JPH0967655A - 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板

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JPH0967655A
JPH0967655A JP7220100A JP22010095A JPH0967655A JP H0967655 A JPH0967655 A JP H0967655A JP 7220100 A JP7220100 A JP 7220100A JP 22010095 A JP22010095 A JP 22010095A JP H0967655 A JPH0967655 A JP H0967655A
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diameter
magnetic
annealing
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JP7220100A
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Seishi Uei
清史 上井
Akira Hiura
昭 日裏
Yoshihiko Oda
善彦 尾田
Kunikazu Tomita
邦和 冨田
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性焼鈍した後の鋼板を含む低磁場特性の優
れたセミプロ無方向性電磁鋼板を提供する。 【解決手段】 重量%で、Si:1%以下、Al:0.
004%以下、Mn:0.1〜0.8%、P:0.2%
以下を含有し、S:0.02%以下、C:0.005%
以下、N:0.005%以下の鋼板であって、鋼板中に
含まれる介在物の大きさおよび個数が、直径0.1〜1
μmの大きさのものが500〜5000個/mm 2、直
径1μm超えから7.5μmまでの大きさのものが20
0個/mm 2以下である。 【効果】 磁性焼鈍後に低磁場領域においても、磁束密
度、鉄損を大幅に改善することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた低磁場特性
を有する無方向性電磁鋼板に関するものである。
【0002】無方向性電磁鋼板には、鋼板が製鉄所から
出荷される際に仕上げ焼鈍などを施されて最終的な磁気
特性を具備しているように製造されたフルプロセス製品
と、仕上焼鈍後の鋼板を需要家において打抜き加工・剪
断加工などを実施し、最後に磁性焼鈍を行うことによ
り、加工歪の除去と結晶粒の粗大化を図り所定の磁気特
性を得るように配慮したセミプロセス製品に分けられ
る。
【0003】本発明は、後者に属するもので、磁性焼鈍
した後の鋼板を含む低磁場特性の優れたセミプロセス無
方向性電磁鋼板を提供するものである。
【0004】
【従来の技術】パワーエレクトロニクス技術が急速な進
歩をとげ、その代表例であるインバーターが産業用の大
型機器から家電製品まで幅広く採用されるようになって
きた。インバーターの採用により、電気機器の省電力、
高効率、高性能、小型化などが実現されている。
【0005】従来、こうした大型モーターやコンプレッ
サーモーターの鉄心材料には高磁束密度(B50で評
価)、低鉄損(W15/50)が要求されてきた。しか
しながらインバーター駆動による大型モーターやコンプ
レッサーモーターは、起動時には1.2〜1.5T、安
定状態では0.8〜1.0T程度で励磁されることが多
く、これまで以上に低磁場での磁気特性が重要視される
ようになってきた。
【0006】さらに小型モータ、特に交流モータ、イン
バータ駆動モータ、小型制御用モータなどは、応答性が
重要視され、鉄心材料として使用される電磁鋼板には、
磁化曲線の立ち上がりが鋭いこと、すなわち低磁場領域
での磁束密度が高いことが要求されている。
【0007】そうした要請に対して従来では、低磁場領
域でも磁壁の移動が容易な、(Si+Al)含有量の多
い、いわゆる高級珪素鋼板が使用されてきた。しかしな
がらこれらの鋼板は高価格であり、家電機器用材料とし
ては経済的な不利が大きい。そのため(Si+Al)量
が低い範囲でも低磁場特性を向上させるための検討がな
されてきた。
【0008】一般に、低磁場での磁気特性は結晶粒径の
増大とともに向上するため、仕上焼鈍もしくは磁性焼鈍
時に粒成長を阻害する因子を出来るだけ低減させる観点
からの検討が行なわれている。また粒成長のドライビン
グフォースを高める観点からの検討も盛んに行なわれて
いる。
【0009】具体的に前者は、鋼板中の介在物・析出物
の形状・分布・組成を制御し、結晶粒成長を妨げるピン
ニングサイトを減少させることを狙いとしており、特開
昭61−266059号公報に例示されるとおりであ
る。本号公報では、直径10μm以上の大きさの介在物
を1000個/mm2 以下に制御し、平均結晶粒径を5
0μm以上とすることによってB1 特性を向上させてい
る。
【0010】また後者は圧延条件・焼鈍条件を特定の範
囲とすることによって結晶粒成長を実現させるものであ
り、特公平4−34614号公報では、2次冷間圧延を
圧下率1〜15%かつ圧延速度500〜2500m/m
inの条件で行なうことによってB1 特性を向上させて
いる。また特開平3−202424号公報には再結晶焼
鈍を実施する際に焼鈍雰囲気を制御するとともに、加熱
速度・均熱温度・均熱時間を特定範囲にすると低磁場特
性が向上すること、特開平3−202425号公報に
は、最終焼鈍を2段階とする方法が低磁場特性に有効で
あることが述べられている。
【0011】さらに製造段階での歪の導入を最小限にす
る観点からの検討も行なわれており、特開平4−128
318号公報では、焼鈍時のコイル幅方向の温度分布を
厳密に管理し、かつ冷却速度を制御する方法が提案され
ている。
【0012】また低磁場特性には言及していないが、介
在物制御の観点から結晶粒を粗大化させる方法として、
SiおよびS量に対して特定範囲のMn量にすることに
より、凝固過程でのMnSを増大させ、ピンニングサイ
トとして機能しにくい粗大なMnSとする特開平3−2
49115号公報に記載の方法、スラブ加熱温度を11
50℃以下と低い温度に設定し、MnSの再固溶を防止
することによって微細に分散しやすい再析出MnS量を
制御する特開昭62−199720号公報に示された方
法、酸化物の組成を制御する特開平1−152239号
公報に記載の方法などがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら益々高ま
る省エネルギーの要請、電気機器の効率向上、小型化、
高い応答性に応える低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼
板を得ようとする場合、特開昭61−266059号公
報に示される方法では未だ不十分であり、介在物の単な
る形状・分布制御を越える新たな視点からの検討が必要
である。また特開平3−24115号公報、特開昭62
−199720号公報および特開平1−152239号
公報に示されるような従来概念に基づくMnS、AlN
の粗大化あるいは酸化物の組成制御のみでは目標とする
性能が得られず、これまた新たなメカニズムに基づく検
討が必要である。さらに特開平4−128318号公報
に示される方法は厳密な管理が必要であり、実用的とは
いえない。さらにまた特公平4−34614号公報、特
開平3−202424号公報および特開平3−2024
25号公報に示される方法は複雑な工程をもたらし経済
的に不利である。
【0014】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、新たな視点から低磁場特性を向上させた無
方向性電磁鋼板を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量%(以
下、同様)で、Si:1%以下、Al:0.004%以
下、Mn:0.1〜0.8%、P:0.2%以下を含有
し、S:0.02%以下(0を含む)、C:0.005
%以下(0を含む)、N:0.005%以下(0を含
む)の鋼板であって、鋼板中に含まれる介在物で直径
0.1〜1μmのものが500〜5000個/mm2
下、直径1μm超〜7.5μmのものが200個/mm
2 以下であることを特徴とする低磁場特性に優れた無方
向性電磁鋼板である。
【0016】本発明の骨子は、介在物が磁気特性に果た
す役割を解明し、それに基づいた対策を示したことにあ
る。すなわち鋼板中の介在物はその大きさ毎にそれぞれ
低磁場特性への影響が異なり、 円相当直径(直径、以下同様)1超〜7.5μmの介
在物:粒子周辺の静磁エネルギーを減少させるために新
たな磁区を発生させ、その結果として極めて複雑な磁区
構造を形成する。
【0017】0.1〜1μmの介在物:本願が対象と
している鋼種では、焼鈍時の粒成長を支配する。ことを
明確にしたことである。
【0018】以下、詳述する。 (1)介在物 本発明では、介在物の挙動が低磁場領域での磁化過程に
重要な役割を果たすという考えのもと以下の検討を行な
った。ここでいう介在物とは、鋼板中の硫化物、酸化
物、炭化物、窒化物などあるいはこれらの2元、3元の
複合体の全てを示しており、介在物、析出物、晶出物な
どの全てを含む総称である(以下、明細書の中で、単に
介在物と表現する)。
【0019】まず表1に示す鋼板を溶製した。鋼板中に
存在する介在物は、溶鋼の溶製段階で生成する1次脱酸
生成物と凝固冷却時に溶解度の低下により晶出する2次
脱酸生成物とに分かれる。そこで介在物のサイズおよび
個数を調整するために、真空溶解炉を用い、スラグの塩
基度・組成の調整、真空度・真空時間の調整および溶鋼
凝固時の冷却速度の調整を行なって鋳片を製造した。
【0020】
【表1】
【0021】それらの鋳片を熱間圧延で2mmの板厚と
し、酸洗し、冷間圧延で板厚0.5mmに仕上げた。そ
の後、750℃・2分間の仕上げ焼鈍後、打抜き加工、
剪断加工後に、750℃・2時間の磁性焼鈍を施した。
なお、仕上げ焼鈍後の介在物の大きさは最大でも直径
7.5μm以下であった。また表1の鋼板の化学成分の
表示しない残部はFe及び不可避不純物である。
【0022】得られた試料について介在物観察を行なっ
た。直径1μm超の介在物は光学顕微鏡で行い、0.1
〜1μmは走査型電子顕微鏡で、0.1μm未満は透過
型電子顕微鏡を用いてレプリカ法で行った。また磁区観
察を走査型電子顕微鏡で実施した。さらに磁束密度
1 、鉄損W10/50をエプスタイン試験機(JIS
C2550)で測定した。
【0023】図1は直径1超〜7.5μmと中型の介在
物の個数と磁性焼鈍後の磁束密度B 1 および平均結晶粒
径との関係を示している。図には直径0.1〜1μmの
サイズを3水準変化させてデータを示しているが、磁性
焼鈍後の平均結晶粒径は、直径0.1〜1μmの介在物
の個数に依存して変化し、直径1超〜7.5μmの中型
介在物の量に依存しないことがわかる。これに対し、磁
性焼鈍後の磁束密度B 1 は中型介在物の個数の減少とと
もに増大する傾向が認められ、直径0.1〜1μmの介
在物の個数が1000〜2000個/mm 2の場合、と
くに優れたB1が得られていることがわかる。この場合
中型介在物量を200個/mm2 以下とすることによ
り、B1 が0.8T以上と高級電磁鋼板に相当する高い
値が得られている。
【0024】図2は中型介在物個数と磁性焼鈍後の鉄損
W10/50および平均粒径の関係を示している。図1
と同様の傾向が認められ、中型介在物の減少とともに鉄
損が減少することがわかる。鉄損についても直径0.1
〜1μmの介在物の個数が1000〜2000個/mm
2の場合、とくに優れたW10/50が得られており、
中型介在物が200個/mm2 以下2.0W/kg以下
という良好な値になる。
【0025】以上のことから、直径1超〜7.5μmの
介在物の個数を、200個/mm2以下に限定する。
【0026】なお走査型電子顕微鏡を用いて磁区観察を
実施した結果、直径1超〜7.5μmの介在物の周辺に
は、複雑な磁区が多数観察され、静磁エネルギーを減少
させていることが判明した。直径1超〜7.5μmの介
在物の減少による低磁場特性の向上はこの複雑な磁区生
成量の減少によるものと推定する。
【0027】次に直径1〜7.5μmの介在物個数を、
200個/mm2 以下として0.1〜1μmの介在物の
個数を変化させた場合について検討を行なった。
【0028】図3は中型介在物量を200個/mm2
下に抑え直径0.1〜1μmの介在物個数と磁性焼鈍後
の磁束密度B1 および平均結晶粒径の関係を示したもの
である。また図4は直径0.1〜1μmの介在物個数と
磁性焼鈍後の鉄損W10/50および平均結晶粒径の関
係を示している。
【0029】図から明らかなとおり、直径0.1〜1μ
mの介在物の個数が500〜5000個/mm2 の範囲
で優れた磁気特性が示されており、磁束密度B1 が安定
して高い値を示し鉄損W10/50が低い値を示してい
る。一方磁性焼鈍後の平均結晶粒径は磁気特性とよく対
応しており、直径0.1〜1μmの介在物の個数が50
0〜5000個/mm2 の範囲で100μm程度の粗大
粒となっている。
【0030】これに対して、直径0.1〜1μmの介在
物の個数が500個/mm2 未満の場合には平均結晶粒
径が急激に減少しており、とくに400個/mm2 以下
では20μm程度の細結晶粒組織となっていることがわ
かる。これに伴い磁気特性も急激に劣化しており磁束密
度B1 ・鉄損W10/50ともに不満足な値となってい
る。なお直径0.1〜1μmの介在物の個数が500個
/mm2 未満の場合には直径0.1μm未満の介在物が
観察され、とくに400個/mm2 以下になると非常に
多く認められた。したがって直径0.1μm未満の介在
物が磁性焼鈍時の結晶粒の成長を妨げたものと推定す
る。
【0031】一方、直径0.1〜1μmの介在物の個数
が5000個/mm2 を超えた場合にも結晶粒径の減少
と磁気特性の劣化現象が認められる。これらの組織を観
察すると、粗大結晶粒の隙間に細結晶粒が分散する混合
結晶粒組織となっている事実が認められた。こうした場
合には、鉄損W10/50にはあまり強い影響は認めら
れないものの、磁束密度B1 に対しては急変をもたらし
ている。
【0032】以上の検討結果から本発明では、直径0.
1〜1μmの介在物の個数を500〜5000個/mm
2 に限定する。
【0033】なお念のため、混合結晶粒組織の発生挙動
の解析を行った。この混粒率を次式で定義し、細結晶粒
の全面積の測定を画像解析装置で行った。ここでは磁性
焼鈍前の鋼板中の直径0.1〜1μmの介在物の個数5
000個/mm2 超の個数と、磁性焼鈍後の低磁場特性
と平均結晶粒径の関係を中心に考察した。
【0034】混粒率=直径30μm以下の細結晶粒の全
面積÷測定視野の全面積図5は鋼板内の混粒率と直径
0.1〜1μmの介在物の個数、低磁場特性ならびに平
均結晶粒径の関係を示している。
【0035】図5から、混粒率の増加に従い平均結晶粒
径が小さくなり、鉄損W10/50は緩やかに高くな
り、磁束密度B1 は急激に低下する。しかも、低磁場特
性の悪化傾向と介在物の個数の増加とは負の相関を示し
ていることから、5000個/mm2 超えでの介在物の
増加が、直接、間接的に磁性焼鈍後の低磁場特性を悪化
させていることは明らかである。
【0036】直径0.1〜1μmの介在物の個数が50
00個/mm2 超えの鋼板には、直径0.1μm未満の
介在物は観察されていないことから、介在物の個数の増
加とともに、磁性焼鈍時に部分的に凝集粗大化して周辺
の組織の粗大結晶粒化に働く部分と、そのまま細結晶粒
の部分との混合結晶粒組織になるものと推定できる。
【0037】いずれにしても、磁性焼鈍前の鋼板中の直
径0.1〜1μmの介在物の個数が、磁性焼鈍時の結晶
粒の成長に直接、間接的に強く関与していると推定され
る。
【0038】(2)成分 次に、本発明の化学成分の限定理由について述べる。
【0039】Siは鋼板の固有抵抗を上げ、鉄損を少な
くするのに有効な成分であるが、1%を超えると磁束密
度が低下し、コストも高くなるために上限を1%とす
る。
【0040】Alは微細なAlNを形成し、結晶粒の成
長を阻害し、鉄損を多くするので0.004%以下とし
た。
【0041】Mnは鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を少な
くするのに有効な成分であり、かつ熱間圧延時の赤熱脆
性を防止するために0.1%以上とし、多くすると磁束
密度を低下させるので0.8%以下とした。
【0042】Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必
要な成分であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板が
脆くなるので0.2%以下とする。
【0043】Sは磁気特性を悪化させる有害な成分なの
で極力低い方がよいが、製造コストの面から0.02%
以下とする。
【0044】Cは鉄損を多くする有害な成分で磁気時効
の原因となるので0.005%以下とする。
【0045】Nは焼鈍時の結晶粒の成長を阻害するAl
Nが多くなり、鉄損が多くなるので0.005%以下と
する。
【0046】
【実施例】
(製造法)本発明の鋼板の製造方法は、複雑な磁区の生
成に関係する直径1超〜7.5μmまでの介在物の個数
と、磁性焼鈍時の結晶組織形態に関係する直径0.1〜
1μmの介在物の個数の両方を、所定の範囲内に調整す
るものであればよい。主に1次脱酸生成物である直径1
超えから7.5μmまでの介在物の制御は、例えば、脱
ガス時間を長くするとか、またはスラグ組成の調整によ
りスラグからの再酸化を防止することなどにより行う。
【0047】更に、2次脱酸生成物である直径0.1〜
1μmの介在物の制御は、鋳造速度、鋳造時の加熱、補
助加熱、保熱、鋳片厚さ、冷却条件など溶鋼の凝固冷却
速度を調整することにより行う。
【0048】Sについても溶銑、取鍋精錬などで脱Sす
るか、Sの少ない原料、副原料を用いて精錬することが
好ましい。
【0049】このように真空溶解炉、転炉または電気炉
で得た溶鋼を、脱ガス処理などを施し、造塊鋳造または
連続鋳造し、熱間加工を行う。熱間加工は、分塊圧延、
粗圧延、仕上げ熱延の内、仕上げ熱延は必須であるが、
分塊圧延、粗圧延は鋳造後の鋼塊、鋼片、鋳造板などの
厚さ寸法、リジング抑制などにより選択する。
【0050】次いで、冷間圧延により所定の板厚とした
後に、仕上げ焼鈍を実施する。更に、打抜き加工や剪断
加工後に磁性焼鈍を行うことで、磁性焼鈍後の低磁場特
性の優れた無方向性電磁鋼板を製造する。
【0051】(実施例1)50kg規模の真空溶解炉で
得られた溶鋼からインゴットを製造した。この際、介在
物の大きさと個数の調整は、スラグ組成の調整により塩
基度を変化させること、真空度・脱ガス時間を変化させ
ること、鋳造時の溶鋼の凝固冷却速度を鋳型の厚みを変
えることにより行った。このようにして得たインゴット
を1200℃に加熱した後、熱間圧延で板厚2mmの鋼
片とし、酸洗後、冷間圧延で板厚0.5mmに仕上げ
た。その後、750℃、2分間の仕上げ焼鈍を施し鋼板
を得た。この鋼板の板厚断面の介在物を調査した。また
打抜き加工、剪断加工後、750℃、2時間の磁性焼鈍
を実施し、焼鈍後の鋼板の磁気特性と板厚断面の結晶組
織を調査した。
【0052】
【表2】
【0053】これらの結果をまとめて、表2に示す。な
お、表2の鋼板の化学成分の表示しない残部はFe及び
不可避不純物である。本発明の鋼板は、低磁場特性すな
わち磁束密度B1 と鉄損W10/50ともに非常に良好
な値を示している。
【0054】(実施例2)転炉で精錬した溶鋼を真空脱
ガス処理し、表3の鋼板成分が得られるように合金成分
を添加し、連続鋳造した後、ただちに熱間圧延(直送圧
延)で板厚2mmのコイルとした。この際、介在物の大
きさと個数の調整は、取鍋スラグの組成の調整により塩
基度を変化させること、脱ガス時間を変化させること、
鋳造時の鋳造速度と補助加熱の変更により凝固冷却速度
を変化させることにより行った。
【0055】このようにして得た熱延コイルを、酸洗
後、冷間圧延で板厚0.5mmに仕上げた。その後76
0℃、1分間の連続焼鈍を施し鋼板を得た。得られた鋼
板について板厚断面の介在物を調査した。さらに打抜き
加工、剪断加工後、750℃、2時間の磁性焼鈍を施
し、焼鈍後の鋼板の磁気特性と板厚断面の結晶組織を調
査した。なお、表3の鋼板の化学成分の表示しない残部
はFe及び不可避不純物である。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】これらの結果をまとめて、表4に示す。本
発明の鋼板は、このような直送圧延でも、低磁場特性す
なわち磁束密度B1と鉄損W10/50ともに非常に良
好な値を示している。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
複雑な条件の冷圧、焼鈍を実施することなしに、Si含
有量が1%以下の無方向性電磁鋼板の介在物の大きさと
個数を規定することで、磁性焼鈍後に低磁場領域におい
ても、磁束密度、鉄損を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁性焼鈍前の鋼板中の介在物のサイズおよび個
数と、磁性焼鈍後の磁束密度B1 および平均結晶粒径と
の関係を示す図である。
【図2】磁性焼鈍前の鋼板中の介在物のサイズおよび個
数と、磁性焼鈍後の鉄損W10/50および平均結晶粒
径との関係を示す図である。
【図3】磁性焼鈍前の鋼板中の直径0.1〜1μm介在
物の個数と、磁性焼鈍後の磁束密度B1 および平均結晶
粒径との関係を示す図である。
【図4】磁性焼鈍前の鋼板中の直径0.1〜1μm介在
物の個数と、磁性焼鈍後の鉄損W10/50および平均
結晶粒径との関係を示す図である。
【図5】鋼板内の混粒率と、直径0.1〜1μmの介在
物の個数と低磁場特性ならびに平均結晶粒径の関係を示
す。
フロントページの続き (72)発明者 冨田 邦和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Si:1%以下、Al:0.0
    04%以下、Mn:0.1〜0.8%、P:0.2%以
    下を含有し、S:0.02%以下、C:0.005%以
    下、N:0.005%以下の鋼板であって、鋼板中に含
    まれる介在物で直径0.1〜1μmのものが500〜5
    000個/mm2 、直径1μm超〜7.5μmのものが
    200個/mm2 以下であることを特徴とする低磁場特
    性に優れた無方向性電磁鋼板。
JP7220100A 1995-08-29 1995-08-29 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板 Pending JPH0967655A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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