JP3002497B2 - 精製顔料の製造方法 - Google Patents

精製顔料の製造方法

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JP3002497B2
JP3002497B2 JP2092278A JP9227890A JP3002497B2 JP 3002497 B2 JP3002497 B2 JP 3002497B2 JP 2092278 A JP2092278 A JP 2092278A JP 9227890 A JP9227890 A JP 9227890A JP 3002497 B2 JP3002497 B2 JP 3002497B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、酸性または塩基性のみの顔料粒子を得るこ
とができ、反対極性の微粒子や電解質イオンなどが除去
ないしは低減され、かつ、スラリー状態でハードケーキ
にならず、乾燥しても二次凝集が少ない精製された顔料
の製造方法に関する。
また、本発明は、高度に分級された精製顔料の製造方
法に関する。
本発明によれば、凝集剤を用いることなく、顔料粒子
の水分散液から顔料を沈降・濃縮し、回収することがで
きる。また、本発明の方法によれば、顔料粒子の凝集を
解きほぐすための機械的な分散処理が不要ないしは軽減
されるため、顔料粒子の極性、形状、粒径、電気的・磁
気的特性等の特徴を損なうことがない精製顔料が提供さ
れる。
本発明の精製顔料は、セラミック、製紙、塗料、ゴ
ム、プラスチック、医薬品、化粧品など広範な産業分野
で使用することができる。
〔従来の技術〕
着色力や隠蔽力などの顔料の機能は、その粒度および
粒度分布に支配されるので、その製造方法においては、
特に、粉砕操作と分級操作が重要である。
ところで、湿式粉砕または乾式粉砕などの機械的粉砕
では、顔料の粒径が数μm以下になると、粉砕による粒
子の細分化と粒子の凝集現象とが競合し、いわゆるサブ
ミクロン粒子を一次粒子として得ることが困難である。
また、顔料の分級方法には、大別して媒体が水である
水簸方法と、媒体が空気である風簸方法があるが、従来
の方法では、数μm以下の微小粒子の凝集現象のため、
微小粒子の領域を効果的に分級することが困難である。
さらに、通常の水簸による顔料の分級においては、解
膠剤を添加して顔料を解膠させた水分散液を用い、顔料
分子の粒度による沈降速度の差を利用して、一定時間静
置後の所定範囲の高さの水分散液を採取し、これに硫
酸、塩酸、燐酸、塩素ガス等の凝集剤を添加して、顔料
を凝集・沈降させて回収している。
ところが、このような凝集剤や解膠剤の使用により、
顔料粒子中には、洗浄によっても各種の電解質イオンが
残存し、顔料の電気的特性などを損なう。また、従来の
顔料製造工程では、電解質イオンの混入は避けられな
い。そして、凝集剤を添加して凝集させた顔料スラリー
は、再分散が困難なハードケーキ状となり易い。しか
も、電解質イオンを含有する顔料を、例えば、塗料に配
合すると、塗装した金属に腐食や錆、塗膜の劣化などの
悪影響を及ぼす。
また、顔料粒子は、通常、乾燥した粉体として製造販
売されているが、顔料粒子は凝集しているため、使用に
際し、サンドグラインドミルなどの分散機で再分散され
ている。ところが、分散機の使用により、顔料粒子が必
要以上に粉砕されて、板状や針状などの形状に特徴を有
する顔料の場合、その特徴が損なわれるという問題があ
り、しかもエネルギー的にも不経済である。
一方、顔料の分級について説明すると、水簸方法また
は風簸方法によって、いわゆる粗大粒子の分級は適正に
実施されるが、粒径数μm以下の微粒子の領域について
は分級が困難であり、未だ適正な分級方法は提案されて
いない。
この微粒子領域は、顔料粒子全体における重量分率で
見るとごく僅かではあるが、粒子数の分率で見ると極め
て大きく、顔料の物性に大きな影響を与えている。
この微粒子領域について、通常無視されているのは、
従来、数μm以下の微粒子および数nm以下の分子、原
子、イオンにいたる超微粒子の分級が事実上できないも
のと見なされているからである。
ところで、国際土壌学会で、岩石が風化され小さくな
る過程は、礫を経て2nm以下を粗砂、0.2mm以下を細砂、
0.02mm以下をシルト、0.002mm(2μm)以下は全てが
「粘土」と定義されており、2μmからその1万分の1
以下(2nm以下)の分子、原子、イオンの粒子径に至る
広範な領域が細分類化されずに空白のままとなってい
る。このように、2μm以下に分類表現が無いのは、こ
れ以下の分級が困難なためであり、2μm以下の顔料微
粒子を分級する試みは、事実上未着手の分野といえる。
また、実際の工業現場の水簸による分級操作における
顔料粒子の回収は、リン酸、硫酸、塩酸、塩素ガス等の
酸性物質あるいは高分子電解質等の凝集剤を使用する方
法によって行なわれている。かかる現状では、これらの
イオン化する化学物質が顔料粒子中に不純物として混
入、残存することはやむを得ないものとされている。
以上説明したとおり、従来の顔料の製造方法によれ
ば、ハードケーキとならない顔料粒子の濃縮液、あるい
は再分散容易な乾燥顔料粒子を得る有効な手段がなかっ
た。
また、微量粒子の領域を分級する有効な手段がないた
め、顔料の物性改質を行なうことが極めて困難であっ
た。
しかも、電解質イオンの混入が避けられないため、二
次凝集の発生や電気的特性の低下などを防ぐことができ
なかった。
さらに、従来の凝集剤を用いて回収する方法では、顔
料粒子と反対の極性に帯電している各種微粒子も一緒に
沈殿するため、これらの不純物微粒子の混入は避けられ
なかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、凝集剤を使用することなく、回収ま
たは濃縮可能で、かつ、電解質イオンが除去ないしは低
減された精製顔料の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、スラリー状態でハードケーキ
とならず、しかも乾燥しても二次凝集が少ない精製顔料
の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、顔料粒子の質的特性として
の酸性および塩基性を明確にし、高度に分級した精製顔
料、特に、数μm以下の微粒子領域でも分級可能な精製
顔料の製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記従来技術の有する問題点を解決する
ために鋭意研究した結果、顔料粒子の水分散液をH型カ
チオン交換樹脂またはOH型アニオン交換樹脂と接触せし
め、対イオンをイオン交換することにより、該水分散液
のpHを低下または上昇させて顔料粒子の分散安定性を破
壊して、顔料粒子を沈降させ、分離することにより、電
解質イオンや水分散液中に不純物として含まれる反対極
性の微粒子が除去ないしは低減され、しかもスラリー状
態でハードケーキとならず、乾燥しても二次凝集の少な
い精製顔料の得られることを見出した。(以下、この方
法を顔料粒子の分散安定性を破壊するイオン交換処理と
いう。) また、本発明者は、顔料粒子の水分散液を調製する水
および/または顔料粒子の水分散液を、(a)顔料粒子
が酸性粒子である場合には、OH型アニオン交換樹脂と接
触させて、水中のアニオンをOH-と交換せしめてpHを上
昇させ、(b)顔料粒子が塩基性粒子である場合には、
H型カチオン交換樹脂と接触させ、水中のカチオンをH+
と交換してpHを低下させることにより、顔料粒子を高度
に解膠した水分散液の得られることを見出した。(以
下、この方法を顔料粒子を解膠するイオン交換処理とい
う。) そして、このように顔料粒子を解膠するイオン交換処
理を行なって得た顔料粒子の水分散液を用い、前記の操
作、すなわち、顔料粒子の分散安定性を破壊するイオン
交換処理を行なうと、電解質イオンが一層効果的に除去
された精製顔料の得られることを見出した。
さらに、顔料粒子を解膠するイオン交換処理を行なっ
て得た顔料粒子の水分散液を用いて、沈降速度の差を利
用して分級操作を行ない、採取(分取)した水分散液を
前記の操作、すなわち、顔料粒子の分散安定性を破壊す
るイオン交換処理を行なうと、微小粒子の領域までもが
高度に分級された精製顔料の得られることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、顔料粒子の水分散液を、
(a)顔料粒子が酸性粒子であって、その対イオンがカ
チオンである場合には、H型カチオン交換樹脂と接触せ
しめ、対イオンをH+イオンとイオン交換して該水分散液
のpHを低下させ、あるいは(b)顔料粒子が塩基性粒子
であって、その対イオンがアニオンである場合には、OH
型アニオン交換樹脂と接触せしめ、対イオンをOH-イオ
ンとイオン交換して、該水分散液のpHを上昇させること
により、顔料粒子の分散安定性を破壊し、水分散液中に
不純物として含まれる反対極性の微粒子を残して、顔料
粒子を沈降させ、分離することを特徴とする精製顔料の
製造方法が提供される。
また、本発明によれば、顔料粒子の水分散液を調製す
る水として、(a)顔料粒子が酸性粒子である場合に
は、水をOH型アニオン交換樹脂と接触させ、水中のアニ
オンをOH-と交換せしめてpHを上昇させた水を、(b)
顔料粒子が塩基性粒子である場合には、水をH型カチオ
ン交換樹脂と接触させ、水中のカチオンをH+と交換して
pHを低下させた水を用いることにより、顔料粒子を解膠
状態とした水分散液を用い、次いで、この顔料粒子の分
散安定性を破壊するイオン交換処理を行なって、顔料粒
子を沈降させ、分離することを特徴とする精製顔料の製
造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、顔料粒子の水分散液につい
ても、上記顔料粒子を解膠するイオン交換処理を行な
い、次いで、得られた解膠状態の顔料粒子の分散安定性
を破壊するイオン交換処理を行なって、顔料粒子を沈降
させ、分離することを特徴とする精製顔料の製造方法が
提供される。この場合、顔料粒子を解膠するイオン交換
処理を行なった水を用いて得た水分散液を、さらに、顔
料粒子を解膠させるイオン交換処理を行なって、高度に
解膠させてもよい。
また、本発明によれば、顔料粒子を解膠するイオン交
換処理を行なって得た水分散液について、沈降速度の差
を利用して分級を行ない、次いで、顔料粒子の分散安定
性を破壊するイオン交換処理を行なうことにより、高度
に分級された精製顔料を製造する方法が提供される。
そして、本発明の製造方法によれば、乾燥状態、スラ
リーないしクリーム状の濃縮液として精製顔料が提供さ
れる。
以下、本発明について詳述する。
(定義) 本発明において、顔料とは、粒径20μm以下、好まし
くは2μm以下の粒子状のものであって、有機物または
無機物、あるいは天然物または合成物を問わず、かつ、
着色機能のみに限らず、各種の機能を有する粒子を包含
する。
また、顔料粒子を分散させる媒体となる水は、地下
水、河川水、雨水、水道水など、顔料の製造工程で使用
されている各種の水を含み、また、必要に応じてアルコ
ールなどの親水性有機溶媒を混合したものであってもよ
い。
(対イオンのイオン交換処理) 本発明の第1の方法は、顔料粒子の水分散液の安定化
(顔料粒子の分散安定化)に働いている対イオンと呼ば
れる、顔料粒子の表面電荷と反対電荷を有するイオンの
適性な制御手段の提供である。
本発明において、取り扱う顔料粒子を酸性粒子と塩基
性粒子のいずれかに大別する。顔料粒子は、水分散液中
において、酸性粒子の場合には対イオンとしてナトリウ
ムイオンなどのカチオンを、塩基性粒子の場合には対イ
オンとして塩素イオンなどのアニオンを、それぞれの粒
子表面に強く吸着しようとし、顔料粒子の表面電荷と対
イオンの層とで電気二重層を形成している。
したがって、顔料粒子の水分散液は、これらの対イオ
ンの存在により安定化されている。特に、解膠剤や分散
剤を添加した水分散液は、これらの添加剤に起因する対
イオンにより分散安定化または解膠されている。
解膠した場合に、顔料粒子は、これが酸性粒子(固体
酸)であるときは、マクロイオンである顔料粒子の回り
にNa+イオンなどのカチオンが対イオンとして吸着され
ている。このような対イオンの存在により、顔料粒子の
分散安定化が図られ、その粒径、形状等の特徴に応じ
て、独立して自由に沈降できるようになる。
従来、顔料粒子の水分散液から顔料粒子を回収する場
合、あるいは水簸により分級する場合、水分散液に電解
質である凝集剤を添加して凝集させていた。
本発明の方法では、顔料粒子が酸性粒子であり、対イ
オンがカチオンであって、この水分散液が例えばpH8〜1
3のアルカリ性の場合、H型カチオン交換樹脂で処理し
て、対イオンをH+イオンとイオン交換し、該水分散液の
pHを6以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは4以
下に低下させる。
この水分散液をH型カチオン交換樹脂により処理する
と、対イオンとH+とがイオン交換され、このH+がOH-
結合してH2Oとなって、水のイオン積〔H+〕・〔OH-〕=
10-14まで消滅する。その結果、対イオンであるNa+が除
去されるとともに、分散液のpHが低下し、顔料粒子の分
散安定性が破壊されて酸性の顔料粒子のみが沈降する。
顔料粒子が塩基性粒子(固体塩基)であるときは、分
散液中の顔料粒子の回りには、対イオンとしてCl-など
のアニオンが取り囲んだ状態となっている。
通常、pHが6以下となっているこの水分散液をOH型ア
ニオン交換樹脂で処理すると、対イオンがOH-イオンと
イオン交換される。その結果、電解質イオンであるCl-
などのアニオンが除去されるとともに、分散液のpHが8
以上、好ましくは9以上、さらに好ましくは10以上に上
昇し、顔料粒子の分散安定性が破壊されて塩基性の顔料
粒子のみが沈降する。
対イオンが除去されて沈降したこれらの顔料粒子は、
スラリー状態でハードケーキにならず、乾燥しても二次
凝集が抑制されている。
これらのイオン交換処理法によれば、凝集剤を添加し
ないため電解質の増加を引き起こさずに、pH調整を行な
うことができる。そして、驚くべきことに、対イオンを
イオン交換により除去すると、凝集剤を添加しなくて
も、顔料粒子が容易に沈降するのである。この理由は、
厳密には判明していないが、対イオンと逆に荷電してい
るイオンが数ppmないし数百ppm程度残存しており、これ
が顔料粒子の沈降に寄与しているものと推定される。
また、顔料粒子の反対極性に帯電している不純物の微
粒子は、沈降せずに残存する。そして、これらの残存イ
オンは、沈殿物を分離、濃縮することにより除去され
る。
(イオン交換処理による顔料粒子の解膠) 本発明の第2の方法は、イオン交換処理により顔料粒
子を解膠した水分散液を用いる方法である。
すなわち、使用する水および/または顔料粒子の水分
散液を、(a)顔料粒子が酸性粒子である場合には、該
水分散液をOH型アニオン交換樹脂と接触させ、水分散液
中のアニオンをOH-と交換せしめてpHを上昇させ(pH8〜
13程度)、(b)顔料粒子が塩基性粒子である場合に
は、該水分散液をH型カチオン交換樹脂と接触させ、水
分散液中のカチオンをH+と交換してpHを低下させる(pH
1〜6程度)ことにより、顔料粒子を高度に解膠した水
分散液が得られる。
イオン交換処理によりpHを調整した水を用いて得た解
膠した顔料粒子の水分散液を用いて、さらに上記イオン
交換処理を行なえば、顔料粒子中に含まれる顔料粒子と
同じ電荷のイオンをイオン交換することになり、一層高
度に解膠した顔料粒子の水分散液を得ることができる。
このようなイオン交換処理を行なうことにより、分散
した顔料粒子のお互いの干渉が小さくなり、解膠状態が
促進される。
そして、このようにイオン交換処理を行なって解膠し
た顔料粒子の水分散液を用い、前記の操作、すなわち、
顔料粒子の水分散液をH型カチオン交換樹脂またはOH型
アニオン交換樹脂と接触せしめ、対イオンをイオン交換
することにより、該水分散液のpHを低下または上昇させ
て顔料粒子の分散安定性を破壊し、顔料粒子を沈降・分
離させると、電解質イオンが一層効果的に除去された精
製顔料が得られる。
つまり、先ず、顔料粒子を解膠させるイオン交換処理
を行なうことにより、水分散液中の対イオンではないイ
オンを除去し、次いで、対イオンのイオン交換処理を行
なうことにより、対イオンを除去すれば、電解質イオン
がより効果的に除去される。
(分級) このように、顔料粒子を解膠させるイオン交換処理に
より、解膠剤や分散剤を添加することなく、顔料粒子を
効率よく解膠させ、顔料粒子が水分散液中において、自
由に沈降する状態とすることができる。そこで、顔料粒
子を解膠状態とした水分散液を顔料粒子の沈降速度の差
を利用して分級すれば、顔料粒子が高度に解膠されてい
るため、2μm以下の微小粒子の領域についても分級す
ることが可能となる。
ここで分級とは、顔料粒子の水分散液を所定時間静か
に放置して、自然沈降させ、所定の深さの上方液を分取
する分級の基本的操作でよい。いわゆるストークスの沈
降式にしたがって、所望の粒径を有する上方液の深さを
算出して、採取すればよい。なお、自然沈降の代わりに
遠心分離機を用いれば、分級操作を速やか行なうことが
できる。
顔料粒子の分級について、顔料の粒度との関係で詳細
に説明する。
例えば、顔料粒子の分級により、2μm〜600nmを主
成分とする顔料粒子を取り出すと、可視光の波長に一部
相当する600nm〜200nmの粒子が少ないために、透明性が
増し、独特の風合いを得ることができる。
顔料粒子中の600nm〜200nm領域を制御(減少または増
大)できれば、着色力が隠蔽力に密接に作用するため、
光沢、艶消し、風合いを制御できる。
シルト領域も、20μm以上の粗大粒子や2μm以下の
微細粒子を分級して除去すれば、通気性、呼吸性等の機
能の向上が期待できる。
こうして精密に分級された顔料粒子の焼物は、いわゆ
るニューセラミックとして有用である。
粒度の上限とともに下限も限定した、粒の揃った特徴
のある顔料は、これまでに無かった新しい機能素材とし
て期待できる。
(導電率) 本発明で得られた顔料粒子の沈降物は、再分散容易な
スラリーで、沈降物の間を水が自由に流動し、上方に澄
んだ水層が生じる。そこで、この特徴を利用し、媒体の
水の導電率、pHを精密に測定することができ、沈降物の
上の水の導電率を容易に100μS/cm以下とすることがで
きる。
水または分散液のイオン交換処理、さらには顔料粒子
の水分散液の安定性を破壊するイオン交換処理を十分に
行なうことにより、上方水の導電率を25μS/cm以下にす
ることができる。さらに、大気を遮断して実施すれば、
2μS/cm以下にすることができる。
このように、本発明の方法によれば、高純度の顔料が
得られる。
また、媒体の水を加熱するか、あるいは装置を減圧に
して、沸騰させながら顔料粒子を徐々に投入(フラッシ
ング)する技術を組み合わせれば、減滅菌され、気泡の
ない顔料の水分散液を得ることができ、本発明の効果を
一層高めることができる。
さらに、顔料粒子を沈降した上澄み液(上方水)は、
イオン交換処理の結果、電解質イオンが除去されている
ため、顔料粒子の水分散液を調製する水として再使用す
ることができる。したがって、クローズドシステムによ
り運転することが可能であり、排出液による汚染の問題
もなく、かつ、効率的な実施が可能である。
(イオン交換樹脂) イオン交換樹脂としては、H型カチオン交換樹脂また
はOH型アニオン交換樹脂を使用する。
これらのイオン交換樹脂は周知のものであり、市販の
ものを使用することができる。使用に際し、H型、OH型
に再生することが必要であるが、再生比率は特に限定さ
れない。ただし、定量的な操作を行なうためには、再生
条件をできるだけ同一条件に管理することが望ましい。
イオン交換樹脂の粒度はできるだけ大きく、粒が揃っ
ていることが好ましい。イオン交換処理塔の樹脂捕捉の
網目より大きな物を予め選択するならば、通常の市販品
のいずれもが使用できるので、イオン交換樹脂の粒度を
特に限定することは必要ではない。
本発明において、顔料粒子の水分散液とH型またはOH
型イオン交換樹脂との接触は、水分散液をイオン交換処
理塔やカラム装置に通過させる方法、あるいは水分散液
とイオン交換樹脂との単なる機械的な混合と攪拌、その
他任意の方法が採用できる。
(顔料粒子) 本発明で用いる顔料粒子は、特定のものに限定されな
いが、具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミ
ニウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、鉛な
どの金属の酸化物微粒子;マグネシウム、カルシウム、
ベリウム、鉛などの金属の炭酸塩微粒子;カオリナイ
ト、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイ
ト、イモゴライト、ゼオライト、セリサイト、バーミキ
ュライト、パーライト、雲母、タルク、ハイドロタルサ
イト、ハイドロタルサイト類化合物などの粘土鉱物微粒
子;フタロシアニン系、キナクドリン系、アゾ系、チオ
インジゴ系、アントラキノン系、ニトロ系、イソインド
リノン系などの有機顔料;シリカゲル、カーボンブラッ
クなどの微粒子;イオン交換樹脂の粉砕粒子;マイクロ
ゲルなどの有機粒子;などを挙げることができる。
本発明において、顔料粒子が酸性粒子であるとは、顔
料粒子を水分散液とした場合に、その粒子が負(−)に
帯電し、その負電荷を中和するために対イオンとして陽
イオンを吸着するものを意味する。
また、顔料粒子が塩基性粒子であるとは、顔料粒子を
水分散液とした場合に、その粒子が正(+)に帯電し、
その正電荷を中和するために対イオンとして陰イオンを
吸着するものを意味する。
典型的な酸性粒子としては、例えば、カオリナイト、
パイロフィライト、シリカ、金属酸化物などが、また、
典型的な塩基性粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸
鉛、タルク、ハイドロタルサイトなどを挙げることがで
きる。ただし、これらの顔料粒子は、表面処理されてい
ることが多く、例えば、非処理物が酸性粒子であっても
表面処理により塩基性とされているものは、塩基性粒子
として取り扱うことになる。使用する顔料粒子が酸性粒
子であるか、あるいは塩基性粒子であるかは、その水分
散液をH型カチオン交換樹脂による処理またはOH型アニ
オン交換樹脂による処理のいずれによって、解膠または
沈降するか否かで容易に判別できる。したがって、本発
明の製造方法を実施するに当たって、顔料粒子の性状が
不明確な場合には、少量の試料を用いて、予備的な実験
を行なえばよい。
本発明で使用する顔料粒子は、原鉱石を粉砕し、分級
して得た顔料またはその水分散液、顔料粒子を含有する
排水、合成された有機または無機粒子、市販の顔料な
ど、種々のものが使用できる。
精製および分級を効果的に行なうためには、顔料粒子
の水分散液の濃度は、5重量%以下、さらに好ましくは
3重量%以下と、希釈倍率を高くすることが望ましい。
また、顔料粒子の水分散液としては、解膠剤や分散剤
を含有するものを使用できる。ただし、顔料粒子を解膠
させるのに、顔料粒子と同じ極性に帯電しているイオン
をH型カチオン交換樹脂またはOH型アニオン交換樹脂で
イオン交換処理した水および/または水分散液を用いる
と、電解質イオンや不純物イオンがより一層除去され、
しかも高度に分級された精製顔料を得ることができる。
〔作 用〕
本発明の方法の第一の特徴は、顔料粒子の正負の帯電
と対イオンに着目した点にある。
対イオンをH型カチオン交換樹脂またはOH型アニオン
交換樹脂でイオン交換処理して、pHを変動させると、水
分散液の安定性が破壊されて、酸性顔料粒子のみ、また
は塩基性顔料粒子のみが容易に沈降する。しかも、得ら
れる顔料は、ハードケーキとならず、乾燥しても二次凝
集が少ない。
本発明の第二の特徴は、イオン交換処理の順序に着目
し、先ず、使用する水および/または水分散液中の対イ
オン以外のイオンをH型カチオン交換樹脂またはOH型ア
ニオン交換樹脂でイオン交換処理して、顔料粒子が解膠
され、自由な沈降状態となった水分散液を調製し、次い
で、該水分散液をそのまま、あるいは分級した後、対イ
オンをH型カチオン交換樹脂またはOH型アノン交換樹脂
でイオン交換処理して、pHを変動させ、顔料粒子の分散
安定性を破壊して、酸性または塩基性のみの顔料粒子を
沈降させる。かくして、電解質イオンや反対極性に帯電
している不純物微粒子が除去ないしは低減され、酸性ま
たは塩基性の極性がそろった精製顔料であって、ハード
ケーキとならず、二次凝集の少ない顔料を得ることがで
きる。特に、上記の方法により分級した場合には、2μ
m以下の微小粒子の領域まで高度に分級された精製顔料
を得ることができる。
本発明では、pH調整手段として、凝集剤の添加による
のではなく、酸性またはアルカリ性を示すアニオンまた
はカチオンをイオン交換処理により除去する方式を採用
したので、水分散液全体の電解質濃度が低減される。し
かも、電解質濃度を低減する条件下で、顔料粒子の解
膠、沈降・分離、あるいは高度の分級を行なうことがで
きる。
本発明の方法によれば、顔料粒子の表面のζ電位、粒
子の大きさ、粒子の比重によって決まる粒子の沈降速度
を精密に調整できる。また、イオン交換樹脂を用いて処
理するため、定量的な操作が可能である。
顔料粒子の正負の帯電状態や対イオンなどを無視し、
単純な脱イオン操作を行なっても、目的を達成すること
ができない。
例えば、顔料粒子を脱イオン水に分散させると、顔料
粒子が絡み合って沈降する。したがって、顔料粒子に付
着した電解質イオンを充分除去することができない。ま
た、顔料粒子が絡み合って沈降するため、分級すること
ができない。
また、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換
樹脂の両者を同時に併用すると、水分散液のpHはほぼ中
性となり、顔料粒子は沈降状態となる。したがって、顔
料粒子に付着した電解質イオンを充分除去するには長時
間の処理を必要とする。また、この方法では、顔料粒子
が沈降状態となるため、分級が困難である。さらに、両
者の混合比率を調節してpHを変動させる試みは、小規模
の実験では可変であっても、混合樹脂の再生とその混合
比率の維持が極めて困難であり、実用に供することがで
きない。
〔発明の効果〕
本発明によれば、電解質イオンおよび反対極性に帯電
した微粒子が除去ないしは低減され、スラリー状態でハ
ードケーキとならず、乾燥しても二次凝集が少なく、か
つ、再分散可能な酸性または塩基性のみの精製顔料が提
供される。
また、本発明によれば、粒径を細かく分級した精製顔
料を得ることができる。分級により、化学組成を変えず
に新しい機能を引き出し得る。
しかも、今まで未開発のサブミクロン領域にまで粒径
を制御することができるため、新しい素材の開発が期待
される。
本発明の方法は、無機鉱物に限らず、比重が1より大
きければ有機物にも適応できる。例えば、近年開発が進
められているマイクロゲルと呼ばれる造粒技術も、技術
の障壁は原料モノマーや触媒の除去・精製といった分級
にあり、本発明の方法は、これらの技術分野においても
適用できる。
また、本発明の製造方法により得られる精製顔料は、
乾燥粉体あるいはスラリーとして、製紙、塗料、ゴム、
プラスチック、医薬品、化粧品、蓄熱剤など広範な用途
に好適に使用できる。
〔実施例〕
以下に、実施例、比較例および参考例を挙げて本発明
について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
のみに限定されるものではない。
(カオリン) 以下に、実施例1〜4および比較例1〜4で用いた市
販のカオリンについて説明する。
市販品カオンリンには、種々の粒度分布のものがある
が、その代表的なもの(a〜d)を第1表に示す。第1
表の市販カオリン(ジョージア・カオリン社製)の粒度
分布は、カオリンの水分散液に解膠剤としてポリリン酸
ナトリウムを加え、超音波をあてて解膠を充分に促進
し、コールターカウンタ法により測定した値である。以
下の実施例および比較例における粒度分布の測定法も同
じである。
市販原料の品質を表わす指標の1つとして、一般に、
2μm以下の粒子の含有量が表示される。2μm以下の
粒子を85〜95重量%含有するものが高級品とされてお
り、第1表に示す商品aの場合の92重量%のカオリンは
高級品である。
また、商品aは、粒度200nm以下の微小領域を9重量
%含んでいる。重量分率は9重量%であっても、粒子の
数で考えると膨大な比率に相当し、顔料の物理特性に与
える影響を無視することはできない。しかし、従来この
200nm以下の微小領域の分級は不可能と見なされてい
た。
一方、商品dは、比較的安価なものであり、6μmを
超える大粒子が12重量%もあるのに、600nm以下の微粒
子も7重量%あり、粒度分布はかなり広い。このような
低級品は、ユーザーにおいて、分散工程でさらに粉砕し
て使用される。しかし、機械的な粉砕により、微小粒子
も増加するから、粒度分布の制御水準は低いままであ
る。
[実施例1] カオリンとして、第1表の商品bを20kg用い、PH10の
アルカリ(NaOH:解膠剤)水1tに、攪拌しながら徐々に
投入して、カオリン濃度2重量%の水分散液を調製し
た。水は、井戸水を用いた。この水分散液は、主として
Na+イオンが対イオンとなっており、沈降しない安定な
分散液であった。
この水分散液の1部をガラス管にとって静止して観察
すると、沈降界面が認められない自由沈降状態であり、
1か月放置しても沈降しない微粒子があることを確認し
た。これは遠心分離機を用いても回収は困難であった。
この沈降しない水分散液を採取し、住友化学(株)製
のH型カチオン交換樹脂(商品名デュオライトC20)を1
0添加し、pH値が4になるまでカチオン交換処理を行
なった。処理後、H型カチオン交換樹脂は濾別した。
イオン交換処理後の水分散液は、界面の認められない
自由な沈降状態から、沈降界面が認められる束縛沈降状
態になった。自然沈降3日で、上澄み液を除去し、20重
量%スラリー67kgに濃縮できた。1か月後、約40重量%
のソフトケーキになった。遠心分離機を用いてこの濃縮
を短時間で実施しても、同様にソフトケーキが得られ
た。上澄み液の導電率は、85μS/cmであった。
得られたソフトケーキは、その後1年間放置しても変
化することなく、クリーム状のままであり、ハードケー
キにはならなかった。
また、このソフトケーキは乾燥し易く、得られた乾燥
粒子は、再分散可能であった。しかも、顕微鏡で観察し
た結果、乾燥カオリン中には、原料カオリンと比較し
て、凝集した二次粒子の存在が非常に少ないことが分か
った。
以上の結果から、カオリンの水分散液に凝集剤を添加
することなく、対イオンをH型カチオン交換樹脂でイオ
ン交換処理することにより、カオリンをソフトケーキの
状態で回収できることが分かる。この実施例では、分級
していないので、得られたカオリンの粒度分布は第1表
に示すように原料の分布とほぼ同じであった。
この方法では、凝集剤として硫酸を使用する従来の硫
酸法に比べて、顔料中の電解質量が増大せず、かつ、対
イオンおよび反対極性に帯電した不純物微粒子も除去さ
れた精製顔料が得られる。
[比較例1] 実施例1と同様にして、第1表の商品bのカオリン20
kgを、pH10のアルカリ水1tに、攪拌しながら徐々に投入
して、カオリン濃度2重量%の水分散液を調製した。
常法にしたがって、凝集剤として硫酸を添加し、pH4
にしたところ、凝集状態となり、カオリンの沈降がはじ
まった。自然沈降3日で33重量%スラリー60kgに濃縮で
きたが、1か月後にはハードケーキとなり取扱不能にな
った。
そこで、濃縮4日目のスラリーをフィルタープレスで
脱水し、乾燥した顔料の粒度分布を第1表の比較例1に
示す。その結果、粒度分布は、もとの顔料と変わらない
ものであった。
[実施例2] 実施例1と同様にして、第1表の商品bのカオリン20
kgを、水槽中のpH10のアルカリ水1tに、攪拌しながら徐
々に投入して、カオリン濃度2重量%の水分散液を調製
した。
この水分散液中には、元もとカオリン中に含まれてい
る微量のCl-、あるいは凝集剤の硫酸に起因するSO4 --
どの各種アニオンが微量含有されている。
この水分散液に、住友化学(株)製のOH型アニオン交
換樹脂(商品名デュオライトA101)10を投入してアニ
オン交換処理すると、pH値が10.5に安定した。水分散液
中のアニオンがイオン交換樹脂に捕捉され、OH-が遊離
した結果、pH値が高くなったと考えられる。なお、処理
後、OH型アニオン交換樹脂は濾別した。
このアニオン交換処理により、水分散液中のカオリン
粒子の解膠が一層促進される。
得られた水分散液をそのまま自由な沈降状態に保持
し、ストークス径が0.6μmを超え2μm以下に相当す
る沈降距離の範囲の分散液を分離した。具体的には、液
温度を10〜13℃に維持し、10cm/10時間、すなわち100時
間静置後、正確に液面から9〜100cmの深さの範囲の分
散液を採取した。なお、時間短縮を図るために、この沈
降条件をデカンターと呼ばれる連続遠心分離機で行なう
ことができる。
採取した分散液を実施例1と同様に、H型カチオン交
換樹脂でpHが4になるまでカチオン交換処理を行ない、
カオリン粒子を沈降させた。その結果、沈降物が濃縮さ
れたソフトケーキ(スラリー)が得られた。このソフト
ケーキに含まれるカオリンの粒度分布は、第1表に示す
とおりであり、微粒子部分の著しい減少が認められた
(特に、後記の比較例2と対比)。上澄み液の導電率
は、37μS/cmであった。
スラリーは、1年間放置しても全く固くならず、ま
た、乾燥しても粒子の凝集が認められなかった。
乾燥した粒子の電子顕微鏡の観察からは、第1表に示
す6μmを超えるの領域は全く見られないし、2〜6μ
mの領域および200〜600nmの領域も少ないことが確かめ
られた。
このスラリーは、チキソトロピー性にすぐれ、貯蔵と
ポンプ輸送が可能で極めて取扱易いものであった。凍結
実験を行なったところ、過冷却にならず、純水とほぼ同
じ0℃で凍結し、また、噴霧乾燥で容易に微粉末になっ
た。通常の風乾燥でも乾燥し易く、容易に粉末になっ
た。これらの乾燥粉末は、水に容易に分散し元の安定な
スラリーにもどった。水のみならず、親水性溶媒や疏水
性溶媒など、各種溶剤にフラッシング法で溶媒置換して
も、従来製法のスラリーと異なって、凝集のない良好な
分散液が得られた。
なお、ストークス径2μmを超えるの沈降距離に相当
する、スラリーおよび沈降残渣は、次の解膠操作で投入
する原料として利用した。最終的には沈降物残渣をボー
ルミルで粉砕処理して利用し、全てが解膠するようにし
たので、原料の全てをストークス径2μm以下のソフト
ケーキの顔料にできた。
[比較例2] 実施例1と同様にして、第1表の商品bのカオリン20
kgを、水槽中のpH10のアルカリ水1tに、攪拌しながら徐
々に投入して、カオリン濃度2重量%の水分散液を調製
した。
自由な沈降状態の水分散液から、実施例2と同様にし
て、ストークス径が0.6μmを超え2μm以下に相当す
る沈降距離の範囲の分散液を採取した。
この採取した分散液に、常法にしたがって凝集剤とし
て硫酸を添加し、pH4にまで低下させたところ、カオリ
ン粒子が沈降し、濃縮したスラリーが得られた。
濃縮スラリーをフィルタープレスで脱水し、風乾して
粉体顔料を得た。
得られた乾燥カオリンの粒度分布を第1表の比較例2
に示す。期せずにして市販の商品aとほぼ一致してい
た。沈降速度の差異で分級すれば、粒子の上限を制御で
き、2μmを超えるものは7重量%と少なくなったが、
200nm以下の微小粒子が相対的に多くなっている。しか
し、電子顕微鏡で観察すると、カオリン粒子の凝集が多
く見られ、微小粒子の一次粒子は存在しなかった。粒径
の下限は電解質(硫酸)を添加したため、制御できてい
ない。
また、実施例2と対比すると、600〜200nmの領域が増
大している。
[比較例3] 第1表の商品bのカオリン20kgを、攪拌中の脱イオン
水(導電率1μS/cm)1tに徐々に投入し、カオリン2重
量%水分散液を調製した。
水分散液のpHは5.5で、攪拌を停止すると間もなく沈
降が始まり、沈降界面が見られた。大粒子も小粒子も絡
み合って凝集して沈降するので、分級することができな
かった。
脱イオン水による一応の洗浄効果はあるが、上澄み液
の導電率は徐々に増大し、導電率50μS/cm以下にするこ
とは極めて困難であった。このことは、凝集した粒子の
脱イオン洗浄が充分にできないままであることを示して
いる。
したがって、脱イオン水で顔料を洗浄しても、顔料の
性能改善につながらない。
[比較例4] 実施例1と同様にして、第2表の商品bのカオリン20
kgを、水槽中のpH10のアルカリ水1tに、攪拌しながら徐
々に投入して、カオリン濃度2重量%の水分散液を調製
した。
脱イオンを行なうために、H型カチオン交換樹脂10
と、OH型アニオン交換樹脂10とを共に投入し攪拌し
た。水分散液のpHは5.5から6.7とほぼ中性にまで低下
し、一見、脱イオンが完了したように見えた。
しかし、水分散液は、カオリン粒子の沈降が始まるた
め、分級操作を行なうことは困難である。また、脱イオ
ンされた状態であるため、pHの緩衝能力は極めて小さい
ので、処理ごとにpH値がばらつき、濃縮操作などの再現
性に乏しい。さらに、両イオン交換樹脂が存在している
ときの導電率は50μS/cm程度に到達するものの、両イオ
ン交換樹脂を除去し放置するうちに、導電率は徐々に増
加するため、導電率50μS/cm以下にするには、かなりの
長時間処理を必要とし、多大の費用を要する。
以上のことから、H型カチオン交換樹脂およびOH型ア
ニオン交換樹脂の混合使用は、操作の再現性に乏しく、
分級が困難で、また、高純度の顔料を得ることが実際上
困難であることが分かる。
[実施例3] 井戸水をOH型アニオン交換樹脂で処理し、pH11のアル
カリ水を得た。このアルカリ水をイオンクロマトグラフ
ィーで分析すると、塩化物イオン、硫酸イオンは、それ
ぞれ2ppmおよび3ppmと微量であった。
商品bのカオリン20kgを、上記pH11のアルカリ水に攪
拌しながら徐々に投入し、カオリンの2重量%水分散液
を調製した。この水分散液は、pH10.3であり、分散安定
性に優れた分散液であった。
得られた水分散液をそのまま自由に沈降状態に保持
し、実施例2と同様にして、ストークス径が0.6μmを
超え2μm以下に相当する沈降距離の範囲の分散液を採
取した。
次いで、住友化学社製のH型カチオン交換樹脂(商品
名デュオライトC20)を10用いて、pH値が4になるま
でカチオン交換処理を行なった。処理液はカオリン粒子
の自由な沈降状態から沈降界面が認められる束縛沈降状
態になり、自然沈降3日で20重量%に濃縮できた。上澄
み液の導電率は13μS/cmとなり、効果的に脱イオンが行
なわれていることが分かった。
この顔料スラリーは、脱水し容易に乾燥でき、粉末顔
料で15kgが得られた。この顔料の粒度分布を第1表に示
す。
粒径2μm〜600nmの領域を中心とする極めて鋭い粒
度分布を示した。電子顕微鏡で観察したところ、凝集が
著しく少ないことが観察された。
[実施例4] 井戸水をOH型アニオン交換樹脂で処理し、pH11のアル
カリ水を得た。
商品dのカオリン20kgを、上記pH11のアルカリ水に攪
拌しながら徐々に投入し、カオリンの2重量%水分散液
を調製した。この水分散液は、pH9.9であり、カオリン
が解膠された分散安定性に優れた分散液であった。
得られた水分散液をそのまま自由な沈降状態に100時
間保持し、ストークス径が2μmに相当する沈降距離の
上方液を廃棄し、2μmを超え6μm以下に相当する部
分を採取した。
採取した水分散液をH型カチオン交換樹脂で処理し、
pH値を4.5にまで低下させた。カオリン粒子の束縛沈降
が開始した。実施例3と同様に処理し、粉末顔料16kgを
得た。
この粒度分布を第1表に示す。粒径2〜6μmの領域
を中心とする極めて鋭い粒度分布を示した。電子顕微鏡
で観察したところ凝集が著しく少なく、殆どが粒径5μ
mの揃った粒子であった。
以上の実施例1〜4および比較例1〜2で得られたカ
オリンの粒度分布、および市販のカオリンの粒度分布を
一括して第1表に示す。
[実施例5] 本発明の方法を天然産出の鉱石を粉砕する顔料の製造
工程に適用した場合について示す。
蝋石を粉砕し、水簸・分級し、脱水、乾燥、粉砕し
て、白色粉体のクレーが製造される。
白色度を向上させるためと、水簸後の沈殿促進のため
塩素ガスが使用される。この塩素ガスがクレー中に残留
しないように、洗浄されるものの充分ではない。このた
め、塩素ガスで漂白処理したクレーは、金属と接触させ
ると腐食を引き起こし、クレーそのものが腐食性とみら
れていた。
漂白を必要としない場合は、塩素ガス注入前の懸濁液
(水分散液)を、実施例1と同様にして、H型カチオン
交換樹脂によりカチオン交換処理を実施し、pHを4に調
製できた。そして、クレー粒子の沈殿を促進することが
でき、また、得られた濃縮スラリーはソフトケーキであ
った。
この方法は、処理反応途中で中断しても構わないし、
処理時間が過剰になっても、塩素ガスのような危険はな
く、工程の管理が安全にかつ容易に実行できる。
漂白を必要とする場合は、塩素ガス漂白済の製品クレ
ー3重量%懸濁液をOH型アニオン交換樹脂でアニオン交
換処理し、pHを11.9にした。クレー粒子は解膠され、懸
濁液は、沈降界面の認められない自由な沈降状態になっ
た。得られた水分散液をそのまま自由な沈降状態に保持
し、ストークス径が2μmに相当する沈降距離の上方液
を採取した。採取した分散液をH型カチオン交換樹脂で
pHが4になるまでカチオン交換処理を行ない、クレー粒
子を沈降させた。その結果、沈降物が濃縮されたソフト
ケーキが得られた。
上澄み液の導電率は、43μS/cmであり、金属の腐食に
悪影響を及ぼす塩素イオン成分を除去できた。
[実施例6] 蝋石鉱山の選鉱場から、粘度を含む膨大な排水が発生
する。ところが、ストークス径2μm以下の粘土領域の
粒子の自由な沈降状態での沈降速度は、約1cm/時間と小
さい。従来の排水処理法では、シックナーと呼ばれる凝
集剤を添加して沈降せしめ、沈殿物をフィルタープレス
で脱水し、回収していた。このような凝集処理して得ら
れる粘土は、脱水し易いものであるが、破棄するか、あ
るいは瓦や煉瓦用にしか利用できないものであった。
固形分濃度5重量%の上記排水300トンをOH型アニオ
ン交換樹脂と接触させて、pHが10.5となるまでアニオン
交換処理を行なった。粘度粒子は解膠が促進された。自
由な沈降状態で10時間保持した後、液面から深さ40cmの
上方液を採取した。採取した水分散液をH型カチオン交
換樹脂と接触させて、pH4となるまでカチオン交換処理
を行なった。
沈降させて回収したところ、偏平構造の発達したセリ
サイト質の粘土1.5tが得られた。これは、凝集原因のア
ニオンが除去されたため、解膠が促進された結果であ
る。
次に、残余の水分散液の液面から深さ90cmまでの上方
液を採取し、同様にH型カチオン交換樹脂による処理を
行なって、粒径6μm以下の良好なカオリン質の粘土7.
0tを得た。これらの操作を行なった残渣は、粘土質を含
まないため、粘性が少なく取り扱い易い特徴が見られ
た。
さらに大きな利点は、用水(上澄み液)を循環して再
使用できるため、河川への放流が無く、新規の採水が少
なくてすみ、雨水でも間にあうことである。また、選鉱
場の立地を従来の谷間から鉱山そのものに設定できる。
鉱石の採掘現場で洗浄し、洗浄排水をその場で分級・濃
縮できるように、遠心分離機を組み込んだ装置が便利で
ある。
また、本発明の方法は、蝋石鉱山に限らず、粘土の排
出が起こる天然資源の鉱山一般に、さらに膨大な産業排
水にも応用できる。
[実施例7] マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、
鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛等の金属酸化
物、水酸化物からなる顔料に共通する応用例として、べ
んがら色の酸化鉄顔料の製造方法について例示する。
べんがらの色調は、橙黄色から紫色にわたり、粒子の
大きさに左右される。粒径0.1〜0.2μmのものは黄色
で、大きくなるにしたがって赤色を増し、0.5〜1.0μm
になると紫色になる。一次粒子の大きさだけでなく凝集
した二次粒子の大きさも色調に影響する。0.1μmより
小さくなると可視光線の波長の1/4から1/6となって隠蔽
力を失い、透明な酸化鉄になる。
合成条件よりも、通常、水洗・乾燥・粉砕などの後工
程が重要である。脱イオン洗浄することは既に試みられ
ているが、コストに対して得られる改善の効果は少な
い。
本発明方法で市販の紫べんがら10kgを処理した。使用
する水として、H型カチオン交換樹脂を用いて、pHを3.
5に調整した酸性水を用い、これに紫べんがら10kgを分
散せしめ、2重量%濃度の水分散液を得た。
この水分散液を、さらにH型カチオン交換樹脂で処理
してpHを3.2にし、水分散液中に含まれるカチオンを充
分に除去するとともに、べんがら粒子の解膠を促進させ
た。紫べんがら粒子は解膠され、凝集粒子が殆ど無くな
り、沈降界面が認められない自由な沈降状態となった。
ストークス径で設計した粒径により、上記水分散液を
分級し、しかる後、採取した水分散液をそれぞれOH型ア
ニオン交換樹脂で処理してpHを10とし、べんがら粒子を
沈降・濃縮し、回収した。
分級した結果、鮮やかな紫べんがら顔料9.1kg、黄色
および赤色べんがら各約0.6kgが得られた。
[実施例8] 炭酸カルシウムや炭酸鉛等の炭酸塩、ハイドロタルサ
イト等の塩基性の顔料は、酸性の顔料とは異なり、酸性
にすると解膠し安定な懸濁液となる。
塩基性の顔料は、ナトリウムが残存し、水洗ではナト
リウムを充分に除去し難い。また、凝集体が多いため、
塗料、プラスチック、ゴムなどに混合練使用するには、
特殊な機械装置、ないしは特殊な分散剤がなければでき
ないのが現状である。
塩基性粒子の例として、炭酸カルシウム微粒子につい
て述べる。
市販の重質炭酸カルシウム20kgを、井戸水1tに、撹拌
しながら投入して水分散液を調製した。
先ず、正に帯電している炭酸カルシウムと同じ符号の
カチオンを除去するため、H型カチオン交換樹脂10を
用いてカチオン交換処理し、次いで、炭酸ガスを吹き込
んで、pHを4まで低下せしめると、懸濁液は自由な沈降
状態に安定化した。
沈降界面の認められない自由な沈降状態に保持したま
ま、粒子の沈降速度の差を利用し、ストークス径2μm
相当の上方の懸濁液を採取した。採取した懸濁液をOH型
アニオン交換樹脂で処理し、懸濁液中の炭酸イオンを吸
着してpHを10以上にまで高める処理を行なったところ、
自由な沈降状態から、沈降界面の認められる束縛沈降状
態になった。自然沈降により炭酸カルシウム粒子を濃縮
し、回収した。濃縮したスラリーは、ハードケーキとは
ならず、また、乾燥した粒子を顕微鏡で観察したとこ
ろ、凝集粒子の少ないことが確認できた。
[実施例9] 塩基性粒子であるハイドロタルサイトの分級について
述べる。
炭酸ソーダ水溶液に、水酸化アルミニウム、および水
酸化マグネシウムを溶かし、炭酸ガスを注入しながら、
80℃に加温して、ハイドロタルサイトを析出させた。
析出した粒子を分離し、水洗し、乾燥した後、粉砕し
た。水洗の水の純度を高めても、10μmにおよぶ凝集体
が多く、1μm以下の本来の一次粒子を取り出すことが
できなかった。
そこで、析出したハイドロタルサイトを常法により濾
過分離し、水洗して濃度20重量%のスラリーを得、この
100kgを、水1tに、撹拌しながら投入して水分散液を調
製した。
先ず、ハイドロタルサイトと同じ符号のカチオンを除
去するため、H型カチオン交換樹脂10を投入してカチ
オン交換処理を行ない、合成母液からのナトリウムイオ
ン、マグネシウムイオン、およびアルミニウムイオンな
どカチオンをH+に交換してpH4.6を酸性にすると、自由
な沈降状態となった。H型カチオン交換樹脂は濾別し
た。
自由な沈降状態で、粒子の沈降速度の差を利用し、所
定の沈降速度に応じ分級した。すなわち、ストークス径
2μm相当の沈降速度の上方の懸濁液を採取し、OH型ア
ニオン交換樹脂で、懸濁液中の炭酸イオン等のアニオン
をOH-に交換してpHを8.6以上にまで高める処理すると、
自由沈降状態から束縛沈降状態になり、自然沈降でハイ
ドロタルサイト粒子を濃縮し、回収できた。
得られた濃縮スラリーは、ソフトケーキであり、ま
た、乾燥した粒子を電子顕微鏡で観察したところ、凝集
粒子の少ないことが確認された。
乾燥粒子は、特別の分散機械を必要とせず、簡単な攪
拌機で塗料用樹脂液に分散し、容易に防食塗料ができ
た。
[参考例1] 本発明の製造方法により得られた精製顔料の塗料への
応用について述べる。
(1) 塗料用樹脂への混合、分散 亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタンの白色顔料;鉛
丹、黄鉛、カドミウムイエローの黄色顔料;群青の青
色、べんがらの赤色顔料を購入し、本発明の方法、すな
わち、顔料粒子を解膠させるイオン交換処理、分級、お
よび対イオンをイオン交換するイオン交換処理を順次行
なうことにより、6μm以上の顔料と凝集体、0.2μm
以下の微粒子、および電解質を除去した。
本発明の方法で得られた顔料は、いずれも市販されて
いる工作用の塗料用樹脂ワニスに簡単な攪拌道具で混和
分散し、均一滑らかな各種塗料が容易にできた。これに
対して、未処理の市販顔料は、不均一のままであり、充
分な混和分散しなかった。
本発明の方法で得られた乾燥顔料は、ボイル油に容易
に混和分散するため、各種の色彩に応じうる油絵の具が
できる。いずれの顔料も粒度分布が鋭いため、未処理品
の場合と比較し色調が鮮やかな特徴を発揮した。
(2)水性塗料 本発明の方法で得られた精製顔料は、市販の水性アク
リルエマルジョンに、濃縮スラリーのままで容易に混和
した。
桐油、あまに油、合成油等の乾性油からなる市販の水
性のクリヤー塗料に、各種精製顔料を混合配合して得た
塗料は、刷毛塗り、流し塗り等何れにも適し、特に、チ
キソトロピー性に優れているため、作業が円滑であっ
た。粗大粒子が除去されているから、塗装面にブツ、ハ
ジキ、ヘコミといった塗装欠陥が起こらなかった。
(3) 塗膜の防食機能 従来の顔料を用いた場合、強力な分散機を用いること
によっても、塗装面にブツ、ハジキ、ヘコミといった塗
装欠陥を外見上認められなくすることはできる。しか
し、鋼板に塗装した場合、塩水噴霧試験(JIS Z−237
1に準拠)10日では、錆の発生と塗膜のフクレが起こ
る。
これに対し、本発明の方法で得られた精製顔料を用い
た塗料では、何れもほとんど錆発生、塗膜のフクレがな
い、優れた保護塗装ができた。
参考のため、本発明の精製顔料を0.1%食塩水で処理
して使用した場合、錆、フクレが発生した。電解質であ
る食塩が顔料の凝集と金属の腐蝕を促進すること、ま
た、この原因物質の除去が必要であることが証明され
た。
(4)電気化学的現象 本発明の精製顔料を市販の水性アクリルエマルジョン
に、濃縮スラリーのままで混和して得た水性塗料を脱イ
オン水で15重量%に希釈し、25℃に調整して、2ステ
レスビーカーを陰極に、鋼板をビーカーの中央に懸垂
し、これを陽極として、直流電圧50Vを2分間通電し、
ひきあげて水洗、乾燥すると、30μmの均一な電着塗装
が実施できた。
市販の水性アクリルエマルジョンを用いても、充分な
電着塗装ができたのは、電解質の混入を極度に嫌う電着
塗料に、本発明の精製顔料の水性スラリーが特に好都合
であることを示す。特に、顔料濃度が高いて電着塗料に
特に有利である。
(5)粒子の構造的特徴 カオリンやハイドロタルサイトは、何れも層状構造の
イオン交換体として知られ、親水性に富み、水、イオ
ン、空気の透過性に富む。
したがって、従来、これらの顔料を塗料に配合しても
塗膜の防錆機能が高まるとは考えられていなかった。防
錆塗料には、単なる増量剤として配合されているに過ぎ
ない。
市販の工作用のクリヤー塗料に、未処理顔料をボール
ミルで分散させて得た塗料、および本発明の精製顔料
(実施例2で得た精製カオリンおよび実施例9で得た精
製ハイドロタルサイト)を分散させて得た塗料を用い、
同じ条件でそれぞれ鋼板に塗装した。
この塗装金属板を屋外に暴露し、毎日1分間、海水組
成の塩水を散布したところ、クリヤー塗膜と、従来の顔
料配合塗膜は、3か月の暴露で、塗装の欠陥部分から塗
膜の下で部分的に激しい錆発生が起こった。
これに対して、本発明の精製顔料を用いた塗料を塗布
した塗膜は、このような下から部分的に起こる激しい錆
発生は起こらず、全体の美観と保護機能は圧倒的に本発
明の処理品が優れていた。
精製顔料の板状構造の特徴が有効に作用したものと推
定できる。さらに、塗膜にイオン交換特性を付与でき、
カソード剥離が起こる原因となるNa+等の局在が防止さ
れ、アノード溶解の原因となるCl-の局在が防止され、
金属に塗布した塗膜の剥離が緩和されて、局所的腐食が
抑制されたものと推定できる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料粒子の水分散液を、(a)顔料粒子が
    酸性粒子であって、その対イオンがカチオンである場合
    には、H型カチオン交換樹脂と接触せしめ、対イオンを
    H+イオンとイオン交換して該水分散液のpHを低下させ、
    あるいは(b)顔料粒子が塩基性粒子であって、その対
    イオンがアニオンである場合には、OH型アニオン交換樹
    脂と接触せしめ、対イオンをOH-イオンとイオン交換し
    て、該水分散液のpHを上昇させることにより、顔料粒子
    の分散安定性を破壊し、水分散液中に不純物として含ま
    れる反対極性の微粒子を残して、顔料粒子を沈降させ、
    分離することを特徴とする精製顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】顔料粒子の水分散液を、顔料粒子が酸性粒
    子の場合には、H型カチオン交換樹脂と接触せしめ、水
    分散液のpHを6以下に低下させるか、あるいは顔料粒子
    が塩基性の場合には、OH型アニオン交換樹脂と接触せし
    め、水分散液のpHを8以上に上昇させる請求項1記載の
    精製顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】解膠した顔料粒子の水分散液を用いる請求
    項1記載の精製顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】解膠した顔料粒子の水分散液が、顔料粒子
    の水分散液を調製する水および/または顔料粒子の水分
    散液を、(a)顔料粒子が酸性粒子である場合には、OH
    型アニオン交換樹脂と接触させ、水中のアニオンをOH-
    と交換せしめてpHを上昇させ、(b)顔料粒子が塩基性
    粒子である場合には、H型カチオン交換樹脂と接触さ
    せ、水中のカチオンをH+と交換してpHを低下させるイオ
    ン交換処理を行って、顔料粒子の水分散液を調製する水
    をイオン交換処理した場合には、次いで、イオン交換処
    理した水に顔料粒子を投入することにより、調製したも
    のである請求項3記載の精製顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】下記の第一工程ないし第三工程を含む分級
    された精製顔料の製造方法。 (1)顔料粒子の水分散液を調製する水および/または
    顔料粒子の水分散液を、(a)顔料粒子が酸性粒子であ
    る場合には、OH型アニオン交換樹脂と接触させ、水中の
    アニオンをOH-と交換せしめてpHを上昇させ、(b)顔
    料粒子が塩基性粒子である場合には、H型カチオン交換
    樹脂と接触させ、水中のカチオンをH+と交換してpHを低
    下させるイオン交換処理を行って、顔料粒子の水分散液
    を調製する水をイオン交換処理した場合には、次いで、
    イオン交換処理した水に顔料粒子を投入することによ
    り、顔料粒子を解膠した水分散液を調製する第一工程、 (2)解膠した顔料粒子の水分散液を静置し、所定範囲
    の高さの水分散液を採取することにより分級する第二工
    程、 (3)採取した顔料粒子の水分散液を、(a)顔料粒子
    が酸性粒子であって、その対イオンがカチオンである場
    合には、H型カチオン交換樹脂と接触せしめ、対イオン
    をH+イオンとイオン交換して該水分散液のpHを低下さ
    せ、あるいは(b)顔料粒子が塩基性粒子であって、そ
    の対イオンがアニオンである場合には、OH型アニオン交
    換樹脂と接触せしめ、対イオンをOH-イオンとイオン交
    換して、該水分散液のpHを上昇させることにより、顔料
    粒子の分散安定性を破壊して、顔料粒子の少なくとも一
    部を沈降させ、分離する第三工程。
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