JP3412879B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP3412879B2 JP25997893A JP25997893A JP3412879B2 JP 3412879 B2 JP3412879 B2 JP 3412879B2 JP 25997893 A JP25997893 A JP 25997893A JP 25997893 A JP25997893 A JP 25997893A JP 3412879 B2 JP3412879 B2 JP 3412879B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学効果を利用し
てレーザ光により情報の記録/再生を行う光磁気記録媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】書き換え可能な高密度記録方式として、
半導体レーザの熱エネルギーを利用して磁性薄膜に磁区
を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を使って記録
情報を読み出す光磁気記録媒体及び記録再生装置が注目
されている。また、近年この光磁気記録媒体の記録密度
を高めて更に大容量の記録媒体とする要求が高まってい
る。
【0003】光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体の線
記録密度は、再生光学系のレーザ波長及び対物レンズの
開口数NAに大きく依存する。すなわち、再生光学系のレ
ーザ波長λと対物レンズの開口数NAが決まるとビームウ
ェストの径が決まるため、信号再生可能な記録ピットの
空間周波数は2NA/λ程度が限界となってしまう。
【0004】したがって、従来の光ディスクで高密度化
を実現するためには、再生光学系のレーザ波長を短くす
るか対物レンズの開口数を大きくする必要がある。しか
しながら、レーザ波長を短くするのは素子の効率、発熱
などの問題で容易ではなく、また対物レンズの開口数を
大きくするとレンズとディスクとの距離が近づきすぎて
衝突などの機械的な問題が生じる。このため、記録媒体
の構成や再生方法を工夫して記録密度を改善する超解像
技術が開発されている。超解像技術について第13図を用
いて説明する。
【0005】第13図(a) の再生層は保磁力が低い垂直磁
化膜であり、室温で初期化磁界Hbを印可することにより
記録層の向きに関わらず初期化磁界の方向に磁化が揃
う。この場合、記録層の磁化の向きと初期化磁界の向き
が逆の部分では磁壁が生じる。このようにして再生層の
磁化を初期化した状態で初期化磁界と逆向きの再生磁界
Hrを印可しながら再生光を照射する。この時再生光スポ
ットの中の低温部分では記録層からの交換力と再生磁界
により再生層の磁化を反転させようとするエネルギーよ
りも再生層の保磁力の方が大きいように再生磁界の大き
さを設定しておく。つまり、低温部分では再生層の磁化
が初期化磁界の方向を向いているので記録層の磁化はマ
スクされた状態になっており、信号再生には寄与しな
い。ところが再生光スポットの照射により次第に高温に
なると再生層の保磁力が低下し、磁壁が存在する部分で
は記録層からの交換力と再生磁界により、再生層の磁化
が反転する。すなわち記録層の磁化が再生層に転写され
る。このようにして、第13図(b) でスポット中の温度が
Tth よりも高温の部分だけが信号再生に寄与する超解像
が実現できる。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら従来
の超解像方式は、温度勾配を利用して再生光スポットの
一部をマスクし、すなわち実質的にピットを読み取るア
パーチャ部分を小さな領域に制限する事により解像能力
を上げるという方法を取っていたため、マスクした部分
の光は無駄になり再生信号振幅が小さくなるという問題
があった。つまり、マスクした部分の光は再生信号に寄
与しないため、分解能を上げようとしてアパーチャを狭
めるほど有効に使われる光が減少し、信号レベルが下が
るという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するためになされたものであり、情報記録密度を大き
く向上する事が可能で、微小な磁区に対しても大きな磁
区の場合と同じ振幅で再生信号が得られる光磁気記録媒
体の提供を目的とする。
【0008】そして、上記目的は、磁壁が移動する磁区
拡大層と、情報に応じた記録磁区を保持する記録層と、
前記磁区拡大層と記録層の間に配置され、前記両層より
キュリー温度が低い中間層を備え、前記磁区拡大層は前
記記録層より小さな磁壁抗磁力を有すると共に各情報ト
ラック間で互いに磁気的に分断されており、前記中間層
のキュリー温度以上の領域において前記記録層から磁区
拡大層に転写された記録磁区の磁壁を情報トラックに沿
って移動させて前記記録磁区を拡大することにより情報
の再生を行う光磁気記録媒体において、前記磁区拡大層
の前記中間層が隣接する側と逆側に、温度によって面内
磁化状態と垂直磁化状態の間で状態遷移する再生層が積
層され、再生時において前記磁気拡大層上の再生に寄与
する記録磁区拡大領域以外の一部の領域は前記再生層の
面内磁化によりマスクされることによって達成される。
【0009】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明の一実施例について図面を
用いて詳細に説明する。
【0010】図1(a) は本実施例における光ディスクの
断面図を示す。図1に示すように、本実施例に用いる光
ディスクでは、基板上に干渉層、再生層1 、磁区拡大層
2 、中間層3 、記録層4 、保護層をその順で積層してい
る。基板は通常ガラスあるいはポリカーボネートの様な
透明な材料が使われる。これらの各層は、マグネトロン
スパッタ装置による連続スパッタリング、あるいは連続
蒸着などによって被着形成できる。干渉層は磁気光学効
果を高めるために設けられ、例えばSi3N4 、AlN 、Si
O2、SiO 、ZnS 、MgF2などの透明な誘電材料が用いられ
る。保護層は磁性層の保護のために用いられるもので、
干渉層と同様の材料が用いられる。干渉層及び保護層
は、本発明の本質とは無関係であるのでここでは詳細な
説明は省略する。また、磁性体中の矢印11は、膜中の磁
化の向きを表し、磁化の向きが逆向きの磁区間には磁壁
12(ブロッホ磁壁)が存在する。
【0011】記録層4 は希土類ー鉄族元素非晶質合金、
例えばTbFeCo,DyFeCo,TbDyFeCoなどの、微小な記録ピッ
トが形成でき、且つ形成された記録ピットが安定に保存
できるような垂直磁気異方性及び保磁力の大きい材料が
用いられ、記録情報はこの層の磁区が上向きか下向きか
で保持される。また、ガーネット類、Pt/Co,Pd/Co など
の垂直磁化膜を用いて、他の層に磁気的に情報転写出来
る構成としてもよい。因に、記録層4の室温での保磁力
は、後述の再生層1及び磁区拡大層2の室温での保磁力
より大きい。
【0012】中間層3 は、他の磁性層と同様に希土類ー
鉄族非晶質合金が用いられ、キュリー温度Tc3 が70℃前
後と他の磁性層に比べ最も低い垂直磁化膜でTc3 以下の
温度では記録層4 と交換結合している。
【0013】磁区拡大層2 は、他の磁性層に比べ磁壁抗
磁力が小さく、磁壁移動度が大きくなるように例えばGd
Co、GdFeCo、GdFe、NdGdFeCoなどの垂直磁気異方性の小
さな希土類ー鉄族非晶質合金や、ガーネットなどのバブ
ルメモリ用材料が用いられる。
【0014】再生層1 は希土類ー鉄族元素非晶質合金、
例えばGdCo、GdFeCo、TbFeCo、DyFeCo、GdTbFeCo、GdDy
FeCo、TbDyFeCoなどが望ましい。また、これらの材料に
短波長でのカー回転角を大きくするためにNd,Pr,Smなど
の軽希土類金属を添加してもよい。あるいは、白金族ー
鉄族周期構造膜、例えばPt/Co 、Pd/Co などでもよい。
又、再生層1 は、室温において、希土類元素副格子磁化
優勢な組成で、単層では面内磁化膜となるが他の垂直磁
化膜と積層すると交換結合力により磁気モーメントが磁
性層面と垂直に配向する。又、再生層1のキュリー温度
は磁区拡大層2に比べ高い。
【0015】各層の膜厚は、例えば干渉層が80nm、再生
層1 が40nm、磁区拡大層2 が30nm、中間層3 が10nm、記
録層4 が30nm、保護層が70nm程度が好ましい。
【0016】また、この構成に更にAl、AlTa、AlTi、Al
Cr、Cuなどからなる金属層を付加して熱的な特性を調整
してもよい。また、高分子樹脂からなる保護コートを付
与してもよい。あるいは、成膜後の基板を貼り合わせて
もよい。
【0017】本発明の光ディスクへのデータ信号の記録
は、媒体を移動させながら、記録層4 がキュリー温度
(Tc4 )前後になるようなパワーのレーザ光を照射しな
がら外部磁界を変調して行うか、もしくは一定方向の磁
界を印加しながらレーザパワーを変調して行う。後者の
場合、光スポット内の所定領域のみがTc4 になるように
レーザ光の強度を調整すれば、光スポット径より小さい
記録磁区が形成でき、その結果光の回折限界以下の周期
の信号を記録する事が出来る。
【0018】図1(b) は光ディスクにレーザ光を照射し
ながら、向かって右にディスクが移動したときのトラッ
ク中心における温度分布を示している。この時ディスク
はおよそ8m/s程度で移動しているため、膜温度が最大と
なる位置はレーザスポットの進行方向に対してレーザス
ポットの中心よりも後ろ側になる。図1(c) は磁区拡大
層2 における磁壁エネルギー密度σ2 のタンジェンシャ
ル方向における分布を示す図である。通常磁壁エネルギ
ー密度は温度の上昇と共に減少し、キュリー温度以上で
零になる。従って、タンジェンシャル方向に図1(b)
で示されるような温度勾配があると磁壁エネルギー密度
σ2 は図1(c)に示されるようにキュリー温度の点に
向かって減少していくのである。
【0019】ここで、タンジェンシャル方向における位
置x に存在する各層の磁壁に対しては次式のような力F2
が作用している。
【0020】F2=dσ2/dx この力F2は、磁壁エネルギーの低い方に磁壁を移動させ
るように作用し、磁区拡大層2 は他の磁性層に比べ磁壁
抗磁力が小さく磁壁移動度が大きいので、中間層からの
交換結合力が遮断されると、この力F2によって容易に磁
壁を磁壁エネルギーの低い方に移動させる。
【0021】図1(a) において、ディスクにまだレーザ
光が照射される前、すなわち室温の部分では4つの磁性
層は交換結合しており記録層4 に記録された磁区は再生
層1に転写されている。この時、互いに逆向きの磁化の
方向を持つ磁区11の間には磁壁12が各層に存在すること
になる。膜温度が中間層のキュリー温度(Tc3 )以上の
部分では、中間層3 の磁化が消失して磁区拡大層2 と記
録層4 との交換結合が切れるために、磁区拡大層2 では
磁壁を保持する力がなくなり、磁壁に加わる力F2にした
がって高温側に磁壁を移動させる。この時磁壁が移動す
る速度は、ディスクの移動速度に比べて充分に速い。し
たがって、記録層4 保存された磁区よりも大きな磁区が
磁区拡大層2 に転写されることになる。又、再生層1
は、磁区拡大層2 のキュリー温度Tc2 以下の温度では磁
区拡大層2 との交換結合により磁気モーメントが磁性層
面に垂直となっており、又、磁区拡大層2 との交換結合
により磁区拡大層2 の磁区が転写されている。又、Tc2
以上の温度では、磁区拡大層2 との交換結合が切れるた
めに面内磁化膜となる。これによってレーザスポット内
には記録層4に保存された磁区より大きな磁区が得られ
ることになる。尚、この時の再生層1 の働きとしては、
キュリー温度が300 ℃以上の高い再生層を用いる事によ
りカー回転角を稼ぐと共に、レーザビームの後ろ側から
移動してくる磁壁によるノイズ部分を面内磁化膜でマス
クして高い信号品位を得る事である。
【0022】このように、本発明の光ディスクを用いた
場合、レーザビームのほぼ前縁に位置する温度Tc3 付近
の磁区を、レーザビーム内に拡大して再生する事が出来
るため、線記録密度を上げた場合にも光学的な回折限界
に左右される事なく、充分に大きい振幅の再生信号を得
る事が出来る。
【0023】ここまではトラック中心部分における断面
図を考え、磁壁の移動について説明してきたが、実際の
トラックは一定の幅を持っており横方向にも温度勾配が
あるので、この方向についての磁壁の移動も考慮する必
要がある。
【0024】図2(a) は本発明の光ディスクの断面図を
示しており、基板上に干渉層、磁性層、保護層の順に積
層され、基板上に深さ100nm の矩形の案内溝を形成して
ある。すなわち、ランド13を情報トラックとして情報記
録再生を行い、それぞれのトラックをグルーブ14で分離
している構成である。このためランド13上に積層された
磁性層もグルーブ14で分離される。実際には段差部分に
も多少膜が堆積して磁性層がつながってしまうが、他の
部分と比較して膜厚が非常に薄くなるので段差部におけ
る磁気的な結合は無視できる。本発明に於いて、各情報
トラック間が互いに磁気的に分離されるとは、このよう
な状態も含まれる。このランド13上の幅一杯に反転磁区
を形成すると、図2(b) に示すように磁区11、11'の間に
磁壁12が形成される。この磁壁12の周辺に温度勾配を与
えると、磁壁側部における磁壁の生成、消滅を伴わない
ので、トラック方向に容易に磁壁が移動する事が出来
る。
【0025】図3はトラック上をレーザスポットが移動
したときの様子を基板側から見た図である。図3(a) は
情報トラックとレーザスポット15を表し、上向き磁区11
と下向き磁区11' が記録されているトラック上をレーザ
スポット15が矢印方向に走査する。この時ディスクには
まだスポットが当たっていないために磁性層の磁気モー
メントは4層とも垂直方向に配向して互いに交換結合し
ているため、再生層にも図のような磁区が存在する。図
3(b) は、比較のために従来の光ディスクに図3(a) と
同様の磁区を記録してスポットを走査したときの再生波
形を示しており、スポットサイズに比して磁区が微小に
なると再生信号振幅も小さくなる。
【0026】図3(c) −(h) は本発明の光ディスク上を
スポットが走査したときの磁区の様子である。まず、図
3(c) はレーザスポット15がトラック上の最初の下向き
磁区11' に差し掛かったときの様子を示している。スポ
ット15内で、17は再生層1 の磁気モーメントが垂直に配
向している部分、すなわち信号再生に寄与するアパーチ
ャ部分で、16は磁区拡大層2 キュリー温度に達して交換
結合が切れ、再生層が面内磁化となる、すなわちマスク
される部分である。つまり、アパーチャ部17とマスク部
16の境界線は磁区拡大層2 のキュリー温度Tc2 の等温線
に等しい。この状態からスポットが移動して図3(d) の
位置に達すると、スポット前縁部に近い位置の磁壁が中
間層3 のキュリー温度Tc3 に昇温され、磁区拡大層2 に
おける磁壁の移動が開始される。磁壁が速やかに移動す
る事によりアパーチャ内にある磁区拡大層2 及び再生層
1 の磁区の向きはすべて上向きとなる。さらにスポット
が図3(e) の位置まで移動すると、次の磁壁がTc3 に昇
温して磁壁の移動が開始する。その結果、アパーチャ内
の磁区はすべて下向きとなる。
【0027】さらにスポットが移動していくと、図3
(f) −(h) に示すようにスポットが新たな磁壁に差し掛
かる毎に磁壁の移動が起こり、その都度アパーチャ内全
体の磁区がそろって反転するため磁区の大きさに関わら
ず、常に最大の再生信号振幅が得られる。これを図3
(i) に示す。
【0028】一般的な再生信号の波形を模式的に書いた
図が第4図である。再生信号の立ち上がり時間τはスポ
ット内を磁壁が移動するのに要する時間に相当し、最短
記録マーク長に相当する時間Tminよりも小さくなるよう
に記録周波数を設定する事が必要である。
【0029】また、本発明のディスクを作成する場合に
於いて、干渉層を成膜した後膜表面にArイオンの加熱照
射処理して表面を平滑化する事で、磁壁の移動を滑らか
にする事もできる。これにより、媒体の線速度をさらに
上げる事が出来る。
【0030】基板の案内溝の形状がU字型になっている
場合は、案内溝の部分の磁性層に高出力レーザを照射し
てアニール処理し、面内磁化膜とする事でトラック間を
磁気的に分離する事が出来る。
【0031】(第2の実施例)第5図は本発明の第2実
施例を説明する図である。本第2実施例における第1実
施例との違いは、以下の2点である。
【0032】(1) 再生層1 はTth1(磁区拡大層2のキュ
リー温度Tc2 以下で中間層3のキュリー温度Tc3 以上に
設定された温度)以下の温度では面内磁化膜となってい
るが、Tth1以上に昇温すると磁区拡大層との交換結合に
より磁気モーメントの向きが磁性層面に垂直となる。
【0033】(2) 磁区拡大層2 のキュリー温度Tc2 は再
生時の媒体最高温度よりもやや高い。
【0034】つまり本実施例では、第1実施例に比べて
再生層1 は飽和磁化Msが大きく垂直磁気異方性Kuが小さ
い組成で構成され(但しKu>0)、室温では磁区拡大層2
からの交換結合力が働いているにも関わらず自身の反磁
界の影響で面内磁化膜だが、所定温度Tth1に達するとMs
が小さくなるために磁区拡大層との交換結合により磁気
モーメントの向きが磁性層面に垂直となる。このTth1
は、再生光を照射したときに達する温度すなわち100 ℃
前後が望ましく、また再生光のカー回転角を大きくする
ためには再生層のキュリー温度は300 ℃以上と高く設定
することが望ましい。そのため、再生層の組成は室温で
希土類元素副格子磁化優勢で、補償温度は必ずしもなく
てもよいが好ましくは室温とキュリー温度との間に補償
温度を持つものが望ましい。具体的には200 ℃以上の補
償温度を持つ組成が望ましい。以上の事から再生層のエ
ネルギーの温度特性を図に示すと図6のようになる。こ
こで、Ewは再生層1 が磁区拡大層2 から受ける交換エネ
ルギーを示し、磁区拡大層2が垂直磁化膜のため、Kuと
ともに再生層1 を垂直磁化する方向に力が働く。したが
って、この図のようにTth1以下の温度では 2 πMs2>Ku+Ew なので再生層1 の磁気モーメントの向きは磁性層面内
で、Tth1以上に昇温すると 2 πMs2<Ku+Ew となり再生層1 の磁気モーメントの向きは磁性層面に垂
直となり、かつ磁区拡大層2 からの交換結合により拡大
された情報ピットが再生層1 に転写される。
【0035】このような構成の磁性膜に基板側から情報
再生用の光を照射すると、データトラックの中心では図
5(b) に示すような温度勾配となる。すると、先述のよ
うにTth1以下では再生層1 の磁気モーメントの向きは磁
性層面内となるため極カー効果には寄与せず、再生光側
からは下の層の情報はマスクされて見えなくなる。一方
Tth1以上の部分は再生層1 の磁気モーメントの向きは磁
性層面に垂直となるが、この時の磁気モーメントの向き
は交換結合により記録層4 に保持された記録情報と同じ
向きとなる。
【0036】これにより、図5に示すように温度がTth1
以下の部分すなわちスポットの前縁側の一部の領域は再
生層1 が面内磁化膜となっているために記録層の磁区は
マスクされ、逆に後縁側で再生信号を得る。スポット内
でのアパーチャ形状の違いを明らかにするために図7を
用いて説明を行う。
【0037】図7(a) は第1実施例におけるスポットの
様子を表した図である。先述のようにスポット15の中で
Tc2 の等温線よりも高温の領域16は再生層1 が面内磁化
膜のマスク領域である。逆にTc2 より低温側の領域17は
磁性層が4層とも交換結合しているアパーチャ領域で、
この部分で信号再生を行うのは先述の通りである。実際
のディスクでは情報トラックをなすランド13はグルーブ
14により分離されているが、グルーブ14上にも磁性膜が
存在する。すると、スポット15はグルーブ14にも照射さ
れているので、グルーブ14内の磁化の向きによってはノ
イズを発生する。これは、グルーブ14をアニールして面
内磁化膜とした場合や、グルーブ14の磁化をあらかじめ
初期化して同一方向に揃えておいた場合には問題ない
が、初期化しない場合やグルーブ14上にも別の情報を記
録してトラックとして利用しようとした場合には大きな
問題となる。
【0038】これに対して、本第2実施例においては図
7(b) に示すようにアパーチャ17がスポットの後縁側に
位置する。すなわち、Tth1以下の温度の部分では再生層
1 が面内磁化膜でマスク領域となり、Tth1以上の温度の
領域が磁区拡大層2 と交換結合してアパーチャとなる。
これによるとアパーチャ部分でグルーブ14にかかってい
る領域18はほとんど微小な領域となるので、グルーブ14
からのノイズ、あるいはクロストークの問題はなくな
る。また、本実施例ではスポットが当たり始めてからTc
3 に達して磁壁移動が始まるまでの、磁区の向きが不確
定な領域を再生層1 でマスクする事になるので、これも
ノイズの低減につながる。
【0039】(第3の実施例)図8は、本発明の第3実
施例を表す構成図である。本実施例は、第2実施例にお
ける磁区拡大層2 のキュリー温度Tc2 を低めに設定して
再生光の照射により磁区拡大層2 の一部がスポット内で
キュリー温度に達するようにしたものである。
【0040】本実施例ではスポット内のマスク領域が2
つになる。
【0041】(1) スポット前縁側において、温度がTth1
以下で、再生層1 は飽和磁化Msが大きいために面内磁化
膜となり、磁区拡大層2 において磁壁移動が始まる前
の、磁区の向きが不確定な領域をマスクする。
【0042】(2) スポット後縁側において、温度がTc2
以上で、磁区拡大層2 がキュリー温度に達して交換結合
が切れる事により再生層1 が面内磁化膜となり、スポッ
ト後方から移動してきた磁壁により作られる、向きが不
確定な磁区をマスクする。
【0043】これら2つのマスクにより、本実施例では
磁壁が移動してできた、拡大された磁区の部分だけを取
り出して信号再生するので、さらにノイズ成分を除去す
る事が出来る。
【0044】本実施例の構成のディスクに対し、C/N 比
を測定したものが図9である。図のように従来の光ディ
スクでは記録マーク長を0.4 μm 程度にすると著しくC/
N 比が下がる。従来の超解像ディスクを使うと改善はさ
れるが完全ではなく、やはり小さいマーク長に対してC/
N 比が若干下がっている。
【0045】一方、本実施例の光ディスクを用いて同様
の実験を行ったところ、小さいマーク長に対してもほと
んどC/N 比の線密度依存性は見られなかった。
【0046】(第4の実施例)図10は本発明の第4実
施例の構成を表す図である。本実施例は第1実施例にお
ける再生層1 と磁区拡大層2 の間に、再生層1 と磁区拡
大層2 のキュリー温度より低く、第1の中間層3のキュ
リー温度より高いキュリー温度を有する第2の中間層5
を追加したものである。ところで、第1実施例における
磁区拡大層の作用は、次の2つがあった。
【0047】(1) 中間層3 のキュリー温度Tc3 より高温
の部分で、磁壁を速やかに移動させて磁区を拡大する。
【0048】(2) キュリー温度Tc2 より高温の部分で再
生層1 との交換結合を切り、再生層1 の磁化の向きを面
内にする。
【0049】そこで本実施例ではこの2つの作用の内
(2)の作用を第2の中間層5に担わせる事によって膜
設計の自由度を増したものであり、動作は第1実施例と
同様である。
【0050】(第5の実施例)図11は、本発明の第5
実施例の構成を表す図である。本実施例は第3実施例に
おける再生層1 と磁区拡大層2 の間に、再生層1 と磁区
拡大層2 のキュリー温度より低く、第1の中間層3のキ
ュリー温度より高いキュリー温度を有する第2の中間層
5 を追加したものである。第3実施例における磁区拡大
層の作用は、第4実施例で説明したものと同様である。
【0051】そこで本実施例ではこの2つの作用の内
(2)の作用を第2の中間層5に担わせる事によって膜
設計の自由度を増したものであり、動作は第3実施例と
同様である。
【0052】(第6の実施例)図12は、本発明の第6
実施例の構成を表す図である。本実施例は第5実施例に
おける第2の中間層のかわりに、再生層1 と磁区拡大層
2 のキュリー温度より低く、第1の中間層3のキュリー
温度より高いキュリー温度Tc6 を有し、更に面内磁気異
方性の大きい調整層6 をいれる。これにより、マスク部
分における再生層1 と磁区拡大層2 との間の交換結合エ
ネルギーを調整し、再生層1 のマスク効果を高める作用
がある。
【0053】また本実施例における調整層6 は、キュリ
ー温度Tc6 以上の高温部分で再生層1 との交換結合を切
断する作用もあるが、これらの作用を別々の磁性層に担
わせる構成としても本発明の主旨には一向に反しない事
はもちろんである。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る光磁気記録媒体を用いる事により、媒体上の情報記録
密度を大きく向上する事が可能で、微小な磁区に対して
も大きな磁区の場合と同じ振幅で再生信号が得られる。
しかも、この媒体は従来と同じ構成の記録再生装置を用
いて信号再生できるので、装置の複雑化、コストアップ
を伴わなずに媒体の大容量化が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の光磁気記録媒体及び該媒
体の再生原理を説明する図
【図2】本発明の第1実施例の光磁気記録媒体の断面図
及び平面図
【図3】本発明の第1実施例における信号再生の様子を
説明する図
【図4】一般的な再生信号波形を示す図
【図5】本発明の第2の実施例の光磁気記録媒体及び該
媒体の再生原理を説明する図
【図6】本発明の第2の実施例における再生層の温度特
性を表す図
【図7】本発明の第2実施例におけるスポットの様子を
表す図
【図8】本発明の第3の実施例の光磁気記録媒体及び該
媒体の再生原理を説明する図
【図9】本発明の第3実施例で得られたC/N 比と他を比
較する図
【図10】本発明の第4の実施例の光磁気記録媒体及び
該媒体の再生原理を説明する図
【図11】本発明の第5の実施例の光磁気記録媒体及び
該媒体の再生原理を説明する図
【図12】本発明の第6の実施例の光磁気記録媒体及び
該媒体の再生原理を説明する図
【図13】従来の超解像技術の原理を説明するための図
【符号の説明】
1 再生層 2 磁区拡大層 3 中間層 4 記録層 5 第2の中間層 6 調整層 11 磁区 12 磁壁 13 ランド 14 グルーブ 15 スポット 16 マスク部分 17 アパーチャ部分 18 アパーチャ内でグルーブにかかっている部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁壁が移動する磁区拡大層と、情報に応
    じた記録磁区を保持する記録層と、前記磁区拡大層と記
    録層の間に配置され、前記両層よりキュリー温度が低い
    中間層を備え、前記磁区拡大層は前記記録層より小さな
    磁壁抗磁力を有すると共に各情報トラック間で互いに磁
    気的に分断されており、前記中間層のキュリー温度以上
    の領域において前記記録層から磁区拡大層に転写された
    記録磁区の磁壁を情報トラックに沿って移動させて前記
    記録磁区を拡大することにより情報の再生を行う光磁気
    記録媒体において、前記磁区拡大層の前記中間層が隣接
    する側と逆側に、温度によって面内磁化状態と垂直磁化
    状態の間で状態遷移する再生層が積層され、再生時にお
    いて前記磁気拡大層上の再生に寄与する記録磁区拡大領
    域以外の一部の領域は前記再生層の面内磁化によりマス
    クされることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記再生層は、前記磁区拡大層のキュリ
    ー温度以下の温度では前記磁区拡大層との交換結合によ
    り垂直磁化状態となり、前記磁区拡大層のキュリー温度
    以上の温度では面内磁化膜となることを特徴とする請求
    項1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記再生層は、室温において面内磁化状
    態であり、昇温すると前記磁区拡大層と交換結合して垂
    直磁化状態となることを特徴とする請求項1に記載の光
    磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記再生層が、室温で面内磁化状態であ
    り、昇温すると前記磁区拡大層と交換結合して垂直磁化
    状態となり、前記磁区拡大層のキュリー温度以上の温度
    で面内磁化状態となることを特徴とする請求項1に記載
    の光磁気記録媒体。
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