JP2002279712A - 光磁気記録媒体及びその媒体の再生方法並びに再生装置 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその媒体の再生方法並びに再生装置

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JP2002279712A
JP2002279712A JP2001082868A JP2001082868A JP2002279712A JP 2002279712 A JP2002279712 A JP 2002279712A JP 2001082868 A JP2001082868 A JP 2001082868A JP 2001082868 A JP2001082868 A JP 2001082868A JP 2002279712 A JP2002279712 A JP 2002279712A
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Tomoyuki Hiroki
知之 廣木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再生装置を複雑化することなく、変調方式に
制約のかからない、ゴースト信号の発生を抑制した磁壁
移動型光磁気記録媒体及びその媒体の再生方法並びに再
生装置の提供。 【解決手段】 磁壁移動層/遮断層/メモリ層を備える
磁壁移動型光磁気記録媒体において、前記遮断層はTb、
Dyの少なくとも一方のみからなる希土類元素と鉄族元素
の非晶質合金から構成され、膜厚が7nm以上20nm以下
であり、前記遮断層よりキュリー温度が20℃以上低い
中間層が前記遮断層とメモリ層間に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気光学効果を利
用してレーザ光により情報の記録再生を行う光磁気記録
媒体に関する。特に、磁壁の移動を利用して情報を再生
する磁壁移動型光磁気記録媒体及びそれに係わる再生方
法並びに再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、書き換え可能な高密度記録方式と
して、半導体レーザの熱エネルギーを利用して磁性薄膜
に磁区を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を使っ
て記録情報を読み出す光磁気記録媒体及び記録再生装置
が注目されている。また最近では、扱うデータが音声、
画像、動画といったさまざまな情報に多様化し、それら
の要求するデータサイズが増え続けていることから、こ
の光磁気記録媒体の記録密度を高めて更に大容量の記録
媒体とする要求が高まっている。
【0003】一般に、光磁気ディスクなどの光磁気記録
媒体の記録密度は、再生光学系のレーザ波長及び対物レ
ンズの開口数NAに大きく依存する。すなわち、再生光学
系のレーザ波長λと対物レンズの開口数NAが決まるとビ
ームウェストの径が決まるため、信号再生可能な記録ピ
ットの空間周波数は2NA/λ程度が限界となってしまう。
【0004】したがって、従来の光ディスクで高密度化
を実現するためには、再生光学系のレーザ波長を短くす
るか対物レンズの開口数を大きくする必要がある。しか
しながら、レーザ波長を短くするのは素子の効率、発熱
などの問題で容易ではなく、また対物レンズの開口数を
大きくするとレンズとディスクとの距離が近づきすぎて
衝突などの機械的な問題が生じる。
【0005】これに対し、記録媒体の構成や再生方法を
工夫して記録密度を改善する、いわゆる磁気超解像技術
が開発されている。例えば、特開平7−334877号
には、記録情報を保持しておくメモリ層と、再生スポッ
ト内の一部をマスクする再生層、それらの交換結合力を
制御する遮断層を積層し、再生スポットを照射すること
によって生じる媒体上の温度分布を利用して、実質的に
スポット内の一部分のみで記録情報を再生層に転写して
微小磁区の再生を行う超解像方式が提案されている。
【0006】しかしながら従来の超解像方式は、温度分
布を利用して再生光スポットの一部をマスクし、すなわ
ち実質的にピットを読み取るアパーチャを小さな領域に
制限する事により解像能力を上げるという方法を取って
いたため、マスクした部分の光は無駄になり再生信号振
幅が小さくなるという問題があった。つまり、マスクし
た部分の光は再生信号に寄与しないため、分解能を上げ
ようとしてアパーチャを狭めるほど有効に使われる光が
減少し、信号レベルが減少していた。
【0007】また、特開平6−290496号によれ
ば、再生光の入射側に磁壁抗磁力の小さい磁壁移動層を
設け、再生スポット内の温度勾配を利用して磁壁移動層
の磁壁を高温側に移動させ、スポット内で磁区を拡大再
生する方法が開示されている。これによれば、記録マー
クサイズが小さくなったとしても、磁区を拡大しながら
信号再生するので再生光を有効に使うことができ、信号
振幅を落とさずに解像力をあげることができた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−290496号記載の方法では、磁壁を移動させる
ための温度勾配を再生用の光ビーム自身による媒体の加
熱によって得ようとすると、温度分布のピークが再生光
スポット内部に形成されるので、記録媒体に対して再生
光スポットが相対的に移動する前方方向からの磁壁の移
動と、後方からの磁壁の移動とが共に再生光スポットで
読み出されてしまい、良好な再生信号が得られない。
【0009】この現象を、図3を用いてさらに詳しく説
明する。図3において、ディスクは左から右に向かって
移動しており、メモリ層に記録された磁区と交換結合し
ている磁壁移動層の磁壁がTc2の温度に達すると、磁
壁が高温側に移動して再生スポット内に磁区が拡大され
て微小磁区の再生が可能になる。
【0010】スポット後方で媒体温度が下がって遮断層
2がキュリー温度Tc2以下の温度になると、メモリ層
4と磁壁移動層1の磁化の向きが逆になっている部分で
は、遮断層2と磁壁移動層1あるいはメモリ層4との間
の界面に界面磁壁が生じる。図3(a)は、磁壁移動層1
と遮断層2との間に界面磁壁13がある状態を示してい
る。さらに温度が下がって界面磁壁エネルギーが磁壁移
動層の保磁力エネルギーよりも大きくなると、図3(b)
に示すようにメモリ層4から磁壁移動層1への磁区の再
転写が起こり、ここで磁壁移動層1に生じたブロッホ磁
壁が高温側に移動する。最高温度位置はスポット中心よ
りもやや後方にあるとはいえ、後方から移動してくる磁
壁はスポット内まで入ってしまうので、本来再生すべき
前方からの再生信号と合成されてしまい、正確な信号再
生が行えなくなる。
【0011】従って、再生用の光ビームとは別に所望の
温度分布を得るための手段を設ける必要があり、再生装
置が複雑化するという問題があった。
【0012】また、特開平11−86372号におい
て、再生磁界を印加することによって後方からの磁壁の
移動を抑制する方法が開示されているが、再生磁界発生
手段を付加する必要があるため、これもまた再生装置が
複雑化するという問題があった。
【0013】また、特開平11−134732号には、
媒体に記録されるマークの最大長を規定することにより
後方からの磁壁の移動を抑制することが開示されている
が、マーク長の規定からマーク長の可変範囲が制限さ
れ、変調方式が制約を受けるという問題があった。
【0014】この制約を緩めるために、特開2000−
187898号には、遮断層と磁壁移動層の間に磁壁移
動層より高い磁壁エネルギー密度を持つ調整層を介在さ
せ、遮断層から磁壁移動層への交換結合力による磁化転
写を遅延させることが開示されている。しかし、制約が
緩くなったとはいえ、この方法においても変調方式に制
約がかかることには変わりなく、マーク長の可変範囲が
制約を受けない、より変調方式の選択の自由度の高い方
法が求められていた。
【0015】本発明は、上述の各課題に鑑みなされたも
のであり、再生装置を複雑化することなく、また、変調
方式に制約がかからない、光学系の分解能を超えた記録
密度の信号を再生可能とする光磁気記録媒体及びその媒
体を用いた再生方法並びに装置を提供することを目的と
する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、情
報の再生に寄与し、磁壁が移動する磁壁移動層と、情報
に応じた記録磁区を保持するメモリ層と、前記移動層と
メモリ層の間に配置され、前記両層よりキュリー温度が
低く、前記磁壁移動層より磁壁抗磁力が大きい遮断層を
備え、前記遮断層のキュリー温度以上の領域において前
記記録層から移動層に転写された記録磁区の磁壁を移動
させて前記記録磁区を拡大させることにより前記情報の
再生を行う光磁気記録媒体において、前記各層は希土類
−鉄族非晶質合金からなり、前記遮断層はTb、Dyの
少なくとも一方のみからなる、膜厚が7nm以上20nm以
下の磁性層であり、前記遮断層よりキュリー温度が20
℃以上低い中間層が前記遮断層とメモリ層間に設けられ
ていることを特徴とする光磁気記録媒体により達成され
る。
【0017】また、上記光磁気記録媒体から記録情報を
再生することを特徴とする再生方法及び装置により達成
される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について
図面を用いて詳細に説明する。
【0019】図1(a)は本実施例における光ディスクの
断面図を示す。図1に示すように、本実施例に用いる光
ディスクでは、基板101上に干渉層102、磁壁移動
層1、遮断層2、中間層3、メモリ層4、保護層103
の順に積層している。ここで各磁性体中の矢印11は、
膜中に保持された記録磁区の遷移金属副格子磁化の向き
を表し、隣同士の磁化が平行でない部分には、ブロッホ
磁壁12が存在する。基板101は通常ガラスあるいは
ポリカーボネートの様な透明な材料が使われる。これら
の各層は、マグネトロンスパッタ装置による連続スパッ
タリング、あるいは連続蒸着などによって被着形成でき
る。干渉層102は磁気光学効果を高めるために設けら
れ、例えばSi3N4、AlN、SiO2、SiO、ZnS、MgF2などの透
明な誘電材料が用いられる。保護層103は磁性層の保
護のために用いられるもので、干渉層102と同様の材
料が用いられる。また、媒体全体の熱構造を最適化する
ために、保護層103の上にさらにAl、AlTa、AlTi、Al
Cr、Cuなどからなる金属層を設ける場合もある。干渉層
102、保護層103および必要に応じて設ける金属層
に関しては、本発明の本質とは無関係であるのでここで
は詳細な説明は省略する。
【0020】メモリ層4は希土類ー鉄族元素非晶質合
金、例えばTbFeCo,DyFeCo,TbDyFeCoなどの、微小な記録
ピットが安定に保存できるような垂直磁気異方性の大き
い材料が用いられ、記録情報はこの層の磁区が上向きか
下向きかで保持される。また、ガーネット類、Pt/Co,Pd
/Coなどの垂直磁化膜を用いて、他の層に磁気的に情報
転写出来る構成としてもよい。
【0021】中間層3は、例えばGdCo、GdFeCo、GdFe、
GdFeCoAl、DyFeCoAl,TbDyFeCoAl,TbFeAlなどの希土類ー
鉄族非晶質合金が用いられ、本発明の磁性層の中でもっ
ともキュリー温度Tc3が低い。
【0022】遮断層2は、磁壁移動層に比べ相対的に大
きな保磁力、磁壁抗磁力をもつために、例えばTbFe,TbF
eCo,TbDyFeCo及びこれらにCr,Alなどの腐食防止の添加
剤を混入したものなど、Gdを含まないTb、Dyを主体とし
た希土類元素と鉄族元素の非晶質合金が用いられる。
【0023】Gdを含まない理由は、Tb,Dy系の材料は磁
壁抗磁力、保磁力が大きく、本発明の遮断層の材料とし
て好ましいが、Gdは磁壁抗磁力、保磁力が小さく、これ
を添加することにより全体的な磁壁抗磁力、保磁力が低
下し、後述する機能を果たす本発明の遮断層を構成でき
ないためである。従って、本発明では、Gdを含まない希
土類元素、即ち、Tb,Dyの少なくとも一方のみからなる
希土類元素と鉄族元素の非晶質合金で遮断層を構成して
いる。
【0024】尚、中間層のキュリー温度Tc3は本発明
の他の磁性層より低く、遮断層のキュリー温度との差は
20℃以上に設定される。本発明の遮断層は磁壁抗磁力
の大きい材料を用いるとはいえ、磁壁抗磁力はキュリー
温度に近づくに従って急激に減少するため、遮断層自身
のキュリー温度から20℃以内では磁壁抗磁力が小さく
なってしまっている。このため、中間層とのキュリー温
度の差が20℃以内であると、中間層がキュリー温度に
達したときに遮断層が安定に記録磁区を保持できず、ジ
ッターの悪化あるいはゴーストの発生が起こり、本発明
の効果が得られなくなる。
【0025】磁壁移動層1は、例えばGdCo、GdFeCo、Gd
Fe、NdGdFeCoなどの垂直磁気異方性の小さな希土類ー鉄
族非晶質合金や、ガーネットなどのバブルメモリ用材料
が望ましい。
【0026】これらの層のキュリー温度の関係は、 Tc1,Tc4>Tc2>Tc3 なる関係を満たし、室温では交換結合によりメモリ層4
に記録された磁区が磁壁移動層1まで転写されている。
【0027】各層の膜厚は、干渉層102が30〜10
0nm、磁壁移動層1が20〜40nm、遮断層2が7
〜20nm、中間層3が7〜20nm、メモリ層4が4
0〜100nm、保護層103が40〜80nmであ
る。特に、遮断層の膜厚は、7nm未満であると十分な
保磁力を維持できず、Tc3以上Tc2以下の温度領域
で磁化を安定に保持できない。すなわちフロント側(光
スポット移動方向前方側)ではメモリ層から転写された
磁区を安定して保持できず再生信号の品質を劣化させ
る。また、リア側では磁壁移動層と交換結合した際、磁
壁移動層の磁化を安定に保持できずゴースト発生の原因
となる。また、20nm以上であると磁化反転に必要な
エネルギーが大きくなりすぎ、Tc3以下でメモリ層の
記録磁区を磁壁移動層まで正確に転写できないという問
題を発生する。
【0028】また、この構成に更に高分子樹脂からなる
保護コートを付与してもよい。あるいは、成膜後の基板
101を貼り合わせてもよい。また、積層の順番を逆に
して記録再生時の光入射方向を基板と反対側としても良
い。
【0029】本発明の光ディスクへのデータ信号の記録
は、媒体を移動させながら、メモリ層4がキュリー温度
Tc4前後になるようなパワーのレーザ光を照射しなが
ら外部磁界を変調して行うか、もしくは一定方向の磁界
を印加しながらレーザパワーを変調して行う。後者の場
合、光スポット内の所定領域のみがTc4になるように
レーザ光の強度を調整すれば、光スポット径より小さい
記録磁区が形成でき、その結果光の回折限界以下の周期
で信号を記録する事が出来る。
【0030】図1(b)は光ディスクにレーザ光を照射し
ながら、向かって右にディスクが移動したときのトラッ
ク中心における温度分布を示している。この温度プロフ
ァイルにおいて膜温度が最大となる位置は、ディスクの
線速にもよるがレーザスポットの中心よりも若干後ろ側
になる。図1(c)は磁壁移動層1における磁壁エネルギ
ー密度σ1の分布を示す図である。このように、磁壁エ
ネルギー密度σ1は温度の上昇と共に減少するので、光
ディスクの移動方向に温度勾配があると、磁壁エネルギ
ー密度σ1は最高温度位置に向かって減少していく。す
ると位置xに存在する磁壁移動層の磁壁に対して次式の
ような力F1が作用する。
【0031】F1=dσ1/dx この力F1は、磁壁エネルギーの低い方に磁壁を移動さ
せるように作用し、磁壁移動層1は磁壁抗磁力が小さく
磁壁移動度が大きいので、単独ではこの力F1によって
容易に磁壁が移動する。
【0032】図1(a)において、ディスクにまだ再生レ
ーザ光が照射される前、すなわち室温の部分で各磁性層
は垂直磁化膜であり、メモリ層4に記録された磁区は中
間層3,遮断層2を介して磁壁移動層1と交換結合し、
磁区が転写されている。この時、各層の中に矢印で示し
た互いに逆向きの磁区11の間には磁壁12が存在する
事になる。膜温度が上昇して中間層3のキュリー温度T
c3に達すると、メモリ層4から遮断層2への交換結合
は切れるが、遮断層2は垂直磁気異方性が大きい材料
で、且つ十分な膜厚を持って構成されているので、その
まま記録磁区を保持し続ける。また磁壁移動層1は遮断
層2と交換結合しているので、ここでは磁壁の移動は起
こらない。
【0033】さらに温度が上昇して遮断層2のキュリー
温度Tc2になると、磁壁抗磁力が小さい磁壁移動層1
は磁区を保持できず、温度勾配によって加わる力F1
したがって磁壁が高温側に移動する。この時磁壁が移動
する速度は、ディスクの移動速度に比べて充分に速いの
で、メモリ層4に記録された磁区よりも大きな磁区がレ
ーザスポット内に得られる事になる。
【0034】そのままディスクが移動していくと、再生
光スポットの照射領域から離れるに従って媒体温度が下
がっていき遮断層2のキュリー温度Tc2以下に下がる
と、遮断層2は磁壁移動層1と交換結合しながら磁化が
増加していく。この状態における磁壁移動層1と遮断層
2の磁化の向きは、他の磁性層或は装置からの浮遊磁界
等により決定されるが、一定の環境下では常に同じ向き
に決定され、信号成分上はDC成分として検出される。
尚、ここでは図1で示すように下向き磁化とする。さら
に温度が下がって中間層3のキュリー温度Tc3以下に
なると、メモリ層4からの交換結合力が働き、メモリ層
4の記録磁区が磁壁移動層1にまで転写される。図1で
はTc3以下に達したところでの磁化の向きは上向きで
あり、その直前の中間層3のキュリー温度Tc3以上の
領域における磁壁移動層1の磁化の向きとは反対になっ
ているので、磁壁移動層1に磁壁が生じる。
【0035】ところが、この時すでにTc2からTc3
の間の温度領域で磁壁抗磁力の大きな遮断層2の磁化が
下向きに安定に保持されており、磁壁移動層1は遮断層
2と交換結合しているので、磁壁移動層1での再生スポ
ット後方での磁壁移動は起こらない。すなわちゴースト
信号(後方からの磁壁移動に基づく信号成分)は発生し
ない。また、この方法は原理的にマーク長の制約を受け
ないため、変調方式の制限もない。
【0036】以上説明したように、本発明の光ディスク
を用いた場合、再生レーザ光のほぼ前縁に位置する温度
Tc2付近の磁区を、レーザスポット内に拡大して再生
する事が出来、またスポット後方からの不要な信号漏れ
込みも抑制しながら信号再生が行えるため、線記録密度
を上げた場合にも光学的な回折限界に左右される事な
く、充分に大きい振幅の再生信号を得る事が出来る。
【0037】以下に本発明の詳細について説明する。
【0038】<実験例1>直流マグネトロンスパッタリ
ング装置に、BドープしたSi、及びGd、Tb、F
e、Co、Alの各ターゲットを取り付け、トラッキン
グ用の案内溝の形成されたポリカーボネート基板を基板
ホルダーに固定した後、1×10-5Pa以下の高真空に
なるまでチャンバー内をクライオポンプで真空排気し
た。真空排気したまま、Arガスを0.5Paとなるま
でチャンバー内に導入し、基板を回転させながら、以下
の通り、ターゲットをスパッタリングして各層を成膜し
た。なお、SiN層成膜時にはArガスに加えてN2
スを導入し、直流反応性スパッタにより成膜した。
【0039】最初に、下地層としてSiN層を90nm
成膜した。引き続き、磁壁移動層としてGdFeCoA
l層を膜厚30nm、遮断層としてTbFeCo層を膜
厚7nm、中間層としてTbFe層を膜厚15nm、メ
モリ層としてTbFeCo層を膜厚60nmに順次成膜
した。最後に、保護層としてSiN層を50nm成膜し
た。
【0040】各磁性層は、Gd、Tb、Fe、Co、A
lの各ターゲットに投入するパワーの比によって組成比
を制御した。磁壁移動層のキュリー温度(Tc1)は3
00℃程度となるように調整し、遮断層のキュリー温度
(Tc2)は180℃、中間層のキュリー温度(Tc
3)は155℃、メモリ層のキュリー温度(Tc4)は
320℃程度となるように調整した。
【0041】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
でCNR43dBが得られ、マーク長を5.0μmまで
長くしてもスポット後方からの漏れ込み信号は現れなか
った。
【0042】なお、本実験例では磁壁移動をなめらかに
行うため、情報記録再生に先立ってグルーブ部を高出力
レーザでアニール処理し、トラック側部で磁壁が生じな
いような処理を施した。
【0043】<実験例2>実験例1と同じ基板上に、遮
断層としてTbFeCoCr層(Tc2=170℃)を
膜厚20nm、中間層としてTbFeCr層(Tc3=
150℃)を膜厚10nm、とした以外はすべて実験例
1と同様の積層膜を作成した。
【0044】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
でCNR44dBが得られ、マーク長を5.0μmまで
長くしてもスポット後方からの漏れ込み信号は現れなか
った。
【0045】<実験例3>実験例2と同様の積層膜を、
ランド/グルーブの段差が深い基板上に形成した。これ
により、成膜と同時にトラック側部を磁気的に分断し、
実験例1で行った高出力レーザによるアニール処理を省
略した。
【0046】図2は本実験例の光ディスクの断面図を示
しており、基板101上に深さ160nmの矩形の案内
溝を形成してある。この基板上に実験例2と同様の膜処
方で成膜を行った。正確にはテーパ部分にも多少膜が堆
積してしまうが、ランド/グルーブ部と比較して膜厚が
非常に薄くなるので段差部における磁気的な結合は無視
できる。
【0047】このディスクに、実験例2と同じ光ヘッド
で情報記録再生を行ったところ、実験例2と同等の再生
信号が得られ、またランド/グルーブ記録を行うことに
よってトラックピッチ方向の記録密度を向上させること
もできた。
【0048】<比較例1>実験例1と同じ基板上に、遮
断層としてTbFeCoCr層(Tc2=165℃)を
膜厚20nm、中間層としてTbFeCr層(Tc3=
150℃)を膜厚10nm、とした以外はすべて実験例
1と同様の積層膜を作成した。
【0049】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
でCNR44dBが得られたが、マーク長を0.6μm
まで長くしたときにスポット後方からの漏れ込み信号が
現れた。
【0050】<比較例2>実験例1と同じ基板上に、遮
断層としてTbFeCoCr層(Tc2=170℃)を
膜厚6nm、中間層としてTbFeCr層(Tc3=1
50℃)を膜厚10nm、とした以外はすべて実験例1
と同様の積層膜を作成した。
【0051】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
でCNR44dBが得られたが、マーク長を0.6μm
まで長くしたときにスポット後方からの漏れ込み信号が
現れた。
【0052】<比較例3>実験例1と同じ基板上に、遮
断層としてTbFeCoCr層(Tc2=170℃)を
膜厚25nm、中間層としてTbFeCr層(Tc3=
150℃)を膜厚10nm、とした以外はすべて実験例
1と同様の積層膜を作成した。
【0053】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
で信号の欠落が発生し、このマーク長の磁区を1000
00個記録しても、200個程度の再生信号が欠落し
た。但し、マーク長を5.0μmまで長くしてもスポッ
ト後方からの漏れ込み信号は現れなかった。
【0054】<比較例4>実験例1と同じ基板上に、遮
断層としてGdTbFeCo層(Tc2=170℃)を
膜厚15nm、中間層としてTbFeCr層(Tc3=
150℃)を膜厚10nm、とした以外はすべて実験例
1と同様の積層膜を作成した。
【0055】このディスクを線速3m/sで回転させな
がら、波長680nmのレーザ光および外部磁界を用い
て情報記録再生を行ったところ、マーク長0.10μm
でCNR44dBが得られたが、マーク長を0.5μm
まで長くしたときにスポット後方からの漏れ込み信号が
現れた。
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る光磁気記録媒体を用いる事により、媒体上の情報記録
密度を大きく向上する事が可能で、微小な記録磁区に対
しても大きな磁区の場合と同じ振幅で再生信号が得られ
る。しかも、この媒体ではスポット後方からの信号の漏
れ込みを抑制することができるので、従来と同じ構成の
記録再生装置のまま、装置の複雑化、コストアップ、変
調方式の制限を伴わずに媒体の大容量化が可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を表す図
【図2】本発明の第2の実施例で用いる基板の断面図
【図3】従来例におけるスポット後方からの信号漏れ込
みを表す図
【符号の説明】
1 磁壁移動層 2 遮断層 3 中間層 4 メモリ層 101 基板 102 干渉層 103 保護層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報の再生に寄与し、磁壁が移動する磁
    壁移動層と、情報に応じた記録磁区を保持するメモリ層
    と、前記移動層とメモリ層の間に配置され、前記両層よ
    りキュリー温度が低く、前記磁壁移動層より磁壁抗磁力
    が大きい遮断層を備え、前記遮断層のキュリー温度以上
    の領域において前記記録層から移動層に転写された記録
    磁区の磁壁を移動させて前記記録磁区を拡大させること
    により前記情報の再生を行う光磁気記録媒体において、 前記各層は希土類−鉄族非晶質合金からなり、前記遮断
    層は希土類元素がTb、Dyの少なくとも一方のみからな
    る、膜厚が7nm以上20nm以下の磁性層であり、前記遮
    断層よりキュリー温度が20℃以上低い中間層が前記遮
    断層とメモリ層間に設けられていることを特徴とする光
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁壁移動層は、各情報トラック間で
    互いに磁気的に分断されていることを特徴とする請求項
    1に記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2のいずれか一項記載の光
    磁気記録媒体から記録情報を再生することを特徴とする
    再生方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至2のいずれか一項記載の光
    磁気記録媒体から記録情報を再生することを特徴とする
    再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004090883A1 (ja) * 2003-04-01 2004-10-21 Fujitsu Limited 光磁気記録媒体

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