JP3009909B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP3009909B2 JP2131009A JP13100990A JP3009909B2 JP 3009909 B2 JP3009909 B2 JP 3009909B2 JP 2131009 A JP2131009 A JP 2131009A JP 13100990 A JP13100990 A JP 13100990A JP 3009909 B2 JP3009909 B2 JP 3009909B2
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、光記録媒体、特にコンパクトディスク対応
のライト・ワンス型の光記録ディスクに関する。
<従来の技術> コンパクトディスク(以下、CDと略称する)規格に対
応して追記なしい記録を行なうことのできる光記録ディ
スクが提案されている(日経エレクトロニクス1989年1
月23日号,No.465,P107、社団法人近畿化学協会機能性色
素部会,1989年3月3日,大阪科学技術センター、SPIE
vol 1078 Optical Data Storage Topical Meeting,80 1
989等)。
このものは、透明樹脂基板上に、色素層、Au反射層お
よび保護膜をこの順に設層して形成される。すなわち、
反射層を色素層に密着して設けるものである。
従来は、色素層にピットを形成するために色素層上に
空気層を設けていたが、この提案では、反射層を色素層
に密着して設ける密着型であるので、CD規格のディスク
全厚1.2mmの構成が可能となっている。
<発明が解決しようとする課題> このような反射層と色素を含有する記録層とを密着し
て設ける密着型の媒体の場合には、特に、記録層の記録
光および再生光波長での消衰係数kおよび屈折率nが、
それぞれ0.03〜0.25および1.8〜4.0の所定の値をもち、
未記録部での反射率が60%以上、特に70%以上なければ
ならない。
ところで、色素層を記録層として用いる場合、光吸収
色素の耐光性が低く、特に、くり返し再生を行なうと色
素がフォトンモードの劣化を受け、これにより再生劣化
が生じることが知られている。
本発明者らは、この再生劣化を防止して、耐光性を向
上するために、光吸収色素に一重項酸素クエンチャーを
添加する旨を提案している(特開昭57−166832号、同57
−168048号)。
しかし、密着型の媒体では、通常のクエンチャーはk
が大きいく、クエンチャーの添加により、特に記録層の
kが増大し、反射率が低下し、再生特性が低下する。
このため、クエンチャー添加量を増大できず、良好な
再生を行なうためには、十分な耐光性が得られないこと
が判明した。
本発明の目的は、良好な記録および再生を行なうこと
ができるとともに、十分な耐光性を有する密着型の光記
録媒体を提供することにある。
<課題を解決するための手段> このような目的は下記(1)〜(7)の本発明によっ
て達成される。
(1)基板上に記録層を有し、この記録層上に密着して
反射層を積層して構成され、 記録光を前記記録層に照射してピット部を形成し、再
生光により再生を行なう光記録媒体であって、 前記記録層が、光吸収色素としてインドレニン系シア
ニン色素と、ビスフェニレンジチオールの銅錯体とを含
有することを特徴とする光記録媒体。
(2)基板側から再生光を照射したとき、未記録部分の
反射率が60%以上であり、記録部分の反射率が未記録部
分の反射率の60%以下である上記(1)に記載の光記録
媒体。
(3)記録光および再生光の波長における前記記録層の
消衰係数kが、0.03〜0.25であり、記録光および再生光
の波長における前記記録層の屈折率nが、1.8〜4.0であ
る上記(2)に記載の光記録媒体。
(4)記録光および再生光の波長が600〜900nmである上
記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光記録媒体。
(5)前記ピット部の前記基板と前記記録層の界面部に
は、記録層材質の分解物を含有し、かつ基板材質を実質
的に含有しない層が存在している上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の光記録媒体。
(6)前記ピット部には、空隙が形成されている上記
(5)に記載の光記録媒体。
(7)前記記録層が、2種以上の光吸収色素を含有する
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の光記録媒
体。
<作用> 本発明で用いるクエンチャーは、記録・再生光波長に
おいて、0〜0.01程度の低いkをもつ。
このため、添加量を増やしても、良好な再生を行なう
ことができるとともに、十分高い耐光性を付与できる。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
第1図には、本発明の光記録媒体1の1例が示され
る。
この光記録媒体1は、基板2上に、色素を含有する記
録層3を有し、記録層3に密着して、反射層4、保護膜
5を形成した密着型のものである。
基板2は、記録光および再生光(600〜900nm程度、特
に700〜800nm程度の半導体レーザー光、特に780nm)に
対し、実質的に透明(好ましくは透過率80%以上)な樹
脂あるいはガラスから形成される。これにより、基板裏
面側からの記録および再生が可能となる。
基板2は、通常のサイズのディスク状であって、CDと
して用いる場合、厚さは1.2mm程度、直径は80ないし120
mm程度とする。
この場合、基板材質としては、樹脂を用いることが好
ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモル
ファスポリオレフィン、TPX等の各種熱可塑性樹脂が好
適である。
なお、必要に応じ、基板2の外表面、内表面の少なく
とも一方と、さらに必要に応じ、内・外周面に酸素遮断
性の被膜を形成してもよい。
基板2の記録層3形成面には、トラッキング用のグル
ーブが形成されることが好ましい。
グルーブは、スパイラル状の連続型グルーブであるこ
とが好ましく、深さは250〜1800Å、幅は0.3〜1.1μ
m、特に0.4〜0.6μm、ランド(隣り合うグルーブ同士
の間の部分)幅は0.5〜1.3μm、特に1.0〜1.2μmであ
ることが好ましい。
グルーブをこのような構成とすることにより、グルー
ブ部の反射レベルを下げることなく良好なトラッキング
信号を得ることができる。
なお、グルーブには、アドレス信号用の凹凸を設ける
こともできる。
本発明では、基板がグルーブを有する場合、記録光は
グルーブ内の記録層に照射されるよう構成されることが
好ましい。すなわち、本発明の光記録媒体は、グルーブ
記録の光記録媒体として用いられることが好ましい。グ
ルーブ記録とすることにより、記録層の有効厚さを大き
くすることができる。
また、基板2上に図示しない樹脂層を例えば2P法によ
り設層して、樹脂層にトラッキング用の溝やアドレス信
号用の凹凸を設けてもよい。
樹脂層を構成する樹脂材質に特に制限はなく、いわゆ
る2P法に用いられる公知の樹脂から適宜に選択すればよ
いが、通常、放射線硬化型化合物が用いられる。
記録層3は、1種あるいは2種以上の光吸収性の色素
と、後述のクエンチャーとを相溶して形成される。
記録層3の記録光および再生光波長における消衰係数
(複素屈折率の虚部)kは、0.03〜0.25であることが好
ましい。
kが0.03未満となると記録層の吸収率が低下し、通常
の記録パワーで記録を行なうことが困難である。
また、kが0.25をこえると、反射率が60%を下回って
しまい、CD規格による再生を行なうことが困難である。
この場合、kが0.04〜0.20、特に0.05〜0.15、さらに
は0.05〜0.12であると、きわめて好ましい結果をうる。
また、屈折率(複素屈折率の実部)nは、1.8〜4.0、
より好ましくは、2.2〜3.3であることが好ましい。
n<1.8では反射率が低下し、CD規格による再生が困
難となる傾向にある。また、n>4.0とするためには、
原料色素の入手が難しい。
用いる一重項酸素クエンチャーは、ビスフェニレンジ
チオールの銅錯体であり、特に下記式[I]で表わされ
るものの1種以上が好適である。
上記[I]において、R1〜R4は、それぞれ、水素原
子、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基、ハロゲ
ン原子またはアミノ基もしくは炭素原子数1〜5のアル
キル基等によって置換されたアミノ基であることが好ま
しい。
Catは、好ましくは4級アンモニウムイオン等のカチ
オンを表わし、mは通常1である。
以下に、式[I]で表わされるクエンチャーの具体例
を挙げる。
なお、下記において、R1〜R4のうちのいずれかがHで
あるときには、表示しないものとする。No. R1〜R4 Cat Q1 R2=(t−C4H9) N+(n−C4H9 1 Q2 R2=(n−C8H17) N+(n−C4H9 1 Q3 − N+(n−C4H9 1 Q4 R2=CH3 N+(n−C4H9 1 Q5 R1=R2=R4=クロロ N+(n−C4H9 1 Q6 R2=N(CH3) N+(n−C4H9 1 Q7 R2=N(t−C4H9) N+(n−C6H13 1 Q8 R1=R2=クロロ N+(n−C4H9 1 このようなクエンチャーの単層膜は、記録・再生光波
長にて、0〜0.01程度のkを示す。
また、通常nは、1.5程度以上である。これらクエン
チャーは、常法に従い、容易に合成できる。
用いる光吸収性の色素としては、吸収極大が600〜900
nm、好ましくは600〜800nm、より好ましくは650〜750nm
であればよく、インドレニン環やベンゾインドレニン環
を有するインドレニン系のシアニン色素である。
また、光吸収色素に、さらに他のクエンチャーを混合
してもよい。さらに、色素カチオンとクエンチャーアニ
オンとのイオン結合体を光吸収色素として用いてもよ
い。
併用できるクエンチャーとしては、アセチルアセトナ
ート系、ビスジチオ−α−ジケトン系や他のビスフェニ
レンジチオール系などのビスジチオール系、チオカテコ
ール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェ
ノレート系等の金属錯体が好ましい。
また、窒素のラジカルカチオンを有するアミン系化合
物やヒンダードアミン等のアミン系のクエンチャーも好
適である。
結合体を構成する色素としては、インドレニン系シア
ニン色素が、またクエンチャーとしてはビスフェニレン
ジチオール金属錯体等の金属錯体色素が好ましい。
好ましい色素、クエンチャー、結合体の詳細について
は特開昭59−24692号、同59−55794号、同59−55795
号、同59−81194号、同59−83695号、同60−18387号、
同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60
−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−445
55号、同60−44389号、同60−44390号、同60−47069
号、同60−20991号、同60−71294号、同60−54892号、
同60−71295号、同60−71296号、同60−73891号、同60
−73892号、同60−73893号、同60−83892号、同60−854
49号、同60−92893号、同60−159087号、同60−162691
号、同60−203488号、同60−201988号、同60−234886
号、同60−234892号、同61−16894号、同61−11292号、
同61−11294号、同61−16891号、同61−8384号、同61−
14988号、同61−163243号、同61−210539号、特願昭60
−54013号、特開昭62−30088号、同62−32132号、同62
−31792号、CMC出版刊「機能性色素の化学」P74〜76等
に記載されている。
なお、上記式[I]で表わされるクエンチャーは、光
吸収色素の総計の1モルに対し1モル以下、特に0.05〜
0.5モルさらには0.1〜0.5モル程度添加することが好ま
しい。
本発明では、上記のような光吸収性色素−クエンチャ
ー混合物から上記範囲のnおよびkを有するものを選択
する。
なお、色素の記録光および再生光に対するkは、その
骨格や置換基により0〜2程度まで種々変化しているた
め、例えばkが0.03〜0.25の色素を選定するに際して
は、その骨格や置換基に制限がある。
このため、塗布溶媒に制限を生じたり、基板材質によ
っては塗工できないこともある。
また、新たに分子設計を行なう場合、設計および合成
に大きな労力を必要とする。
一方、本発明者らの実験によれば、2種以上の色素を
含有する混合色素のkは、用いる各色素単独から構成さ
れる色素層のkに応じ、その混合比にほぼ対応する値に
なることが判明した。従って、本発明では、記録層3は
2種以上の光吸収性色素を相溶して形成されてもよい。
この際、ほとんどの色素の混合系で混合比にほぼ比例
したkがえられるものである。すなわち、i種の色素な
いしクエンチャーの混合分率およびkをそれぞれCiおよ
びkiとしたとき、kは、ほぼΣCikiとなる。従って、k
の異なる色素同士を混合比を制御して混合することによ
り、所定のkをもつ記録層を得ることができる。このた
め、きわめて広い範囲の色素群の中から用いる色素を選
択することができる。
このことは、波長依存性の改善にも適用できる。半導
体レーザーの波長は通常±10nmの範囲にあり、市販のCD
プレーヤにおいては、770から790nmの範囲で反射率を70
%以上に確保する必要がある。一般に色素のk値は大き
な波長依存性をもつものが多く、780nmでは適切な値で
あっても、770あるいは790nmでは大きくはずれてしまう
場合が多い。
このような場合には、第2の色素を混合することによ
って、780±10nmの範囲で常に適切なnおよびk値が得
られるように設定することができる。
この結果、塗布溶媒等の制約など成膜法に制限はなく
なり、また、合成が容易で安価な色素の使用や、特性の
良好な色素の使用や、難溶性の色素の使用をも可能とす
ることができる。
記録層3に2種以上の光吸収色素を用いる場合、用い
る光吸収性色素は、n=1.6〜6.5、k=0〜2の範囲内
のものから選択すればよい。
この際、特に互いに縮合状態の異なるインドレニン環
を有するか、あるいはメチン鎖長の異なる2種以上のイ
ンドレニン系シアニン色素を用いることが好ましい。
なお、nおよびkの測定に際しては、所定の透明基板
上に記録層を例えば400〜800Å程度の厚さに実際の条件
にて設層して、測定サンプルを作製する。次いで、基板
を通しての、あるいは記録層側からの反射率を測定す
る。反射率は記録再生光波長を用いて鏡面反射(5゜程
度)にて測定する。また、サンプルの透過率を測定す
る。これらの測定値から、例えば、共立全書「光学」石
黒浩三P168〜178に準じ、n、kを算出すればよい。
このような記録層3の厚さは、500〜2000Åとするこ
とが好ましい。この範囲外では反射率が低下して、CD規
格の再生を行なうことが難しくなる。
記録層3の設層方法に特に制限はないが、本発明で
は、色素選択や、媒体設計や、製造上の自由度や容易さ
がより拡大する点で、塗布によって設層することが好ま
しい。
記録層3の塗設には、ケトン系、エステル系、エーテ
ル系、芳香族系、ハロゲン化アルキル系、アルコール系
等の各種溶媒を用いることができ、溶媒選択の自由度も
大きい。塗布には、スピンコート等を用いればよい。
なお、記録層3は、場合によっては、蒸着膜によって
形成されてもよい。
このような記録層3には、直接密着して反射層4が設
層される。
反射層4としては、Au、AlMg合金、AlNi合金、Ag、Pt
およびCu等の高反射率金属を用いればよいが、これらの
うちでは反射率が特に高いことからAu、AlMg合金および
AlNi合金のいずれかを用いることが好ましい。なお、Al
Mg合金中のMg含有率は3〜7wt%程度が好ましい。ま
た、AlNi合金中のNi含有率は3〜4wt%程度が好まし
い。
反射層4の厚さは500Å以上であることが好ましく、
蒸着、スパッタ等により設層すればよい。また、厚さの
上限に特に制限はないが、コスト、生産作業時間等を考
慮すると、1000Å程度以下であることが好ましい。
これにより、媒体の未記録部の基板をとおしての反射
率は、60%以上、特に70%以上がえられる。
反射層4上には、保護膜5が設層される。
保護膜5は、例えば紫外線硬化樹脂等の各種樹脂材質
から、通常は、0.1〜100μm程度の厚さに設層すればよ
い。保護膜5は、層状であってもシート状であってもよ
い。
保護膜5は、特に放射線硬化型化合物および光重合増
感剤を含有する塗膜を放射線硬化したものであることが
好ましい。
そして、保護膜5の硬度が、25℃における鉛筆硬度
(JIS K−5400)で、H〜8H、特に2H〜7Hであるよう
に構成されることが好ましい。
このように構成することにより、ジッターが格段と減
少する。
また、高温・高湿あるいは温湿度変化条件下の保存に
おいても、保護膜と反射層との剥離が生じない。
より具体的には、保護膜の硬度がHより軟らかいとジ
ッターが増大し、8Hより硬くなると塗膜がもろくなり膜
形成能が低下する他、反射層との接着力が低下する。
このような保護膜形成に用いる放射線硬化型化合物に
は、オリゴエステルアクリレートが含まれることが好ま
しい。
オリゴエステルアクリレートは、アクリレート基また
はメタクリレート基を複数有するオリゴエステル化合物
である。そして好ましいオリゴステルアクリレートとし
ては、分子量1000〜10000、好ましくは2000〜7000であ
って、重合度2〜10、好ましくは、3〜5のものが挙げ
られる。また、これらのうちアクリレート基またはメタ
クリレート基を2〜6個、好ましくは3〜6個有する多
官能オリゴエステルアクリレートが好ましい。
多官能オリゴエステルアクリレートとしてはアロニッ
クスM−7100、M−5400、M−5500、M−5700、M−62
50、M−6500、M−8030、M−8060、M−8100等(東亜
合成化学社製)として市販されているものを用いること
ができ、これらは下記式(A)、(B)で示されるもの
である。
A:アクリレート基またはメタクリレート基、M:2価ア
ルコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、1,6−ヘキサングリコール、ビスフェノール
A等)残基、N:2塩基酸(例えば、テレフタル酸、イソ
フタル酸、アジピン酸、コハク酸等)残基、 n:1〜10、好ましくは2〜5 これらのうちでは、(A)で示されるものが好まし
い。
このようなオリゴエステルアクリレートは単独で使用
してもよい。
また、他の放射線硬化型化合物を併用してもよい。そ
のような場合、オリゴエステルアクリレートは、放射線
硬化型化合物中20wt%以上存在することが好ましい。
上記のオリゴエステルアクリレートには、他の放射線
硬化型化合物を併用することができ、このようなものと
しては、イオン化エネルギーに感応し、ラジカル重合性
を示す不飽和二重結合を有するアクリル酸、メタクリル
酸、あるいはそれらのエステル化合物のようなアクリル
系二重結合、ジアリルフタレートのようなアリル系二重
結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不飽和二重結
合等の放射線照射による架橋あるいは重合する基を分子
中に含有または導入したモノマー、オリゴマーおよびポ
リマー等を挙げることができる。これらは多官能、特に
3官能以上であることが好ましい。
放射線硬化型モノマーとしては、分子量2000未満の化
合物が、オリゴマーとしては分子量2000〜10000のもの
が用いられる。
これらはスチレン、エチルアクリレート、エチレング
リコールジアクリレート、エチレングリコールジメタク
リレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエ
チレングリコールメタクリレート、1,6−ヘキサングリ
コールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメ
タクリレート等も挙げられるが、特に好ましいものとし
ては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(メタ
クリレート)、ペンタエリスリトールアクリレート(メ
タクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート(メタクリレート)、トリメチロールプロパンジア
クリレート(メタクリレート)、ウレタンエラストマー
(ニッポラン4040)のアクリル変性体、あるいはこれら
のものにCOOH等の官能基が導入されたもの、フェノール
エチレンオキシド付加物のアクリレート(メタクリレー
ト)、下記一般式で示されるペンタエリスリトール縮合
環にアクリル基(メタクリル基)またはε−カプロラク
トン−アクリル基のついた化合物、 式中、m=1、a=2、b=4の化合物(以下、特殊
ペンタエリスリトール縮合物Aという)、 m=1、a=3、b=3の化合物(以下、特殊ペンタ
エリスリトール縮合物Bという)、 m=1、a=6、b=0の化合物(以下、特殊ペンタ
エリスリトール縮合物Cという)、 m=1、a=6、b=0の化合物(以下、特殊ペンタ
エリスリトール縮合物Dという)、 および下記一般式で示される特殊アクリレート類等が
挙げられる。
1)(CH2=CHCOOCH2−CCH2OH (特殊アクリレートA) 2)(CH2=CHCOOCH2−CCH2OH (特殊アクリレートB) 3)[CH2=CHCO(OC3H6−OCH2−CCH2CH3 (特殊アクリレートC) 8)CH2=CHCOO−(CH2CH2O)−OCCH=CH2 (特殊アクリレートH) また、放射線硬化型オリゴマーとしては、ウレタンエ
ラストマーのアクリル変性体、あるいはこれらのものに
COOH等の官能基が導入されたもの等が挙げられる。
また、上記の化合物に加えて、あるいはこれにかえて
熱可塑性樹脂を放射線感応変性することによって得られ
る放射線硬化型化合物を用いてもよい。
このような放射線硬化性樹脂の具体例としては、ラジ
カル重合性を示す不飽和二重結合を有するアクリル酸、
メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合物のよう
なアクリル系二重結合、ジアリルフタレートのようなア
リル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等の不
飽和結合等の、放射線照射による架橋あるいは重合する
基を熱可塑性樹脂の分子中に含有、または導入した樹脂
である。
放射線硬化性樹脂に変性できる熱可塑性樹脂の例とし
ては、塩化ビニル系共重合体、飽和ポリエステル樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ
キシ系樹脂、繊維素誘導体等を挙げることができる。
その他、放射線感応変性に用いることのできる樹脂と
しては、多官能ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステ
ル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂および誘導体(PVP
オレフィン共重合体)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂、フェノール樹脂、スピロアセタール樹脂、水酸基を
含有するアクリルエステルおよびメタクリルエステルを
重合成分として少くとも一種含むアクリル系樹脂等も有
効である。
このような放射線硬化型化合物の保護膜の膜厚は0.1
〜30μm、より好ましくは1〜10μmである。
この膜厚が0.1μm未満になると、一様な膜を形成し
にくく、湿度が高い雰囲気中での防湿効果が十分でな
く、記録層の耐久性が下がる。
しかも、ジッター防止効果が低下する。
また、30μmをこえると、樹脂膜の硬化の際に伴う収
縮により記録媒体の反りや保護膜中のクラックが生じや
すい。
このような塗膜は、通常、スピンナーコート、グラビ
ア塗布、スプレーコート、ディッピング等、種々の公知
の方法を組み合わせて設層すればよい。この時の塗膜の
設層条件は、塗膜組成の混合物の粘度、目的とする塗膜
厚さ等を考慮して適宜決定すればよい。
本発明において塗膜に照射する放射線としては、紫外
線、電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。
紫外線を用いる場合には、前述したような放射線硬化
型化合物の中には、通常、光重合増感剤が加えられる。
本発明に用いる光重合増感剤としては、下記一般式
(I)で表わされる化合物が好ましい。このものを、多
官能オリゴエステルアクリレートと用いることにより、
前記の硬度が容易に得られ、膜物性も良好となる。
そして、接着剤層との剥離も少なくなり、耐久性、耐
湿性も良好となる。
上記一般式(I)において、Rは炭素数1〜4の置換
もしくは非置換のアルキル基、例えばメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基等を表わし、なかでもメチル
基、エチル基等が好ましい。
Lは炭素数1〜3の置換もしくは非置換のアルキレン
基、例えば−CH2−、 等を表わし、なかでも が好ましい。
Yは、複素環基、例えばモルホリノ基、2−モルホリ
ニル基、、ピペリジノ基、4−ピペリジニル基、2−ピ
リジル基、2−キノリル基、1−ピロリジニル基、1−
ピロリル基、2−チエニル基、2−フリル基等を表わ
し、なかでもモルホリノ基が好ましい。
RS−は、一般式(I)中のベンゼン環の置換可能ない
ずれの位置でベンゼン環と結合してもよいが、 のp位であることが好ましい。
本発明において、一般式(I)で表わされる化合物の
うちで、最も好ましいものは以下のものである。
この化合物Aは、IRGACURE907(日本チバガイギー社
製)として市販されているものである。
一般式(I)で表わされる化合物は、放射線硬化の際
光重合開始剤ないし光重合増感剤として作用するもので
ある。
このような化合物の有機保護コート層における含有量
は、0.1〜20wt%、好ましくは1〜10wt%とするのがよ
い。
0.1wt%未満では光重合開始剤ないし光重合増感剤と
しての作用が十分ではないからであり、20wt%をこえる
と残存する光重合開始剤ないし光重合増感剤が記録層に
浸透し、記録層に悪影響を与えるからである。
また、光重合増感剤としては、必要に応じ前記の一般
式(I)で表わされる化合物の他に、次のような公知の
ものが併用できる。
例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、α−メチルベンゾイン、α−クロルデオキシ
ベンゾイン等のベンゾイン系、ベンゾフェノン、アセト
フェノン、ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等のケ
トン類、アセトラキノン、フェナントラキノン等のキノ
ン類、ベンジルジスルフィド、テトラメチルチウラムモ
ノスルフィド等のスルフィド類等を挙げることができ
る。
そして、このような光重合増感剤と放射線硬化型化合
物を含有する塗膜を紫外線によって硬化させるには、公
知の種々の方法に従えばよい。
たとえば、キセノン放電管、水素放電管などの紫外線
電球等を用いればよい。
また、場合によっては電子線を用いることもできる。
このような保護膜5上には、さらに層状ないしシート
状の樹脂製の保護層が設けられていてもよい。
反射層4上および/または記録層3・反射層4間に
は、さらに他のジッター防止膜が設けられてもよい。
このようなジッター防止膜としては、プラズマ重合膜
または無機質薄膜があり、反射層4上に設けるときに
は、それ自体保護膜として機能させても、その上にさら
に保護膜を形成してもよい。
ジッター防止膜5は、0.05μm以上、特に0.1〜10μ
mの厚さであることが好ましい。
膜厚が薄すぎると、ジッター防止の効果が低下し、厚
すぎると、CD規格からはずれたり、コスト高となり、膜
厚にみあった効果がえられない。
用いるプラズマ重合膜としては、公知のプラズマ重合
膜いずれであってもよく、Cを含み、これに加え、H、
O、C、F等のハロゲン、Si、N等の種々の元素を含
むものであってよい。
これらのうちではC、Hと必要に応じSiおよび0の1
種以上とを含むものが好ましい。
この際ソースガスやプラズマ重合条件等は公知のもの
を用いればよい。
これらプラズマ重合膜は実質的に透明であるので、反
射層の上層、下層いずれに設層してもよい。
一方、用いる無機質膜としても種々の無機化合物であ
ってよく、酸化物、窒化物、炭化物、ケイ化物等の1種
以上を含有するものであってさらに記録層3と反射層4
との間には、密着して接着層を設けてもよい。
接着層は、有機シリケート化合物、有機チタネート化
合物、有機アルミネート化合物もしくは有機ジルコネー
ト化合物の加水分解縮合物またはSi、Ti、AlもしくはZr
のハロゲン化物の加水分解縮合物を含有することが好ま
しい。
用いる有機チタネート化合物としては、公知の種々の
化合物が使用可能であるが、特にアルキルチタン酸エス
テル、置換アルキルチタン酸エステル、アルケニルチタ
ン酸エステルまたは置換アルケニルチタン酸エステルが
好ましい。
また、有機ジルコネート化合物としては、公知の種々
の化合物が使用可能であるが、特にアルキルジルコン酸
エステル、置換アルキルジルコン酸エステル、アルケニ
ルジルコン酸エステルまたは置換アルケニルジルコン酸
エステルが好ましい。
また、有機アルミネート化合物としては、アルミニウ
ムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物が好まし
い。
これらのうち、特に好適に使用できるのは、下記構造
式をもつものである。
M(OR1)(OR2)(OR3)(OR4) Al(OR1)(OR2)(OR3) ここに、Mは、TiまたはZrを表わす。
また、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、
または置換もしくは非置換のアルキル基もしくはアルケ
ニル基を表わす。
ただし、R1〜R4のうち、少なくとも2個以上は、水素
原子ではなく、アルキル基またはアルケニル基であるこ
とが好ましい。
また、置換または非置換のアルキル基またはアルケニ
ル基の炭素原子数は、2〜18であることが好ましい。
なお、アルキル基またはアルケニル基を置換する基と
しては、カルボキシル基、アルキルカルボキシ基、ジ
(ヒドロキシアルキル)アミノ基等の置換アミノ基、ヒ
ドロキシル基、アルキルオキシカルボニル基などが好適
である。
以下に、好ましい有機チタネート化合物の具体例を挙
げる。
T1 テトラエチルチタネート T2 テトラプロピルチタネート T3 テトライソプロピルチタネート T4 テトラ(n−ブチル)チタネート T5 テトラ(イソブチル)チタネート T6 テトラ(sec−ブチル)チタネート T7 テトラ(tert−ブチル)チタネート T8 テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート T9 テトラステアリルチタネート T10 ヒドロキシチタニウムステアレート T11 イソプロポキシチタニウムステアレート T12 ヒドロキシチタニウムオレエート T13 イソプロポキシチタニウムオレエート T14 ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセト
ン)チタネート T15 ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミ
ン)チタネート T16 ジヒドロキシ・ビス(ラクティックアシド)チ
タネート T17 テトラオクチレングリコールチタネート T18 ジ−i−プロポキシ・ビス(アセト酢酸エチ
ル)チタネート また、好ましい有機ジルコネート化合物の具体例を挙
げる。
テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラ−i−プ
ロピルジルコネート,テトラ−n−ブチルジルコネー
ト、テトラ−i−ブチルジルコネート、ジルコニウムテ
トラアセチルアセトナート、ジルコニウム−2−エチル
ヘキソエート、ジルコニウムナフテン酸、ジアセテート
ジルコン酸など。
また、好ましい有機アルミネート化合物の具体例を挙
げる。
アルミニウム−i−プロピレート、モノ−sec−ブト
キシアルミニウムジイソオピレート、アルミニウム−se
c−ブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウム
ジイソプロピレート、アルミニウム(エチルアセトアセ
テート)など。
有機シリケート化合物としては、アルキルケイ酸、特
に四低級アルキル(メチル、エチル)ケイ酸が好まし
い。
なお、有機チタネート化合物、有機ジルコネート化合
物、有機アルミネート化合物、有機シリケート化合物
は、塗布液中でオリゴマーやコロイド状縮合酸化物を形
成していてもよい。
ハロゲン化物としては、ハロゲン化ケイ素、特に、四
塩化ケイ素が好ましい。
このような有機シリケート化合物、有機チタネート化
合物、有機アルミネート化合物、有機ジルコネート化合
物あるいはハロゲン化物を用いて接着層を形成するに
は、これらを、水、アルコール、ヘキサン、ベンゼン等
の溶媒、あるいはこれらの混合溶媒で希釈し、これを色
素層上に塗布し、放置して加水分解を行ない、縮合物を
得ればよい。
接着層の塗布方法に特に制限はなく、スピンコート等
を用いればよい。
接着層の厚さは、10〜300Å、特に20〜100Åであるこ
とが好ましい。厚さがこの範囲未満であると光学的に不
均一となる他、接着強度が不十分となる。また、この範
囲を超えると光学特性が変化してしまい、反射率、変調
度ともに大きくとることができなくなる。
このような構成の光記録媒体1に記録ないし追記を行
なうには、例えば780nmの記録光を、基板2をとおして
パルス状に照射する。
これにより、記録層3が光を吸収して発熱し、同時に
基板2も加熱される。この結果、基板2と記録層3との
界面近傍において、色素等の記録層材質の融解や分解が
生じ、記録層3と基板2との界面に圧力が加わり、グル
ーブの底壁や側壁を変形させることがある。
この場合記録層3の融解物や分解物を含有する分解物
層61が、通常グルーブ23の底部および境界を覆うような
形状に残存する。
分解物層61の材質は、実質的に基板材質を含まない材
質であり、記録層材質の分解物あるいは記録層材質の分
解物と、記録層材質との混合物によって構成される。
分解物層61は、記録層3の厚さの通常30〜90%程度の
厚さである。
そして、通常、分解物層61上には、反射層との界面に
空隙63が形成され、分解物層61と、空隙63とがピット部
6に形成される。
空隙63は、記録層3の厚さの通常10〜70%程度の厚さ
である。
また、このような記録過程において、基板2は変形し
ない場合もあるが、通常、基板2のピット部6は、加熱
時の圧力によって凹状にへこむことになる。基板2のへ
こみ量は、ピット部6の寸法が大きい程大きく、通常0
〜300Å程度の深さである。
また、空隙63上には、反射層4に密着して微少膜厚に
て記録層3ないしその分解物等が残存することもある。
このように、ピット部6の基板2と記録層3との界面
部には、実質的に基板材質を含有しない層が形成され
る。
本発明者らは、ピット部6の基板2と記録層3間に基
板材質が含まれていないことを下記のように確認した。
まず、一定条件にて作製し、記録を行なった1枚の光
記録媒体1から、いくつかのサンプル片を用意し、各サ
ンプルから保護膜5と、反射層4とを剥離した。
次いで、基板2の表面をアルコール系の溶剤にて洗浄
した。
この場合、洗浄条件は、アルコール系の溶剤中にて軽
く揺らす程度の弱い洗浄と、超音波をかけながら洗浄す
る強い洗浄との2種類とした。
そして、洗浄後の基板2の走査型トンネル顕微鏡(ST
M)出力画像から基板2のグルーブ内の厚みを求めた。
この結果、強い洗浄力を持つ超音波洗浄を行なったサ
ンプルの場合、基板2のピット部6は、平坦ないしへこ
んでいた。
これに対し、弱い洗浄力にて洗浄を行なったサンプル
の基板2のピット部6は盛り上がっていた。
これらの結果から、弱い洗浄力にて洗浄を行なったサ
ンプルの盛り上がって見える部分は、色素等の記録層材
質が熱を受けて分解したもの、つまり溶解度が低下した
記録層材質の分解物を含有する層であると考えられる。
実際、これら洗浄後の残存物を液体クロマトグラフ
ィ、吸収スペクトル、FTIR、MAS等により測定した結
果、弱い洗浄力の場合にはピット底には分解物の存在
と、基板材質が含まれていないことが確認されている。
このように、本発明のメカニズムは、日経エレクトロ
ニクス1989年1月23日号、No.465、P107に開示されてい
る提案、すなわち 「記録レーザ光を照射した際、色素層が融解ないし分解
するとともに基板も軟化して、色素材料と、基板材料と
が界面で混じり合い、ピット部が形成される。」 というメカニズムとは異なるものである。
そして、その結果、ピット形状が良好となり、S/N比
が向上するものである。
なお、記録光のパワーは5〜9mW程度、基板回転線速
度は1.2〜1.4m/s程度とする。
このようにしてピット部6を形成したのち、例えば78
0nmの再生光を、基板2をとおして照射すると、ピット
部6により光の位相差を生じ、反射率が未飽和部分の60
%以下、特に50%以下、さらには40%以下に低下する。
一方、未記録部では、60%以上、特に70%以上の高反
射率を示しているので、CD規格による再生が可能とな
る。
再生光のパワーは、0.1〜10mW程度とする。
<実施例> 実施例1 連続グルーブを有する120mmφ、厚さ1.2mmのポリカー
ボネート樹脂基板上に色素を含有する記録層を設層し
た。この記録層上に、蒸着によりAuを1000Å厚に設層し
て反射層とし、さらに、オリゴエステルアクリレートを
含有する紫外線硬化型樹脂を塗布した後紫外線硬化して
5μm厚の保護膜とし、光記録ディスクサンプルを得
た。
各サンプルの記録層に含有される色素を下記に示す。
記録層の設層は、基板を500rpmで回転させながらスピ
ンコート塗布により行なった。
塗布溶液としては、1.5wt%メタノール溶液を用い
た。乾燥後の色素層の厚さは1300Åであった。
各サンプルの記録層が含有する色素およびその含有量
比と、記録層の屈折率(n)および消衰係数(k)と
を、下記表1に示す。
nおよびkは、上記色素を含有する溶液を測定用基板
上に乾燥膜厚600Åに成膜して被検記録層とし、この被
検記録層のnおよびkを測定することにより求めた。な
お、この測定は、「光学」(石黒浩三著、共立全書)第
168〜178ページの記載に準じて行なった。また、上記色
素A1およびA2を含有する記録層の測定に際しては、溶媒
にメタノール、測定用基板にポリカーボネート基板を用
いた。
なお、保護膜は、下記の放射線硬化型化合物および光
重合増感剤を含む塗布組成物をスピンナーコートで設層
した。
(塗布組成物) 多官能オリゴエステルアクリレート[オリゴエステル
アクリレート(3官能以上)30重量%、トリメチルプロ
パンアクリレート70重量%、商品名アロニックスM−80
30;東亜合成社製] 100重量部 光重合増感剤(前記化合物A:商品名IRGACURE907;日本チ
バガイギー社製) 5重量部 このような塗布組成物を設層後、120W/cmの紫外線を1
5sec照射し架橋硬化させ、硬化膜とした。
この膜の鉛筆硬度は2Hであった。
得られた各サンプルに対し、波長780nm、7mWのレーザ
ーにてコンパクトディスク信号の記録を行ない、次いで
市販のコンパクトディスクプレーヤで再生を行なった。
この結果、サンプルNo.1ではS/N比が高く、良好な再
生を行なうことができた。
次いで前記のサンプルNo.1から2枚のサンプル片を得
た。
そして、保護膜と、反射層とを剥離した後、基板の表
面を、メタノールを用いてそれぞれ異なる条件にて2分
間洗浄した。
この場合、メタノール中にて軽く揺らす程度の弱い洗
浄を行なったものをサンプルNo.1−1とし、超音波をか
けながら強い洗浄を行なったものをサンプルNo.1−2と
する。
洗浄後、基板表面に、膜厚100ÅのAu膜をスパッタリ
ングにて形成し、東洋テクニカ社から販売されている走
査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、両サンプルの表
面状態を画像化した。
サンプルNo.1−1のSTM画像は第2図、サンプルNo.1
−2のSTM画像は第3図に示されるとおりである。
第2図および第3図から、弱い洗浄を行なったサンプ
ルNo.1−1は、グルーブ内はピット部の膜厚が厚く、強
い洗浄を行なったサンプルNo.1−2は、グルーブ内の膜
厚がほぼ一定であることが確認できる。
また、グルーブ内の膜厚をより正確に確認するため、
グルーブに沿った断面における表面状態を示すグラフを
作製した。サンプルNo.1−1のグラフを第4図、サンプ
ルNo.1−2のグラフを第5図に示す。
グラフの縦軸は基準面からの基板厚さ方向の高さであ
り、横軸はグルーブ方向の距離である。また、図中、矢
印aはピット部、矢印bはピット部外の位置を示す。
第4図から明らかなように弱い洗浄を行なったサンプ
ルNo.1−1は、記号aで示されるようにピット部が盛り
上がっている。
これに対し、第5図から明らかなように強い洗浄を行
なったサンプルNo.1−2は、記号aで示されるようにピ
ット部が少しへこんでいる。
これらの事からサンプルNo.1−1の盛り上がって見え
る部分は、色素が熱を受けて分解したもの、つまり溶解
度が低下した色素の分解物を含有する分解物層と考えら
れる。
そして、このピット部の記録層と、基板との界面部に
形成された層を超音波にて剥離した後、分析を行なった
結果、分解物が存在することおよび実質的に基板材質が
含有されていないことが確認できた。
さらに、上記色素A1、A2を用い、下記表2に示される
ような記録層を設層した。
得られた各サンプルに対し、上記と同様に、波長780n
m、7mWのレーザーにてコンパクトディスク信号の記録を
行ない、次いで市販のコンパクトディスクプレーヤで再
生を行なったところ、この結果、サンプルNo.1では上記
のとおり良好な再生を行なうことができたが、その他の
サンプルNo.1−3では色素層の吸収が不十分であり、記
録が不可能であった。また、No.1−4では反射が小さ
く、再生が不可能であった。
次に、サンプルNo.1を用いて、本発明のクエンチャー
添加の効果を確認した。
用いた式[I]で示されるクエンチャーは下記のQ1、
Q6である。
各サンプルにつき、上記と同様に記録再生を行なっ
た。
この結果、本発明のサンプルNo.2〜4では、サンプル
No.1と同様のピットが形成されていた。
また、未記録部で、70%以上の反射率が得られ、CD信
号の11Tパルスの記録部の反射率は、未記録部の40%以
下であり、良好な記録再生を行なうことができた。
また、各サンプルにつき1.5kwのXeランプを15cmの距
離から基板をとおして照射し、20時間後の色素残有率を
測定した。
色素残有率は(100−R)/(100−R0) (ただし、R0およびRは、それぞれ、初期および照射後
の780nmでの反射率) により求めた。
結果を表3に示す。
表3に示される結果から、本発明のクエンチャーは、
kが小さいので、記録層のkおよび反射率を所定の値に
保持したまま添加量を増加させることができ、良好な記
録再生特性と、耐光性とを示すことがわかる。
なお、本発明のサンプルNo.2〜4につき、MEGURO社製
CDジッターメーターMJM−631で測定したところ、100ns
以下であり、ジッターも少なかった。。
さらに、このような効果は、上記の本発明の各クエン
チャーおよび光吸収色素の組み合わせにて、同等に実現
することが確認された。
実施例2 下記の色素A3を用いて、実施例1と同様としてサンプ
ルNo.11を作製した。
次に、下記の本発明のクエンチャーQ1および比較用ク
エンチャーQ51を用い、同様にサンプルNo.12、13を作製
した。
結果を表4に示す。
表4に示されるように、比較用のニッケル錯体クエン
チャーを用いたサンプルNo.13では、反射率が60%未満
であり、再生を行なうことができなかった。
これに対し、サンプルNo.11、12は、サンプルNo.1同
様、70%以上の反射率がえられ、同様のピットが形成さ
れ、ジッターのない良好な記録再生を行なうことができ
た。
そして、サンプルNo.12は、きわめて高い耐光性を示
す。
実施例3 下記の色素A4と、実施例2の色素A3と、クエンチャー
Q1とを用いて、実施例1と同様としてサンプルNo.21を
作製した。
結果を表5に示す。
表5に示されるように、サンプルNo.21は、サンプルN
o.1同様70%以上の反射率がえられ、同様のピットが形
成され、ジッターのない良好な記録再生を行なうことが
でき、しかもきわめて高い耐光性を示している。
<発明の効果> 本発明によれば、高反射率で、しかもピット部での大
きな反射率低下を示すので、CD規格による再生を行なう
ことのできる良好な光記録が可能となる。
そして、ピット形状が良好で、しかも高いS/N比が得
られ、良好な記録・再生を行なうことができる光記録媒
体が実現する。
この際、耐光性もきわめて高く、再生劣化も少ない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の光記録媒体を示す部分断面図であ
る。 第2図および第3図は、それぞれ、光記録媒体の記録層
を洗浄除去した後の基板表面の走査型トンネル顕微鏡の
出力画像の写真である。 第4図および第5図は、それぞれ、光記録媒体の基板表
面のグルーブに沿った断面における表面状態が示される
グラフである。 符号の説明 1……光記録媒体 2……基板 21……ランド部 23……グルーブ 3……記録層 4……反射層 5……保護膜 6……ピット部 61……分解物層 63……空隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−147286(JP,A) 特開 平2−292747(JP,A) 特開 昭59−55794(JP,A) 特開 昭61−210539(JP,A) 特開 平3−66042(JP,A) 特開 平2−261692(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に記録層を有し、この記録層上に密
    着して反射層を積層して構成され、 記録光を前記記録層に照射してピット部を形成し、再生
    光により再生を行なう光記録媒体であって、 前記記録層が、光吸収色素としてインドレニン系シアニ
    ン色素と、ビスフェニレンジチオールの銅錯体とを含有
    することを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】基板側から再生光を照射したとき、未記録
    部分の反射率が60%以上であり、記録部分の反射率が未
    記録部分の反射率の60%以下である請求項1に記載の光
    記録媒体。
  3. 【請求項3】記録光および再生光の波長における前記記
    録層の消衰係数kが、0.03〜0.25であり、記録光および
    再生光の波長における前記記録層の屈折率nが、1.8〜
    4.0である請求項2に記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】記録光および再生光の波長が600〜900nmで
    ある請求項1ないし3のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】前記ピット部の前記基板と前記記録層の界
    面部には、記録層材質の分解物を含有し、かつ基板材質
    を実質的に含有しない層が存在している請求項1ないし
    4のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】前記ピット部には、空隙が形成されている
    請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】前記記録層が、2種以上の光吸収色素を含
    有する請求項1ないし6のいずれかに記載の光記録媒
    体。
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