JP4586741B2 - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関し、特に、磁束密度が高く、歪取焼鈍における粒成長性に優れる無方向性電磁鋼板とその製造方法に関するものである。
無方向性電磁鋼板は、電気機器のモーターやトランス等の鉄心材料として幅広く用いられている。しかし、この無方向性電磁鋼板には、近年における世界的な省エネルギー指向を背景にして、さらなる高磁束密度化、低鉄損化、低コスト化が求められている。
無方向性電磁鋼板を高磁束密度化する方法としては、熱間圧延後の鋼板に熱延板焼鈍を施して集合組織を改善する方法が挙げられる。熱延板焼鈍を施して、冷延前の粒径を粗大化させておくことにより、冷延後の再結晶焼鈍において、磁気特性に有利な{110}再結晶粒の形成を促進し、磁気特性に不利な{111}再結晶粒の形成を抑制することができるからである。
しかし、熱延板焼鈍を行うことは、製造コストの上昇を招くため、低合金系の無方向性電磁鋼板(以下、「低級鋼」とも称する)では、生産コストを削減するため、熱延板焼鈍が省略されるのが普通である。
そこで、熱延板焼鈍を施すことなく集合組織を改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、熱間圧延の仕上圧延終了温度を950℃以上とすると共に、圧延後1〜7秒間無注水とし、その後、注水冷却して700℃以下の温度で巻き取る無方向性電磁鋼板の製造方法が提案されている。
特開2004−169141号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、高合金系の無方向性電磁鋼板(以下、「高級鋼」とも称する)を対象とした技術であり、これを低級鋼にそのまま適用した場合には、次のような問題が発生する。
低合金系の低級鋼は、α−γ変態を有するのが一般的であり、斯かる低級鋼では、熱延圧延におけるパススケジュールの変動により形状が悪化しやすいため、仕上圧延終了温度の高温化と形状制御とを両立させた最適パススケジュールを見出すのは容易ではない。そのため、熱延を開始する温度、すなわちスラブ加熱温度を高温化し、熱延の仕上圧延終了温度を上昇させざるを得ないのが現状である。しかしながら、スラブ加熱温度を高温化した場合には、MnSやAlN等の析出物が固溶し、その後の熱間圧延中に微細な析出物として析出し、結晶粒の成長を阻害する原因となる。
この点、高級鋼においては、約900℃以上の高温で再結晶焼鈍(冷延後の仕上焼鈍)を行い、結晶粒を粗大化するため、これらの微細析出物の悪影響は比較的小さくすることができる。しかし、低級鋼では、800℃前後の低温で再結晶焼鈍を行うため、結晶粒成長は、微細析出物の影響を受け易い。特に、歪取焼鈍を行う場合には、粒成長は著しく阻害される。
従って、熱延板焼鈍を行わない低級鋼の製造方法では、スラブ加熱温度の高温化によって熱延の仕上圧延終了温度を高温化することは、粒成長性を著しく損なうことになる。その結果、高磁束密度を得る手段にはなり得ても、鉄損の劣化、特に歪取焼鈍後の鉄損の劣化を招くという問題があった。ここで、上記歪取焼鈍とは、電磁鋼板を打抜加工し、コアやトランス等に組み立てた後に行われる焼鈍のことを指し、一般に、750℃×2時間程度の条件で行うのが普通である。この焼鈍の目的は、加工歪を除去することにあるが、粒径の小さい低級鋼では、歪取焼鈍によって粒成長させ、鉄損低減を図る目的もある。鉄損が最小となる粒径は100〜150μmとされているが、通常、歪取焼鈍後の低級鋼の粒径は100μmを超えることはない。したがって、本発明において、歪取焼鈍における粒成長に優れることは、歪取焼鈍後の鉄損特性に優れる(同一成分組成で比較したときに、鉄損が低くなる)ことを意味する。
そこで、本発明の目的は、熱延板焼鈍を行うことのない低級鋼においても、磁束密度が高く、かつ、歪取焼鈍における粒成長性に優れる無方向性電磁鋼板とその製造方法を提案することにある。
発明者らは、熱延板焼鈍を行うことなく、粒成長性、特に歪取焼鈍における粒成長性を改善する方法について検討を重ねた。その結果、素材の鋼スラブの成分組成を適正化すると共に、熱間圧延および仕上焼鈍における温度条件を適正化することが重要であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、C:0.003mass%以下、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.1mass%以下、Al:0.3〜1.0mass%、P:0.2mass%以下、S:0.005mass%以下、N:0.003mass%以下、O:0.005mass%以下、Ti:0.001mass%以下、V:0.002mass%以下、Ca:0.002〜0.01mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板である。
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記成分組成に加えてさらに、Sn:0.005〜0.1mass%およびSb:0.005〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
また、本発明は、C:0.003mass%以下、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.1mass%以下、Al:0.3〜1.0mass%、P:0.2mass%以下、S:0.005mass%以下、N:0.003mass%以下、O:0.005mass%以下、Ti:0.001mass%以下、V:0.002mass%以下、Ca:0.002〜0.01mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、α−γ変態を有する鋼スラブを1180〜1300℃に加熱後、仕上圧延終了温度を(Ar変態点−50℃〜Ar変態点とする熱間圧延し、冷間圧延し、700〜850℃の温度で仕上焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
本発明の製造方法における上記鋼スラブの加熱温度は、Al含有量との間で下記式;
ST≦Al/0.003+3.25
ここで、ST:スラブ加熱温度(℃)、Al:Al含有量(mass%)
を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、低合金系の無方向性電磁鋼板においても、熱延板焼鈍を行うことなく、磁束密度が高く、かつ、歪取焼鈍における粒成長性に優れる(歪取焼鈍後の鉄損が低い)無方向性電磁鋼板を提供することが可能となる。
本発明を開発する契機となった実験について説明する。
<実験1>
C:0.002mass%、Si:0.6mass%、Mn:0.2mass%、Al:0.3mass%、P:0.08mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、O:0.003mass%、Ti:0.001mass%以下、V:0.001mass%以下を含有し、残部が実質的にFeからなる鋼を実験室的に溶解し、鋳造して鋳塊とし、次いで、この鋳塊を1100〜1300℃の種々の温度に1時間加熱してから、仕上圧延終了温度を850℃とする熱間圧延し、板厚が2.4mmの熱延板とした。この熱延板を冷間圧延して板厚0.5mmの冷延板とし、10vol%H−90vol%N雰囲気中で750℃×30秒の仕上焼鈍を行った。次いで、得られた冷延焼鈍板をエプスタイン試験片に加工し、Arガス雰囲気中で750℃×2時間の歪取焼鈍を施した。この歪取焼鈍の前後において、試験片の圧延方向断面の円相当粒径を、光学顕微鏡を用いて測定した。
図1は、上記粒径の測定結果を、鋳塊加熱温度(「スラブ加熱温度」に相当)との関係において示したものである。ここで、歪取焼鈍前の粒径は、全て、18〜20μmの範囲であった。図1から、スラブ加熱温度を1180℃以上にした場合には、歪取焼鈍中の粒成長が阻害され、粒径が粗大化しないことがわかった。
<実験2>
C:0.002mass%、Si:0.6mass%、Al:0.35mass%、P:0.08mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、O:0.003mass%、Ti:0.001mass%以下、V:0.001mass%以下を含有し、MnおよびCaの含有量を、表1に示したように調整した鋼A〜Dを実験室的に溶解して得た鋳塊を、同じく表1に示した温度に1時間加熱保持してから、同表に示した仕上圧延終了温度の熱間圧延し、板厚2.4mmの熱延板とした。この際、熱間圧延における仕上圧延終了温度が(Ar変態点−10℃)程度となるよう、加熱温度を設定した。その後、上記熱延板を冷間圧延して板厚0.5mmの冷延板とし、10vol%H−90vol%N雰囲気中で750℃×30秒の仕上焼鈍を行い、冷延焼鈍板とした。この冷延焼鈍板をエプスタイン試験片に加工し、磁束密度B50の測定を行った。その後、Arガス雰囲気中で750℃×2時間の歪取焼鈍を施し、歪取焼鈍前後において、試験片の圧延方向断面の粒径を、光学顕微鏡を用いて測定した。
Figure 0004586741
上記測定の結果は、表1中に併記したように、Mn含有量が高い鋼AおよびBのB50は低く、Mn含有量の低い鋼CおよびDのB50は高い結果となった。鋼AおよびBのB50が低い理由は、Mn含有量が高いこれら鋼のAr変態点は低いため、熱延での仕上圧延終了温度を(Ar変態点−10℃)に設定した場合には、仕上圧延終了温度が低く成り過ぎるためと考えられる。一方、鋼Cで、非常に高いB50が得られた理由は、Mnの低減によってAr変態点が高くなり、仕上圧延終了温度を高温化できたことと、Mn低減によって飽和磁束密度が上昇したことによるものと考えられる。ただし、スラブ加熱温度が高温であったため、微細析出物の影響で、歪取焼鈍後の粒径は非常に小さかった。これに対し、鋼Dは、B50が非常に高く、歪取焼鈍後の粒径も粗大であった。これは上述した低Mn化の効果に加えてさらに、Sを固溶温度の高いCaSとして固定し、粗大化させたことにより、歪取焼鈍における粒成長が促進されたためと考えられる。以上の結果から、熱延の仕上圧延終了温度を上げるためにスラブ加熱温度を高温化する場合には、Mnを低減することとCaを添加することが非常に有効であることが明らかとなった。
<実験3>
C:0.002mass%、Si:0.6mass%、Mn:0.01mass%、Al:0.05〜0.9mass%、P:0.08mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、O:0.003mass%、Ti:0.001mass%以下、V:0.001mass%以下、Ca:0.003mass%を含有する鋼Eと、C:0.002mass%、Si:0.6mass%、Mn:0.28mass%、Al:0.05〜0.9mass%、P:0.08mass%、S:0.002mass%、N:0.002mass%、O:0.003mass%、Ti:0.001mass%以下、V:0.001mass%以下、Ca:0.001mass%以下を含有する鋼Fを実験室的に溶解し、鋳造して鋳塊とし、この鋳塊を1210℃で1時間保熱後、熱間圧延して板厚2.4mmの熱延板とした。この際、仕上圧延終了温度は(Ar変態点−10℃)を目標とした。次いで、この熱延板を冷間圧延して板厚0.5mmの冷延板としてから、10vol%H−90vol%N雰囲気中で750℃×30秒の仕上焼鈍を施し、得られた冷延焼鈍板をエプスタイン試験片に加工し、Arガス雰囲気中で750℃×2時間の歪取焼鈍し、歪取焼鈍前後において粒径を測定した。
結果を図2に示した。ここで、歪取焼鈍前の粒径は、いずれも18〜20μmの範囲であった。鋼Eは、Alを添加することにより、歪取焼鈍後の結晶粒径が粗大化しているのに対して、鋼Fは、Al添加による結晶粒の粗大化がほとんど認められない。鋼Eでのみ結晶粒径が粗大化した理由は、Al添加量が多い場合には、AlNの固溶温度が上昇してスラブ加熱の際にAlNが固溶し難くなり、固溶・再析出による微細AlNの生成を抑制するからであると考えられる。これに対して、鋼FではMn量が高く、Ca量が少ないために生じたMnSの析出により粒成長が阻害され、上記のAl添加の効果が発現しなかったものと考えられる。以上の結果より、歪取焼鈍による結晶粒の成長を促進し、より低鉄損化を図るためには、Mnの低減、Caの添加に加えてさらに、Alを多量に添加するのが望ましいことが判明した。
<実験4>
発明者らは、さらに、Al含有量とスラブ加熱温度が歪取焼鈍後の粒径に及ぼす影響を調べるため、実験3で用いた鋼Eを1180〜1300℃の間の各種加熱温度で1時間保熱後、目標仕上圧延終了温度を(Ar変態点−10℃)とする熱間圧延を行い、板厚2.4mmの熱延板とした。次いで、板厚0.5mmまで冷間圧延し、10vol%H−90vol%N雰囲気中で750℃×30秒の仕上焼鈍を施し、得られた冷延焼鈍板をエプスタイン試験片に加工し、その後、Arガス雰囲気中で750℃×2時間の歪取焼鈍を施し、歪取焼鈍前後において粒径を測定した。
上記測定結果を図3に示す。ここで、歪取焼鈍前の粒径は、いずれも18〜20μmの範囲であった。同図から、歪取焼鈍後の粒径の粗大化を図るには、スラブ加熱温度の高温化に合わせて、Alの含有量を増やすこと有効である、逆に言えば、スラブ加熱温度は、Alを添加することにより高めることができる。具体的には、スラブ加熱温度は、Al含有量との間で下記式;
ST≦(Al+3.25)/0.003
ここで、ST:スラブ加熱温度(℃)、Al:Al含有量(mass%)
を満たすことが好ましいことがわかった。
本発明は、上記実験により得られた知見に基き開発したものである。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の成分組成を限定する理由について説明する。
C:0.003mass%以下
Cは、製品鋼板中に含まれる量が0.003mass%を超えると、磁気時効を起こして、鉄損が増加する。また、Cは、A変態点を下げる効果もあるので、できるだけ低減することが望ましい。そこで、本発明の無方向性鋼板は、C含有量を0.003mass%以下とする。
Si:0.05〜1.0mass%
Siは、鋼板の比抵抗を高めて渦電流損を低減する効果がある。また、A変態点を上げる効果もある。これらの効果を得るためには、Siは、少なくとも0.05mass%の添加が必要である。一方、1.0mass%を超えると、磁束密度が低下し、リジングが発生し易くなる。よって、Si含有量は、0.05〜1.0mass%の範囲とする。
Mn:0.1mass%以下
Mnは、A変態点を下げる効果があり、飽和磁束密度の低下させる有害元素でもある。これらの悪影響は、0.1mass%を超えると大きくなるため、上限を0.01mass%とする。ただし、Mnは、Feよりも酸化し難い元素であり、製鋼プロセスで過度に除去するのはコストの増加を伴う。したがって、0.05mass%以上の含有量とすることが、コストの面からは好ましい。
Al:0.3〜1.0mass%
Alは、窒化物を形成する元素であるが、0.3mass%以上含有させることで、熱延中の冷却段階で、各種窒化物が微細に析出するのを抑制し、焼鈍、特に歪取焼鈍における粒成長を促進する効果がある。また、比抵抗を高めて渦電流損を低減する効果や、A変態点を上げる効果もある。しかし、1.0mass%を超えると、磁束密度が低下し、リジングが発生し易くなるなどのデメリットが大きくなる。よって、Alは0.3〜1.0mass%の範囲で添加する。
P:0.2mass%以下
Pは、鋼板の硬さを高めて、打抜加工におけるだれやかえりの発生を防止する目的で添加する元素である。しかし、0.2mass%を超えると、加工性自体が低下する。よって、Pの含有量は0.2mass%以下とする。
S:0.005mass%以下
Sは、MnやCu等と硫化物を形成して析出し、焼鈍時、特に歪取焼鈍における粒成長性を阻害する元素であるので、できる限り低減することが望ましい。特に、含有量が0.005mass%を超えると、この影響が無視できなくなるため、Sの含有量は0.005mass%以下とする。
N:0.003mass%以下
Nは、AlやTi,V等と窒化物を形成して析出し、焼鈍、特に歪取焼鈍における粒成長を妨げる元素であり、できる限り低減することが望ましい。特に、含有量が0.003mass%を超えると、この影響が無視できなくなるため、Nの含有量は0.003mass%以下とする。
O:0.005mass%以下
Oは、酸化物を形成して、粒成長を妨げる元素であり、できる限り低減することが望ましい。特に、含有量が0.005mass%を超えると、この効果が大きくなるので、Oの含有量は0.005mass%以下とする。
Ti:0.001mass%以下
Tiは、強力な炭窒化物形成元素である。炭窒化物は、焼鈍、特に歪取焼鈍における粒成長を阻害するとともに、磁気特性に有害な再結晶集合組織を成長させる有害元素である。Ti含有量が0.001mass%を超えると、この悪影響が無視できなくなるため、特に歪取焼鈍中における粒成長を期待する低級鋼の場合、Tiの含有量は0.001mass%以下とする必要がある。
V:0.002mass%以下
Vは、窒化物を形成して析出し、焼鈍、特に歪取焼鈍における粒成長を妨げる元素であり、可能な限り低減することが望ましい。特に含有量が0.002mass%を超えると、この悪影響が大きくなるため、Vの含有量は0.002mass%以下とする。
Ca:0.002〜0.01mass%
Caは、鋼中のSをCaSとして粗大析出させ、無害化するために添加する。CaSは、非常に固溶温度が高い析出物であるため、スラブを高温加熱しても、硫化物が固溶し、後工程で微細に析出するのを防止できる。この効果を得るためには、0.002mass%以上の添加が必要である。しかし、0.01mass%以上添加した場合には、CaO等の介在物が増加して鉄損を増加させる。よって、Caの含有量は0.001〜0.01mass%の範囲とする。
Sn、Sb:いずれか1種以上を0.005〜1.0mass%
本発明の無方向性電磁鋼板は、上記成分に加えてさらに、集合組織の改善や焼鈍時の酸化、窒化を防止するために、SnやSbを添加してもよい。どちらの元素も、0.005mass%以下では上記効果が薄く、1.0mass%超えではその効果が飽和するため、含有量はそれぞれ0.005〜1.0mass%の範囲が好ましい。なお、これらの元素は、単独添加してもあるいは複合添加してもよい。
本発明において、無方向性電磁鋼板の素材として用いる鋼スラブは、上記成分組成条件を満たすことに加えてさらに、熱間圧延中にα−γ変態を起こさせてリジングを防止するため、α−γ変態点を有することが必要である。上記γは、必ずしもγ単相である必要はなく、α+γ2相であってもよい。熱間圧延中にα−γ変態が起こらない場合には、熱延板焼鈍を用いることなくリジングを完全に防止することは難しい。なお、熱延仕上圧延終了温度を高温とする必要があることから、Ar変態点は950℃以上であることが望ましい。
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
上述した成分組成を有する鋼は、転炉および真空脱ガス装置等を用いて通常公知の方法で溶製し、鋳造して分塊圧延して鋼スラブとするかあるいは連続鋳造して鋼スラブとするのが好ましい。
スラブ加熱温度:1180〜1300℃
熱間圧延に先立って行うスラブの加熱方法は、特に限定されるものではなく、公知の方式を適用することができる。ただし、スラブ加熱温度は、1180〜1300℃とする必要がある。加熱温度が1180℃未満では、通常公知の手法を用いた場合、微細析出物が粒成長性に及ぼす悪影響はそれほど深刻でない。一方、加熱温度を1300℃以下とする理由は、エネルギーコストの面で好ましくないからである。
ただし、Alの添加量が少ない場合には、高温でスラブ加熱すると、熱延の冷却過程において窒化物が微細析出しやすくなり、焼鈍、特に歪取焼鈍での粒成長を阻害する。したがって、鉄損を低減するためには、Alの含有量に応じてスラブ加熱温度を、下記式;
ST≦Al/0.003+3.25
ここで、ST:スラブ加熱温度(℃)、Al:Al含有量(mass%)
を満たすよう制御することが好ましい。
熱間圧延
スラブ加熱後の粗圧延および仕上圧延からなる熱間圧延の方法は、通常公知の方法を適用できるが、仕上圧延の圧延終了温度は、(Ar変態点−50℃)〜Ar変態点の間とする必要がある。Ar変態点以下とする理由は、最終パスをAr変態点超えで行った場合には、熱延終了後にγ−α変態が起こるため、結晶粒の微細化を招くためである。一方、(Ar変態点−50℃)以上とする理由は、熱延後における粒成長を促進するためである。
冷間圧延および仕上焼鈍
熱間圧延に続く冷間圧延は、通常公知の方法を適用することができるが、冷延後の仕上焼鈍は、700〜850℃で5秒〜5分の連続焼鈍とする必要がある。結晶粒径をある程度小さくすることにより、良好な加工性を確保するためである。また、850℃以上の高温で仕上焼鈍を行った場合には、粒径が大きくなり過ぎるため、歪取焼鈍中の結晶粒成長はほとんど起こらず、本発明の効果を奏することができない。
転炉で溶製した溶鋼を真空脱ガス処理し、表2に示した成分組成に調整後、連続鋳造して鋼スラブとし、次いで、この鋼スラブを、同表に示した温度に加熱後、同表に示した仕上温度で熱間圧延し、厚さが2.4mmの熱延板とした。その後、該熱延板を0.5mmまで冷間圧延し、10vol%H−90vol%N雰囲気中で750℃×30秒間の仕上焼鈍を行った。得られた冷延焼鈍板をエプスタイン試験片に加工し、磁気測定を行った。その後、Arガス雰囲気中で750℃×2時間の歪取焼鈍を施してから、粒径測定を行った。
上記測定の結果を、表2に併記して示した。表2から、成分組成および製造条件が本発明の範囲に制御されたNo.1,6および7の鋼板は、高い磁束密度と、歪取焼鈍後の粒径粗大化が両立していた。これに対し、成分組成もしくは製造条件が本発明の範囲から外れたNo.2〜5、8〜14の鋼板では、高い磁束密度と歪取焼鈍後の粒径粗大化を両立させることができなかった。
Figure 0004586741
スラブ加熱温度が、歪取焼鈍後の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。 Al含有量が、歪取焼鈍後の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。 Al含有量およびスラブ加熱温度が、歪取焼鈍後の粒径に及ぼす影響を示すグラフである。

Claims (4)

  1. C:0.003mass%以下、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.1mass%以下、Al:0.3〜1.0mass%、P:0.2mass%以下、S:0.005mass%以下、N:0.003mass%以下、O:0.005mass%以下、Ti:0.001mass%以下、V:0.002mass%以下、Ca:0.002〜0.01mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる無方向性電磁鋼板。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Sn:0.005〜0.1mass%およびSb:0.005〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. C:0.003mass%以下、Si:0.05〜1.0mass%、Mn:0.1mass%以下、Al:0.3〜1.0mass%、P:0.2mass%以下、S:0.005mass%以下、N:0.003mass%以下、O:0.005mass%以下、Ti:0.001mass%以下、V:0.002mass%以下、Ca:0.002〜0.01mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるとともに、α−γ変態を有する鋼スラブを1180〜1300℃に加熱後、仕上圧延終了温度を(Ar変態点−50℃)〜Ar変態点とする熱間圧延し、冷間圧延し、700〜850℃の温度で仕上焼鈍することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 上記鋼スラブの加熱温度は、Al含有量との間で下記式;
    ST≦(Al+3.25)/0.003
    ここで、ST:スラブ加熱温度(℃)、Al:Al含有量(mass%)
    を満たすことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
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