JP2889476B2 - スチルベンジボロン酸化合物 - Google Patents

スチルベンジボロン酸化合物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なボロン酸系化合
物に関し、特に、特定の糖と結合して蛍光を発するスチ
ルベンジボロン酸化合物、あるいは、そのようは化合物
を用いる糖の検出(分析)ないしは分別法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】よく知られているように、糖
類は天然のあらゆる所に存在し、情報伝達、エネルギー
代謝、構造体形成などにおいて重要な役割を演じてい
る。しかしながら、糖類を検出(分析)する方法の開発
は、糖類の複雑さの故に遅れている。特に糖類を分解す
ることなく、特定の種類の糖を選択的に検知できるよう
な手段は見当らない。
【0003】現在実用に供されている確立された糖の検
出手段(糖センサー)としては、酵素を用いるグルコー
スセンサーがよく知られている。これは、酵素(グルコ
ースオキシダーゼ)を用いて糖(グルコース)を分解
し、その際生じる過酸化水素を適当な手段で測定するこ
とによりグルコースを分析するものである。この方法の
難点は、用いる酵素は生体由来であるので、経時的に変
質するおそれがあることである。そして、現行の糖セン
サーのように酵素を用いる糖センサーは、特定の糖に対
してのみ適用可能であり、他の糖にも使用できるように
設計変更することはできない。例えば、特定の二糖類を
検出できるよう設計変更できるような系は存しない。ま
た、従来の糖分析はいずれも、生体外に取出したサンプ
ルについて測定を行う。もし、生体内でそのまま(in s
itu)、糖類を検出し糖の挙動を知ることができれば、
疾病の治療や薬剤の開発などに非常に有用な情報を与え
ることになろう。しかしながら、現行の糖検出手段はそ
のような期待をいだかせるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、安定な合成化
合物を用いて糖の検出を可能にしたものである。すなわ
ち、本発明は糖類(特に、二糖類や三糖類)と結合する
と蛍光を発する化合物を提供し、本発明の化合物は、ス
チルベン骨格にジボロン酸が結合した構造から成り、次
の一般式〔化1〕で表される。
【0005】
【化3】
【0006】〔化1〕で示される構造式において、スチ
ルベン骨格を形成しボロン酸が結合している芳香族環
は、ボロン酸と糖との結合を阻害せず、また、蛍光発光
に悪影響を与えない限り、各種の官能基で置換されてい
てもよい。本発明のスチルベンジボロン酸化合物という
語は、そのような置換されたスチルベンジボロン酸類も
包含する。例えば、〔化1〕の化合物の芳香族環は、水
溶性を高めるためにスルホン酸基(SO3H)で置換さ
れていてもよい。なお、本明細書中で説明する構造式に
おいては当該分野で慣用されているように炭素原子
(C)や水素原子(H)を省略して示していることもあ
る。
【0007】一般に、ある物質(分子)が他の物質(分
子)を識別するに際しては、それらの分子間の水素結合
が中心的な役割を果たすことが多い。しかしながら、生
体中の糖は水中に存在するので、この水素結合を糖の識
別(検出)に利用することは困難である。一方、ホウ酸
(ボロン酸)が糖のOH基(水酸基)と共有結合するこ
とは従来よりよく知られている。そこで、この現象に基
づき水中で糖と結合する化合物を用いて、糖を識別する
研究が行われるようになってきた。しかしながら、糖と
ボロン酸の結合をセンサーに利用できるように読み出せ
る簡単で実効のある方法は未だ開発されていなかった。
【0008】上述したような構造を有する本発明の化合
物は、糖類、特に、二糖類および三糖類と結合して強い
蛍光を発生する。したがって、本発明は別の観点とし
て、上述の式〔化1〕の化合物のそのような性質を利用
した二糖類または三糖類の検出法ないしは分別法を提供
する。
【0009】本発明に従う〔化1〕の化合物において
は、2つの芳香族環に結合しているボロン酸の位置を変
えることによって、特定の二糖類または三糖類に選択的
に結合し蛍光を発する化合物が得られる。
【0010】本発明に従う特に好ましいスチルベンジボ
ロン酸化合物は、スチルベン−3,3’−ジボロン酸で
あり、このスチルベン−3,3’−ジボロン酸は、1,
6’位にエーテルリングをもつ二糖類(ジサッカライ
ド)、特に、D(+)メリビオース(melibios
e)に対して選択性が高く、該二糖と結合して強い蛍光
を発する。かくして、スチルベン−3,3’−ジボロン
酸は、各種の単糖類やオリゴ糖を含むサンプルについ
て、蛍光発光を介して例えばD(+)メリビオースを選
択的に検出するのに用いることができる。また、スチル
ベン−3,3’−ジボロン酸を用いてD(+)メリビオ
ースに対する分別剤(例えば、クロマト充填剤)を製造
することも可能である。
【0011】〔化1〕で示されるようなスチルベンジボ
ロン酸化合物が特定の糖と選択的に結合して強い蛍光を
発するのは、2つの芳香族環間のジボロン酸の相対位置
に応じた至適のジオールを有する二糖類(あるいは三糖
類)と該ボロン酸が結合すると、芳香族環間のエチレン
二重結合の回転を抑止してスチルベン構造に起因する蛍
光を誘起するためであり、単糖類や他のオリゴ糖はこの
ような効果を与えないためと解される。〔図1〕は、こ
のような様子を模式的に示したものである。
【0012】本発明において用いるスチルベンジボロン
酸は、一般的には、トランス−ジブロモスチルベン(標
準的なWittig反応によって得られる)を、例えばテトラ
ヒドロフラン中でn−ブチルリチウムを用いてリチウム
化した後、トリメトキシボロンと反応させ、稀塩酸中で
加水分解することによって合成できる。
【0013】以上の説明から明かなように、本発明に従
うスチルベンジボロン酸化合物を用いれば、特定の二糖
類などを蛍光によって検出することができる。しかも本
発明に従えばジボロン酸の位置を変えることにより、各
種の二糖類や三糖類に適用可能な発蛍光性化合物を得る
ことができる。また、本発明に従えば、安定な合成化合
物を用いて糖の検出を行うので、従来の酵素法のように
酵素の不安定性に起因する問題は解消される。また、本
発明の化合物を適当なポリマー等に担持させて、特定の
糖類に対する分別剤として用いることもできる。
【0014】将来の展望として、本発明は、糖類を分解
することなく測定するものであるから、体内の特定部位
(例えば、特定の細胞表面)における糖をその組織を破
壊することなく測定するような技術に展開することも可
能である。その際、糖を光学的に検出する本発明の系を
オプティカルファイバーのような手段と結合させれば
(例えば、該ファイバーの先端に本発明化合物を被覆し
ておく)、体内の糖に関する情報を連続的にモニターし
て臨床学的に有用なデータを取得することもできるであ
ろう。
【0015】以下、本発明の特徴を一層明らかにするた
め実施例に沿って本発明を説明する。
【0016】
【実施例】実施例1:スチルベンジボロン酸化合物の調製 本発明による発蛍光性化合物として次式〔化2〕のスチ
ルベン−3,3'−ジボロンを調製した。
【0017】
【化2】
【0018】3,3'−ジブロモスチルベンの合成:
ず、中間体である3,3'−ジブロモスチルベンを次の
ように合成した。3−ブロモベンジルブロミド(5.0
g、20mmol)、トリフェニルホスフィン(5.7
6g、22mmol)およびDMF(50ml)から成
る混合物を150℃で3時間加熱した。冷却によって結
晶が生成した後、反応混合物を水とジエチルエーテル
(9.0g、88%)で洗浄した。3−ブロモベンジル
トリフェニルホスホニウムブロミド(8.0g、15.
6mmol)と3−ブロモベンズアルデヒド(2.9
g、15.6mmol)とを純粋エタノール(100m
l)に溶かした混合物に、リチウムメトオキシドのエタ
ノール溶液(1.4M、100ml)を加えた。
【0019】このようにして得られた反応混合物を室温
下に30分間攪拌し、次いで還流条件下で2時間加熱し
た。冷却後、溶媒の一部を除去し、粗物質を水層と塩化
メチレン層とに分けた。有機層を分離し、水洗し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0020】溶媒を蒸発除去して得られた粗生成物をク
ロマトグラフィ(シリカ、溶離液はヘキサン)にかける
と標記の化合物の異性体混合物が得られた。ヘキサン中
で再結晶することにより、純粋なトランス体の白色結晶
を得た(4.3g、収率82%)。融点98℃。1 H-NMR (300MHz, CDCl3,ppm): 7.00(s,2H,CH=CH), 7.
23(t,2H,ArH), 7.39(d,4H,ArH), 6.75(s,2H,ArH)。 元素分析:計算値C(49.79)、H(2.98);実測値C(49.7
1)、H(3.07)。 Ms(EI+):338(M+,100)。
【0021】スチルベン−3,3’ジボロン酸の合成:
上記のようにして得られた3,3'−ジブロモスチルベ
ン(3.0g,8.88mmol)を無水テトラヒドロ
フラン(80ml)に溶かし、これに、−78℃におい
て15分間にわたりn−ブチルリチウム(ヘキサン中
1.6M、12.2ml)を滴下して加えた。−78℃
において1時間攪拌した後、−78℃においてトリメト
キシボロン(22ml)のTHF(25ml)溶液に移
した。
【0022】得られた反応混合物を−78℃において1
時間攪拌した後、室温になるまで、放置した。室温下で
さらに1時間攪拌した後、HCl(2N、100ml)
を反応混合物に加え、さらに16時間攪拌した。有機溶
媒を蒸発除去し、得られた沈澱物をろ過し、水とヘキサ
ンで洗浄した。
【0023】このようにして得られた粗生成物をジエチ
ルエーテルとヘキサン中で再結晶させることにより、目
的とするボロン酸の白色結晶を得た(1.62g、収率
70%)。融点273〜275℃。1 H-NMR(300MHz, CD3OD, ppm): 7.18(s,2H,CH=CH), 7.3
2(t,2H,ArH), 7.58(s(b),2H,ArH)。
【0024】実施例2:発蛍光試験 実施例1で得られた化合物スチルベン−3,3'−ジボ
ロン酸の発蛍光実験を行ない、糖類検出への適用性を調
べた。炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム(0.1
M)を含むバッファー水溶液に、スチルベン−3,3'
−ジボロン酸を溶解させて1×10-5M溶液とした。他
方、商業的に入手できる糖(Fluka & Aldrich製)を蒸
留水に溶かして各種の糖の水溶液(1M)を調製した。
スチルベン−3,3'−ジボロン酸の溶液250mlに
適当量の糖溶液を加えて、糖の濃度を調節しながら、蛍
光スペクトルと吸収スペクトルの測定を行った。
【0025】蛍光スペクトルと吸収スペクトルの測定
は、日立製蛍光分光光度計F−4500を用いて行っ
た。その結果を図2に示す。
【0026】その図に示されるように、スチルベン−
3,3'−ジボロン酸は、他の二糖類や単糖類に比べ、
特に、D(+)メリビオースに対して顕著な蛍光を発し、
したがって、そのような二糖類の検出に効果的であるこ
とが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従いスチルベンジボロン酸化合物が二
糖類に結合したときに発蛍光するメカニズムを概示する
ものである。
【図2】各種糖類の存在下における本発明に従うスチル
ベン−3,3'−ジボロン酸の蛍光強度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 5/02 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,6’位にエーテルリングをもつ二糖
    類の検出または分別に用いられることを特徴とする下記
    の式で表されるスチルベンジボロン酸化合物。 【化1】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Journal of Organic Chemistry,1961,Vo1.26,p.1271−1273

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