JP2995380B2 - 新規水溶性テトラゾリウム塩化合物 - Google Patents

新規水溶性テトラゾリウム塩化合物

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JP2995380B2
JP2995380B2 JP6209316A JP20931694A JP2995380B2 JP 2995380 B2 JP2995380 B2 JP 2995380B2 JP 6209316 A JP6209316 A JP 6209316A JP 20931694 A JP20931694 A JP 20931694A JP 2995380 B2 JP2995380 B2 JP 2995380B2
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tetrazolium salt
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宗孝 石山
洋子 宮囿
匡宣 志賀
一美 佐々本
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Dojindo Laboratory and Co Ltd
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Dojindo Laboratory and Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性テトラゾリウム塩
化合物に関し、特に脱水素酵素と反応させて生成したホ
ルマザンの吸光度により脱水素酵素並びに基質を定量分
析する方法に関するものである。
【0002】乳酸脱水素酵素(以下、LDHと略称す
る)、アルコール脱水素酵素、グルタミン酸脱水素酵素
などの各種脱水素酵素は従来テトラゾリウム塩化合物を
用いて定量分析が行なわれていた。
【0003】すなわち、テトラゾリウム塩化合物は、こ
れら各種脱水素酵素の作用により遊離した水素を中間電
子運搬体を介して受容しホルマザンとなる。そのホルマ
ザンの吸光度を測定することにより脱水素酵素を定量す
ることができる。
【0004】特に、これらの脱水素酵素のうちLDHは
全ての体細胞に分布し、特に心筋、肝臓、骨格筋、腎臓
に多く、心筋梗塞、悪性腫瘍、肝疾患、進行性筋萎縮、
血管内溶血、巨赤芽球性貧血などの疾患の場合には、血
清LDH活性が著しく上昇することが知られている。従
って血中のLDH活性を測定することにより、臨床上、
診断に対する極めて有意義な知見を得ることができる。
【0005】また、近年、血中の尿酸や胆汁酸の測定に
おいても、より生体成分の妨害を受けにくい脱水素酵素
を用いる方法が望まれている。
【0006】この目的の水素受容体としては、従来 3,
3'-[3,3'- ジメトキシ-( 1,1'-ビフェニル)- 4,4'-ジ
イル]- ビス[2-( 4-ニトロフェニル)-5-フェニル- 2H
テトラゾリウム塩化物](以下ニトロTBと略称する)
などが一般的に用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このニ
トロTBが水素を受容して生じるホルマザンは水に溶け
ず、実用上不便であった。特に自動分析においては、生
成したホルマザンがチューブやセルなど計測系に付着す
る難点があった。これらの欠点を除去するためには、水
溶性のホルマザンを生成するテトラゾリウム塩を使用す
ることが必要となってきた。
【0008】このような問題を解決するために、水溶性
のテトラゾリウム化合物がいくつか提案されている(特
開昭56-61366号、 特開昭56-61367号各公報)。しかしな
がら、いずれもホルマザンの極大吸収波長が 400〜500
nmにあり、ニトロTBのホルマザンのそれ(550 nm)よ
り短いため、ビリルビンやヘモグロビンなどの生体成分
の干渉を受け、実用化は困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶解性の
良好なホルマザンを生じさせる化合物についてさらに研
究を重ねた結果、上記とは異なる特定の水溶性テトラゾ
リウム化合物が優れた水素受容体で、且つこのものから
生じるホルマザンが水溶性で、長波長の極大吸収をも
ち、自動分析装置への付着や沈殿を起こさず実用化が可
能なことを見出した。
【0010】すなわちこのような化合物は、一般式
(1)、
【化3】 (式中、R1 は水素原子又はメトキシ基、R2 は水素原
子、カルボキシル基又はスルホン酸である)で示される
新規水溶性テトラゾリウム塩化合物である。
【0011】上記一般式(1)から生じるホルマザンは
510〜550 nmに極大吸収を有し、ビリルビンやヘモグロ
ビンなどの生体成分の妨害を受け難く、安定した測定が
可能であり、臨床検査上有意義である。
【0013】本発明の前記一般式(1)の化合物は常法
によって製造することができる。例えば、次の一般式
(2)
【0013】
【化4】 で示されるヒドラジノベンゾチアゾールに一般式(3)
【0014】
【化5】 で示されるアルデヒドをアルコール溶液中で反応させて
一般式(4)
【0015】
【化6】 で示されるヒドラゾンを得、次いで対応するジアゾニウ
ム塩を有機溶媒/水中塩基性条件下で反応させて一般式
(5)
【0016】 で示されるホルマザンを得る。
【0017】ここで塩基性化剤としては水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどが用いられる。
【0018】次いで得られた一般式(5)のホルマザン
を亜硝酸ブチルなどの酸化剤を用いアルコール溶媒中で
酸化し、前記一般式(1)のテトラゾリウム塩化合物を
得ることができる。
【0019】
【実施例】以下の実施例においては一般式(1)のR1
がメトキシ基でR2 がカルボキシル基の化合物(化合物
a)及びR1 が水素でR2 がカルボキシル基の化合物
(化合物b)合成し、還元型ニコチン酸アミドアデニン
ジヌクレオチド(以下NADHと略記する)と反応させ
たときの吸収スペクトルを示すが、本発明はその利用に
つきこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】実施例1 (化合物aの合成)p-ホルミル安息香酸25g を200ml の
塩化チオニル中で 2時間加熱還流した。反応溶液を濃縮
した後石油エーテルで結晶化し、90%の収率で酸クロリ
ドを得た。タウリン10g を200ml の水に溶解し、これに
クロロホルム200ml を加えた。これを 0℃に冷却し、強
撹拌下に酸クロリドのクロロホルム溶液と2N水酸化ナト
リウム水溶液を反応液のpHが 7〜8 を保つように滴下し
た。反応終了後、水相を分取し、2N塩酸を加えてpH2 と
し、濃縮乾固した後イソプロパノールを加えて結晶化
し、アルデヒドを 100%の収率で得た。
【0021】2-ヒドラジノベンゾチアゾール5.9gと上記
で得られたアルデヒド10g をメタノールに混合し、 4時
間加熱還流した。生成した沈殿を濾取し、ヒドラゾンを
66%の収率で得た。
【0022】得られたヒドラゾン5gを水50ml及びN,N-ジ
メチルホルムアミド50mlに溶解し、0℃に冷却した。別
に4-アミノ- 3-メトキシ安息香酸を常法によりジアゾ化
し、このヒドラゾン溶液に加えた。この反応混合溶液を
−5 〜0 ℃に保持しながらNaOH2.1gを水20mlに溶解した
水溶液を滴下し、滴下終了後一夜室温で撹拌した。
【0023】反応混合液に塩酸を加え、生じた沈殿物を
濾取した。得られたこの粗生成物をNaOH水溶液に溶解し
た後塩酸を加えて再沈殿させて精製し、53%の収率でホ
ルマザンを得た。
【0024】得られたホルマザン3.9gをメタノール150m
l に懸濁させ、濃塩酸13ml及び亜硝酸ブチル6.7gを加
え、室温で一夜撹拌した。析出した沈殿を濾取し、得ら
れた粗生成物をメタノール- 水から再結晶し、30%の収
率でテトラゾリウム塩(化合物a)を得た。
【0025】実施例2 (化合物bの合成)実施例1において4-アミノ- 3-メト
キシ安息香の代わりに4-アミノ安息香酸を用いてR1
水素である化合物bを得た。
【0026】得られた化合物の元素分析結果を表1に示
す。
【0027】
【表1】
【0028】実施例3 化合物a0.1mM 及び1-メトキシ- 5-メチルフェナジニウ
ムメトスルフェート(以下1-メトキシPMSと略記す
る)5 μM を含有する50mMリン酸緩衝液(pH8.0)5ml
に、5mM のNADHをそれぞれ 0、20、40、60、80及び
100μl 加え、 5分間室温で反応させた後、吸光度を測
定した。得られた吸収スペクトルを図1に示す。図1に
おいてa〜fはそれぞれ上記NADH添加量の 0〜100
μl に対応する。
【0029】NADH濃度と550nm における吸光度との
関係を図2に示す。NADH濃度と吸光度との間には原
点を通る直線性の検量線が得られた。
【0030】
【発明の効果】本発明の水溶性テトラゾリウム化合物を
用いることにより、得られるホルマザンの水溶性が向上
し、測定機器への沈着がなく、また、最大吸収波長が長
波長であるため生体成分の干渉を受けず、自動分析装置
による測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテトラゾリウム塩化合物とNADHと
の反応による生成ホルマザンの吸収スペクトル。
【図2】NADHの濃度と生成ホルマザンの吸光度との
関係。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 417/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)、 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメトキシ基、R2 は水素原
    子、カルボキシル基又はスルホン酸である)で示される
    新規水溶性テトラゾリウム塩化合物。
  2. 【請求項2】 テトラゾリウム塩化合物として一般式
    (1)、 【化2】 (式中、R1 は水素原子又はメトキシ基、R2 は水素原
    子、カルボキシル基又はスルホン酸である)で示される
    水溶性テトラゾリウム塩化合物を用いることを特徴とす
    る還元型ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドの定
    量方法。
JP6209316A 1994-08-11 1994-08-11 新規水溶性テトラゾリウム塩化合物 Expired - Lifetime JP2995380B2 (ja)

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