JP2995751B2 - 半導体受光素子 - Google Patents

半導体受光素子

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は半導体受光素子に関し、特に低雑音・高速応
答を呈する半導体受光素子に関する。
(従来の技術) 現在、光通信用半導体受光素子としてIn0.53Ga0.47As
を用いたアバランシェ・フォトダイオード(以下APDと
略す)の研究開発が進められており、従来、低雑音特性
を実現するために、第3図に示すような半導体層構造が
採用されている。
第3図において、1はn+−InP基板、2はn−InPバッ
ファ層、3はn−InGaAs光吸収層、4はn−InGaAsP中
間層、5はn−InPアバランシェ増倍層、5′はアバラ
ンシェ増倍層InP中に選択的に設けられたp型導電領域
である。かかる構造において、逆バイアス電圧をpn接合
に印加し、pn接合下のInPアバランシェ層5およびInGaA
s光吸収層3を空乏化することにより、InGaAs層で発生
した光励起キャリアのうちの正孔キャリアはInPアバラ
ンシェ増倍層5へ注入される。ここで、正孔のイオン化
率(β)の方が電子のそれ(α)よりも大きいInPに正
孔が注入されるので低雑音特性が得られる。
更に、高速応答を得るためにはInPアバランシェ増倍
領域のキャリア濃度を高くしてアバランシェ増倍領域を
薄くすることによってアバランシェ増倍立ち上がり時間
を短縮することが有効である。第4図にInPアバランシ
ェ増倍領域のキャリア濃度に対する真性アバランシェ増
倍立ち上がり時間(増倍率=1における立ち上がり時間
で定義される)の実験データを示す。
(発明が解決しようとする課題) 第4図から明らかなように、キャリア濃度が1×1016
〜4×1016cm-3程度においてはほぼキャリア濃度に反比
例して増倍立ち上がり時間が短縮されるが、それ以上の
キャリア濃度においては増倍立ち上がり時間は有効には
減少していかない。これは高速応答を実現する上で障害
となる。
このようにキャリア濃度を上げても増倍立ち上がり時
間が有効に減少しないのは、急峻なp+n接合が形成され
ないために、空乏層がn側導電領域のみならずp側導電
領域にも広がり、従ってアバランシェ増倍領域がn側の
みならずp側にも形成されるためである。即ち、アバラ
ンシェ増倍領域幅がキャリア濃度を上げても予想通りに
短縮されないのである。
そこで、本発明の目的は、急峻なp+n接合をアバラン
シェ増倍層に形成し、キャリア濃度を上げれば予想通り
にアバランシェ増倍時間を短縮、即ち、高速応答を可能
にする半導体受光素子を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 前述の課題を解決するための本発明の半導体受光素子
は、光吸収層と該光吸収層よりも広い禁制帯幅を有する
アバランシェ増倍層中に選択的にpn接合が設けられた半
導体受光素子において、前記アバランシェ増倍層が少な
くとも互いに異なる2種の半導体層によって構成され、
かつ前記のpn接合が前記2種の半導体層のうちでより急
峻なpn接合を形成する層に形成されている。前記2種の
半導体層はAlGaInAs層とInP層とから構成され、pn接合
が前記AlGaInAs層中に形成されていることが好ましい。
また前記2種の半導体層のうちAlGaInAs層はInP層上に
積層されていることが好ましい。
(実施例) 次に本発明について図面を参照しながら説明する。
第1図は本発明の一実施例を示す構造図である。
本実施例によ半導体受光素子(アバランシェフォトダ
イオード:APD)は、n+−InP基板1の上に有機金属気相
成長法(MOVPE法)により順次積層したn-−InPバッファ
層(〜1μm厚)2,3〜5×1015cm-3キャリア濃度のn-
−In0.53Ga0.47As光吸収層(〜2μm厚)3,禁制帯幅0.
92eVのInGaAsP(〜0.3μm厚)4,6〜8×1016cm-3キャ
リア濃度の第1のn−InPアバランシェ増倍層51、およ
び2〜3×1016cm-3キャリア濃度の第2のn−Al0.47In
0.52Asアバランシェ増倍層52を含む。
n−AlInAs52には、表面からみて円形もしくは卵形に
選択的に設けられたp+型導電領域5′、p+領域5′の周
縁部にリング状に設けられたp-型導電領域であるカード
リング5″を含む。
p側電極7は、p+型導電領域5′内に選択的に窓あけ
された反射防止膜6を通してリング状に設けられ、n側
電極8は基板1の裏面全面に形成されている。各層は70
0℃でのエピタキシャル成長によるエピタキシャル層が
形成された後、ベリリウムイオン注入によってガードリ
ング5″を形成し、しかる後、Znの熱拡散によりp+型領
域5′を設けている。p+n接合はAlInAs中にあるが、ほ
ぼAlInAs/InP界面に近接している。反射防止膜6はプラ
ズマCVD法によりSiNx膜を堆積している。p側およびn
側電極は各々、Ti/Pt/AuおよびAuGe/Niである。前記実
施例においては第2のアバランシェ増倍層52としてAlIn
Asを用いたが、AlGaInAsを用いても同様の効果が得られ
る。
第2図には従来のInPアバランシェ増倍層へp型不純
物であるZnを熱拡散した際のZnプロファイルおよび、本
発明のアバランシェ増倍層の一部に使用しようとするIn
Pに格子整合するAlGaInAsへZnを熱拡散した際のZnプロ
ファイルを示している。ここで、ZnはZn3P2を拡散源と
して拡散されている。図から明らかなように、InP中のZ
nはなだらかに減少しているのに対して、AlGaInAs中のZ
nはある位置で急激に減少していいる。InPに格子整合す
るAlInAs層に対しても同様に急峻なZnプロファイルとな
る。このことは急峻なp+n接合を形成する上で非常に好
都合である。そこでp+n接合位置にInPに格子整合するAl
InAs、もしくはAlGaInAsを用いれば急峻なp+n接合が可
能となり、従ってアバランシェ増倍立ち上がり時間の短
縮されたAPDが形成できる。
前記実施例によって作製した本発明のAPDの真性アバ
ランシェ増倍立ち上がり時間を調べたところ1〜1.5ps
(ピコ秒)であった。従来の同程度の6〜8×1016cm-3
キャリア濃度のInPアバランシェ増倍層の場合、第4図
から2〜2.5psであったのに対し、大きく短縮されてい
る。これにより高速化が図られ、工業的価値は高い。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明ではアバランシェ増倍層
が少なくとも互いに異なる2種類の半導体層により構成
され、かつpn接合がより急峻なpn接合を形成する層に形
成されているので低雑音、高速応答特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のAPDの一実施例を示す断面図、第2図
はZnの熱拡散プロファイル図、第3図は従来のAPDの断
面図、第4図は従来のAPDに対するInPキャリア濃度と真
性アバランシェ増倍立ち上がり時間との関係を示す図で
ある。 1……半導体基板、2……半導体基板1と同種の半導体
バッファ層、3……光吸収層、4……半導体中間層、5,
51……第1のアバランシェ増倍層、52……第2のアバラ
ンシェ増倍層、5′……p+型導電領域、5″……カード
リング、6……反射防止膜、7……p側電極、8……n
側電極。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光吸収層と該光吸収層よりも広い禁制帯幅
    を有するアバランシェ増倍層中に選択的にpn接合が設け
    られた半導体受光素子において、前記アバランシェ増倍
    層が少なくとも互いに異なる2種の半導体層によって構
    成され、かつ前記のpn接合が前記2種の半導体層のうち
    でより急峻なpn接合を形成する層に形成されていること
    を特徴とする半導体受光素子。
  2. 【請求項2】前記2種の半導体層がAlGaInAs層とInP層
    とから構成され、pn接合が前記AlGaInAs層中に形成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の半導体受光素
    子。
  3. 【請求項3】前記2種の半導体層のうちAlGaInAs層がIn
    P層上に積層されていることを特徴とする請求項2に記
    載の半導体受光素子。
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