 A JP3731491 A JP 3731491A JP 3014782 B2 JP3014782 B2 JP 3014782B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラクトンまたはエステル
化合物の製造方法に関し、特に特定のニッケル化合物と
アルデヒド化合物の存在下に行う温和な反応により、ケ
トン化合物からラクトンまたはエステル化合物を得るこ
とができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環状ケトンまたは鎖状ケトンを酸化して
ラクトンまたはエステルを得る反応は、バイヤービリガ
ー反応としてよく知られている。このバイヤービリガー
反応においては、環状ケトンまたは鎖状ケトンを酸化す
るために、一般に、過酢酸、m−クロロ過安息香酸等の
過酸化物を用いる。しかし、これらの過酸化物は、衝撃
に過敏で爆発性を有し、また価格も安価ではないなどの
欠点を有している。
【0003】そこで、これらの欠点を改善するために、
過酸化物を用いずに、環状ケトンまたは鎖状ケトンを酸
化する方法として、アルデヒド類と分子状酸素を用いる
方法が各種提案されている。例えば、シクロヘキサノン
類とアルデヒド類を、分子状酸素で共酸化してε−カプ
ロラクトン類とカルボン酸類を得る反応において、 (1)反応をコバルト、マンガン等の存在下に行う方法
(米国特許第3,025,306号明細書) (2)触媒として、塩化第二鉄、酢酸第二鉄、鉄アセト
ニルアセテート等の可溶性鉄化合物を用いる方法(米国
特許第3,483,222号明細書) (3)触媒として、パラジウム、バナジウム、クロム等
の金属の可溶性化合物とともに、窒素原子を含む多座配
位子として働く化合物を用いる方法(特公昭56−14
095号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)の
方法においては、アジピン酸等の酸化分解生成物が多く
生成し、またカルボン酸の生成量が多いため、アルデヒ
ド類の利用効率が低く、高収率かつ高転化率でラクトン
またはエステル化合物を得ることができなかった。ま
た、上記(2)の方法は、触媒活性が低く、目的物であ
るラクトンまたはエステルの収率が低いため、工業的な
価値が低いという欠点がある。さらに、上記(3)の方
法においては、触媒活性が十分ではないため、目的物で
あるラクトン類を高収率で得ることができないという問
題があった。
【0005】そこで本発明の目的は、特定のニッケル化
合物とアルデヒド化合物の存在下に行う温和な反応によ
り、ケトン化合物からラクトンまたはエステル化合物を
得ることができる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、下記一般式(a):
【0007】
【化9】
【0008】〔式中、R1 およびR2 は同一でも異なっ
ていてもよく、電子供与性基で置換されたアリール基、
脂肪族不飽和炭化水素基、または下記式(a−1)もし
くは(a−2):
【化10】 (式中、R3 およびR4 は同一でも異なっていてもよ
く、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基
である)
【化11】 (式中、R5 、R6 およびR7 は同一でも異なっていて
もよく、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリー
ル基である)で表される基であり、R1 とR2 は相互に
結合して環を形成していてもよい〕で表されるケトン化
合物(A)を、一般式(b):
【0009】
【化12】
【0010】〔式中、R8 、R10、R11およびR13は同
一でも異なっていてもよく、低級アルキル基、アリール
基、アルコキシ基またはハロゲン化アルキル基、あるい
は下記式(b−1): −COOR14 (b−1) (ここで、R14はアルキル基またはアリール基である)
または下記式(b−2): −CON(R15)(R16) (b−2) (ここで、R15およびR16は同一でも異なっていてもよ
く、アルキル基またはアリール基であり、R10とR11
相互に結合して環を形成していてもよく、環内に酸素原
子および/または窒素原子を含んでいてもよい)で表さ
れる基であり、R9 およびR12は同一でも異なっていて
もよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ア
リール基またはアリールアルキル基であり、置換基を有
していてもよく、またR8 とR9 あるいはR11とR12
それぞれ相互に結合して環を形成していてもよい〕で表
されるニッケル化合物と、下記一般式(c): R17CHO (c) 〔式中、R17は直鎖または分岐状のアルキル基、もしく
はアリール基であり、置換基を有していてもよい〕で表
されるアルデヒド化合物との存在下に、酸素含有ガスと
反応させる工程を含む、一般式(d):
【0011】
【化13】
【0012】〔式中、R1 およびR2 は前記一般式
(a)で定義したとおりである〕で表されるラクトンま
たはエステル化合物の製造方法を提供するものである。
【0013】また、本発明は、前記方法の代表例とし
て、前記ケトン化合物(A)が、下記一般式(a)′:
【化14】 〔式中、R1 ′およびR2 ′は同一でも異なっていても
よく、電子供与性基で置換されたアリール基、脂肪族不
飽和炭化水素基、または下記式(a−1)′もしくは
(a−2)′:
【化15】 (式中、R3 ′およびR4 ′は同一でも異なっていても
よく、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール
基である)
【化16】 (式中、R5 ′、R6 ′およびR7 ′は同一でも異なっ
ていてもよく、置換もしくは非置換のアルキル基または
アリール基である)で表される基であり、R1 ′と
2 ′は相互に結合して5員環、6員環または7員環を
形成していてもよい〕で表されるケトン化合物(A)′
であるラクトンまたはエステル化合物の製造方法を提供
するものである。
【0014】以下、本発明のラクトンまたはエステル化
合物の製造方法(以下、「本発明の方法」と略す)につ
いて、詳細に説明する。
【0015】本発明の方法における出発物質であるケト
ン化合物を表す前記一般式(a)において、R1 および
2 は同一でも異なっていてもよく、電子供与性基で置
換されたアリール基、脂肪族不飽和炭化水素基、または
下記式(a−1)もしくは(a−2)で表される基であ
る。この電子供与性基で置換されたアリール基の代表例
としては、メトキシ基等のアルコキシ基などの電子供与
性基を置換基として有するアリール基が挙げられ、具体
例として、p−メトキシフェニル基等が挙げられる。脂
肪族不飽和炭化水素基の代表例としては、ビニル基等が
挙げられる。また前記式(a−1)において、R3およ
びR4 は同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非
置換のアルキル基またはアリール基である。この置換も
しくは非置換のアルキル基の代表例としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基
等が挙げられる。さらに、前記式(a−2)において、
5 、R6 およびR7 は同一でも異なっていてもよく、
置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基であ
り、これらの代表例としては、前記R3 およびR4 の代
表例として例示されたものと同じものが挙げられる。こ
の前記式(a−1)または(a−2)で表される基の代
表例として、イソプロピル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げ
られる。
【0016】また、R1 とR2 は相互に結合して環を形
成していてもよく、例えば、下記式:
【0017】
【化17】
【0018】(式中、nは正の整数である)で表される
環を形成していてもよい。
【0019】さらに、本発明の方法において、前記一般
式(a)で表されるケトン化合物(A)の中でも、前記
一般式(a)′で表されるケトン化合物を出発原料とす
ると、この出発原料に対応するラクトンまたはエステル
化合物を高収率かつ高効率で製造することができる点
で、有利である。
【0020】前記一般式(a)′において、R1 ′およ
びR2 ′は同一でも異なっていてもよく、電子供与性基
で置換されたアリール基、脂肪族不飽和炭化水素基、ま
たは前記式(a−1)′もしくは(a−2)′で表され
る基である。この電子供与性基で置換されたアリール基
および脂肪族不飽和炭化水素基の代表例としては、前記
一般式(a)におけるR1 およびR2 について例示した
ものと同じものが挙げられる。また、前記式(a−
1)′および(a−2)′におけるR3 ′、R4 ′、R
5 ′、R6 ′およびR7 ′の代表例についても、前記一
般式(a)の(a−1)および(a−2)における
3 、R4 、R5 、R6 およびR7 に定義したものと同
じである。この一般式(a)′において、R1 ′と
2 ′は相互に結合している場合には、5員環、6員環
または7員環、例えば、シクロペンチリデン基、シクロ
ヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基等を形成するも
のである。
【0021】本発明の方法において、前記一般式(a)
で表されるケトン化合物(A)の代表例として、シクロ
ペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2
−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノ
ン、4−tert−ブチルシクロヘキサノン、4−フェ
ニルシクロヘキサノン、2−ノルボルナノン、p−メト
キシアセトフェノン、ピナコリン等が挙げられる。
【0022】本発明の方法で用いられるニッケル化合物
を表す一般式(b)において、R8 、R10、R11および
13は同一でも異なっていてもよく、低級アルキル基、
アリール基、アルコキシ基またはハロゲン化アルキル
基、あるいは下記式(b−1): −COOR14 (b−1)(ここ
で、R14はアルキル基またはアリール基である) または下記式(b−2): −CON(R15)(R16) (b−2) (ここで、R15およびR16は同一でも異なっていてもよ
く、アルキル基またはアリール基であり、R15とR16
相互に結合して環を形成していてもよく、環内に酸素原
子および/または窒素原子を含んでいてもよい)で表さ
れる基である。この低級アルキル基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t
ert−ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、
例えば、フェニル基等が挙げられる。また、アルコキシ
基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げ
られる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリ
フルオロメチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げ
られる。また、前記式(b−1)において、R14はアル
キル基またはアリール基であり、このアルキル基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げ
られ、アリール基としては、例えば、フェニル基等が挙
げられる。さらに、前記式(b−2)において、R15
よびR16は同一でも異なっていてもよく、アルキル基ま
たはアリール基である。このアルキル基としては、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、ア
リール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられ
る。このR15とR16は相互に結合して環を形成していて
もよく、環内に酸素原子および/または窒素原子を含ん
でいてもよい。例えば、R15とR16は相互に結合して下
記式:
【0023】
【化18】
【0024】で表される複素環などを形成していてもよ
い。
【0025】さらにまた、R9 およびR12は同一でも異
なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アル
キル基、アリール基またはアリールアルキル基である。
ハロゲン原子としては、例えば、塩素、臭素、フッ素等
が挙げられ、低級アルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられ
る。また、このR9 およびR12は置換基を有していても
よく、この置換基を有するR9 またはR12としては、例
えば、o−、m−またはp−メトキシフェニル基、3,
4−または3,5−ジメトキシフェニル基、3,4,5
−トリメトキシフェニル基等が挙げられる。
【0026】またR8 とR9 あるいはR11とR12はそれ
ぞれ相互に結合して環を形成していてもよく、例えば、
8 とR9 あるいはR11とR12は相互に結合して五員
環、六員環等を形成していてもよい。
【0027】この一般式(b)で表されるニッケル化合
物の代表例として、下記式(b−A)〜(b−K)で表
される化合物を挙げることができる。
【化19】
【0028】
【化20】
【0029】本発明の方法において、前記一般式(b)
で表されるニッケル化合物は、1種単独でも2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0030】また、このニッケル化合物は、いずれの方
法によって得られたものでもよく、特に限定されない。
また、市販品を用いてもよい。
【0031】この一般式(b)で表されるニッケル化合
物は、例えば、所望のニッケル化合物に対するジケトン
と、NiSO4 、NiCl2 またはNi(OAc)2
を用いて、脱塩法で製造することができる。このように
して得られる生成物は、反応溶媒等を除去した後、乾燥
してそのまま使用してもよい。さらに有機溶媒で抽出し
た精製物として使用してもよいし、減圧下に、昇華精製
して使用してもよく、またこれらの精製法を組み合わせ
て精製し使用に供してもよい。
【0032】本発明の方法において、前記一般式(b)
で表されるニッケル化合物の使用量は、通常、出発原料
である前記一般式(a)で表されるケトン化合物1モル
に対して0.1〜5モル%の割合であり、特に、反応速
度が速く、生成物であるラクトンまたはエステル化合物
の収率が良好である点で、1モル%の割合が一般的であ
る。
【0033】本発明の方法で用いられるアルデヒド化合
物を表す前記一般式(c)において、R17は直鎖または
分岐状のアルキル基、もしくはシクロアルキル基または
アリール基であり、置換基を有していてもよい。この直
鎖または分岐状のアルキル基の代表例としては、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、
n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル
基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、
n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が
挙げられ、シクロアルキル基の代表例としては、シクロ
ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、シ
クロオクチル基等が挙げられる。また、アリール基の代
表例としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基等
が挙げられる。また、これらの直鎖または分岐状のアル
キル基、もしくはシクロアルキル基またはアリール基
は、置換基を有していてもよく、例えば、塩素、フッ素
等のハロゲン原子、メトキシ基などの置換基を有してい
てもよい。
【0034】この一般式(c)で表されるアルデヒド化
合物の代表例として、アセトアルデヒド、プロピオンア
ルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキ
シルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデ
ヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシ
ルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、イソブチルアルデ
ヒド、2−メチルブチルアルデヒド、2−エチルブチル
アルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、イソバレル
アルデヒド、ピバルアルデヒド、2−フェニルプロピオ
ンアルデヒド、3−フェニルプロパナール、シクロヘキ
サンカルバルデヒド等が挙げられる。本発明の方法にお
いて、前記一般式(c)で表されるアルデヒド化合物
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いられ
る。
【0035】この一般式(c)で表されるアルデヒド化
合物の使用量は、出発物質である前記一般式(a)で表
されるケトン化合物1モルに対して、通常、1.0〜
3.0モル、好ましくは1.5〜2.0モルが一般的で
ある。
【0036】本発明の方法における反応は、溶媒の存在
下に行うこともでき、この溶媒を用いる場合には、通
常、上記一等式(c)で表されるアルデヒド化合物1モ
ルに対して、0.03〜5モル%のニッケル化合物を溶
媒で希釈して使用することもできる。
【0037】用いられる溶媒としては、反応に対して不
活性な溶媒であれば、特に制限されない。このような溶
媒の代表例として、ベンゼン、トルエン、o−、m−ま
たはp−キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶
媒;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲ
ン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸
ブチル等のエステル系溶媒などが挙げられる。これらの
溶媒は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。特に、ラクトンまたはエステル化合
物を高収率で得られる点で、1,2−ジクロロエタンが
好ましい。
【0038】本発明の方法で用いられる酸素含有ガス
は、酸素ガス(純酸素)でもよいし、酸素含有窒素ガス
(例えば空気)、酸素含有アルゴンガス等の酸素含有不
活性ガスでもよい。
【0039】この酸素含有ガス中の酸素の分圧は、反応
速度が速く、反応収率も高い点で、好ましくは0.2〜
5.0atm程度であり、さらに好ましくは1.0〜
2.0atm程度である。
【0040】また、反応温度は、通常、−20〜100
℃程度であり、反応速度が速く、反応収率も高い点で、
さらに好ましくは0〜30℃である。
【0041】さらに、反応圧力は、特に制限されず、常
圧で十分である。
【0042】本発明の方法における反応は、液相中で連
続的に行ってもよいし、回分的に行ってもよい。
【0043】本発明の方法において、以上の反応工程に
よって得られる反応混合物は、通常、副生物、未反応の
出発原料、触媒等を含有するため、本発明の目的物であ
る前記一般式(d)で表されるラクトンまたはエステル
化合物は、この反応混合物中から分離、精製して得るこ
とができる。
【0044】用いられる分離方法は、特に限定されず、
例えば、蒸留、吸着による方法、抽出、再結晶等の公知
の方法によって行えばよい。
【0045】本発明の方法で得られる前記一般式(d)
で表されるラクトンまたはエステル化合物の代表的なも
のとしては、ε−ヘキサノラクトン、ε−カプロラクト
ン、4−メチル−ε−カプロラクトン、4−tert−
ブチル−ε−カプロラクトン、4−フェニル−ε−カプ
ロラクトン等のラクトン化合物;酢酸 p−メトキシフ
ェニル、酢酸 t−ブチル等のエステル化合物などが挙
げられ、これらは、出発原料である前記一般式(a)で
表されるケトン化合物を適宜選択することにより、得る
ことができる。
【0046】本発明の方法によって得られる前記一般式
(d)で表されるラクトンまたはエステル化合物は、例
えば、ポリマー改質剤、あるいはε−カプロラクタム前
駆体等の合成中間体等の用途に有用である。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を挙げ、
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
により何ら限定されるものではない。
【0048】(実施例1)反応容器に、2−メチルシク
ロヘキサノン1.0mmol(112mg)、ビス(ジ
ピバロイルメタナト)ニッケル:Ni(dpm)2 0.
01mmol(4.3mg、2−メチルシクロヘキサノ
ンに対して1.0モル%)、およびイソバレルアルデヒ
ド3.0mmolを1,2−ジクロロエタンに溶解して
なる溶液2.0mlを仕込み、室温下、大気圧の酸素雰
囲気で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応
混合物をチオ硫酸ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水
溶液を用いて、順次洗浄し、粗生成物を得た。この粗生
成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:
ヘキサン−酢酸エチル混合液)で精製したところ、白色
結晶119.0mgが得られた。この白色結晶を 1H−
NMRスペクトルおよび赤外線吸収スペクトルの測定に
供して分析したところ、下記のデータか得られ、生成物
がε−ヘプタノラクトンであることが確認された。(収
率:93%) 1H−NMRスペクトル(CDCl3 ):
δ=1.35(3H,d,J=7.3Hz),1.50〜1.80(6H,m),1.80
〜2.00(2H,m),2.55 〜2.75(1H,m)赤外線吸収スペクトル
(neat):2938,1720,1179,760cm
-1
【0049】(実施例2〜7)各例において、反応容器
に、シクロヘキサノン1.0mg(98mg)、イソバ
レルアルデヒド3.0mmol、および表1に示す配位
子(LH)を有するニッケル化合物NiL2 0.01m
mol(シクロヘキサノンに対して1.0mol%)を
1,2−ジクロロエタンに溶解してなる溶液2.0ml
を仕込み、室温下、大気圧の酸素雰囲気で12時間攪拌
して反応させた。反応終了後、反応混合物をガスクロマ
トグラフィーにかけて分析し、出発原料であるシクロヘ
キサノンの転化率、および生成物であるε−カプロラク
トンの収率を求めた。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】(実施例8〜12)各例において、反応容
器に、シクロヘキサノン1.0mmol(98mg)、
ビス(ジピバロイルメタナト)ニッケル:Ni(dp
m)2 0.01mmol(4.3mg、シクロヘキサノ
ンに対して1.0モル%)、および表2に示すアルデヒ
ド3.0mmolを1,2−ジクロロエタンに溶解して
なる溶液2.0mlを仕込み、室温下、大気圧の酸素雰
囲気で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、得ら
れた反応混合物をガスクロマトグラフィーにかけて分析
し、出発原料であるシクロヘキサノンの転化率、および
生成物であるε−カプロラクトンの収率を求めた。結果
を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】(実施例13〜19)各例において、反応
容器に、ビス(ジピバロイルメタナト)ニッケル:Ni
(dpm)2 0.01mmol(4.3mg、ケトンに
対して1.0モル%)、イソバレルアルデヒド3.0m
mol、および表3に示すケトン1.0mmolを1,
2−ジクロロエタンに溶解してなる溶液2.0mlを仕
込み、室温下、大気圧の酸素雰囲気で12時間攪拌して
反応させた。反応終了後、得られた反応混合物をガスク
ロマトグラフィーにかけて分析し、出発原料であるケト
ンの転化率、および生成物であるラクトンまたはエステ
ルの収率を求めた。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】(実施例20〜22)各例において、反応
容器に、ビス(ジピバロイルメタナト)ニッケル:Ni
(dpm)2 0.01mmol(4.3mg、ケトンに
対して1.0モル%)、ベンズアルデヒド3.0mmo
l、および表4に示すケトン1.0mmolを1,2−
ジクロロエタンに溶解してなる溶液2.0mlを仕込
み、室温下、大気圧の酸素雰囲気で12時間攪拌して反
応させた。反応終了後、得られた反応混合物をガスクロ
マトグラフィーにかけて分析し、出発原料であるケトン
の転化率、および生成物であるラクトンまたはエステル
の収率を求めた。結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】(実施例23)反応容器に、シクロヘキサ
ノン2.0mmol(196mg)、ビス(ジピバロイ
ルメタナト)ニッケル:Ni(dpm)2 0.01mm
ol(4.3mg、ケトンに対して1.0モル%)、お
よびイソバレルアルデヒド6.0mmolを1,2−ジ
クロロエタンに溶解してなる溶液10.0mlを仕込
み、室温下、大気圧の酸素雰囲気で8時間攪拌して反応
させた。反応終了後、得られた反応混合物をガスクロマ
トグラフィーにかけて分析し、出発原料であるシクロヘ
キサノンの転化率、および生成物であるε−カプロラク
トンの収率を求めた。結果を表5に示す。
【0058】(比較例1〜6)各例において、ビス(ジ
ピバロイルメタナト)ニッケル:Ni(dpm)2 の代
わりに、表5に示す触媒を使用した以外は、実施例23
と同様にして反応させ、反応終了後、得られた反応混合
物をガスクロマトグラフィーにかけて分析し、出発原料
であるシクロヘキサノンの転化率、および生成物である
ε−カプロラクトンの収率を求めた。結果を表5に示
す。
【0059】
【表5】 注*1:日本化学産業(株)製 Ni含有量:5% *2:和光純薬(株)製 Co含有量:6% *3:関東化学(株)製 Fe含有量:5% *4:ニッケル(II) シクロヘキサンブチレート
【0060】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定のニッケル
化合物とアルデヒド化合物の存在下に行う新規な反応に
より、ケトン化合物からラクトンまたはエステル化合物
を、穏やかな反応により高収率かつ高効率で得ることが
できる。そのため、本発明の方法は、ラクトンまたはエ
ステル化合物の製造方法として工業的実用価値が大であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07C 69/157 C07C 69/157 C07D 309/30 C07D 309/30 D // C07B 41/04 C07B 41/04 61/00 300 61/00 300 (72)発明者 高 井 敏 浩 千葉県君津郡袖ヶ浦町長浦字拓二号580 番32 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 猪 木 哲 千葉県君津郡袖ヶ浦町長浦字拓二号580 番32 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 高 橋 克 也 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−169547(JP,A) 特公 昭46−12456(JP,B1) 特公 昭43−16145(JP,B1) 特公 昭42−10844(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07B 61/00 300 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(a): 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は同一でも異なっていてもよ
    く、電子供与性基で置換されたアリール基、脂肪族不飽
    和炭化水素基、または下記式(a−1)もしくは(a−
    2): 【化2】 (式中、R3 およびR4 は同一でも異なっていてもよ
    く、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基
    である) 【化3】 (式中、R5 、R6 およびR7 は同一でも異なっていて
    もよく、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリー
    ル基である)で表される基であり、R1 とR2 は相互に
    結合して環を形成していてもよい〕で表されるケトン化
    合物(A)を、一般式(b): 【化4】 〔式中、R8 、R10、R11およびR13は同一でも異なっ
    ていてもよく、低級アルキル基、アリール基、アルコキ
    シ基またはハロゲン化アルキル基、あるいは下記式(b
    −1): −COOR14 (b−1) (ここで、R14はアルキル基またはアリール基である) または下記式(b−2): −CON(R15)(R16) (b−2) (ここで、R15およびR16は同一でも異なっていてもよ
    く、アルキル基またはアリール基であり、R10とR11
    相互に結合して環を形成していてもよく、環内に酸素原
    子および/または窒素原子を含んでいてもよい)で表さ
    れる基であり、R9 およびR12は同一でも異なっていて
    もよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、ア
    リール基またはアリールアルキル基であり、置換基を有
    していてもよく、またR8 とR9 あるいはR11とR12
    それぞれ相互に結合して環を形成していてもよい〕で表
    されるニッケル化合物と、下記一般式(c): R17CHO (c) 〔式中、R17は直鎖または分岐状のアルキル基、もしく
    はアリール基であり、置換基を有していてもよい〕で表
    されるアルデヒド化合物との存在下に、酸素含有ガスと
    反応させる工程を含む、一般式(d): 【化5】 〔式中、R1 およびR2 は前記一般式(a)で定義した
    とおりである〕で表されるラクトンまたはエステル化合
    物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ケトン化合物(A)が、下記一般式
    (a)′: 【化6】 〔式中、R1 ′およびR2 ′は同一でも異なっていても
    よく、電子供与性基で置換されたアリール基、脂肪族不
    飽和炭化水素基、または下記式(a−1)′もしくは
    (a−2)′: 【化7】 (式中、R3 ′およびR4 ′は同一でも異なっていても
    よく、置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール
    基である) 【化8】 (式中、R5 ′、R6 ′およびR7 ′は同一でも異なっ
    ていてもよく、置換もしくは非置換のアルキル基または
    アリール基である)で表される基であり、R1 ′と
    2 ′は相互に結合して5員環、6員環または7員環を
    形成していてもよい〕で表されるケトン化合物(A)′
    である請求項1に記載のラクトンまたはエステル化合物
    の製造方法。
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