JP3013961B2 - 磁性焼鈍後の鉄損の少ない無方向性電磁鋼板 - Google Patents

磁性焼鈍後の鉄損の少ない無方向性電磁鋼板

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JP3013961B2 JP29847993A JP29847993A JP3013961B2 JP 3013961 B2 JP3013961 B2 JP 3013961B2 JP 29847993 A JP29847993 A JP 29847993A JP 29847993 A JP29847993 A JP 29847993A JP 3013961 B2 JP3013961 B2 JP 3013961B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた磁気特性を有す
る無方向性電磁鋼板に関するものである。無方向性電磁
鋼板は、鋼板が製鉄所から出荷される際に既に最終的な
磁気特性を具備しているように製造されたフルプロセス
製品と、鋼板の納入先にて行われる打抜き加工や剪断加
工後の磁性焼鈍により、初めて所定の磁気特性が現出さ
れるようにされたセミプロセス製品とに区分され、本発
明は後者に関するものである。しかし、フルプロセス製
品として使用しても何ら問題ないことは言うまでもな
い。
【0002】
【従来の技術】無方向性電磁鋼板は、例えば発電機、電
動機、小型変圧器等の電気機器に広範囲にわたって使用
される。しかし、最近省エネルギーの見地から更に鉄損
の少ない材料が供給されることが求められている。
【0003】無方向性電磁鋼板の鉄損を決定する主な要
因は、Si+Alの含有量と結晶粒径であり、同一成分
の場合は結晶粒径は約120μmの時に最も鉄損が少な
くなることが知られている。このクラスの無方向性電磁
鋼板は、製造メーカーの出荷時点での平均結晶粒径は約
5〜20μm程度であるので、需要家での打抜きなどの
加工後の磁性焼鈍により結晶粒径を大きくすることが鉄
損を少なくすることになる。
【0004】ところで鋼板中には介在物が存在し、この
介在物は、需要家での磁性焼鈍時の結晶粒成長を妨げる
ので無害化を図らなければならない。本発明者らは、特
開昭63−195217号、特開平1−152239
号、特開平2−259015号の各公報に開示している
ごとく、鋼中のSiO2 ,MnO,Al2 3 の3種の
介在物の総重量に対するMnOの重量の割合やSiO2
の重量の割合を特定範囲に制限することを特徴とする磁
性焼鈍後の鉄損の少ない無方向性電磁鋼板やその製造方
法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
従来の技術により得られる鉄損は満足できるものではな
く、本発明は、前記の従来の技術をさらに改良すること
により工業的に安価に製造し得るセミプロセス無方向性
電磁鋼板を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、重量
で〔C〕:0.015%以下、〔Si〕:0.1〜1.
0%、〔Mn〕:1.5%以下、〔P〕:0.01〜
0.15%、〔S〕:0.008%以下、〔Sol.A
l〕:0.0005%以上0.0010%未満、
〔N〕:0.0050%以下、〔T.O〕:0.02%
以下を含む無方向性電磁鋼板において、鋼中のSi
2 ,MnO,Al2 3 の3種の介在物の総重量に対
するMnOの重量の割合が15%以下、SiO2 の重量
の割合が75%以上であることを特徴とする磁性焼鈍後
の鉄損の少ない無方向性電磁鋼板である。
【0007】本発明者は、磁性焼鈍後の鉄損を更に少な
くすべく鋭意研究を重ねた。その結果、鋼中の〔Sol.A
l〕が0.0005%以上0.0010%未満であると
鉄損が少なくなることを見出した。従来の製鋼技術で
は、〔Sol.Al〕を0.001%以上含有しないと工業
的に安定して鋼中の酸素量T.Oを200ppm 以下にで
きなかった。しかし、本発明者らが特開昭62−310
37号公報において提案したように、一次精錬後の真空
脱ガス処理中の脱炭中にカーボネットを一回又は数回の
添加を行い最終脱酸前のFree〔O〕を下げる方法を
採用し、これに加えて、真空脱ガス処理、連続鋳造タン
ディッシュにおける新たな介在物除去対策を行った結
果、〔Sol.Al〕が0.001%未満であってもT.O
を工業的に安定して200ppm 以下にできるようになっ
た。そこで、〔Sol.Al〕の磁性焼鈍後の鉄損に及ぼす
影響を調査したところ、〔Sol.Al〕が0.0010%
未満で鉄損が少なくなることが判明した。
【0008】図1には本発明者が行った実験結果を示
す。すなわち本発明の成分範囲を満足する〔C〕0.0
03%、〔Si〕0.12%、〔P〕0.06%、〔M
n〕0.25%、〔S〕0.002%〜0.003%、
〔N〕0.0031%〜0.0044%、〔T.O〕
0.02%以下を含む無方向性電磁鋼板において、鋼中
のSiO2 ,MnO,Al2 3 の3種の介在物の総重
量に対するMnOの重量の割合、SiO2 の重量の割合
が本発明範囲にあるものと、本発明範囲から外れるもの
について、〔Sol.Al〕と750℃×2時間の磁性焼鈍
後の鉄損との関係を示している。これより、鋼中のSi
2 ,MnO,Al2 3 の3種の介在物の総重量に対
するMnOの重量の割合、SiO2 の重量の割合が本発
明から外れる場合は〔Sol.Al〕と鉄損W15/50の関係
は不明瞭であるが、酸化物の組成が本発明範囲に有る場
合、〔Sol.Al〕が0.001%未満であると鉄損が少
なくなることが分かる。
【0009】以下に本発明の諸条件及び限定理由を説明
する。 〔C〕:Cは0.015%を越えると磁気特性に有害と
なるばかりかCの析出による磁気時効が著しくなり、磁
気特性が劣化するので0.015%以下、望ましくは
0.010%以下とする。 〔Si〕:Siは、添加量が増加すればするほど鉄損の
減少度合いを増す元素であるが、本発明は、700〜8
00℃程度の磁性焼鈍で粗粒化させ、低鉄損化を狙うた
め、Siは0.1〜1.0%とした。
【0010】〔Mn〕:Mnは鋼板の硬度を増加させ、
打抜き性を改善するため添加するが、上限の1.5%は
経済的理由によるものである。 〔P〕:Pは製品の硬度を増し、打抜き性を改善するた
めに添加するが、0.15%を越えると脆化が著しい。
一般には、0.10%以下に抑える。 〔S〕:SはMnやトランプエレメントのCuなどと結
合しMnSやCu2 Sとなり、磁性焼鈍時の結晶粒成長
を妨げるので少ない方が好ましく、0.008%以下と
した。 〔Sol.Al〕:Sol.Alが0.0010%を越えると微
細なAINが増え、磁性焼鈍後の鉄損を少なくできな
い。下限は、現在の製鋼技術では工業的に安定してSol.
Alを0.0005%未満にできないためである。
【0011】〔N〕:Nが0.0050%を越えると、
磁性焼鈍後の結晶粒成長を抑制するに十分な量AINが
生成するため、Nは0.0050%以下とした。好まし
くは、0.0030%以下である。 〔T.O〕:T.Oが0.02%を越えると酸化物が増
え、磁性焼鈍時に結晶粒成長を妨げるので、T.Oは
0.02%以下とした。特に0.015%以下にすると
効果が著しい。
【0012】〔MnO〕,〔Al2 3 〕,〔Si
2 〕:MnO,Al2 3 ,SiO2の3種の介在物
の総重量に対するMnOの重量に対するMnOの重量の
割合が15%を越え、SiO2 の重量の割合が75%未
満であると低融点の介在物を生成し、これらが、スラブ
加熱中に溶融あるいは軟化し、熱延中に圧延方向に微細
に分断されたり、圧延方向に伸ばされ、磁性焼鈍時に結
晶粒成長を妨げるので鉄損を少なくできない。MnO,
Al2 3 ,SiO2 以外の例えばMgO,CaO,Z
rO2 等の製鋼作業中に止を得ず混入する酸化物が存在
する。勿論、これらの酸化物は極力少ない方が好まし
い。
【0013】
【実施例1】0.1%Siを含有する種々の成分組成の
無方向性電磁鋼板用スラブを製造した。次いでこれを1
180℃でスラブ加熱し、厚さ2.0mmに熱間圧延し
た。この熱延板を酸洗し、0.5mm厚に冷延圧延し、次
いで775℃×60秒の条件で連続焼鈍炉で仕上焼鈍を
行い、更に750℃×2時間の磁性焼鈍を行った。こう
して得られた製品の成分組成、介在物の含有割合及び磁
性焼鈍後の鉄損W15/50を表1に示す。これより、本発
明の製品は鉄損の少ない製品であることが分かる。
【0014】
【表1】
【0015】
【実施例2】0.7%Siを含有する種々の成分組成の
無方向性電磁鋼板用スラブを製造した。次いでこれを1
180℃でスラブ加熱し、厚さ2.0mmに熱間圧延し
た。この熱延板を酸洗し、0.5mm厚に冷延圧延し、次
いで785℃×60秒の条件で連続焼鈍炉で仕上焼鈍を
行い、更に750℃×2時間の磁性焼鈍を行った。こう
して得られた製品の成分組成、介在物の含有割合及び磁
性焼鈍後の鉄損W15/50を表2に示す。これより、本発
明の製品は鉄損の少ない製品であることが分かる。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】以上詳述の如く、本発明は無方向性電磁
鋼板の成分組成と介在物の含有割合を限定したもので、
磁性焼鈍時の結晶粒成長が容易な、安価な鉄損の少ない
無方向性電磁鋼板である。
【図面の簡単な説明】
【図1】〔Sol.Al〕と磁性焼鈍後の鉄損W15/50の関
係を示す図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で 〔C〕:0.015%以下、 〔Si〕:0.1〜1.0%、 〔Mn〕:1.5%以下、 〔P〕:0.01〜0.15%、 〔S〕:0.008%以下、 〔Sol.Al〕:0.0005%以上0.0010%未
    満、 〔N〕:0.0050%以下、 〔T.O〕:0.02%以下 を含む無方向性電磁鋼板において、鋼中のSiO2 ,M
    nO,Al2 3 の3種の介在物の総重量に対するMn
    Oの重量の割合が15%以下、SiO2 の重量の割合が
    75%以上であることを特徴とする磁性焼鈍後の鉄損の
    少ない無方向性電磁鋼板。
JP29847993A 1993-11-29 1993-11-29 磁性焼鈍後の鉄損の少ない無方向性電磁鋼板 Expired - Lifetime JP3013961B2 (ja)

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JPH1112699A (ja) * 1997-06-20 1999-01-19 Sumitomo Metal Ind Ltd 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法
CN102127702A (zh) * 2011-01-16 2011-07-20 首钢总公司 一种低s高牌号无取向电工钢的制备方法
KR101728028B1 (ko) * 2015-12-23 2017-04-18 주식회사 포스코 무방향성 전기강판 및 그 제조방법

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