JP3013503B2 - 反射型映写スクリーン - Google Patents

反射型映写スクリーン

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、映写スクリーン、とく
に映画などの動画を映写するための反射型映写スクリー
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】反射型映写スクリーンは、液晶プロジェ
クターなどの投影装置の普及にともない、より鮮明な画
像を得るために種々の改善が提案されている。
【0003】出願人も、映写スクリーンとして適切な拡
散性と反射率をもち、しかもシワがつきにくく取扱いの
容易な反射型映写スクリーンとして、暗色のプラスチッ
クシートである光吸収層上に、ガラス繊維の基布、白色
不透明で柔軟なプラスチックの基材シートの上面に光輝
性顔料または方解石の粉末を含有するインキで印刷した
反射層を有する反射シート、および光輝性顔料または方
解石の粉末を含有する半透明で柔軟なプラスチックの光
拡散層を順に設け、表面にエンボスを施した映写スクリ
ーンを提案し、あわせて、暗色インキのベタ印刷層であ
る光吸収層を有する白色不透明で柔軟なプラスチックの
基材シートの非印刷面上に、ガラス繊維の基布、および
光輝性顔料または方解石の粉末を練り込んだ光拡散層と
なる半透明で柔軟なプラスチックシートの下面に光輝性
顔料または方解石の粉末を含有するインキの層を有する
シートを順に設け、表面にエンボスを施した映写スクリ
ーンを提案した(ともに実願平3−2462号)。
【0004】最近では、映写装置と音響装置とを組み合
わせて、臨場感のある映像を楽しむ傾向が強くなってき
ている。 その場合、スピーカーを映写スクリーンのあ
る領域内に配置することが効果的であるが、スピーカー
部分のスクリーンに孔をあけるわけにはいかない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような問題を処理し、画像が美麗であるとともに、音響
効果を高めることのできる反射型映写スクリーンを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の反射型映写スク
リーンの基本的な構成は、可撓性シートの、少なくとも
スピーカーの位置に多数の小さな孔を設けたことを特徴
とする。
【0007】本発明の反射型映写スクリーンのひとつの
代表的な態様は、断面を示した図1にみるように、暗色
のプラスチックシートである光吸収層(5)上に、可撓
性をもった基布(4)または剛性をもった基板、白色不
透明で柔軟なプラスチックの基材シート(3)の上面に
光輝性顔料または方解石の粉末を含有するインキで印刷
した反射層(2)を有する反射シート、および光輝性顔
料または方解石の粉末を含有する半透明で柔軟なプラス
チックの光拡散層(1)を順に設け、全体を示した図3
にみるように、表面にエンボス(9)を施してなる反射
型映写スクリーンにおいて、スクリーンの背後に配置し
たスピーカーからの音が通過できるように、少なくとも
スピーカーの位置に多数の小孔(8)を設けたことを特
徴とする。
【0008】基材シートおよび光拡散層に使用するプラ
スチックは、柔軟なものであればよく、たとえばポリ塩
化ビニルが代表的であり、そのほかにポリプロピレンや
ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリカーボネート、アクリ
ル樹脂などが適当である。 とくに、ポリ塩化ビニル1
00重量部に対して可塑剤を50〜60重量部程度加え
た、軟質の材料が好適である。 基材シートおよび光拡
散層の厚さは、ともに0.05〜1mmの範囲でよい。
【0009】基材シートとしては、白色顔料と光輝性顔
料とをプラスチックに混練して製膜したシ−トを用いる
こともできるが、粗粒の光輝性顔料を多量に、かつ均一
にプラスチック中に分散させることは困難であるし、高
価な光輝性顔料を多量に使用することは得策でなく、さ
らにこのようなシ−トは可撓性が低いから、白色顔料だ
けを混練して製膜したシ−ト上に光輝性顔料入りのイン
キを印刷することが有利である。 白色顔料としては、
二酸化チタン(チタンホワイト)が、白色度、隠蔽性の
点で最適であるが、そのほかに三酸化アンチモン、亜鉛
華等も使用できる。
【0010】基材シートへの印刷に使用するインキは、
通常のインキビヒクル中に光輝性顔料または方解石の粉
末を分散したインキ(以下、「光輝性インキ」という)
である。 光輝性顔料の例をあげれば、次のとおりであ
る。 (イ)パール顔料と称するもの、具体的には貝が
らの内側の部分や真珠を砕粉したもの、マイカ、マイカ
の微粒子にTiO2または酸化鉄を焼き付けたもの、
(ロ)金属粉、具体的には銅、アルミニウム、真ちゅ
う、青銅、金、銀などの、好ましくは1〜120μmの
微粒子、(ハ)蒸着されたプラスチックフィルムの砕
片、たとえばポリエチレンテレフタレートフィルムに上
記のような金属、通常はアルミニウムを蒸着し、粉砕し
たもの。
【0011】インキに占める光輝性顔料の割合は高い方
が好ましいが、ビヒクルの割合が低すぎると基材シート
上の印刷層形成が難しくなるので、インキ組成は、顔料
100重量部に対しビヒクル5〜50重量部が好まし
い。
【0012】方解石の粉末は、平均粒径が2〜20μm
のものが好適であって、その粒度分布はなるべく狭いこ
とが好ましい。 たとえば平均粒径5μmの場合、80
重量%以上が3〜7μmの範囲に入るような粒度分布で
ある。 上記と同じ理由により、インキの組成は、方解
石粉末100重量部に対しビヒクル10〜100重量
部、とくに10〜50重量部の範囲が好ましい。
【0013】印刷は、グラビア法、シルクスクリ−ン法
等の印刷法や、スプレ−コ−ト、ロ−ルコ−ト等の塗布
法をはじめとする既知の手法によればよく、印刷層の厚
さは、乾燥状態で1μm以上あれば足りる。
【0014】光拡散層とするプラスチックに添加する光
輝性顔料または方解石粉末は、上記と同様なものでよい
が、分散する量は0.5〜10重量%、とくに2重量%
程度が好ましい。 光反射層は、光の均一で等方的な反
射の点からは前記した光輝性顔料を含む塗料を印刷塗工
して形成することが好ましいが、基材シート上にアルミ
ニウム、クロム等の金属薄膜を蒸着させて、形成しても
よい。
【0015】可撓性をもつ基布は、スクリーンの寸法安
定性を高めるためのものであり、とくに巻上げ式スクリ
ーンとして使用したときには、引き下したスクリーンが
たるまないようにするはたらきを要求される。 また、
巻き上げて保管したスクリーンを再度巻戻して映写に使
用するときに、巻きぐせが残っていると映像が歪むた
め、基布は十分な弾性復元性をもつことを要求される。
これらの要求を満たすものは、ガラス繊維の織布また
は不織布である。
【0016】巻上げ可能な可撓性シート状の映写スクリ
ーンに小孔を開けた態様には、種々のものが考えられ
る。 たとえば、前記したプラスチック基材シート、基
布の単体または積層体の中に前記の光輝性顔料を練り込
むか、または表面塗工したシートの表面に、必要に応じ
て、砂目、格子、四角形や六角形のセル状凹みのような
微細凹凸をエンボス加工により全面に設け、それに小孔
を設けたものである。
【0017】固定式のスクリーンには、剛性をもった基
板、たとえば金属板、木質板、プラスチック板を用い
る。
【0018】光吸収層となるプラスチックシートは、暗
色たとえばアニリンブラック、カーボンブラック、べん
がら等の黒色、黒褐色、濃紺色の顔料を、基材シートと
同様なプラスチック材料に練り込み、成形したものであ
る。 このシートの厚さは、反射シートと光拡散層との
合計の厚さと同程度にすると、スクリーンが厚さ方向に
バランスのとれたものとなり好ましい。
【0019】上記のスクリーンは、光吸収層となるプラ
スチックシートと、反射層と光拡散層との積層体を、基
布または基板を挟んで加熱加圧して一体化し、同時に拡
散層の表面にエンボスを施すことによって製造できる。
一体化は、熱融着法、ドライラミネート法のいずれに
よってもよい。
【0020】反射シートと光拡散層との積層は、反射シ
ート上に、光拡散層となるプラスチックシートをラミネ
ートすることによって行なえるほか、光拡散層となるプ
ラスチックのゾルをコーティングすることによっても可
能である。
【0021】スクリーンに設ける小孔の大きさは、直径
が0.5〜2.0mmの範囲が適当であり、その開口比
は、大きすぎると孔が目立つ上にスクリーンの裏側が見
えてしまい、小さすぎると音が通過しにくくなるので、
15〜65%、とくに30〜50%の範囲にすることが
好ましい。 ここで「開口比」とは、スクリーンの音が
通過する部分の面積に対する、小孔の面積の合計の割合
である。 小孔の形状は、円または楕円にすると、スク
リーンが引張られたときにも裂けにくくて好ましい。
【0022】小孔はスクリーンの全面に設けてもよい
が、固定式スクリーンのようにその背後に配置するスピ
ーカーの位置が定まっている場合は、スピーカーに対向
する部分にのみ小孔を設ければよい。
【0023】スクリーンの穿孔は、刃型による打抜き、
ドリル穿孔、CO2レーザによる溶融などの手段で行な
う。
【0024】エンボスのパターンは、在来の反射型映写
スクリーンに常用されている波型が90°交叉するパタ
ーンでよく、そのほかに砂目調、ヘアライン調など任意
である。
【0025】本発明の反射型映写スクリーンのいまひと
つの態様は、図2に示すように、暗色インキのベタ印刷
層である光吸収層(6)を有する白色不透明で柔軟なプ
ラスチックの基材シート(3)の非印刷面上に、可撓性
をもった基布(4)または剛性をもった基板、および光
輝性顔料または方解石の粉末を練り込んだ光拡散層とな
る半透明で柔軟なプラスチックシート(1)の下面に光
輝性顔料または方解石の粉末を含有するインキの層
(2)を有するシートを順に設け、表面にエンボス
(9)を施してなる反射型映写スクリーンにおいて、ス
クリーンの背後に配置したスピーカーからの音が通過で
きるように、少なくともスピーカーの位置に多数の小孔
を設けたことを特徴とする。
【0026】基材シート、基布または基板、半透明なプ
ラスチックシートおよび顔料等は、前記と同様なものを
使用すればよいし、スクリーンに設ける小孔も前記と同
様である。 光吸収層は、通常の印刷を使用して、グラ
ビア法、スクリーン法など既知の手法で形成すればよ
い。 スクリーンの製造も、基材シートと半透明なプラ
スチックシートを、基布または基板を挟んで加熱加圧し
て一体化すると同時に、エンボスを施すという前記と同
様の方法でよい。
【0027】本発明の反射型映写スクリーンの表面に、
図3で示すように、暗色のインキで外枠(10)を、シ
ルクスクリーン印刷など適宜の手段で印刷しておくと、
画像の端のトリミングが適切に行われる上に、画面が一
層鮮明になるから、これは推奨される態様である。
【0028】
【作用】本発明の映写スクリーンは、無数の小孔をあけ
たことにより音が通過しやすくなった。 スピーカーか
らの音がこもったりせず、スクリーンの前面にそのまま
伝わるので、画面から受ける迫力が増大する。 小孔の
大きさ、形状、開口比などを適切にえらぶことによっ
て、画像への影響を最小限にすることができる。
【0029】
【実施例】[実施例1]厚さ0.13mmの白色塩ビカレ
ンダーシート(DOP:60phr を基材シートとし、そ
の上に下記組成の光輝性インキを、乾燥時の厚さが3μ
mとなるようにグラビア印刷して反射シートを得た。
【0030】光輝性インキ ビヒクル(PVC) 100重量部 顔料(チタンコーティング雲母) 20重量部 厚さ0.28mmの黒色PVCシート(可塑性としてDO
Pを60phr含む)を光吸収層とし、その上にガラス繊
維織布の基布、上記の反射シート、パール顔料(チタン
コーティング雲母)約2重量%を混練し押出し成形した
厚さ0.15mmの半透明なPVCシート(DOP60ph
r)、および砂目調のエンボス版を順に重ね、熱圧ダブリ
ングにより一体化するとともにエンボス加工した。
【0031】この積層体をプレス加工で打ち抜き、直径
0.5mm、開口比55%の円形断面の小孔を全面に設け
て、本発明の映写スクリーンを得た。
【0032】[実施例2]基材シートとして厚さ0.2
0mmの白色塩ビカレンダーシート、厚さ5mmのアクリル
樹脂製の基板、および実施例1と同様な厚さ0.20mm
の半透明PVCシートを用意した。
【0033】基材シートにカ−ボンブラック等の顔料を
用いた黒色インキをベタ印刷し、非印刷面上に、基板、
および実施例1の光輝性インキで厚さ5μmの印刷層を
設けた半透明シートを印刷面を下にして重ね、実施例1
と同様に一体化するとともに、エンボス加工を施した。
【0034】この積層体をプレス加工で打ち抜き、スク
リーンの右端および左端からそれぞれ40cmまでの部分
に、直径0.8mm、開口比40%の円形断面の小孔を設
けた。
【0035】得られたスクリーン表面に、黒色インキを
シルクスクリーン印刷して幅3cmの黒線で外枠を設け、
対角線の長さが100インチの正方形状に囲われた本発
明の反射型映写スクリーンを製造した。
【0036】
【発明の効果】本発明の映写スクリーンは、大画面に高
画質の映像を高い輝度をもって映し出すことができ、し
かもスクリーンの後の適切な位置に置いたスピーカーの
音を、スクリーンの前にいる観者によく聞かせることが
できるので、臨場感が高まる。従ってこの映写スクリー
ンは、液晶プロジェクターをはじめとする各種の映写手
段と、ステレオなどの音響装置を組み合わせて使用する
場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の映写スクリーンの一例を説明するた
めの断面図。
【図2】 本発明の映写スクリーンの別な例を説明する
ための、図1と同様な図。
【図3】 本発明の映写スクリーンの好ましい態様を説
明するための平面図。
【符号の説明】
1 光拡散層 2 光輝性インキで印刷した反射層 3 基材シート 4 基布 5,6 光吸収層 8 小孔 9 エンボス 10 外枠

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 暗色のプラスチックシートである光吸収
    層上に、可撓性をもった基布または剛性をもった基板、
    白色不透明で柔軟なプラスチックの基材シートの上面に
    光輝性顔料または方解石の粉末を含有するインキで印刷
    した反射層を有する反射シート、および光輝性顔料また
    は方解石の粉末を含有する半透明で柔軟なプラスチック
    の光拡散層を順に設け、表面にエンボスを施してなる反
    射型映写スクリーンにおいて、スクリーンの背後に配置
    したスピーカーからの音が通過できるように、少なくと
    もスピーカーの位置に多数の小孔を設けたことを特徴と
    する反射型映写スクリーン。
  2. 【請求項2】 暗色インキのベタ印刷層である光吸収層
    を有する白色不透明で柔軟なプラスチックの基材シート
    の非印刷面上に、可撓性をもった基布または剛性をもっ
    た基板、および光輝性顔料または方解石の粉末を練り込
    んだ光拡散層となる半透明で柔軟なプラスチックシート
    の下面に光輝性顔料または方解石の粉末を含有するイン
    キで印刷した反射層を有するシートを順に設け、表面に
    エンボスを施してなる反射型映写スクリーンにおいて、
    スクリーンの背後に配置したスピーカーからの音が通過
    できるように、少なくともスピーカーの位置に多数の小
    孔を設けたことを特徴とする反射型映写スクリーン。
  3. 【請求項3】 光拡散層の表面の周囲に、暗色のインキ
    で外枠を印刷した請求項1または2のスクリーン。
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