JP3006157U - 輪転印刷機のインキ装置用の洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗浄液の分配を最適化し洗浄時間を短縮する
ことができる、輪転印刷機のインキ装置用洗浄装置を提
供する。 【構成】 洗剤の塗布装置と、溶けたインキの残余をイ
ンキローラから掻き落すドクター装置とを有する輪転印
刷機のインキ装置の洗浄装置の考案である。インキ装置
には接触可能なローラ（１４）が設けられており、この
ローラは、洗剤供給時には、インキ装置における洗剤の
分配経路が短縮されるように、インキ装置の後続のロー
ラ（８）に接触し、その後に、ドクター装置（２２）が
インキ装置の、ほかのローラ（２６）に接触する。印刷
時には、接触可能のローラはライダーローラとして動作
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、洗剤の塗布装置と、溶けたインキの残余をインキローラからかき落 とすためのドクター装置とを有する輪転印刷機のインキ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

インキ装置の互いに離れた２つの位置で洗浄液をインキローラに塗布する、イ ンキ装置の洗浄装置がドイツ特許公開公報第３６０６００６Ａ１号によって公知 である。洗剤を何度も塗布することによって、とりわけ、洗浄時間の短縮が図ら れなければならない。この解決策のための構造上の費用と制御上の費用は、公知 の実施では非常に大きく、その際、洗剤を何回も塗布するため、より大量の汚れ た洗浄液を処分しなければならない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、この公知の技術から出発し、洗浄塗布の使用を前提として、 洗浄液の分配を最適化し、洗浄時間を短縮することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために本考案においては、インキ装置に、接触可能なロ ーラが設けられており、このローラは、洗剤供給時に、インキ装置における洗剤 の分配経路が短縮されるように、インキ装置の後続のローラに接触させられ、か つ、その後にドクター装置がインキ装置の、ほかのローラに接触させられる。接 触可能なローラによって、塗布される洗剤の経路はインキ装置の入口で２つのロ ーラ系列に分割され、そのうち、インキ装置の一方のローラ系列は、版胴の回転 方向に見て、インキ着けの開始点に設けられており、インキ装置の他方のローラ 系列は後段のローラに洗浄液を供給する。そうすることによって、大きなコスト なしにインキ装置全体に洗浄液が供給されるので、付着しているインキ部分の溶 解が最適に行われ、インキ装置の洗浄時間が短縮され、洗浄作業で比較的大量の 洗剤が発生することもない。洗浄作業の後、接触可能なローラは再びインキ装置 の後段のローラから離されるので、インキ装置はその次の印刷においてはその構 造に全く変化がない。このとき、接触可能なローラはライダーローラとして働き 、インキ膜をさらに分割し均一化する働きをする。

【０００５】 本考案の好適な実施態様は、ドクター装置が操作手段によって操作され、かつ 、制御要素を介してトリップカムと連結しており、このトリップカムが接触可能 なローラを作動することを特徴とする。ただ１つの操作手段を用いることにより 、技術的な費用は非常に少なく、操作手段は手動でも操作することができる。

【０００６】 本考案のほかの好適な態様は、洗浄作業時に、操作手段が、第１の切り替え位 置では接触可能なローラをインキ装置の後続のローラに接触させ、第２の切り替 え位置ではドクター装置を接触させることを特徴とする。それによって、先ず、 インキ装置のすべてのインキローラに洗浄液が供給され、インキの残余が溶けた 後に汚れた洗浄液をかき落とすことが可能である。

【０００７】

【実施例】

以下に、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【０００８】 図１に示されているインキ装置は、インキつぼ１、インキ出しローラ２、イン キ移しローラ３、および他のローラを介してインキ着けローラ９〜１２にインキ を供給するインキローラ４〜８が設けられている。さらに、これらのインキ着け ローラによって、版胴１３の印刷版にインキ着けが行われる。

【０００９】 図示の実施例では、インキならしローラとして働くことができるインキローラ ４に、インキローラ８に接触可能なローラ１４が付属している。ローラ１４は旋 回レバー１５を介してインキローラ４のジャーナル１６の回りを旋回できるよう に支持されている。ローラ１４はインキローラ４に対して調整可能であるので、 ２つのローラの間には横揺れ接触が成立し、印刷中にはローラ１４はライダーロ ーラとして働く。圧縮ばね１７の力で、旋回レバー１５はトリップカム１８に接 触しており、トリップカム１８は軸１９を通して機械側枠に旋回可能に支持され ている。軸１９は制御要素２０を通して軸受レバー２１と連結されており、この 軸受レバー２１にはドクター装置２２が固定されている。

【００１０】 図示の実施例では、軸受レバー２１を操作手段２３がつかみ、該操作手段は空 気圧シリンダとして構成されることができる。空気圧シリンダの代わりに、たと えば操作レバーを介して手で操作することも可能である。このドクター装置も、 旋回ボルト２４によって側枠に支持されている。

【００１１】 図２は、洗浄作業中の操作手段を示す。洗浄の際には、洗剤用の塗布装置２５ 、たとえばスプレー管を通して、洗剤がインキローラ４、５に塗布される。同時 にトリップカム１８が下方に旋回するので、旋回レバー１５はローラ１４と共に 圧縮ばね１７の力で時計と反対方向に旋回し、その結果、ローラ１４はインキロ ーラ８と接触する。それによって、塗布された洗剤の一部は、インキローラ５、 ６と後段のローラを通して最短経路でインキ着けローラ９および１０に供給され る。他方、洗浄液の別の一部は、接触したローラ１４を通ってインキローラ８に 送られ、後段のローラを通して最短経路でインキ着けローラ１１および１２に送 られる。接触可能なローラ１４がなかったとしたら、洗浄液はローラ５、６およ び７を経由してインキローラ８に送られるので、このためにより長い経路と、し たがってより長い洗浄時間が必要であろう。以上の工程は操作手段の第１の切り 替え位置で行われる。

【００１２】 第２の切り替え位置では、ドクター装置２２は、たとえばインキならしローラ ２６に接触させられる。トリップカムをドクター装置の操作手段と連結すること により、洗剤の最適な分配が簡単に達成され、したがって洗浄作業が最適な条件 のもとで最短時間で達成されている。

【００１３】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案は次の効果を有する。

【００１４】 １） 接触可能なローラを設け、該ローラと次段のインキローラとの接触を制 御し、洗剤供給時には、洗剤の経路を２つのローラ系列に分割し、ー方のローラ 系列によってインキ着けの開始点におけるインキローラに洗浄液を供給し、他方 のローラ系列によって後段のインキローラに洗浄液を供給することにより、少な い経費でインキ装置全体に対する洗浄液の分配を最適化して付着しているインキ 残余の溶解を最適に行うなうことができると共に、インキ装置の洗浄時間を短縮 し、洗浄作業によって大量の汚れ洗剤が発生することを防止することができる。 印刷時には、接触可能なローラを、次段のインキローラから切り離してライダー ローラとして使用することにより本考案のインキ装置を通常のインキ装置と同様 に動作させることができる。したがって、接触可能なローラの取付けによってイ ンキ装置の基本設計を変更する必要はない。

【００１５】 ２） １つの操作手段によって、接触可能なローラおよびドクター装置を操作 することができるので、技術的費用を軽減することができ、さらに、接触可能な ローラの操作タイミングおよびドクター装置の操作タイミングの設定が容易にな る。

【図面の簡単な説明】

【図１】離れている洗浄装置を有するインキ装置であ
る。

【図２】接触している洗浄装置を有するインキ装置であ
る。

【符号の説明】

１ インキ溝 ２ インキ出しローラ ３ インキ移しローラ ４，５，６，７，８ インキローラ ９，１０，１１，１２ インキ着けローラ １３ 版胴 １４ ローラ １５ 旋回レバー １６ ジャーナル １７ 圧縮ばね １８ トリップカム １９ 軸 ２０ 制御要素 ２１ 軸受レバー ２２ ドクター装置 ２３ 操作手段 ２４ 旋回ボルト ２５ 塗布装置 ２６ インキならしローラ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗剤の塗布装置と、溶けたインキの残余
   をインキローラからかき落とすドクター装置とを有する
   輪転印刷機のインキ装置の洗浄装置において、 インキ装置に、接触可能なローラ（１４）が設けられて
   おり、このローラ（１４）は、洗剤供給時（２５）に、
   インキ装置における洗剤の分配経路が短縮されるように
   インキ装置の後続のローラ（８）に接触させられて、そ
   の後でドクター装置（２２）がインキ装置の、ほかのロ
   ーラ（２６）に接触させられることを特徴とする輪転印
   刷機のインキ装置用の洗浄装置。
2. 【請求項２】 ドクター装置（２２）は、操作手段（２
   ３）によって駆動され、かつ、制御要素（２０）を介し
   てトリップカム（１８）に連結されており、このトリッ
   プカム（１８）は接触可能なローラを作動する、請求項
   １記載の洗浄装置。
3. 【請求項３】 洗浄処理時に、操作手段（２３）は、第
   １の切り替え位置で接触可能なローラ（１４）をインキ
   装置の後続のローラ（８）に接触させ、第２の切り替え
   位置でドクター装置（２２）を接触させる、請求項１ま
   たは２記載の洗浄装置。