JP3004168B2 - セラミック発熱体 - Google Patents

セラミック発熱体

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JP3004168B2
JP3004168B2 JP6118418A JP11841894A JP3004168B2 JP 3004168 B2 JP3004168 B2 JP 3004168B2 JP 6118418 A JP6118418 A JP 6118418A JP 11841894 A JP11841894 A JP 11841894A JP 3004168 B2 JP3004168 B2 JP 3004168B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種加熱用ヒーター等に
好適な高温用のセラミック発熱体に関し、とりわけディ
ーゼルエンジンの始動時やアイドリング時に副燃焼室内
を急速に予熱する自己飽和型のグロープラグに用いられ
るセラミック発熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりディーゼルエンジンの始動促進
に用いられるグロープラグや各種点火用及び加熱用ヒー
ターとして、耐熱金属製のシース内に耐熱絶縁粉末とと
もにニッケル(Ni)−クロム(Cr)等を主体とする
高融点金属線から成る発熱抵抗体を埋設したシーズヒー
ターや、高電圧の火花放電を利用する各種点火装置が使
用されていた。
【0003】しかしながら、前記シーズヒーターは、耐
熱絶縁粉末を介して発熱抵抗体の熱を伝えるため、急速
昇温が困難であり、その上、耐摩耗性や耐久性に劣ると
いう問題があり、更に、前記火花放電を利用した各種点
火装置も、点火時に雑音等の電波障害を生じたり、確実
な点火と未着火の場合の安全性という点からの信頼性に
欠ける等の欠点があった。
【0004】そこで、熱伝達効率が優れ、急速昇温が可
能で、電波障害が発生せず、しかも確実に点火して安全
性を確保し、耐摩耗性と耐久性に優れた信頼性の高い発
熱体として、セラミック焼結体中に高融点金属等の無機
導電材から成る発熱抵抗体を埋設したセラミック発熱体
が、内燃機関のグロープラグをはじめ、各種加熱用ヒー
ターとして広く利用されるようになってきた。
【0005】前記セラミック発熱体の基体は、耐熱性や
耐熱衝撃性、耐酸化特性に優れるという点から窒化珪素
質焼結体が採用される場合が多いが、記窒化珪素質焼結
体と発熱抵抗体との熱膨張差により窒化珪素質焼結体自
体にクラックが発生し易い上、そのようなセラミック発
熱体を通電加熱により1000℃以上に発熱させると前
記窒化珪素質焼結体の粒界相が一般にガラス質を形成し
ていることから、粒界相の軟化による焼結体の強度劣化
や、粒界相のイオン移動による組織劣化を引き起こし、
セラミック発熱体の基体にクラックが発生したり、基体
の窒化珪素質焼結体が酸化されて発熱抵抗体の抵抗値が
変化したりして、やがて発熱抵抗体自体が断線する等の
欠点があった。
【0006】そこで、前記欠点を解消するために、従来
から添加する焼結助剤の種類と添加量が種々検討されて
おり、それに伴い窒化珪素質焼結体の粒界相を結晶化す
ること等が提案されている(特開平1−313362号
公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記窒
化珪素質焼結体と発熱抵抗体との熱膨張差を小さくする
ために、焼結助剤としてMoSi2 を用いた場合、埋設
した発熱抵抗体を焼結一体化する際に、発熱抵抗体自身
が珪化され易く、珪化した発熱抵抗体部分が通電稼働中
に短期間にクラックを生じ、抵抗変化を起こして耐久性
に劣るという課題があった。
【0008】また、昨今セラミック発熱体の使用環境は
更に過酷でかつ高酸化性雰囲気となりつつあり、粒界相
を結晶化した窒化珪素質焼結体を基体とするセラミック
発熱体を、内燃機関のグロープラグや各種点火用および
加熱用ヒーターとして1000℃以上の高温用として用
いた場合、一般に点火時には1000〜1300℃とな
り、更には点火した火炎に曝されて1350℃を越える
ような状況となり、このような加熱冷却が反復されるこ
とにより、埋設した無機導電材から成る発熱抵抗体が経
時変化を起こし、短時間で10%を越える抵抗変化を生
じ、やがて発熱抵抗体が断線してしまう恐れがある他、
窒化珪素質焼結体自体が酸化され易く、実用上、耐久性
に欠けるという課題があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は前記欠点に鑑みなされたもの
で、その目的は、焼結一体化時に発熱抵抗体が珪化され
難く、得られたセラミック発熱体は常温付近から100
0℃付近の高温に瞬時に発熱させることを長時間にわた
り何度も繰り返したり、1000℃以上の高温で長時間
の連続稼働をしても、発熱抵抗体の抵抗変化率が大きく
変化しないことは勿論、発熱抵抗体が断線したりセラミ
ック発熱体の基体にクラックが発生したり、窒化珪素質
焼結体自体が酸化したりせず、耐久性に優れたセラミッ
ク発熱体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、埋設する
発熱抵抗体の珪化を防止するためには、焼成過程でSi
の生成を阻止すること、また、セラミック発熱体の抵抗
変化を抑制して高温耐久性を向上するためには、窒化珪
素質焼結体の粒界相をより融点の高い結晶相のみで構成
する事が肝要であるとの見地から種々検討した結果、前
記窒化珪素質焼結体の粒界相にMo4.8 Si3 0.6
MoSi2 の結晶を共存させることにより、Siの生成
が阻止でき、また前記窒化珪素質焼結体の熱履歴前の粒
界に存在する結晶相に、RE2 3 ・SiO2 (以降、
REは周期律表第3a族元素をいう)で表されるモノシ
リケートが存在することにより、セラミック発熱体の抵
抗変化を抑制できることを見いだし、本発明に至った。
【0011】即ち、本発明のセラミック発熱体は、無機
導電材から成る発熱抵抗体を埋設した基体である窒化珪
素質焼結体の粒界相が、Mo4.8 Si3 0.6 とMoS
2の結晶を共存し、かつ前記窒化珪素質焼結体の熱履
歴前の粒界相が、該粒界相に存在するREのシリケート
から成る結晶相の内、RE2 3 ・SiO2 で表される
モノシリケートを含有することを特徴とするものであ
る。
【0012】また、前記窒化珪素質焼結体中のRE2
3 に対するSiO2 のモル比が0.8〜1.8の範囲、
あるいはAl2 3 が0.5〜1.0重量%の範囲で含
有していること、あるいはRE2 3 ・SiO2 で表さ
れるモノシリケートのREが、YbまたはY、Ho、E
r、Luのいずれかであることがより望ましいものであ
る。
【0013】
【作用】本発明のセラミック発熱体によれば、窒化珪素
質焼結体の粒界相がMo4.8 Si3 0.6 とMoSi2
の結晶を共存することにより、埋設した発熱抵抗体が珪
化されない状態で焼結が進み、それとともに窒化珪素質
焼結体と発熱抵抗体との熱膨張差が小さくなる。
【0014】更に、窒化珪素質焼結体の熱履歴前の粒界
相が、RE2 3 ・2SiO2 で表されるダイシリケー
トより更に融点が高く、窒化珪素質焼結体との熱膨張差
が小さく、かつ耐熱性に優れたRE2 3 ・SiO2
表されるモノシリケートを含有していることから、長時
間に及ぶ昇温、降温の繰り返しでも通電時のイオン移動
が起こり難く、その結果、抵抗変化を生じ難く、高温強
度と耐酸化特性等が維持され、急速昇温特性を損なうこ
となく好適な自己飽和温度特性が得られ、耐久性及び信
頼性が向上することになる。
【0015】また、前記モノシリケートを含有する窒化
珪素質焼結体を高温の酸化性雰囲気に長期間暴露してい
ると、窒化珪素質焼結体表面を通して酸素が拡散され、
窒化珪素質焼結体が酸化されてシリカ(SiO2 )を生
成するようになり、該SiO2 は、相平衡上、RE2
3 ・SiO2 と平衡には存在できず、反応してRE2
3 ・2SiO2 が生成されるようになる。
【0016】しかしながら、いったん窒化珪素質焼結体
表面近傍の粒界相に形成されたRE2 3 ・2SiO2
は、SiO2 とは高温まで安定であり、反応も拡散も起
こさず平衡に存在できることから、耐熱安定性は逆に増
加する。
【0017】
【実施例】以下、本発明のセラミック発熱体を図面に基
づき詳述する。図1は本発明のセラミック発熱体の一実
施例の正面の要部を示す断面図であり、図2は本発明の
セラミック発熱体の側面の要部を示す断面図である。
【0018】図1及び図2において、1は窒化珪素質焼
結体2中に、略平行な2層の無機導電材から成る略U字
状を成す層状の発熱抵抗体3と、発熱抵抗体3の各端部
に少なくとも一部を重ねて形成した層状の発熱抵抗体4
を介して接続した高融点金属の線材から成るリード線5
と、リード線5にそれぞれ接続した無機導電材から成る
複数個に分割した電極取り出し層6を埋設し、電極取り
出し層6の一部が窒化珪素質焼結体2の外周面に露出す
るとともに、その先端が略球面で、断面が円形を成した
セラミック発熱体である。
【0019】前記窒化珪素質焼結体2の組成は、RE2
3 に対するSiO2 のモル比が、粒界相を高い融点に
保ち、かつ粒界相の耐酸化性に優れるという観点から
は、0.8〜1.8の範囲であることが望ましい。
【0020】また、前記窒化珪素質焼結体2の1400
℃以上における高温での耐酸化性および粒界相のMo
4.8 Si3 0.6 の耐酸化性を増強するという観点から
は、Al2 3 の含有量が0.5〜1.0重量%の範囲
がより望ましい。
【0021】更に、前記窒化珪素質焼結体2の熱履歴前
の粒界相における結晶相として、後述するX線回折法に
より同定したピーク強度の比率が、RE2 3 ・SiO
2 で表されるモノシリケートに関しては20%以上、と
りわけ25%以上がより望ましいものである。
【0022】また、RE2 3 ・2SiO2 で表される
ダイシリケートは、前記モノシリケートと共存していて
も良い。
【0023】また、前記モノシリケートの生成には、原
料中の酸素量、とりわけ窒化珪素原料中の酸素量を極力
低減し、焼結助剤として添加するRE2 3 の量も1
0.5〜15%程度に増加させ、焼成中に酸素量やSi
2 が増加しないようにSi/SiO2 雰囲気を調整す
ることが望ましい。
【0024】尚、前記SiO2 とは、いわゆる焼結体中
に存在する過剰酸素であり、具体的には焼結体中の全酸
素量から焼結体中のREが化学量論的に酸化物を形成し
た場合に元素に結合している酸素を除いた残りの酸素量
であり、そのほとんどは窒化珪素原料に含まれる酸素で
ある。
【0025】また、前記焼結助剤として添加するRE2
3 は、焼結過程で窒化珪素粒子との反応により液相と
なって焼結を促進するが、冷却後そのまま粒界相にガラ
ス相として残存すると耐酸化特性を劣化させてしまうた
め、所定の冷却過程あるいは熱処理により粒界に結晶相
として析出させることが必要である。
【0026】尚、本発明に用いられるREとしては、イ
ットリウム(Y)やランタノイド元素が挙げられるが、
耐酸化性の点からはイオン半径が小さいYbまたはY、
Ho、Er、Luが、とりわけYbが最も好ましい。
【0027】また、窒化珪素質焼結体中には不可避不純
物としてAl、Ca、Mg、Fe等が含まれることがあ
るが、これらの元素は酸化物として低融点物質を形成し
易く、高温特性を劣化させる傾向を示すことから、これ
らの成分は酸化物換算で0.5重量%以下に制御するこ
とが望ましい。
【0028】その他、窒化珪素質焼結体の特性、特に前
記粒界相の結晶化に悪影響を及ぼさない範囲で、Ti
C、TiN、WC、WO3 、NbC、TaC、MoSi
2 等の周期律表第4a、5a、6a族元素の炭化物、窒
化物、酸化物、炭窒化物、珪化物等も、窒化珪素質焼結
体と電極材料との熱膨張差を減少させて耐熱衝撃性を向
上させ、焼結助剤としても有効な点から添加することが
できる。
【0029】また、無機導電材から成る発熱抵抗体3、
4あるいは電極取り出し層6の主成分は、タングステン
(W)、モリブデン(Mo)、レニウム(Re)等の高
融点金属やその合金の他、例えばタングステンカーバイ
ド(WC)、窒化チタン(TiN)や硼化ジルコニウム
(ZrB2 )等の第4a族、第5a族、第6a族の炭化
物または窒化物等があり、とりわけ高温まで無機導電材
として窒化珪素質焼結体との熱膨張差が小さく、熱衝撃
抵抗性に優れ、安定した特性を有するタングステンカー
バイド(WC)が好ましい。
【0030】一方、リード線5には、導電性の点から高
融点金属であるタングステン(W)、モリブデン(M
o)、レニウム(Re)やその合金等が上げられるが、
とりわけ設計のし易さからはタングステン(W)が好適
である。
【0031】また、セラミック発熱体の先端を略球面と
し、その断面を円形と成したのは、先端部近傍に最高発
熱部を有し、外周に効果的に均一に発熱させるためであ
り、この形状に限定されるものではない。
【0032】次に、本発明のセラミック発熱体を評価す
るにあたり、先ず、比表面積が7〜15m2 /g、含有
する不可避不純物としての酸素量が1.5重量%以下、
金属不純物が0.05重量%以下の窒化珪素(Si3
4 )粉末に、焼結助剤として周期律表第3a族元素の酸
化物とアルミナ(Al2 3 )、珪化モリブデン(Mo
Si2 )を焼結体組成が表1及び表2となるように秤量
したものを添加混合して調製し、得られた造粒体を使用
し、プレス成形法等、周知の成形法により平板状の窒化
珪素を主成分とするセラミック成形体を作製する。但
し、表1及び表2に示す焼結体組成中の珪化モリブデン
量はMo4.8 Si3 0.6 とMoSi2 の合計量であ
る。
【0033】次に、タングステンカーバイド(WC)の
微粉末80重量%と窒化珪素(Si3 4 )の微粉末2
0重量%の混合粉末に溶媒を加えて調製したペーストを
使用して、スクリーン印刷法等により略U字形状のパタ
ーンで、セラミック焼結体の先端より5mm以内に位置
するようにそれぞれ別のセラミック成形体の表面に、厚
さ約40μm の発熱抵抗体3を形成する。
【0034】次に、85重量%のタングステンカーバイ
ド(WC)と15重量%の窒化珪素(Si3 4 )の各
微粉末から成るペーストを使用して、前記発熱抵抗体3
の端部に一部重なるようにして厚さ約40μm の発熱抵
抗体4を形成する。
【0035】一方、電極取り出し層6も、発熱抵抗体4
と同一組成のペーストを使用して前記セラミック成形体
表面の他端に、前記同様にして幅0.7mm、厚さ70
μmのパターンを4個、セラミック成形体の側面まで平
行に所定の配置でそれぞれ形成した。
【0036】次に、発熱抵抗体3、4及び電極取り出し
層6をそれぞれ印刷形成したセラミック成形体の上に、
直径0.25mmのタングステン(W)線を発熱抵抗体
4と各電極取り出し層6にそれぞれ接続するように載置
して重ね、その上に発熱抵抗体と電極取り出し層を印刷
形成していないセラミック成形体を重ねた後、Si/S
iO2 雰囲気を調整した炭素(C)を含む還元性の雰囲
気下、1750℃の温度で1時間、加圧焼成した。
【0037】その後、窒素ガス中、1400℃の温度で
24時間、熱処理をして粒界相を結晶化した。
【0038】かくして得られた窒化珪素質焼結体2の周
囲を研磨し、先端を球面とするとともに断面円形に加工
し、埋設した各電極取り出し層6の端面を円柱側面に露
出させ、直径約3.5mmのセラミック発熱体を作製し
た。
【0039】先ず、前記セラミック発熱体の表面を10
0μm 以上研磨除去した後、乳鉢で粗粉砕して前記無機
導電材を除去し、微粉砕した窒化珪素質焼結体の粉末を
燃焼式ガス分析装置により酸素量を測定した。
【0040】その後、測定した前記酸素量から焼結助剤
として添加した酸化物が含有する酸素量を算出して差し
引き、残った酸素量が全てSiO2 として含有されてい
るとしてSiO2 量を計算して求め、更にRE2 3
対するSiO2 のモル比を算出した。
【0041】次に、前記セラミック発熱体を用いて、少
なくとも電極取り出し層の露出部にメタライズ法やメッ
キ法等によりニッケル(Ni)等の金属被膜を形成した
後、セラミック発熱体の側面に露出した一方の電極取り
出し層と接続するように筒状金具を外嵌めし、還元ガス
雰囲気中で銀ろうにて接合して負電極とし、他方の電極
取り出し層に、線材またはキャップ状の金具より成る電
極取り出し金具を前記同様に銀ろうにて接合して正電極
として接続し、正負の電極を導出した評価用のセラミッ
ク発熱体を作製した。
【0042】次いで、前記評価用のセラミック発熱体を
使用し、該セラミック発熱体が1400℃の温度で飽和
する10〜35Vの直流電圧を5分間通電した後、通電
を停止して1分間圧搾空気を吹きつけ強制冷却する工程
を1サイクルとする高負荷耐久試験を行い、20000
サイクル実施し、両電極間の抵抗値を測定し、試験開始
前の両電極間の抵抗値に対する変化率が10%以下のも
のを良、越えるものを不良として耐久性を評価するとと
もに、セラミック発熱体表面を肉眼で観察し、更に蛍光
浸透探傷法でクラックの有無を調査した。
【0043】尚、前記セラミック発熱体の基体をなす窒
化珪素質焼結体の粒界相の結晶相は、前記高負荷耐久試
験に用いたものと同一仕様の熱履歴前のセラミック発熱
体を用い、その外周を研磨除去した後、窒化珪素質焼結
体を微粉砕してX線回折を行い、2θが41.8°のピ
ークからMo4.8 Si3 0.6 (表3及び表4中、と
記す)を、また2θが44.7°のピークからMoSi
2 (表3及び表4中、と記す)を同定した。
【0044】また、2θが34.8°のα−Si3 4
と、2θが33.6°のβ−Si34 のピーク高さの
合計を基準とし、このピーク高さを100として2θが
28.7°である(−121)面のモノシリケート(表
3及び表4中、Mと記す)及び2θが28.0°である
(201)面のダイシリケート(表3及び表4中、Dと
記す)のピーク高さを求め、α−Si3 4 とβ−Si
3 4 のピーク高さの合計に対する比率を算出して、窒
化珪素質焼結体の粒界相のそれぞれの結晶相を同定し
た。また、本発明に係る窒化珪素質焼結体の代表的なX
線回折記録図を図3〜図6に、本発明に係る窒化珪素質
焼結体の代表的な結晶構造を表す組織写真を図7に示
す。
【0045】尚、本発明外の代表的なX線回折記録図と
結晶構造を表す組織写真を、図8及び図9に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】表1〜表4の結果からも明らかなように、
窒化珪素質焼結体の粒界相にMo4.8 Si3 0.6 とM
oSi2 の2結晶が共存していない試料番号38、3
9、40、あるいは窒化珪素質焼結体の粒界相にダイシ
リケートのみしか検出されない試料番号45、50、5
5、60、65は、いずれも高温負荷耐久試験で10%
を越える抵抗変化を示し、また試料番号45、50、5
5、60、65ではクラックも発生している。
【0051】それに対して、本発明のセラミック発熱体
はいずれも1400℃の20000サイクルに及ぶ高温
負荷耐久試験に異常は認められない。
【0052】また、図7と図9の組織写真から明らかな
ように、本発明外の図9では粒界相にMoSi2 9の結
晶だけが存在するのに対して、本願発明の窒化珪素質焼
結体の粒界相の結晶構造を示す図7では、MoSi2
の結晶中にMo4.8 Si3 0.6 7の結晶が共存してい
ることが分かる。
【0053】尚、前記評価用のセラミック発熱体に最大
電圧14.3Vを印加し、最高発熱部が800℃に到達
する時間を測定したところ、本発明のセラミック発熱体
はいずれも2.1秒以内の急速昇温特性を有しているこ
とが確認できた。
【0054】更に、本願発明のセラミック発熱体を極寒
から熱帯まで種々の温度環境下で使用可能とするため、
窒化珪素質焼結体の粒界相が酸化され易い600℃と9
00℃の温度で100時間放置試験を行ったが、本発明
のセラミック発熱体はいずれも異常は認められなかっ
た。
【0055】
【発明の効果】叙上の如く、本発明のセラミック発熱体
は、窒化珪素質焼結体の粒界相がMo4.8 Si3 0.6
とMoSi2 の結晶を共存し、かつ窒化珪素質焼結体の
熱履歴前の粒界相がRE2 3 ・SiO2 で表されるモ
ノシリケートを含有していることから、焼結一体化時に
発熱抵抗体が珪化され難く、その上、長時間に及ぶ昇
温、降温の繰り返しでも発熱抵抗体の抵抗変化率が大き
く変化せず、しかも発熱抵抗体が断線したりセラミック
発熱体の基体にクラックが発生したりすることがなく、
高温強度と耐酸化特性が維持され、急速昇温特性を損な
うことなく好適な自己飽和温度特性が得られ、どのよう
な環境下においても耐久性と信頼性に優れたセラミック
発熱体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック発熱体の一実施例の正面の
要部を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミック発熱体の側面の要部を示す
断面図である。
【図3】本発明のセラミック発熱体の代表的な窒化珪素
質焼結体のX線回折記録図である。
【図4】本発明のセラミック発熱体の他の代表的な窒化
珪素質焼結体のX線回折記録図である。
【図5】本発明のセラミック発熱体の他の代表的な窒化
珪素質焼結体のX線回折記録図である。
【図6】本発明のセラミック発熱体の他の代表的な窒化
珪素質焼結体のX線回折記録図である。
【図7】本発明のセラミック発熱体の代表的な窒化珪素
質焼結体の粒界相の結晶構造を示す組織写真である。
【図8】本発明外のセラミック発熱体の窒化珪素質焼結
体のX線回折記録図である。
【図9】本発明外のセラミック発熱体の窒化珪素質焼結
体の粒界相の結晶構造を示す組織写真である。
【符号の説明】
1 セラミック発熱体 2 窒化珪素質焼結体 3、4 発熱抵抗体 5 リード線 6 電極取り出し層 7 Mo4.8 Si3 0.6 8 MoSi
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23Q 7/00 H05B 3/48 H05B 3/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素質焼結体中に、該窒化珪素質焼結
    体を介して少なくとも2層の無機導電材から成る発熱抵
    抗体層を埋設したセラミック発熱体において、前記窒化
    珪素質焼結体の粒界相がMo4.8 Si3 0.6 とMoS
    2 の結晶を共存し、かつ前記窒化珪素質焼結体の熱履
    歴前の粒界に存在するRE(REは周期律表第3a族元
    素)のシリケートから成る結晶相が、RE2 3 ・Si
    2 で表されるモノシリケートを含有することを特徴と
    するセラミック発熱体。
  2. 【請求項2】前記窒化珪素質焼結体中のRE2 3 に対
    するSiO2 のモル比が0.8〜1.8であることを特
    徴とする請求項1記載のセラミック発熱体。
  3. 【請求項3】前記窒化珪素質焼結体中のAl2 3
    0.5〜1.0重量%含有していることを特徴とする請
    求項1記載のセラミック発熱体。
  4. 【請求項4】前記RE2 3 ・SiO2 で表されるモノ
    シリケートのRE(REは周期律表第3a族元素)がY
    bまたはY、Ho、Er、Luのいずれかであることを
    特徴とする請求項1記載のセラミック発熱体。
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