JP2021011592A - 溶鋼の精錬方法 - Google Patents
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Abstract
Description
記
1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)≧60 ・・・(1)
1.29×(%T. Mn)/(%SiO2)≧0.7 ・・・(2)
ここで、(%T. Mn):フラックス中の全マンガン濃度(質量%)
(%SiO2):フラックス中の二酸化ケイ素の濃度(質量%)
記
[Si] ≦ 10×WFlux/WSteel×0.40×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(3)
[Mn] ≦ [Mn]Fin−WFlux/WSteel×0.77×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(4)
ここで、[Si]:脱硫フラックス添加直前の溶鋼中Si濃度(質量%)、
WSteel:溶鋼重量(t)、
WFlux:添加フラックス重量(t)
(%T. Mn)、(% SiO2):脱硫フラックス中の全MnおよびSiO2濃度、
[Mn]:脱硫フラックス添加直前における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%)
[Mn]Fin:真空脱ガス処理終了時における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%)
C:0.0050質量%以下、
Si:1.5〜5.0質量%、
Mn:0.2〜3.0質量%、
sol.Al:0.0030質量%以下、
P:0.2質量%以下、
S:0.0050質量%以下および
N:0.0040質量%以下
を含み、
鋼中の全Ca濃度(T.Ca):0.0010〜0.0080質量%および
鋼中の全酸素濃度(T.O):0.0100質量%以下
であり、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する前記(C)に記載の溶鋼の精錬方法。
記
A群:SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.01 質量%〜0.1 質量%
B群:MgおよびREMのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.0001 質量%〜0.050 質量%
C群:Cu, NiおよびCrのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で:0.01 質量% 〜 0.5 質量%
本発明者らは、転炉から出鋼後に真空脱ガス処理装置を用いて脱硫処理(真空脱ガス処理)を行い、次いでCa含有合金添加処理、例えば、鉄皮で被覆されたCa-Siワイヤー等を真空脱ガス処理後の溶鋼中へ大気下で添加し、介在物をCa系に改質する処理を行って、C:0.0050質量%以下、Si:1.5〜5.0質量%、Mn:0.2〜3.0質量%、sol.Al:0.0030質量%以下、P:0.2質量%以下、S:0.0050質量%以下およびN:0.0040質量%以下を含有し、鋼中の全Ca濃度(T.Ca):0.0010〜0.0080質量%および鋼中の全酸素濃度(T.O):0.0100質量%以下である溶鋼を溶製し、該溶鋼を連続鋳造に供することによって、無方向性電磁鋼板を製造した。なお、前記溶鋼の調整組成は、タンディッシュにおける成分組成である。
MnO2→MnO+1/2O2
Mn2O3→2MnO+1/2O2
Mn3O4→3MnO+1/2O2
すなわち、常温では形態が異なる酸化Mnは溶鋼添加時においては安定相であるMnOの形態をとり、次式(5)式の反応にて脱硫へ寄与するものと考えられる。
以下、酸化Mnを代表してMnOと記載し、フラックス中の酸化Mn濃度も、フラックス中の全Mn濃度をMnO濃度に換算した値((%MnO)=1.29×(%T.Mn))で示すものとする。
(MnO) + [S] = (MnS) + [O] ・・・(5)
ここで、(MnO):フラックス中のMnO濃度
(MnS):フラックス中のMnS濃度
[S]:溶鋼中のS濃度
[O]:溶鋼中のO濃度
[Si] ≦ 10×WFlux/WSteel×0.40×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(3)
[Mn] ≦ [Mn]Fin−WFlux/WSteel×0.77×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(4)
ここで、[Si]:脱硫フラックス添加直前の溶鋼中Si濃度(質量%)
WSteel:溶鋼重量(t)
WFlux:添加フラックス重量(t)
(%T. Mn)、(% SiO2):脱硫フラックス中の全MnおよびSiO2濃度
[Mn]:脱硫フラックス添加直前における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%)
[Mn]Fin:真空脱ガス処理終了時における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%)
C:0.0050 質量%以下
Cは、磁気時効を起こして鉄損を増加させる元素であり、特に0.0050 質量%を超えると、鉄損の増加が顕著となることから、0.0050 質量%以下に制限する。好ましくは0.0030 質量%以下である。なお、下限については、少ないほど好ましいので、特に規定しない。
Siは、鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素である。特に、本発明では、Siと同じ効果を有するAlの低減を想定しているため、Siは1.5 質量%以上添加する。しかし、Siが5.0 質量%を超えると、磁束密度が低下するだけでなく、鋼が脆化し、冷間圧延中に亀裂を生じる等、製造性を大きく低下させる。よって、上限は5.0 質量%とする。さらに好ましくは、1.6 質量% 〜 3.8 質量%の範囲である。
Mnは、Siと同様、鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素でもある。そこで、本発明では、Mnを0.20 質量%以上含有させる。一方、3.0 質量%を超えると、磁束密度が低下するため、上限は3.0 質量%とする。
Pは、微量の添加で鋼の硬さを高める効果が大きい有用な元素であり、要求される硬さに応じて適宜添加するとよい。しかし、Pの過剰な添加は、冷間圧延性の低下をもたらすので、上限は0.2 質量%とする。
Sは、硫化物となって析出物や介在物を形成し、製造性(熱間圧延性)や製品板の磁気特性を低下させるので、少ないほど好ましい。そこで、本発明での上限は0.005 質量%まで許容されるが、磁気特性を重視する場合には0.0025 質量%以下とするのが好ましい。なお、Sは少ないほど好ましいので、下限は特に規定しない。
Alは、Siと同様、鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低減するのに有効な元素である。しかし、先述したように、スクラップを鋳物銑の原料としてリサイクルする観点から、Alは0.05 質量%未満であることが望まれており、低いほど好ましい。また、集合組織を改善し、磁束密度を高める目的から、Alをさらに低減し、sol.Al(酸可溶Al)で0.0030 質量%以下に制限する。好ましくは、0.0020 質量%以下、さらに好ましくは、0.0010 質量%以下の範囲である。下限については、少ないほど好ましいので、特に規定しない。
Nは、前述したCと同様、磁気特性を劣化させる元素であり、特に、低Al材では、上記悪影響は顕著となるので、0.0040 質量%以下に制限する。好ましくは0.0030 質量%以下である。なお、下限については、少ないほど好ましいので、特に規定しない。
Caは、CaSとなって粗大な析出物を形成し、MnS等の微細な硫化物の析出を抑制するため、結晶粒成長を改善し、鉄損を低減する効果がある。このため、0.0010 質量%以上とするのが好ましい。一方で、0.0080 質量%を超える添加は、Ca硫化物やCa酸化物の量が増加して粒成長を阻害し、却って鉄損特性が劣化するため、上限は0.0080 質量%とするのが好ましい。ここで、全Ca濃度(T.Ca)は、鋼中の酸可溶Caと酸不可溶Caの和からなる濃度である。
Oは、T.Oで0.0100 質量%を超えると、鋼中の酸化物系介在物量が増加して粒成長を阻害し、鉄損特性を劣化させるため、上限は0.0100 質量%以下とする。好ましくは、0.0060 質量%以下である。なお、下限については、少ないほど好ましいので、特に規定しない。
本発明の適用によって得られる無方向性電磁鋼板用溶鋼は、上記成分に加えてさらに、下記A群〜C群のうちの少なくとも1群の成分を含有することが可能である。
SnおよびSbは、いずれも、集合組織を改善し、磁気特性を向上する効果を有する。上記効果を得るには、単独または複合して、それぞれ0.01 質量%以上添加するのが好ましい。しかし、過剰に添加すると、鋼が脆化し、鋼板の製造過程で板破断やヘゲ等の表面欠陥を引き起こすため、上限はそれぞれ0.1 質量%とするのが好ましい。より好ましくは1種または2種を合計で0.02〜0.05 質量%の範囲である。
MgおよびREMは、高温でMnSやCu2Sよりも安定な硫化物を生成し、磁気特性を向上させる効果を有する元素であるため、これらの元素の1種または2種を含有させることができる。上記効果を得るためには、MgおよびREMの1種または2種を合計で0.0001 質量%以上添加することが好ましい。一方、過剰に含有させても、効果が飽和し、経済的に不利となるため、上限は1種または2種を合計で0.050 質量%とするのが好ましい。
Cu,NiおよびCrは、鋼板の比抵抗を高めて鉄損を低減させるのに有効な元素であるため、これらの元素の1種または2種以上を含有させることができる。上記効果を得るためには、1種または2種以上を合計で0.01 質量%以上添加するのが好ましい。一方、これらの元素は、SiやAlと比較して高価であるため、1種または2種以上を合計で0.5 質量%以下とするのが好ましい。
本発明にて製造される無方向性電磁鋼板は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の作用効果を害しない範囲内であれば、他の元素の含有を拒むものではなく、例えば、不可避的不純物として含まれる含有量が、Vは0.004 質量%以下、Nbは0.004 質量%以下、Bは0.0005 質量%以下、Niは0.05 質量%以下、Crは0.05 質量%以下、Cuは0.1 質量%以下、Tiは0.002 質量%以下であれば許容される。
転炉あるいは電気炉にて出鋼した溶鋼を、RH等の真空処理機能を有した真空脱ガス処理装置にて、Cを極低濃度まで脱炭すると同時に、脱窒を行う。C濃度が0.0050 質量%以下に到達した後、金属SiやSi合金、金属MnやMn合金を添加した後、真空槽上部から本発明に従う脱硫フラックスを添加し、溶鋼の脱硫を行う。このとき、真空槽に設置した上吹きランスよりキャリアガスとともに脱硫フラックスを溶鋼上へ吹き付けても良い。また、真空槽あるいは取鍋に設置した、羽口や浸漬ランスからキャリアガスとともに本発明の脱硫フラックスを溶鋼中へインジェクションすることも可能である。このとき、さらなる良好な脱硫反応を得るためには、溶鋼中のSiおよびMn濃度が前述の(3)および(4)式を満たしていることが好ましい。その後、溶鋼中Siを所定の濃度に調整した後、Mnなど他の合金成分を添加して最終成分調整を行う。
上記の無方向性電磁鋼板用溶鋼を、上記にて説明した方法にて溶製し、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法等で鋼素材(スラブ)とする。その後、製造したスラブに熱間圧延を行うが、その際のスラブを再加熱する温度(SRT)は1000〜1250℃の範囲とすることが好ましい。SRTが1250℃を超えると、エネルギーロスが大きくなり不経済となるだけでなく、スラブの高温強度が低下し、スラブ垂れなどの製造上のトラブルが生じる、おそれがある。一方、SRTが1000℃を下回ると、熱間変形抵抗が増大し、熱間圧延することが困難となる。続く熱間圧延の条件は、通常の条件で行えばよい。熱間圧延した鋼板の板厚は、生産性を確保する観点から、1.5〜2.8mmの範囲とするのが好ましい。1.5mm未満では、熱間圧延での圧延トラブルが増加し、一方、2.8mm超えでは冷延圧下率が高くなり過ぎて、集合組織が劣化するからである。より好ましい熱延板厚は1.7〜2.4mm範囲である。
Claims (5)
- 溶鋼を真空脱ガス処理する際に、酸化MnおよびSiO2を下記(1)式および(2)式を満たす範囲にて含むフラックスを添加する溶鋼の精錬方法。
記
1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)≧60 ・・・(1)
1.29×(%T. Mn)/(%SiO2)≧0.7 ・・・(2)
ここで、(%T. Mn):フラックス中の全マンガン濃度(質量%)
(%SiO2):フラックス中の二酸化ケイ素の濃度(質量%) - 前記真空脱ガス処理は、下記(3)式および(4)式を満たす条件下で行う請求項1に記載の溶鋼の精錬方法。
記
[Si] ≦ 10×WFlux/WSteel×0.40×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(3)
[Mn] ≦ [Mn]Fin−WFlux/WSteel×0.77×[1.29×(%T. Mn)−0.4{1.29×(%T. Mn) +(%SiO2)}] ・・・(4)
ここで、[Si]:脱硫フラックス添加直前の溶鋼中Si濃度(質量%)、
WSteel:溶鋼重量(t)、
WFlux:添加フラックス重量(t)
(%T. Mn)、(% SiO2):脱硫フラックス中の全MnおよびSiO2濃度、
[Mn]:脱硫フラックス添加直前における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%)
[Mn]Fin:真空脱ガス処理終了時における溶鋼中Mn濃度の目標値(質量%) - 前記真空脱ガス処理の後に、Ca含有合金を添加する請求項1または2に記載の溶鋼の精錬方法。
- 前記Ca含有合金を添加後のタンディッシュにおける溶鋼は、
C:0.0050質量%以下、
Si:1.5〜5.0質量%、
Mn:0.2〜3.0質量%、
sol.Al:0.0030質量%以下、
P:0.2質量%以下、
S:0.0050質量%以下および
N:0.0040質量%以下
を含み、
鋼中の全Ca濃度(T.Ca):0.0010〜0.0080質量%および
鋼中の全酸素濃度(T.O):0.0100質量%以下
であり、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する請求項3に記載の溶鋼の精錬方法。 - 前記成分組成は、さらに、下記のA群、B群およびC群のうちの少なくとも1群の化学成分を含有する請求項4に記載の溶鋼の精錬方法。
記
A群:SnおよびSbのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.01 質量%〜0.1 質量%
B群:MgおよびREMのうちから選ばれる1種または2種を合計で0.0001 質量%〜0.050 質量%
C群:Cu, NiおよびCrのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で:0.01 質量% 〜 0.5 質量%
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