JP3220772B2 - 光磁気記録媒体とその光磁気記録媒体の再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体とその光磁気記録媒体の再生方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ光の照射による温
度上昇を利用して信号の記録・消去を行い、磁気光学効
果を利用して信号の再生を行う光磁気記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録媒体はメモリとしての応用分
野を拡大するために、データの転送速度を向上させるこ
とが重要である。このため、特開平2−247846号
公報に示すように、光磁気記録媒体そのものの記録感度
を向上させることが知られている。
【0003】光磁気記録媒体への記録は、レーザ光照射
により記録膜を局部的に補償温度以上の保磁力の小さい
温度、もしくはキューリ温度以上に加熱し、照射部の記
録膜を外部磁界の向きに磁化させることによって行う
(熱磁気記録)。また、その記録信号の再生は、記録消
去時のレーザパワーより低いパワーのレーザ光照射によ
り記録膜の記録状態(磁化の向き)に応じて反射光ある
いは透過光の偏光面が回転する状況を検出することによ
って行う。従来の記録方式には、一定強度のレーザ光を
照射して記録膜の温度を上昇させ、記録信号に応じて向
きの変調された外部磁界で熱磁気記録する方式(磁界変
調記録方式)、および一定強度の外部磁界のもとで記録
信号に応じて強度の変調されたレーザ光を照射して記録
膜の温度を局部的に上昇させて熱磁気記録する方式(光
変調記録方式)がある。
【0004】図4に従来の光磁気ディスクの構成の一例
を示す。図4において、11はガラス,プラスチックな
どの基板、12および13はZnSe膜からなる保護
膜、14はTbFeCo膜からなる記録膜である。光磁
気記録媒体の記録膜には、高密度記録を行うために垂直
磁気異方性を有するTbFeCo膜等の希土類金属−遷
移金属系合金膜が磁性材料に用いられ、この記録膜の酸
化を防ぐために、ZnSe等の誘電体膜で保護された構
成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の光磁気記録媒体は、記録ビットが再生光の大きさ
よりも小さくなると前後の記録ビットからの干渉により
再生信号が小さくなるためにS/Nが低下し、高密度記
録が実現できないという課題を有していた。また、記録
トラック間が再生光の大きさよりも狭くすると、近接ト
ラックからのクロストークが増加し再生ジッターとなる
ために、大容量化の妨げとなっていた。
【0006】本発明は上記課題を解決するもので、記録
ビットの波形干渉および近接トラックからのクロストー
クを低減し、大容量かつ高転送レートの記録再生を可能
にする光磁気記録媒体を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、垂直磁化膜である第1磁性膜と、前記第
1磁性膜に隣接した面内磁化膜である第2磁性膜とを備
え、前記第1磁性膜の磁化方向は、前記第2磁性膜がキ
ューリ温度以下である場合に前記第2磁性膜からの交換
結合力によって面内方向に傾いている光磁気記録媒体と
した。また、請求項4記載に係る発明は、垂直磁化膜で
ある第1磁性膜と、前記第1磁性膜に隣接した面内磁化
膜である第2磁性膜とを備え、前記第1磁性膜の磁化方
向が前記第2磁性膜がキューリ温度以下である場合には
前記第2磁性膜からの交換結合力によって面内方向に傾
いている光磁気記録媒体に記録された情報の再生方法
あって、前記記録媒体に再生光を照射し、前記再生光の
照射によって前記第2磁性膜の温度をキューリ温度以上
に上昇させて前記第2磁性膜の磁化を消失させることに
より、前記第1磁性膜の磁化方向に基づいて情報を再生
する光磁気記録媒体の再生方法とした。
【0008】
【作用】本発明は上記した構成において、第1磁性膜
磁化方向は、第2磁性膜がキューリ温度以下である場合
に第2磁性膜からの交換結合力によって面内方向に傾い
ているため第2磁性膜がキューリ温度以上の領域では、
第2磁性膜からの交換結合力が消失し、第1磁性膜を面
内方向に向ける力はなくなり、第1磁性膜の磁化方向は
垂直となる。このためにこの領域の第1磁性膜からの力
一回転角は増大することになり、第1磁性膜の磁化の情
報を強調して再生信号として読み出すことができること
になる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例の光磁気記録媒体に
ついて、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、
本発明の一実施例の光磁気記録媒体の構成を示す。図1
において、1は再生光、2は基板でガラスもしくはプラ
スチックなどからなる。3は第1磁性膜でTbGdFe
Co膜からなり、4は第2磁性膜でTbFe膜からな
り、5および6は保護膜でZnSe膜からなる。前記基
板2上の各膜はスパッタリング法により形成している。
【0010】上記構成において動作を説明する。図2は
本発明の光磁気記録媒体の磁化状態を示す図である。図
2において、各磁性膜の磁化の方向を矢印で示す。第1
磁性膜3には、光変調方式もしくは磁界変調方式等で情
報が磁化の方向として記録されているものとする。光磁
気記録媒体の再生時には、再生光1の照射により第1磁
性膜3および第2磁性膜4の温度が上昇する。この再生
光照射部の温度でキューリ温度となる面内磁化膜で第2
磁性膜4が構成されているので、第2磁性膜4の温度が
キューリ温度以上になった領域(図2の網目部)では第
2磁性膜4の磁化が消失するために第2磁性膜4からの
交換結合力が働かない。第2磁性膜4がキューリ温度以
下の領域では、第2磁性膜4からの交換結合力により第
1磁性膜3の磁化方向は面内方向に傾くためにこの領域
の第1磁性膜3からのカー回転角は減少する。また、第
2磁性膜4がキューリ温度以上の領域では、第2磁性膜
4からの交換結合力が消失し、第1磁性膜3を面内方向
に向ける力はなくなり、第1磁性膜3の磁化方向は垂直
となる。このためにこの領域の第1磁性膜3からのカー
回転角は増大する。つまり上記構成にすることにより、
再生光1の中心部分の温度上昇領域にある第1磁性膜3
の磁化の情報を強調して再生信号として読み出すことが
できることになる。これは、再生時の再生光1の大きさ
を等価的に小さくしたことに相当し、これによって再生
光1の大きさよりも小さな記録ビットを、前後の記録ビ
ットの波形干渉なしで読み出せることになる。この原理
は、再生ビームの走行方向および走行方向に垂直な方向
にも同様に働くために、波形干渉による再生信号のS/
N低下ならびに近接トラックからのクロストークを減少
させることができる。
【0011】次に各膜厚は第1磁性膜3を40nm、第
2磁性膜4を50nm、保護膜5を80nm、保護膜6
を100nmとした。第2磁性膜4のTbFe膜の組成
は、Tb=50%,Fe=50%で、そのキューリ温度
は130℃であった。また、第1磁性膜3のTbGdF
eCo膜はその組成をTb=7%,Gd=15%,Fe
=69.5%,Co=8.5%とした。
【0012】以上の構成の光磁気記録媒体の再生信号ノ
イズ比(以下CN比と記す)の記録ビット長依存性の測
定を行った。この再生CN比の測定は、記録に磁界変調
記録方式を用い、光磁気記録媒体の移動速度が6m/s
で行った。その結果を図3に示し、本発明の光磁気記録
媒体の記録ビット長とCN比の関係を実線で、従来の光
磁気記録媒体の記録ビット長とCN比の関係を点線で示
す。図3から明らかなように、記録ビット長の短い領域
で従来の光磁気記録媒体よりCN比が高く、本発明の光
磁気記録媒体が高密度記録に有効であると言える。ま
た、本発明の光磁気記録媒体において、トラックピッチ
1.4μmのクロストーク量は、従来の光磁気記録媒体
と比較して13dB低下し、これは狭トラックピッチの
光磁気記録媒体の実現を可能とするものである。
【0013】なお、本実施例では第2磁性膜4としてT
bFe膜を用いたが、再生光1の中心部の温度でキュー
リ温度となるような面内磁化膜を用いても同様の効果を
得ることができる。本実施例で用いたTbFe膜もCo
を添加することによりキューリ温度をある程度の範囲で
コントロールすることが可能であるので、再生条件など
により再生時の再生光1の中心部の温度が変化しても、
Coの添加により簡単に最適化を行うことができる。
【0014】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
光磁気記録媒体は、記録ビット長が短い場合のS/N向
上とクロストークの低減が同時に達成され、大容量でか
つ高転送レートの光磁気記録装置の実現を可能とするも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光磁気記録媒体の断面図
【図2】同、光磁気記録媒体の磁化状態を示す図
【図3】本発明の一実施例の光磁気記録媒体および従来
の光磁気記録媒体の再生CN比と記録ビット長の関係を
示す特性図
【図4】従来の光磁気記録媒体の断面図
【符号の説明】
1 再生光 3 第1磁性膜 4 第2磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 垂直磁化膜である第1磁性膜と、前記第
    1磁性膜に隣接した面内磁化膜である第2磁性膜とを備
    え、前記第1磁性膜の磁化方向は、前記第2磁性膜がキ
    ューリ温度以下である場合に前記第2磁性膜からの交換
    結合力によって面内方向に傾いていることを特徴とする
    光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第2磁性膜がTbFe膜、またはT
    bFe膜にCoを添加した膜からなることを特徴とする
    請求項1記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記第1磁性膜がGdを含んだ希土類遷
    移金属膜であることを特徴とする請求項1記載の光磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 垂直磁化膜である第1磁性膜と、前記第
    1磁性膜に隣接した面内磁化膜である第2磁性膜とを備
    え、前記第1磁性膜の磁化方向が前記第2磁性膜がキュ
    ーリ温度以下である場合には前記第2磁性膜からの交換
    結合力によって面内方向に傾いている光磁気記録媒体に
    記録された情報の再生方法あって、前記記録媒体に再
    生光を照射し、前記再生光の照射によって前記第2磁性
    膜の温度をキューリ温度以上に上昇させて前記第2磁性
    膜の磁化を消失させることにより、前記第1磁性膜の磁
    化方向に基づいて情報を再生することを特徴とする光磁
    気記録媒体の再生方法。
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