JP3004522B2 - 離型性複合フイルム - Google Patents

離型性複合フイルム

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JP3004522B2
JP3004522B2 JP6000484A JP48494A JP3004522B2 JP 3004522 B2 JP3004522 B2 JP 3004522B2 JP 6000484 A JP6000484 A JP 6000484A JP 48494 A JP48494 A JP 48494A JP 3004522 B2 JP3004522 B2 JP 3004522B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は離型性複合フイルム
に関し、更に詳しくは硬化型シリコーンに対する接着性
に優れた複合フイルムの上に硬化型シリコーンの塗膜を
設けた離型性複合フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】易滑性フイルムや剥離性フイルムとし
て、従来からプラスチックフイルムの片面又は両面にシ
リコーン樹脂を塗布した複合フイルムが汎用されてい
る。そしてこのシリコーン樹脂として触媒により熱硬化
させるものが汎用されている。
【0003】しかし、基材のプラスチックフイルム、例
えばポリプロピレンフイルム、ポリエステルフイルム、
ポリアミドフイルム、ポリカーボネートフイルム等とシ
リコーン塗膜との密着性(接着性)が弱いという問題が
ある。特にジメチルシリコーン樹脂を主体としたシリコ
ーン塗膜は基材のプラスチックフイルムから簡単に欠落
するという問題がある。
【0004】そこで、プラスチックフイルムとシリコー
ン塗膜との密着性を向上する手段として、該フイルムに
プライマーとしてエチルシリケートの加水分解物を塗布
する方法(特公平2―6625号)、イソシアネートシ
ランを塗布する方法(特開平3―106645号)等が
提案されている。しかし、これらの塗液はアルコール溶
液、酢酸エチル溶液からなり、塗布(コーティング)時
に有機溶媒が蒸発して作業環境や安全上問題となり、ま
た防爆装置、保護装置等を必要としてコストアップとな
る。
【0005】また、シリコーン樹脂を塗布した複合フイ
ルムは帯電性が強く、例えば表面固有抵抗が1010Ω/
□以上となり、塗布面にゴミ等が付着したり、フイルム
同士が静電気により貼り付いたりする等のトラブルを起
し易い。特に離型フイルムとして用いると、剥離する時
静電気が生じ易く、上記トラブルが生じ易い。一方、電
子材料用離型フイルム、液晶材料用離型フイルム、医療
用離型フイルム等では静電気によるゴミ等の付着を特に
嫌い、この静電気の発生を極少にするために、表面固有
抵抗が109 Ω/□以下の帯電防止性の付与が求められ
ている。しかし、界面活性剤に代表される通常の帯電防
止剤では上記の表面固有抵抗を付与することが難しく、
またシリコーン塗膜の離型性能を低下することも多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、かかる問
題を解消し、帯電防止性と接着性に優れたフイルムを開
発すべく鋭意研究した結果、特定の水溶性硅素化合物と
導電性酸化スズとを併用したプライマー層をプラスチッ
クフイルムの表面に設けると、帯電防止性と接着性に優
れた複合フイルムが得られることを見い出し、本発明に
到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、プ
ラスチックフイルムの少くとも片面に、エチルシリケー
トを加水分解した水溶性硅素化合物に導電性酸化スズを
分散させた塗液を塗布し、さらに形成された塗膜の上に
硬化型シリコーン塗液を塗布して得られる厚み0.1〜
1.0μmの層を有する離型性複合フイルムである。
【0008】本発明で使用されるプラスチックフイルム
としては、その種類によっては特に限定されず、例えば
ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化
ビニル、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネー
ト等の周知のプラスチックからなるフイルムが使用でき
る。これらの中特に機械的特性や熱的特性に優れている
ポリエステルフイルムが好ましい。
【0009】このフイルムを構成するポリエステルは、
芳香族二塩基酸成分とジオール成分から合成された結晶
性の線状飽和ポリエステルである。具体的にはポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―
ナフタレートなどが例示できる。かかるポリエステルに
は、フイルム特性の改良及び滑り性を改良させるため、
不活性粒子例えば炭酸カルシウム、カオリン、酸化硅
素、硫酸バリウム等の無機粒子やポリエステルの合成反
応に利用した触媒残渣から形成される析出粒子などを含
有させることが好ましい。この不活性粒子は二軸延伸に
よってフイルム表面に微細な凹凸形状を形成し、フイル
ムに易滑性を付与する。またドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダ等の帯電防止剤を加えたり、色相調整剤として
TiO2 等の顔料を含有させることができる。
【0010】前記ポリエステルフイルムは従来から知ら
れている方法で製造することができる。例えば、ポリエ
ステルを乾燥後溶融し、ダイ(例えばT―ダイ、I―ダ
イ等)から冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フイ
ルムを作る。次いで、該未延伸フイルムを縦方向、続け
て横方向に逐次延伸し、さらに熱固定することにより製
造することができる。延伸倍率は特に制限するものでは
ないが、一般に(3〜5)×(3〜5)倍、例えば4×
4倍に延伸され、熱固定は200〜230℃、例えば約
220℃で行われる。なお、フイルムの厚みは5〜20
0μmが好ましい。
【0011】本発明においてプラスチックフイルム、特
にポリエステルフイルムの表面に塗設する薄膜(プライ
マー層)はエチルシリケートを加水分解した水溶性硅素
化合物と導電性酸化スズとを用いた薄膜である。例えば
エチルシリケート(日本コルコート社製のエチルシリケ
ート40)を、1%の塩化水素を含む大量の水で加熱加
水分解して水溶性硅素化合物とし、該硅素化合物の濃度
が1〜10%の溶液を得る。次いで、この溶液に導電性
酸化スズ(触媒化成製ELCOM TL―20)を5〜
20%の濃度となるように添加し、さらに分散剤および
シリコーン系濡れ剤等を加え、十分分散させて塗液を得
る。そして、この塗液をプラスチックフイルム、特にポ
リエステルフイルムに塗布し、乾燥させることでプライ
マー層を形成することができる。なお、この塗液にはポ
リエステルフイルムへの密着性を向上させるために、水
性官能基を有する水溶性ポリエステルを0.1〜1%の
濃度となるように添加することが好ましい。塗液の好ま
しい組成は、水溶性硅素化合物1〜3%、導電性酸化ス
ズ3〜5%、水溶性ポリエステル0.1〜0.3%を含
み、かつ全体として3〜10%の濃度となるものが挙げ
られる。また、導電性酸化スズは、水溶性硅素化合物の
重量に対し1〜5倍重量であることが好ましい。
【0012】塗液の塗工方法はグラビアコート、リバー
スコート、スピンコート、コンマコート、キスコート、
マイヤーバーコート等を用いることができる。乾燥後の
塗布厚みは0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜
0.3μmにするようにする。塗工品の表面固有抵抗値
は107 〜109 Ω/□で均一で、密着性に優れたプラ
イマーコート層を得ることができる。
【0013】本発明において、前記プライマー層の上に
塗工する離型剤としては、ジメチルシリコーンを主体と
した付加型シリコーン(例えば、信越化学製、KS―7
72、776、847等)、縮合型シリコーン(例え
ば、東芝シリコーン、YSR―3022等)、自己架橋
型シリコーン(例えば、松本製薬工業、SIC―330
等)などが好ましく挙げられる。このシリコーン離型剤
の塗工方法はグラビアコート、リバースコート、スピン
コート、コンマコート、キスコート、マイヤーバーコー
ト等を用いることができる。乾燥後の塗布厚みは0.1
〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.3μmになるよ
うにする。
【0014】得られる離型性複合フイルムは、表面固有
抵抗が109 Ω/□以下、特に10 7 〜109 Ω/□で
軽剥離型離型フイルムとしての性能を有し、該複合フイ
ルムを布で摩擦したときでも静電気によるゴミの付着が
無く、また粘着剤を剥離したときにも静電気の発生が無
い。
【0015】本発明の複合フイルムは、上述のように、
プラスチックフイルムとシリコーン樹脂層の密着性に優
れ、かつ表面固有抵抗が109 Ω/□以下、特に107
〜109 Ω/□の優れた帯電防止性能を持ち、特に電子
材料用、液晶材料用、医療用等の分野での離型フイルム
として有用である。
【0016】
【実施例】次に実施例を掲げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例及び比較例におけるフイルムの物性試
験は下記の方法に従って行った。
【0017】[表面固有抵抗]試料フイルムの表面固有
抵抗はASTM D―4854Tに準じて測定する。測
定雰囲気は23℃×65%RHとする。
【0018】[剥離力]試料フイルムに粘着テープ(日
東電工製、ニットー31B)を貼り合わせ、5kgの圧
着ローラーで圧着し、荷重20g/cm2 を重せ、室温
で20時間経時した後に引張試験により剥離力を測定す
る。
【0019】[ラブオフ]シリコーン塗膜と基材フイル
ムとの密着性を評価するため、塗面を親指の腰で数回強
くこすり、塗膜の脱落状態を調べる。
【0020】[実施例1]2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフイルム(厚み50μm)の片面に、エチ
ルシリケートを加水分解した硅素化合物を3%含有する
水溶液に導電性酸化スズを5%添加、分散した水溶液
(コルコート社製:SP―2016)を、乾燥後の塗布
厚みが0.1μmになるように塗布し、その後塗膜の上
に硬化型シリコーン樹脂(信越化学製、KS―847)
を塗工し、離型性複合フイルムを得た。
【0021】[実施例2]2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフイルム(厚み50μm)の片面に、エチ
ルシリケートを加水分解した硅素化合物を1%含有する
水溶液に導電性酸化スズを3%添加、分散した水溶液
(コルコート社製:SP―2015)を乾燥後の塗布厚
みが0.2μmになるように塗布し、その後塗膜の上に
硬化型シリコーン樹脂(東芝シリコーン、YSR―30
22)を塗工し、離型性複合フイルムを得た。
【0022】[実施例3]2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフイルム(厚み50μm)の片面に、エチ
ルシリケートを加水分解した硅素化合物を1%含有する
水溶液に導電性酸化スズを5%添加、分散した水溶液
(コルコート社製:SP―2014)を乾燥後の塗布厚
みが0.3μmになるように塗布し、その後塗膜の上に
硬化型シリコーン樹脂(松本製薬工業社製、SIC―3
30)を塗工し、離型性複合フイルムを得た。
【0023】[比較例1]2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフイルム(厚み50μm)の片面に硬化型
シリコーン樹脂(信越化学製、KS―847)を塗布し
て離型性複合フイルムを得た。
【0024】[比較例2]2軸延伸したポリエチレンテ
レフタレートフイルム(厚み50μm)の片面に、ポリ
シロキサンの部分加水分解物(コルコート社製:コルコ
ートP)を乾燥後の厚み0.2μmとなるように塗布
し、その後塗膜の上に硬化型シリコーン樹脂(信越化学
製、KS―847)を塗布して離型性複合フイルムを得
た。
【0025】上記実施例及び比較例で得た離型性複合フ
イルムの性能試験結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、シリコーンに対する接
着性に優れた帯電防止性の複合フイルム及びこの複合フ
イルムの上にシリコーン塗膜を設けた離型性複合フイル
ムを提供することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフイルムの少くとも片面
    に、エチルシリケートを加水分解した水溶性硅素化合物
    に導電性酸化スズを分散させた塗液を塗布し、さらに形
    成された塗膜の上に硬化型シリコーン塗液を塗布して得
    られる厚み0.1〜1.0μmの層を有する離型性複合
    フイルム。
  2. 【請求項2】 導電性酸化スズの量が、水溶性硅素化合
    物の重量に対し、1〜5倍重量であり、複合フイルムの
    表面固有抵抗が10Ω/□以下である請求項記載の
    離型性複合フイルム。
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