JP3000310B2 - カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物 - Google Patents

カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物

Info

Publication number
JP3000310B2
JP3000310B2 JP32597991A JP32597991A JP3000310B2 JP 3000310 B2 JP3000310 B2 JP 3000310B2 JP 32597991 A JP32597991 A JP 32597991A JP 32597991 A JP32597991 A JP 32597991A JP 3000310 B2 JP3000310 B2 JP 3000310B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carboxymethylcellulase
activity
sodium
enzyme
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32597991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0787972A (ja
Inventor
デ. ラステリオ デコルサ
ジー.スイソー フランクリン
エヌ.バレンドール マリエッタ
エム.ラブノス ネリー
紳太 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP32597991A priority Critical patent/JP3000310B2/ja
Priority to EP97118058A priority patent/EP0838521A1/en
Priority to PCT/JP1992/001615 priority patent/WO1993012224A1/en
Priority to US08/244,370 priority patent/US5439816A/en
Priority to EP92924904A priority patent/EP0626009B1/en
Priority to DE69227525T priority patent/DE69227525T2/de
Publication of JPH0787972A publication Critical patent/JPH0787972A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3000310B2 publication Critical patent/JP3000310B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なカルボキシメチル
セルラーゼに関し、更に詳細には作用pH範囲及び作用温
度範囲が広く、特にpH安定性が極めて優れた新規酵素カ
ルボキシメチルセルラーゼ5430及びこれを生産する
微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】セルラーゼはセルロースとその類似多糖
をグルコース、又はセロビオース、或いはセロオリゴ糖
まで分解する酵素反応を触媒する複雑な酵素系から成
り、その作用機構により、C1 酵素、Cx 酵素とβ−グ
ルコシダーゼ、或いはエキソ−β−グルカナーゼ、エン
ド−β−グルカナーゼ、セロビアーゼなどの名称で呼ば
れる酵素の総称と理解されている。長年、セルラーゼ研
究の歴史は専らバイオマス資源の有効利用を図る目的か
ら進められてきており、例えばトリコデルマ属、アスペ
ルギルス属、アクレモニウム属、フミコーラ属などのカ
ビ類にその供給源を求めてきた。然るに、カビを含めて
微生物起源のセルラーゼには、その構成酵素群の作用特
異性や物理化学的諸性質等の多様性が有り、その実態は
未だ明確化されたとは言い難い。
【0003】上記セルラーゼのうち、カルボキシメチル
セルロースに対する作用、すなわちエンド型水解作用が
特に高いものをカルボキシメチルセルラーゼと称する
が、最近、カルボキシメチルセルラーゼを含むセルラー
ゼの新規な産業用途として、例えば、衣料用洗浄剤組成
物の添加成分としての用途が開発されている。しかしな
がら、自然界において微生物の生産するセルラーゼは、
上述の微生物起源のものをみるかぎり、大部分が酸性pH
で至適活性を有し、かつアルカリpHにおいて失活する、
いわゆる酸性セルラーゼ(至適作用pHが4〜6)であっ
て、衣料用洗浄剤組成物の要件である、アルカリ側で最
大活性を有し、かつ耐性を有する、いわゆるアルカリセ
ルラーゼ及びアルカリ耐性セルラーゼの存在は極めて少
ないのが実情である。
【0004】即ち、従来、衣料用洗浄剤組成物として使
用し得るアルカリセルラーゼ及びアルカリ耐性セルラー
ゼの生産方法としては、好アルカリ性バチルス属細菌の
培養によりセルラーゼAを採取する方法(特開昭50−
28515号公報)、セルロモナス属に属する好アルカ
リ性細菌を培養してアルカリセルラーゼ301−Aを生
産する方法(特開昭58−224686号公報)、好ア
ルカリ性バチルスNo.1139を培養してカルボキシメ
チルセルラーゼを生産する方法(F.Fukumor
i,T.Kudo and K.Horikoshi,
J.Gen.Microbiol.,131,3339
(1985))及びストレプトマイセス属の一種を用い
てアルカリセルラーゼを生産する方法(特開昭61−1
9483号公報)が報告されているに過ぎず、しかもい
ずれも工業的発酵生産に適うものでは無かった。
【0005】一方、近年、好アルカリ性微生物の一種で
あるバチルス エスピー(Bacillus sp.K
SM−635)(微工研菌寄第8872号)が、衣料用
洗浄剤組成物として適したカルボキシメチルセルラーゼ
を効率良く生産すること、及び更に培養条件を選択する
ことにより、より高収率で、カルボキシメチルセルラー
ゼが得られ、工業的発酵生産が可能となることが報告さ
れた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記バ
チルス エスピー KSM−635由来のカルボキシメ
チルセルラーゼは、作用至適温度が40℃付近であり、
低温洗浄に適うものであるが、一方では、より高温下で
の洗浄剤として使用できる酵素が望まれている。また、
一般に、pHが高い程洗剤の洗浄力が向上するので、より
高pHにおいて安定性の高いカルボキシメチルセルラーゼ
が求められている。
【0007】従って本発明は、高温においても作用し、
作用pH範囲が広く、特に高pHにおける安定性の良好なカ
ルボキシメチルセルラーゼを得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、カルボキシ
メチルセルラーゼを生産する微生物を自然界に求め、鋭
意探索を続けて来たが、今般、フィリピン国 ダバオ・
デル・ソール州 ダバオ市内の土壌より採取したバチル
ス属に属する微生物が、衣料用洗浄剤組成物の添加成分
として有効な新規なカルボキシメチルセルラーゼ543
0を生産すること及び該カルボキシメチルセルラーゼ5
430が従来のカルボキシメチルセルラーゼよりも作用
pH範囲が広く、また熱安定性も優れており、特に高アル
カリpHにおける安定性が良好であることを見出し、本発
明を完成した。
【0009】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ54
30を生産する微生物は次のような菌学的性状を示す。
尚、該酵素生産菌の分離・培養に用いた培地は次のA〜
Cである。また、Na2CO3は他の成分と別滅菌して加
えた。 培地A(PCMC培地):ポリペプトン(日本製薬
(株)製),20g;カルボキシメチルセルロース(C
MC,山陽国策パルプ(株)製),10g;酵母エキス
(ディフコ ラボラトリーズ社製),1g;KH2PO4
(和光純薬(株)製),1g;NaCl(メルク社
製),5g;Na2CO3 (無水、岩井化学(株)
製),5g;MgSO4・7H2O(和光純薬(株)
製),0.2g;トリパンブルー色素(メルク社製),
0.075g;寒天(ディフコ ラボラトリーズ社
製),15g(脱イオン水で1.0lとする) 培地B:培地Aからトリパンブルー色素を除いたもの。 培地C(CMC−ペプトン培地):CMC,10g;ポ
リペプトン,20g;酵母エキス,0.5g;KH2
4,1g;NaCl,5g;Na2CO3,5g(脱イ
オン水で1.0lとする)
【0010】(菌学的性質) 1.顕微鏡的観察結果:菌体の大きさは、0.7〜0.
8μm×1.2〜2.9μmの桿菌であり、菌体の中央
又は末端近くに楕円形の芽胞(0.7〜1.0μm×
0.7〜1.5μm)を作る。 2.運動性;陽性、周鞭毛を有する。 3.グラム染色;陽性。
【0011】4.各種培地における生育状態: (1)栄養寒天培地(ニュートリエント寒天平板培地) 集落の形状は円形で、その表面は粗く、周縁は波状を呈
する。また、集落の色調は白色である。 (2)栄養液体培地(ニュートリエント・ブロス培地) 生育する。 (3)ニュートリエント・ブロス中におけるNaCl耐
性 5%NaCl及び7%NaClで生育し、10%NaC
lで生育しない。 (4)ゼラチン培地 ゼラチンを液化する。 (5)リトマスミルク培地 培養液の上層を弱く脱色する。
【0012】5.生理学的性質: (1)硝酸の亜硝酸への還元 陰性。 (2)脱窒作用 陰性。 (3)MR試験 陰性。 (4)V−P試験 陽性。 (5)インドールの生成 陰性。 (6)硫化水素の生成 陽性。 (7)デンプンの加水分解 陰性。 (8)カゼインの加水分解 陽性。 (9)クエン酸の利用性 シモンズ(Simons)クエン酸寒天平板培地;陽
性。 クリステンセン(Christensen)クエン酸寒
天平板培地;陽性。 (10)無機窒素源の利用 陰性。 (11)色素の生成 キング(King)A培地;陰性。 キング(King)B培地;陰性。 馬鈴薯デキストロース寒天栄研;陰性。 マンニット・食塩寒天培地;陰性。 (12)ウレアーゼ 陰性。 (13)オキシダーゼ 陽性。 (14)カタラーゼ 陽性。 (15)生育の範囲 生育温度;15〜50℃ 生育至適温度;25〜<50℃ 生育pH;4.7〜10 生育至適pH;6.0〜9.5 (16)酸素に対する態度 好気的かつ嫌気的に増殖する。 (17)O−F試験 発酵(F)。 (18)プロピオン酸の利用 陽性。 (19)チロシン分解性 陰性。 (20)フェニルアラニンの脱アミノ化 陰性。 (21)糖からの酸生成 陽性;D−リボース、L−アラビノース、D−キシロー
ス、D−グルコース、D−マンノース、蔗糖、トレハロ
ース、マンニトール、グリセロール、D−ガラクトー
ス、ソルビトール 陰性;D−フルクトース、麦芽糖、イノシトール、ラク
トース、デキストリン、ラフィノース、澱粉 (22)DNAのG+C含量 42.9モル%。
【0013】以上の菌学的性質について、バージーズ・
マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジ
ー(Bergey′s Mannual of Sys
tematic Bacteriology)第2巻を
参照した結果、本菌株は有胞子桿菌であるバチルス(
acillus)属の一種であると判定された。
【0014】そして、本菌株の菌学的性質は、公知のバ
チルスのいずれとも一致しないのでこれを新規菌株と判
断してバチルス エスピー PKM−5430と命名
し、微工研菌寄第12572号として工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託した。
【0015】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ54
30を収得するには、上記バチルスエスピー PKM−
5430若しくはその変異株を培地中で培養し、得られ
た培養物を通常の酵素精製法を用いて、分離、精製すれ
ばよい。
【0016】カルボキシメチルセルラーゼ5430の発
酵生産にあたっては、適当な培地を加熱等により殺菌
後、バチルス エスピー PKM−5430(微工研菌
寄第12572号)を接種し、15℃〜50℃、好まし
くは25℃〜45℃で、1〜4日振盪又は通気攪拌培養
すれば良い。pHは中性〜pH 10に調整すると良い結果
が得られる。時として発泡するが、適当な消泡剤を適宜
添加することによって解消される。
【0017】カルボキシメチルセルラーゼ5430生産
には、資化し得る窒素源と炭素源を適宜組み合わせて培
養培地に含有させれば良く、特に両栄養源を限定するも
のではない。例えば、窒素源としては、コーングルテン
ミール、大豆粉、コーンスチープリカー、カザミノ酸、
酵母エキス、ファーマメディア、イワシミール、肉エキ
ス、ペプトン、ハイプロ、アジパワー、コーヒー粕、綿
実油粕、カルチベータ、アミフレックス及びアジプロ
ン、ゼスト、アジックスなどの有機窒素源が挙げられ
る。又、炭素源としては、籾殻、麩、濾紙、一般紙類、
おが屑などの植物繊維質、廃糖密、転化糖、CMC、ア
ビセル、セルロース綿、キシラン、ペクチンに加え、資
化し得る炭素源、例えば、リボース、アラビノース、キ
シロース、グルコース、マンノース、フラクトース、麦
芽糖、蔗糖、マンニトール、イノシトール、グリセロー
ルや資化し得る有機酸、例えば、酢酸、クエン酸などが
挙げられる。すなわち、これらの窒素源と炭素源を適宜
組み合わせたいかなる培地を使用しても良く、上述の栄
養源を特に限定するものではない。その他、リン酸、M
2+,Ca2+,Mn2+,Zn2+,Co2+,Na+,K+
どの無機塩や、必要であれば、無機、有機態微量栄養源
を含有する培地を適宜選択して使用される。
【0018】斯くして得られた培養物中から、カルボキ
シメチルセルラーゼ5430を得るには、一般の採取及
び精製の手段に準じて行うことができる。すなわち、培
養物を遠心分離、又は濾過等によって菌体を分離し、そ
の菌体及び培養上清から通常の分離手段、例えば、塩析
法、等電点沈澱法、溶媒沈澱法(メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等)によってタン白を沈澱させた
り、又、限外濾過により濃縮しカルボキシメチルセルラ
ーゼ5430の粗酵素液を得る。塩析法では例えば、硫
安(30〜100%飽和画分)、溶媒沈澱では例えば、
75%エタノール中で酵素を沈澱させた後、濾過あるい
は遠心分離、脱塩することによってこれを凍結乾燥粉末
とすることも可能である。脱塩の方法としては透析又は
セファデックスやバイオゲル等を用いるゲル濾過法等の
一般的方法が用いられる。
【0019】この粗酵素液はそのまま使用することもで
きるが必要に応じて公知の方法、例えばヒドロキシアパ
タイトクロマトグラフィー、DEAE−セファデックス
又はDEAE−バイオゲル等のイオン交換クロマトグラ
フィー及びセファデックスやバイオゲルのような分子篩
ゲルクロマトグラフィーを適宜組み合わせて精製し、精
製酵素として使用することも可能である。
【0020】斯くして得られたカルボキシメチルセルラ
ーゼ5430(粗酵素)は、以下に示すような性質を有
する。尚、酵素活性の測定は、以下の方法に従って行っ
た。
【0021】(a)カルボキシメチルセルラーゼ活性: 活性測定は、DNS法(J.R.Summer and
G.F.Somers,Laboratory Ex
periments in Biological C
hemistry,Academic Press,N
ew York,U.S.A.,1944)に従って行
った。すなわち、グリシン−NaOH緩衝液(pH 9.
0)0.1 M中で、1.1%(w/v)CMC(A0
1MC)の基質溶液0.9mlに適宜希釈した酵素溶液
0.1mlを加え、通常40℃で20分間反応させ、次い
で0.05%(w/v)の3,5−ジニトロサリチル酸
(和光純薬(株)製)1 mlを添加し、すぐに沸騰水浴
に5分間入れ、次に氷水浴で冷却した。これに脱イオン
水4 mlを更に添加し、その後535nmにおける吸光度
で比色定量した。酵素力価は、上記の条件下で1分間に
1μmoleのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素
量を1単位とした。
【0022】(b)セルロース基質に対する加水分解活
性:水酸化ナトリウム膨潤セルロース及びリン酸膨潤セ
ルロースは、Tomitaらの方法(Y.Tomit
a,H.Suzuki and K.Nisizaw
a,Biochem.,78,499(197
5))の方法に従って調製した。セルロース基質を含有
する基質溶液を用いることと反応温度を30℃にした以
外は(a)と同様な操作により、生成した還元糖を測定
した。
【0023】(c)ポリサッカライドに対する加水分解
活性:ポリサッカライドを含有する基質溶液を用いるこ
とと反応温度を30℃にした以外は(a)と同様な操作
により、生成した還元糖を測定した。
【0024】(d)−ニトロフェニル−β−D−グル
コピラノシド(PNPG:シグマ社製)及び−ニトロ
フェニル−β−D−セロビオシド(PNPC:シグマ社
製)に対する加水分解活性:pH 7.0の0.1 Mリン
酸緩衝液中で、PNPG又はPNPC,8 mMを含有す
る基質溶液に、適宜希釈した酵素溶液を加え、30℃で
20分間反応させた。生成した−ニトロフェノールを
400nmで測定し、その生成量を求めた。
【0025】(酵素学的性質) (1)作用 本酵素は、CMCに対する酵素活性を有する。
【0026】(2)基質特異性 下記表1に示す如く、本酵素はCMC及びリケナンに対
して強い活性を有する。また、セロビオース、PNP
G、PNPC、セルロース粉末及びリン酸膨潤セルロー
スに対しても活性を有する。
【0027】
【表1】
【0028】(3)作用pH及び至適pH 本酵素の作用pH範囲は4.2〜12.5であり、至適pH
は約7.7と約9.5に2つある(図1)。尚、pH 1
0.0においても最大活性の約90%の活性を有し、ま
たpH 11.5においても活性は約50%を越え、pH1
2.5においても約20%の活性を維持している。
【0029】(4)pH安定性 本酵素をマクルベイン緩衝液(pH3〜7)、0.1 M
トリス−塩酸緩衝液(pH 7〜9)、0.1 M グリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH 8〜11)、0.
1 M 塩化カリウム−水酸化ナトリウム緩衝液(pH 9
〜14)中で一晩5℃で保持した後、pH 6.0の0.
1 M リン酸ナトリウム緩衝液とpH 9.0の0.1
M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で残存活性を
測定し、pH安定性を調べた。その結果、本酵素は両pH共
にpH 4.6〜12.8の範囲で極めて安定で、ほとん
ど失活しない(図2)。
【0030】(5)作用温度及び至適温度 本酵素のカルボキシメチルセルラーゼ活性をpH 9.0
のグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で測定した。そ
の作用温度は10〜78℃の広範囲にわたり、至適温度
は55℃付近である(図3)。
【0031】(6)熱安定性 本酵素を各々の温度で10分間前処理後、pH 9.0の
0.1 M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で残
存活性を測定し、熱安定性を調べた。その結果、60℃
加熱まではほとんど失活せず、80℃加熱後も若干の活
性が残存していた(図4)。本条件下において、Ca2+
の添加効果は認められなかった。
【0032】(7)金属イオンの影響 表2に示す各金属イオン調製物及びCMCを酵素溶液と
混合し、カルボキシメチルセルラーゼ活性をpH 9.0
の0.1 M グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中
で、40℃にて20分間測定した。試験した種々の金属
イオンの中で1mMHg2+は酵素活性を75%程度阻害し
た。1mM Co2+は酵素活性を約50%促進し、1mM
Mn2+は酵素活性を約30%促進した。尚、同表に示し
た他の金属イオンは若干の阻害又は促進のいずれかを示
し、その他の金属イオンによる影響は認められなかっ
た。
【0033】
【表2】
【0034】(8)界面活性剤の影響 表3に示す界面活性剤を酵素溶液と混合し、カルボキシ
メチルセルラーゼ活性をpH 9.0の0.1 M グリシ
ン−水酸化ナトリウム緩衝液中で、40℃にて20分間
測定した。表3の結果より、本酵素はドデシル硫酸ナト
リウム(SDS)、線状アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム(LAS)、アルキル硫酸エステルナトリウム
塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル
ナトリウム塩(ES)、α−オレフィンスルホン酸ナト
リウム(AOS)、α−スルホン化脂肪酸エステルナト
リウム塩(α−SFE)、脂肪酸塩(石鹸)、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルによってほとんど活性の阻
害を受けないか、あるいは活性を促進した。就中、SD
Sは26%、脂肪酸塩は45%、酵素活性を促進した。
【0035】
【表3】
【0036】(9)阻害剤の影響 表4に示す阻害剤を酵素溶液と混合し、カルボキシメチ
ルセルラーゼ活性をpH9.0の0.1 M グリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液中で、40℃にて20分間測定
した。本酵素の活性は−ブロモスクシンイミドにより
96%と顕著な阻害を受け、フェニルメタンスルホニル
フルオライドにより24%と中程度の阻害を受けるが、
その他の阻害剤によっては活性阻害を受けない。
【0037】
【表4】
【0038】(10)キレート剤、チオール試薬、添加
物及びプロティナーゼ類の影響 表5に示す各試薬を酵素溶液と混合し、カルボキシメチ
ルセルラーゼ活性をpH9.0の0.1 M グリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液中で、40℃にて20分間測定
した。本酵素はEDTA又はEGTAにより活性が多少
阻害された。一方、1mMの2−メルカプトエタノールは
39%、ジチオスレイトールは50%酵素活性を促進し
た。また、アルカラーゼ、マキサターゼ、サビナーゼ、
プロテアーゼAPI−21のようなプロティナーゼで
は、本反応条件下で、本酵素の失活は認められなかっ
た。
【0039】
【表5】
【0040】(11)分子量 ShikataとNisizawaの方法(S.Shi
kata and K.Nisizawa,Bio
chem.,78,499(1975))の方法に従っ
てバイオゲル A−0.5mを用いたゲル濾過を行った
ところ、本酵素の分子量は約26,000±1,000
であった。
【0041】
【発明の効果】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ5
430は、作用pH範囲が4.2〜12.5と極めて広く
また、pH 12.8まで極めて安定であるという特徴を
有する。また作用温度が10〜78℃と広く、更に熱安
定性も良好であり、高温高アルカリ洗浄もできるという
特徴を有する。更に、界面活性剤、金属イオン、プロテ
ィナーゼ類等の洗浄剤配合成分によってもほとんど阻害
を受けない。従って、本発明酵素は洗浄剤組成物の配合
成分として有利に使用することができるものである。
【0042】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく
説明する。
【0043】実施例1 フィリピン国 ダバオ・デル・ソール州 ダバオ市内で
採取した土壌試料約0.5gを滅菌生理食塩水9mlに懸
濁し、80℃で10分間加熱処理した。この熱処理サン
プルを適当に希釈して、寒天平板〔PCMC培地(培地
A)〕に塗抹し、30℃で3日間培養した。その後、集
落の周りに透明斑を有する菌を同じ平板培地に塗抹し3
0℃で3日間培養して、再度集落を形成させた。
【0044】上述の手法により、本発明のバチルス エ
スピー PKM−5430(微工研菌寄第12572
号)を取得した。
【0045】実施例2 実施例1で、取得されたバチルス エスピー PKM−
5430を培地B(培地Aからトリパンブルー色素を除
いたもの)を用いて斜面培養を行った。次いで、得られ
たコロニーを50 ml容の試験管に入れたCMC−ペプ
トン培地(培地C)5 mlに接種し、300rpm で振盪
しながら30℃にて2日間培養した。更に、500 ml
容の坂口フラスコに入れた同培地50 mlに対して、上
記培養物1 mlを接種し、120rpm で振盪しながら3
0℃にて3日間培養した。
【0046】この様にして得られた培養液から遠心分離
により細胞を除去し、カルボキシメチルセルラーゼ54
30含有培養上清を得た。
【0047】実施例3 実施例2で得られた培養上清を硫酸アンモニウムで処理
(希アンモニア水でpHを中性に維持)し、90%飽和で
沈澱したタン白を遠心分離(11,000×)によっ
て採取した。この沈澱をpH 7.0の20 mMリン酸緩衝
液中に溶解し、同緩衝液に対して5℃で一晩透析した。
【0048】Bradfordの方法(M.Bradf
ord,AnalBiochem.,72,248
(1976))に従い、ウシ血漿ガンマ・グロブリンを
標準として用いたバイオラッドタン白アッセイキット
(バイオラッド ラボラトリーズ社製)によりタン白濃
度を測定し、比活性3.47単位(U)/mgタン白の粗
酵素液を得た。
【0049】実施例4 実施例3で得られた粗酵素液について、Davisの方
法(B.J.Davis,AnnAcad
Sci.,121,404(1964))に従ってポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を9%(w/
v)ポリアクリルアミド スラブゲル(70mm×80m
m,1.0mm厚)上で泳動緩衝液として150 mMトリス
−グリシン緩衝液(pH 8.8)を用いて行った。電気
泳動は、室温で約2時間、ゲル1枚当り10mAで行っ
た。Oakleyらの方法(B.R.Oakley,
D.R.Kirsch and N.R.Morri
s,AnalBiochem.,105,361(1
980))の方法に従い、タン白を銀染色(銀染色キッ
ト、関東化学製)によって検出した。
【0050】次いで、カルボキシメチルセルラーゼ活性
を有するタン白バンドをコンゴーレッドで活性染色し
た。すなわち、B'eguinの方法(P.B'egui
AnalBiochem.,131,333(1
983)に従い、泳動したスラブゲルをCMC−寒天プ
レートの表面にのせ37℃で30分間放置した。CMC
−寒天プレートの組成は、2%(w/v)CMC(Su
nrose A10MC)、3%(w/v)NaCl、
10%(v/v)0.5 M グリシン−水酸化ナトリ
ウム緩衝液(pH 9.0)及び0.8%(w/v)寒天
(ディフコ社製)とした。このプレートを0.1%(w
/v)コンゴーレッド(和光純薬(株)製)溶液で15
分間室温で染色し、更に、1.0 M NaCl溶液で
15分間脱色した。その結果、相対移動度(Rm)0.
45の位置にカルボキシメチルセルラーゼ活性を有する
タン白バンドが検出された。
【0051】実施例5 実施例3で得られた粗酵素液について、Wrigley
の方法(C.W.Wrigley,Methods
nzymol.,22,559(1971))に従っ
て、PAGEによる等電点(pI)を求めた。各酵素溶
液(1mg/ml)100μlを13.3%(w/v)グリ
セロール及び6.3%(v/v)ファルマライト(ファ
ルマシア社製:pH範囲3−10)含有アクリルアミドゲ
ル5%(w/v)カラム中で200Vの定電圧で約15
時間電気泳動した。陽極は上部チャンバー(20 mM
3PO4)に、陰極は下部チャンバー(0.1 M 水
酸化ナトリウム)に接続した。泳動後、0.2%(w/
v)コマシーブリリアンドブルー R−250(メル
ク)でタン白染色した。カルボキシメチルセルラーゼ活
性を実施例4に従って活性染色して、活性バンドの相対
移動度を測定し、pI値を既知のタン白の標準曲線から
求めたところ、pH 4.5であった。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ5430
のpH−活性曲線を示す図面である。
【図2】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ5430
のpH安定性を示す図面である。
【図3】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ5430
の温度−活性曲線を示す図面である。
【図4】本発明のカルボキシメチルセルラーゼ5430
の温度安定性を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:07) (72)発明者 マリエッタ エヌ.バレンドール フィリピン国,ミサミスオリエンタル, ローワアーハサーン (番地なし) (72)発明者 ネリー エム.ラブノス フィリピン国,ミサミスオリエンタル, グラシア(番地なし) (72)発明者 上田 紳太 フィリピン国,カガヤン デ オロシテ ィ,グサ,ピーケイアイ (番地なし) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の物理化学的性質を有するカルボキシ
    メチルセルラーゼ5430。 (1)作用 カルボキシメチルセルロースを加水分解する。 (2)基質特異性 カルボキシメチルセルロース及びリケナンに対して強く
    作用し、セルロース粉末、リン酸膨潤セルロース、セロ
    ビオース、−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノ
    シド及び−ニトロフェニル−β−D−セロビオシドに
    対しても作用する。 (3)作用pH及び至適pH 作用pHは4.2〜12.5であり、至適pHは約7.7と
    約9.5に2つある。 (4)pH安定性 5℃で一晩保持した場合、pH 4.6〜12.8でほと
    んど失活しない。 (5)作用温度及び至適温度 作用温度は10〜78℃、至適温度は55℃付近であ
    る。 (6)熱安定性 60℃で10分間加熱してもほとんど失活せず、80℃
    加熱後も若干の活性が残存する。 (7)界面活性剤の影響 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、線状アルキルベン
    ゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、アルキル硫酸エ
    ステルナトリウム塩(AS)、ポリオキシエチレンアル
    キル硫酸エステルナトリウム塩(ES)、α−オレフィ
    ンスルホン酸ナトリウム(AOS)、α−スルホン化脂
    肪酸エステルナトリウム塩(α−SFE)、脂肪酸塩
    (石鹸)、ポリオシキエチレンアルキルエーテルは活性
    を阻害しない。 (8)分子量(バイオゲルA−0.5mによるゲル濾過
    法) 26,000±1,000
  2. 【請求項2】 請求項1記載のカルボキシメチルセルラ
    ーゼ5430を生産する、微工研菌寄第12572号と
    して寄託されたバチルス エスピー PKM−543
    0。
JP32597991A 1991-12-10 1991-12-10 カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物 Expired - Fee Related JP3000310B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32597991A JP3000310B2 (ja) 1991-12-10 1991-12-10 カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物
EP97118058A EP0838521A1 (en) 1991-12-10 1992-12-10 Carboxymethylcellulases and microorganisms producing same
PCT/JP1992/001615 WO1993012224A1 (en) 1991-12-10 1992-12-10 Carboxymethylcellulases and bacillus strains producing same
US08/244,370 US5439816A (en) 1991-12-10 1992-12-10 Carboxymethylcellulase isolated from bacillus sp. PKM-5430 (FERM BP-4087)
EP92924904A EP0626009B1 (en) 1991-12-10 1992-12-10 Carboxymethylcellulases and bacillus strains producing same
DE69227525T DE69227525T2 (de) 1991-12-10 1992-12-10 Carboxymethylcellulasen und bacillusstämme die sie produzieren

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32597991A JP3000310B2 (ja) 1991-12-10 1991-12-10 カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0787972A JPH0787972A (ja) 1995-04-04
JP3000310B2 true JP3000310B2 (ja) 2000-01-17

Family

ID=18182734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32597991A Expired - Fee Related JP3000310B2 (ja) 1991-12-10 1991-12-10 カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3000310B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0787972A (ja) 1995-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2652871B2 (ja) アルカリセルラーゼおよびその製造法
EP0265832B1 (en) Novel alkaline cellulases and a microorganism for producing the same
JP2859393B2 (ja) セルラーゼ及びその製造法
EP0450627A2 (en) Detergent composition
FI95481C (fi) Alkalinen pullulanaasi, sitä tuottava mikro-organismi ja menetelmä sen tuottamiseksi
EP0418835B1 (en) Novel alkaline pullulanase y having alpha-amylase activity, microorganism producing the same, and process for producing the same
EP0626009B1 (en) Carboxymethylcellulases and bacillus strains producing same
JP3000309B2 (ja) カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物
JP3000310B2 (ja) カルボキシメチルセルラーゼ及びこれを生産する微生物
JPH0630578B2 (ja) アルカリセルラ−ゼk
JP2731212B2 (ja) 新規セルラーゼ及びその製造法
JP3729910B2 (ja) アルカリα−アミラーゼ、これを生産する微生物及び当該アルカリα−アミラーゼの製造法
JPH0632606B2 (ja) 新規微生物
JPH0632612B2 (ja) アルカリセルラ−ゼ製造法
JPH0636737B2 (ja) アルカリセルラーゼ、これを産生する微生物及びアルカリセルラーゼの製造法
JP2509536B2 (ja) アルカリセルラ―ゼを産生する微生物
JP2651576B2 (ja) アルカリセルラーゼe−▲ii▼
JP2651577B2 (ja) アルカリセルラーゼe−▲iii▼
JPH0655139B2 (ja) Cmcア−ゼ▲ii▼
JPH0655138B2 (ja) Cmcア−ゼ▲i▼
JPH0636738B2 (ja) アルカリセルラーゼ、これを産生する微生物及ぎアルカリセルラーゼの製造法
JPH07231782A (ja) アルカリ耐性セルラーゼを産生する微生物
JPH06339370A (ja) アルカリセルラーゼを産生する微生物
JPH0655140B2 (ja) アルカリセルラーゼ
JPH0636739B2 (ja) アルカリセルラーゼ、これを産生する微生物及びアルカリセルラーゼの製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071112

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101112

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees