JP3002413B2 - 金属材料の表面清浄化方法と装置 - Google Patents

金属材料の表面清浄化方法と装置

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JP3002413B2
JP3002413B2 JP7310871A JP31087195A JP3002413B2 JP 3002413 B2 JP3002413 B2 JP 3002413B2 JP 7310871 A JP7310871 A JP 7310871A JP 31087195 A JP31087195 A JP 31087195A JP 3002413 B2 JP3002413 B2 JP 3002413B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料の表面処
理技術において、各種金属材料の表面に付着している油
類を含む有機物、熱による焼付物、酸化物等の付着物を
超音波洗浄により除去洗浄して清浄化する方法及び装置
に関するものである。本発明は、特に、シャッター、金
属製建具、金属製家具、建造物の梁材や柱材や床材、或
いは各種金属製機器等に用いる大型或いは長尺の金属材
料のメッキや塗装及び溶接の前工程として、該金属材料
の表面に付着している防錆油、潤滑油および各種加工油
等を脱脂洗浄するために最適の表面清浄化方法及び該方
法を実施するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】従来、各種油類の付着している金属材料を
洗浄する方法として、通常のアルカリ脱脂剤水溶液に浸
漬し被清浄化金属材を揺動および振動させる方法、各種
の界面活性剤を用いた洗浄方法、有機溶剤を使って金属
表面の油性の汚れを布で拭取る方法、溶剤中に被清浄化
金属材を浸漬し攪拌またはブラッシングする方法、溶剤
蒸気浴による方法、電解脱脂による方法などが行われて
いる。これらは化学的洗浄作用の他、物理的作用も付加
したものであり、超音波振動も古くから物理的洗浄手段
として応用され各種の方法が提案されている。例えば、
特開平03−281793号および特開平06−254
521号では、被洗浄材を入れたバスケットに対して洗
浄槽内で超音波振動を作用させる方法である。
【0004】鋼材表面の清浄化方法の1つとして酸洗が
行われているが、ここでも超音波振動の応用例が数多く
見られる。一般に超音波洗浄に使用されている超音波振
動子は、投込型、底付型、振動伝達用ホーンによる集束
型が用いられ、洗浄目的によって、洗浄工程、洗浄装置
等も色々工夫が施されている。例えば、被洗浄物の形
状、寸法、数量に応じて洗浄槽内の超音波照射方法も、
底面、側面、上下より照射する方法や被洗浄物を上下に
振揺する、回転する等の方法が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来方法によ
る金属材料の洗浄では、有機溶剤使用による環境問題、
通常の界面活性剤を含めたアルカリ脱脂剤水溶液では被
洗浄物の隙間内部の洗浄不良、脱脂洗浄時間の延長など
の問題があり、これらに対して超音波振動の適用がなさ
れてきた。しかし、被洗浄物が比較的小さく複雑な形状
のものを対象とした場合には有効な手段となりうるが、
被洗浄物が大型で大容積の洗浄槽を使用する場合、超音
波振動を付加し、その効果を最大限に得るためには下記
のような非常に難しい解決の困難な問題点がある。
【0006】第1に長尺の金属材料では、それに見合っ
た脱脂洗浄槽が必要であり、脱脂廃液処理の問題点も含
めて考える必要がある。第2は、広い面積を有する被洗
浄材全体に超音波を付加するためには、超音波振動子の
有効照射面積が指向性により制限されるため多数の振動
子が必要となる。第3として大容積の脱脂槽には大容量
の脱脂液があり、液深の深いところに設置された超音波
振動子では水圧による超音波の減衰が大きく、液面から
の定在波による振動効果も小さくなる。第4は脱脂槽内
で被清浄化金属材を移動させながら脱脂する場合には、
槽の大きさおよび超音波振動子の数が問題となる。第5
は被清浄化金属材が管状で長尺の場合、特に管内面に塗
布されている防錆油はそのままに管表面のみを脱脂する
ためには、管の両端に密栓する必要があり、管重量が浮
力より小さくなると液面に浮上し脱脂不良部分を生じ
る。
【0007】以上のように被清浄化金属材が大型部材や
長尺材などの脱脂洗浄では、被清浄化金属材と超音波振
動子を相対的に移動させながら超音波振動を付加する方
法で実用化されている例はない。
【0008】本発明では、上述した従来方法の問題点を
解決するものであり、これまで主としてガラス製品、金
属製精密部品の洗浄など比較的小さな被洗浄物に限られ
ていた超音波洗浄の応用範囲を大きく広げるものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、長
尺な被清浄化金属材を液中に浸漬して超音波洗浄する方
法において、液中の所定位置にある前記長尺な被清浄化
金属材に超音波を照射する超音波振動子を、前記被清浄
化金属材から距離をおいた液内の位置に設け、前記超音
波振動子を前記被清浄化金属材の長手外壁方向に沿って
移動させながら、前記超音波振動子からの超音波により
超音波洗浄するようにしたことを特徴としている。
【0010】請求項2の発明では、上記請求項1の発明
において、前記被清浄化金属材に超音波を照射する前記
超音波振動子を、前記被清浄化金属材から略10mm〜略
700mmの距離で、液面から略300mm〜略1200mm
の深さに設け、前記超音波振動子からの超音波により超
音波洗浄するようにしたことを特徴としている。
【0011】請求項3の発明では、上記請求項1又は2
の発明において、前記長尺な被清浄化金属材を液中の所
定位置に設置させ、この被清浄化金属材の下部、側方若
しくは斜め側方において前記超音波振動子を前記被清浄
化金属材の長手外壁方向に沿って通過させながら該超音
波振動子からの超音波により超音波洗浄するようにした
ことを特徴としている。
【0012】請求項1乃至3の発明のように、比較的大
型で不定型である長尺な被清浄化金属材を液中の定位置
に載置し、定型である超音波振動子を被清浄化金属材の
長手外壁方向に沿って移動させることにより、脱脂槽の
内部において、長尺の不定型である被清浄化金属材の全
外壁を無理なく超音波洗浄でき、被清浄化金属材により
脱脂槽を傷つける恐れもなく、スペース効率の点でも優
れている。また、超音波振動子の位置について、超音波
振動子から被清浄化金属材までの距離が10mm以下で
は超音波振動子の振動面に対する反射波の悪影響があ
り、700mm以上では直接波の効果が弱くなることか
ら、請求項2の発明のように、超音波振動子から被清浄
化金属材までの距離は、略10mm〜略700mmとするこ
とが有効である。さらに、超音波振動子から液面までの
深さは最小300mm、これ以下では振動子の厚さと被
清浄化金属材の大きさより照射が困難となり、また最大
1200mm以上では超音波の減衰が大きくなって照射
効果が半分以下となる。
【0013】請求項4の発明では、超音波振動子及び被
清浄化金属材が浸漬される脱脂液又は洗浄液(水洗液)
には、少なくとも液面において常時片一方の流れを生じ
させ、液面での片方の端部に集合した油分等を排出させ
るようにしたことを特徴としている。
【0014】請求項4の方法によれば、超音波脱脂洗浄
後の被清浄化金属材(被脱脂金属材)を引き上げる時
に、油分が再付着するということがない。
【0015】請求項5の発明は、被清浄化金属材が管状
であって該被清浄化金属材の両端部を密栓して液中にお
いて超音波洗浄する時に、密栓された被清浄化金属材の
重量が液中での浮力よりも小さく液面に浮き上がること
により、被清浄化金属材の外壁の上部が超音波洗浄出来
ないことになるが、この場合、密栓された被清浄化金属
材の重量が液中での浮力よりも大きくなるように、密栓
された被清浄化金属材の内部に重量物を挿入するか、密
栓部分の外側に重量物を繋いで、液中に浸漬させた状態
で超音波洗浄するようにしたことを特徴としている。
【0016】請求項6の発明は、脱脂洗浄装置に係り、
図1に示されるように、長尺な被清浄化金属材6を液中
に浸漬して超音波洗浄する装置において、脱脂槽1と洗
浄槽2(水洗槽)とを具備し、脱脂槽1の内部には、前
記長尺な被清浄化金属材6の支持台10−1と該支持台
10−1の下部において前記長尺な被清浄化金属材6の
長手外壁方向に沿って移動自在とされた超音波振動子4
が設けられていることを特徴としている。
【0017】上記請求項6の発明では、脱脂液を入れた
脱脂槽1内の支持台10−1上に被清浄化金属材6を運
搬載置させる。その下部において、被清浄化金属材6の
長手外壁に沿って超音波振動子4を移動させつつ超音波
を照射し超音波洗浄を行わせる。その後、被清浄化金属
材6を洗浄槽2内に入れて水洗する。水洗は、洗浄槽2
内部の水流を利用しても、シャワー方式としてもよい。
【0018】参考例の発明は、脱脂洗浄装置に係り、図
2に示されるように、被清浄化金属材6を液中に浸漬し
て超音波洗浄する装置において、脱脂洗浄槽101内部
の定位置に超音波振動子104を設置し、該超音波振動
子104の上部における脱脂洗浄槽101の内部に被清
浄化金属材6を通過移動させる被清浄化金属材の移動装
置115を装備させ、液面中には該液面を二分割させる
堰116を設けて、二分割された一方の液面下に被清浄
化金属材6を位置させて前記超音波振動子104による
超音波洗浄を行い、該被清浄化金属材6を前記移動装置
115により前記堰116の下部を通って前記一方の液
面下から他方の液面下に移動させて引き上げる構造とし
ている。
【0019】上記参考例の発明では、脱脂液を入れた脱
脂洗浄槽101内の一方の液面下の移動装置115上に
被清浄化金属材6を挿入載置させる。この移動装置11
5により被清浄化金属材6を移動させつつ、下部の超音
波振動子104による超音波洗浄を行い、一方の液面下
から堰116の下部を通って他方の液面下に移動させて
引き上げる。油分は、堰116により一方の液面内に浮
上し、他方の液面から引き上げる被清浄化金属材6に再
付着することが防止される。この場合、液面に他方の液
面から一方の液面の方向に流れを設けて、一方の液面か
ら残留油分を排出させるようにすることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、発明の実施の形態1に係
る超音波洗浄装置の一例であり、これを参照して実施の
形態1に係る超音波洗浄装置を説明する。実施の形態1
に係る超音波洗浄装置は、脱脂槽1、洗浄槽2(水洗
槽)、水切り乾燥台3を備えている。脱脂槽1の内部に
は、脱脂液Aが収容され、被清浄化金属材6の支持台1
0−1が水平に固定されている。支持台10−1の下部
における脱脂槽1の内底部には、被清浄化金属材6の長
手外壁方向に往復移動自在として移動台12が設けら
れ、移動台12上に超音波振動子4が設置されている。
上記支持台10−1は、超音波による照射の障害になら
ないように、被清浄化金属材6の両端を支えるアーム形
あるいはフオーク形とすることが出来る。
【0021】上記移動台12は、脱脂槽1の内底部内に
延出される懸垂枠13の下端に水平方向に突設されてい
る。この懸垂枠13は、開放部を下向きとしたコ形の枠
体からなり、その水平枠部に軸支された中間ローラ14
−1が脱脂槽1の側壁を構成するレール枠11の上端レ
ール面を転動して往復移動するようになっている。懸垂
枠13には、走行モータ5が設置され、該走行モータ5
の駆動軸端の駆動ピニオン5aが、レール枠11の外壁
面に水平に固定したラック15に噛合している。さら
に、懸垂枠13には、その下端と脱脂槽1外の上部に、
下端ローラ14−2及び上部ローラ14−3が軸支さ
れ、下端ローラ14−2は、レール枠11の外壁面に略
逆L形に突設された固定枠16の対向垂直壁面に、上部
ローラ14−3は、レール枠11の垂直外壁面に接して
転動するようになっている。また、懸垂枠13には、超
音波振動子4と走行モータ5の配電操作盤17が設けら
れ電気接続されている。
【0022】洗浄槽2内には、水洗液Bが収容され、上
記支持台10−1と略同一レベル位置に、これと略同一
構造の支持台10−2が設けられている。洗浄槽2の一
側内には、給水管7が配設され、その下端は洗浄槽2の
一側の内底部に開口している。また、洗浄槽2の他側部
の液面には、溢流管8の上端に溢流口が開口し、その下
端はドレン溝内に開口している。
【0023】水切り乾燥台3の下部には、漏斗状のドレ
ン受け9が設けられている。
【0024】次に、上記実施の形態1に係る超音波洗浄
装置の作用を説明する。この例は、被清浄化金属材6と
して被脱脂金属管(一例として角形鋼管)を超音波脱脂
洗浄させる場合であり、被脱脂金属管は給材床よりクレ
ーンにて、2〜3本同時に脱脂槽1まで搬送させ、支持
台10−1上に載置させる。被脱脂金属管は脱脂に先立
って両端に密栓されており、液面で浮上するものは浮力
より大きい重量物を密栓部分に繋いで置く。また、脱脂
槽1内には、脱脂液Aが収納されている。さらに、後述
するリミット装置により、被脱脂金属管の長さに対応し
て移動台12、すなわち、その上の超音波振動子4の往
復移動範囲を設定させる。
【0025】この状態で、超音波振動子4を作動させ、
且つ、走行モータ5を駆動させる。すると、走行モータ
5の駆動ピニオン5aがレール枠11のラック15と噛
み合った状態で駆動し、レール枠11に沿って懸垂枠1
3及び移動台12を往復移動させ、移動台12上の超音
波振動子4を、被脱脂金属管(被清浄化金属材6)の長
さ方向に沿って繰り返し往復移動させる。超音波振動子
4が走行すると同時に上部液面に向かって超音波が照射
され、被脱脂金属管(被清浄化金属材6)全面に振動効
果が発揮され、超音波洗浄される。
【0026】脱脂洗浄された被脱脂金属管(被清浄化金
属材6)をクレーンにより引き上げて、隣接する洗浄槽
2の支持台10−2上に載置させる。洗浄槽2には濯ぎ
のための水洗水が給水管7より給水され溢流管8によっ
て清浄化が保たれている。水洗された被脱脂金属管(被
清浄化金属材6)は、水切り乾燥台3に運ばれ、ローラ
ー上に放置され水切りを行う。水切り後のドレンはドレ
ン受け9で溜められ、排水口へ流される。
【0027】水切り後の被脱脂金属管(被清浄化金属材
6)はローラーテーブル上で、ジェットヒーター、熱風
ブロアーなどにより完全に乾燥する。乾燥後、発錆が懸
念される場合には脱脂後の防錆をより充分に行うため洗
浄槽2の水に防錆添加剤を添加することが望ましい。脱
脂槽1と洗浄槽2との間にシャワースプレー方式による
洗浄槽を設置することも更に効果的な方法となる。
【0028】金属材料のアルカリ脱脂洗浄に応用される
超音波は、そのキャビテーションによる作用効果から、
25〜30KHzの周波数のものが良く、振動子のパワ
ー密度も1W/cm2 程度であれば充分である。
【0029】図2は、参考例に係る超音波洗浄装置の一
例であり、これを参照して参考例に係る超音波洗浄装置
を説明する。参考例に係る超音波洗浄装置は、被清浄化
金属材6を脱脂液A中に浸漬して超音波洗浄する装置に
おいて、脱脂槽洗浄槽101内の液面中には該液面を二
分割させる堰116を設けている。分割された一方の液
面下の底部定位置に超音波振動子104を設置し、該超
音波振動子104の上部における脱脂洗浄槽101の内
部には、被清浄化金属材6を一方の液面下から他方の液
面下に水平方向に通過移動させる被清浄化金属材の移動
装置115(115−1,115−2)を装備させてい
る。移動装置115は、超音波の照射を妨げることがな
いように、超音波振動子104の直上部分が分離され、
分離部分を窓115−3とした構造の駆動ローラ等によ
り構成する。
【0030】脱脂洗浄槽101の他側の液面下上部に
は、脱脂液Aの供液管120が開口し、脱脂槽101の
一側の液面には、溢流口121が開口し、外部の溢流槽
122に臨んでいる。溢流槽122内の液面には、かき
揚げ式の浮上分離油の除去装置123が設けられ、溢流
槽122の底部は、循環ポンプ124を介して、上記供
液管120と連通している。
【0031】上記参考例に係る超音波洗浄装置では、被
清浄化金属材6は、超音波振動子104による超音波洗
浄を受けながら、移動装置115(115−1,115
−2)により、一方の液面下から他方の液面下に移動す
る。この時、脱脂液Aは、供液管120から供給されて
溢流口121から溢流されており、液面に脱脂液Aの流
れが形成されていることから、分離油分は溢流口121
から排出されて除去装置123により除去され、清浄化
された脱脂液Aが供液管120から循環供給される。脱
脂完了の被清浄化金属材6は、他方の液面から引き上げ
られるため、浮上分離油の再付着が防止される。
【0032】次に、本発明の実施の形態である脱脂洗浄
方法を作用とともに説明する。この脱脂洗浄方法は、上
述した、実施の形態1及び参考例に係る超音波洗浄装置
の作用と共通する。
【0033】以下、被清浄化金属材(6)を一般構造用
角形鋼管(以下、鋼管と称す)とした場合の脱脂洗浄を
例として説明する。一般に鋼管表面にはスケールと呼ば
れる薄い鉄の酸化皮膜が形成されており、長期間の防錆
を目的として防錆油が塗布されている。鋼管の用途によ
り表面に塗装処理を行わせる場合、防錆油を除去する必
要があり脱脂作業が行われる。一般にシンナーを含ませ
た布で拭き取る方法があるが脱脂が完全ではなく、また
作業者の安全衛生上および環境問題より代替技術の開発
が望まれていた。このため通常のアルカリ脱脂剤水溶液
による方法の適用が上げられるが、脱脂条件の確立が困
難であり超音波振動を付加するための最適条件を探索し
新しい方法を確立したものである。
【0034】鋼管表面には、防錆油の他、切削油、機械
油またはグリース類なども付着しており、更に泥砂、塵
埃などが混在しているものもある。脱脂剤は一般に使用
されているアルカリ脱脂剤の水溶液が最も経済的である
ことからこれを使用し、アルカリ脱脂剤水溶液濃度は、
1〜10wt%の範囲とした。脱脂液温度は可及的低温
領域で行うことから10〜45°Cを目標とした。
【0035】脱脂時間の迅速化を狙いとし、超音波振動
の付加に際しての最適条件は、超音波振動子(図1中の
参照符号4)をステンレス製の箱形とし、脱脂槽(同
1)の底部を自由に走行できるよう駆動装置と組み合わ
せてある。超音波振動子から上部液面に向かって超音波
が照射されるようになっており、被清浄化金属材(同
6)の全面に振動効果が波及するよう、液面からの定常
波が多くなるような位置関係を把握した。即ち、超音波
振動子から被清浄化金属材までの距離は10mm以下で
は超音波振動子の振動面に対する反射波の悪影響があ
り、700mm以上では直接波の効果が弱くなることか
らこの距離範囲を定め、超音波振動子から液面までの深
さは最小300mm、これ以下では超音波振動子の厚さ
と被清浄化金属材の大きさより照射が困難となり、また
最大1200mm以上では超音波の減衰が大きくなって
照射効果が半分以下となる。
【0036】鋼管(被清浄化金属材6)の両端から内部
に脱脂液が入らないようにするため、ゴム或いは合成樹
脂製の栓で蓋をし、浮上する鋼管は浮力より大きい重量
物を管の中に挿入するか、または栓蓋と浮力より大きい
重量物とをチェーンまたはワイヤーで繋ぎ、液面上に浮
上しないよう繋ぎの長さを調節する。これによって鋼管
は液中に浮遊した状態で支持されることになる。
【0037】鋼管(被清浄化金属材6)に付着している
油分が極めて少ない場合には、最初から脱脂槽(1)内
で超音波を照射するよりも、先ず、洗浄槽(水洗槽)
(2)内に脱脂液を入れて鋼管(被清浄化金属材6)を
所定時間浸漬し、その後脱脂槽(1)内の洗浄液内に入
れて超音波を照射し、超音波洗浄した方が、脱脂液の汚
れおよび劣化の現象が少なく有利となる。
【0038】分離した油分の回収方法については、脱脂
液面に浮遊する油分をエアブロー或いは液の流動を片一
方へ生じさせることによって1ケ所に集合させ、油の吸
着材および付着材を使用して槽外に排出させる。このた
め脱脂後の引き上げ時に生じる油分の再付着の問題が解
決できる。
【0039】
【実施例】次に、上記本発明に係る超音波洗浄方法の実
施例を上げる。 実施例1(発明の実施の形態1:図1の装置を使用) 一般構造用角形鋼管(被清浄化金属材6)、板厚2.3
mm、端部の辺の長さ100mm×100mm、長さ6
mのもの2本同時に脱脂した。脱脂槽(1)は全長7
m、幅500mm、深さ500mmのものを使用し、脱
脂剤は珪酸塩、炭酸塩を主成分とし界面活性剤を含んだ
アルカリ脱脂剤を用いた。脱脂剤濃度は20gf/l
(25°C、PH=12.5)である。脱脂液量は1.
4m3 で液温35°Cとした。被清浄化金属材の角形鋼
管はマグネット付リフトで脱脂槽に搬送し浸漬させる。
超音波発振器は実効出力1200W、周波数26KHz
で、投込振動子の外径寸法410mm×310mm×9
0mm、パワー密度0.75W/cm2 のものを使用し
た。超音波振動子は脱脂槽底部を走行できるよう駆動装
置に積載されており、超音波振動子から角形鋼管までの
距離100mm、液深は400mmとし、超音波振動子
走行速度1.2m/minで行った。脱脂後、洗浄槽
(水洗槽)(2)内に1分間浸漬した後引き上げて水切
り熱風乾燥機で充分に乾燥させた。角形鋼管の表面は完
全に脱脂されており、満足できる表面性状のものが得ら
れた。
【0040】実施例2(発明の実施の形態1:図1の装
置を使用) 一般構造用角形鋼管(被清浄化金属材6)、板厚2.3
mm、端面の辺の長さ100mm×100mm、長さ3
mのもの2本同時に脱脂した。実施例1と同じ洗浄槽
(水洗槽)(2)に同一脱脂剤、濃度50gf/l、脱
脂液量を1.0m3 入れ液温は20°Cとした。また、
実施例1と同じ超音波振動子を使用した。一方、脱脂槽
(1)には水洗用の淡水を入れ、超音波振動子から角形
鋼管までの距離50mm、水深は300mmで、超音波
振動子走行速度2.4m/minで行った。角形鋼管は
マグネット付リフトで脱脂液の入った洗浄槽まで搬送
し、その脱脂液中に1分間浸漬させた。その後引き上げ
て、水の入った脱脂槽内に入れ超音波を照射した。1分
後引き上げて水切り乾燥したところ、脱脂は完全に行わ
れており表面性状は極めて良好であった。
【0041】参考例(図2の装置を使用) 一般構造用角形鋼管(被清浄化金属材6)、板厚2.3
mm、端面の辺の長さ80mm×80mm、長さ6mの
もの2本同時に脱脂を行った。脱脂洗浄槽(101)は
全長14m、幅500mm、深さ500mmの寸法で製
作した。脱脂剤は実施例1と同じものを使用し、脱脂剤
濃度30gf/l、脱脂液温度は40°Cとした。ま
た、実施例1と同じ超音波振動子を使用した。被清浄化
金属材(6)の角形鋼管の内部に8Kgfの丸棒を挿入
して、両端に密栓をし脱脂洗浄槽(101)の左側半分
(脱脂槽)に浸漬した。超音波振動子(104)は実効
出力1200W、周波数28KHz、投げ込み振動子か
ら角形鋼管までの距離120mm、液深は450mmで
超音波を照射した。角形鋼管は槽中のローラーによって
2.4m/minの移動速度で走行し、脱脂後、脱脂洗
浄槽(101)の右側半分(洗浄槽)へ1分間浸漬し、
引き上げ水切り後、熱風乾燥機で充分に乾燥させた。角
形鋼管の表面は完全に脱脂されており、満足できる表面
性状のものが得られた。
【0042】実施例4 被清浄化金属材:等辺山形鋼、板厚6mm、端部の辺の長
さ50mm×50mm、長さ4.5m 、表面全体に酸化スケ
ールが付着 洗浄条件:洗浄液・20%Hcl,30°C 超音波照射あり、実施例と同じ超音波振動子を使用 洗浄時間・10min 洗浄結果:完全に脱スケールされており、灰白色の表面が得られた
【0043】実施例5 被清浄化金属材:加熱水蒸気で油を加熱する銅製蛇管ヒ
ーター、パイプ直径5.0mm、大きさ500mm×500
mm 洗浄条件:洗浄液・界面活性剤を含むアルカリ脱脂剤、濃度5wt%、温度60 °C 超音波照射あり、実施例と同じ超音波振動子を使用 洗浄時間・7min 洗浄結果:熱分解して固着し焼き付きを生じていた部分が清浄になった。
【0044】また、実施比較例として、同一脱脂槽にて
超音波を照射せず、角管を脱脂液中に浸漬したまま静置
する従来方法をも併せて行い、これらの結果を下記表1
に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】請求項1、2、3及び4の発明では、超
音波振動子を長尺な被清浄化金属材の長手外壁方向に沿
って移動させながら、超音波振動子からの超音波により
超音波洗浄するようにしているため、長尺の被清浄化金
属材の長手全外壁を無理なく超音波洗浄でき、被清浄化
金属材により脱脂槽を傷つける恐れもなく、スペース効
率の点でも優れている。超音波振動子を、被清浄化金属
材の下部、側方若しくは斜め側方に位置させて超音波洗
浄させることにより、超音波振動子が被清浄化金属材か
ら浮上する油類などの汚染物質により汚染されて劣化す
るということがない。
【0047】請求項2の発明では、超音波振動子からの
超音波を最適の条件で被清浄化金属材に照射させて超音
波洗浄させることができる。
【0048】請求項4の発明によれば、超音波脱脂洗浄
後の被清浄化金属材を引き上げる時に、油分等が再付着
するということがない。
【0049】請求項5の発明によれば、液よりも比重の
軽くなる密栓された金属管材の全外周壁を有効に超音波
洗浄することができる。
【0050】請求項6の発明に係る装置によれば、上記
本願発明に係る超音波洗浄方法を有効に実施でき、同様
の効果を得ることができ、脱脂液及び洗浄液(水洗液)
の無駄も少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る脱脂洗浄装置の構
造図である。
【図2】本発明の参考例に係る脱脂洗浄装置の構造図で
ある。
【符号の説明】
1 脱脂槽、2 洗浄槽(水洗槽)、3
水切り乾燥台、4 超音波振動子、5 走行モ
ータ、5a 駆動ピニオン、6 被清浄化金属
材、7 給水管、8 溢流管、9 ドレン
受け、10−1,10−2 支持台、11 レ
ール枠、12 移動台、13 懸垂枠、14−
1 中間ローラ、14−2 下端ローラ、14
−3 上端ローラ、15 ラック、16
固定枠、17配電操作盤、101 脱脂洗浄槽、1
04 超音波振動子、115(115−1,115
−2) 移動装置、115−3 窓、116
堰、120給液管、121 溢流口、122
溢流槽、123 除去装置、124
循環ポンプ、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大田 稔 東京都板橋区志村3丁目26番4号 文化 シヤッター株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−281793(JP,A) 実開 平5−26174(JP,U) 特公 平3−177590(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23G 3/02 B08B 3/04 - 3/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長尺な被清浄化金属材を液中に浸漬して超
    音波洗浄する方法において、液中の所定位置にある前記
    長尺な被清浄化金属材に超音波を照射する超音波振動子
    を、前記被清浄化金属材から距離をおいた液内の位置に
    設け、前記超音波振動子を前記被清浄化金属材の長手
    壁方向に沿って移動させながら、前記超音波振動子から
    の超音波により清浄化するようにしたことを特徴とする
    金属材料の表面清浄化方法。
  2. 【請求項2】前記長尺な被清浄化金属材を液中に浸漬し
    て超音波洗浄する方法において、液中の所定位置にある
    前記長尺な被清浄化金属材に超音波を照射する前記超音
    波振動子を、前記被清浄化金属材から略10mm〜略70
    0mmの距離で、液面から略300mm〜略1200mmの深
    さに設け、前記超音波振動子からの超音波により清浄化
    するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属
    材料の表面清浄化方法。
  3. 【請求項3】前記長尺な被清浄化金属材を液中の所定位
    置に設置させ、この被清浄化金属材の下部、側方若しく
    は斜め側方において前記超音波振動子を前記被清浄化金
    属材の長手外壁方向に沿って通過させながら該超音波振
    動子からの超音波により清浄化するようにしたことを特
    徴とする請求項1又は2に記載の金属材料の表面清浄化
    方法。
  4. 【請求項4】液には、常時片一方の流れを生じさせ、液
    面での片方の端部に移動した油分等を排出させるように
    したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の金属
    材料の表面清浄化方法。
  5. 【請求項5】被清浄化金属材が管状であって該被清浄化
    金属材の両端部を密栓して液中において超音波洗浄する
    時に、密栓された被清浄化金属材の重量が液中での浮力
    よりも小さい場合、密栓された被清浄化金属材の重量が
    液中での浮力よりも大きくなるように、密栓された被清
    浄化金属材の内部に重量物を挿入するか、密栓部分の外
    側に重量物を繋いで、液中に浸漬させた状態で超音波洗
    浄するようにしたことを特徴とする金属材料の表面清浄
    化方法。
  6. 【請求項6】表面に油類が付着した長尺な被脱脂清浄化
    金属材を液中に浸漬して超音波洗浄する装置において、
    脱脂槽と洗浄槽を具備し、脱脂槽の内部には、前記長尺
    被清浄化金属材の支持台と該支持台の下部において
    記長尺な被清浄化金属材の長手外壁方向に沿って移動
    在とされた超音波振動子が設けられていることを特徴と
    する金属材料の表面清浄化装置。
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