JP3009211B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP3009211B2 JP2313946A JP31394690A JP3009211B2 JP 3009211 B2 JP3009211 B2 JP 3009211B2 JP 2313946 A JP2313946 A JP 2313946A JP 31394690 A JP31394690 A JP 31394690A JP 3009211 B2 JP3009211 B2 JP 3009211B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光磁気記録媒体に係り、特に、オーバーライ
ト可能な光磁気記録媒体に関する。
〔従来の技術〕
光磁気記録は、情報の記録・再生・消去が可能な光記
録である。これらの機能に付け加えて、近年、オーバー
ライトができるようにした新しい光磁気記録方式が提案
されている。オーバーライトが可能な光磁気記録方式は
大きく二つに別けられる。すなわち、磁界変調方式と光
強度変調方式の二つである。両者の方式を比較した場
合、高速変調・高速記録が可能である点や、二枚の光磁
気記録媒体を張り合わせた構造をとることができる点な
どから、後者の方式の方が有利である。
光強度変調を実現させるためには、特開昭62−175948
に記載されているような光磁気記録媒体を用いる。つま
り、磁性層としては、低いキュリー温度と高い保磁力と
を有する第一磁性層と、この磁性層に較べて相対的に高
いキュリー温度と低い保磁力を有する第二磁性層とから
なる交換結合した二層膜であり、レーザ光の強度を変調
することによりオーバーライトが可能な光磁気記録媒体
である。
この交換結合二層膜を用いた光強度変調方式を第2図
から第5図を用いて説明する。第2図に示すように、室
温Trにおいては第一磁性層の保磁力Hc1は、第二磁性層
の保磁力Hc2よりも大きく、また第二磁性層の、キュリ
ー温度Tc2は第一磁性層のキュリー温度Tc1よりも高い。
記録に当たってはまず第3図に示すように初期化磁石7
により第二磁性層4の磁化8を初期化磁界Hiniの方向に
そろえる。ここで初期化磁界Hiniの大きさは、第2図に
示すように室温における第二磁性層4の保磁力Hc2より
も大きく、しかも第一磁性層3の保磁力Hc1よりも小さ
く設定してあるため、初期化磁界Hiniが印加されても第
一磁性層3の磁化9の向きは変わらない。
情報を記録する際には、第2図に示す一定強度の記録
磁界Hrecのもとでレーザ光の強度を、高いレーザパワー
レベル(以後PHと記す)と低いレーザパワーレベル(以
後PLと記す)との間で変調させる。第4図(a)あるい
は第5図(a)に示すようにレーザ光10は絞り込みレン
ズ11により絞り込まれ、磁性膜上に照射される。レーザ
光強度がPHのときは、第4図(a)に示すようにレーザ
光10により照射される領域の温度は、第二磁性層4のキ
ュリー温度Tc2近くにあるため、第一磁性層3の磁化9
は消滅し、第二磁性層4の磁化8は記録磁石12によって
印加される記録磁界Hrecの方向に向く。レーザ光の照射
が終了し磁性膜が冷却する際には、第4図(b)に示す
ように、第一磁性層3の磁化9も記録磁界Hrecの方向に
発生する。
一方レーザ光強度がPLのときは、第5図(a)に示す
ように、レーザ光10により照射される領域の温度は、第
一磁性層3のキュリー温度Tc1近くになる。このため、
第二磁性層4の保磁力Hc2は、第2図に示すように、記
録磁界Hrecよりも大きいから磁化の反転は起こらない。
レーザ光の照射が終了し磁性膜が冷却する際には、第一
磁性層3の磁化9には第一磁性層3の保磁力Hc1と記録
磁界Hrecよりも大きな交換結合磁界が作用しているた
め、第一磁性層3の磁化9も記録磁界Hrecとは逆方向に
向く。
このように第一磁性層の磁化は、PH照射時には記録磁
界Hrecの方向を向き、PL照射時にはHrecとは逆の方向に
向くため、光変調によるオーバーライトが可能となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述したように、交換結合二層膜を用いた光変調方式
では、レーザー光強度を高レベル(記録)、低レベル光
(消去)に変調してオーバーライトを行なう。さらに、
情報再生時には低レベル光よりもさらに低いレベルの光
(再生)を照射する。したがってレーザ光は、記録、消
去、再生の三つのレベルで切り換えられる。そして、環
境温度、及びレーザ出力の変動、さらに光学系の汚染に
伴うレーザ効率の低下などの種々の外乱に対しても、デ
ータを破壊することなく、記録,消去,再生を行なうに
は、これらのパワーレベルには充分な余裕度(マージ
ン)が必要となる。
上記従来技術は革新的な技術であるが、上記三つのパ
ワーレベルに充分なマージンを確保するための方法につ
いては全く検討されていなかったため、種々の外乱に対
応することができず、記録、消去、再生の際に情報の信
頼性が低下するという問題があった。
したがって、本発明の目的は、種々の外乱に対応する
ため、記録、消去、再生の三つのパワーレベル(特に消
去及び再生パワーレベル)に充分なマージンを確保でき
る光磁気媒体を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、 (1)基板上に少なくとも交換結合した第一磁性層と第
二磁性層を積層した二層の磁性層を有し、上記第一磁性
層の側からレーザ光を照射し、レーザパワーを、高パワ
ー(記録パワー)レベル、低パワー(消去パワー)レベ
ルの二つのレベルのパワー間で変調することによりオー
バーライトが可能となり、上記低パワーレベルよりもさ
らに低いパワー(再生パワー)レベルのレーザ光を照射
して情報を再生する方式の光磁気記録媒体において、媒
体温度を上昇させたとき、すでに記録されていた情報が
消去され始める消去開始TESでの、第一磁性層の反転磁
界Ht1の温度Tに対する変化を Ht1=−K・T+A(Aは定数) としたとき、比例定数Kが 50(Oe/℃)<K<220(Oe/℃) の関係を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
(2)照射レーザパワーを徐々に上げた場合、記録され
ている情報が消去され始めるパワーPESの記録磁界Hrec
依存性を、 PES=K′・Hrec+B(Bは定数) としたとき、この比例定数K′を、 0.2(mW/kOe)<K′<1.4(mW/kOe) の関係を満足させることを特徴とする上記(1)に記載
の光磁気記録媒体。
(3)上記第一磁性層のキュリー温度Tc1と補償温度Tco
mp1の関係が 70℃<Tc1−Tcomp1<160℃ であることを特徴とする上記(1),(2)のいずれか
に記載の光磁気記録媒体。
(4)上記消去開始温度TESと第一磁性層の補償温度Tco
mp1が、 20(℃)<TES−Tcomp1<70(℃) の関係を満たすことを特徴とする上記(1),(2),
(3)のいずれかに記載の光磁気記録媒体。
により達成される。
〔作用〕
低レベルレーザ光照射により起こる消去プロセスは第
一磁性層の磁化が第二磁性層の磁化にならうプロセスで
ある。本発明の理解のため、第6図、第7図を用いてこ
の消去プロセスについて、さらに第8図、第9図を用い
て本発明の原理について詳細に説明する。
第6図に示すように、消去に先立ち第二磁性層4の初
期化を行なうと、第一磁性層3には第一磁性層3の磁化
9を第二磁性層4の磁化8に揃える方向に交換結合磁界
Hex1が働く。また第一磁性層3の保磁力Hc1は、第一磁
性層3の磁化9の方向によらず第一磁性層3の磁化9の
向きを保持する方向に働く。ここで、消去プロセスは第
一磁性層3の磁化9と第二磁性層4の磁化8が反対方向
に向いている状態を、同じ方向に向ける過程であるか
ら、第一磁性層3の実効的な反転磁界Ht1は交換結合磁
界Hex1と保磁力Hc1の差 Ht1=Hc1−Hex1 で表わすことができる。
第7図に示すように、室温Trでは保磁力Hc1が大きい
ため反転磁界Ht1としては正の値を持っている。したが
って第一磁性層3の磁化9は反転しない。しかし、レー
ザ光により第一磁性層3の温度が上昇すると交換結合磁
界Hex1はあまり変化しないが、保磁力Hc1が急激に小さ
くなるため反転磁界Ht1が減少し、遂には負の値にな
る。一方、図6に示すように記録磁界Hrecは第一磁性層
3の磁化9を第二磁性層4の磁化8に対して反対方向に
向けるように働く。したがって、負の反転磁界Ht1の絶
対値が記録磁界Hrecの絶対値よりも大きくなった温度で
消去プロセスが起こり始める。すなわち、消去プロセス
が始まる温度TESは、それぞれが以下の関係を満たすと
きの温度である。
Hc1−Hex1=Ht1=−Hrec 第8図に示すように、一般的に磁性膜の保磁力には幅
があるので、第一磁性層の保磁力の幅ΔHcを考慮する。
すなわち、 ΔHc=Hc1MAX−Hc1MIN である。ここで、Hc1MAXはある温度におけるHc1の最大
値であり、Hc1MINは最小値である。
すると、当然消去が開始してから終了するまでの間に
は幅があるはずである。そこで、第一磁性層の温度Tを
上昇させた際に消去プロセスが開始する温度を消去開始
温度TESとするのに対して、完全に終了する温度を消去
終了温度TECとすると、この遷移領域に要する温度幅TEC
−TESは以下の式で表すことができる。
TEC−TES=ΔHc/K ここで、TES付近において、Kは Ht1=−K・T+A(Aは定数) としたときの反転磁界Ht1の温度Tに対する比例定数と
見なす。
さらに、1mWあたりの磁性膜の温度上昇を光温変換係
数KT/Pとし、消去が開始するレーザパワーを消去開始
レーザパワーPES、完全に終了するレーザパワーを消去
終了レーザパワーPECとすると、 TEC−TES=KT/P(PEC−PES) となる。したがって、消去が開始してから終了するまで
に要するレーザパワーは以下の様に表すことができる。
PEC−PES=ΔHc/(K・KT/P) 以上の検討から、PEC−PESもしくはTEC−TESを小さく
するには (1)保磁力の幅ΔHcを小さくする。(磁性膜の角形性
を向上させる。) (2)光温変換係数KT/Pを大きくする。(ディスクの
感度を良くする。) (3)比例定数Kを大きくする。(TE付近でのHc1の温
度変化を急峻にする。) が考えられる。
ここで、(1)は磁性膜組成や作製方法に関連してお
り、オーバーライト特性を実現するためには、現在のと
ころ固定せざるを得ない。すなわち、(1)を達成する
には材料系および製膜装置の根本的な見直しが必要とな
るためである。また、(2)を行うと1mWあたりの磁性
膜の温度上昇が大きくなるので、従来と同じパワーで記
録するには、第二磁性層のキュリー温度Tc2を大幅に高
温化することが要求される。すると、記録の際に磁性膜
が高温まで加熱され、結果的に磁性膜が劣化し書換え回
数が減少する。これらに対して(3)は第一磁性層の補
償温度Tcomp1とキュリー温度Tc1の関係を操作すること
によって大幅に変化させることができるため、大きな効
果が得られる。
次に、第7図を用いて信号再生時の挙動を考えてみ
る。環境温度の上昇や再生光強度の上昇に対してすでに
記録されている情報が破壊されずにすむ上限温度をTER
とする。ここで再生時に磁界を印加していない状態、す
なわちHrec=0を想定すると、媒体温度が上昇し反転磁
界Ht1が負の値になると消去プロセスが起こり、すでに
記録されている情報が破壊されてしまう。したがって、 Ht1=0 となる温度がTERとなる。すると、第7図に示すようにT
ESよりTERの方が低くなるためTES−TERの分だけ再生−
消去間の遷移領域が拡大する。したがって、TES−TER
小さくさせることによって、再生−消去間の遷移領域に
要するレーザパワーを小さくすることができる。ここ
で、TES−TERは以下の式で表すことができる。
TES−TER=Hrec/K さらに、この関係をすでに記録されている情報を破壊
しない再生パワーの上限PRHと消去開始温度PESの関係に
置き換えると、 PES−PRH=Hrec/(K・KT/P) となる。
以上の検討から、TES−TER、もしくはPES−PRHを小さ
くするには、 (1)記録磁界Hrecを小さくする。
(2)光温変換係数KT/Pを大きくする。
(3)比例定数Kを大きくする。
が考えられる。
ここで、(1)に関してその可能性を考慮すると、大
きな効果は望めないことになる。すなわち、通常、Hrec
は24〜40kA/m{300〜500Oe}と小さく、これ以上をHrec
を小さくすると記録特性に悪影響が生じる。また、
(2)に関しては先に述べた様に現実的ではない。これ
に対して(3)は上述のように有効である。
したがって、Kを大きくすることが非常に有効である
ことがわかった。
さて、上記第一磁性層としては、希土類と遷移金属と
からなる非晶質膜を用いるのが良い。たとえばTb−Fe−
Co,Gd−Dy−Fe−Co,Gd−Tb−Fe等が用いられる。
第9図に示すように、これらの膜には各元素の組成を
調整することにより第一磁性層の保磁力Hc1が発散する
温度、すなわち補償温度Tcomp1が存在する。そして第一
磁性層の保磁力Hc1の傾きはTcomp1より低温側では正の
大きさを持ち、高温側では負の大きさを持つ。さらに、
第一磁性層の保磁力Hc1が補償温度Tcomp1で発散してい
るため、その傾きの絶対値は補償温度Tcomp1前後で急激
に大きくなる。一方、第一磁性層に作用する交換結合磁
界Hex1は、温度にほとんど依存しない。したがって、比
例定数Kを大きくするためには補償温度Tcomp1の高温側
に消去開始温度TESがあるのが良い。すなわち、 Ht1=−Hrec となる消去開始温度TESでの、第一磁性層の反転磁界Ht1
の温度Tに対する変化を Ht1=−K・T+A(Aは定数) としたとき、比例定数Kが 50(Oe/℃)<K<220(Oe/℃) の範囲にあれば良い。
さらに、照射レーザパワーを徐々に上げた場合、記録
されている情報が消去され始めるパワーPESの記録磁界H
rec依存性を、近似的に、 PES=K′・Hrec+B(Bは定数) と表すことができる。ここで、K′を比例定数とし、
K′の範囲を、 0.2(mW/kOe)<K′<1.4(mW/kOe) としても同様の効果が得られる。
さらに、上記第一磁性層のキュリー温度Tc1と補償温
度Tcomp1の関係が 70(℃)<Tc1−Tcomp1<160(℃) であれば比例定数KおよびK′を上記値に制御すること
ができる。
さらに、上記消去開始温度TESと上記第一磁性層の補
償温度Tcomp1が、 20(℃)<TES−Tcomp1<70(℃) の関係を満たせばさらに良い。
〔実施例〕
(1)ディスクの作製 三元のターゲット源を備えたスパッタ装置内に、トラ
ッキング溝のあるガラス製のディスク状基板をターゲッ
トから10cmの距離にセットし回転させた。
窒素濃度10%のアルゴン窒素混合ガス中で第1のター
ゲットより、スパッタガス圧5mTorrでSiを反応性スパッ
タし、第一誘電体層としてSi3N4を850Åの厚さに設け
た。次にアルゴン中で、第2のターゲットよりスパッタ
ガス圧5mTorrでTb−Fe−Co合金をスパッタし、膜厚200
Å、キュリー温度約200℃、保磁力Hc110kOeで、組成がT
b26.5Fe64.5Co9の第一磁性層を形成した。
次に、アルゴンスパッタガス圧5mTorrで第3のターゲ
ットより、Tb−Dy−Fe−Co合金をスパッタし、膜厚900
Å、キュリー温度約300℃、保磁力Hc22kOe、補償温度約
150℃で、組成がTb14Dy17Fe43Co26の第二磁性層を形成
した。さらに、窒素濃度10%のアルゴン窒素混合ガス中
で第1のターゲットより、スパッタガス圧5mTorrでSiを
反応性スパッタし、第二誘電体層としてSi3N4を200Åの
厚さに設けた。最後に、アルゴンスパッタガス圧5mTorr
で第4のターゲットより、金属層としてAlを300Åの厚
さに設け,ディスクAを作製した。
また、上記で作製したディスクAの第一磁性層の組成
だけを表1に示したように変えてディスクを作製し、そ
れぞれディスクB、ディスクC、ディスクDとした。
(2)消去開始温度の磁界依存性 次に、このように磁気特性が異なる四つのディスクの
消去特性を調べた。まず、線速度11m/sのもとでDC光
(一定強度のレーザ光)を照射し0.8μm幅の帯状磁区
を記録した。そして、その磁区上に順次Hrecとレーザパ
ワーを変えながらDC光を照射して、再生出力が低下し始
めるパワー(PES)を求めた。
結果を第10図に示す。従来のディスクAのHrecに対す
るPESの変化率K′は1.8mW/kOeと大きかった。それに対
して、ディスクB,C,DではK′が1.2mW/kOe以下と小さく
なっている。これはディスクB,C,Dの方がディスクAに
較べ、第一磁性層の反転磁界Ht1の温度変化が大きいた
めである。すなわち、反転磁界Ht1の温度変化が大きい
と、消去開始温度TESの記録磁界Hrec依存性が小さくな
るからである。このように、消去特性の磁界依存性は各
ディスクの磁気特性を良く反映していることがわかっ
た。
(3)消去特性のパワー依存性 次に、各ディスクの消去の急峻性を表すPEC−PESを比
較した。実験は以下の手順で行った。
まず、充分大きなレーザパワーによりランド部、グル
ーブ部とも初期化し、その後ランド部にレーザ光のDC照
射を行い、0.8μm幅の帯状磁区を形成した。
さらに、線速11m/s、記録磁界40kA/m{500Oe}のもと
で、レーザ光(DC)を照射したのち0.5mWの再生パワー
(PR)で再生出力レベルを読みだした。
結果を第11図に示す。各ディスクとも照射レーザパワ
ーを大きくするにしたがい、再生出力レベルは減少して
いる。このことは記録されていた帯状磁区が、徐々に消
去され始め(PES)、遂には完全に消去されている
(PEC)ことを示している。各ディスクの再生出力レベ
ルの減少の様子を比較すると、ディスクAでは再生出力
が減少し始めてから零になるまで、すなわち記録磁区が
消去され始めてから完全に消去されるまでに要するレー
ザパワーが2.4mWとなっている。その結果、消去パワー
マージン(PWS−PEC:消去が完全に終了するパワーと記
録が始まるパワーのレーザパワーの差)は3.4mWとなっ
ている。通常、消去パワーレベルのパワーマージンは4m
W以上が望ましい。したがって、ディスクAは目標の消
去パワーマージンを達成していないことがわかった。
それに対して、ディスクB、CではPEC−PESが大幅に
小さくなっているため、PWS−PECは各ディスクとも全て
目標の4.0mW以上となり、極めて大きな効果が得られ
た。
しかしながら、ディスクDではPEC−PESが小さくなっ
たものの第一磁性層の補償温度Tcomp1が高すぎるため保
磁力が大きくなり、TESが160℃と高くなった。その結
果、ディスクDのPESが大きくなってしまい、PEC−PES
は目標の4.0mW以下となってしまった。
(4)再生光に対する信頼性 再生光の強度をしだいに強くしてゆくと消去が始ま
る。この時の再生パワーをPRHとすると、PRHは再生光に
対する信頼性を表わす指標となる。また、ディスクの温
度が上昇すると記録磁区の消去は起こりやすくなる。そ
のため、再生光に対する信頼性を調べるには環境温度を
通常の室温よりも高くして行なうことが望ましい。そこ
で、ディスクのドライブ装置内の温度を50℃として、デ
ィスクの温度を上昇させた状態でディスクA,B,C,DのPRH
を調べた。まず先の実験と同様に0.8μm幅の帯状磁区
を各ディスクに記録した。次に線速度11m/sとし再生レ
ーザパワーPRを順次大きくしながら、再生出力レベルの
変化を測定した。
結果を第12図に示す。各ディスクともPRを大きくする
にしたがい再生出力レベルが上昇している。このことは
PRの上昇にともない、ディスクからのもどり光量が増加
していることを示している。また、各ディスクとも、あ
るレーザパワーを境にして再生出力レベルが減少してい
る。これは、再生光PRにより消去プロセスが起こってい
ることを示している。
次に各ディスクでPRHを比較した。まず、ディスクA
では0.5mWで記録磁区の消去が起こった。通常光磁気デ
ィスクの再生光としては1mW以上の強度が望ましい。し
たがって、ディスクAは環境温度が50℃になると再生光
により消去されてしまう。
それに対してディスクB、C、Dでは、これらのうち
最もPRHが低いディスクBでさえもPRHが1.2mWと大きく1
mW以上となっている。したがって環境温度が50℃と高く
なった場合でもデータの信頼性は保持されることがわか
った。
各ディスクの評価結果を表1に○,×を用いて示し
た。「消去パワーマージン」に関しては種々の外乱に対
応できるパワーマージンを4mWとして、これ以上の良好
なパワーマージンを有するディスクは○、これ以下のパ
ワーマージンが狭く消え残り生じる可能性があるディス
クは×を表示した。
「再生光耐性」に関しては環境温度が50℃に上昇した
時でも再生光により記録磁区が消去されないディスクは
○とし、消去されてしまうディスクは×とした。
以上の結果から明らかなように、ディスクB、Cでは
消去パワーマージン、再生光耐性共に良好であり大きな
効果が得られた。
また、第13図に消去パワーマージンPWS−PECと比例定
数Kの関係を、第14図に消去パワーマージンPWS−PEC
比例定数K′の関係を示す。4mW以上の充分な消去パワ
ーマージンを確保することのできる比例定数Kおよび
K′の範囲は以下のとおりである。
50(Oe/℃)<K<220(Oe/℃) 0.2(mW/kOe)<K′<1.4(mW/kOe) さらに、第15図に第一磁性層の補償温度Tcomp1とキュ
リー温度Tc1の差Tc1−Tcomp1と、比例定数Kの関係を示
す。比例定数Kを上記範囲にするためにはTc1−Tcomp1
を 70℃<Tc1−Tcomp1<160℃ とすれば良い。
以上実施例を示したように、消去開始温度TESでの、
第一磁性層の反転磁界Ht1の温度Tに対する変化を Ht1=−K・T+A(Aは定数) としたとき、比例定数KがディスクB、Cのように 50(Oe/℃)<K<220(Oe/℃) の関係を満足していれば良好な消去パワーマージンを確
保でき、かつ環境温度の上昇に対しても信頼性を低下さ
せることなく情報の再生を行なうことができる。
しかしながら、ディスクAのように、 K≦50(Oe/℃) であると、記録されている磁区が消去され始めてから完
全に消去されるまでに要するレーザパワーが大きいため
充分な消去パワーマージンを得ることができない。しか
も、環境温度が50℃に上昇すると実用的な再生パワーレ
ベルで記録磁区の消去が開始するため、情報の再生を行
なうことが不可能となる。
一方、ディスクDのように、 220(Oe/℃)≦K であると、記録磁区が消去され始めてから終了するまで
に要するレーザパワーは小さいものの、第一磁性層の補
償温度Tcomp1とキュリー温度Tc1の差を Tc1−Tcomp1≦70℃ とする必要があるため、消去開始温度が他のディスクに
較べ大幅に上昇する。その結果、消去開始レーザパワー
PESが上昇し、充分な消去パワーマージンを確保するこ
とができない。
また、実施例でも示したように媒体温度と照射レーザ
パワーは密接な関係があるため、反転磁界Ht1と温度T
との関係を、記録磁界Hrecと消去開始レーザパワーPES
との関係に置き換えて考えることができる。したがっ
て、照射レーザパワーを徐々に上げた場合、記録されて
いる情報が消去され始めるレーザパワーPESの記録磁界H
rec依存性を、 PES=K′・Hrec+B(Bは定数) としたとき、この比例定数K′を、 0.2(mW/kOe)<K′<1.4(mW/kOe) とすることにより、ディスクB,Cのように良好な消去パ
ワーマージンを確保でき、かつ環境温度の上昇に対して
も信頼性を低下させることなく情報の再生を行なうこと
ができる。
しかしながら、ディスクAのように、 1.4(mW/kOe)≦K′ であると、記録されている磁区が消去され始めてから完
全に消去されるまでに要するレーザパワーが大きいため
充分な消去パワーマージンを得ることができない。しか
も、環境温度が50℃に上昇すると実用的な再生パワーレ
ベルで記録磁区の消去が開始するため、情報の再生を行
なうことが不可能となる。
一方、ディスクDのように、 K′≦0.2(mW/kOe) であると、記録磁区が消去され始めてから終了するまで
に要するレーザパワーは小さいものの、メモリ層の補償
温度Tcomp1とキュリー温度Tc1の差を Tc1−Tcomp1≦70℃ とする必要があるため、消去開始温度が他のディスクに
較べ大幅に上昇する。その結果、消去開始レーザパワー
PESが上昇し、充分な消去パワーマージンを確保するこ
とができない。
また、上記比例定数KおよびK′を上記値にするため
には、ディスクB,Cのように上記第一磁性層のキュリー
温度Tc1と補償温度Tcomp1の関係を 70℃<Tc1−Tcomp1<160℃ とすれば良い。
さらに、このとき上記消去開始温度TESと上記第一磁
性層の補償温度Tcomp1の関係が、 20(℃)<TES−Tcomp1<70(℃) であれば効果が大きい。
ディスクAのように 160℃≦Tc1−Tcomp1 であるか、ディスクDのように Tc1−Tcomp1≦60℃ であると、上記比例定数K及びK′を上記適当な値にす
ることができないため良好な特性を得ることができな
い。
〔発明の効果〕 以上詳細に説明したように、前記の要件を満たす、交
換結合している第一磁性層と第二磁性層とからなる交換
結合二層膜において、消去開始温度付近の第一磁性層の
反転磁界の温度に対する変化率Kを一定の値に制御する
ことにより消去パワーマージンが増大し、しかも、環境
温度が上昇した際の再生光に対する耐性が向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例にかかるオーバーライト可能
な光磁気記録媒体の縦断面を示す概念図である。 第2図,第3図,第4図,第5図は、従来の光強度変調
記録の原理を説明する模式図である。 第6図,第7図,第8図,第9図は本発明の光磁気記録
媒体の原理を説明するための模式図である。 第10図,第11図,第12図,第13図,第14図,第15図は本
発明の光磁気記録媒体の特性図である。 1……基板、2……第一誘電体層、3……第一磁性層、
4……第二磁性層、5……第二誘電体層、6……金属
層、7……初期化磁石、8,9……磁化、10……レーザ
光、11……絞り込みレンズ、12……記録磁石、Hc1,Hc2
……保磁力、Hini……初期化磁界、Hrec……記録磁界、
Hex1……交換結合磁界、ΔHc……保磁力の幅、Ht1……
反転磁界、Tc1,Tc2……キュリー温度、Tcomp1……補償
温度、Tr……室温、TER……安定磁区上限温度、TES……
消去開始温度、TEC……消去終了温度、PES……消去開始
レーザパワー、PEC……消去終了レーザパワー,PRH……
再生レーザパワーの上限。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 治一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 鈴木 良夫 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 安藤 圭吉 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 粟野 博之 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 尾島 正啓 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平3−171454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/10 506

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも交換結合した第一磁性
    層と第二磁性層を積層した二層の磁性層を有し、上記第
    一磁性層の側からレーザ光を照射し、レーザパワーを高
    パワー(記録パワー)レベル、低パワー(消去パワー)
    レベルの二つのレベルのパワー間で変調することにより
    オーバーライトが可能となり、上記低パワーレベルより
    も更に低いパワー(再生パワー)レベルのレーザ光を照
    射して情報を再生する方式の光磁気記録媒体において、
    媒体温度を上昇させたとき、すでに記録されていた情報
    が消去され始める消去開始温度TESでの、第一磁性層の
    反転磁界Ht1の温度Tに対する変化を Ht1=−K・T+A(Aは定数) としたとき、Kが 50(Oe/℃)<K<220(Oe/℃) の関係を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】照射レーザパワーを徐々に上げた場合、記
    録されている情報が消去され始めるパワーPESの記録磁
    界Hrec依存性を、 PES=K′・Hrec+B(Bは定数) としたとき、K′を、 0.2(mW/kOe)<K′<1.4(mW/kOe) の関係を満足させることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】上記第1磁性層のキュリー温度Tc1と補償
    温度Tcomp1の関係が、 70℃<Tc1−Tcomp1<160℃ であることを特徴とする特許請求の範囲第1項であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項乃至第2項の光磁
    気記録媒体。
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