JP3002059B2 - 光学フィルタ - Google Patents
光学フィルタInfo
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- JP3002059B2 JP3002059B2 JP4195868A JP19586892A JP3002059B2 JP 3002059 B2 JP3002059 B2 JP 3002059B2 JP 4195868 A JP4195868 A JP 4195868A JP 19586892 A JP19586892 A JP 19586892A JP 3002059 B2 JP3002059 B2 JP 3002059B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信装置、特に高信
頼性光ファイバ通信システムの光中継回路に用いられる
光学フィルタに関する。
頼性光ファイバ通信システムの光中継回路に用いられる
光学フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の光学フィルタの例で、あ
る特定の波長帯域を透過させるバンドパスフィルタ(B
PF)を示している。石英(SiO2 )基板101の上
に、Hで示した第1の(高い)屈折率2. 25を有する
第1の物質である酸化チタン(TiO2 )21,19,
17,……5,3と、Lで示した第2の(低い)屈折率
1. 45を有する第2の物質である石英(SiO2 )2
0,18,16……6,4を積層させることによりフィ
ルタ本体、すなわちBPF本体を形成し、さらにその上
に空気とフィルタ本体の間で起こる反射を防止するため
の反射防止層を積層させたものである。ここでは反射防
止層にも同じ第1と第2の物質を用いており、酸化チタ
ン2と石英1からなる。ただし、同図に示した膜厚につ
いては、光学膜厚(実際の物理的膜厚×膜の屈折率)で
表わした場合の膜厚が、対象となる光の波長の1/4で
ある膜厚を1. 00Hまたは1.00Lと記してある。
例えば、SiO2 の場合を例に取って、実際の膜厚が1
000Åであったとすると、屈折率が1. 45であるか
ら光学膜厚は1450Åである。今、対象とする光の波
長を1. 55μmとすると、その1/4は0. 3875
μm、即ち3875Åである。従って、0.374(=
1450/3875)Lとなる。同様に、TiO2 の実
際の膜厚1000Åは0. 58Hに対応する。
る特定の波長帯域を透過させるバンドパスフィルタ(B
PF)を示している。石英(SiO2 )基板101の上
に、Hで示した第1の(高い)屈折率2. 25を有する
第1の物質である酸化チタン(TiO2 )21,19,
17,……5,3と、Lで示した第2の(低い)屈折率
1. 45を有する第2の物質である石英(SiO2 )2
0,18,16……6,4を積層させることによりフィ
ルタ本体、すなわちBPF本体を形成し、さらにその上
に空気とフィルタ本体の間で起こる反射を防止するため
の反射防止層を積層させたものである。ここでは反射防
止層にも同じ第1と第2の物質を用いており、酸化チタ
ン2と石英1からなる。ただし、同図に示した膜厚につ
いては、光学膜厚(実際の物理的膜厚×膜の屈折率)で
表わした場合の膜厚が、対象となる光の波長の1/4で
ある膜厚を1. 00Hまたは1.00Lと記してある。
例えば、SiO2 の場合を例に取って、実際の膜厚が1
000Åであったとすると、屈折率が1. 45であるか
ら光学膜厚は1450Åである。今、対象とする光の波
長を1. 55μmとすると、その1/4は0. 3875
μm、即ち3875Åである。従って、0.374(=
1450/3875)Lとなる。同様に、TiO2 の実
際の膜厚1000Åは0. 58Hに対応する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなフィルタの
透過特性は図7のシミュレーション透過曲線201のよ
うになる。また、図7の曲線202,203,204
は、図6で最も外側の3つの層1,2,3の膜厚が水分
の吸収などで大きくなった場合に相当している。実際、
このような水分の吸収は2次イオン質量分析法などで確
認されており、拡散の法則により、深さと共に減少する
と考えられることから、層2では層1の半分、層3では
層2の半分だけ変化したことを想定している。曲線20
2,203,204では層1の膜厚の変化がそれぞれ、
3%,6%,9%である。曲線201と204を比較し
た場合、透過中心波長が1nm以上異なっている。中心
波長の1nmの変動は、使用目的によっては、例えば長
距離光ファイバ通信システムなどでは、非常に大きな値
であり、このようなフィルタの小さな経年変化によって
システム特性が大きく劣化する結果を招く。前述のよう
に、従来の光学フィルタでは、外側の層が水分を吸収す
るなどして変化した場合、透過特性、特に波長特性が変
化するいう欠点があった。
透過特性は図7のシミュレーション透過曲線201のよ
うになる。また、図7の曲線202,203,204
は、図6で最も外側の3つの層1,2,3の膜厚が水分
の吸収などで大きくなった場合に相当している。実際、
このような水分の吸収は2次イオン質量分析法などで確
認されており、拡散の法則により、深さと共に減少する
と考えられることから、層2では層1の半分、層3では
層2の半分だけ変化したことを想定している。曲線20
2,203,204では層1の膜厚の変化がそれぞれ、
3%,6%,9%である。曲線201と204を比較し
た場合、透過中心波長が1nm以上異なっている。中心
波長の1nmの変動は、使用目的によっては、例えば長
距離光ファイバ通信システムなどでは、非常に大きな値
であり、このようなフィルタの小さな経年変化によって
システム特性が大きく劣化する結果を招く。前述のよう
に、従来の光学フィルタでは、外側の層が水分を吸収す
るなどして変化した場合、透過特性、特に波長特性が変
化するいう欠点があった。
【0004】本発明は、このような従来の光学フィルタ
の欠点を克服するためになされたもので、経年変化の極
めて少ない光学フィルタを提供することにある。
の欠点を克服するためになされたもので、経年変化の極
めて少ない光学フィルタを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明による光学フィルタは、反射防止層の上にさ
らに、等価的な屈折率がほぼ1となるバッファ層を付加
した構成を有している。
に、本発明による光学フィルタは、反射防止層の上にさ
らに、等価的な屈折率がほぼ1となるバッファ層を付加
した構成を有している。
【0006】
【作用】屈折率がほぼ1のバッファ層を付加する事によ
り、バッファ層で水分の吸収などによる屈折率の変化が
起こっても光学特性の変化がきわめて少ないことを本発
明者らは確認した。従って、このような構成を取ること
により経年変化の極めて少ない光フィルタが実現され
る。また、バッファ層の屈折率が空気と同じであるた
め、バッファ層が無い場合と光フィルタの光学特性は同
じである。
り、バッファ層で水分の吸収などによる屈折率の変化が
起こっても光学特性の変化がきわめて少ないことを本発
明者らは確認した。従って、このような構成を取ること
により経年変化の極めて少ない光フィルタが実現され
る。また、バッファ層の屈折率が空気と同じであるた
め、バッファ層が無い場合と光フィルタの光学特性は同
じである。
【0007】
【実施例1】図1は本発明による実施例を示す。反射防
止層の上に、0. 90Lの酸化チタン膜31、1. 45
Hの石英膜32、0. 90Lの酸化チタン膜33からな
るバッファ層が付加されている。このように2種類以上
の物質を用いて層構造を対称構造とすることにより、等
価的な屈折率を容易にほぼ1とすることができる。図2
は図1のバッファ層の部分の等価屈折率(バッファ層全
体を等価的な1つの物質とみなした時の屈折率)を波長
の関数として示したものである。すなわち、バッファ層
の等価的な屈折率は1. 55μm付近で空気と同じくほ
ぼ1となる。対象となる波長が1. 55μmでない場合
には、バッファ層の0. 9Lと1. 45Hを変える事に
よって、その波長でほぼ1の等価屈折率を得ることがで
きる。言うまでもないが、バッファ層の等価屈折率が1
であれば、これがあっても無くても光学的な特性は同じ
である。図3のシミュレーション透過曲線205は図1
のフィルタ特性を示しており、図7の曲線201と殆ど
同じである。一方、図3の曲線206,207,208
は図7と同様に、最も外側の3層の膜厚が変化した場合
のシミュレーション結果である。想定した変化の程度は
図7と同じである。同図から明らかなように本発明のフ
ィルタでは透過中心波長の変化は殆ど無い。図1ではバ
ッファ層を3層で構成したが、バッファ層の透過屈折率
が1であるから、この3層を繰り返し積層してもフィル
タ特性には影響を与えない。従って、光学特性に関して
経年変化を起こさないようにするためには、水分の浸透
などによって積層膜に変化が起こる可能性のある膜厚ま
で、31,32,33の3層を繰り返してバッファ層を
厚くすれば良い。
止層の上に、0. 90Lの酸化チタン膜31、1. 45
Hの石英膜32、0. 90Lの酸化チタン膜33からな
るバッファ層が付加されている。このように2種類以上
の物質を用いて層構造を対称構造とすることにより、等
価的な屈折率を容易にほぼ1とすることができる。図2
は図1のバッファ層の部分の等価屈折率(バッファ層全
体を等価的な1つの物質とみなした時の屈折率)を波長
の関数として示したものである。すなわち、バッファ層
の等価的な屈折率は1. 55μm付近で空気と同じくほ
ぼ1となる。対象となる波長が1. 55μmでない場合
には、バッファ層の0. 9Lと1. 45Hを変える事に
よって、その波長でほぼ1の等価屈折率を得ることがで
きる。言うまでもないが、バッファ層の等価屈折率が1
であれば、これがあっても無くても光学的な特性は同じ
である。図3のシミュレーション透過曲線205は図1
のフィルタ特性を示しており、図7の曲線201と殆ど
同じである。一方、図3の曲線206,207,208
は図7と同様に、最も外側の3層の膜厚が変化した場合
のシミュレーション結果である。想定した変化の程度は
図7と同じである。同図から明らかなように本発明のフ
ィルタでは透過中心波長の変化は殆ど無い。図1ではバ
ッファ層を3層で構成したが、バッファ層の透過屈折率
が1であるから、この3層を繰り返し積層してもフィル
タ特性には影響を与えない。従って、光学特性に関して
経年変化を起こさないようにするためには、水分の浸透
などによって積層膜に変化が起こる可能性のある膜厚ま
で、31,32,33の3層を繰り返してバッファ層を
厚くすれば良い。
【0008】
【実施例2】図4は、バッファ層の構成の異なる別の実
施例を示す。高屈折率の物質をSiとし、その光学膜厚
で1/4波長に相当する膜厚をSで示してある。この場
合には厚さが2. 0SのSi膜を、膜厚が1. 0LのS
iO2 膜ではさんだ構造にすれば、図2に対応する等価
屈折率カーブが得られ、1. 55μmにおいて等価的な
屈折率が1のバッファ層を得ることができる。本実施例
の作用は図1の場合と同じである。
施例を示す。高屈折率の物質をSiとし、その光学膜厚
で1/4波長に相当する膜厚をSで示してある。この場
合には厚さが2. 0SのSi膜を、膜厚が1. 0LのS
iO2 膜ではさんだ構造にすれば、図2に対応する等価
屈折率カーブが得られ、1. 55μmにおいて等価的な
屈折率が1のバッファ層を得ることができる。本実施例
の作用は図1の場合と同じである。
【0009】
【実施例3】図5は、バッファ層の構成の異なる別の実
施例を示す。低屈折率の物質をAl2 O3 とし、その光
学膜厚で1/4波長に相当する膜厚をBで示してある。
この場合には厚さが1. 72SのSi膜を、膜厚が0.
90BのAl2 O3 膜ではさんだ構造にすれば、図2に
対応する等価屈折率カーブが得られ、1. 55μmにお
いて等価的な屈折率が1のバッファ層を得ることができ
る。本実施例の作用は図1の場合と同じである。本実施
例ではバッファ層の構成が3層対称構造で説明したが、
原理的には5層や7層の対称構造でも実現可能である。
また、屈折率が等価的に1のバッファ層を実現すること
は、対称構造でない一般的な層構造でも可能ではある
が、理論的な設計が極めて困難となる。実際に図6と図
1に示す1. 55μm帯のバンドパスフィルタ(BP
F)を作製し、85℃、85%の雰囲気に3000時間
放置する実験を行った結果、図6の従来例では中心波長
が0.4nm長波長側に変化したが、本発明による図1
のサンプルでは、中心波長の変化は検出限界の0. 1n
m以下であった。
施例を示す。低屈折率の物質をAl2 O3 とし、その光
学膜厚で1/4波長に相当する膜厚をBで示してある。
この場合には厚さが1. 72SのSi膜を、膜厚が0.
90BのAl2 O3 膜ではさんだ構造にすれば、図2に
対応する等価屈折率カーブが得られ、1. 55μmにお
いて等価的な屈折率が1のバッファ層を得ることができ
る。本実施例の作用は図1の場合と同じである。本実施
例ではバッファ層の構成が3層対称構造で説明したが、
原理的には5層や7層の対称構造でも実現可能である。
また、屈折率が等価的に1のバッファ層を実現すること
は、対称構造でない一般的な層構造でも可能ではある
が、理論的な設計が極めて困難となる。実際に図6と図
1に示す1. 55μm帯のバンドパスフィルタ(BP
F)を作製し、85℃、85%の雰囲気に3000時間
放置する実験を行った結果、図6の従来例では中心波長
が0.4nm長波長側に変化したが、本発明による図1
のサンプルでは、中心波長の変化は検出限界の0. 1n
m以下であった。
【0010】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る光学フィルタは、外側の積層膜が経年変化を起こして
も光学的変化は極めて小さい。従って、長期に亙って、
非常に安定な光学特性が要求される光ファイバ通信シス
テムへ応用され、その効果は極めて大である。
る光学フィルタは、外側の積層膜が経年変化を起こして
も光学的変化は極めて小さい。従って、長期に亙って、
非常に安定な光学特性が要求される光ファイバ通信シス
テムへ応用され、その効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】図1の実施例におけるバッファ層の等価屈折率
を波長の関数として示した特性図である。
を波長の関数として示した特性図である。
【図3】図1の実施例のシミュレーション透過曲線であ
る。
る。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施例を示す断面図である。
【図6】従来の光学フィルタの積層構造を示す断面図で
ある。
ある。
【図7】図6の従来例のシミュレーション透過曲線であ
る。
る。
101 石英(SiO2 )基板 1〜21,31〜39 積層膜 201〜208 シミュレーション透過曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 晴夫 神奈川県秦野市曽屋667番2号 有限会 社光伸光学内 (56)参考文献 特開 平4−34503(JP,A) 特開 平3−210503(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/28
Claims (3)
- 【請求項1】 基板上に、第1の屈折率を有する第1の
物質と第2の屈折率を有する第2の物質とが交互に積層
されたフィルタ本体、並びに該フィルタ本体上に形成さ
れた透過率を高めるための反射防止層が積層された光学
フィルタにおいて、前記反射防止層の上に等価的な屈折
率がほぼ1となるバッファ層を付加したことを特徴とす
る光学フィルタ。 - 【請求項2】 前記バッファ層が、2種類以上の物質か
らなり、積層構造が対称構造であることを特徴とする請
求項1に記載の光学フィルタ。 - 【請求項3】 前記2種類以上の物質が、酸化チタン
(TiO2 )と石英(SiO2 )であることを特徴とす
る請求項2に記載の光学フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4195868A JP3002059B2 (ja) | 1992-07-01 | 1992-07-01 | 光学フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4195868A JP3002059B2 (ja) | 1992-07-01 | 1992-07-01 | 光学フィルタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06160622A JPH06160622A (ja) | 1994-06-07 |
JP3002059B2 true JP3002059B2 (ja) | 2000-01-24 |
Family
ID=16348329
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4195868A Expired - Fee Related JP3002059B2 (ja) | 1992-07-01 | 1992-07-01 | 光学フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3002059B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100462738C (zh) * | 2005-07-15 | 2009-02-18 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 滤光装置 |
CN100454050C (zh) * | 2005-07-15 | 2009-01-21 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 滤光装置 |
-
1992
- 1992-07-01 JP JP4195868A patent/JP3002059B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06160622A (ja) | 1994-06-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |