JP2995790B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2995790B2
JP2995790B2 JP2067271A JP6727190A JP2995790B2 JP 2995790 B2 JP2995790 B2 JP 2995790B2 JP 2067271 A JP2067271 A JP 2067271A JP 6727190 A JP6727190 A JP 6727190A JP 2995790 B2 JP2995790 B2 JP 2995790B2
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勝郎 大村
建樹 古山
友二 中川
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水素化された特殊なブロック共重合体の存
在下にラジカル重合可能な特定の単量体成分をグラフト
重合したゴム強化樹脂と、特定の重合体とを含有するブ
レンド組成物であって、耐候性、着色性、成形外観を著
しく改良した、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性に優れた熱
可塑性樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
近年、ポリブタジエンなどの共役ジエン系ゴム質重合
体に、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
(メタ)アクリル酸エステル化合物などの単量体をグラ
フト共重合させたゴム強化樹脂と、ポリカーボネート、
ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドな
どの汎用エンジニアリングプラスチックを配合したポリ
マーアロイに関して研究が行われている。
このポリマーアロイは、グラフト重合体単独あるいは
エンジジアリングプラスチック(エンプラ)単独で用い
られるよりも数多くの特徴があり、特にゴム質重合体で
強化することにより衝撃強度を大幅に改良できるため、
各種のゴム強化ポリマーアロイが上市されている。ここ
で使用されるゴムとして、ポリブタジエンに代表される
共役ジエン系ゴム質重合体は、紫外線、酸素、オゾンな
どに対する抵抗性が小さく、強度の低下、表面光沢の低
下など、耐候性が悪いことが知られている。
また、アロイの相手であるエンプラは、ガラス転移温
度が高いものもあり、ブレンド時または成形時の温度が
高く、共役ジエン部分の不飽和結合部が架橋し、衝撃強
度が低下し熱安定性にも問題がある。
これらの問題を解決するために、ゴム質重合体を実質
的に不飽和結合を含まないエチレン−プロピレンゴム
(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、あるいはアクリル酸エステルを用いたアクリルゴ
ムなどに変更する技術も数多く知られている。ところ
が、EPMあるいはEPDMを用いた場合、熱安定性、耐候性
は改良できるが、ジエン系ゴム質重合体と比較して顔
料、染料などの着色剤による着色性が悪く、またウエル
ド部の成形外観が悪いなどの問題点がある。
これは、EPM、EPDMの屈折率がジエン系ゴム質重合体
より低いため、通常、使用される芳香族ビニル化合物や
シアン化ビニル化合物などからのグラフト樹脂との屈折
率差が大きくなり、散乱光強度が強くなること、および
共役ジエン系ゴム質重合体と比較して不飽和結合が少な
いためまたは非常に少ないために架橋密度が低く、射出
成形、押し出し成形時のゴム粒子の歪みが著しいためで
ある。屈折率がEPDMに近い単量体を用いたゴム質重合体
でも、同様の理由により改良度合いの小さいものであ
る。
一方、アクリルゴムをゴム質重合体に用いた場合、そ
もそもこのゴムの有するガラス転移温度が共役ジエン系
ゴムやEPMもしくはEPDMに較べて高いため、成形材料選
定の一つの要因である低温度域での衝撃強度が低くなる
ことが知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、耐候性、成形外観、低温度域での衝撃強度を含めた
耐衝撃性、耐薬品性、熱安定性、耐熱性を著しく改善し
た、ゴム強化樹脂と汎用エンジニアリングプラスチック
とからなるポリマーアロイを提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A)
(以下「ブロック(A)」という)と共役ジエン重合体
もしくはビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム
共重合体ブロック(B)(以下「ブロック(B)」とい
う)とからなる(A)−(B)ブロック共重合体、また
はさらにビニル芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル
芳香族化合物が漸増するテーパーブロック(C)(以下
「テーパーブロック(C)」という)とからなる(A)
−(B)−(C)ブロック共重合体、もしくはビニル芳
香族重合体ブロック(A)からなる(A)−(B)−
(A)ブロック共重合体であって、 ビニル芳香族化合物/共役ジエンの割合が重量比で5
〜50/95〜50、 (A)−(B)−(A)ブロック共重合体の場合は各
ブロック(A)の含量がそれぞれ全モノマーの3〜40重
量%、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体の場合
はブロック(A)およびブロック(C)中のビニル芳香
族化合物の結合含量がそれぞれ全モノマーの3〜40重量
%、 ブロック(B)中の共役ジエン部分のビニル結合含量
が15〜80%、 であるブロック共重合体(X)(以下「ブロック共重合
体(X)」という)、および/または分子中に重合体ブ
ロック(A′)、(B1)および(B2)〔ただし、
(A′)はビニル芳香族化合物が90重量%以上のビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロック、(B1)は1,
2−ビニル結合含量が30〜70%のポリブタジエン重合体
ブロック、(B2)は1,2−ビニル結合含量が30%未満の
ポリブタジエン重合体ブロックである〕をそれぞれ1個
以上有するブロック共重合体であって、該ブロック共重
合体中の重合体ブロック(A′)の含量が10〜50重量
%、重合体(B1)の含量が30〜80重量%、重合体ブロッ
ク(B2)の含量が5〜30重量%であるブロック共重合
体、または該ブロック共重合体単位がカップリング剤残
基を介して前記重合体ブロック(A′)、(B1)および
(B2)のうち少なくとも1つの重合体ブロックと結合し
たブロック共重合体(Y)(以下「ブロック共重合体
(Y)」といい、ブロック共重合体(X)および(Y)
を総称して「ブロック共重合体」という)、 を水素添加し、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも
90%が飽和されている水添ジエン系共重合体(I)(以
下「水添ジエン系共重合体」という)10〜60重量部の存
在下に、 芳香族ビニル化合物(a)、シアン化ビニル化合物
(b)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(c)およ
びその他の共重合可能な単量体(d)の群から選ばれた
少なくとも1種の単量体成分(II)(以下「単量体成分
(II)」という)90〜40重量部をグラフト共重合させた
ゴム強化樹脂(イ)5〜95重量部と、 ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリフェニレ
ンエーテルおよびポリビニリデンフルオライドの群から
選ばれた少なくとも1種の重合体 (ロ)95〜5重量部、 を含有する熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明の水添ジエン系共重合体(I)に用いられるビ
ニル芳香族化合物としては、スチレン、t−ブチルスチ
レン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビ
ニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチ
ル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが
挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好まし
い。
また、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソ
プレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペン
タジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキ
サジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブ
チル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げら
れるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ジエ
ン系共重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエンが好ましく、より好ましくは1,3
−ブタジエンである。
本発明に使用される水添ジエン系共重合体(I)の水
素添加前のブロック共重合体(X)は、ビニル芳香族化
合物重合体ブロック(A)と、共役ジエン重合体もしく
はビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合
体ブロック(B)とからなる(A)−(B)ブロック共
重合体、またはさらにビニル芳香族化合物と共役ジエン
のうちビニル芳香族化合物が漸増するテーパーブロック
(C)とからなる(A)−(B)−(C)ブロック共重
合体、もしくはビニル芳香族重合体ブロック(A)から
なる(A)−(B)−(A)ブロック共重合体からなる
が、まず全モノマー中のビニル芳香族化合物/共役ジエ
ンの割合が重量比で5〜50/95〜50、好ましくは10〜40/
90〜60、さらに好ましくは15〜35/85〜65である。
ビニル芳香族化合物の含有量が5重量%未満では、得
られる組成物の着色性が低下し、一方ビニル芳香族化合
物の含有量が50重量%を超える場合、樹脂状となり、得
られる組成物の耐衝撃性改良効果、特に低温耐衝撃性が
不足する。
また、(A)−(B)−(A)ブロック共重合体の場
合は各ブロック(A)中の含量がそれぞれ全モノマーの
3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%であり、(A)
−(B)−(C)ブロック共重合体の場合はブロック
(A)およびブロック(C)中のビニル芳香族化合物の
結合含量がそれぞれ全モノマーの3〜40重量%、好まし
くは5〜30重量%である。3重量%未満では得られる組
成物の着色性が低下し、一方40重量%を超えると樹脂状
となり、得られる組成物の耐衝撃性改良効果が不足し、
特に低温耐衝撃性が不足する。
さらに、共役ジエン重合体もしくはビニル芳香族化合
物と共役ジエンとのランダム共重合体ブロック(B)中
の共役ジエン部分のビニル結合含量は15〜80%、好まし
くは20〜80%、さらに好ましくは30〜60%であり、15%
未満では水素化されるとポリエチレン連鎖が生成し、ゴ
ム的性質が失われ、一方80%を超えると水素化されると
ガラス転移温度が高くなり、やはりゴム的性質が失われ
て、いずれも耐衝撃性が劣る。
また、水添ジエン系重合体(I)の水素添加前のブロ
ック共重合体(Y)は、分子中に重合体ブロック
(A′)、(B1)および(B2)〔ただし、(A′)はビ
ニル芳香族化合物が90重量%以上のビニル芳香族化合物
を主体とする重合体ブロック、(B1)は1,2−ビニル結
合含量が30〜70%、好ましくは40〜60%のポリブタジエ
ン重合体ブロック、(B2)は1,2−ビニル結合含量が30
%未満のポリブタジエン重合体ブロックである〕をそれ
ぞれ1個以上有するブロック共重合体であって、該ブロ
ック共重合体中の重合体ブロック(A′)の含量が10〜
50重量%、好ましくは15〜45重量%、重合体ブロック
(B1)の含量が30〜80重量%、好ましくは35〜75重量
%、重合体ブロック(B2)の含量が5〜30重量%、好ま
しくは5〜25重量%であるブロック共重合体、または該
ブロック共重合体単位がカップリング剤残基を介して前
記重合体ブロック(A′)、(B1)および(B2)のうち
少なくとも1つの重合体ブロックと結合したブロック共
重合体である。
前記ブロック(A′)の含量が10重量%未満であると
着色性が低下し、一方50重量%を超えると耐衝撃性が低
下する。
また、重合体ブロック(B1)の含量が30重量%未満で
あると耐衝撃性が低下し、一方80重量%を超えると着色
性が低下する。
さらに、重合体ブロック(B2)の含量が5重量%未満
であると耐薬品性が低下し、一方30重量%を超えると低
温衝撃性が低下する。
さらに、重合体ブロック(B1)の1,2−ビニル結合含
量が30%未満あるいは70%を超える場合には、いずれも
耐衝撃性が低下する。
さらに、重合体ブロック(B2)の1,2−ビニル結合含
量が30%以上であると、耐薬品性が低下する。
本発明の水添ジエン系共重合体(I)は、ブロック共
重合体の共役ジエン部分の二重結合の少なくとも90%、
好ましくは95〜100%が水添されて飽和されていること
が必要であり、90%未満では耐熱性、耐候性に劣るもの
となる。
なお、本発明の水添ジエン系共重合体(I)は、ポリ
スチレン換算数平均分子量が、通常、10万〜60万、好ま
しくは11万〜50万であり、この範囲を外れると重合体と
ブレンドした組成物において、充分な改質効果が得られ
ない場合がある。
例えば、数平均分子量が10万未満では、得られる組成
物の耐衝撃性が低下し、一方60万を超えると、流動性、
加工性が低下し表面外観の低下などを招来することにな
る。
なお、本発明の水添ジエン共重合体(I)は、230
℃、12.5kgの荷重で測定したメルトフローレートが好ま
しくは0.1g/10分以上、さらに好ましくは0.5g/10分以上
であり、0.1g/10分未満ではペレット化が困難となる。
本発明の水添ジエン共重合体(I)は、有機溶媒中で
有機アルカリ金属化合物を開始剤としてリビングアニオ
ン重合し、ブロック共重合体を得たのち、さらにこのブ
ロック共重合体に水素添加を行って得られる。
前記有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒が用いられ
る。
重合開始剤がある有機アルカリ金属化合物としては、
有機リチウム化合物が好ましい。
この有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム
化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合
物が用いられる。これらの具体例としては、エチルリチ
ウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、
n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチ
ルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニル
リチウム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられ、単
量体100重量部当たり0.02〜0.2重量部の量で用いられ
る。
また、この際、ミクロ構造、すなわち共役ジエン部分
のビニル結合含量の調節剤としてルイス塩基、例えばエ
ーテル、アミンなど、具体的にはジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、プロピルエーテル、ブチルエーテ
ル、高級エーテル、またエチレングリコールジブチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリ
コールジメチルエーテルなどのポリエチレングリコール
のエーテル誘導体、アミンとしてはテトラメチルエチレ
ンジアミン、ピリジン、トリブチルアミンなどの第3級
アミンなどが挙げられ、前記有機溶媒とともに用いられ
る。
さらに、重合反応は、通常、−30℃〜150℃で実施さ
れる。
また、重合は、一定温度にコントロールして実施して
も、また熱除去をしないで上昇温度下にて実施してもよ
い。
ブロック共重合体にする方法は、いかなる方法でもよ
いが、例えばブロック共重合体(X)を例にとって示す
と、一般に前記有機溶媒中で、前記アルカリ金属化合物
などの重合開始剤を用いて、まずブロック(A)または
ブロック(B)を重合し、続いてブロック(B)または
ブロック(A)を重合する。ブロック(A)あるいはブ
ロック(B)のどちらを先に重合するかは限定されな
い。
また、ブロック(A)とブロック(B)との境界は必
ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体、あ
るいは(A)−(B)−(A)ブロック共重合体を得る
には、有機溶媒中で有機リチウム開始剤を用いて芳香族
ビニル化合物を添加してブロック(A)を重合し、次に
共役ジエンもしくは共役ジエンと芳香族ビニル化合物と
を添加してブロック(B)を作り、さらに共役ジエンと
芳香族ビニル化合物あるいは芳香族ビニル化合物を添加
することによりテーパーブロック(C)またはブロック
(A)を重合すればよい。この場合、まずテーパーブロ
ック(C)、あるいはブロック(A)を最初に重合し、
次いでブロック(B)、さらにブロック(A)を重合す
る方法でもよい。
このようにして得られる(A)−(B)ブロック共重
合体、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体、ある
いは(A)−(B)−(A)ブロック共重合体は、カッ
プリング剤を添加することにより下記一般式で表される
ような、重合体分子鎖が延長または分岐されたブロック
共重合体であってもよい。
〔(A)−(B)〕n−X、 〔(A)−(B)−(C)〕n−X、または 〔(A)−(B)−(A)〕n−X (式中、nは2〜4の整数、Xはカップリング剤残基を
示す。) この際のカップリング剤としては、例えばアジピン酸
ジエチル、ジビニルベンゼン、テトラクロロケイ素、ブ
チルトリクロロケイ素、テトラクロロスズ、ブチルトリ
クロロスズ、ジメチルクロロケイ素、テトラクロロゲル
マニウム、1,2−ジブロムエタン、1,4−クロルメチルベ
ンゼン、ビス(トリクロルシリル)エタン、エポキシ化
アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼ
ントリイソシアネートなどが挙げられる。
このブロック共重合体中のビニル芳香族化合物の結合
含量は、各段階における重合時のモノマーの供給量で調
節され、共役ジエンのビニル結合含量は、前記ミクロ調
整剤の成分を変量することにより調節される。さらに、
数平均分子量、メルトフローレートは、重合開始剤、例
えばn−ブチルリチウムの添加量で調節される。
ブロック共重合体(Y)も、同様の方法で得ることが
できる。
本発明の水添ジエン系共重合体(I)は、このように
して得られるブロック共重合体を、不活性溶媒中に溶解
し、20〜150℃、1〜100kg/cm2の加圧水素下で水素化触
媒の存在下で行われる。
水素化に使用される不活性溶媒としては、ヘキサン、
ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エチ
ルベンゼンなどの炭化水素溶媒、またはメチルエチルケ
トン、酢酸エチル、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ンなどの極性溶媒が挙げられる。
また、水素化触媒としては、ジシクロペンタジエニル
チタンハライド、有機カルボン酸ニッケル、有機カルボ
ン酸ニッケルと周期律表第I〜III族の有機金属化合物
からなる水素化触媒、カーボン、シリカ、ケイソウ土な
どで担持されたニッケル、白金、パラジウム、ルテニウ
ム、レニウム、ロジウム金属触媒やコバルト、ニッケ
ル、ロジウム、ルテニウム錯体、あるいはリチウムアル
ミニウムハイドライド、p−トリエンスルホニルヒドラ
ジド、さらにはZr−Ti−Fe−V−Cr合金、Zr−Ti−Nb−
Fe−V−Cr合金、LaNi5合金などの水素貯蔵合金などが
挙げられる。
本発明の水添ジエン系共重合体(I)の重合体ブロッ
クの共役ジエン部分の二重結合の水添率は、水素化触
媒、水素化化合物の添加量、または水素添加反応時にお
ける水素圧力、反応時間を変えることにより調節され
る。
水素化されたブロック共重合体溶液からは、触媒の残
渣を除去し、フェノール系またはアミン系の老化防止剤
を添加し、重合体溶液から水添ジエン系共重合体(I)
を容易に単離することができる。
水添ジエン系共重合体(I)の単離は、例えば共重合
体溶液に、アセトンまたはアルコールなどを加えて沈澱
させる方法、重合体溶液を熱湯中に攪拌下、投入し溶媒
を蒸留除去する方法などで行うことができる。
この水添ジエン系共重合体(I)にグラフト共重合さ
せる単量体成分(II)中の芳香族ビニル化合物(a)と
しては、前記水添ジエン系共重合体(I)の製造に用い
られる芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられる。
また、単量体成分(II)中のシアン化ビニル化合物
(b)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上で使用
される。このシアン化ビニル化合物(b)としては、特
にアクリロニトリルが好ましい。
さらに、単量体成分(II)中の(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物(c)としては、単独で重合体にしたとき
にその重合体のガラス転移温度〔示差走査熱量計(DS
C)で測定〕が50℃以上であるもので、アルキル部分の
炭素数が1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは
1〜4のものである。この(メタ)アクリル酸エステル
化合物(c)の具体例としては、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルア
クリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリ
レート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレ
ート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステ
ル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プ
ロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミル
メタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シ
クロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレー
ト、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エス
テルが挙げられ、特にメチルメタクリレートが好まし
い。
さらに、単量体成分(II)中のその他の共重合可能な
単量体(d)としては、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル
酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メ
チルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メ
チルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシマレイミドなどのα−またはβ−不飽
和ジカルボン酸のイミド化合物;グリシジルメタクリレ
ートなどのエポキシ化合物、アクリルアミド、メタクリ
ルアミドなどのアミド基あるいはアミノ基含有単量体な
どが挙げられる。これらの共重合可能な単量体(d)
は、1種単独であるいは2種以上を併用することができ
る。
ここで、芳香族ビニル化合物(a)とシアン化ビニル
化合物(b)を使用すると、耐衝撃性、耐薬品性、塗装
性がさらに優れたものが得られ、芳香族ビニル化合物
(a)と(メタ)アクリル酸エステル化合物(c)を用
いると、耐候性がさらに優れたものが得られるので好ま
しい。
以上の単量体成分(II)の割合は、芳香族ビニル化合
物(a)0〜100重量%、好ましくは2〜98重量%、シ
アン化ビニル化合物(b)0〜70重量%、好ましくは2
〜65重量%、(メタ)アクリル酸エステル化合物(c)
0〜100重量%、好ましくは2〜98重量%、これらと共
重合可能な他の単量体(d)0〜60重量%、好ましくは
2〜50重量%(ただし、(a)+(b)+(c)+
(d)=100重量%)である。シアン化ビニル化合物
(b)が70重量%を超えると、熱安定性が低下し変色の
原因となる。
また、その他の単量体(d)が60重量%を超えると、
芳香族ビニル化合物(a)および/または(メタ)アク
リル酸エステル化合物(c)の使用量が少なくなり、こ
れらの単量体を用いて得られるゴム強化樹脂としての優
れた特性が失われるので好ましくない。
以下、エンジニアリングプラスチックである各重合体
(ロ)を例にとって、好ましい単量体成分(II)を列挙
する。
すなわち、重合体(ロ)がポリカーボネート、あるい
は芳香族ポリエステルである場合、好ましい単量体成分
(II)は、芳香族ビニル化合物(a)、シアン化ビニル
化合物(b)および(メタ)アクリル酸エステル化合物
(c)であり、好ましい組合せ(重量比)は、芳香族ビ
ニル化合物(a)/シアン化ビニル化合物(b)=95〜
55/5〜45、芳香族ビニル化合物(a)/(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物(c)=80〜10/20〜90、芳香族ビ
ニル化合物(a)/シアン化ビニル化合物(b)/(メ
タ)アクリル酸エステル化合物(c)=7〜90/3〜50/7
〜90の組成のものである。
重合体(ロ)がポリフェニレンエーテルである場合、
好ましい単量体成分(II)は、これと相溶性のある芳香
族ビニル化合物(a)が80重量%以上を含む組成であ
り、好ましい組合せ(重量比)は、芳香族ビニル化合物
(a)/シアン化ビニル化合物(b)=100〜80/0〜2
0、芳香族ビニル化合物(a)/(メタ)アクリル酸エ
ステル化合物(c)=100〜80/0〜20の組成のものであ
る。
重合体(ロ)がポリビニリデンフルオライドである場
合、好ましい単量体成分(II)は、これと相溶性のある
(メタ)アクリル酸エステル化合物(c)を50重量%以
上を含む組成であり、好ましい組合せ(重量比)は、芳
香族ビニル化合物(a)/(メタ)アクリル酸エステル
化合物(c)=0〜50/100〜50、芳香族ビニル化合物
(a)/シアン化ビニル化合物(b)/(メタ)アクリ
ル酸エステル化合物(c)=0〜50/0〜50/100〜50の組
成のものである。
本発明のゴム強化樹脂(イ)は、水添ジエン系共重合
体(I)10〜60重量部の存在下に、単量体成分(II)40
〜90重量部(ただし、(I)+(II)=100重量部)を
グラフト共重合させることによって得られる。
水添ジエン系共重合体(I)の使用量が10重量部未満
であると、充分な耐衝撃性が得られず、一方60重量部を
超えると、重合体(ロ)との相溶性が充分でなく本発明
の熱可塑性樹脂組成物の物性低下の原因となる。
なお、ゴム強化樹脂(イ)のベースポリマーとなるゴ
ム状重合体としては、水添ジエン系共重合体(I)単独
以外に、必要に応じて地のゴム状重合体を50重量%以下
程度併用することができる。
この他のゴム状重合体としては、ポリブタジエン、SB
R、NBRなどのジエン系ゴム、該ジエン系ゴムの水素添加
物、EPM、EPDMなどのオレフィン系ゴム、芳香族ビニル
化合物−共役ジエンのブロック共重合体、該ブロック共
重合体の水素添加物が挙げられる。
また、ゴム強化樹脂(イ)のグラフト率は、好ましく
は20〜90%、さらに好ましくは25〜85%、特に好ましく
は30〜80%のものである。ここで、グラフト率とは、グ
ラフト重合体のゴム量に対し、ゴムに直接グラフト結合
している共重合体成分の割合をいう。このグラフト率
は、重合開始剤量、重合温度などによって制御すること
ができる。前記(イ)成分のグラフト率が20%未満で
は、例えば特開昭51−9183号公報に例示されているよう
に、実質的にグラフトしていなくとも衝撃強度は充分で
はあるが、耐薬品性が著しく低下し、また着色性、ウエ
ルド外観などの成形外観も悪くなる。
さらに、本発明のゴム強化樹脂(イ)の樹脂部分のメ
チルエチルケトン可溶分の固有粘度〔η〕(30℃で測
定)は、0.2dl/g以上、好ましくは0.22〜1.5dl/g、さら
に好ましくは0.24〜1.2dl/gである。
さらに、ゴム硬化樹脂(イ)の粒子径は、通常、0.05
〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.75μm、さらに好まし
くは0.07〜0.60μm、特に好ましくは0.08〜0.5μmで
ある。通常の汎用エンジニアリングプラスチックの衝撃
強度を改良するうえからは、前記粒子径は0.5μm以上
のものがほとんどであるが、本発明に用いる水添ジエン
系共重合体(I)では、該粒子径が小さい範囲で衝撃強
度が改良できる。
この粒子径の調整は、重合時の攪拌速度の調整などに
より行われる。
本発明に使用されるゴム強化樹脂(イ)は、乳化重
合、溶液重合、懸濁重合などによって製造される。
また、この際、重合に用いられる重合開始剤、分子量
調節剤、乳化剤、分散剤、溶媒などとしては、通常、こ
れらの重合法で用いられるものをそのまま用いることが
可能である。
一方、本発明で使用される重合体(ロ)とは、ポリカ
ーボネート、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンエー
テルおよびポリビニリデンフルオライドの群から選ばれ
た少なくとも1種の重合体である。
重合体(ロ)としてポリカーボネートを用いると、耐
熱性を付与することができ、しかも成形外観と耐候性に
優れた樹脂組成物を得ることができる。ここで、ポリカ
ーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族
ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネートな
どを挙げることができる。一般には、2,2−ビス(4−
オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニ
ル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン
スルフィドまたはスルホキサイド系などのビスフェノー
ル類からなる重合体もしくは共重合体であり、目的に応
じてハロゲンで置換されたビスフェノール類を用いた重
合体である。
ポリカーボネートの種類、製造方法などについては、
日刊工業新聞社発行(昭和44年9月30日発行)の“ポリ
カーボネート樹脂”に詳しく記載されている。
使用されるポリカーボネートの分子量としては、一般
に粘度平均分子量(Mv)で 14,000〜35,000、好ましくは 15,000〜30,000、さらに好ましくは15,000〜27,000であ
り、 14,000未満では耐衝撃性が低く、一方 35,000を超えると成形加工性が悪化するので好ましくな
い。ここで、ポリカーボネートの粘度平均分子量は、ウ
ベローデ粘度計を用いて塩化メチレンを溶媒とした溶液
で測定し(20℃)、下記シュネル(Schnell)の粘度式
を用いて求めた値である〔H.Schnell,Anoewandte Chem
ie,68,633(1956)〕 〔η〕=1.23×10-4Mv0.83 また、重合体(ロ)として、芳香族ポリエステルを用
いると、成形外観と耐候性を同時に改良することができ
る。芳香族ポリエステルとしては、例えばポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ
テトラメチレンテレフタレート、ポリペンタメチレンテ
レフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなど
が挙げられるが、特にポリエチレンテレフタレートが好
ましい。
さらに、重合体(ロ)として、ポリフェニレンエーテ
ルを用いると、高耐熱性でしかも熱安定性に優れた成形
外観、耐候性の良好な組成物を得ることができる。ポリ
フェニレンエーテルとしては、例えばポリ−2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,6−ジエチル
−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,6−ジプロピル−
1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2−メチル−6−イ
ソプロピル−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,6−ジ
メトキシ−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,6−ジフ
ェニル−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,6−ジクロ
ル−1,4−フェニレンオキシド、ポリ−2,5−ジメチル−
1,4−フェニレンオキシドなどの重合体、2,6−ジメチル
フェノールと2,8,6−トリメチルフェノールの共重合
体、2,6−ジメチルフェノールと8−メチル−6−t−
ブチルフェノールとの共重合体などが挙げられる。
さらに、重合体(ロ)として、ポリビニリデンフルオ
ライドを用いると、耐薬品性に優れた成形外観、耐候性
の良好な組成物を得ることができる。
ポリビニリデンフルオライドは、単独重合体、あるい
はビニリデンフルオライドと(メタ)アクリル酸エステ
ル化合物(好ましくはメタクリル酸メチル)が共重合し
た共重合体、さらには該単独重合体もしくは共重合体に
(メタ)アクリル酸エステル化合物(好ましくはメタク
リル酸メチル)を必須成分とする単量体の(共)重合体
を混合したブレンド体が挙げられる。これらの共重合体
あるはブレンド体中のポリビニリデンフルオライドの含
有量は、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70
重量%以上である。
これらの重合体(ロ)は、1種単独でもあるいは2種
以上を併用することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記ゴム強化樹脂
(イ)および重合体(ロ)を含有するが、両者の組成割
合は(イ)/(ロ)(重量比)=5〜95/95〜5、好ま
しくは15〜90/85〜15〔ただし、(イ)+(ロ)=100重
量部〕である。ここで、ゴム強化樹脂(イ)は、耐衝撃
性、成形加工性などを付与するために使用されるもので
ある。本発明の特徴は、(イ)成分を構成するゴム状重
合体として前記水添ジエン系共重合体(I)を用いるこ
とにより、顔料、染料などの着色性に優れ、かつウエル
ド発生による不良現象を著しく改良されるもので、これ
らの優れた効果は、(イ)成分として従来のゴム状重合
体を用いたゴム強化樹脂では得られないものである。
かくて、本発明の熱可塑性樹脂組成物中のゴム強化樹
脂(イ)が5重量部未満では、耐衝撃性、成形加工性が
劣り、一方95重量部を超えると、重合体(ロ)特有の物
性の付与が低下するので好ましくない。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の水素化ジエン
系共重合体(I)の含有量は、好ましくは3〜50重量
%、好ましくは5〜40重量%であり、この範囲で本発明
の目的とする一段と優れた組成物が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記(イ)〜(ロ)
成分を含有するが、そのほか該熱可塑性樹脂組成物に対
して、他の熱可塑性重合体、例えばポリアミド、塩化ビ
ニル樹脂、ポリグルタルイミド、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体などの通常の各種の合成樹脂、あるい
はエラストマーを50重量%以下程度含有させることがで
きる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、各種の配合
剤を添加することができる。
これらの配合剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘ
キシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メチレン−
ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
4′−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノ
ール)、ジラウリルチオジプロピオネート、トリス(ジ
−ノニルフェニル)ホスファイト、ワックスなどの酸化
防止剤;p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2′−
ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−
(2′−ヒドロキシ−4′−n−オクトキシフェニル)
ブンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤;パラフィンワ
ックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチ
レンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケ
トンワックス、オクチルアルコール、ラウリルアルコー
ル、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリドなどの滑
剤;酸化アンチモン、水酸化アンモニウム、ホウ酸亜
鉛、トリクレジルホスフェート、トリス(ジクロロプロ
ピル)ホスフェート、塩素化パラフィン、テトラブロモ
ブタン、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェ
ノールAなどの難燃剤;ステアロアミドプロピルジメチ
ル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムニトレートなど
の帯電防止剤;酸化チタン、カーボンブラックなどの着
色剤;炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス球など
の充填剤;顔料などを挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化樹脂(イ)
および重合体(ロ)、さらに必要に応じてその他の添加
剤を、通常の混合方法を用いて混合することにより得ら
れる。例えば、ミキサーで各成分を混合したのち、押し
出し機で200〜280℃で溶融混練りして造粒する。
さらに、簡単には各成分を直接、成形機内で溶融混練
りして成形することができる。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明の主旨を越えない限り、本発明は、かかる実
施例により限定されるものではない。
なお、実施例中において、部および%は、特に断らな
い限り重量基準である。また、実施例中の各種測定は、
下記の方法に拠った。
物性 実施例、比較例の熱可塑性樹脂組成物ペレットを90TO
N射出成形機(220〜250℃)にて成系し、得られた試験
片の物性を測定した。
この物性の測定のうち、メルトフローレートは、JIS
K7210に準じて測定した。
アイゾット衝撃強度は、ASTM D256(断面1/4×1/2イ
ンチ、ノッチ付き)に準じて測定した。
熱変形温度は、ASTM D648に準じて測定した。
熱安定性(ポリフェニレンエーテル系組成物) ASTM D256の試験方法に準じてアイゾット衝撃強度の
保持率で示した。
保持率=〔(280℃×15分滞留後の3ショット目成形
品のアイゾット衝撃強度)/(280℃連続成形時のアイ
ゾット衝撃強度)〕×100(%) 着色性 実施例、比較例の熱可塑性樹脂組成物ペレットを、下
記配合にて押し出し機を通して着色し、得られた着色ペ
レットを成形することにより色調評価プレートを得た。
黒色配合着色性については、色差計にて明度を測定し、
マンセル色表値(値が大きいほど着色性は悪い)で表し
た。
他の着色配合については、彩度を目視判定した。
〔黒色配合処方〕 (部) 樹脂 100 カーボンブラック 0.5 ステアリン酸カルシウム 0.3 〔赤色配合処方〕 (部) 樹脂 100 ベンガラ 1.0 ステアリン酸カルシウム 0.5 〔青色配合処方〕 (部) 樹脂 100 群青 1.0 ステアリン酸カルシウム 0.5 彩度判定は、◎;かなり鮮やか、○;鮮やか、×;鮮
やかでない、と判定した。
ウエルド部の目立ち 実施例、比較例の熱可塑性樹脂組成物ペレットを、ウ
エルド部の生じる金型を用いて成形し、ウエルドライン
の有無を目視で確認した。
評価は、◎;ほとんど認められない、○;かすかに認
められる、×;明らかに認められる、と判定した。
耐候性 物性測定に用いたと同様の試験片を使用し、下記条件
で耐候性試験を実施した。
試験条件; 試験機=サンシャインウエザオメーター(スガ試験機
(株)製、WE−6×S−DC) ブラックパネル温度=63±3℃ 槽内湿度=60±5%RH 降雨サイクル=18/120分 カーボン交換サイクル=60分 測定方法=アイゾット衝撃強度保持率(%);ASTM D
256(断面1/8×1/2インチ) 光沢保持率(%);ASTM D523 耐候性評価は、前記測定方法で各々アイゾット衝撃強
度および光沢度を測定し、1,000時間照射後の保持率で
示した。また、色調変化を調べ、初期の色調との色差Δ
Eで示した。
耐温灯油性 黒色ペレット(配合樹脂100部、カーボンブラック0.5
部およびステアリン酸カルシウム0.3部)による成形品
を、JIS6号灯油(灯油温度80℃)に浸漬し、50℃で1時
間放置したのち、表面を拭き取り、乾燥後、異常の有無
を判断した。
◎;変色が全く認められない。
○;変色が若干認められる。
×;白化、光沢低下が認められる。
実施例1〜19、比較例1〜18 水添ジエン系共重合体(I)(a〜b、e)の製造 〔水添ジエン系共重合体a〕 内容積5のオートクレーブに、脱気、脱水したシク
ロヘキサン2,500g、スチレン100gを仕込んだのち、テト
ラヒドロフラン9.8gおよびn−ブチルリチウム0.2gを加
えて重合温度50℃で等温重合を行った。
重合転化率がほぼ100%となったのち、引き続き1,3−
ブタジエン437.5g、スチレン62.5gの混合物を10分間あ
たり75gの速度で連続的に添加しながら、70℃の温度で
重合を行った。重合途中で5分間毎にサンプリングを行
い、随時生成した重合体中のスチレン含量と1,3−ブタ
ジエンのミクロ構造を測定した。
重合転化率がほぼ100%に達したのち、反応液を70℃
に冷却し、n−ブチルリチウム0.6g、2,6−t−ブチル
−p−クレゾール0.6g、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジクロライド0.28gおよびジエチルアルミニ
ウムクロライド1.1gを加え、水素ガスで10kg/cm2の圧力
に保ちながら1時間反応させた。
反応液を室温に冷却し、スチームストリッピングによ
り脱溶媒したのち、120℃ロールで乾燥させ、水添ジエ
ン系共重合体aを得た。
得られた水添ジエン系共重合体aの分子特性を第1表
に示す。
〔水添ジエン系共重合体b〕
第1表に示すポリマー構造特性になるように、モノマ
ー組成、重合助剤、重合条件を適宜変更することによ
り、第1表の水添ジエン系共重合体bを得た。なお、市
販のブタジエンゴム(重合体c)、EPDM(重合体d)を
併せて第1表に示す。
〔水添ジエン系共重合体e〕
内容積5のオートクレーブに、脱気・脱水したシク
ロヘキサン2,500g、1,3−ブタジエン350gを仕込んだの
ち、n−ブチルリチウム0.5gを加えて、重合温度が50℃
の等温重合を行った。重合転化率が31%になったのち、
テトラヒドロフラン12.5gを添加し、50℃から80℃の昇
温重合を行った。
重合転化率がほぼ100%となったのち、スチレン150g
を加え、15分間重合を行い、ブロック共重合体(Y)を
得た。次いで、前記の水添ジエン系共重合体aと同様の
方法で、水素添加を行い、水添ジエン系共重合体eを得
た。分子特性を第1表に示す。
ゴム強化樹脂ア〜キ、あ〜かの製造 〔ゴム強化樹脂ア〕 リボン型攪拌翼を備えた内容積10のステンレス製オ
ートクレーブに、あらかじめ均一溶液にしたベースゴム
として第1表に示した水添ジエン系共重合体aを30部、
スチレン49部、トルエン120部、およびt−ドデシルメ
ルカプタン0.1部の混合液を仕込み、攪拌しながら昇温
し、50℃にてアクリロニトリル21部、ベンゾイルパーオ
キサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加
し、さらに昇温し80℃に達したのちは、80℃一定に制御
しながら攪拌回転数100rpmにて重合反応を行った。
反応開始後、6時間目から1時間要して120℃まで昇
温し、さらに2時間反応を行って重合を終了した。重合
転化率は97%であった。
これを100℃まで冷却したのち、2,2′−メチレンビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添
加したのち、反応混合物をオートクレーブより抜き出
し、水蒸気蒸留により未反応物単量体と溶媒を留去し、
細かく粉砕したのち、40mmφベント付き押し出し機(22
0℃、700mmHg真空)にて実質的に揮発分を留去するとと
もに、重合体をペレット化し、ゴム強化樹脂アを得た。
このゴム強化樹脂アの組成を第2表に示す。
〔ゴム強化樹脂イ〜キ、あ〜か〕
第2表に示すゴム成分および単量体成分を用いて、他
はゴム強化樹脂アの製造と同様の方法で、各ゴム強化樹
脂を得た。
第2表に、その際の重合時間および重合転化率を併せ
て示す。
熱可塑性樹脂組成物の製造 以上のようにして得られたゴム強化樹脂に、第3〜7
表に示す配合割合で、それぞれヘンシェルミキサーを用
いて混合し、40mmφの押し出し機を用いて250〜290℃で
溶融混練りしてペレットを作製した。このペレットを用
いて、各種物件の測定を行った。結果を併せて第3〜7
表に示す。
第3〜7表から明らかなように、本発明の熱可塑性樹
脂組成物では、いずれも汎用エンジニアリングプラスチ
ックの特性である耐熱性および耐薬品性が良好であるほ
か、着色性、ウエルド部の目立ちなどの成形外観と屋外
で使用するときに必要な耐候性を兼備していることが分
かる。
これに対し、比較例では、成形外観および耐候性が不
充分であることが分かる。
*2)ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチック
社製、ジェラネックス800FP) 〔発明の効果〕 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、成形外観、
低温度域での衝撃強度を含めた耐衝撃性、耐薬品性、熱
安定性、耐熱性を著しく改善した、ゴム強化樹脂と汎用
エンジニアリングプラスチックとからなるポリマーアロ
イを提供することができ、工業的に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 英樹 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−256560(JP,A) 特開 昭63−306014(JP,A) 特開 昭63−37153(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 51/00,69/00,51/04 C08L 67/02,71/10,27/16

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル芳香族化合物重合体ブロック(A)
    と共役ジエン重合体もしくはビニル芳香族化合物と共役
    ジエンとのランダム共重合体ブロック(B)とからなる
    (A)−(B)ブロック共重合体、またはさらにビニル
    芳香族化合物と共役ジエンのうちビニル芳香族化合物が
    漸増するテーパーブロック(C)とからなる(A)−
    (B)−(C)ブロック共重合体、もしくはビニル芳香
    族重合体ブロック(A)からなる(A)−(B)−
    (A)ブロック共重合体であって、 ビニル芳香族化合物/共役ジエンの割合が重量比で5
    〜50/95〜50、 (A)−(B)−(A)ブロック共重合体の場合は各
    ブロック(A)の含量がそれぞれ全モノマーの3〜40重
    量%、(A)−(B)−(C)ブロック共重合体の場合
    はブロック(A)およびブロック(C)中のビニル芳香
    族化合物の結合含量がそれぞれ全モノマーの3〜40重量
    %、 ブロック(B)中の共役ジエン部分のビニル結合含量
    が15〜80%、 であるブロック共重合体(X)、および/または分子中
    に重合体ブロック(A′)、(B1)および(B2)〔ただ
    し、(A′)はビニル芳香族化合物が90重量%以上のビ
    ニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック、(B1
    は1,2−ビニル結合含量が30〜70%のポリブタジエン重
    合体ブロック、(B2)は1,2−ビニル結合含量が30%未
    満のポリブタジエン重合体ブロックである〕をそれぞれ
    1個以上有するブロック共重合体であって、該ブロック
    共重合体中の重合体ブロック(A′)の含量が10〜50重
    量%、重合体(B1)の含量が30〜80重量%、重合体ブロ
    ック(B2)の含量が5〜30重量%であるブロック共重合
    体、または該ブロック共重合体単位がカップリング剤残
    基を介して前記重合体ブロック(A′)、(B1)および
    (B2)のうち少なくとも1つの重合体ブロックと結合し
    たブロック共重合体(Y)、 を水素添加し、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも
    90%が飽和されている水添ジエン系共重合体(I)10〜
    60重量部の存在下に、 芳香族ビニル化合物(a)、シアン化ビニル化合物
    (b)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(c)およ
    びその他の共重合可能な単量体(d)の群から選ばれた
    少なくとも1種の単量体成分(II)90〜40重量部〔ただ
    し、(I)+(II)=100重量部〕をグラフト共重合さ
    せたゴム強化樹脂(イ)5〜95重量部と、 ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリフェニレ
    ンエーテルおよびポリビニリデンフルオライドの群から
    選ばれた少なくとも1種の重合体 (ロ)95〜5重量部、 を含有する熱可塑性樹脂組成物。
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