JPH1050460A - セラミックヒータ - Google Patents

セラミックヒータ

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JPH1050460A
JPH1050460A JP20156596A JP20156596A JPH1050460A JP H1050460 A JPH1050460 A JP H1050460A JP 20156596 A JP20156596 A JP 20156596A JP 20156596 A JP20156596 A JP 20156596A JP H1050460 A JPH1050460 A JP H1050460A
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silicon nitride
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heating element
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英樹 内村
Koji Ono
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Abstract

(57)【要約】 【課題】室温から1500℃の高温まで使用され、初期
抵抗が低く、耐酸化性に優れ、高温で長時間発熱した場
合においてもヒータ特性の劣化の小さい耐久性に優れた
セラミックヒータを提供する。 【解決手段】窒化珪素質焼結体からなる絶縁性母材1中
に発熱体2を埋設してなるセラミックヒータにおいて、
窒化珪素質焼結体が、窒化珪素主相と、希土類元素、酸
素および珪素を含み、ダイシリケート相を主結晶とする
粒界相により構成され、発熱体2が、WC、TaN、M
2 Cのうちのいずれかを主成分とし、添加物として窒
化珪素、窒化ホウ素および炭化珪素のうちの少なくとも
1種を含み、且つ発熱体2の絶縁性母材1との界面に発
熱体主成分を構成する金属の珪化物相3が発熱体2の最
小厚みL1 の25%以下の厚みL2 で存在することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス点火用ヒー
タ、温水ヒータ、半田ごて等の一般家庭用、グロープラ
グ、酸素センサ用ヒータ等の自動車用の他、各種電子部
品用、産業機械用などあらゆる分野に利用しうるセラミ
ックヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、耐熱性、耐熱衝撃
性等に優れることから急速昇温可能で、耐久性に優れ、
セラミックヒータにおける絶縁性母材として有望視され
てきた。また、このような窒化珪素質焼結体としては、
一般に高密度の焼結体を作製するために焼結助剤として
2 3 等の焼結助剤を添加し、これを成形し、窒素雰
囲気中で焼成することが行われている。
【0003】また、具体的にヒータを作製するには、未
焼成の窒化珪素質の成形体母材に、W等の微粉末を含有
した導電性ペーストを所定の発熱体パターンに印刷した
後、母材とともに焼成することにより発熱体を埋設した
ヒータが得られている。なお、焼成方法としては、ホッ
トプレス等が主流であった。しかし、ホットプレス法に
よって作製したヒータは表面荒れが生じるために、研削
が必要となり、コスト高となる。また、焼結過程で母材
と発熱体が化学反応し、耐久特性を満足できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】窒化珪素質焼結体から
なる絶縁性母材を作製するにあたり、焼結助剤として希
土類酸化物を用いることにより高密度化できるために、
焼結体の室温および高温における強度をある程度向上さ
せることができるが、焼結体に変形が生じたり、製造時
の歩留りが低いなどの問題があった。
【0005】特に、長時間使用した場合に急激に酸化が
進行して磁器にクラックが生じ、発熱体が酸化して発熱
体が断線するという問題がある。また、強度の点では、
高温環境下で使用されるグロープラグ等においても長期
信頼性の点からさらなる高強度が要求され、絶縁強度、
耐サージ電圧等の点からも高信頼性が要求されている。
また、発熱特性の点では、ヒータとして連続使用または
断続使用下での耐久性や急速昇温に対する耐久性等も要
求されるが、これまでのセラミックヒータでは、これら
の特性を十分に満足するには至っていないのが現状であ
る。
【0006】従って、本発明の目的は、室温から150
0℃の高温まで使用され、初期抵抗が低く、耐酸化性に
優れ、高温で長時間発熱した場合においてもヒータ特性
の劣化の小さい耐久性に優れたセラミックヒータを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒータ特
性を高めるためには、焼結体中の発熱体組成を制御する
ことが重要であるという見地に基づき検討を重ねた結
果、絶縁性母材の耐酸化性が焼結体の粒界相の結晶相に
よって大きく変化すること、また発熱体特性が発熱体を
WCからなる主成分に対して特定の添加物を添加すると
ともに、発熱体を構成する結晶相を制御することにより
上記目的が達成されることを見いだした。
【0008】即ち、本発明のセラミックヒータは、窒化
珪素質焼結体からなる絶縁性母材中に発熱体を埋設して
なるセラミックヒータにおいて、前記窒化珪素質焼結体
が、窒化珪素主相と、希土類元素、酸素および珪素を含
み、ダイシリケート相を主結晶とする粒界相により構成
され、前記発熱体が、WC、TaN、Mo2 Cのうちの
いずれかを主成分とし、添加物として窒化珪素、窒化ホ
ウ素および炭化珪素のうちの少なくとも1種を含み、且
つ該発熱体の前記絶縁性母材との界面に前記発熱体主成
分を構成する金属の珪化物相が存在することを特徴とす
るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックヒータにおけ
る絶縁性母材は、窒化珪素を主成分とする焼結体によっ
て構成するものである。かかる窒化珪素質焼結体として
は、β型窒化珪素を主結晶相とするものであり、その粒
界相が、希土類元素、酸素および珪素を少なくとも含
み、さらには、粒界結晶相がダイシリケート相を主相と
する点が大きな特徴である。
【0010】本発明によれば、粒界結晶相としてダイシ
リート相(RE2 Si2 7 )を主相として析出させる
ことにより、絶縁性母材が発熱時に外気の酸素と接触し
た場合においても高い耐酸化性を有することなり、母材
の酸化による腐食を防止し母材の長期安定性を高めるこ
とができるのである。
【0011】また、絶縁性母材の焼結体粒界にダイシリ
ケート相を析出させることに関連して、焼結体中の全希
土類元素の酸化物換算と、不純物的酸素のSiO2 換算
量とのSiO2 /RE2 3 で表されるモル比が2以上
であることが望ましい。
【0012】この不純物的酸素量とは、全酸素量から希
土類元素の酸化物として化学量論比率で結合する酸素を
差し引いた残りの酸素量であり、具体的には窒化珪素粉
末中に含まれる不純物酸素、あるいはSiO2 粉末とし
て添加された酸素からなるものである。
【0013】不純物的酸素量と希土類元素の酸化物換算
のモル比を上記のように制御することにより、粒界結晶
相としてダイシリート相を主相として析出させることが
できるとともに、焼結性を高め、焼結体の強度と耐酸化
性を向上させることができる。また、焼結体の粒界は、
完全に結晶化させる事によりさらに耐久性を向上させる
ことができる。
【0014】なお、上記SiO2 /RE2 3 比が2よ
り小さいと、粒界相に窒素成分を多く含むYAM相やア
パタイト相等の窒素を含む結晶相が主として生成しこれ
により耐酸化性が劣化してしまう。ただし、SiO2
RE2 3 比が過度に高くなると緻密化を阻害するた
め、上記モル比は5以下に制御することが望ましい。
【0015】絶縁性母材としての窒化珪素質焼結体に対
して添加される希土類元素としては、Y、Er、Yb、
Lu、Sm等が挙げられる。これらの元素間での室温特
性は大きな有意差はないが、高温特性は生成する粒界相
の融点に依存する。従って、生成するダイシリケートの
融点がより高いことから判断するとLu、Yb、Erが
好ましい。この希土類元素は焼結体中に酸化物換算で1
〜10モル%、特に2〜5モル%の割合で存在すること
が望ましい。
【0016】また、上記窒化珪素質焼結体としては、焼
結体中に含まれるAl、MgおよびCa量が酸化物換算
による全量で0.5重量%以下、特に0.1重量%以下
であることが望ましい。それは、これらの成分が上記よ
りも多くの量で存在すると、粒界結晶化が阻害されやす
く、所望の耐酸化性が得られなくなるためである。
【0017】一方、上記窒化珪素質焼結体からなる絶縁
性母材中に埋設される発熱体としては、WC、TaN、
Mo2 Cのうちのいずれかを主成分とするものであっ
て、さらにこの主成分に対して、分散物質として、窒化
珪素、窒化ホウ素および炭化珪素のうちの少なくとも1
種を含むものである。この分散物質は、発熱体主成分の
粒成長を制御するためのものであり、上記主成分100
重量部に対して窒化ホウ素は1〜5重量部、窒化珪素は
5〜20重量部、炭化珪素は3〜15重量部の割合で分
散させることが望ましい。つまり、この分散物質の量が
それぞれ上記範囲よりも少ないと、発熱体主成分が粒成
長し、窒化珪素母材との熱膨張差によりクラック等が発
生しやすくなり、上記範囲よりも多いと発熱体主成分が
島状に存在することとなり抵抗が増大する傾向にある。
【0018】また、上記の組成からなる発熱体の前記絶
縁性母材との接触界面には、主成分を構成する金属の珪
化物相、即ち、WSi2 、TaSi、MoSi2 等の珪
化物相が存在する。なお、この珪化物相は、図1のセラ
ミックヒータの断面図において、絶縁性母材1中に埋設
された発熱体2の最小厚みL1 よりも発熱体2と絶縁性
母材1との界面に形成される珪化物相3の最大厚みL2
が薄く、(L2 /L1)×100(%)が25%以下、
特に10%以下であることが重要である。珪化物相の厚
みL2 を上記のように限定するのは、発熱体の厚みL1
より25%を越えた厚みで存在すると、熱膨張差による
発熱体にクラックが生じるためである。
【0019】次に、本発明のセラミックヒータの具体的
な製造方法について説明する。まず、絶縁性母材を形成
する主原料として、窒化珪素粉末を用いる。窒化珪素粉
末はそれ自体α−Si3 4 、β−Si3 4 のいずれ
でも用いることができ、それらの平均粒径は0.1〜
1.2μmが好ましい。
【0020】次に、添加成分として、希土類元素酸化
物、酸化珪素粉末を用い、これらをボールミル等により
混合粉砕する。このようにして得られた混合粉末を公知
の成形方法、例えば、プレス成形、鋳込み成形、押出し
成形、ドクターブレード法、ロールコンパクション法な
どにより所望の形状に成形する。この時、成形体の組成
は、希土類元素量および前記不純物的酸素量が先の条件
を満足するような組成に制御することが必要である。
【0021】次に、得られた絶縁性母材成形体の表面
に、平均粒径が0.1〜10μmの発熱体主成分の微粉
末と、窒化珪素、窒化ホウ素および炭化珪素のうちの少
なくとも1種を上記主成分100重量部に対して窒化ホ
ウ素1〜5重量部、窒化珪素5〜20重量部または炭化
珪素3〜15重量部の割合で含む発熱体ペーストを所定
の発熱体パターンに印刷する。そして、印刷された発熱
パターンの表面に絶縁性母材成形体を積層するか、また
は発熱体パターンが形成されたシート状成形体自体を巻
くか、あるいは絶縁性の棒体に巻き付けてヒータ成形体
を作製する。
【0022】そして、そのヒータ成形体を、常圧焼成、
ホットプレス焼成、窒素ガス加圧焼成等の公知の焼成方
法によって焼成する。特に、窒素ガス圧力焼成によって
焼成のが望ましく、さらには、上記の焼成方法の後に熱
間静水圧焼成を行うことによりさらに緻密な焼結体を得
る。この時の焼成温度は、高温すぎると助剤の偏析、も
しくは発熱体の化学反応による抵抗の上昇を招くため、
1900℃以下、特に、1800〜1900℃の窒素ガ
ス含有非酸化性雰囲気で3〜20時間程度焼成すること
が望ましい。
【0023】発熱体の絶縁性母材との界面における珪化
物相の生成は、焼成温度と焼成時の窒素圧力に依存する
ところが大きく、各焼成温度での圧力を調整することが
必要となる。具体的には、成形体の開気孔を消滅させる
ことを目的とする焼成温度1700〜1800℃の一次
保持領域で1.5〜9気圧の窒素圧力中で焼成した後、
閉気孔を消滅させる目的とする1800℃以上の二次保
持領域では10気圧以上の窒素圧力を印加して焼成す
る。上記の一次保持および二次保持において窒素圧力が
上記の範囲よりも低いと発熱体の珪化が進行してしま
い、逆に一次保持において上記範囲よりも高いと緻密化
が阻害されてしまう。
【0024】
【実施例】
実施例1 窒化珪素粉末(BET比表面積9m2 /g、α率99
%、酸素量1.0重量%)と各種の希土類元素酸化物粉
末と酸化珪素粉末を用いて、表1、2に示す組成になる
ように調合後、ドクターブレード法にて絶縁性母材用の
テープを成形した。作製したテープ成形体に表1、2の
ペーストを印刷した後、前記絶縁性母材と同一組成の棒
状の成形体ロッドに巻き付け棒状のヒータ成形体(R)
とした。
【0025】また、一部の試料については、上記の調合
物を用いてドクターブレード法にてテープ状に成形し
た。作製したテープ成形体に所定の発熱体ペーストを印
刷した後、同一組成のテープを積層し平板状のヒータ成
形体(T)を作製した。
【0026】これらの成形体を炭化珪素質の匣鉢に入れ
て、組成変動を少なくするために雰囲気中に絶縁性母材
と同一組成の粉体を成形体の周囲に配置して、1750
℃で5気圧で焼成した後、さらに表1、2の条件で焼成
した。また、特性評価用として前記絶縁性母材と同一組
成の評価用焼結体も作製した。なお、これら絶縁性母材
中のAl、Mg、Caの合計量は1000ppm以下で
あった。
【0027】得られた評価用焼結体についてJIS−R
1601にて指定されている抗折試験片形状まで研磨し
てJIS−R1601に基づく室温および1400℃で
の4点曲げ抗折強度試験を実施した。
【0028】一方、得られたセラミックヒータに対し
て、断面から発熱体の最小厚みに対して珪化物相の厚み
の比率を算出した。また、200〜300℃の溶融ハン
ダに投入して保持温度との温度差を耐熱衝撃温度として
評価した。さらに、得られた各セラミックヒータについ
て、ヒータの室温(25℃)における初期抵抗を測定
し、また直流電流を流して1500℃に加熱した状態で
100時間後の抵抗変化率(初期抵抗に対する抵抗増加
率)を算出した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1および表2の結果によれば、絶縁性母
材を構成する窒化珪素質焼結体の粒界相における主結晶
相がYAM相の試料No.5では抵抗の変化率が大きく、
メリライト相の試料No.8では、初期抵抗変化が大き
く、また100時間経過後では磁器にクラックが生じ、
まったく測定することができなかった。
【0032】また、粒界相がダイシリケート相を主結晶
相とする場合においても、母材との界面に形成された珪
化物相の厚みが発熱体厚みよりも25%を越えて厚い試
料No.3、4でも抵抗変化が大きいものであった。
【0033】さらに、発熱体をTiC、WSi2 、Ti
Nを主成分として形成した試料No.20〜22では、い
ずれも初期抵抗が高く、しかも抵抗変化率も大きく、特
にTiC、TiN系では昇温時の断線のために全く測定
することができなかった。
【0034】これに対して、本発明のセラミックヒータ
は、いずれも初期抵抗が1.8A以下と優れ、しかも1
00時間後の変化率も5%以下と耐久性に優れたもので
あった。また、抗折強度も室温強度700MPa以上、
1400℃強度500MPa以上と優れたものであっ
た。
【0035】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のセラミック
ヒータは、初期抵抗が低く、しかも耐熱性および耐酸化
性に優れることから、1500℃の高温で長時間加熱し
ても抵抗変化が小さく、優れた耐久性を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータを説明するための断
面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性母材 2 発熱体 3 珪化物相

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素質焼結体からなる絶縁性母材中に
    発熱体を埋設してなるセラミックヒータにおいて、前記
    窒化珪素質焼結体が、窒化珪素主相と、希土類元素、酸
    素および珪素を含み、ダイシリケート相を主結晶とする
    粒界相により構成され、前記発熱体が、WC、TaN、
    Mo2 Cのうちのいずれかを主成分とし、添加物として
    窒化珪素、窒化ホウ素および炭化珪素のうちの少なくと
    も1種を含み、且つ該発熱体の前記絶縁性母材との界面
    に前記発熱体主成分を構成する金属の珪化物相が前記発
    熱体の最小厚みの25%以下の厚みで存在することを特
    徴とするセラミックヒータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5997998A (en) * 1998-03-31 1999-12-07 Tdk Corporation Resistance element
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