JP3005810B2 - 眼球顕微鏡 - Google Patents

眼球顕微鏡

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JP3005810B2 JP2289954A JP28995490A JP3005810B2 JP 3005810 B2 JP3005810 B2 JP 3005810B2 JP 2289954 A JP2289954 A JP 2289954A JP 28995490 A JP28995490 A JP 28995490A JP 3005810 B2 JP3005810 B2 JP 3005810B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は眼球顕微鏡にかかり、特に角膜の上皮、中
層、内皮などを広い視野で鮮明に観測しようとするもの
である。
<従来の技術> 第4図に示すように、角膜2の内皮細胞層3を観察し
ようとする場合、顕微鏡対物レンズの一半部を通して照
射される照明光線Lによって層3を照明し、その像光線
Iを対物レンズの他半部を通して観察することが行なわ
れている。この場合、内皮細胞層3の像光線Iは、極め
てコントラストが低いことに加え、角膜表面4で発生す
る強い反射波Rによって妨害されるために、顕微鏡視野
Dのうち、良好に観察できるのは小部分Wだけにすぎな
い。
この欠点を改善するために、特公昭63−50010号公報
に示されている発明では、第5図に示すように、スリッ
ト51a、51b‥‥を有する遮光回転体51の或るスリット51
aを通過した照明光線52によって、角膜2の内皮細胞層
3上の狭い幅の領域dを照明し、領域dの像光線55を、
遮光回転体51の他のスリット51bを通して観察してい
る。ここで、遮光回転体51を図において上から下へ移動
させるときは、顕微鏡視野Dを上から下へ観察領域dが
移動する。このようにして視野D全体を一通り観察し終
ると、次はスリット51bを通して視野Dの上部が照明さ
れ、その像光線は後続するスリット51c(図示せず)を
通して観察され、同様に観察領域が下方へ移動する。従
って、遮光回転体51を高速で矢印方向に回転させること
により、角膜2の表面4からの反射光56を遮光回転体51
によって遮断しながら、視野全体を観察することができ
る。
<発明が解決しようとする課題> 上述の特公昭63−50010号公報に示されている発明で
は、テレビジョン画像が水平走査線によって上から下へ
垂直走査されるように、視野が一本の狭い幅の観察領域
によって一端から他端へ走査されるものであるから、そ
の観察像は、第4図示の方式による観察可能領域Wに較
べて著るしく暗い欠点がある。
角膜内での照明光線の反射は、その外表面や内表面ば
かりでなく、内層によっても起こる。肉眼による観察の
場合は、多少反射光線が混入しても像が明るい方が見易
いが、写真撮影の場合は極力妨害光線を除くことが必要
であり、かつピントを良く合わせなければならない。
遮光回転体のスリットは、幅が狭いほど反射光線を良
好に除去できるが、その反面像が暗くなるので、肉眼に
よる観察やピント合わせのためにはスリットの幅が広い
のが望ましく、撮影時にはスリットの幅が狭いのが望ま
しい。
この発明は、上述のような相反する条件を両立させ
て、肉眼による観察と写真撮影の双方を良好に行い得る
ようにすることを目的とする。
<課題を解決するための手段> この発明においては、検体、すなわち眼球に接近して
配置される第1のレンズの各半部の背後に、それぞれ第
2及び第3のレンズが位置する。第1及び第2のレンズ
による上記検体の共役焦点面には照明側遮光回転体が位
置し、第1及び第3のレンズによる上記検体の共役焦点
面には観測側遮光体が位置する。照明側遮光回転体に
は、上記検体上に狭い幅の線状の投影像が次々に出来る
ように、多数のスリットが等間隔で実質的に平行に穿設
されており、その背後には、電球及び閃光放電管を含む
照明用光学系が位置している。観測側遮光回転体にも、
照明側と同様な多数のスリットが穿設され、その背後に
はスリットを通過した像光線を観察または撮影するため
の観測用光学系が位置している。
照明側遮光体と観測側遮光体とは、検体上で、照明側
遮光体のスリットを通して照明される部分と観測側遮光
回転体のスリットを通して観測される部分とが常に一致
するような同期関係を維持しながら、回転駆動される。
照明側及び観測側の遮光回転体は、別々に設けてもよ
いが、前記特公昭63−50010号公報に示されているよう
に、1個の遮光回転体を共用し、この回転体上の異なる
スリットが照明用及び観測用に使用されるようにしても
よい。
上記各遮光回転体が有するスリットは、大部分を占め
る幅が広い観察用のスリットの群と、小部分を占める幅
が狭い撮影用スリットの群とに区分されている。そし
て、上記両遮光回転体の少くとも一方には、上記閃光放
電管の発光を制御するためのマーカーが設けられてい
る。
<作用> 上述の眼球顕微鏡において、顕微鏡観察の際は、大部
分のスリットの幅が広くて像が明るいため、ピント合わ
せが容易であり、かつ多少の妨害光線が混入しても像が
明るいために観察も容易である。
写真撮影に際しては、観察像が明るいために、撮影の
ためのピント合わせも、容易に正確に行なうことができ
る。そして、撮影ボタンを押すと、マーカーがセンサー
の前を横切った瞬間に制御信号が現われ、これによって
閃光放電管が発光する。マーカーは、双方の遮光回転体
の撮影用スリットの群が、それぞれ照明用及び観察用の
光路中にさしかかろうとする際にセンサーの前を横切る
ような位置に設けられているため、撮影は、閃光放電管
の発光と、幅が狭い撮影用スリットとにより、反射光線
による妨害を殆ど受けずに行なわれる。
<実 施 例> 第1図において、11は共通対物レンズで、前方レンズ
12及び後方レンズ13で構成され、レンズ12と13との間で
は平行光線領域が作られている。これは、前方レンズ12
が眼球1に追随して移動しても、顕微鏡のピントが変化
しないようにするためである。対物レンズ11の背後には
屋根形の反射鏡15が位置し、光路を左右に分割してい
る。
反射鏡15によって分けられた一方の光路は、レンズ16
及び反射鏡17を経て、対物レンズ11の光軸に平行な方向
に再び折曲げられ、遮光円盤18のスリット19を通過し、
レンズ20、絞り21及びレンズ22を経て閃光放電管23に至
り、更にコンデンサ・レンズ24、25を経て電球26に至っ
ている。電球26が発する照明光線は、コンデンサ・レン
ズ24、25によって閃光放電管23の位置に焦点を結び、再
びレンズ22によって絞り21の位置に焦点を結び、更にレ
ンズ20及び16によって対物レンズ11の入射瞳の近傍に焦
点を結ぶ。絞り21は半円形の開口を有しているので、こ
れにより照明光線が対物レンズ11の鏡胴に衝突して乱反
射するのを防いでいる。また眼球1には、レンズ16及び
11によってスリット19の像が投映されるため、スリット
19の形状で眼球1が照明されたことになる。
反射鏡15によって分けられた他方の光路は、レンズ27
及び反射鏡28を経て、対物レンズ11の光軸に平行な方向
に折曲げられ、遮光円盤29のスリット30とレンズ31を通
過し、半透明鏡32を透過して接眼レンズ33により観察さ
れ、同時に半透明鏡32で反射してカメラ34内のフイルム
35に至る。或いは、半透明鏡32の代りに可動鏡を用い、
その位置により接眼レンズ33へ向う光路とカメラ34に向
う光路とを選択するようしてもよい。従って、眼球1の
像は、レンズ11、反射鏡15、レンズ27及び反射鏡28によ
って遮光円盤29の位置に結像し、その結像はスリット30
を通してレンズ31により空間の平面36に再結像して、接
眼レンズ33により拡大して観察される。また、スリット
30を通った遮光円盤29上の結像は、レンズ31及び半透明
鏡32によってカメラ34のフイルム35上に再結像する。
遮光円盤18及び29は同形で、例えば第2図に示すよう
に、幅が広いスリット19a、19a‥‥或いは30a、30a‥‥
と、幅が狭いスリット19b、19b‥‥或いは30b、30b‥‥
とが、等ピッチで放射状に配列されている。遮光円盤18
及び29は、電動機37により歯付きプーリー38及び歯付き
ベルト(図示せず)を介して、同期して高速回転駆動さ
れる。その結果、例えば第3図に示すように、眼球の角
膜2の内皮細胞層3を観察する場合、遮光円盤18のスリ
ット19、19‥‥を通過した照明光線Lは、角膜3の顕微
鏡視野D内をそれぞれ幅dの紙面に垂直方向の縞状に照
明する。そして、その像光線Iは、遮光円盤29のスリッ
ト30、30‥‥を通って導出されるが、角膜表面4で生じ
た反射光線R、R‥‥は遮光円盤29のスリットから外れ
るために遮断される。ここで、遮光円盤18及び29は、互
に同期して回転することによって、スリット19、19‥‥
及び30、30‥‥は矢印方向に移動するので、内皮細胞層
3の顕微鏡視野Dは、複数本の幅dの縞状部分によって
次々に走査され、視野全体を反射光線R、R‥‥に余り
災されずに観測することができる。
角膜における照明光線の反射は、角膜表面にとどまら
ず、角膜の中層でも起こるし、中層や表層を観測しよう
とする場合は角膜内面での反射が問題になる。スリット
19、19‥‥または30、30‥‥のピッチに対する幅の割合
が小さいと、像光線に混入する反射光線が少なくなる
が、観測される像は暗くなり、逆にピッチに対する幅の
割合が大きいと、像光線に混入する反射光線が増すが、
像は明るくなる。一般に、目で観察する場合は、妨害光
線が多少混入しても像が明るい方が見易く、ピント合わ
せも容易であるが、写真撮影を行なう場合は、妨害光線
ができるだけ少いことが望まれる。
第2図に示す遮光円盤18及び29では、スリット全体の
大部分を占める19a、19a‥‥または30a、30a‥‥は幅が
広い観察用スリットであり、一部にすぎない19b、19b‥
‥または30b、30b‥‥は幅が狭い撮影用スリットであ
る。39は円盤18または29の適所に設けたマーカーで、撮
影用スリット19b、19b‥‥及び30b、30b‥‥の最初のも
のがそれぞれ照明用光路及び観測用光路内にさしかかる
際にセンサーを働かせ、これにより閃光放電管23を発光
させるためのものである。
第2図に示した遮光円板18及び29を用いるときは、目
による観察は大部分が幅が広いスリット19a、19a‥‥及
び30a、30a‥‥によって行なわれるために像が明るく、
ピント合わせも容易であり、写真撮影は幅が狭いスリッ
ト19b、19b‥‥及び30b、30b‥‥のみによって行なわれ
るために、反射光線の混入が少ない撮影像を得ることが
できる。角膜の厚さは、人の場合は約0.5mmであるが、
実験用小動物の場合は0.2〜0.3mm程度にすぎない。これ
らの厚さを異にする角膜に対応するためには、遮光円盤
18及び29のスリットのピッチを変えることが望ましい。
第1図に示す実施例では、円盤18、29及びこれらを駆動
する電動機37を1個のユニット40にまとめ、このユニッ
ト40を交換することによりスリットのピッチを変更する
よう構成されている。
<発明の効果> 以上のように、この発明によるときは、目による観察
及びピント合わせは、遮光円盤上で多数を占めている幅
の広いスリットによって行なわれるため、多少の反射波
が混入しているが像が明るく、従って容易に観察やピン
ト合わせを行なうことができる。そして、写真撮影は、
幅の狭いスリットによって行なわれるため、反射光線に
殆ど災されない優れた写真画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の光路図、第2図は同実施
例における遮光円盤の正面図、第3図は上記実施例にお
ける照明光線、像光線及び反射光線の関係の説明図、第
4図及び第5図は従来例における照明光線、像光線及び
反射光線の関係の説明図である。 1……眼球、2……角膜(検体)、11……共通対物レン
ズ(第1のレンズ)、16……第2のレンズ、18……照明
側遮光回転体、19……スリット、20〜26……照明用光学
系、23……閃光放電管、26……電球、27……第3のレン
ズ、29……観測側遮光回転体、30……スリット、33……
接眼レンズ、34……カメラ、19a及び30a……広い幅のス
リット、19b及び30b……狭い幅のスリット、39……マー
カー。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検体に接近して配置される第1のレンズ
    と、上記検体から見て第1のレンズの各半部の背後にそ
    れぞれ位置する第2及び第3のレンズと、第1及び第2
    のレンズによる上記検体の共役焦点面に位置し第2のレ
    ンズの光軸を横切る方向でかつ実質的に互いに平行な多
    数のスリットを有している照明側遮光回転体と、第1及
    び第3のレンズによる上記検体の共役焦点面に位置し第
    3のレンズの光軸を横切る方向でかつ実質的に互いに平
    行な多数のスリットを有している観測側遮光回転体と、
    上記両遮光回転体のスリットの投映像が上記検体上に互
    いに重なりながらスリット投映像に直交する方向に移動
    するように上記各遮光回転体を同期回転させる駆動手段
    と、電球及び閃光放電管を含み上記照明側遮光回転体の
    スリットに照明用光線を投射する照明用光学系と、上記
    観測側遮光回転体のスリットを通過した上記検体の像光
    線を観察または撮影するよう構成された観測用光学系と
    を有し、上記各遮光回転体に設けられている多数の上記
    スリットは、大部分を占める幅が広い観察用スリットの
    群と、小部分を占める幅が狭い撮影用スリットの群とに
    区分されており、かつ上記両遮光回転体の少なくとも一
    方は上記閃光放電管の発光制御用のマーカーを有し、こ
    のマーカーの通路経路に対面して上記撮影用スリット群
    が上記照明側または観測側の光軸を横切りつつあること
    を検出する手段が設けられていることを特徴とする眼球
    顕微鏡。
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