JP3001970B2 - 粗イソシアネート濃縮物の蒸溜方法 - Google Patents

粗イソシアネート濃縮物の蒸溜方法

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C263/00Preparation of derivatives of isocyanic acid
    • C07C263/18Separation; Purification; Stabilisation; Use of additives
    • C07C263/20Separation; Purification

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、粗イソシアネート濃縮物からイソシアネー
トを回収する方法に関する。特に、本発明は、イソシア
ネートを生成する際に形成されそして揮発性イソシアネ
ートモノマーおよび副生成物を含む粗イソシアネート濃
縮物から、イソシアネートを分離し回収する方法に関す
る。
発明の背景 イソシアネートを調製する種々の方法は、文献で報告
されている。イソシアネートを調製する重要な工業用方
法には、第1級アミンのホスゲン化が包含される。イソ
シアネートはまた、中性溶媒中での酸アジ化物のクルチ
ウス転位を利用して、調製され得る。このクルチウス反
応は、主として、短鎖の脂肪族ジイソシアネートおよび
不飽和イソシアネートの調製に用いられる。イソシアネ
ートを形成するためのアミドのホフマン転位は、水と反
応しないイソシアネートを調製する(水性媒体を要する
ので)ために有用である。他に、あまり頻繁に用いられ
ない反応には、ヒドロキサミン酸のロッセン転位があ
る。この方法は、セバシンジヒドロキサミン酸のジナト
リウム塩から、オクタメチレンジイソシアネートを調製
することにより、例示され得る。イソシアネート化合物
の他の調製方法は、ソーンダース(Saunders)およびフ
リッシュ(Frisch)のポリウレタン:化学および技術I.
化学、I部、p.17〜28、インターサイエンス出版、ニュ
ーヨーク、ニューヨーク州、1962年に記述されている。
これらの方法、特に、ホスゲン方法では、比較的高分
子量の架橋した副生成物が、かなりの量で形成される。
一般に、この副生成物は、アミンのホスゲン化で得られ
る粗イソシアネート濃縮物溶液の蒸留中または蒸留後に
て、タール様で蒸留不可能な残留物の形状で、得られ
る。
ジイソシアネートの工業用の調製方法では、アミン溶
液は、低温または中程度の温度でホスゲンと混合され
る。得られるスラリーは、次いで、それより高い温度
(例えば、約120〜150℃)に加熱され、蒸留により、生
成物が得られる。この濃縮物の蒸留中に、ウレトジオン
(uretdione)基、イソシアヌレート基、カルボジイミ
ド基、ウレトンイミン(uretone imine)基、尿素基お
よびビウレット基を含有する比較的高分子量の不溶性生
成物が、濃縮物の蒸留中に形成される。蒸留後に残留す
る残留物は、一般に、通常の溶媒に実質的に不溶なスラ
グ様の物質である。残留物の用途を開発するにあたっ
て、かなりの努力がなされているものの、蒸留残留物の
大部分は、ゴミとして捨てられるか炉で燃やされるが、
これらは、相当な困難を伴う。この蒸留残留物が燃やさ
れる場合には、付着性の強い実質的に非引火性のタール
状塊の沈澱物が、しばしば、燃焼室に蓄積し、これらの
タール状塊のいくつかは、約500℃を越える温度で、爆
発的に分解する。
米国特許第4,251,401号は、実質的にモノマーを含ま
ない不溶な粉末状のトリレンジイソシアネート蒸留残留
物の多価ヒドロキシ化合物中での安定な懸濁液の調製を
記述している。この懸濁液は、発泡ポリウレタンプラス
チックを含むポリウレタンプラスチックを生成する際
に、ポリオール成分として有用であると報告されてい
る。米国特許第4,297,456号は、粉砕により、そして必
要に応じて、それに伴っておよび/またはそれに続いて
化学変性反応により、トリレンジイソシアネートの工業
生産で得られる蒸留残留物を最終仕上げする方法を記述
している。この細かく分割された粉末は、種々のプラス
チックを製造する際の反応物充填剤として有用であると
報告されている。
イソシアネート蒸留残留物を取扱い処置する他の方法
が提案されている。米国特許第4,297,456号の1欄に
は、TDI蒸留残留物の溶解に関連した非常に多くの特許
および文献が記述されている。
発明の要旨 燃焼可能な液状懸濁液である残留物が残るようなイソ
シアネート濃縮物から、イソシアネートモノマーを分離
し回収する方法が記述されている。イソシアネートを製
造する際に形成されそして揮発性イソシアネートモノマ
ーおよび副生成物を含むイソシアネート濃縮物から、イ
ソシアネートモノマーを分離し回収する方法は、以下の
工程(A)および(B)を包含する: (A)(A−1)イソシアネート濃縮物と、(A−2)
以下の(A−2−a)および(A−2−b)を含むオイ
ル溶液とを含有する混合物を調製すること: (A−2−a)主要量の炭化水素油、および (A−2−b)少量の無灰分分散剤:および (B)この混合物を高温に加熱し、それによって、液状
残留物を残してイソシアネートモノマーを蒸留し回収す
ること。
好ましい1実施態様では、(A−2−b)の無灰分分
散剤は、以下の(A−2−b−1)と(A−2−b−
2)とを反応させることにより得られる少なくとも1種
のカルボン酸エステルを含有する: (A−2−b−1)少なくとも1種の置換コハク酸
アシル化剤、 (A−2−b−2)以下の一般式(I)の少なくと
も1種のアルコール: R1(OH) (I) ここで、R1は、炭素結合を介してOH基に結合した1価
または多価の有機基であり、そしてmは、1〜約10の整
数である。
他の好ましい1実施態様では、このオイル溶液(A−
2)はまた、少なくとも1種の酸性有機化合物の少なく
とも1種の中性または塩基性アルカリ金属塩またはアル
カリ土類金属塩を、少量で含有する。
この混合物中にオイル溶液が存在することで、イソシ
アネート濃縮物の蒸留が容易となり、一般に、蒸留され
るイソシアネートモノマーの収率が増し、その結果、蒸
留装置から容易に除去される残留物が得られる。この残
留物は、液状懸濁液であり、容易に燃焼し得る。
好ましい実施態様の詳細な説明 イソシアネートモノマーは、揮発性イソシアネートモ
ノマーおよび副生成物を含む粗イソシアネート濃縮物か
ら、高い純度および高収率で回収され得ることが現在発
見されている。一般に、この方法は、粗イソシアネート
濃縮物と、以下で記述のオイル溶液とを含む混合物を調
製すること、およびこの混合物を、一般に減圧下で高温
に加熱し、それによって、イソシアネートモノマーを蒸
留し回収して液状残留物を残すことを包含する。
以下の定義は、他に明らかに指示がなければ、本明細
書および請求の範囲全体に適用される。
アシル化剤の当量数は、存在するカルボン酸官能性の
全数に依存する。アシル化剤の当量数を決定する際に、
カルボン酸アシル化剤として反応し得ないカルボキシル
官能性は、除外される。しかしながら、一般に、これら
アシル化剤中のカルボキシル基1個あたり、1当量のア
シル化剤が存在する。例えば、1モルのオレフィン性重
合体と1モルの無水マレイン酸との反応から誘導される
無水物では、2当量のアシル化剤となる。カルボキシル
官能性の数値(例えば、酸価、ケン化価)を決定する従
来方法は、容易に利用できる。それゆえ、アシル化剤の
当量数は、当業者により容易に決定できる。
多価アルコールの当量は、その分子量を、分子内に存
在する水酸基の全数で割った値である。それゆえ、エチ
レングリコールの当量は、その分子量の1/2である。
アミンまたはポリアミンの当量は、その分子量を、分
子内に存在する窒素(すなわち、>NH基)の全数で割っ
た値である。それゆえ、エチレンジアミンは、その分子
量の1/2に等しい当量を有し、ジエチレントリアミン
は、その分子量の1/3に等しい分子量を有する。ポリア
ルキレンポリアミンの市販混合物の当量は、窒素の原子
量(14)を、ポリアミン中に含有されている窒素の%で
割り、100をかけることにより、決定され得る。それゆ
え、34%の窒素を含有するポリアミン混合物は、41.2の
当量を有する。アンモニアまたはモノアミンの当量は、
その分子量である。
アシル化剤と反応してカルボン酸誘導体(B)を形成
し得るヒドロキシル置換アミンの当量は、その分子量
を、分子内に存在する>NH基および−OH基の全数で割っ
た値である。それゆえ、エタノールアミンは、その分子
量の1/2の当量を有し、そしてジエタノールアミンは、
その分子量の1/3の当量を有する。
本発明で有用なカルボン酸エステル(A−2−b)を
形成するために用いられるヒドロキシアミンの当量は、
その分子量を、存在する水酸基の数で割った値である。
存在する窒素原子は無視される。それゆえ、例えば、ジ
エタノールアミンからエステルを形成するとき、その当
量は、ジエタノールアミンの分子量の1/2である。
「置換基」および「アシル化剤」または「置換コハク
酸アシル化剤]との用語は、それらの通常の意味を示
す。例えば、置換基は、反応の結果として、分子内の他
の原子または基と置き換えられた原子または原子の基で
ある。「アシル化剤」または「置換コハク酸アシル化
剤」との用語は、その化合物それ自体を表し、アシル化
剤または置換コハク酸アシル化剤を形成するために用い
られる未反応の反応物を包含しない。
他に特に指示されていなければ、全ての部およびパー
セントは重量基準であり、全ての温度は摂氏であり、そ
して圧力は大気圧またはそれに近い。
(A−1)粗イソシアネート濃縮物 本発明に従って処理され得る粗イソシアネート濃縮物
は、蒸留前のイソシアネートの調製から得られる濃縮物
である。この濃縮物は、多量のイソシアネート、および
少量の副生成物すなわち第2生成物を含有する。本発明
の方法は、特に、アミンとホスゲンとの反応により得ら
れる粗濃縮物に適用できる。このアミンは、脂肪族アミ
ン、脂環族アミン、芳香族アミン、または混合した脂肪
族−芳香族アミンであり得、これらのアミンは、モノア
ミンまたはポリアミンとされ得る。好ましい1実施態様
では、このアミンは第1級アミンである。
第1級アミンとホスゲンとの間の反応は、周知であ
り、イソシアネートの工業用の調製に利用される。この
反応は、以下のように例示される: R(NH2+xCOCl2→R(NCO)+xHCL ここで、xは、反応に用いられるアミン中に存在する
NH2基の数に等しい整数である。例えば、このアミンが
ジアミン(x=2)なら、このジアミンは、2モルのホ
スゲンと反応に供され、生成物はジイソシアネートであ
る。得られる生成物は、所望のイソシアネートの他に、
非常に多くの副生成物を含有する。これらの副生成物に
は、塩酸アミン、カルバモイルクロライド、置換された
尿素などが含まれる。当該技術分野および本明細書で粗
イソシアネート濃縮物として引用されているのは、この
濃縮物である。
本発明の方法に従って処理された粗イソシアネート濃
縮物中に存在し得る単量体状のイソシアネート(これに
は、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートが含ま
れる)には、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフチレン、ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフチレン
−1,5−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシア
ネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、トリレン
−2,4−ジイソシアネートとトリレン−2,6−ジイソシア
ネートとの混合物、2,4′−および4,4′−ジイソシアナ
トジフェニルメタンおよびこれらの混合物、ジシクロヘ
キシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、シクロヘキ
シルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、フェ
ニルイソシアネート、o−、m−およびp−トルイルイ
ソシアネート、o−、m−およびp−クロロフェニルイ
ソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソシアネー
ト、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2,6
−トリイソシアナト−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ンなどが包含される。粗イソシアネート濃縮物からモノ
マーを蒸留した後に残留する残留物は、一般に、全イソ
シアネート生成物の約5〜10%の量である。本明細書の
方法は、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)の蒸
留および回収に利用できる、 (A−2)オイル溶液 本発明の方法に従って、このイソシアネート濃縮物と
混合されるオイル溶液は、以下の(A−2−a)および
(A−2−b)を含有する: (A−2−a)主要量のオイル;および (A−2−b)少量の少なくとも1種のカルボン酸エ
ステル。
このオイル溶液はまた、以下の(A−2−c)を少量
で含有し得る: (A−2−c)少なくとも1種の酸性有機化合物の少
なくとも1種の中性または塩基性アルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩。
(A−2−a)炭化水素油 本発明のオイル溶液(A−2)を調製する際に利用さ
れる炭化水素油は、天然油、合成油またはそれらの混合
物をベースにし得る。この炭化水素油は、潤滑油または
燃料油として一般に周知のタイプとされ得る。
天然油には、動物油および植物油(例えば、ヒマシ
油、ラード油)だけでなく、鉱物性の潤滑油(例栄え
ば、液状の石油オイル、およびパラフィンタイプ、ナフ
テンタイプまたは混合したパラフィン−ナフテンタイプ
であって、かつ溶媒処理された鉱物性潤滑油または酸処
理された鉱物性潤滑油)が包含される。石炭またはけつ
岩から誘導されるオイルもまた、有用である。合成油に
は、以下の炭化水素油およびハロ置換炭化水素油が包含
される。この炭化水素油およびハロ置換炭化水素油に
は、例えば、重合したオレフィンおよびインターポリマ
ー化したオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロ
ピレン、プロピレン−イソブチレン共重合体、塩素化さ
れたポリブチレンなど);ポリ(1−ヘキセン)、ポリ
(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)など、およびそ
れらの混合物;アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベ
ンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ
−(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニ
ル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、アルキル化さ
れたポリフェニルなど);アルキル化されたジフェニル
エーテルおよびアルキル化されたジフェニルスルフィド
およびその誘導体、それらの類似物および同族体などが
ある。
アルキレンオキシド重合体およびインターポリマーお
よびそれらの誘導体(この誘導体では、その末端水酸基
は、エステル化、エーテル化などにより変性されてい
る)は、用いられ得る周知の合成油の他のクラスを構成
する。これらは、エチレンオキシドまたはプロピレンオ
キシドの重合により調製されるオイル、これらポリオキ
シアルキレン重合体のアルキルエーテルおよびアリール
エーテルにより例示される。
用いられ得る合成油の他の適当なクラスには、ジカル
ボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク
酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、
スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノ
ール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケ
ニルマロン酸など)と、種々のアルコール(例えば、ブ
チルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコ
ール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレン
グリコールなど)とのエステルが包含される。これらエ
ステルの特定の例には、アジピン酸ジブチル、セバシン
酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシ
ル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチ
ル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、
フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール
酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、セバシン
酸1モルとテトラエチレングリコール2モルおよび2−
エチルヘキサン酸2モルとの反応により形成される複合
エステルなどが包含される。
合成油として有用なエステルは、C5〜C12モノカルボ
ン酸と、ポリオールおよびポリオールエーテル(例え
ば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
トリペンタエリスリトールなど)とから形成されるエス
テルをも包含する。
シリコンベースのオイル(例えば、ポリアルキル−、
ポリアリール−、ポリアルコキシ−、またはポリアリー
ルオキシ−シロキサンオイルおよびシリケートオイル)
は、合成の潤滑剤の他の有用なクラスを構成する。これ
には、例えば、テトラエチルシリケート、テトライソプ
ロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シ
リケート、テトラ−(4−メチルヘキシル)シリケー
ト、テトラ−(p−tert−ブチルフェニル)シリケー
ト、ヘキシル−(4−メチル−2−ペントキシ)ジシロ
キサン、ポリ(メチル)シロキサン、ポリ(メチルフェ
ニル)シロキサンなどがある。他の合成油には、リン含
有酸の液状エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リ
ン酸トリオクチル、デカンホスホン酸のジエチルエステ
ルなど)、重合したテトラヒドロフランなどが包含され
る。
上で開示のタイプの未精製油、精製油および再精製油
(および、それらのいずれかの2種またはそれ以上の混
合物であってもよい)は、本発明で用いられ得る。未精
製油とは、天然原料または合成原料から、さらに精製処
理することなく、直接得られる油である。例えば、レト
ルト操作から直接得られるけつ岩油、第1段の蒸留から
直接得られる石油オイル、またはエステル化工程から直
接得られ、かつさらに処理せずに用いられるエステル油
は、未精製油である。精製油は、1種またはそれ以上の
特性を改良するべく、1段またはそれ以上の精製段階で
さらに処理されたこと以外は、未精製油と類似してい
る。このような精製方法の多くは、当業者に周知であ
る。この方法には、例えば、溶媒抽出、水素処理、二次
蒸留、酸または塩基抽出、濾過、浸透などがある。再精
製油は、すでに使用された精製油に、精製油を得るのに
用いた工程と類似の工程を適用することにより、得られ
る。このような再精製油もまた、再生油、再生利用油ま
たは再生加工油として周知であり、そして使用済みの添
加剤および油の分解生成物を除去するべく指示された方
法により、しばしばさらに処理される。
(A−2−b)無灰分分散剤 本発明で用いられるオイル溶液は、少なくとも1種の
無灰分分散剤を含有する。無灰分分散剤は、その組成に
依存して、燃焼すると非揮発性物質(例えば、酸化ホウ
素または五酸化リン)を生じ得るという事実にもかかわ
らず、無灰分であるとして引用される。しかしながら、
この無灰分分散剤は、通常、金属を含有せず、従って、
燃焼しても金属含有の灰分を生じない。多くのタイプの
無灰分分散剤が、従来技術で知られている。それらのい
くつかは、本発明の潤滑組成物での使用に適当である。
本発明の潤滑組成物で利用され得る無灰分分散剤には、
カルボン酸分散剤;アミン分散剤;マンニッヒ分散剤;
重合体分散剤;および以下のような試薬で後処理された
カルボン酸分散剤またはアミン分散剤またはマンニッヒ
分散剤が包含される:尿素、チオ尿素、二硫化炭素、ア
ルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換された無
水コハク酸、ニトリル、エポキシド、ホウ素含有化合
物、リン含有化合物など。
アミン分散剤は、比較的高分子量の脂肪族ハロゲン化
物または脂環族ハロゲン化物と、アミン(好ましくは、
ポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。ア
ミン分散剤は周知であり、以下のような従来技術に記述
されている:米国特許第3,275,554号;第3,438,757号;
第3,454,555号;および第3,565,804号。マンニッヒ分散
剤は、アルキル基が少なくとも約30個の炭素原子を含有
するようなアルキルフェノールと、アルデヒド(特に、
ホルムアルデヒド)およびアミン(特に、ポリアルキレ
ンポリアミン)との反応生成物である。次の特許に記述
の物質は、マンニッヒ分散剤の例示である:米国特許第
3,413,347号;第3,697,574号;第3,725,277号;第3,72
5,480号;第3,726,882号;および第4,454,059号。
カルボン酸分散剤、アミン分散剤またはマンニッヒ分
散剤を、以下のような試薬で後処理することにより得ら
れる生成物は、有用な無灰分分散剤である:尿素、チオ
尿素、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、
炭化水素置換された無水コハク酸、ニトリル、エポキシ
ド、ホウ素含有化合物、リン含有化合物など。この種の
例示物質は、次の米国特許に記述されている:米国特許
第3,036,003号;第3,200,107号;第3,254,025号;第3,2
78,550号;第3,281,428号;第3,282,955号;第3,366,56
9号;第3,373,111号;第3,442,808号;第3,455,832号;
第3,493,520号;第3,513,093号;第3.539,633号;3,579,
450号;第3,600,372号;第3,639,242号;第3,649,659
号;第3,703,536号;および第3,708,522号。重合体分散
剤は、油溶性のモノマー(例えば、メタクリル酸デシ
ル、ビニルデシルエーテルおよび高分子量オレフィン)
と、極性置換基を含有するモノマー(例えば、アクリル
酸アミノアルキルまたはアクリルアミド、およびポリ
(オキシエチレン)置換されたアクリル酸エステル)と
のインターポリマーである。重合体分散剤は、以下の米
国特許に開示されている:米国特許第3,329,658号;第
3,449,250号;第3,519,565号;第3,666,730号;第3,68
7,849号;および第3,702,300号。上で示した特許の全て
の内容は、無灰分分散剤の開示に関して、ここに援用さ
れている。
カルボン酸分散剤は、一般に、置換されたカルボン酸
アシル化剤(例えば、置換されたカルボン酸またはそれ
らの誘導体)と、以下の(a)、(b)、(c)および
(d)との反応生成物である:(a)その構造内に、少
なくとも1個の>NH基が存在することにより特徴づけら
れるアミン、(b)ヒドロキシ芳香族化合物やアルコー
ルのような有機ヒドロキシ化合物、(c)反応性金属ま
たは反応性金属化合物のような塩基性無機物質、および
(d)(a)から(c)の2種またはそれ以上の混合
物。置換されたカルボン酸アシル化剤とアミン化合物と
の反応により得られる分散剤は、しばしば、「アシル化
されたアミン分散剤」または「カルボン酸イミド分散
剤」(例えば、コハク酸イミド分散剤)として示され
る。置換されたカルボン酸アシル化剤と、アルコールま
たはフェノールとの反応により得られる無灰分分散剤
は、カルボン酸エステル分散剤として示される。
この置換されたカルボン酸アシル化剤は、モノカルボ
ン酸またはポリカルボン酸から誘導され得る。ポリカル
ボン酸が一般に好ましい。このアシル化剤は、カルボン
酸またはカルボン酸の誘導体(例えば、ハロゲン化物、
エステル、無水物など)とされ得る。遊離のカルボン
酸、またはポリカルボン酸の無水物は、好ましいアシル
化剤である。
好ましい1実施態様では、本発明で利用される無灰分
分散剤は、アシル化アミンか、または以下の反応により
得られる分散剤である:この反応は、カルボン酸アシル
化剤と、窒素基に結合した少なくとも1個の水素を含有
する少なくとも1種のアミンとの反応である。好ましい
1実施態様では、このアシル化剤は、炭化水素置換され
たコハク酸アシル化剤である。
本発明で有用な窒素含有のカルボン酸分散剤は、当該
技術分野で周知であり、以下を包含する多くの米国特許
に記述されている: 第3,172,892号 第3,341,542号 第3,630,904号 第3,215,707号 第3,444,170号 第3,632,511号 第3,219,666号 第3,454,607号 第3,787,374号 第3,316,177号 第3,541,012号 第4,234,435号 上の米国特許の内容は、窒素含有のカルボン酸分散剤
の調製の教示について、ここに明白に援用されている。
一般に、この窒素含有のカルボン酸分散剤は、少なく
とも1種の置換コハク酸アシル化剤と、少なくとも1個
の>NH基を含有する少なくとも1種のアミン化合物とを
反応させることにより、生成させる。ここで、このアシ
ル化剤は、置換基およびコハク酸基からなり、ここで、
この置換基は、少なくとも約700(さらに一般的には、
約700〜約5000)のMn値(数平均分子量)により特徴づ
けられるポリアルケンから誘導される。一般に、この反
応は、アシル化剤1当量あたり、約0.5当量〜約2モル
のアミン化合物を包含する。
同様に、このカルボン酸エステル分散剤は、上で記述
のカルボン酸アシル化剤と、1種またはそれ以上のアル
コールまたはヒドロキシ芳香族化合物とを、アシル化剤
1当量あたり、約0.5当量〜約2モルのヒドロキシ化合
物の比で反応させることにより、調製される。カルボン
酸エステル分散剤の調製は、米国特許第3,522,179号お
よび第4,234,435号のような従来技術に記述されてい
る。
本発明での使用に好ましい無灰分分散剤は、(A−2
−b−1)少なくとも1種の置換コハク酸アシル化剤
と、(A−2−b−2)以下の一般式の少なくとも1種
のアルコールまたは芳香族ヒドロキシ化合物とを反応さ
せることにより、生成されるカルボン酸エステルであ
る: R1(OH) (I) ここで、R1は、炭素結合を介して−OH基に結合した1
価または多価の有機基であり、そしてmは、1〜約10の
整数である。このカルボン酸エステルは、分散性を与え
るために、オイル溶液(A−2)に含有される。
このカルボン酸エステルの調製に利用される置換コハ
ク酸アシル化剤(A−2−b−1)は、その構造内に、
2つの基または部分が存在することにより、特徴づけら
れ得る。第1の基または部分は、この後で、便宜上、
「置換基」と呼ばれ、ポリアルケンから誘導される。
この置換基が誘導されるポリアルケンは、少なくとも
約8個の炭素原子を含有することにより特徴づけられ、
大ていの場合には、少なくとも約30個の炭素原子を含有
することにより特徴づけられる。1実施態様では、この
ポリアルケンは、少なくとも約700の数平均分子量を有
する。約700〜約5000の数平均分子量が好ましい。他の
好ましい実施態様では、このアシル化剤の置換基は、約
1300〜5000のMn値および約1.5〜約4.5のMw/Mn値により
特徴づけられるポリアルケンから誘導される。用語Mw
は、重量平均分子量を示す。
このアシル化剤中の第2の基または部分は、「コハク
酸基」として、ここに示されている。このコハク酸基
は、以下の構造により特徴づけられる基である: ここで、XおよびX′は、同一または相異なる。但
し、少なくとも1個のXおよびX′は、この置換コハク
酸アシル化剤が、カルボン酸アシル化剤として機能し得
るように与えられる。すなわち、XおよびX′の少なく
とも1個は、この置換アシル化剤が、アミノ化合物と共
に、アミドまたはアミン塩を形成し得るような基とされ
なければならない。そうでなければ、この置換アシル化
剤は、通常のカルボン酸アシル化剤として機能する。ア
ミド交換反応は、本発明の目的上、通常のアシル化反応
と考えられる。
それゆえ、Xおよび/またはX′は、通常、−OH、−
O−ヒドロカルビル、−O−M+である。ここで、M+は、
1当量の金属、アンモニウムカチオンまたはアミンカチ
オン、−NH2、−Cl、−Brを表し、またXおよびX′
は、一緒になって、無水物を形成するように、−O−で
あり得る。上の基のいずれかに当たらないようなX基ま
たはX′基を特に同定することは、それが存在していて
も残りの基がアシル化反応に関与するのが妨げられない
限り、重要ではない。しかしながら、好ましくは、Xお
よびX′は、それぞれ、このコハク酸基の両方のカルボ
キシル官能性(すなわち、−C(O)Xおよび−C
(O)X′の両方)がアシル化反応に関与し得るような
ものである。
式IIの基における不完全な原子価の1つは、この置換
基中の炭素原子と共に炭素−炭素結合を形成する。
他のこのような不完全な原子価は、同一または相異な
る置換基との類似の結合によって完全とされ得るもの
の、このような原子価の1つを除いて全ては、通常、水
素(すなわち、−H)により、満たされる。
上で述べたMn値およびMw値を有するポリアルケンは、
当該技術分野で周知であり、従来の方法に従って調製さ
れ得る。例えば、これらポリアルケンのいくつかは、米
国特許第4,234,435号に記述され例示されている。この
ようなポリアルケンに関するこの特許の開示内容は、こ
こに援用されている。このようなポリアルケン(特に、
ポリブテン)のいくつかは、市販されている。
好ましい1実施態様では、このコハク酸基は、通常、
次式に対応する: ここで、RおよびR′は、それぞれ独立して、−OH、
−Cl、−O−低級アルキルからなる群から選択され、そ
して両者が一緒になった場合、RおよびR′は−O−で
ある。
後者の場合には、このコハク酸基は、無水コハク酸基
である。特定のコハク酸アシル化剤中では、全てのコハ
ク酸基は、同一である必要はないが、それらは、同一で
あり得る。好ましくは、このコハク酸基は、次式に対応
し、また(IV(A))化合物と(IV(B))化合物との
混合物に相当する: この置換基が誘導されるポリアルケンは、重合可能な
オレフィン性モノマー(これは、2個〜約16個の炭素原
子、通常、2個〜約6個の炭素原子を有する)の単独重
合体およびインターポリマーである。このインターポリ
マーは、2種またはそれ以上のオレフィン性モノマー
が、周知の従来方法によってインターポリマー化され
て、以下のポリアルケンを形成する重合体である:この
ポリアルケンは、その構造内に、該2種またはそれ以上
のオレフィン性モノマーのそれぞれから誘導される単位
を有する。それゆえ、ここで用いられる「インターポリ
マー」とは、共重合体、三元共重合体、四元共重合体な
どを包含する。当業者に明らかなように、この置換基が
誘導されるポリアルケンは、しばしば、通常は「ポリオ
レフィン」として示される。
このポリアルケンが誘導されるオレフィン性モノマー
は、1個またはそれ以上のエチレン性不飽和基(すなわ
ち、>C=C<)の存在により特徴づけられる重合可能
なオレフィン性モノマーである;すなわち、これらは、
モノオレフィン性モノマー(例えば、エチレン、プロピ
レン、ブテン−1、イソブテンおよびオクテン−1)ま
たはポリオレフィン性モノマー(通常、ジオレフィン性
モノマー;例えば、ブタジエン−1,3およびイソプレ
ン)である。
これらのオレフィン性モノマーは、通常、重合可能な
末端オレフィン(すなわち、その構造内に、>C−CH2
基が存在することにより特徴づけられるオレフィン)で
ある。しかしながら、その構造内に、以下の基が存在す
ることにより特徴づけられる重合可能な内部オレフィン
性モノマー(これらは、時には、中間オレフィン(medi
al olefin)として文献に示されている)もまた、ポリ
アルケンを形成するために、用いられ得る: 内部オレフィン性モノマーが使用されるとき、それら
は、通常、インターポリマーであるポリアルケンを生成
するために、末端オレフィンと共に使用される。本発明
の目的では、特定の重合したオレフィン性モノマーが、
末端オレフィンおよび内部オレフィンの両方として分類
され得るとき、それは、末端オレフィンと見なされる。
それゆえ、ペンタジエン−1,3(すなわち、ピペリレ
ン)は、本発明の目的では、末端オレフィンと見なされ
る。
このコハク酸アシル化剤の置換基が誘導されるポリア
ルケンは、一般に、炭化水素基であるものの、それら
は、以下のような非炭化水素置換基を含有していてもよ
い:低級アルコキシ、低級アルキルメルカプト、ヒドロ
キシ、メルカプト、ニトロ、ハロ、シアノ、カルボアル
コキシ(ここで、アルコキシは、通常、低級アルコキシ
である)、アルカノイルオキシなど。但し、この非炭化
水素置換基は、本発明の置換コハク酸アシル化剤の形成
を実質的に妨げない。このような非炭化水素基は、それ
が存在するときには、通常、このポリアルケンの全重量
の約10重量%を越えない。このポリアルケンは、このよ
うな非炭化水素置換基を含有し得るので、ポリアルケン
が製造されるオレフィン性モノマーはまた、このような
置換基を含有し得ることが明らかである。しかしなが
ら、通常、実用性や費用の点から、このオレフィン性モ
ノマーおよびポリアルケンは、塩素基(これは、通常、
本発明の置換コハク酸アシル化剤の形成を促進する)以
外の非炭化水素基を含有しない。(ここで用いられるよ
うに、「低級の」との用語は、「低級アルキル」または
「低級アルコキシ」のような化学基と共に用いられると
き、7個までの炭素原子を有する基を記述するべく意図
される)。
このポリアルケンは、芳香族基(特に、フェニル基、
および低級アルキル置換されたおよび/または低級アル
コキシ置換されたフェニル基、例えば、パラ−(第3級
ブチル)フェニル基)、および脂環族基(例えば、重合
可能な環状オレフィンまたは脂環族で置換された重合可
能な非環状オレフィンから得られるもの)を含有し得る
ものの、このポリアルケンは、通常、このような基を含
有しない。それにもかかわらず、1,3−ジエンとスチレ
ン(例えば、ブタジエン−1,3と、スチレンまたはp−
(第3級ブチル)スチレン)の両方のインターポリマー
から誘導されるポリアルケンは、この一般論の例外であ
る。また、ポリアルケンには芳香族基および脂環族基が
存在し得るので、このポリアルケンが調製されるオレフ
ィン性モノマーは、芳香族基および脂環族基を含有し得
る。
芳香族基および脂環族基のない脂肪族炭化水素ポリア
ルケンには、一般的に好ましい点がある。この一般的に
好ましい点のうち、2個〜約16個の炭素原子を有する末
端炭化水素オレフィンの単独重合体およびインターポリ
マーからなる群から誘導されたポリアルケンについて
は、さらに好ましい点がある。このさらに好ましい点
は、以下の条件により限定される:この条件とは、末端
オレフィンのインターポリマーが通常好ましいものの、
約16個までの炭素原子を有する内部オレフィンから誘導
される重合体単位を約40%までで任意に含有するインタ
ーポリマーもまた、好ましい群にはいるとの条件であ
る。ポリアルケンのさらに好ましいクラスは、2個〜約
6個の炭素原子を有する末端オレフィン(さらに好まし
くは2個〜4個の炭素原子を有する末端オレフィン)の
単独重合体およびインターポリマーからなる群から選択
されるものである。しかしながら、ポリアルケンの他の
好ましいクラスは、後者のさらに好ましいポリアルケン
であり、このポリアルケンは、約6個までの炭素原子を
有する内部オレフィンから誘導された重合体単位を25%
までで任意に含有する。
従来周知の重合法法に従って、ポリアルケンを調製す
るために用いられ得る末端オレフィンモノマーおよび内
部オレフィンモノマーの特定の例には、エチレン;プロ
ピレン;ブテン−1;ブテン−2;イソブテン;ペンテン−
1;ヘキセン−1;ヘプテン−1;オクテン−1;ノネン−1;デ
セン−1;ペンテン−2;プロピレンテトラマー;ジイソブ
チレン;イソブチレントリマー;ブタジエン−1,2;ブタ
ジエン−1,3;ペンタジエン−1,2;ペンタジエン−1,3;ペ
ンタジエン−1,4;イソプレン;ヘキサジエン−1,5;2−
クロロブタジエン−1,3;2−メチルヘプテン−1;3−シク
ロヘキシルブテン−1;2−メチルペンテン−1;スチレン;
2,4−ジクロロスチレン;ジビニルベンゼン;酢酸ビニ
ル;アリルアルコール;1−メチル酢酸ビニル;アクリロ
ニトリル;アクリル酸エチル;メタクリル酸メチル;エ
チルビニルエーテル;およびメチルビニルケトンが包含
される。これらのうち、炭化水素系の重合可能なモノマ
ーは、好ましい。これら炭化水素系モノマーのうち、末
端オレフィン性モノマーは、特に好ましい。
ポリアルケンの特定の例には、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−イ
ソブテン共重合体、イソブテン−ブタジンエン−1,3共
重合体、プロペン−イソプレン共重合体、イソブテン−
クロロプレン共重合体、イソブテン−(パラメチル)ス
チレン共重合体、ベキセン−1とヘキサジエン−1,3と
の共重合体、オクテン−1とヘキセン−1との共重合
体、ヘプテン−1とペンテン−1との共重合体、3−メ
チルブテン−1とオクテン−1との共重合体、3,3−ジ
メチルペンテン−1とヘキセン−1との共重合体、およ
びイソブテンとスチレンとピペリレンとの三元共重合体
が包含される。このようなインターポリマーのさらに特
定の例には、95重量%イソプテンと5重量%スチレンと
の共重合体;98%イソブテンと1%ピペリレンと1%ク
ロロプレンとの三元共重合体;95%イソブテンと2%ブ
テン−1と3%ヘキセン−1との三元共重合体;60%イ
ソブテンと20%ペンテン−1と20%オクテン−1との三
元共重合体;80%ヘキセン−1と20%ヘプテン−1との
共重合体;90%イソブテンと2%シクロヘキセンと8%
プロピレンとの三元共重合体;および80%エチレンと20
%プロピレンとの共重合体が包含される。ポリアルケン
の好ましい原料は、ルイス酸触媒(例えば、三塩化アル
ミニウムまたは三フッ化ホウ素)の存在下にて、C4精製
流(これは、約35重量%〜約75重量%のブテン含量、お
よび約30重量%〜約60重量%のイソブテン含量を有す
る)の重合により得られる、ポリ(イソブテン)類であ
る。これらポリブテン類は、主といて(全繰り返し単位
の約80重量%を越える量で)、次式の立体配置のイソブ
テン(すなわちイソブチレン)繰り返し単位を含有す
る: この置換基が誘導されるポリアルケンは、約1300〜約
5000のMn値、および少なくとも約1.5のMw/Mn値(さらに
一般的には、約1.5〜約4.5のMw/Mn値または約1.5〜約4.
0のMw/Mn値)により特徴づけられ得る。略字Mwは、重量
平均分子量を表す通常の記号であり、そしてMnは、数平
均分子量を表す通常の記号である。ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)は、重合体の重量平均分
子量および数平均分子量の両方を知る方法であるだけで
なく、この重合体の全分子量分布を知る方法でもある。
本発明の目的では、イソブテン、ポリイソブテンの一連
の分画された重合体が、GPCの較正標準として用いられ
る。
重合体のMn値およびMw値を決定する方法は、周知であ
り、非常に多くの文献および論文に記述されている。例
えば、重合体のMnおよび分子量分布を決定する方法は、
W.W.ヤン(Yan)、J.J.キルクランド(Kirkland)およ
びD.D.ブリー(Bly)の「最近のサイズ排除液状クロマ
トグラフ」(J.ウィレイ(Wiley)およびサンズ(Son
s)、Inc.、1979年)に記述されている。
明らかに、上で記述のようなポリアルケン(これは、
MnおよびMw/Mnについての種々の基準に合っている)を
調製することは、当該技術の範囲内であり、本発明の一
部に含まれない。当業者に容易に明らかな技術には、重
合温度を制御すること、重合開始剤および/または触媒
の量やタイプを調節すること、重合過程で連鎖停止基を
使用することなどが包含される。他の従来方法(例え
ば、非常に軽い断片をストリッピングすること(真空ス
トリッピングを含めた)、および/または高分子量ポリ
アルケンを酸化的または機械的に分解して、低分子量ポ
リアルケンを生成すること)もまた、用いられ得る。
この置換コハク酸アシル化剤(A−2−b−1)を調
製する際に、1種またはそれ以上の上記ポリアルケン
は、以下の一般式のマレイン酸反応物またはフマル酸反
応物からなる群から選択される1種またはそれ以上の酸
性反応物と反応する: X(O)C−CH=CH−C(O)X′ (V) ここで、XおよびX′は、式IIにて、上記で定義され
ている。好ましくは、このマレイン酸反応物およびフマ
ル酸反応物は、次式に対応する1種またはそれ以上の化
合物である: RC(O)−CH=CH−C(O)R′ (VI) ここで、RおよびR′は、ここでの式IIIで先に定義
したものと同じである。
通常、このマレイン酸反応物またはフマル酸反応物
は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、またはこ
れらの2種またはそれ以上の混合物である。このマレイ
ン酸反応物は、通常、フマル酸反応物より好ましい。前
者は容易に入手可能であるうえに、一般に、容易にポリ
アルケン(またはそれらの誘導体)と反応して、本発明
の置換コハク酸アシル化剤が調製されるからである。特
に好ましい反応物は、マレイン酸、無水マレイン酸、お
よびそれらの混合物である。入手可能性および反応の容
易さのために、通常、無水マレイン酸が使用される。
1種またはそれ以上のポリアルケン、および1種また
はそれ以上のマレイン酸反応物またはフマル酸反応物
は、本発明で有用な置換コハク酸アシル化剤を生成する
ために、いくつかの周知方法のいずれかに従って、反応
に供され得る。便宜上および簡潔性のために、「マレイ
ン酸反応物」との用語が、しばしばこの後で用いられ
る。これが用いられるとき、この用語は、上の式(V)
および式(VI)に相当するマレイン酸反応物およびフマ
ル酸反応物から選択される酸性反応物(これには、この
ような反応物の混合物が包含される)の総称であること
が理解されるべきである。
置換コハク酸アシル化剤(A−2−b−1)を調製す
るための1つの方法は、米国特許第3,219,666号(Norma
nら)に、一部例示されている。これらの内容は、コハ
ク酸アシル化剤の調製に関して、その教示がここに明ら
かに援用されている。この方法は、「2段階方法」とし
て、都合よく示される。それには、まず、ポリアルケン
の各分子量あたり、平均して、少なくとも約1個の塩素
基が存在するまで、このポリアルケンを塩素化すること
が包含される。(本発明の目的上、このポルアルケンの
分子量は、Mn値に対応する重量である)。塩素化は、塩
素化ポリアルケンに所望量の塩素が含有されるまで、こ
のポリアルケンを塩素ガスと単に接触させることを包含
する。塩素化は、一般に、約75℃〜約125℃の温度で行
われる。この塩素化方法で希釈剤が用いられるなら、そ
れは、それ自体、容易には塩素化されないものとされる
べきである。多価塩素化されたおよび過塩素化されたお
よび/またはフッ素化されたアルカンおよびベンゼン
は、適当な希釈剤の例である。
2段階塩素化方法の第2段階は、通常、約100℃〜約2
00℃の範囲内の温度で、この塩素化ポリアルケンとマレ
イン酸反応物とを反応させることがある。マレイン酸反
応物に対する塩素化ポリアルケンのモル比は、通常、少
なくとも約1:1.3である。(この明細書では、塩素化ポ
リアルケンのモル数は、塩素化されていないポリアルケ
ンのMn値に対応する塩素化ポリアルケンの重量であ
る)。しかしながら、化学量論的に過剰なマレイン酸反
応物が用いられ得、例えば、1:2のモル比が用いられ得
る。塩素化ポリアルケン1分子あたり、1モルより多い
マレイン酸反応物が反応し得る。このような状況のため
に、マレイン酸反応物に対する塩素化ポリアルケンの比
は、当量で記述するほうが良い。(本発明の目的上、塩
素化ポリアルケンの当量は、Mn値を、塩素化ポリアルケ
ン1分子あたりの塩素基の平均数で割った値に対応する
重量であり、これに対して、マレイン酸の当量は、その
分子量である)。それゆえ、マレイン酸反応物に対する
塩素化ポリアルケンの比は、通常、1モルの塩素化ポリ
アルケンに対し、少なくとも約1.3当量のマレイン酸反
応物を提供するような値である。未反応の過剰なマレイ
ン酸反応物は、通常、真空下にて、反応生成物からスト
リッピングされ得るか、または以下で説明する方法のさ
らに別の工程で、反応し得る。
得られたポリアルケニル置換コハク酸アシル化剤は、
もし所望数のコハク酸基が生成物中に存在しないから、
必要に応じて、再び塩素化される。これに続く塩素化の
際に、第2段階に由来の過剰のマレイン酸反応物が存在
するなら、この過剰量は、この引き続いた塩素化中に、
追加の塩素を導入するにつれて、反応する。そうでなけ
れば、別の塩素化段階中および/またはそれに続いて、
追加のマレイン酸反応物が導入される。この方法は、置
換基の1当量あたりのコハク酸基の全数が所望レベルに
達するまで、繰り返され得る。
この置換コハク酸アシル化剤(A−2−b−1)を調
製する他の方法は、米国特許第3,912,764号(パーマー
(Palmer))および英国特許第1,440,219号に記述の方
法を利用し、両方の内容は、その方法に関する教示につ
いて、ここに明白に援用されている。その方法に従っ
て、このポリアルケンおよびマレイン酸反応物は、「直
接アルキル化」方法にて、それらを共に加熱することに
より、まず反応される。直接のアルキル化工程が完結す
ると、この反応混合物に塩素が導入され、残りの未反応
マレイン酸反応物の反応が促進される。これらの特許に
従って、この反応では、1モルのオレフィン性モノマー
(すなわち、ポリアルケン)に対し、0.3〜2モルまた
はそれ以上の無水マレイン酸が用いられる。この直接の
アルキル化工程は、180℃〜250℃の温度で行われる。塩
素導入段階中では、160℃〜225℃の温度が使用される。
置換コハク酸アシル化剤を調製するために、この方法を
利用する際に、ポリアルケン(すなわち、最終生成物中
の反応したポリアルケニル)1当量あたり、最終生成物
(すなわち、置換コハク酸アシル化剤)に少なくとも1.
3個のコハク酸基を導入するのに充分な量のマレイン酸
反応物および塩素を用いる必要がある。
アシル化剤(A−2−b−1)を調製する他の方法も
また、先行文献に記述されている。米国特許第4,110,34
9号(コーエン(Cohen))には2段階方法が記述され、
アシル化剤の2段階調製方法に関する米国特許第4,110,
349号の開示内容は、ここに援用されている。
効率、全体的な経済性、および製造されるアシル化剤
の性能および、それらの誘導体の性能の見地から、置換
コハク酸アシル化剤(A−2−b−1)の好ましい1調
製方法は、いわゆる「1段階」方法である。この方法
は、米国特許第3,215,707号(レンス(Rense))および
第3,231,587号(レンス)に記述されている。両方の特
許の内容は、この方法に関する教示について、ここに明
白に援用されている。
基本的には、この1段階方法は、ポリアルケンおよび
マレイン酸反応物の混合物(これは、所望の置換コハク
酸アシル化剤を得るのに必要な量の両成分を含有する)
を調製することを包含する。このことは、1当量の置換
基に対し少なくとも1.3個のコハク酸基が存在し得るよ
うに、1モルのポリアルケンに対し、少なくとも1.3モ
ルのマレイン酸反応物が存在しなければならないという
意味である。次いで、温度を少なくとも約140℃に維持
しつつ、攪拌しながら塩素ガスを通すことにより、この
混合物に塩素が導入される。
この方法の変形方法には、塩素導入中またはそれに続
いて、追加のマレイン酸反応物を添加することが包含さ
れるが、米国特許第3,215,707号および第3,231,587号に
説明されている理由から、この変形方法は、現在では、
全てのポリアルケンおよび全てのマレイン酸反応物を、
塩素導入前に最初に混合した状態ほど好ましくない。
通常、このポリアルケンが、140℃およびそれ以上で
充分に液体状態の場合、この第1段階の工程で、追加の
実質的に不活性で通常液状の溶媒/希釈剤を用いる必要
はない。しかしながら、この前に説明したように、溶媒
/希釈剤が使用されるなら、それは、好ましくは、塩素
化に抵抗のあるものとされる。また、ポリ塩素化された
および過塩素化されたおよび/またはフッ素化されたア
ルカン、シクロアルカンおよびベンゼンは、この目的の
ために用いられ得る。
塩素は、この1段階工程中に、連続的にまたは断続的
に導入され得る。塩素の導入割合は重要ではないが、塩
素を最大限に利用するために、この割合は、反応の過程
で消費される塩素の割合とほぼ同じとされるべきであ
る。塩素の導入割合が消費割合を越えると、反応混合物
から塩素が発生する。反応物の利用を最大にするように
塩素およびマレイン酸反応物の損失を回避するために、
大気圧以上の圧力状態を含めた閉鎖系を用いるのが、し
ばしば有利となる。
この1段階工程にて、適当な割合で反応が起こる最低
の温度は、約140℃である。それゆえ、この工程が通常
行われる最低温度は、140℃付近にある。好ましい温度
範囲は、通常、約160℃と約220℃の間である。250℃ま
たはそれ以上の温度といったより高い温度は、用いられ
得るが、通常、ほとんど有利な点はない。実際には、本
発明の特定のアシル化されたコハク酸組成物を調製する
ことに関しては、220℃を越える温度は、しばしば、不
利となる。これらの温度では、ポリアルケンが「破壊さ
れる」傾向にあり(すなわち、熱分解により、その分子
量が低下する)、および/またはマレイン酸反応物が分
解されやすいからである。この理由のために、温度は、
通常、約200℃〜約210℃の最大温度を越えない。この1
段階方法での有用な温度の上限は、主として、反応物お
よび所望生成物を含む反応混合物中の成分の分解点によ
り、決定される。この分解点とは、例えば、所望生成物
の生成を妨げるような反応物または生成物の充分な分解
が起こる温度である。
この1段階方法では、塩素に対するマレイン酸反応物
のモル比は、生成物に含まれるマレイン酸反応物1モル
に対し、少なくとも約1モルの塩素が存在するような値
である。さらに、実用的な理由から、わずかに過剰量の
塩素、通常、約5重量%〜約30重量%付近の塩素が、反
応混合物からの塩素の損失を補うために利用される。過
剰の塩素をさらに多量で使用してもよいが、特に有益な
結果が得られないことが明らかである。
先に述べたように、1実施態様では、マレイン酸反応
物に対するポリアルケンのモル比は、ポリアルケン1モ
ルあたり、少なくとも約1.3モルのマレイン酸反応物が
存在するような比である。これは、生成物中の置換基1
当量あたり、少なくとも1.3個のコハク酸基が存在し得
るのに必要である。しかしながら、好ましくは、過剰の
マレイン酸反応物が用いられる。それゆえ、通常、生成
物中に所望数のコハク酸基を得るのに必要な量に比べ
て、約5%〜約25%過剰のマレイン酸反応物が用いられ
る。
「置換コハク酸アシル化剤」との専門用語は、それら
が製造される方法にかからわず、置換コハク酸アシル化
剤を記述する際に、ここで用いられる。明らかに、先に
より詳細に論じたように、置換コハク酸アシル化剤を生
成するには、いくつかの方法が利用可能である。他方、
専門用語「置換アシル化組成物」は、ここで詳細に記述
した特定の好ましい方法により製造される反応混合物を
記述するために、用いられ得る。それゆえ、特定の置換
アシル化組成物の同一性は、特定の製造方法に依存す
る。これは、特に以下の理由から、正しい:すなわち、
本発明の生成物は、明らかに、上で定義され論じられた
ような置換コハク酸アシル化剤であるものの、それらの
構造は、1つの特定の化学式では表され得ない。実際に
は、生成物の混合物が本質的に存在する。簡潔にする目
的で、専門用語「アシル化試薬」は、本発明で用いられ
る置換コハク酸アシル化剤と置換アシル化組成物の両方
を集合的に示すために、しばしばこの後で用いられる。
カルボン酸エステル(A−2−b)は、上記コハク酸
アシル化剤と、式Iに関して先に定義のヒドロキシ化合
物[R1(OH)]とのエステルである。このヒドロキシ
化合物は、脂肪族化合物(例えば、1価アルコールおよ
び多価アルコール)、または芳香族ヒドロキシ化合物
(例えば、フェノールおよびナフトール)であり得る。
芳香族ヒドロキシ化合物には、フェノール(これは、
好ましい)、炭素−、酸素−、イオウ−および窒素で架
橋されたフェノールなどだけでなく、共有結合を介して
直接結合したフェノール(例えば、4,4′−ビス−(ヒ
ドロキシ)ビフェニル)、縮合環炭化水素から誘導され
たヒドロキシ化合物(例えば、ナフトールなど);およ
びポリヒドロキシ化合物(例えば、カテコール、レゾル
シノールおよびヒドロキノン)が包含される。1種また
はそれ以上の芳香族ヒドロキシ化合物の混合物は、第1
の試薬として用いられ得る。
これらの芳香族ヒドロキシ化合物は、好ましくは、少
なくとも6個の炭素原子(通常、少なくとも約30個の炭
素原子、さらに好ましくは、少なくとも50個の炭素原
子)および約7000個までの炭素原子を有する脂肪族また
は脂環族置換基の少なくとも1個(好ましくは、2個よ
り少ない数)で置換されている。このような置換基の例
は、オレフィン(たとえば、エチレン、プロピレン、1
−ブテン、2−ブテン、イソブテンなど)の重合から誘
導される。単独重合体(これは、単一のオレフィンモノ
マーから製造される)およびインターポリマー(これ
は、2種またはそれ以上のオレフィンモノマーから製造
される)の両方は、これらの置換基源として供され得、
ここで用いられる用語「重合体」に包含される。エチレ
ン、プロピレン、1−ブテンおよびイソブテンの重合体
から誘導された置換基は好ましく、特に、少なくとも約
30個の脂肪族炭素原子(好ましくは、少なくとも約50個
の脂肪族炭素原子)を含有するものが好ましい。
この脂肪族置換基または脂環族置換基のフェノールま
たは他の芳香族ヒドロキシ化合物への導入は、通常、炭
化水素(またはそのハロゲン化誘導体など)とフェノー
ルとを、適当な触媒(例えば、三塩化アルミニウム、三
フッ化ホウ素、塩化亜鉛など)の存在下にて、約50〜20
0℃の温度で行われる。例えば、米国特許第3,368,972号
を参照せよ。この内容は、このことに関する開示につい
て、ここに援用されている。この置換基はまた、当該技
術分野で周知の他のアルキル化工程により、導入され得
る。
このエステルが誘導され得る芳香族ヒドロキシ化合物
は、以下の特定の例により、例示される:フェノール、
β−ナフトール、α−ナフトール、クレゾール、レソル
シノール、カテコール、p,p′−ジヒドロキシビフェニ
ル、2−クロロフェノール、2,4−ジブチルフェノール
など。
このエステルが誘導され得るアルコールは、好ましく
は、約40個までの脂肪族炭素原子を含有する。これらの
アルコールは、以下のような1価アルコールとされ得
る:メタノール、エタノール、イソオクタノール、ドデ
カノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、
ベヘニルアルコール、ヘキサトリアコンタノール、ネオ
ペンチルアルコール、イソブチルアルコール、ベンジル
アルコール、β−フェニルエチルアルコール、2−メチ
ルシクロヘキサノール、β−クロロエタノール、エチレ
ングリコールのモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルのモノブチルエーテル、ジエチレングリコールのモノ
プロピルエーテル、トリエチレングリコールのモノドデ
シルエーテル、エチレングリコールのモノオレエート、
ジエチレングリコールのモノステアレート、sec−ペン
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、5−ブロモ
ドデカノール、ニトロオクタデカノールおよびグリセロ
ールのジオレエート。多価アルコールは、好ましくは、
2個〜約10個の水酸基を含有する。これらは、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリプロピレングリコール、ジブチレ
ングリコール、トリブチレングリコール、および他のア
ルキレングリコール類(ここで、このアルキレン基は、
2個〜約8個の炭素原子を含有する)により、例示され
る。他の有用な多価アルコールには、グリセロール、グ
リセロールのモノオレエート、グリセロールのモノステ
アレート、グリセロールのモノメチルエーテル、ペンタ
エリスリトール、9,10−ジヒドロキシステアリン酸、1,
2−ブタンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘ
キサンジオール、ピナコール、エリスリトール、アラビ
トール、ソルビトール、マンニトール、1,2−シクロヘ
キサンジオール、およびキシレングリコールが包含され
る。
特に好ましいクラスの多価アルコールは、少なくとも
3個の水酸基を有するものである。それらのいくつか
は、約8個〜約30個の炭素原子を有するモノカルボン酸
(例えば、オクタン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リ
ノール酸、ドデカン酸、またはトール油酸)で、エステ
ル化されている。このような部分エステル化された多価
アルコールの例には、ソルビトールのモノオレエート、
ソルビトールのジステアレート、グリセロールのモノオ
レエート、グリセロールのモノステアレート、エリスリ
トールのジドデカノエートがある。
このエステル(A−2−b)はまた、不飽和アルコー
ル(例えば、アリルアルコール、シンナミルアルコー
ル、プロパルギルアルコール、1−シクロヘキセン−3
−オール、およびオレイルアルコール)から誘導され得
る。本発明のエステルを生じ得るアルコールのさらに他
のクラスには、エーテル−アルコールおよびアミノ−ア
ルコールが包含される。このエーテル−アルコールおよ
びアミノ−アルコールには、例えば、オキシアルキレン
置換アルコール、オキシアリーレン置換アルコール、ア
ミノアルキレン置換アルコール、およびアミノアリーレ
ン置換アルコール(これらは、1個またはそれ以上のオ
キシアルキレン基、アミノアルキレン基、またはアミノ
アリーレン基またはオキシアリーレン基を有する)が包
含される。これらは、セロソルブ(Cellosolve)、カル
ビトール(Carbitol)、フェノキシエタノール、モノ
(ヘプチルフェニル−オキシプロピレン)置換グリセロ
ール、ポリ(スチレンオキシド)、アミノエタノール、
3−アミノエチルペンタノール、ジ(ヒドロキシエチ
ル)アミン、p−アミノフェノール、トリ(ヒドロキシ
プロピル)アミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジア
ミン、N,N,N′,N′−テトラヒドロキシトリメチレンジ
アミンなどにより、例示される。大ていの場合には、約
150個までのオキシアルキレン基(ここで、このアルキ
レン基は、1個〜約8個の炭素原子を含有する)を有す
るエーテル−アルコールが好ましい。
このエステルは、コハク酸のジエステル、または酸性
エステル(すなわち、部分エステル化コハク酸)だけで
なく、部分エステル化された多価アルコールまたはフェ
ノール(すなわち、遊離のアルコール性水酸基またはフ
ェノール性水酸基を有するエステル)とされ得る。上で
例示したエステルの混合物も同様に、本発明の範囲内で
考慮される。
本発明での使用に適するクラスのエステルは、コハク
酸と以下のアルコールとのジエステルである:このアル
コールは、約9個までの脂肪族炭素原子を有し、そして
アミノ基およびカルボキシル基からなるクラスから選択
される少なくとも1個の置換基を有する。ここで、この
コハク酸の炭化水素置換基は、約700〜約5000の数平均
分子量を有する重合したブテン置換基である。
このエステル(A−2−b)は、種々の周知方法の1
つにより、調製され得る。便宜上や、生成するエステル
の優れた特性のために、好ましい方法には、適当なアル
コールまたはフェノールと、実質的に炭化水素で置換さ
れた無水コハク酸との反応が包含される。このエステル
化は、通常、約100℃を越える温度、好ましくは150℃と
300℃の間の温度で、行われる。副生成物として形成さ
れる水は、エステル化の進行につれて、蒸留により除去
される。
大ていの場合には、このカルボン酸エステルは、エス
テルの混合物である。この生成物中の正確な化学組成お
よび相対的な割合は、確認することが困難である。結果
として、このような反応の生成物は、それが形成される
方法によって、最もよく記述されている。
上の方法の改良法には、置換された無水コハク酸を、
対応するコハク酸で置き換えることが、包含される。し
かしながら、コハク酸は、約100℃以上の温度で容易に
劣化を受け、その結果、それらの無水物に転化される。
この無水物は、次いで、アルコール反応物との反応によ
り、エステル化される。このことに関して、コハク酸
は、この工程では、実質的に当量のその無水物であるこ
とがわかる。
用いられ得るコハク酸反応物とヒドロキシ反応物との
相対的な割合は、かなりの程度まで、望ましい生成物の
タイプに依存し、そしてヒドロキシ反応物の分子内に存
在する水酸基の数に依存する。例えば、コハク酸の半エ
ステル(すなわち、2つの酸基のうち1つだけがエステ
ル化されているもの)の形成には、1モルの置換コハク
酸反応物に対し、1モルの1価アルコールを使用するこ
とが包含される。これに対して、コハク酸のジエステル
の形成は、1モルの酸に対し、2モルのアルコールを使
用することが包含される。他方、1モルの6価アルコー
ルは、6モル相当のコハク酸と結合し、エステルを形成
し得る。このエステルでは、アルコールの各6個の水酸
基は、コハク酸の2個の酸基のうちの1個でエステル化
されている。それゆえ、多価アルコールと共に用いられ
るコハク酸の最大割合は、このヒドロキシ反応物の分子
内に存在する水酸基の数により、決定される。1実施態
様では、等モル量のコハク酸反応物およびヒドロキシ反
応物の反応により得られるエステルが、好ましい。
ある場合には、触媒(例えば、硫酸、塩酸ピリジン、
塩酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、
リン酸、または他の周知のエステル化触媒)の存在下に
て、エステル化を行うことが有利である。反応の際の触
媒の量は、0.01%(反応混合物の重量基準で)ほどであ
り、大ていの場合、約0.1%〜約5%とされ得る。
このエステル(A−2−b)は、置換コハク酸または
その無水物と、エポキシドまたはエポキシドおよび水の
混合物との反応により、得られる。このような反応は、
酸またはその無水物とグリコールとの反応に類似してい
る。例えば、このエステルは、置換コハク酸と1モルの
エチレンオキシドとの反応により、調製され得る。同様
に、このエステルは、置換コハク酸と2モルのエチレン
オキシドとの反応により、得られる。このような反応に
用いるために、通常、入手可能な他のエポキシドには、
例えば、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、1,2
−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エピク
ロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、1,2−オクチ
レンオキシド、エポキシ化された大豆油、9,10−エポキ
システアリン酸のメチルエステル、およびブタジエンモ
ノエポキシドが包含される。大ていの場合には、このエ
ポキシドは、アルキレンオキシド(ここで、このアルキ
レン基は、2個〜約8個の炭素原子を有する);また
は、エポキシ化樹脂酸エステル(ここで、この脂肪酸基
は、約30個までの炭素原子を有し、そしてこのエステル
基は、約8個までの炭素原子を有する低級アルコールか
ら誘導される)である。
コハク酸またはその無水物の代わりに、このエステル
を調製するための上で例示の方法では、置換コハク酸ハ
ロゲン化物が用いられ得る。このような酸ハロゲン化物
は、酸二臭化物、酸二塩化物、酸一塩化物、および酸一
臭化物とされ得る。この置換コハク酸無水物および酸
は、例えば、無水マレイン酸と、高分子量オレフィンま
たはハロゲン化炭化水素(例えば、先に記述のオレフィ
ン性重合体の塩素化により、得られるもの)と反応によ
り、調製され得る。この反応は、好ましくは約100℃〜
約250℃の温度で、この反応物を単に加熱することを包
含する。このような反応による生成物には、アルケニル
無水コハク酸がある。このアルケニル基は、アルキル基
へと水素添加され得る。この無水物は、水または水蒸気
で処理することにより、対応する酸に加水分解され得
る。コハク酸またはその無水物を調製するために有用な
他の方法には、通常、約100℃〜約250℃の範囲の温度
で、イタコン酸またはその無水物と、オレフィンまたは
塩素化炭化水素とを反応させることが包含される。この
コハク酸ハロゲン化物は、酸またはそれらの無水物と、
ハロゲン化剤(例えば、三臭化リン、五塩化リンまたは
塩化チオニル)との反応により、調製され得る。このカ
ルボン酸エステル(A−2−b)を調製するこれらの方
法および他の方法は、当該技術分野で周知であり、ここ
でさらに詳しく例示する必要はない。例えば、米国特許
第3,522,179号を参照せよ。この特許の内容は、成分
(A−2−b)として有用なカルボン酸エステル組成物
の調製の開示に関して、ここに援用されている。
アシル化剤(ここで、この置換基は、少なくとも約13
00から約5000までのMn、および1.5〜約4のMw/Mn比によ
り特徴づけられるポリアルケンから、誘導される)から
カルボン酸エステル誘導体組成物を調製することは、米
国特許第4,234,435号に記述されている。この特許の内
容は、ここに援用されている。'435号特許で記述されて
いるアシル化剤はまた、1当量の置換基に対し、平均し
て、少なくとも1.3個のコハク酸基をその構造内に有す
るものとして、特徴づけられる。
以下の実施例は、エステル(A−2−b)およびこの
ようなエステルを調製する方法を例示する。
実施例E−1 1000の数平均分子量を有するポリイソブテンを、4.5
%の塩素含量にまで塩素化し、次いで、この塩素化した
ポリイソブテンを、1.2モル割合の無水マレイン酸と共
に、150〜220℃の温度で加熱することにより、実質的に
炭化水素で置換された無水コハク酸を調製する。この無
水コハク酸874グラム(1モル)およびネオペンチルグ
リコール104グラム(1モル)の混合物を、240〜250℃/
30mmで12時間維持する。この残留物は、このグリコール
の1個または両方の水酸基のエステル化により得られる
エステルの混合物である。
実施例E−2 実施例E−1の実質的に炭化水素で置換された無水コ
ハク酸2185グラム、メタノール480グラムおよびトルエ
ン1000ccの混合物を、50〜65℃で加熱することにより、
この無水物のジメチルエステルを調製する。この間、こ
の反応混合物に、3時間にわたって、塩化水素を泡立た
せる。この混合物を、次いで、60〜65℃で2時間加熱
し、ベンゼンに溶解し、水で洗浄し、乾燥しそして濾過
する。この濾液を、150℃/60mmで加熱し、揮発成分を除
去する。この残量物は、所望のジメチルエステルであ
る。
実施例E−3 実施例E−1の実質的に炭化水素で置換された無水コ
ハク酸を、以下のようにして、エーテル−アルコールで
一部エステル化する。この無水物550グラム(0.63モ
ル)、および600の分子量を有する市販のポリエチレン
グリコール190グラム(0.32モル)の混合物を、反応混
合物の酸価が約28に低下するまで、240〜250℃で、大気
圧下にて8時間、そして30mm.Hg.の圧力下にて12時間加
熱する。この残留物は、所望の酸性エステルである。
実施例E−4 121の酸価を有するポリイソブテン置換無水コハク酸9
26グラム、鉱油1023グラム、およびエチレングリコール
124グラム(この無水物1モルあたり、2モル)の混合
物を、50〜170℃で加熱する。この間、この反応混合物
に、1.5時間にわたって塩化水素を泡立たせる。次い
で、この混合物を250℃/30mmまで加熱し、水酸化ナトリ
ウム水溶液で洗浄し続いて水で洗浄することにより残留
物を精製し、次いで、乾燥し濾過する。この濾液は、所
望のエステルの50%オイル溶液である。
実施例E−5 実施例E−1で記述のように調製したポリイソブテン
置換無水コハク酸438グラム、および1000の分子量を有
する市販のポリブチレングリコール333グラムの混合物
を、150〜160℃で10時間加熱する。この残留物は、所望
のエステルである。
実施例E−6 実施例E−1で記述のように調製した実質的に炭化水
素で置換された無水コハク酸645グラム、およびテトラ
メチレングリコール44グラムの混合物を、100〜130℃で
2時間加熱する。この混合物に、無水酢酸(エステル化
触媒)51グラムを加え、得られた混合物を、還流状態に
て、130〜160℃で2.5時間加熱する。その後、この混合
物を196〜270℃/30mmに加熱し次いで240℃/0.15mmで10
時間加熱することにより、混合物の揮発成分を蒸留す
る。この残留物は、所望の酸性エステルである。
実施例E−7 実施例E−1で記述のように調製したポリイソブテン
置換無水コハク酸456グラム、および1000の分子量を有
するポリエチレングリコールのモノフェニルエーテル35
0グラム(0.35モル)の混合物を、150〜155℃で2時間
加熱する。この生成物は、所望のエステルである。
実施例E−8 以下のようにして、ジオレイルエステルを調製する:
実施例E−1で調製したポリイソブテン置換無水コハク
酸1モル、市販のオレイルアルコール2モル、キシレン
305グラム、およびp−トルエンスルホン酸(エステル
化触媒)5グラムの混合物を、150〜173℃で4時間加熱
し、それから、蒸留物として、水18グラムを集める。こ
の残留物を水で洗い、有機層を乾燥し、そして濾過す
る。この濾液を175℃/20mmに加熱すると、残留物は所望
のエステルである。
実施例E−9 エチレンオキシド9モルと、ポリイソブテン置換フェ
ノール(ここでは、ポリイソブテン置換基は、1000の数
平均分子量を有する)0.9モルとを反応させることによ
り、エーテル−アルコールを調製する。2つの反応物
(エーテル−アルコールおよびコハク酸基)の等モル混
合物のキシレン溶液を、触媒量のp−トルエンスルホン
酸の存在下にて、157℃で加熱することにより、このエ
ーテル−アルコールの実質的に炭化水素で置換されたコ
ハク酸エステルを調製する。
実施例E−10 ポリイソブテンに代えて、イソブテン90重量%および
66,000の数平均分子量を有するピペリレン10重量%の共
重合体を用いること以外は、実施例E−1で記述のよう
にして、実質的に炭化水素で置換された無水コハク酸を
調製する。この無水物は、約22の酸化を有する。上の無
水物およびC12-14アルコールから実質的になる市販アル
カノールの等モル混合物のトルエン溶液を、共沸蒸留に
より水を除去しつつ、還流温度で7時間加熱することに
より、エステルを調製する。この残留物を150℃/3mmま
で加熱して、揮発成分を除去し、鉱油で希釈する。エス
テルの50%オイル溶液が得られる。
実施例E−11 (A)ポリイソブテン(Mn=2020;Mw=6049)1000部
(0.495モル)、および無水マレイン酸115部(1.17モ
ル)の混合物を、110℃まで加熱する。この混合物を、
6時間で184℃まで加熱し、この間、表面下にて、気体
状塩素85部(1.2モル)を加える。184〜189℃で、4時
間にわたって、追加の塩素59部(0.83モル)を加える。
この反応混合物を、窒素を吹き込みつつ、186〜190℃で
26時間加熱することにより、ストリッピングする。この
残留物は、ポリイソブテンで置換された所望のコハク酸
アシル化剤(これは、ASTM方法D−94で決定される87の
ケン化価を有する)である。
(B)(A)で調製したポリイソブテン置換コハク酸ア
シル化剤3225部(5.0当量)、ペンタエリスリトール289
部(8.5当量)および鉱油5204部の混合物を、224〜235
℃で5.5時間加熱する。この反応混合物を130℃で濾過
し、所望生成物のオイル溶液を得る。
実施例E−12 約872グラムの鉱油、および実施例E−1のように調
製した置換された無水コハク酸1000グラムの混合物を、
約150〜160℃に加熱し、反応温度を約176℃以下に維持
しつつ、モノペンタエリスリトール109グラムを加え
る。次いで、この混合物を約205℃に加熱し、この温度
で少なくとも8時間維持する。一定量の水を除去しつ
つ、この混合物に、約205℃でさらに8時間酸素を吹き
込む。この混合物を、望ましくは、追加のオイルと配合
し、そして濾過する。この濾液は、所望のエステルのオ
イル溶液(45%はオイル)である。
アシル化剤とヒドロキシ含有化合物(例えば、アルコ
ールまたはフェノール)との反応により得られる上記カ
ルボン酸エステルは、さらに、アミン(A−2−b−
3)、特に、ポリアミンと反応に供され得る。
1実施態様では、このエステルと反応に供されるアミ
ン(A−2−b−3)の量は、アルコールとの反応で最
初に使用されるアシル化剤1当量あたり、少なくとも約
0.01当量のアミンが存在するような量である。アシル化
剤1当量あたり、少なくとも1当量のアルコールが存在
するような量で、このアシル化剤がアルコールと反応に
供される場合、この少量のアミンは、存在し得る少量の
エステル化されていないカルボキシル基と反応するのに
充分である。好ましい1実施態様では、成分(A−2−
b)として利用されるアミン変性されたカルボン酸エス
テルは、アシル化剤の1当量あたり、約1.0〜2.0当量の
ヒドロキシ化合物(好ましくは、約1.0〜1.8当量のヒド
ロキシ化合物)と、約0.3当量まで(好ましくは、約0.0
2〜約0.25当量)のポリアミンとを反応させることによ
り、調製される。
アシル化試薬(A−2−b−1)およびアミン(A−
2−b−3)から生成するアシル化窒素組成物は、アシ
ル化アミンを包含する。このアシル化アミンには、アミ
ン塩、アミド、イミドなどおよびそれらの混合物が包含
され、無灰分分散剤(A−2−b)として有用である。
このアシル化試薬およびアミンは、アシル化剤1当量あ
たり、約1/2当量から約2モルまでのアミンを提供する
のに充分な量で、反応に供される。米国特許第3,172,89
2号;第3,219,666号;第3,272,746号;および第4,234,4
35号の内容は、上記のアシル化試薬とアミンとの反応に
適用される方法に関する開示について、ここに明白に援
用されている。
他の実施態様では、このカルボン酸アシル化剤(A−
2−b−1)は、このアルコールおよびアミンの両方と
同時に反応に供され得る。一般に、少なくとも約0.01当
量のアルコールおよび少なくとも0.01当量のアミンが存
在するが、その配合物の全当量は、アシル化剤1当量あ
たり、少なくとも約0.5当量とされるべきである。
このアミノ化合物(A−2−b−3)は、その構造内
に少なくとも1個のHN<基が存在することにより特徴づ
けられ、モノアミン化合物またはポリアミン化合物であ
り得る。2種またはそれ以上のアミノ化合物の混合物
は、反応で用いられ得る。好ましくは、このアミノ化合
物は、少なくとも1個の第1級アミノ基(すなわち、−
NH2)を含有し、さらに好ましくは、このアミンはポリ
アミン、特に、少なくとも2個の−NH−基を含有するポ
リアミンであって、そのいずれかまたは両方は、第1級
アミンまたは第2級アミンである。このアミンは、脂肪
族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンまたは複素環ア
ミンであり得る。
このモノアミンおよびポリアミンは、その構造内に少
なくとも1個のHN<基が存在することにより、特徴づけ
られるべきである。従って、これらは、少なくとも1個
の第1級アミノ基(すなわち、H2N−)または第2級ア
ミノ基(すなわち、HN=)を有する。このアミンは、脂
肪族、脂環族、芳香族または複素環であってもよい。こ
のアミンには、脂肪族で置換された脂環族アミン、脂肪
族で置換された芳香族アミン、脂肪族で置換された複素
環アミン、脂環族で置換された脂肪族アミン、脂環族で
置換された複素環アミン、芳香族で置換された脂肪族ア
ミン、芳香族で置換された脂環族アミン、芳香族で置換
された複素環アミン、複素環で置換された脂肪族アミ
ン、複素環で置換された脂環族アミン、および複素環で
置換された芳香族アミンが含まれる。これらのアミン
は、飽和または不飽和であってもよい。このアミンはま
た、非炭化水素置換基または基を含有していてもよい。
但し、これらの基が、アミンと、本発明のアシル化試薬
との反応を著しく妨げない限りにおいて。このような非
炭化水素置換基または基としては、低級アルコキシ基、
低級アルキルメルカプト基、ニトロ基、および−O−や
−S−のような中断基(例えば、−CH2、CH2−X−CH2C
H2−(ここで、Xは−O−または−S−である)のよう
な基)が包含される。
この後でさらに完全に記述される分枝状ポリアルキレ
ンポリアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン、およ
び高分子量のヒドロカルビル基で置換されたアミンを除
いて、このアミンは、通常、全体で約40個より少ない炭
素原子、通常、全体で約20個より少ない炭素原子を含有
する。
脂肪族モノアミンには、モノ脂肪族置換アミンおよび
ジ脂肪族置換アミンが包含される。ここで、この脂肪族
基は、飽和または不飽和、および直鎖または分枝鎖とさ
れ得る。それゆえ、これらモノアミンは、第1級または
第2級の脂肪族アミンである。このようなアミンには、
例えば、モノ−およびジアルキル置換アミン、モノ−お
よびジアルケニル置換アミン、および1個のN−アルケ
ニル置換基と1個のN−アルキル置換基とを有するアミ
ンなどが包含される。これら脂肪族モノアミン中の全炭
素原子数は、前に述べたように、通常、約40個の炭素原
子を越えず、ふつうは約20個の炭素原子を越えない。こ
のようなモノアミンの特定の例には、エチルアミン、ジ
エチルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミ
ン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ス
テアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミ
ン、オレイルアミン、N−メチルオクチルアミン、ドデ
シルアミン、オクタデシルアミンなどが包含される。
芳香族アミンには、この芳香環構造の炭素原子がアミ
ノ窒素に直接結合したモノアミンが包含される。この芳
香環は、通常、一核性(mononuclear)の芳香環(すな
わち、ベンゼンから誘導される環)とされる。しかし、
この環には、縮合芳香環、特にナフタレンから誘導され
る環が含まれていてもよい。芳香族モノアミンの例に
は、アニリン、ジ(p−メチルフェニル)アミン、ナフ
チルアミン、N−(n−ブチル)アニリンなどが含まれ
る。脂肪族で置換された芳香族モノアミン、脂環族で置
換された芳香族モノアミン、および複素環で置換された
芳香族モノアミンの例には、p−エトキシアニリン、p
−ドデシルアニリン、シクロヘキシル置換ナフチルアミ
ンおよびチエニル置換アニリンが包含される。
ポリアミンは、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン
および芳香族ポリアミンである。これらポリアミンは、
その構造内にさらにアミノ窒素が存在すること以外は、
上記モノアミンに類似している。追加のアミノ窒素は、
第1級アミノ窒素、第2級アミノ窒素まは第3級アミノ
窒素であり得る。このようなポリアミンの例には、N−
アミノプロピルシクロヘキシルアミン、N,N′−ジ−n
−ブチル−p−フェニレンジアミン、ビス−(p−アミ
ノフェニル)メタン、1,4−ジアミノシクロヘキサンな
どが包含される。
複素環のモノアミンおよびポリアミンもまた、カルボ
ン酸誘導体組成物(B)を製造する際に、用いられ得
る。ここで用いられるように、「複素環のモノアミンお
よびポリアミン」との専門用語は、この複素環中におい
て、少なくとも1個の第1級アミノ基または第2級アミ
ノ基と、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素とを含
有する複素環アミンを記述するべく意図される。しかし
ながら、この複素環モノアミンおよびポリアミン中にお
いて、少なくとも1個の第1級アミノ基または第2級ア
ミノ基が存在する限り、この環内のヘテロ窒素原子は、
第3級アミノ窒素(すなわち、これは、環の窒素に直接
結合した水素を有しない)であってもよい。複素環アミ
ンは、飽和または不飽和であってよく、また種々の置換
基(例えば、ニトロ置換基、アルコキシ置換基、アルキ
ルメルカプト置換基、アルキル置換基、アルケニル置換
基、アリール置換基、アルカリール置換基、またはアラ
ルキル置換基)を含有していてもよい。一般に、この置
換基中の全炭素原子数は、約20個を越えない。複素環ア
ミンは、窒素の他にヘテロ原子(特に、酸素およびイオ
ウ)を含有していてもよい。明らかに、これらアミン
は、1個より多い窒素ヘテロ原子を含有し得る。5員環
および6員環の複素環が好ましい。
上記ヒドロキシ置換モノアミンおよびポリアミン、こ
のモノアミンおよびポリアミンの類似物はまた、それら
が少なくとも1個の第1級アミノ基または第2級アミノ
基を含有するという条件で、カルボン酸誘導体(B)を
調製する際に有用である。第3級アミノ窒素だけを含有
するヒドロキシ置換アミン(例えば、トリヒドロキシエ
チルアミン)は、それゆえ、アミン反応物としては除外
される。しかし、これは、この後で開示のような成分
(E)を調製する際に、アルコールとして用いられ得
る。考慮されるヒドロキシ置換アミンは、カルボニル炭
素原子以外の炭素原子に直接結合したヒドロキシ置換基
を有するものである;すなわち、これらは、アルコール
として機能し得る水酸基を有する。このようなヒドロキ
シ置換アミンの例には、エタノールアミン、ジ(3−ヒ
ドロキシプロピル)アミン、3−ヒドロキシブチルアミ
ン、4−ヒドロキシブチルアミン、ジエタノールアミ
ン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−(ヒド
ロキシプロピル)プロピルアミン、N−(2−ヒドロキ
シエチル)シクロヘキシルアミン、3−ヒドロキシシク
ロペンチルアミン、p−ヒドロキシアニリン、N−ヒド
ロキシエチルピペラジンなどが包含される。
ヒドラジンおよび置換ヒドラジンもまた、用いられ得
る。ヒドラジン中の少なくとも1個の窒素は、それに直
接結合した水素を含有しなければならない。好ましく
は、ヒドラジン窒素に直接結合した少なくとも2個の水
素が存在し、さらに好ましくは、2つの水素は、同じ窒
素上にある。ヒドラジン上に存在し得る置換基には、ア
ルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルカリ
ールなどが包含される。通常、この置換基は、アルキル
(特に、低級アルキル)、フェニルおよび置換フェニル
(例えば、低級アルコキシ置換フェニル、または低級ア
ルキル置換フェニル)である。置換ヒドラジンの特定の
例は、メチルヒドラジン、N,N−ジメチルヒドラジン、
N,N′−ジメチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、お
よびN−フェニル−N′−エチルヒドラジンである。
用いられ得る高分子量ヒドロカルビルアミン(モノア
ミンおよびポリアミンの両方)は、一般に、少なくとも
約400の分子量を有する塩素化ポリオレフィンと、アン
モニアまたはアミンとを反応させることにより、調製さ
れる、このようなアミンは、当該技術分野で周知であ
り、例えば、米国特許第3,275,554号および第3,438,757
号に記述されている。これら両方の特許の開示内容は、
これらアミンをいかに調製するかに関して、ここに援用
されている。これらのアミンが、少なくとも1個の第1
級アミノ基または第2級アミノ基を有することだけが、
その使用に必要である。
適当なアミンにはまた、ポリオキシアルキレンポリア
ミン(例えば、ポリオキシアルキレンジアミンおよびポ
リオキシアルキレントリアミン)−これらは、約200〜4
000の範囲の平均分子量を有し、好ましくは約400〜2000
の範囲の平均分子量を有する−が包含される。
好ましいポリオキシアルキレンポリアミンには、ポリ
オキシエチレンジアミンおよびポリオキシプロピレンジ
アミンおよびポリオキシプロピレントリアミン(これら
は、約200〜2000の範囲の平均分子量を有する)が包含
される。このポリオキシアルキレンポリアミンは市販さ
れており、例えば、ジェファソン(Jefferson)ケミカ
ル社から、「Jeffamines D−230、D−400、D−1000、
D−2000、T−403など」の商標で得られる。
米国特許第3,804,763号および第3,948,800号の内容
は、このようなポリオキシアルキレンポリアミンの開
示、およびそれらをカルボン酸アシル化剤でアシル化す
る方法の開示に関して、ここに援用されている。この方
法は、本発明で用いられるアシル化試薬およびカルボン
酸エステルとの反応に適用され得る。
最も好ましいアミンは、アルキレンポリアミン(これ
は、ポリアルキレンポリアミンを含む)である。このア
ルキレンポリアミンには、次式に一致するものが包含さ
れる: R3(R3)N[UN(R3)]nR3 (VII) ここで、nは1〜約10である;各R3は、独立して、水
素原子、ヒドロカルビル基またはヒドロキシ置換ヒドロ
カルビル基またはアミノ置換ヒドロカルビル基(これら
は、約30個までの原子を有する)である。但し、少なく
とも1個のR3基は水素原子であり、Uは、約2個〜約10
個の炭素原子を有するアルキレン基である。好ましく
は、Uは、エチレンまたはプロピレンである。
各R3が、独立して、水素またはアミノ置換ヒドロカル
ビル基であるようなアルキレンポリアミンは、特に好ま
しい。エチレンポリアミン、およびエチレンポリアミン
の混合物は、最も好ましい。通常、nは、約2〜約7の
平均値を有する。このようなアルキレンポリアミンに
は、メチレンポリアミン、エチレンポリアミン、ブチレ
ンポリアミン、プロピレンポリアミン、ペンチレンポリ
アミン、ヘキシレンポリアミン、ヘプチレンポリアミン
などが包含される。このようなアミンの高分子量類似
物、および関連したアミノアルキル置換ピペラジンもま
た、包含される。
このアルキレンポリアミンには、エチレンジアミン、
トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、トリメ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレ
ンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ(ヘプタメチ
レン)トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ペンタエ
チレンヘキサミン、ジ(トリメチレン)トリアミン、N
−(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(2−
アミノエチル)ピペラジンなどが包含される。2種また
はそれ以上の上記アルキレンアミンの縮合により得られ
るより高級な同族体は、上記ポリアミンのいずれかの2
種またはそれ以上の混合物と同様に、有用である。
エチレンポリアミン(例えば、上で述べたもの)は、
価格および有効性のために、特に有用である。このよう
なポリアミンは、「ジアミンおよびより高級なアミン」
の表題で、化学技術事典(2版、キルクおよびオズマー
(Kirk and othmer)、7巻、p.27〜39、インターサイ
エンス出版、ジョン ウィレイおよびサンズ(John Wil
ey and Snos)の部門、1965年)に詳細に記述され、こ
れらの内容は、有用なポリアミンの開示に関して、ここ
に援用されている。このような化合物は、アルキレンク
ロライドとアンモニアとの反応により、またはエチレン
イミンと開環試薬(例えば、アンモニアなど)との反応
により、最も都合よく調製される。これらの反応によ
り、アルキレンポリアミンのある種の錯体混合物(これ
には、ピペラジンのような環状の縮合生成物が包含され
る)が生成する。この混合物は、本発明のカルボン酸誘
導体(B)を調製する際に、特に有用である。他方、純
粋なアルキレンポリアミンを用いることにより、充分満
足できる生成物もまた得られる。
他の有用なタイプのポリアミン混合物は、上記ポリア
ミン混合物のストリッピングにより得られるものであ
る。この場合には、低分子量ポリアミンおよび揮発性の
不純物は、アルキレンポリアミン混合物から除去され、
しばしば「ポリアミンボトムス」と呼ばれる残留物が残
る。一般に、アルキレンポリアミンボトムスは、約200
℃以下で沸騰する物質を、2重量%より少ない量、通常
は1重量%より少ない量で含有するものとして、特徴づ
けられ得る。エチレンポリアミンボトムス(これは、容
易に入手可能であり、全く有用であることが見いだされ
ている)の場合には、このボトムスは、全体で約2重量
%より少ない量の、ジエチレントリアミン(DETA)また
はトリエチレンテトラミン(TETA)を含有する。ダウケ
ミカル社(フリーポート、テキサス)から得られるよう
な、このようなエチレンポリアミンボトムスの典型的な
試料(これは、「E−100」と命名されている)は、15.
6℃で1.0168の比重、33.15重量%の窒素割合、および40
℃で121センチストークスの粘土を有する。このような
試料のガスクロマトグラフィー分析では、これが、約0.
93重量%の「ライトエンド」(ほとんどは、DETAであ
る)、0.72重量%のTETA、21.74重量%のテトラエチレ
ンペンタミン、および76.61重量%およびそれ以上のペ
ンタエチレンヘキサミンを含有することが示された。こ
れらのアルキレンポリアミンボトムスには、環状の縮合
生成物(例えば、ピペラジン)、およびジエチレントリ
アミンやトリエチレンテトラミンなどのより高級な同族
体が包含される。
成分(A−2−b)として有用なカルボン酸エステル
は、当該技術分野で周知であり、非常に多くのこれらの
誘導体の調製は、例えば、米国特許第3,957,854号およ
び第4,234,435号に記述され、それらの内容は、ここに
援用されている。次の特定の実施例は、このエステルの
調製を例示し、ここで、アルコールおよびアミンの両方
は、このアシル化剤と反応に供される。
実施例E−13 実施例E−2で調製したポリイソブテン置換コハク酸
アシル化剤334部(0.52当量)、鉱油548部、ペンタエリ
スリトール30部(0.88当量)、およびダウケミカル社の
ポリグリコール(Polyglycol)112−2解乳化剤8.6部
(0.0057当量)の混合物を、150℃で2.5時間加熱する。
この反応混合物を、5時間で210℃まで加熱し、210℃で
3.2時間維持する。この反応混合物を190℃まで冷却し、
1分子あたり平均して約3個〜約10個の窒素原子を有す
るエチレンポリアミンの市販混合物8.5部(0.2当量)を
加える。この反応混合物を、窒素を吹き込みつつ205℃
で3時間加熱することにより、ストリッピングし、次い
で、濾過して、所望生成物のオイル溶液として濾液を得
る。
実施例E−14 アミノプロピルジエタノールアミン14部を、190〜200
℃で、実施例E−11で調製した生成物のオイル溶液867
部に添加することにより、混合物を調製する。この反応
混合物を、195℃で2.25時間維持し、次いで、120℃まで
冷却して濾過する。この濾液は、所望生成物のオイル溶
液である。
実施例E−15 ピペラジン7.5部を、190℃で、実施例E−11で調製し
た生成物のオイル溶液867部に添加することにより、混
合物を調製する。この反応混合物を、195〜205℃で2時
間維持し、次いで、130℃まで冷却して濾過する。この
濾液は、所望生成物のオイル溶液である。
実施例E−16 実施例E−2で調製したポリイソブテン置換コハク酸
アシル化剤322部(0.5当量)、ペンタエリスリトール68
部(2.0当量)、および鉱油508部の混合物を、204〜227
℃で5時間加熱する。この反応混合物を162℃まで冷却
し、1分子あたり平均して約3個〜10個の窒素原子を有
する市販のエチレンポリアミン混合物5.3部(0.13当
量)を加える。この反応混合物を、162〜163℃で1時間
加熱し、次いで、130℃まで冷却し、そして濾過する。
この濾液は、所望生成物のオイル溶液である。
実施例E−17 エチレンポリアミン5.3部(0.13当量)を、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン21部(0.175当量)
で置き換えたこと以外は、実施例E−16の方法を繰り返
す。
実施例E−18 実施例E−6で調製したポリイソブテン置換コハク酸
アシル化剤1480部、C12-18直鎖第1級アルコールの市販
混合物115部(0.53当量)、C8-10直鎖第1級アルコール
の市販混合物87部(0.594当量)、鉱油1098部、および
トルエン400部の混合物を、120℃まで加熱する。120℃
で、硫酸1.5部を加え、この反応混合物を160℃に加熱
し、そして3時間維持する。次いで、この反応混合物
に、n−ブタノール158部(2.0当量)および硫酸1.5部
を加える。この反応混合物を160℃で15時間加熱し、そ
してアミノプロピルモルホリン12.6部(0.088当量)を
加える。この反応混合物を、160℃でさらに6時間維持
し、真空下にて150℃でストリッピングし、そして濾過
して、所望生成物のオイル溶液を得る。
実施例E−19 (A)約1000の数平均分子量を有するポリイソブテン10
00部、および無水マレイン酸108部(1.1モル)の混合物
を、約190℃まで加熱し、約4時間にわたって表面下か
ら塩素100部(1.43モル)を加える。この間、温度を約1
85〜190℃に維持する。次いで、この混合物に、この温
度で数時間にわたり窒素を吹き込む。この残留物は、所
望のポリイソブテン置換コハク酸アシル化剤である。
(B)上で調製したアシル化剤1000部の鉱油857部溶液
を、攪拌しつつ約150℃まで加熱し、そしてペンタエリ
スリトール109部(3.2当量)を攪拌しながら加える。こ
の混合物に窒素を吹き込み、約14時間にわたって約200
℃まで加熱して、所望のカルボン酸エステル中間体のオ
イル溶液を形成する。この中間体に、1分子あたり平均
して約3個〜約10個の窒素原子を有するエチレンポリア
ミンの市販混合物19.25部(0.46当量)を加える。この
反応混合物を、窒素を吹き込みつつ205℃で3時間加熱
することにより、ストリッピングし、そして濾過する。
この濾液は、0.35%の窒素を含有する所望のアミン変性
されたカルボン酸エステルのオイル溶液(45%はオイ
ル)である。
実施例E−20 (A)2020の数平均分子量および6049の重量平均分子量
を有するポリイソブテン1000部(0.495モル)、および
無水マレイン酸115部(1.17モル)の混合物を、6時間
にわたって184℃まで加熱する。この間、表面下から、
塩素85部(1.2モル)を加える。追加の塩素59部(0.83
モル)を、184〜189℃で4時間にわたって加える。この
混合物に、186〜190℃で26時間にわたって窒素を吹き込
む。この残留物は、95.3の全酸価を有するポリイソブテ
ン置換無水コハク酸である。
(B)この置換された無水コハク酸409部(0.66当量)
の鉱油191部溶液を150℃に加熱し、ペンタエリスリトー
ル42.5部(1.19当量)を、145〜150℃で攪拌しながら、
10分間にわたって加える。この混合物に窒素を吹き込
み、約14時間かけて205〜210℃まで加熱して、所望のポ
リエステル中間体のオイル溶液を得る。
ジエチレントリアミン4.74部(0.138当量)を、攪拌
しながら、160℃で半時間にわたって、ポリエステル中
間体988部(これは、置換コハク酸アシル化剤0.69当
量、およびペンタエリスリトール1.24当量を含有する)
に加える。160℃で1時間攪拌を続け、その後、鉱油289
部を加える。この混合物を、135℃で16時間加熱し、濾
過助剤物質を用いて、同じ温度で濾過する。この濾液
は、所望のアミン変性されたポリエステルの35%鉱油溶
液である。これは、0.16%の窒素含量、および2.0の残
留酸価を有する。
実施例E−21 実施例E−20の方法に従って、その実施例のポリエス
テル中間体988部を、トリエチレンテトラミン5部(0.1
38当量)と反応させる。この生成物を、鉱油290部で希
釈すると、所望のアミン変性されたポリエステルの35%
溶液が得られる。それは、0.15%の窒素を含有し、2.7
の残留酸価を有する。
実施例E−22 ペンタエリスリトール42.5部(1.19当量)を、150℃
で5分間にわたって、ポリイソブテン置換無水コハク酸
(これは、実施例E−20の化合物と類似しているが、92
の全酸価を有する)448部(0.7当量)の鉱油208部溶液
に加える。この混合物を、10時間かけて205℃まで加熱
し、205〜210℃で6時間窒素を吹き込む。これを、次い
で、鉱油384部で希釈し、165℃まで冷却し、そして1分
子あたり平均して3〜7個の窒素原子を含有する市販の
エチレンポリアミン混合物5.89部(0.14当量)を、155
〜160℃で30分間にわたって加える。窒素の吹き込みを
1時間続け、その後、この混合物を追加のオイル304部
で希釈する。混合は、130〜135℃で15時間続け、その
後、この混合物を冷却し、濾過助剤物質を用いて濾過す
る。この濾液は、所望のアミン変性されたポリエステル
の35%鉱油溶液である。それは、0.147%の窒素を含有
し、2.07の残留酸価を有する。
実施例E−23 実施例E−20のポリイソブテン置換無水コハク酸417
部(0.7当量)の鉱油194部溶液を、153℃に加熱し、そ
してペンタエリスリトール42.8部(1.26当量)を加え
る。この混合物を、153〜228℃で約6時間加熱する。次
いで、それを170℃まで冷却し、鉱油375部で希釈する。
それを、さらに156〜158℃まで冷却し、実施例E−22の
エチレンポリアミン混合物5.9部(0.14当量)を、半時
間にわたって加える。この混合物を、158〜160℃で1時
間攪拌し、追加の鉱油295部で希釈する。それに、135℃
で16時間窒素を吹き込み、濾過助剤物質を用いて、135
℃で濾過する。この濾液は、アミン変性されたポリエス
テルの所望の35%鉱油溶液である。それは、0.16%の窒
素を含有し、2.0の全酸価を有する。
上記アシル化アミンおよびカルボン酸エステルは、本
発明で効果的な無灰分分散剤である。他の実施態様で
は、これらの組成物は、中間体として考慮され得、以下
からなる群から選択された1種またはそれ以上の後処理
試薬で後処理される:三酸化ホウ素、ホウ素含有無水
物、ハロゲン化ホウ素、ホウ含有酸、ホウ酸含有アミ
ド、ホウ酸エステル、二硫化炭素、硫化水素、イオウ、
塩化イオウ、シアン化アルケニル、カルボン酸アシル化
剤、アルデヒド、ケトン、尿素、チオ尿素、グアニジ
ン、ジシアンジアミド、リン酸ヒドロカルビル、亜リン
酸ヒドロカルビル、チオリン酸ヒドロカルビル、チオ亜
リン酸ヒドロカルビル、硫化リン、酸化リン、リン酸、
ヒドロカルビルチオシアネート、ヒドロカルビルイソシ
アネート、ヒドロカルビルイソチオシアネート、エポキ
シド、エピスルフィド、ホルムアルデヒドまたはホルム
アルデヒド生成化合物とフェノール、およびイオウとフ
ェノール。これらの後処理試薬は、アシル化剤および上
記アミンとアルコールとの組成物から調製されるカルボ
ン酸誘導体組成物と共に用いられ得る。
これらの後処理試薬の使用を包含する方法は、高分子
量カルボン酸アシル化剤とアミンおよび/またはアルコ
ールとの反応生成物に対する適用に関する限り、周知な
ので、これらの方法の詳細な説明は、ここで記述する必
要はないと考えられる。以下の米国特許の内容は、本発
明で有用なカルボン酸誘導体組成物に適用できる後処理
方法および後処理試薬の開示について、ここに明白に援
用されている:米国特許第3,087,936号;第3,254,025
号;第3,256,185号;第3,278,550号;第3,292,955号;
第3,284,410号;第3,338,832号;第3,533,945号;第3,6
39,242号;第3,708,522号;第3,859,318号;第3,865,81
3号など。英国特許第1,085,903号および第1,162,436号
もまた、このような方法を記述している。
(A−2−c)中性および塩基性のアルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩 本発明で用いられるオイル溶液はまた、少なくとも1
種の酸性有機化合物の少なくとも1種の中性または塩基
性のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有し
得、好ましくは、含有する。このような塩化合物は、一
般に、灰分含有清浄剤として引用されている。この酸性
有機化合物は、少なくとも1種のイオウ含有酸、カルボ
ン酸、リン含有酸またはフェノール、またはそれらの混
合物とされ得る。
このアルカリ金属には、リチウム、ナトリウムおよび
カリウムが包含され、ナトリウムおよびカリウムが好ま
しい。カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびスト
ロンチウムは、好ましいアルカリ土類金属である。これ
らアルカリ土類金属の2種またはそれ以上のイオンの混
合物を含有する塩が用いられ得る。
成分(A−2−c)として有用な塩は、中性または塩
基性とされ得る。この中性塩は、その塩アニオン中に依
存する酸性基を中和するのにちょうど充分な量の金属を
含有する。この塩基性塩は、過剰の金属カチオンを含有
する。一般に、塩基性塩、すなわちオーバーベース化塩
が好ましい。この塩基性塩、すなわちオーバーベース化
塩は、約40までの金属比を有し、さらに特定すると、約
2〜約30または40の金属比を有する。
この塩基性塩(すなわち、オーバーベース化塩)を調
製するために通常使用される方法には、酸の鉱油溶液
を、化学量論的に過剰な量の金属中和剤(例えば、金属
酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫化物など)と
共に、約50℃を越える温度で加熱することが包含され
る。さらに、この中和工程では、大過剰の金属の混合を
促進するために、種々の促進剤が用いられ得る。これら
の促進剤には、以下のような化合物が包含される:フェ
ノール性物質(例えば、フェノール、ナフトール、アル
キルフェノール、チオフェノール、硫化されたアルキル
フェノール)、およびホルムアルデヒドとフェノール性
物質との種々の縮合生成物;アルコール類(例えば、メ
タノール、2−プロパノール、オクチルアルコール、セ
ロソルブカルビトール、エチレングリコール、ステアリ
ルアルコールおよびシクロヘキシルアルコール);アミ
ン類(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、フェノ
チアジン、フェニル−β−ナフチルアミンおよびドデシ
ルアミン)など。塩基性のアルカリ土類金属塩を調製す
る特に効果的な方法には、フェノール性促進剤および少
量の水の存在下にて、酸と、過剰の塩基性アルカリ土類
金属とを混合すること、およびこの混合物を、高温(例
えば、60℃〜約200℃)で炭酸塩化することが包含され
る。
ある種の塩基性アルカリ金属塩の一般的な記述は、米
国特許第4,326,972号(チャンバーリン(Chamberli
n))に含まれている。この特許の内容は、有用なアル
カリ金属塩、および該塩の調製方法の開示に関して、こ
こに援用されている。
上で述べたように、塩(A−2−c)が誘導される酸
性有機化合物は、少なくとも1種のイオウ含有酸、カル
ボン酸、リン含有酸、またはフェノールまたはそれらの
混合物とされ得る。イオウ含有酸には、スルホン酸、チ
オスルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、部分エス
テル硫酸、亜硫酸およびチオ硫酸が包含される。
成分(A−2−c)を調製する際に有用なスルホン酸
には、以下の式(VIII)および(IX)により表されるも
のが包含される: R″xT(SO3H) (VIII) および、 R(SO3 (IX) これらの式では、Rは、脂肪族または脂肪族置換の
脂環族の炭化水素基または実質的な炭化水素基(これら
は、アセチレン性の不飽和がなく、約60個までの炭素原
子を含有する)である。Rが脂肪族のとき、それは、
通常、少なくとも約15個の炭素原子を含有する;Rが脂
肪族置換の脂環族のとき、この脂肪族置換基は、通常、
全体で少なくとも約12個の炭素原子を含有する。Rの
例は、アルキル基、アルケニル基、およびアルコキシア
ルキル基であり、そして脂肪族置換基が以下であるよう
な脂肪族置換の脂環族基である:アルキル、アルケニ
ル、アルコキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアル
キルなど。一般に、この脂環族核は、シクロアルカンま
たはシクロアルケン(例えば、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、シクロヘキセンまたはシクロペンテン)から
誘導される。Rの特定の例には、セチルシクロヘキシ
ル、ラウリルシクロヘキシル、セチルオキシエチル、オ
クタデセニル、および以下から誘導される基がある:石
油性の飽和および不飽和パラフィンワックス、およびオ
レフィン性重合体(これには、オレフィン性モノマー1
単位あたり約2個〜8個の炭素原子を含有する重合した
モノオレフィンおよびジオレフィンが包含される)であ
る。Rはまた、他の置換基(例えば、フェニル、シク
ロアルキル、ヒドロキシ、メルカプト、ハロ、ニトロ、
アミノ、ニトロソ、低級アルコキシ、低級アルキルメル
カプト、カルボキシ、カルボアルコキシ、オキソまたは
チオ、または中断基(例えば、−NH−、−O−または−
S−))を、その実質的に炭化水素的な性質が損なわれ
ない限り、含有し得る。
式VIII中のR″は、一般に、炭化水素基または実質的
な炭化水素基(これらは、アセチレン性不飽和がなく、
約4個〜約60個の脂肪族炭素原子を含有する)、好まし
くは、アルキルまたはアルケニルのような脂肪族炭化水
素基である。しかしながら、それはまた、実質的な炭化
水素的性質を損なわないとの条件で、上で挙げたような
置換基または中断基を含有し得る。一般に、Rまたは
R″中に存在するいずれの非炭素原子も、それらの全重
量の10%を越えることはない。
Tは、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、またはビフェニル)が誘導され得る
環状核か、または複素環化合物(例えば、ピリジン、イ
ンドールまたはイソインドール)が誘導され得る環状核
である、通常、Tは、芳香族炭化水素核(特に、ベンゼ
ン核またはナフタレン核)である。
添字xは、少なくとも1であり、一般に1〜3であ
る。添字rおよびyは、1分子あたり約1〜2の平均値
を有し、一般には1である。
このスルホン酸は、一般に、石油スルホン酸、または
合成により調製されたアルカリールスルホン酸である。
この石油スルホン酸のうち、最も有用な生成物には、酸
スラッジの連続除去および精製と共に、適当な石油留分
をスルホン化することにより、調製されるものがある。
合成のアルカリールスルホン酸は、通常、アルキル化ベ
ンゼン(例えば、ベンゼンと、テトラプロピレンのよう
な重合体とのフリーデル−クラフト反応生成物)から、
調製される。以下は、塩(A−2−c)を調製する際に
有用なスルホン酸の特定の例である。このような例はま
た、成分(A−2−c)として有用なスルホン酸の塩を
例示するにも役立つことが、理解されるべきである。言
い替えれば、枚挙されている各スルホン酸に対し、それ
らの対応する中性または塩基性のアルカリ金属塩および
アルカリ土類金属塩もまた、例示されていると解釈する
ように意図されている。(同じことは、以下で挙げたカ
ルボン酸物質、ホスホン酸物質およびフェノール性物質
のリストに適用される)。このようなスルホン酸には、
マホガニースルホン酸、ブライトストックスルホン酸、
石油スルホン酸、モノ−またポリワックス置換のナフタ
レンスルホン酸、セチルクロロベンゼンスルホン酸、セ
チルフェノールスルホン酸、セチルフェノールジスルフ
ィドスルホン酸、セトキシカプリルベンゼンスルホン
酸、ジセチルチアンスレンスルホン酸、ジラウリル−β
−ナフトールスルホン酸、ジカプリルニトロナフタレン
スルホン酸、飽和パラフィンワックススルホン酸、不飽
和パラフィンワックススルホン酸、ヒドロキシ置換パラ
フィンワックススルホン酸、テトライソブチレンスルホ
ン酸、テトラアミレンスルホン酸、クロロ置換パラフィ
ンワックススルホン酸、ニトロソ置換パラフィンワック
ススルホン酸、石油ナフタレンスルホン酸、セチルシク
ロペンチルスルホン酸、ラウリルシクロヘキシルスルホ
ン酸、モノ−およびポリワックス置換シクロヘキシルス
ルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、「ダイマーア
ルキレート」スルホン酸、およびその類似物が包含され
る。
アルキル置換ベンゼンスルホン酸(ここで、このアル
キル基は、少なくとも8個の炭素原子を含有する)は、
ドデシルベンゼン「ボトムス」スルホン酸を含めて、特
に有用である。後者は、ベンゼンから誘導される酸であ
る。これは、プロピレンテトラマーまたはイソブテント
リマーでアルキル化されて、ベンゼン環上にて、1個、
2個、3個またはそれ以上の分枝鎖C12置換基が導入さ
れる。ドデシルベンゼンボトムス(主として、モノ−お
よびジドデシルベンゼンの混合物)は、家庭用洗剤の製
造の副生成物として、入手可能である。線状のアルキル
スルホン酸塩(LAS)の製造中に形成されるアルキル化
ボトムスから得られる類似生成物は、本発明で用いられ
るスルホン酸塩を製造する際にも、有用である。
例えば、SO3との反応により、洗剤製造の副生成物か
らスルホン酸塩を製造することは、当業者に周知であ
る。例えば、キルク オズマー(Kirk−Othmer)の化学
技術事典、2版、19巻、p.291以下(これは、ジョン
ウィレイおよびサンズ(John Wiley & Sons)により、
ニューヨークで1969年に発行された)の「スルホン酸塩
の章を参照せよ。
塩基性スルホン酸塩(これは、成分(A−2−c)と
して本発明のオイル溶液に混合され得る)、およびそれ
らの製造方法の他の記述は、次の米国特許に見いだされ
得る:米国特許第2,174,110号;第2,202,781号;第2,23
9,974号;第2,319,121号;第2,337,552号;第3,488,284
号;第3,595,790号;および第3,798,012号。これらの内
容は、このことに関する開示について、ここに援用され
ている。
そこから有用な金属塩が調製され得るような適当なカ
ルボン酸には、アセチレン性不飽和のない脂肪族カルボ
ン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族の一塩基カルボン酸お
よび多塩基カルボン酸が含まれ、ナフテン酸、アルキル
置換またはアルケニル置換のシクロペンタン酸、アルキ
ル置換またはアルケニル置換のシクロヘキサン酸、およ
びアルキル置換またはアルケニル置換の芳香族カルボン
酸が包含される。この脂肪族酸は、一般に、約8個〜約
50個の炭素原子、好ましくは約12個〜約25個の炭素原子
を含有する。脂環族カルボン酸および脂肪族カルボン酸
は好ましく、それらは、飽和または不飽和であってもよ
い。特定の例には、2−エチルヘキサン酸、リノレン
酸、プロピレンテトラマー置換のマレイン酸、ベヘン
酸、イソステアリン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、パ
ルミトイル酸、リノール酸、ラウリン酸、オレイン酸、
リシノール酸、ウンデシル酸、ジオクチルシクロペンタ
ンカルボン酸、ミリスチン酸、ジラウリルデカヒドロナ
フタレンカルボン酸、ステアリルオクタヒドロインデン
カルボン酸、パルミチン酸、アルキルコハク酸およびア
ルケニルコハク酸、ペトロラタムや炭化水素ワックスの
酸化により形成される酸、およびトール油酸やロジン酸
などのような2種またはそれ以上のカルボン酸の市販混
合物が、包含される。
酸性の有機化合物の当量は、その分子量を、1分子あ
たりに存在する酸性基(すなわち、スルホン酸基または
カルボキシ基)の数で割った値である。
塩(A−2−c)の調製に有用な五価リン含有酸は、
次式により表され得る: ここで、各R3およびR4は、水素、または炭化水素基ま
たは実質的な炭化水素基(これは、好ましくは、約4個
〜約25個の炭素原子を有し、R3およびR4の少なくとも1
個は、炭化水素または実質的な炭化水素である);各
X1、X2、X3およびX4は、酸素またはイオウであり、そし
て各aおよびbは、0または1である。それゆえ、この
リン含有酸は、有機リン酸、ホスホン酸またはホスフィ
ン酸、またはそれらのいずれかのチオ類似物とされ得る
ことが理解される。
このリン含有酸は、次式の酸とされ得る: ここで、R3は、18個までの炭素原子を有するフェニル
基または(好ましくは)アルキル基であり、そしてR
4は、水素または類似のフェニル基またはアルキル基で
ある。このようなリン含有酸の混合物は、その調製が容
易なために、しばしば好ましい。
塩(A−2−c)はまた、フェノール(すなわち、芳
香環に直接結合した水酸基を含有する化合物)から調製
され得る。ここで用いられる用語「フェノール」は、芳
香環に結合した1個を越える水酸基を有する化合物(例
えば、カテコール、レゾルシノールおよびヒドロキノ
ン)を包含する。それにはまた、アルキルフェノール
(例えば、クレゾールおよびエチルフェノール)、およ
びアルケニルフェノールが包含される。約3個〜100個
の炭素原子(特に、約6個〜50個の炭素原子)を含む少
なくとも1個のアルキル置換基を含有するフェノール
(例えば、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、
ドデシルフェノール、テトラプロペン−アルキル化フェ
ノール、オクタデシルフェノールおよびポリブテニルフ
ェノール)が好ましい。1個を越えるアルキル置換基を
含有するフェノールもまた用いられ得るが、モノアルキ
ルフェノールは、有用性および生成が容易なために、好
ましい。
上記フェノールと、少なくとも1種の低級アルデヒド
またはケトンとの縮合生成物もまた有用である。用語
「低級の」は、7個より少ない炭素原子を含有するアル
デヒドおよびケトンを表す。適当なアルデヒドには、ホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデ
ヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、およびベ
ンズアルデヒドが包含される。アルデヒド生成試薬(例
えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、メチロー
ル、メチルホルムセル(Methyl Formcel)、およびパラ
アルデヒドもまた、適当である。ホルムアルデヒドおよ
びホルムアルデヒド生成試薬は、特に好ましい。
好ましい1実施態様では、この金属塩(A−2−c)
は、少なくとも約2の金属比、さらに一般的には、約4
〜約40の金属比、好ましくは、約6〜約30の金属比、特
に、約8〜約25の金属比を有する塩基性金属塩である。
他の実施態様では、このアルカリ金属塩(A−2−
c)は、油溶性の分散体である塩基性塩であり、この分
散体は、以下の(C−1)と(C−2)とを、この反応
混合物の凝固温度とその分解温度との間の温度で、安定
な分散体を形成するのに充分な時間にわたって接触させ
ることにより、調製される: (C−1)二酸化炭素、硫化水素およびに二酸化イオ
ウからなる群から選択される少なくとも1種の酸性の気
体状物質; (C−2)以下の(C−2−a)、(C−2−b)、
(C−2−c)および(C−2−d)を含有する反応混
合物: (C−2−a)少なくとも1種の油溶性スルホン
酸、またはオーバーベース化しやすいそれらの誘導体; (C−2−b)少なくとも1種のアルカリ金属化合
物または塩基性アルカリ金属化合物; (C−2−c)少なくとも1種の低級脂肪族アルコ
ール、アルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノー
ル;および (C−2−d)少なくとも1種の油溶性カルボン酸ま
たはそれらの機能性誘導体。
(C−2−c)がアルキルフェノールまたは硫化され
たアルキルフェノールのとき、成分(C−2−d)は任
意である。適当な塩基性スルホン酸塩は、混合物(C−
2)中にて、カルボン酸と共にまたはカルボン酸なしで
調製され得る。
試薬(C−1)は、少なくとも1種の酸性の気体状物
質であり、これは、二酸化炭素、硫化水素または二酸化
イオウであり得る。これらの気体の混合物もまた、有用
である。二酸化炭素が好ましい。
上で述べたように、成分(C−2)は、一般に、少な
くとも4つの成分を含有する混合物であり、このうちの
成分(C−2−a)は、先に定義のように、オーバーベ
ース化しやすい少なくとも1種の油溶性スルホン酸また
はそれらの誘導体である。スルホン酸および/またはそ
れらの誘導体の混合物もまた用いられ得る。オーバーベ
ース化しやすいスルホン酸誘導体には、それらの金属
塩、特にアルカリ土類金属塩、亜鉛塩および鉛塩;アン
モニウム塩およびアミン塩(例えば、エチルアミン塩、
ブチルアミン塩およびエチレンポリアミン塩);および
エステル(例えば、エチルエステル、ブチルエステルお
よびグリセロールエステル)が包含される。
成分(C−2−b)は、少なくとも1種のアルカリ金
属またはそれらの塩基性化合物である。塩基性アルカリ
金属化合物の例には、水酸化物、アルコキシド(典型的
には、アルコキシ基が、10個までの炭素原子、好ましく
は、7個までの炭素原子を含有するもの)、水素化物お
よびアミドがある。それゆえ、有用な塩基性アルカリ金
属化合物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウム、ナトリウムプロポキシド、リチウムメト
キシド、カリウムエトキシド、ナトリウムブトキシド、
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、
リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリムウアミ
ドが包含される。水酸化ナトリウムおよびナトリウム低
級アルコキシド(すなわち、7個までの炭素原子を含有
するもの)は特に好ましい。本発明の目的上、成分(C
−2−b)の当量は、アルカリ金属が1価のため、その
分子量に等しい。
成分(C−2−c)は、少なくとも1種の低級脂肪族
アルコール、好ましくは、1価アルコールまたは2価ア
ルコールとされ得る。例示のアルコールには、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、1−ヘキサノー
ル、イソプロパノール、イソブタノール、2−ペンタノ
ール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、エチレング
リコール、1,3−プロパンジオールおよび1,5−ペンタン
ジオールがある。このアルコールはまた、メチルセロソ
ルブ(Methyl Cellosolve)のようなグリコールエーテ
ルであり得る。これらのうち、好ましいアルコールに
は、メタノール、エタノールおよびプロパノールがあ
り、メタノールは特に好ましい。
成分(C−2−c)はまた、少なくとも1種のアルキ
ルフェノールまたは硫化アルキルフェノールであり得
る。この硫化アルキルフェノールは、特に、(C−2−
b)がカリウムまたはその塩基性化合物の1種(例え
ば、水酸化カリウム)のとき、好ましい。ここで用いら
れるように、「フェノール」との用語は、芳香環に結合
した1個を越える水酸基を有する化合物を包含し、この
芳香環は、ベンゼン環またはナフタレン環であり得る。
「アルキルフェノール」との用語には、モノアルキルフ
ェノールおよびジアルキルフェノールが包含され、この
フェノールでは、各アルキル置換基は、約6個〜約100
個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約50個の炭素原子
を含有する。
例示のアルキルフェノールには、ヘプチルフェノー
ル、オクチルフェノール、デシルフェノール、ドデシル
フェノール、ポリプロピレン(約150のMnを有する)置
換されたフェノール、ポリイソブテン(約1200のMnを有
する)置換されたフェノール、シクロヘキシルフェノー
ルが包含される。
上記フェノールと、少なくとも1種の低級アルデヒド
またはケトンの縮合生成物もまた有用である。用語「低
級の」とは、7個より少ない炭素原子を含有するアルデ
ヒドおよびケトンを表す。適当なアルデヒドには、ホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒドおよびベンズ
アルデヒドが包含される。アルデヒドを生じる試薬(例
えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、メチロー
ル、メチルホルムセル(Methyl Formcel)およびパラア
ルデヒド)もまた適当である。ホルムアルデヒドおよび
ホルムアルデヒドを生じる試薬は、特に好ましい。
この硫化アルキルフェノールには、フェノールスルフ
ィド、ジスルフィドまたはポリスルフィドが包含され
る。硫化フェノールは、当業者に周知の方法により、適
当なアルキルフェノールから誘導され得、多くの硫化フ
ェノールが市販されている。この硫化アルキルフェノー
ルは、アルキルフェノールと元素イオウおよび/または
一ハロゲン化イオウ(例えば、一塩化イオウ)とを反応
させることにより、調製され得る。この反応は、過剰の
塩基の存在下で行われ得、スルフィド、ジスルフィドま
たはポリスルフィド(これらは、反応条件に存在して、
生成し得る)の混合物の塩が生じる。この混合物は、成
分(C−2)を調製する際に用いられる反応で得られる
生成物である。米国特許第2,971,940号および第4,309,2
93号は、成分(C−2−c)の例示である種々の硫化フ
ェノールを開示しており、これらの特許の開示内容は、
ここに援用されている。
以下の非限定的な実施例は、成分(C−2−c)とし
て有用なアルキルフェノールおよび硫化アルキルフェノ
ールの調製を例示する。
実施例1−C 温度を55℃に維持しつつ、攪拌機、冷却器、温度計お
よび表面下の気体注入管を備えた反応器に、フェノール
100部およびスルホン化されたポリスチレン触媒(これ
は、ローム アンド ハース(Rohm and Hass)社か
ら、アンバーリスト(Amberlyst)−15として販売され
ている)68部を充填する。この反応器内容物を、次い
で、窒素を2時間吹き込みつつ、120℃まで加熱する。
プロピレンテトラマー(1232部)を充填し、この反応混
合物を、120℃で4時間攪拌する。攪拌を止めて、バッ
チを0.5時間沈降させる。反応混合物の粗上澄み液を濾
過し、最大で0.5%の残留プロピレンテトラマーが残る
まで、真空ストリッピングする。
実施例2−C ベンゼン(217部)を、38℃でフェノール(324部、3.
45モル)に加え、この混合物を47℃まで加熱する。三フ
ッ化ホウ素(8.8部、0.13モル)を、38〜52℃で半時間
にわたって、この混合物に吹き込む。イソブチレン中で
特に多いC4モノマーの重合から誘導されるポリイソブチ
レン(1000部、1.0モル)を、52〜58℃で3.5時間にわた
って、この混合物に加える。この混合物を、52℃でさら
に1時間維持する。アンモニア水(15部)の26%溶液を
加え、この混合物を、2時間かけて70℃まで加熱する。
次いで、この混合物を濾過する。この濾液は、所望の粗
ポリイソブテン置換フェノールである。この中間体1465
部を167℃まで加熱することによりストリッピングし、
6時間で218℃まで加熱しつつ、圧力を10mm.まで低下さ
せる。ストリッピングしたポリイソブテン置換フェノー
ル(Mn=885)は、残留物として64%収量で得られる。
実施例3−C 攪拌機、冷却器、温度計および表面下の添加管を備え
た反応器に、実施例1−Cの反応生成物1000部を充填す
る。温度を48〜49℃に調整し、温度を60℃以下に保ちつ
つ、二塩化イオウ319部を加える。次いで、このバッチ
を88〜93℃に加熱する。この間、酸価(ブロモフェノー
ルブルー指示薬を用いて測定)が4.0より小さくなるま
で、窒素を吹き込む。次いで、希釈油(400部)を加
え、この混合物を完全に混合する。
実施例4−C 実施例3−Cの方法に従って、実施例1−Cの反応生
成物1000部を、二塩化イオウ175部と反応させる。この
反応生成物を、希釈油400部で希釈する。
実施例5−C 実施例3−Cの方法に従って、実施例1−Cの反応生
成物1000部を、二塩化イオウ319部と反応させる。この
反応生成物に希釈油(788部)を加え、この物質を完全
に混合する。
実施例6−C 実施例4−Cの方法に従って、実施例2−Cの反応生
成物1000部を、二塩化イオウ44部と反応させて、硫化フ
ェノールを生成する。
実施例7−C 実施例5−Cの方法に従って、実施例2−Cの反応生
成物1000部を、二塩化イオウ80部と反応させる。
成分(C−2−c)の当量は、その分子量を、1分子
あたりの水酸基の数で割った値である。
成分(C−2−d)は、先に記述のような少なくとも
1種の油溶性カルボン酸、またはそれらの機能性誘導体
である。特に適当なカルボン酸は、式R5(COOH)のカ
ルボン酸であり、nは1〜6の整数、好ましくは、1ま
たは2であり、R5は、少なくとも8個の脂肪族炭素原子
を有する飽和または実質的に飽和の脂肪族基(好ましく
は、炭化水素基)である。nの値に依存して、R5は1価
〜5価の基である。
R5は、非炭化水素置換基を含有し得るが、但し、この
置換基は、この炭化水素的な性質を実質的に変えない。
このような置換基は、好ましくは、約20重量%より少な
い量で存在する。例示の置換基には、成分(C−2−
a)に関してこの上で枚挙した非炭化水素置換基が包含
される。R5はまた、存在する炭素−炭素共有結合の全数
を基準にして、最大で約5%までのオレフィン性結合、
好ましくは、2%より少ないオレフィン性結合のオレフ
ィン性不飽和を含有し得る。R5中の炭素原子数は、通
常、R5源に依存して、約8〜700個である。以下で論じ
るように、一連の好ましいカルボン酸およびそれらの誘
導体は、オレフィン性重合体またはハロゲン化されたオ
レフィン性重合体と、α、β−不飽和酸またはその無水
物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸ま
たはフマル酸または無水マレイン酸)とを反応させて、
対応する置換された酸またはその誘導体を形成すること
により、調製される。これらの生成物中のR5基は、例え
ば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで決定さ
れる約150〜約10,000の数平均分子量を有し、通常、約7
00〜約5000の数平均分子量を有する。
成分(C−2−d)として有用なモノカルボン酸は、
式R5COOHを有する。このような酸の例は、カプリル酸、
カプリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステア
リン酸、リノール酸およびベヘン酸がある。特に好まし
い群のモノカルボン酸は、ハロゲン化されたオレフィン
性重合体(例えば、塩素化されポリブテン)とアクリル
酸またはメタクリル酸との反応により、調製される。
適当なジカルボン酸には、次式を有する置換コハク酸
が包含される: ここで、R6は、上で定義のR5と同じである。R6は、以
下のようなモノマーの重合により形成されるオレフィン
性重合体から誘導された基とされ得る:エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−
ペンテン、1−ヘキセンおよび3−ヘキセン。R6はま
た、実質的に飽和の高分子量石油留分から誘導され得
る。この炭化水素置換されたコハク酸およびそれらの誘
導体は、成分(C−2−d)としての使用に最も好まし
いクラスのカルボン酸から構成される。
オレフィン性重合体およびそれらの誘導体から誘導さ
れる上記のクラスのカルボン酸は、当該技術分野で周知
であり、その調製方法および本発明で有用なタイプの代
表例は、非常に多くの米国特許に詳細に記述されてい
る。
成分(C−2−d)として有用な上で述べた酸の機能
性誘導体には、無水物、エステル、アミド、イミド、ア
ミジン、および金属塩またはアンモニウム塩が包含され
る。オレフィン性重合体で置換されたコハク酸と、モノ
アミンまたはポリアミン、特に、約10個までのアミノ窒
素を有するポリアルキレンポリアミンとの反応生成物
は、特に適当である。これらの反応生成物は、一般に、
1種またはそれ以上のアミド、イミドおよびアミジンの
混合物を含有する。約10個までの窒素原子を含有するポ
リエチレンアミンと、ポリブテンで置換された無水コハ
ク酸(ここで、このポリブテン基は、主として、イソブ
テン単位を含有する)との反応生成物は、特に有用であ
る。このアミン−無水物反応生成物を、二硫化炭素、ホ
ウ素含有化合物、ニトリル、尿素、チオ尿素、グアニジ
ン、アルキレンオキシドなどで後処理することにより調
製される組成物は、この群の機能性誘導体に包含され
る。このような置換コハク酸の半アミド、半金属塩およ
び半エステル、半金属塩誘導体もまた、有用である。
置換された酸またはその無水物と、モノヒドロキシ化
合物またはポリヒドロキシ化合物(例えば、脂肪族アル
コールまたはフェノール)との反応により調製されるエ
ステルもまた、有用である。オレフィン性重合体で置換
されたコハク酸またはその無水物と、2〜10個の水酸基
および約40個までの脂肪族炭素原子を含有する多価脂肪
族アルコールとのエステルが好ましい。このクラスのア
ルコールには、エチレングリコール、グリセロール、ソ
ルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリ
コール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
N,N′−ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミンなど
が包含される。このアルコールが反応性のアミノ基を含
有するとき、その反応生成物は、酸基とヒドロキシ官能
性およびアミノ官能性の両方との反応により得られる生
成物を含有し得る。それゆえ、この反応混合物は、半エ
ステル、半アミド、エステル、アミドおよびイミドを含
有し得る。
試薬(C−2)の成分の当量比は、広範囲に変えられ
得る。一般に、成分(C−2−a)に対する成分(C−
2−b)の比は、少なくとも約4:1であり、通常、約40:
1より小さく、好ましくは、6:1と30:1との間であり、最
も好ましくは、8:1と25:1の間である。この比は、時に
は、40:1を越えてもよいものの、このような過剰量は、
通常、有用な目的には役立たない。
成分(C−2−a)に対する成分(C−2−c)の当
量比は、約1:20と80:1の間であり、好ましくは、約2:1
と50:1の間である。上で述べたように、成分(C−2−
c)がアルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノー
ルのとき、カルボン酸(C−2−d)を含有させること
は任意である。成分(C−2−d)がこの混合物中に存
在するとき、成分(C−2−a)に対する成分(C−2
−d)の当量比は、一般に、約1:1〜約1:20であり、好
ましくは、約1:2〜約1:10である。
およそ化学量論量までの酸性物質(C−1)が、(C
−2)と反応に供される。1実施態様では、この酸性物
質は、(C−2)混合物に一定量で加えられ、反応が急
速に進行する。(C−1)の添加速度は重要ではない
が、反応の際の発熱のためにこの混合物の温度があまり
にも上がりすぎるなら、添加速度を遅くしなければなら
ないかも知れない。
(C−2−c)がアルコールのとき、反応温度は重要
ではない。一般に、この温度は、反応混合物の凝固温度
と、その分解温度(すなわち、それらのいずれかの成分
の最も低い分解温度)との間である。通常、この温度
は、約25℃〜約200℃であり、好ましくは、約50℃〜約1
50℃である。試薬(C−1)および(C−2)は、好都
合には、この混合物の還流温度で接触される。この温度
は、明らかに、種々の成分の沸点に依存する。それゆ
え、成分(C−2−c)としてメタノールが用いられる
とき、その接触温度は、メタノールの還流温度またはそ
れ以下である。試薬(C−2−c)がアルキルフェノー
ルまたは硫化アルキルフェノールのとき、反応温度は、
反応の際に形成される水が除去され得るように、水−希
釈剤共沸温度またはそれ以上でなければならない。
この反応は、通常、大気圧下で行われるものの、大気
圧以上の圧力は、しばしば、反応を促進し、試薬(C−
1)を最大限に利用させる。この方法はまた、減圧下で
行われ得るが、明らかに実用的な理由から、めったに行
われない。
この反応は、通常、実質的に不活性で通常液状の有機
希釈剤(例えば、低粘度の潤滑油)の存在下で行われ
る。この有機希釈剤は、分散媒体および反応媒体の両方
として機能する。この希釈剤は、この反応混合物の全重
量の少なくとも約10重量%で含有される。通常、その量
は約80重量%を越えず、好ましくは、その約30重量%〜
70重量%である。
反応が完了すると、この混合物中の固形分は、好まし
くは、濾過または他の好都合な方法により、除去され
る。通常、容易に除去可能な希釈剤、アルコール性促進
剤および反応中に形成される水は、蒸留のような従来方
法により、除去され得る。実質的に全ての水を反応混合
物から除去するのが、通常、望ましい。水が存在する
と、濾過が困難になり、燃料および潤滑剤中に望ましく
ない乳濁液が形成され得るからである。存在するこのよ
うな水は、大気圧下または減圧下にて加熱することによ
り、または共沸蒸留により、容易に除去される。好まし
い1実施態様では、成分(A−2−c)として、塩基性
スルホン酸カリウムが望ましいとき、このカリウム塩
は、二酸化炭素および成分(C−2−c)として硫化ア
ルキルフェノールを用いて、調製される。この硫化アル
キルフェノールを使用することにより、高い金属比を有
する塩基性塩が得られ、より均一かつ安定な塩が形成さ
れる。
このアルカリ金属塩(A−2−c)の化学構造は、確
かには知られていない。この塩基性塩または錯体は、溶
液とされ得るかまたは、さらに適当には、安定な分散体
とされ得る。選択的には、それらは、酸性物質、オーバ
ーベース化される油溶性酸および金属化合物の反応によ
り形成される「重合体塩」と見なされ得る。上記のため
に、これらの物質は、最も好都合には、それらが形成さ
れる方法と関連させて、定義される。
少なくとも約2の金属比(好ましくは、約4の40との
間の金属比)を有するスルホン酸のアルカリ金属塩を、
成分(C−2−c)としてアルコールを用いて調製する
上記方法は、米国特許第4,326,972号にさらに詳細に記
述され、その内容は、このような方法の開示に関して、
ここに援用されている。
本発明のオイル組成物中で成分(A−2−c)として
有用なアルカリ金属スルホン酸塩の油溶性分散体の調製
は、以下の実施例で例示されている。
実施例S−1 アルキルベンゼンスルホン酸790部(1当量)、およ
び主としてイソブテン単位を含有するポリブテニル無水
コハク酸71部(当量は約560)の鉱油176部溶液に、水酸
化ナトリウム320部(8当量)およびメタノール640部
(20当量)を加える。この混合物の温度は、発熱のため
に、10分間で89℃(還流温度)まで上がる。この間、こ
の混合物に、4cfh.(立方フィート/時間)の割以で二
酸化炭素を吹き込む。温度を徐々に74℃まで下げなが
ら、約30分間にわたって炭酸化を続ける。2cfh.の割合
で窒素を吹き込むことにより、この炭酸化した混合物か
ら、メタノールおよび他の揮発性物質をストリッピング
する。この間、温度を、90分間にわたり、ゆっくりと15
0℃まで上げる。ストリッピングが完了した後、残りの
混合物を、155〜165℃で約30分間維持し、濾過して、約
7.75の金属比を有する所望の塩基性スルホン酸ナトリウ
ムのオイル溶液を得る。この溶液は、12.4%のオイルを
含有する。
実施例S−2 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸780部(1当量)およびポリブテニル無水コハク
酸119部の鉱油442部溶液を、水酸化ナトリウム800部(2
0当量)およびメタノール704部(22当量)と混合する。
温度をゆっくりと97℃まで上げながら、この混合物に、
7cfh.の割合で11分間にわたって二酸化炭素を吹き込
む。二酸化炭素の流量を6cfh.まで下げ、この温度を、
約40分間かけて88℃までゆっくりと低下させる。二酸化
炭素の流量を約35分間で5cfh.まで低下させ、温度をゆ
っくりと73℃まで下げる。温度をゆっくりと160℃まで
上げつつ、この炭酸化した混合物に、2cfh.の割合で105
分間窒素を吹き込むことにより、揮発性物質をストリッ
ピングする。ストリッピングが完了した後、この混合物
を、160℃でさらに45分間維持し、次いで濾過して、約1
9.75の金属比を有する所望の塩基性スルホン酸ナトリウ
ムのオイル溶液を得る。この溶液は、18.7%のオイルを
含有する。
実施例S−3 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸3120部(4当量)およびポリイソブテニル無水コ
ハク酸284部の鉱油704部溶液を、水酸化ナトリウム1280
部(32当量)およびメタノール2560部(80当量)と混合
する。温度を90℃まで上昇させ、次いで、70℃までゆっ
くりと低下させつつ、この混合物に、10cfh.の割合で65
分間にわたって二酸化炭素を吹き込む。温度を160℃ま
でゆっくりと上げつつ、2cfh.の割合で2時間窒素を吹
き込むことにより、揮発性物質をストリッピングする。
ストリッピングが完了した後、この混合物を、160℃で
0.5時間維持し、次いで濾過して、約7.75の金属比を有
する所望の塩基性スルホン酸ナトリウムのオイル溶液を
得る。この溶液は、12.35%のオイル溶液を有する。
実施例S−4 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸3200部(4当量)およびポリブテニル無水コハク
酸284部の鉱油623部溶液を、水酸化ナトリウム1280部
(32当量)およびメタノール2560部(80当量)と混合す
る。この混合物に、10cfh.の割合で約77分間二酸化炭素
を吹き込む。この間、温度を92℃まで上げ、次いで、73
℃まで徐々に低下させる。この反応混合物の温度を160
℃までゆっくりと上げつつ、2cfh.の割合で約2時間窒
素ガスを吹き込むことにより、揮発性物質をストリッピ
ングする。揮発性物質の最終痕跡量を真空ストリッピン
グし、残留物を170℃で維持し、次いで濾過して、約7.7
2の金属比を有する所望のナトリウム塩の透明なオイル
溶液を得る。この溶液は、11%のオイル含量を有する。
実施例S−5 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸780部(1当量)およびポリブテニル無水コハク
酸86部の鉱油254部溶液を、水酸化ナトリウム480部(12
当量)およびメタノール640部(20当量)と混合する。
この反応混合物に、6cfh.の割合で約45分間二酸化炭素
を吹き込む。この間、温度を95℃まで上げ、次いで、74
℃まで徐々に低下させる。温度を160℃まで上げつつ、2
cfh.の割合で約1時間窒素ガスを吹き込むことにより、
揮発性物質をストリッピングする。ストリッピングが完
了した後、この混合物を160℃で0.5時間維持し、次いで
濾過して、11.8の金属比を有する所望のナトリウム塩の
オイル溶液を得る。この溶液のオイル含量は、14.7%で
ある。
実施例S−6 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸3120部(4当量)およびポリブテニル無水コハク
酸344部の鉱油1016部溶液を、水酸化ナトリウム1920部
(48当量)およびメタノール2560部(80当量)と混合す
る。この混合物に、10cfh.の割合で約2時間二酸化炭素
を吹き込む。この間、温度を96℃まで上げ、次いで、74
℃まで徐々に低下させる。外部加熱により、温度を74℃
から160℃まで上げつつ、2cfh.の割合で約2時間窒素ガ
スを吹き込むことにより、揮発性物質をストリッピング
する。このストリッピングした混合物を、160℃でさら
に1時間加熱し、そして除去する。この濾液を真空スト
リッピングして、少量の水を濾過し、再び濾過して、約
11.8の金属比を有する所望のナトリウム塩の溶液を得
る。この溶液のオイル含量は、14.7%である。
実施例S−7 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸2800部(3.5当量)およびポリブテニル無水コハ
ク酸302部の鉱油818部溶液を、水酸化ナトリウム1680部
(42当量)およびメタノール2240部(70当量)と混合す
る。この混合物に、10cfh.で約90分間にわたって二酸化
炭素を吹き込む。この間、この温度を96℃まで上げ、次
いで、76℃までゆっくりと低下させる。外部加熱によ
り、温度を76℃から165℃までゆっくりと上げつつ、2cf
h.の割合で窒素を吹き込むことにより、揮発性物質をス
トリッピングする。真空ストリッピングにより、水を除
去する。濾過すると、所望の塩基性ナトリウム塩のオイ
ル溶液が得られる。この溶液は、約10.8の金属比を有
し、オイル含量は13.6%である。
実施例S−8 実施例S−1の方法に従って、アルキルベンゼンスル
ホン酸780部(1当量)およびポリブテニル無水コハク
酸103部の鉱油350部溶液を、水酸化ナトリウム640(16
当量)およびメタノール640部(20当量)と混合する。
この混合物に、6cfh.の割合で約1時間二酸化炭素を吹
き込む。この間、温度を95℃まで上げ、次いで、75℃ま
で徐々に低下させる。窒素を吹き込むことにより、揮発
性物質をストリッピングする。ストリッピングしている
間、この温度を、まず30分間にわたって70℃まで低下さ
せ、次いで、16分間にわたって78℃までゆっくりと上げ
る。この混合物を、次いで、80分間にわたって155℃ま
で加熱する。このストリッピングした混合物を、155〜1
60℃でさらに30分間加熱し、そして濾過する。この濾液
は、約15.2の金属比を有する所望の塩基性スルホン酸ナ
トリウムのオイル溶液である。この溶液は、17.1%のオ
イル含量を有する。
実施例S−9 市販のジアルキル芳香族スルホン酸584部(0.75モ
ル)、実施例3−Cのように調製した硫化テトラプロペ
ニルフェノール144部(0.37モル)、実施例S−1で用
いたようなポリブテニル無水コハク酸93部、キシレン50
0部およびオイル549部の混合物を調製し、攪拌しなが
ら、70℃まで加熱する。そこで、水酸化カリウム97部を
加える。水とキシレンを共沸させながら、この混合物を
145℃に加熱する。追加の水酸化カリウム(368部)を10
分間にわたって加え、約145〜150℃で加熱を続ける。そ
こで、この混合物に、1.5cfh.の割合で約110分間二酸化
炭素を吹き込む。窒素を吹き込み、温度をゆっくりと約
160℃まで上げることにより、揮発性物質をストリッピ
ングする。ストリッピング後、この反応混合物を濾過
し、約10の金属比を有する所望のスルホン酸カリウムの
オイル溶液を得る。この反応生成物に追加のオイルを加
えて、最終溶液のオイル含量を39%とする。
以下の実施例は、中性および塩基性のアルカリ土類金
属塩(A−2−c)の調製を例示する。
実施例S−10 アルキルフェニルスルホン酸(これは、450の数平均
分子量を有する)のオイル溶液906部、鉱油564部、トル
エン600部、酸化マグネシウム98.7部、および水120部の
混合物に、1時間あたり約3立方フィートの二酸化炭素
の割合で、78〜85℃の温度で7時間二酸化炭素を吹き込
む。この反応混合物を、炭酸化の間じゅう、絶えず攪拌
する。炭酸化後、この反応混合物を、165℃/20torまで
ストリッピングし、そして残留物を濾過する。この濾液
は、約3の金属比を有する所望のオーバーベース化スル
ホン酸マグネシウムのオイル溶液(34%はオイル)であ
る。
実施例S−11 塩素化したポリ(イソブテン)(これは、4.3%の平
均塩素含量を有し、約1150の数平均分子量を有するポリ
イソブテンから誘導される)と無水マレイン酸とを、約
200℃で反応させることにより、ポリイソブテニル無水
コハク酸を調製する。この無水コハク酸1246部およびト
ルエン1000部の混合物に、25℃で、酸化バリウム76.6部
を加える。この混合物を115℃まで加熱し、水125部を、
1時間にわたって一滴ずつ加える。この混合物を、次い
で、全ての酸化バリウムが反応するまで、150℃で還流
させる。この混合物を、ストリッピングし濾過して、所
望生成物を含有する物質を得る。
実施例S−12 水酸化カルシウム、中性の石油スルホン酸ナトリウ
ム、塩化カルシウム、メタノールおよびアルキルフェノ
ールの混合物を少量ずつ加えて炭酸化することにより、
約15の金属比を有する塩基性スルホン酸カルシウムを調
製する。
実施例S−13 鉱油323部、水4.8部、塩化カルシウム0.74部、石灰79
部、およびメチルアルコール128部の混合物を調製し、
温度を約50℃まで暖める。この混合物に、混合しなが
ら、500の数平均分子量を有するアルキルフェニルスル
ホン酸1000部を加える。この混合物に、次いで、1時間
あたり約5.4ポンドの割合で、約50℃の温度で、約2.5時
間二酸化炭素を吹き込む。炭酸化後、追加のオイル102
部を加え、この混合物から、55mm.の圧力にて、約150〜
155℃の温度で、揮発成分を除去する。この残留物を濾
過すると、濾液は、約3.7%のカルシウム含量および約
1.7の金属比を有するオーバーベース化スルホン酸カル
シウムの所望のオイル溶液である。
実施例S−14 鉱油490部(重量基準)、水110部、ヘプチルフェノー
ル61部、マホガニースルホン酸バリウム340部、および
酸化バリウム227部の混合物を、110℃で0.5時間加熱
し、次いで150℃まで加熱する。次いで、この混合物が
実質的に中性となるまで、この混合物に二酸化炭素を泡
立たせる。この混合物を濾過すると、濾液は、25%の硫
酸塩灰分含量を有することが分かる。
実施例S−15 50,000の数平均分子量を有するポリイソブテンを、20
0℃で6時間、10重量%の五硫化リンと混合する。得ら
れた生成物を、160℃にて蒸気で処理することにより、
加水分解し、酸性の中間体を生成する。この酸性の中間
体を、次いで、その2倍容量の鉱油、2モルの水酸化バ
リウムおよび0.7モルのフェノールと混合し、この混合
物を150℃で炭酸化することにより、塩基性塩に転化し
て、流体生成物を生成する。
本発明の方法で用いられるオイル溶液(A−2)は、
主要量の炭化水素油、および(A−2−a)少量の少な
くとも1種の分散剤(A−2−b)、および必要に応じ
て、少なくとも1種の金属塩(A−2−c)を含有す
る。このエステルおよび金属塩は、それぞれ、約0.1重
量%〜約20重量%の量で存在し得る。
このオイル溶液(A−2)はまた、以下を含めた他の
有用な添加剤を含有し得る:ジヒドロカルビルジチオリ
ン酸金属、分散特性または清浄特性を有するものを含め
た粘度改良剤、オイルに添加されるとき一般に摩擦調節
剤として示される組成物。これらの添加剤は、このオイ
ル溶液に含有されるとき、約0.1重量%〜約20重量%の
量、さらに一般的には、0.1重量%〜約10重量%の量で
存在する。
(A−2−d)金属ジチオリン酸ジヒドロカルビル: 他の実施態様では、本発明のオイル組成物はまた、
(D)次式により特徴づけられる少なくとも1種の金属
ジチオリン酸ジヒドロカルビルを含有する: ここで、R1およびR2は、それぞれ独立して、3個〜約
13個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基である;Mは
金属、そしてnは、Mの原子価に等しい整数である。
本発明のオイル溶液は、上で同定されたジチオリン酸
金属を種々の量(例えば、このオイル溶液の全重量を基
準にして、約0.01重量%〜約5重量%)で、含有し得
る。
式XIのジチオリン酸エステルでは、ヒドロカルビル基
R1およびR2は、アルキル基、シクロアルキル基、アラル
キル基またはアルカリール基、または類似構造の実質的
な炭化水素基とされ得る。「実質的な炭化水素」とは、
基の炭化水素的性質を著しく変えないような置換基(例
えば、エーテル、エステル、ニトロまたはハロゲン)を
含有する炭化水素を意味する。
例示のアルキル基には、イソプロピル、イソブチル、
n−ブチル、sec−ブチル、種々のアミル基、n−ヘキ
シル、メチルイソブチル、カルビニル、ヘプチル、2−
エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、ノニ
ル、ベヘニル、デシル、ドデシル、トリデシルなどが包
含される。例示のアルキルフェニル基には、ブチルフェ
ニル、アミルフェニル、ヘプチルフェニル、ブチレンダ
イマーで置換されたフェノール、プロピレンテトラマー
で置換されたフェノールなどがある。シクロアルキル基
も同様に、有用であり、これらには、主に、シクロヘキ
シル基および低級アルキルシクロヘキシル基が包含され
る。多くの置換された炭化水素基(例えば、クロロペン
チル、ジクロロフェニル、およびジクロロデシル)もま
た、用いられ得る。
そこから本発明で有用な金属塩が調製されるホスホロ
ジチオ酸は、周知である。ジヒドロカルビルホスホロジ
チオ酸およびその金属塩、およびこのような酸や塩を調
製する方法の例は、例えば、米国特許第4,263,150号;
第4,289,635号;第4,308,154号;および第4,417,990号
に見いだされる。これらの特許の内容は、このような開
示に関して、ここに援用されている。
このホスホロジチオ酸は、五硫化リンと、アルコール
またはフェノールまたはアルコール混合物との反応によ
り、調製される。この反応には、五硫化リン1モルあた
り、4モルのアルコールまたはフェノールの反応が包含
される。この反応は、約50℃〜約200℃の範囲の温度で
行われ得る。それゆえ、0,0−ジ−n−ヘキシルホスホ
ロジチオ酸の調製には、五硫化リンと、4モルのn−ヘ
キシルアルコールとを、約100℃で約2時間反応させる
ことが包含される。硫化水素が遊離し、残留物は記述の
酸である。この酸の金属塩は、金属酸化物と反応させる
ことにより、調製され得る。反応を起こすには、これら
2つの反応物を単に混合し加熱することで充分であり、
得られた生成物は、本発明の目的上、充分に純粋であ
る。
本発明で有用なジチオリン酸ジヒドロカルビルの金属
塩には、第I族金属、第II族金属、アルミニウム、鉛、
スズ、モリブデン、マンガン、鉄、コバルトおよびニッ
ケルを含むそれらの塩が包含される。第II族金属、アル
ミニウム、鉄、スズ、鉄、コバルト、鉛、モリブデン、
マンガン、ニッケルおよび銅は、好ましい金属のうちに
はいる。亜鉛や銅は、特に有用な金属である。
本発明で有用なオイル溶液はまた、潤滑剤技術の分野
で摩擦調節剤として示される少なくとも1種の物質を含
有し得る。種々のアミン、特に、第3級アミンは、効果
的な摩擦調節剤である。第3級アミン摩擦調節剤の例に
は、N−脂肪アルキル−N,N−ジエタノールアミン、N
−脂肪アルキル−N,N−ジエトキシエタノールアミンな
どが包含される。このような第3級アミンは、脂肪アル
キルアミンと、適当なモル数のエチレンオキシドとを反
応させることにより、調製され得る。天然に生じる物質
(例えば、ココナッツ油および含油アミン)から誘導さ
れる第3級アミンは、アルモール(Armour)化学社か
ら、「エトメーン(Ethomeen)」の商品名で入手でき
る。特定の例には、Ethomeen−C類およびEthomeen−O
類がある。
イオウ含有化合物(例えば、硫化されたC12-24脂肪、
アルキルスルフィドおよびポリスルフィド(ここで、こ
のアルキル基は、1個〜8個の炭素原子を含有する)、
および硫化されたポリオレフィン)はまた、本発明のオ
イル溶液に含有され得る。多価アルコールの部分脂肪酸
エステルもまた、約5重量%または10重量%までの量
で、本発明で用いられるオイル溶液に含有され得る。こ
のヒドロキシ脂肪酸エステルは、2価アルコールまたは
多価アルコールのヒドロキシ脂肪酸エステル、またはそ
れらの油溶性のオキシアルキル化された誘導体から選択
される。
この明細書および請求の範囲で用いられる「脂肪酸」
との用語は、天然に生じる植物性または動物性の脂肪ま
たはオイルの加水分解により得られる酸を表す。これら
の酸は、通常、約8個〜約22個の炭素原子を含有し、こ
れには、例えば、カプリル酸、カプロン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが含ま
れる。10個〜22個の炭素原子を含有する酸は、一般に好
ましく、ある実施態様では、16個〜18個の炭素原子を含
有する酸が、特に好ましい。
この部分脂肪酸を調製する際に利用され得る多価アル
コールは、2個〜約8個または10個の水酸基を含有し、
さらに一般的には、約2個〜約4個の水酸基を含有す
る。適当な多価アルコールの例には、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ネオペンチレングリコー
ル、グリセロール、ペンタエリスリトールなどが包含さ
れる。エチレングリコールおよびグリセロールは好まし
い。低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基および/ま
たはエトキシ基)を含有する多価アルコールは、この部
分脂肪酸エステルを調製する際に、利用され得る。
多価アルコールの適当な部分脂肪酸エステルには、例
えば、グリコールモノエステル、グリセロールモノエス
テルおよびジエステル、およびペンタエリスリトールジ
エステルおよび/またはトリエステルが包含される。グ
リセロールの部分脂肪酸エステルが好ましく、このグリ
セロールエステルのうち、モノエステル、またはモノエ
ステルとジエステルとの混合物は、しばしば利用され
る。この多価アルコールの部分脂肪酸エステルは、当該
技術分野で周知の方法(例えば、酸とポリオールとの直
接のエステル化、脂肪酸とエポキシドとの反応など)に
より、調製され得る。
この部分脂肪酸エステルは、オレフィン性不飽和を含
有するのが一般に好ましく、このオレフィン性不飽和
は、通常、エステルの酸部分にある。さらに、オレフィ
ン性不飽和を含有する天然の脂肪酸(例えば、オレイン
酸、オウテン酸、テトラデカン酸など)は、このエステ
ルを形成する際に利用され得る。
本発明のオイル溶液で利用される部分脂肪酸エステル
は、種々の他の成分(例えば、未反応の脂肪酸、完全に
エステル化された多価アルコール、および他の物質)を
含有する混合物の成分として、存在し得る。市販の部分
脂肪酸エステルは、しばしば、1種またはそれ以上のこ
れら成分の混合物、およびグリセロールモノエステルお
よびジエステルの混合物である。
脂肪およびオイルから脂肪酸のモノグリセリドを調製
する1方法は、バーンバーン(Birnbaum)の米国特許第
2,875,221号に記述されている。この特許に記述の方法
は、グリセロールと脂肪とを反応させて、高い割合のモ
ノグリセリドを有する生成物を得る連続方法である。市
販のグリセロールエステルのうちには、少なくとも約30
重量%のモノエステル(一般に、約35重量%〜約65重量
%のモノエステル)、約30重量%〜約50重量%のジエス
テルを含有するエステル混合物であり、総量の残りの量
(一般に、約15%より少ない量)は、トリエステル、遊
離の脂肪酸および他の成分の混合物である。グリセロー
ルの脂肪酸エステルを含む市販の物質の特定の例には、
エミリー(Emery)2421(エミリー工業社)、キャップ
シティ(Cap City)GMO(キャピタル社)、DUR−EM 1
14、DUR−EM GMOなど(ダーキー(Durkee)工業食品
社)、およびMAZOL GMOの商標(マゼール(Mazer)化学
社)で同定される種子の物質が包含される。多価アルコ
ールの部分脂肪酸エステルの他の例は、K.S.マークレイ
(Markley)著の脂肪酸、2版、I部およびV部、イン
ターサイエンス出版(1968年)に見いだされ得る。多価
アルコールの非常に多くの市販の脂肪酸エステルは、マ
クカッチェオン(McCutcheon)の乳濁液および清浄剤、
ノースアメリカンおよびインターナショナルの共同出版
(1981年)に、商品名および製造業者が挙げられてい
る。
粘度改良剤もまた、本発明で用いられるオイル溶液
(A−2)中に含有され得る。非常に多くのタイプの粘
度改良剤が、当該技術分野で周知であり、それらの多く
は、ラニー(Ranney)の潤滑添加剤(ノイス データコ
ーポレーション、1973年)、pp.93〜119に記述されてい
る。例示の粘度改良剤には、ポリブテンのような種々の
オレフィン性重合体(特に、主として、イソブテン単位
を含有するもの):エチレン−プロピレン共重合体;エ
チレンと他の低分子量オレフィン(特に、α−オレフィ
ン)との共重合体;エチレン、プロピレンおよび種々の
ジエン(特に、非共役ジエン)の三元共重合体;ポリブ
タジエン;水素添加されたスチレン−ブタジエン共重合
体;アルキル化されたポリスチレン;メタクリル酸アル
キルの重合体;アルキレンポリエーテル;およびポリオ
ール、短鎖のジカルボン酸および1塩基カルボン酸停止
剤から調製されるポリエステル(これは、主として、潤
滑油が合成エステルである潤滑剤中で、有用である)が
包含される。
分散特性または清浄特性を有する1つのタイプの粘度
改良剤は、以下のインターポリマーを含む:このインタ
ーポリマーは、滴定可能な酸性度を実質的に有さず、カ
ルボン酸エステル基(この基では、アルコール部分の一
部は、少なくとも8個の脂肪族炭素原子を有し、他の部
分は、7個より少ない脂肪族炭素原子を有する)を含有
し、またカルボニル−ポリアミノ基(この基では、ポリ
アミノ基は、1個の第1級アミノ基または第2級アミノ
基を有する化合物から誘導される)を含有する。これら
の重合体は、米国特許第3,702,300号に記述され、その
内容は、このような記述に関して、ここに包含される。
スチレンと無水マレイン酸とをまず共重合させ、続い
て、このカルボン酸基の一部を、上記の非常に多くの炭
素原子を有する第1級アルコールの混合物でエステル化
し、そして残りのカルボン酸基を適当なアミンで中和す
ることにより調製されるインターポリマーが好ましい。
米国特許第3,702,300号の作用実施例は、特定の適当な
重合体を例示している。
イソシアネートモノマーは、本発明の方法に従って、
粗イソシアネート濃縮物と上記オイル溶液との混合物を
高温で加熱することによるイソアシネートの製造の際
に、得られる粗イソシアネート濃縮物から回収される。
それにより、イソシアネートモノマーは、この濃縮物か
ら蒸留され、回収される。この残留物は液体であり、こ
れは、加熱装置から容易に除去され、そして焼却により
処理され得る。このオイル溶液が、イソシアネート濃縮
物に加えられないなら、イソシアネートの蒸留後に濃縮
物から得られる残留物は、スラグ様の残留物であり、こ
れは、いずれの通常の溶媒にも実質的に不溶な非常に堅
い固体である。このスラグ様の固体は、蒸留装置から除
去するのが困難であり、装置から除去すると、重大な廃
棄物の問題点が生じる。
上記のオイル溶液を、蒸留前にイソシアネート濃縮物
と混合することにより、高温にすると、また、蒸留工程
が容易となり、その結果、単量体状イソシアネート留出
物の収量が増し、液状の残留濃縮物が回収される。
本発明のオイル溶液(A−2)は、いずれの量でも、
このイソシアネート濃縮物と混合され得るが、実用的な
理由および経済上の理由のために、蒸留を受ける混合物
は、一般に、約70重量部〜約99重量部のイソシアネート
濃縮物(A−1)、および約1重量部〜約30重量部のオ
イル溶液(A−2)を含有する。さらに特定すると、80
重量部またはそれ以上のイソシアネート濃縮物中に20重
量部までのオイル溶液が存在すると、望ましい結果が得
られる。
このオイル溶液(A−2)は、主要量の炭化水素油
(A−2−a)、および少量のカルボン酸エステル(A
−2−b)および/または上記の中性または塩基性の金
属塩(A−2−c)を含有する。特定の実施態様では、
このオイル溶液は、約0.1重量%〜約20重量%のカルボ
ン酸エステル(A−2−b)、および約0.1重量%〜約2
0重量%の少なくとも1種の金属塩(A−2−c)を含
有する。他の実施態様では、このオイル溶液はまた、ジ
ヒドロカルビルジチオリン酸(A−2−d)の少なくと
も1種の金属塩を含有し、該塩の量は、約0.1重量%〜
約10重量%の範囲とされ得る。上記の他の添加剤はま
た、必要に応じて、このオイル溶液(A−2)に含有さ
れ得る。
粗イソシアネート濃縮物およびオイル溶液の混合物
は、イソシアネートモノマーをこの混合物から蒸留する
のに充分に高い温度まで、この混合物を加熱することに
より、蒸留される。蒸留を容易にし温度を下げるため
に、この蒸留は、好ましくは、減圧下で行われる。蒸留
温度は、混合物のいずれの他の成分をも蒸留することな
く、このイソシアネートモノマーを効果的に蒸留するた
めに、制御される。それゆえ、このオイル溶液中で用い
られる炭化水素油(A−2−a)、およびこのオイル溶
液の成分中に含有される他の溶媒は、この濃縮物中のイ
ソシアネートモノマーの沸点より高い初留点を有するべ
きである。それゆえ、1実施態様では、粗トリレンジイ
ソシアネート濃縮物を含有する混合物を形成する際に利
用される炭化水素油は、10mm.Hg.で少なくとも約200℃
の初留点を有するものとして、特徴づけられる。このト
リレンジイソシアネートの沸点は、10mm.Hg.で約120℃
である。
以下の実施例は、本発明で有用なオイル溶液を例示す
る。オイル溶液(A) 重量部 実施例1 シチゴ(Citgo)350中性油(沸点349℃) 94 実施例E−1のカルボン酸エステル 5 実施例S−1の塩基性スルホン酸ナトリウム 1 実施例2 鉱油(Citgo350中性油) 90 実施例E−1のカルボン酸エステル 5 実施例S−2のナトリウム塩 4 プロピレンテトラマーで置換したフェノールから調製し
たジチオリン酸亜鉛(これは、3.6%の亜鉛、3.2%のリ
ンおよび27%のオイルを含有する) 1 実施例3 Citgo350中性油 94 実施例E−12のカルボン酸エステル 5 塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(これ
は、44%のオイル、15.5%のカルシウムを含有し、20の
金属比を有する) 1 実施例4 鉱油(Citgo350中性油) 90 実施例E−12のカルボン酸エステル 5 実施例S−2のナトリウム塩 4 塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(これ
は、44%のオイル、15.5%のカルシウムを含有し、20の
金属比を有する) 1 実施例5 Citgo350中性油 94 実施例E−12のカルボン酸エステル 5 塩基性アルキルベンゼンスルホン酸マグネシウム(これ
は、32%のオイルを含有し、14.7の金属比を有する)1 実施例6 Citgo350中性油 90 実施例E−12のカルボン酸エステル 5 塩基性アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム(これ
は、44%のオイル、15.5%のカルシウムを含有し、20の
金属比を有する) 4 プロピレンテトラマーで置換されたフェノールから調製
したジチオリン酸亜鉛(これは、3.6%の亜鉛、3.2%の
リンおよび27%のオイルを含有する) 1 本発明の方法は、以下の実施例により例示される。
実施例A ジシクロヘキシルメタン(これは、対応するビス(ア
ミノシクロヘキシル)メタンのo−ジクロロベンゼン中
でのホスゲン化により、得られる)75部、および実施例
1のオイル溶液25部を含有する混合物を、蒸留装置に充
填する。この混合物を、0.5mm.で150℃の温度まで加熱
する。この混合物から単量体状イソシアネートを蒸留
し、集める。蒸留割合が無視できるようになると、反応
容器中の残留物を100℃まで冷却し、ポンプ上げ可能な
液体として回収する。
実施例B イソシアネート濃縮物を、実施例3の溶液25部と混合
すること以外は、実施例Aの方法を繰り返す。
実施例C この実施例で用いる濃縮物が、2,4−ジアミノトルエ
ンのホスゲン化により得られるトリレンジイソシアネー
ト濃縮物であること以外は、実施例Aの方法を繰り返
す。
実施例D イソシアネート濃縮物が、2,4−ジアミノトルエン80
部および2,6−ジアミノトルエン20部を含有する混合物
のホスゲン化により得られるトリレンジイソシアネート
混合物であること以外は、実施例Aの方法を繰り返す。
実施例E イソシアネート濃縮物が、2,4−ジアミノトルエン1
モルとホスゲン2モルとの反応により得られる濃縮物で
あり、オイル溶液が実施例3の溶液であること以外は、
実施例Aの方法を繰り返す。
実施例F 用いられるオイル溶液が、実施例6の溶液であること
以外は、実施例Eの方法を繰り返す。
本発明は、その好ましい実施態様に関して説明してい
るものの、それらの種々の変更は、この明細書を読め
ば、当業者に明らかなことが理解されるべきである。従
って、ここで開示の発明は、添付の請求の範囲の範囲内
に入るようなこれらの変更を含むべく意図されているこ
とが理解されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ディビアーズ,ステファン エイ. アメリカ合衆国 オハイオ 44132 ユ ークリッド,イースト 266 ストリー ト 504 (72)発明者 アーント,ラリー ダブリュー. アメリカ合衆国 テキサス 77505 パ セデナ,ウィンターボルン 4243 (72)発明者 スタンスフィールド,グレゴリー エ ム. アメリカ合衆国 テキサス 77586 シ ーブルック,ショールウッド ドライブ 1054 (72)発明者 レンボーム,ルイス エイ. アメリカ合衆国 ペンシルベニア 15243 ピッツバーグ,ビバリー ロー ド 633 (56)参考文献 米国特許2810681(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 263/20 C07C 265/14 EPAT(QUESTEL) WPI(DIALOG)

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イソシアネートを生成する際に形成されそ
    して揮発性イソシアネートモノマーおよび副生成物を含
    むイソシアネート濃縮物から、イソシアネートモノマー
    を分離し回収する方法であって、以下の工程(A)およ
    び(B)を包含する、方法: (A)(A−1)該イソシアネート濃縮物と、(A−
    2)以下の(A−2−a)および(A−2−b)を含む
    オイル溶液とを含有する混合物を調製する工程: (A−2−a)主要量の油、および (A−2−b)少量の少なくとも1種の無灰分分散剤、
    ここで、該無灰分分散剤は、カルボン酸分散剤、アミン
    分散剤、マンニッヒ分散剤、カルボン酸分散剤またはア
    ミン分散剤またはマンニッヒ分散剤を後処理することに
    より得られる生成物である; ならびに (B)該混合物を、液状残留物を残してイソシアネート
    モノマーを蒸留し回収する温度に加熱する工程。
  2. 【請求項2】前記分散剤が、高分子量オレフィンモノマ
    ーとアクリル酸アミノアルキル、アミノアルキルアクリ
    ルアミドまたはポリ(オキシエチレン)置換アクリル酸
    エステルモノマーとのインターポリマー、あるいはメタ
    クリル酸デシル、ビニルデシルエーテルまたは高分子量
    オレフィンモノマーとポリ(オキシエチレン)置換アク
    リル酸エステルモノマーとのインターポリマーを含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記少なくとも1種の無灰分分散剤(A−
    2−b)が、以下の(A−2b−1)および(A−2−b
    −2)を反応させることにより得られるカルボン酸エス
    テルを含む、請求項1に記載の方法: (A−2−b−1)少なくとも1種の置換コハク酸アシ
    ル化剤、 (A−2−b−2)以下の一般式(I)の少なくとも1
    種のアルコール: R1(OH) (I) ここで、R1は、炭素結合を介してOH基に結合した1価ま
    たは多価の有機基であり、そしてmは、1〜10の整数で
    ある。
  4. 【請求項4】前記工程(A)において調製される前記混
    合物が、70〜99重量部の前記イソシアネート濃縮物(A
    −1)および1〜30重量部の前記オイル溶液(A−2)
    を含有する、請求項1または3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記イソシアネート濃縮物が、脂肪族アミ
    ン、脂環族アミン、芳香族アミンまたは混合した脂肪族
    −芳香族アミンとホスゲンとを反応させることにより得
    られる、請求項1、3、または4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記オイル溶液(A−2)が、以下の(A
    −2−c)をさらに含有する、請求項1、3、または5
    に記載の方法: (A−2−c)少量の、少なくとも1種の酸性有機化合
    物の少なくとも1種の中性または塩基性アルカリ金属塩
    またはアルカリ土類金属塩。
  7. 【請求項7】前記置換コハク酸アシル化剤(A−2−b
    −1)が、置換基およびコハク酸基からなり、ここで、
    該置換基がポリアルケンから誘導される、請求項3に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】前記置換基が、2個〜16個の炭素原子を有
    する末端オレフィンの単独重合体およびインターポリマ
    ーからなる群から選択される1種以上のポリアルケンか
    ら誘導され、ただし、該インターポリマーが、必要に応
    じて、6個までの炭素原子を有する内部オレフィンから
    誘導されるポリマー単位を25%まで含有し得る、請求項
    7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記置換基が、少なくとも8個の炭素原子
    を含有する、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記イソシアネート濃縮物が、2,4−ま
    たは2,6−トリレンジイソシアネートを含有する濃縮物
    である、請求項6に記載の方法。
  11. 【請求項11】前記オイル溶液(A−2)が、0.1重量
    %〜20重量%の少なくとも1種のカルボン酸エステル
    (A−2−b)を含有する、請求項1、3、または6に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】前記オイル溶液(A−2)が、0.1重量
    %〜20重量%の少なくとも1種の金属塩(A−2−c)
    を含有する、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】前記オイル溶液(A−2)が、以下の
    (A−2−c)をさらに含有する、請求項9に記載の方
    法: (A−2−c)少量の、少なくとも1種の酸性有機化合
    物の少なくとも1種の中性または塩基性アルカリ金属塩
    またはアルカリ土類金属塩。
  14. 【請求項14】(A−2−c)の前記酸性有機化合物
    が、イオウ含有酸、カルボン酸、リン含有酸、フェノー
    ル、またはそれらの混合物である、請求項6に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】前記分離し回収したイソシアネートモノ
    マーが、ジアミノトルエンとホスゲンとの反応により得
    られるトリレンジイソシアネート濃縮物由来のトリレン
    ジイソシアネートモノマーであり、以下の工程(A)お
    よび(B)を包含する、請求項1に記載の方法: (A)(A−1)主要量の該イソシアネート濃縮物と、
    (A−2)少量の、以下の(A−2−a)、(A−2−
    b)、および(A−2−c)を含むオイル溶液との混合
    物を調製する工程: (A−2−a)主要量の油、 (A−2−b)0.1重量%〜20重量%の、以下の(A−
    2−b−1)と(A−2−b−2)とを反応させること
    により得られる少なくとも1種のカルボン酸エステル: (A−2−b−1)少なくとも1種の置換コハク酸アシ
    ル化剤、 (A−2−b−2)以下の一般式(I)の少なくとも1
    種の多価アルコール: R1(OH) (I) ここで、R1、は、炭素結合を介してOH基に結合した1価
    または多価の有機基であり、そしてmは、2〜10の整数
    である、および (A−2−c)0.1重量%〜20重量%の、少なくとも1
    種の有機カルボン酸またはスルホン酸の少なくとも1種
    の中性または塩基性アルカリ金属塩またはアルカリ土類
    金属塩;ならびに (B)前記工程(A)で調製した混合物を、減圧下で蒸
    留によって該トリレンジイソシアネートモノマーを除去
    し、液状残留物を残して回収する温度まで加熱する工
    程。
  16. 【請求項16】前記ホスゲンと反応する前記ジアミノト
    ルエンが、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトル
    エン、またはそれらの混合物である、請求項15に記載の
    方法。
  17. 【請求項17】前記油(A−2−a)が、10mmHgで少な
    くとも200℃の沸点を有する潤滑油または燃料油であ
    る、請求項1、3、6、または15に記載の方法。
  18. 【請求項18】前記オイル溶液(A−2)が、少なくと
    も60重量%の油(A−2−a)を含有する、請求項1、
    3、または15に記載の方法。
  19. 【請求項19】前記置換コハク酸アシル化剤の該置換基
    が、少なくとも700の数平均分子量を有することで特徴
    づけられるポリアルケンから誘導される、請求項12また
    は15に記載の方法。
  20. 【請求項20】前記置換コハク酸アシル化剤の該置換基
    が、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ
    プロピレン、およびこれらのいずれかの2種またはそれ
    以上の混合物からなる群から選択される構成要素から誘
    導される、請求項7、12、または19に記載の方法。
  21. 【請求項21】前記置換コハク酸アシル化剤(A−2−
    b−1)が、置換基およびコハク酸基からなり、ここ
    で、該置換基がポリアルケンから誘導され、該ポリアル
    ケンが、1300〜5000のMn値および1.5〜4.5のMw/Mn値に
    より特徴づけられ、該アシル化剤が、該置換基の1当量
    あたり、少なくとも1.3個のコハク酸基をそれらの構造
    内に存在させることにより特徴づけられる、請求項3、
    13、または15に記載の方法。
  22. 【請求項22】前記式(I)のアルコールが、ネオペン
    チルアルコール、エチレングリコール、グリセロール、
    ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリ(オキシア
    ルキレン)グリコールのモノアルキルエーテルまたはモ
    ノアリールエーテル、あるいはそれらのいずれかの混合
    物である、請求項3、13、または15に記載の方法。
  23. 【請求項23】前記アシル化剤と前記アルコールとの反
    応により調製される前記カルボン酸エステル(A−2−
    b)が、少なくとも1個のHN<基を含有する少なくとも
    1種のアミン(A−2−b−3)とさらに反応に供され
    る、請求項13または15に記載の方法。
  24. 【請求項24】前記アミンがアルキレンポリアミンであ
    る、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】前記オイル溶液(A−2)がまた、(A
    −2−d)ジヒドロカルビルジチオリン酸の少なくとも
    1種の金属塩を0.1重量%〜10重量%で含有し、ここ
    で、該金属が、第II族金属、アルミニウム、スズ、鉄、
    コバルト、鉛、モリブデン、マンガン、ニッケル、また
    は銅である、請求項1、3、または15に記載の方法。
  26. 【請求項26】前記金属塩が亜鉛塩である、請求項25に
    記載の方法。
  27. 【請求項27】前記混合物が、前記工程(B)におい
    て、減圧下で加熱される、請求項1、3、6、または15
    に記載の方法。
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