JP2994304B2 - 超伝導集積回路および超伝導集積回路の製造方法 - Google Patents

超伝導集積回路および超伝導集積回路の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物超伝導体など
の超伝導体により構成したジョセフソン接合素子に関
し、特に超伝導体により構成したジョセフソン接合素子
を用いて構成した超伝導集積回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、超伝導集積回路を構成する素
子としてPbやNb等の金属超伝導体を用いて、超伝導
電子対がトンネルできる程度の薄い絶縁層を挟みこんだ
積層構造のトンネル型ジョセフソン接合が知られてい
る。
【0003】このような従来のトンネル型ジョセフソン
素子は、液体ヘリウム温度に近い極低温動作が必要とさ
れている。また、このようなトンネル型ジョセフソン素
子は電流一電圧特性に固有のヒステリシスを持つため、
論理回路を作製する場合に回路構成が複雑になる等の問
題を有しており、広く実用に供されるまでには至ってい
ない。
【0004】このような状況の下で、最近、液体窒素温
度以上の高温で超伝導特性を示す酸化物材料が発見さ
れ、大きな注目を集めている。このような酸化物超伝導
体は、超伝導ギャップの大きさが従来の金属超伝導体に
比べて1桁程度大きく、また、金属的伝導から絶縁体ま
で広範囲の特性を示す酸化物材料との積層が可能であ
る。このため、電流一電圧特性にヒステリシスを持た
ず、かつ、出力電圧の高いSNS(超伝導一常伝導一超
伝導)型ジョセフソン接合を実現することができる。こ
のようなジョセフソン接合を用いて集積回路を構成する
ことができれば、従来の金属超伝導体を用いた場合に比
べて、少なくとも極低温で動作させる必要がなくなり、
また、大きい出力電圧に起因してはるかに高速な動作性
能が得られるため、広範囲な応用が期待される。
【0005】酸化物超伝導体を用いたジョセフソン接合
の開発は、大きく分けて2つの方向で進められている。
1つは、酸化物超伝導体薄膜内部に発生する結晶粒界が
バリアの機能を果たすことを利用したものであり、もう
1つは、従来の金属超伝導体の場合と同様に、2つの超
伝導電極間に常伝導体もしくは絶縁体の薄膜を人工的に
挿入してジョセフソン接合を形成するものである。前者
はその作製が比較的容易ではあるが、不定形な結晶粒界
を用いるために接合特性の制御性が悪く、集積回路への
応用には困難がある。このため、種々のバリア材料を用
いた後者の接合の開発が活発化している。
【0006】図14は酸化物超伝導体とバリア層を積層
したジョセフソン接合の構造の例を概略的に示す図であ
る。このジョセフソン接合は、基板91上に酸化物超伝
導体薄膜からなる下部超伝導電極92と、層間絶縁層9
3とを積層して形成した後、その一方の端面94が基板
91の表面と所定の傾斜角αを持つようにエッチング
し、この傾斜端面94を覆うように、バリア層95と、
酸化物超伝導薄膜からなる上部超伝導電極96を積層形
成して作製される。
【0007】このような接合構造を以下では傾斜型接合
と呼ぶことにする。傾斜型接合は、接合のひとつの寸法
が酸化物超伝導体薄膜からなる下部超伝導電極92の厚
さと、傾斜端面(エッチング面)94の傾斜角とにより
決まるため、微細化が容易であるとともに、酸化物超伝
導体薄膜からなる上部超伝導電極96を、エッチングに
より露出した基板91の表面上まで連続させて形成する
ことができるために、この酸化物超伝導体薄膜からなる
上部超伝導電極96を、複数の接合間を接続する配線と
してそのまま用いることができる等の利点を有してい
る。傾斜型接合のこれらの特徴は、ジョセフソン接合に
より集積回路を作製する上で大きな利点となるものと期
待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
に示したような傾斜型接合を用いて実際に超伝導集積回
路を製造しようとすると、素子の配置および配線の形成
で大きな制約が生じてしまうという問題がある。これ
は、主として次ぎの理由によるものである。
【0009】傾斜型接合でジョセフソン特性を得るため
には、下部超伝導電極の傾斜端の形状を、基板面と所定
の角度α(約30度以下)をなすように、かつ、その表
面が可能な限り平坦になるように形成しなくてはならな
い。これは、傾斜角αが大きすぎたり、あるいは表面が
曲率をもったりしている場合には、この傾斜面上に形成
したバリア層および上部超伝導電極層に異常成長を生
じ、その結果として上下の超伝導電極間に超伝導電流の
短絡を生じてしまうためである。
【0010】このため傾斜端面を形成時には所定のマス
ク材料を用いて、Arイオンなどを一定の角度で照射す
る方向性エッチングを行う必要がある。この工程におい
てはイオンの照射方向が限定されるため、ジョセフソン
接合を形成することができる端面が、1つの島状の下部
超伝導電極のうち1辺にのみ限定されてしまうことにな
る。したがって島状の下部超伝導電極の残りの辺は基板
面にほぼ垂直、または、大きな曲率を有することにな
る。
【0011】図15はこのような傾斜端面を形成する様
子を模式的に示す図である。ジョセフソン接合の下部超
伝導電極となる酸化物超伝導薄膜92と、層間絶縁層9
3の積層膜を、レジスト21をマスクとして、Arイオ
ンを所定の1方向から入射してエッチングすると、ジョ
セフソン接合を形成する側の端面94は、基板面と所定
の角度を有するフラットな面に形成することができる。
ところが、この端面94と相対する側の端面99は、下
に凸の形状(基板側にへこみを有する形状)に形成され
てしまうことがわかる。したがって、1個の基板上に複
数の傾斜型ジョセフソン接合を形成しようとするとき、
傾斜端面は1つの決まった方向にしか形成することがで
きないという問題がある。このため、異なる下部超伝導
電極領域を有する複数のジョセフソン接合を接続する配
線は部分的に著しく長いものとならざるを得ない。
【0012】図16は従来の超伝導集積素子の構成の1
例を概略的に示す図である。この超伝導集積素子では、
2つの異なる島状の下部超伝導電極領域131に形成さ
れた傾斜型ジョセフソン接合141を、ジョセフソン接
合の上部超伝導電極となる酸化物超伝導薄膜を延長した
配線133で接続している。上述した理由により、傾斜
型接合を形成した端面と相対する端面99にはジョセフ
ソン接合を形成することができないために、ジョセフソ
ン接合間を接続する配線長が増大してしまうことがわか
る。このようなジョセフソン接合の配置や配線パターン
に関する制約は、作製しようとする回路規模が大きくな
ればなるほど著しい問題となる。とりわけ、単一磁束量
子論理回路のように、超伝導配線の有するインダクタン
ス値を小さく抑制する必要がある場合には、回路パター
ンの設計が不可能となる場合さえ生じてしまう。
【0013】一方、2回以上のエッチング工程を採用す
ることにより、1つの島状の下部超伝導電極領域の相対
する2つの端面をその上に傾斜型ジョセフソン接合が形
成できるように、所定の傾斜角を持ち、かつ平坦な形状
に形成する方法も可能ではある。
【0014】図17は従来の超伝導集積回路の製造工程
を説明するための図であり、複数回のエッチング工程に
より、1つの島状の下部超伝導電極領域の相対する2つ
の端面を、ともに所定の傾斜角を有するように形成する
様子を説明するための図である。
【0015】まず第1のエッチング工程によって、島状
の下部超伝導電極と層間絶縁層の一方の端面94bを、
所定の傾斜角を有しかつ平坦になるように形成する。そ
して、島状の下部超伝導電極と層間絶縁層の一部を、こ
の端面94bが含まれるようにレジスト21で覆い、端
面94bを形成したときとは逆向きに、Arイオンを所
定の角度だけ傾けて照射し、第2のエッチング工程を行
う(図17(a))。
【0016】この工程によって、レジスト21で覆われ
ていない下部超伝導電極の傾斜端面99bを含む領域は
エッチングされ、新たに基板面と所定の傾斜角を有する
平坦な端面94aが形成されるになる(図17
(b))。しかし、図17(b)から明らかなように、
このようなエッチング工程を行うと、2つの島状の下部
超伝導電極領域の間の領域には、第1および第2のエッ
チング工程ともレジスト21に被覆されない領域が存在
することとなり、この領域は、2回のエッチング工程に
より基板面が深く掘りこまれてしまう。この結果、凹部
20が基板の傾斜端面94に沿って形成されることな
る。
【0017】この後、図17(c)に示すように、ジョ
セフソン接合のバリア層95と上部超伝導電極層96を
積層し、所定のパタ−ニングを行えば、1つの島状の下
部超伝導電極領域の相対する2つの端面94a、94b
にジョセフソン接合が形成することができる。
【0018】しかしながら、凹部23を挟んだ2つの領
域に形成されたジョセフソン接合を上部超伝導電極層9
6を配線として接続しようとすると、この配線は基板表
面に形成された凹部20を横切らざるを得ない。このよ
うな部分においては、基板91の表面の段差のために断
線を生じ、また断線にいたらない場合においても、上部
超伝導電極層の形成時の異常成長によって、上部配線層
中に粒界100が発生してしまう。 酸化物超伝導体中
の結晶粒界はジョセフソン接合の特性を示すために、図
17(c)に例示したような構造では2つの傾斜型ジョ
セフソン接合を繋ぐ配線上に、結晶粒界による寄生のジ
ョセフソン接合が複数介在することになる。このため、
素子、集積回路の特性を十分に制御することができず、
回路動作に多大な影響を及ぼすこととなる。
【0019】このように、酸化物超伝導体などの超伝導
体を用いて構成した傾斜型ジョセフソン接合を用いた超
伝導集積回路は、原理的には高い性能を発揮できるもの
と期待されるものの、現実の応用が期待される一定以上
の規模を有する集積回路を作製するための技術を開発す
ることが望まれていた。
【0020】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものである。すなわち本発明は、集積度が高い
超伝導集積回路を形成することを目的とする。また本発
明は配線長を短縮し、インダクタンスが小さな超伝導集
積回路を提供することを目的とする。さらに本発明は、
設計の自由度を向上することができる超伝導集積回路を
提供することを目的とする。
【0021】また本発明はこのような超伝導集積回路の
製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者は、酸化物超伝
導体などの超伝導体を用いた傾斜型ジョセフソン接合の
製造プロセスを開発する過程で、Arなどのイオンを照
射して得られる超伝導体および層間絶縁膜のエッチング
形状に関して、以下の事実を見出した。
【0023】(1)酸化物超伝導体としてYBa2 Cu
3 7-δを用い、層間絶縁層としてSrTiO3 を用い
た積層膜上にフォトレジストにより所定のパターンを形
成し、このフォトレジストをマスクとしてArイオンを
積層膜に対して一定の角度をなすように斜めに入射する
エッチングを行った場合、入射方向と対向する側のエッ
チング端面はすでに図15に端面99として例示したよ
うに下に凸を有する曲面形状を示した。これは、エッチ
ングの過程において、端面が直接イオンによってエッチ
ングされる効果とレジストの後退の効果が相乗された結
果である。
【0024】一方、Arイオンの入射方向と反対側の端
面は、図15に端面14として例示したように、イオン
の入射角よりも小さい傾斜角を持つものの、ほぼ平坦な
形状となった。これは、エッチング過程におけるレジス
ト厚の減少が傾斜角に影響を及ぼすためと解釈できる。
また、これら2つの端面と直交する端面は基板面に対し
てほぼ垂直となった。
【0025】図18は本発明による超伝導集積素子の傾
斜端面の形成工程を模式的に示す図である。 (2)このように、レジストをマスクとして下部超伝導
電極層までのエッチングを行うのではなく、(a)レジ
スト21をマスクとしたエッチングは層間絶縁層13の
途中で終え、(b)レジスト21を剥離した後に、基板
面をArイオン入射方向に対して約30度〜約45度程
度傾けた状態で、基板を面内回転させながらエッチング
を行うと、(c)層間絶縁膜13に形成されていた傾斜
端の形状がほぼそのまま延伸・転写された形で下部電極
層12がエッチングされる。これは、下部超伝導電極層
であるYBa2 Cu3 7-δと層間絶縁層であるSrT
iO3 がともに酸化物であり、かつほぼ等しいエッチン
グレートを持つために、基板の回転によって全ての表面
がほぼ等速でエッチングされるためと解釈することがで
きる。
【0026】本発明者はさらに、エッチングによって形
成されたさまざまな形状の端面に、PrBa2 Cu3
7 からなる厚さ10nmのバリア層とYBa2 Cu3
7-δからなる上部超伝導電極とを積層し、上下超伝導電
極間の電気特性を評価した。その結果、所定の傾斜角を
持ちかつ平坦な形状を示す傾斜端面に形成した接合は、
ほぼ理想的なジョセフソン応答特性を示すのに対して、
下に凸の曲面形状を有する傾斜端面に形成した場合に
は、バリア層が介在しているにも関らず、大きな超伝導
電流が流れ、その臨界電流の磁界応答特性からジョセフ
ソン結合よりも強い超伝導結合が形成されていることが
明らかになった。これは、傾斜端面が平坦でないため
に、バリア層および上部電極層の形成の際に異常成長が
生じ、上下のYBa2 Cu3 7-δ電極が部分的に短絡
したためと考えられる。
【0027】また、ほぼ垂直に近い傾斜角度を有する傾
斜端面に形成されたジョセフソン接合では、一部のもの
には短絡と思われる超伝導電流が流れたが、他のもので
は上部電極の段切れが生じて高抵抗の特性しか得られな
かった。
【0028】以上の実験事実より、本発明者は、下部超
伝導電極層と層間絶縁層の積層膜に対し、フォトレジス
トをマスクとしたイオンの斜め入射エッチングを2回施
し、層間絶縁層のみに、その2つの相対する傾斜端面が
所定の傾斜角を有しかつフラットな島状領域を形成し、
次いで、基板を回転させながらの等方エッチングを行う
ことにより、傾斜型のジョセフソン接合に適した傾斜端
面を複数の辺にわたって備えた下部超伝導電極領域が形
成できること、同時に、このエッチング工程において、
ジョセフソン接合を形成することができる2つの下部電
極領域の間に、相対する2辺がともに下に凸の曲面形状
の傾斜端面を有する下部電極領域を形成することがで
き、ここにジョセフソン接合の上部電極層を積層すれば
超伝導配線として利用できることを結論した。
【0029】本発明はこのような知見に基づいて成され
たものである。すなわち、本発明の超伝導集積回路は、
少なくとも表面が絶縁性を呈し、第1の領域と、第2の
領域と、前記第1の領域および前記第2の領域に挟まれ
た第3の領域とを有する基板と、前記基板の前記第1の
領域および前記第2の領域に、相対する端面が前記基板
面に対して傾斜した平面形状を有するように形成され
た、超伝導体からなる第1の超伝導電極と、前記基板の
前記第3の領域に、第1の領域側および第2の領域側の
端面が傾斜した凹面形状を有するように形成された、超
伝導体からなる第2の超伝導電極と、前記基板上に前記
第1の超伝導電極および前記第2の超伝導電極の前記平
面形状を有する端面を覆うように形成されたバリア層
と、前記バリア層上に、前記第1の領域の前記第3の領
域側の端面から前記第3の領域の前記第1の領域側の端
面までを連続して覆うように、かつ、前記第2の領域の
前記第3の領域側の端面から前記第3の領域の前記第2
の領域側の端面までを連続して覆うように形成された、
超伝導体からなる第3の超伝導電極とを具備したことを
特徴とする。ここで凹面形状とは、基板側にへこみのあ
る曲面形状のことであり、傾斜した凹面形状とはこの凹
面形状全体が基板に対して傾斜して形成されていること
を意味する。
【0030】また、本発明の超伝導集積回路は少なくと
も表面が絶縁性を呈し、第1の領域と、第2の領域と、
前記第1の領域および前記第2の領域に挟まれた第3の
領域とを有する基板と、前記基板の前記第1の領域およ
び前記第2の領域に、相対する端面が前記基板面に対し
て第1の傾斜角を有するように形成された、超伝導体か
らなる第1の超伝導電極と、前記基板の前記第3の領域
に、前記第1の領域側および前記第2の領域側の端面の
少なくとも一部が前記第1の傾斜角度よりも大きな第2
の傾斜角度を有するように形成された、超伝導体からな
る第2の超伝導電極と、前記基板上に前記第1の超伝導
電極および前記第2の超伝導電極の前記端面を覆うよう
に形成されたバリア層と、前記バリア層上に、前記第1
の領域の前記第3の領域側の端面から前記第3の領域の
前記第1の領域側の端面までを連続して覆うように、か
つ、前記第2の領域の前記第3の領域側の端面から前記
第3の領域の前記第2の領域側の端面までを連続して覆
うように形成された、超伝導体からなる第3の超伝導電
極とを具備したことを特徴とする。このとき前記第2の
超伝導電極の第1の領域側の端面および第2の領域側の
端面は凹面形状に形成するようにしてもよい。
【0031】また、前記第1の超伝導電極の端面の前記
基板に対する傾斜角は、約20°よりも小さく形成する
ことが良好なジョセフソン接合を形成するためには好適
である。
【0032】さらに、前記第3の領域に形成された第2
の超伝導電極と第3の超伝導電極とは、前記傾斜した端
面の少なくとも一部において超伝導電流が流れるように
接続するようにすれば、第1の領域に形成されたジョセ
フソン接合と第2の領域に形成されたジョセフソン接合
とを、第3の領域に形成された第1の超伝導電極または
第3の超伝導電極により超伝導電流が流れるように接続
することができる。
【0033】第1の超伝導電極、第2の超伝導電極およ
び第3の超伝導電極は、REBa2Cu3 7-δ( ただ
し、REはPrを除く希土類元素から選ばれる少なくと
も1種の元素を、δは0〜0.5の実数を表わす)で実
質的に表わされる組成を有する酸化物超伝導体から形成
するようにしてもよい。本発明の超伝導集積回路では、
第3の領域を挟み込むように形成された第1の領域およ
び第2の領域との形成された超伝導電極の相対する2つ
の傾斜端面で、第1の超伝導電極と第3の超伝導電極と
がバリア層を介してジョセフソン接合している。一方、
第3の領域に形成された第2の超伝導電極の相対する傾
斜端面は、第1の超伝導電極の傾斜端面よりも少なくと
も一部が大きな傾斜角度を有するように形成されてお
り、この部分を通じて第2の超伝導電極と第3の超伝導
電極との間に超伝導電流が安定して流れるように接続し
ている。
【0034】本発明の超伝導集積回路の製造方法は、少
なくとも表面が絶縁性を呈し、第1の領域と、第2の領
域と、前記第1の領域および前記第2の領域に挟まれた
第3の領域とを有する基板上に、酸化物超伝導体からな
る第1の超伝導層と、酸化物絶縁体からなる絶縁性層と
を積層する工程と、前記絶縁性層の前記第1の領域の前
記第3の領域側と、前記第2の領域の前記第3の領域と
反対側に前記基板と所定の傾斜角を有するような平坦な
端面が形成されるように、かつ、前記第1の領域の前記
第3の領域と反対側および前記第3の領域の前記第1の
領域側に凹面形状を有する端面が形成されるように前記
絶縁成層上にレジストを形成し、前記基板に対して所定
の角度をなす一定方向からイオンまたは中性原子を照射
する第1のエッチング工程と、前記絶縁性層の前記第1
の領域の前記第2の領域側と、前記第2の領域の前記第
3の領域と反対側と、前記第3の領域の前記第1の領域
側とに形成された端面が覆われるように前記絶縁成層上
にレジストを形成し、前記絶縁性層の前記第1の領域の
前記第3の領域の反対側と、前記第2の領域の前記第3
の領域側とに前記基板と所定の傾斜角を有するような平
坦な端面が形成されるように、かつ、前記3の領域の前
記第2の領域側に前記凹面形状を有する端面が形成され
るように、前記第1のエッチング工程とは逆方向から前
記基板に対して前記所定の角度をなすように前記イオン
または前記中性原子を照射する第2のエッチング工程
と、前記基板を前記基板表面が含まれるような平面内で
回転させながら前記絶縁性層および前記第1の超伝導層
とに前記イオンまたは前記中性原子を照射する工程とを
有することを特徴とする。
【0035】すなわち、本発明の超伝導集積回路の製造
方法は、前述した本発明の超伝導集積回路を製造するた
めに、基板上もしくは、基板上に形成された単層または
複層の酸化物薄膜上に、傾斜型ジョセフソン接合の下部
電極層となるREBa2 Cu3 7-δ( 但し、REはP
rを除く希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素
を、δは0〜0.5の数を示す)で実質的に表わされる
組成を有する第1の酸化物超伝導体薄膜と、層間絶縁層
となる酸化物絶縁体からなる薄膜を積層し、前記第1の
酸化物超伝導体薄膜と酸化物絶縁体薄膜の積層膜上に、
選択的に形成された、エッチングマスクを用い、前記基
板面と所定の角度をなす1つの方向から、イオンまたは
中性原子を照射して、前記酸化物絶縁体薄膜を部分的に
除去して、複数の島状の領域を形成する第1のエッチン
グ工程を行い、次いで、前記島状領域の、少なくとも1
部の領域に対しては、その相対する2つの端面を、少な
くとも部分的に覆うようにエッチングマスクを形成し、
前記第1のエッチングにおけるイオンまたは中性原子の
入射方向とは逆向きに、前記基板面と所定の角度をなす
1つの方向から、イオンまたは中性原子を照射して、前
記酸化物絶縁体薄膜を部分的に除去し、前記第1のエッ
チングによって形成された島状領域の、少なくとも1部
を複数の島状領域に分離する、第2のエッチング工程を
行い、さらに、前記第2のエッチングに用いたマスクを
除去した後に、イオン、または中性原子を、前記基板を
回転させながら照射し、前記第1の酸化物超伝導体薄膜
を部分的に除去する、第3のエッチング工程を行い、こ
の後、バリア層となる酸化物絶縁体材料薄膜と、REB
2 Cu3 7-δで実質的に表わされる組成を有する第
2の酸化物超伝導体薄膜とを積層して、前記第1の酸化
物超伝導体薄膜と、第2の酸化物超伝導体薄膜を電極と
するジョセフソン接合構造を形成し、最後に、前記、第
2の酸化物超伝導体薄膜とバリア層とを部分的に除去す
る第4のエッチング工程を施すことによって超伝導配線
パターンを形成するものである。
【0036】このように本発明の超伝導集積回路および
超伝導集積回路の製造方法によれば、傾斜型のジョセフ
ソン接合を、1つの島状領域の下部超伝導電極領域の相
対する2つの辺に沿って形成することが可能である。ま
た、異なる2つの領域(第1の領域と第2の領域)に形
成された下部超伝導電極の傾斜端面に形成されているジ
ョセフソン接合を、これらの領域に間の領域(第3の領
域)に形成された島状の配線接続領域を介して接続する
ことができる。したがって、第1及び第2の領域と、第
3の領域とはフォトリソグラフィー工程が許す範囲で近
接させて形成することができ、第1の領域と第2の領域
とに形成されたジョセフソン接合の間を接続する接続配
線の距離を従来と比較して極めて短いものとすることが
できる。したがって、配線のインダクタンスが大幅に低
減する。したがって本発明を適用することにより、超伝
導集積回路の集積度は大きく向上するとともに大規模な
超伝導集積回路を形成することができる。また、例えば
ジョセフソン接合を用いた単一磁束量子の転送特性を利
用する論理回路などでは、超伝導配線のインダクタンス
を小さい値に制御することが極めて重要であり、本発明
を適用することにより超伝導集積回路をこのような論理
回路へ応用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に本発明の超伝導集積回路お
よびその製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0038】(実施形態1) 図1は本発明の超伝導集積回路の構成の1例を概略的に
示す図である。この超伝導集積回路は、少なくとも表面
が絶縁性を呈し、第1の領域11aと、第2の領域11
bと、第1の領域11aおよび第2の領域11bとに挟
まれた第3の領域11cとを有する基板11と、基板1
1の第1の領域11aおよび第2の領域11bに、両端
12a、12bが基板面に対して第1の傾斜角を有す
るように形成された、超伝導体からなる第1の超伝導電
極12と、基板11の第3の領域11cに、第1の領域
側の端面13aおよび第2の領域側の端面13bの少な
くとも一部が第1の傾斜角度よりも大きな第2の傾斜角
度を有するように形成された、酸化物超伝導体からなる
第2の超伝導電極13と、基板11上に第1の超伝導電
極12および第2の超伝導電極13を覆うように形成さ
れたバリア層14と、バリア層14上に、第1の領域1
1aに形成された第1の超伝導電極12の第3の領域側
の端面12bから第3の領域11cに形成された第2の
超伝導電極13の第1の領域側の端面13aまでを連続
して覆うように、かつ、第2の領域11bに形成された
第1の超伝導電極12の第3の領域側の端面12aから
第3の領域11cに形成された第2の超伝導電極13の
第2の領域側の端面13bまでを連続して覆うように形
成された、超伝導体からなる第3の超伝導電極15とを
具備したものである。第1の超伝導電極12、第2の超
伝導電極13上には酸化物絶縁体からなる層間絶縁層1
6が形成されている。
【0039】すなわち、図1に例示した超伝導集積回路
は、基板11の下部超伝導電極である第1の超伝導電極
12を形成する第1の領域11aおよび第2の領域11
bに、例えば酸化物超伝導体などからなる第1の超伝導
電極12と、例えば酸化物絶縁体からなる層間絶縁層1
6の積層構造が複数の島状領域に形成されている。ここ
では超伝導体として、REBa2 Cu3 7-δ(ただ
し、REはPrを除く希土類元素から選ばれる少なくと
も1種の元素を、δは0〜0.5の実数を表わす)で実
質的に表わされる組成を有する酸化物超伝導体を用いて
いる。下部電極である第1の超伝導電極を構成する酸化
物超伝導体中の元素REは、Prを除く広義の希土類元
素(Y、Scを含む)から選ばれる少なくとも1種の元
素であればよく、代表例としてはY、Nd、Gd等を挙
げることができる。なお、ここで希土類元素のうちPr
を除く理由は、REがPrである組成は超伝導特性を示
さないからである。
【0040】1つの島状領域を構成する第1の超伝導電
極12は、基板面11に対して一定の傾斜角α°を有す
るとともに実質的に平坦な形状を有する2つの相対する
端面12a、12bを有している。これらの端面上に
は、ジョセフソン接合を構成する厚さ約10nmのバリ
ア層14と、例えば酸化物超伝導体などからなる実質的
に表わされる組成を有する第3の超伝導電極15が積層
されている。ここではバリア層14としては、実質的に
PrBa2 Cu3 7 の組成を有する酸化物絶縁層を用
い、第3の超伝導電極15としてはREBa2 Cu3
7-δで実質的に表わされる組成を有する酸化物超伝導体
を用いている。
【0041】また、2つの隣接する超伝導素子形成領域
である第1の領域11a、第2の領域11bの間の第3
の領域11cには、第1の超伝導電極12と同様に、実
質的にREBa2 Cu3 7-δで表わされる組成を有す
る第2の超伝導電極13と、層間絶縁層16の積層構造
が島状に形成されている。第3の領域11cは、第1の
領域11aおよび第2の領域11bに形成されるジョセ
フソン接合を接続する配線として機能する。すなわち、
第2の超伝導電極13の2つの相対する端面13a、1
3bは、所定の曲率で下に凸の曲面形状(基板11側に
凹を有する曲面形状)を有し、その最大傾斜角は第1の
超伝導電極の端面12a、12bが基板面となす傾斜角
α°よりも大きくなるように形成されている。また、第
2の超伝導電極13の第1の領域11a側の端面13a
および第2の領域11b側の端面13bには、第1の領
域11a、第2の領域11bから延伸して形成されたバ
リア層14および上部超伝導電極である第3の超伝導電
極15が積層されている。
【0042】そして、第3の領域11cに形成された上
部電極である第3の超伝導電極15と下部電極である第
2の超伝導電極13とは、その間に超伝導電流が流れる
ように接続されている。つまり、第3の領域11cに形
成した下部電極である第2の超伝導電極の端面13a、
13bが基板側に凹んだ曲面形状を有するように形成さ
れており、このためバリア層14がこの端面を完全に被
覆することができずに、第2の超伝導電極と第3の超伝
導電極15との間に超伝導電流が流れるのである。
【0043】この結果、2つの独立した第1の領域11
a、第2の領域11bに形成したジョセフソン接合を、
第3の領域11cに形成した超伝導電極を介して超伝導
配線により接続することができる。
【0044】図2、図3は、第3の領域11cに形成し
た第2の超伝導電極13の曲面形状を有する傾斜端面を
模式的に示す図である。このように第2の超伝導電極1
3の端面13a、13bは、全体としては曲面形状に形
成されているが、この曲面形状はミクロスコピックには
階段状に形成されている。端面13bが曲面形状を有し
ている場合、端面の傾斜の大きな部分はバリア層による
ステップカバレージが悪く、またバリア層の異常成長が
生じやすい。このためバリア層に覆われない部分が形成
され、この部分では第2の超伝導電極と第3の超伝導電
極とが直接に接続して超伝導電流の導通を可能にするの
である。
【0045】なお、図1に例示した本発明の超伝導集積
回路の基板11の端部に窪み20が存在するのは、後述
するように、この超伝導集積回路の製造方法に起因して
超伝導集積回路を形成する基板の周辺部の一部が2回の
エッチングを受けるためである。このような窪み20は
基板11の周囲にのみ形成され、回路形成部には形成さ
れないため、本発明の超伝導集積回路の設計、製造に影
響を及ぼすことはない。 このように本発明の超伝導集
積回路は、対向する端面にともにジョセフソン接合が形
成された複数の超伝導素子を、これらの超伝導素子に形
成した超伝導電極から構成される接続領域により、短い
配線で接続することができる。したがって超伝導集積回
路の集積度を向上することができる。また、配線長を短
縮することにより、インダクタンスも大きく低減するこ
とができる。したがって単一磁束量子の転送特性を利用
した論理回路などを構成することができる。さらに、超
伝導集積回路の設計の自由度を大きく向上することもで
きる。
【0046】(実施形態2)実施形態1に例示した本発
明の超伝導集積回路においては、第3の領域内で第3の
超伝導電極が分離されているが、この分離は行わなくて
もよい。
【0047】図4は本発明の超伝導集積回路の構成の別
の1例を概略的に示す図である。
【0048】図4に例示した本発明の超伝導集積回路に
おいては、第3の超伝導電極15は、第3の領域11c
の第2の超伝導電極13上で分離されていない。したが
ってこの第3の超伝導電極15は第1の領域11aに形
成された超伝導素子の第3の領域11c側の傾斜端面1
2bに形成されたジョセフソン接合と、第2の領域11
bに形成された超伝導素子の第3の領域11c側の傾斜
端面12aに形成されたジョセフソン接合との間を接続
することになる。
【0049】この場合、第1の領域に形成された超伝導
素子と第2の領域に形成された超伝導素子との間の超伝
導電流の流れるパスは、第2の超伝導電極と第3の超伝
導電極とを通る場合と、第3の超伝導電極だけを通る場
合とができることになる。
【0050】このような構成によっても、実施形態1に
例示した構成を有する本発明の超伝導集積回路と同様の
効果を得ることができる。
【0051】(実施形態3)つぎに、図1に例示したよ
うな構成を有する本発明の超伝導集積回路の製造方法の
例について説明する。図5、図6は本発明の超伝導集積
回路の製造方法を説明するための図である。
【0052】まず、少なくとも表面が絶縁性を呈する基
板11上に、第1の超伝導電極12、第2の超伝導電極
13となる、REBa2 Cu3 7-δで実質的に表わさ
れる組成を有する酸化物超伝導薄膜と、層間絶縁層13
とを積層成膜し、第1の超伝導電極12、第2の超伝導
電極13を形成する領域にエッチングマスクとなるフォ
トレジスト21aを選択的に形成する(図5(a))。
フォトレジストとしては、ここではポジ型フォトレジス
トAZ1450(シフレー社製)を用いている。
【0053】この際、第1の超伝導電極12、第2の超
伝導電極13の下層に、超伝導グランドプレーンを形成
する必要がある場合には、上述の酸化物超伝導薄膜と層
間絶縁膜との積層膜を形成するのに先立って、基板11
上にグランドプレーンとなる超伝導薄膜およびグランド
プレーン上の層間絶縁膜を積層しておき、さらにその上
に、第1の超伝導電極12、第2の超伝導電極13とな
る酸化物超伝導薄膜と層間絶縁膜16とを積層するよう
にすればよい。
【0054】つぎに、Arイオンを基板表面に対して所
定の角度だけ傾けて照射し、層間絶縁層13を部分的に
エッチングする。この第1のエッチング工程により、A
rイオンの入射方向側のエッチング端面13aは下に凸
の曲面形状を有し、基板面に対する傾斜角が比較的大き
い部分を有するような形状に加工され、一方、イオン入
射方向と反対方向の側のエッチング端面12bは、基板
面に対してほぼ一定の傾斜角α°を持つ平坦な形状に加
工される。ここで、傾斜角α°は、約30度以下になる
ように、より好ましくは20度以下に形成されるよう
に、Arなどの照射イオンの入射角を制御することが重
要である。
【0055】第1のエッチング工程の終了後、レジスト
21aを剥離し、再度レジスト21bを塗布して、第1
のエッチング工程で形成された島状の領域の1部を覆う
ようなレジストパターンを形成する(図5(b))。
【0056】この後、Arイオンを、第1のエッチング
工程の照射角度とは逆向きに所定の角度だけ傾けて照射
し、層間絶縁層13に対する第2のエッチングを行う。
このエッチングにより、一定の傾斜角α°を持った新た
なエッチング端面12aと、下に凸の曲面形状を有する
新たな端面13bが層間絶縁層13に形成される。この
とき、第1および第2のエッチング工程において、とも
にレジストマスクが存在しなかった基板11の周辺領域
には、窪み20のように深くエッチングされる領域が部
分的に形成されるが、この部分には超伝導集積回路は作
製されないため問題となることはない。
【0057】つぎに、レジスト21bを剥離し、基板1
1を回転させながら、Arイオンをさらに照射し、基板
全面に対して第3のエッチング工程を施す。この際のイ
オンの照射方向は、基板面に対する法線方向から45°
乃至60°程度傾けることが、均一なエッチングを行う
ためには好適である。このエッチング工程を基板11の
表面が露出するまで行うことにより、超伝導体と層間絶
縁膜が積層された島状の領域が形成される(図6
(d))。
【0058】このとき第1の領域11aおよび第2の領
域11bには対向する端面12a、12bが、基板面に
対して所定の傾斜角度α°を有する第1の超伝導電極1
2と層間絶縁膜16が積層される。一方、第1の領域1
1aと第2の領域11bとに挟まれた第3の領域11c
には対向する端面13a、13bが下に凸の曲面形状を
有するように形成された第2の超伝導電極13と層間絶
縁膜16とが積層される。
【0059】第1の領域11aおよび第2の領域11b
に形成された、第1の超伝導電極12と層間絶縁膜16
からなる島状領域はその傾斜端面12a、12bにジョ
セフソン接合が形成される下部超伝導電極12となり、
第3の領域11cに形成された第2の超伝導電極13と
層間絶縁膜16からなる島状領域は、第1の領域11a
および第2の領域11bに形成されたジョセフソン接合
の間を超伝導配線で接続する接続配線として機能するも
のである。
【0060】ついで、基板11の全面に、ジョセフソン
接合のバリア層14となる酸化物絶縁体薄膜と、ジョセ
フソン接合の上部超伝導電極である第3の超伝導電極1
5となるREBa2 Cu3 7-δで実質的に表わされる
組成を有する酸化物超伝導体層を積層する(図6
(e))。
【0061】そして、層間絶縁層16上のバリア層14
と第3の超伝導電極15とを部分的に除去し、ジョセフ
ソン接合の素子分離を行う(図6(f))と同時に、所
定の配線パターンに形成する。
【0062】なお、図6(f)では、第3の領域11c
においても素子分離を行っているが、第3の領域内では
素子分離を行わなくてもよく、その場合には例えば図4
に例示したような構造の超伝導集積回路が形成されるこ
とになる。
【0063】例えば、第3の超伝導電極を配線として、
第1の領域と第2の領域に形成されたジョセフソン接合
を接続する必要がある部分には、第3の超伝導電極15
をジョセフソン接合部から配線接続領域である第3の領
域まで延伸し、少なくとも第2の超伝導電極13の端面
を覆うようにすればよい。第2の超伝導電極の端面13
a、13bにおいては、前述したようにその曲面形状に
起因して、第2の超伝導電極13と第3の超伝導電極と
の間に電気的な短絡が生じており、ジョセフソン接合部
に比べて十分大きい超伝導電流を安定して流すことがで
きる。
【0064】以上の工程により本発明の超伝導集積回路
を製造することができる。
【0065】(実施形態4)つぎに、本発明の超伝導集
積回路の製造方法の別の例について説明する。
【0066】図7、図8、図9は本発明の超伝導集積回
路の製造方法を説明するための図であり、本発明の超伝
導集積回路を平面図として模式的に示したものである。
図7(a)において、斜線を施した領域は、前述した本
発明の超伝導集積回路の製造方法において、第1のエッ
チングを行う際のマスクとなるレジストパターン21a
に対応している(図6(a)参照)。
【0067】図7(b)は、このレジストパターン21
aをマスクとして、Arなどのイオンを紙面と所定の角
度をなす1方向より入射するエッチングを行うことによ
って、層間絶縁層16に形成されたパターンを示してい
る。図7(b)において、12bは、Arイオンの斜め
入射によって形成された、基板面と所定の角度をなす平
坦な端面が形成された領域であり、13aは下に凸の曲
面形状を有する端面が形成された部分を示している。
【0068】図8(c)は、第2のエッチングを行うた
めのレジストパターン21bが形成された状態を概略的
に示している。図中上方に位置している島状領域に対し
ては、平坦に形成された端面12bと、下に凸の曲面形
状を有するように形成された端面13aがレジストに覆
われているため、第2のエッチングは施されることはな
い。
【0069】一方、下方に位置する島状領域では、下に
凸の曲面形状を有するように形成された端面13a上は
レジスト21bに被覆されておらず、この部分は第2の
エッチングが施されることになる。
【0070】図8(d)は、第2のエッチングを行った
後の基板表面に形成されたパターンを概略的に示したも
のである。第1のエッチングによって図中上側に形成さ
れていた島状領域は、第2のエッチングによって2つの
部分に分割され、そのうち上側に位置する領域(第1の
領域)は、相対する2つの端面12a、12bがともに
平坦な形状を持ったものとなる。
【0071】一方、この島状領域に隣接して形成される
第3の領域11cは、相対する2つの端面13a、13
bがともに下に凸の曲面形状を有するように形成され
る。
【0072】第1のエッチングによって図中下側に形成
されていた島状領域(第2の領域)は、相対する2つの
端面部12a、12bともに、その表面が平坦な形状を
している。
【0073】図8(d)中において、図中上側と下側に
形成された島状の領域が本発明における下部超伝導電極
領域が形成される第1の領域11aと第2の領域11b
であり、これら2つの領域の中間に形成された島状領域
が配線接続領域が形成される第3の領域11cである。
また、この図において、基板11周辺部分には、第1の
エッチング、第2のエッチングがともに施される領域が
あり、これらの領域では、他の部分よりも深いエッチン
グが行われた結果、窪み20が形成されている。
【0074】この後、図8(d)の状態のウェハーを面
内回転させながらArイオンを照射して第3のエッチン
グを行い、島状領域を除いて基板表面を露出させた後、
ジョセフソン接合のバリア層14となる酸化物絶縁体層
と、上部超伝導電極層である第3の超伝導電極15とな
るREBa2 Cu3 7-δで実質的に表わされる組成を
有する酸化物超伝導体層を積層する。さらに、形成した
酸化物超伝導体をパターニングして第3の超伝導電極1
5に加工する(図9(e))。
【0075】第3の超伝導電極15の1部は、第3の領
域11cの端面13a、13b端部を覆うように形成さ
れており、この部分が第1の領域11aおよび第2の領
域11bに形成された傾斜型ジョセフソン接合を接続す
る超伝導配線として用いられるのである。
【0076】さらに、レジストをマスクとしたフォトエ
ッチングプロセスにより、第1の領域11a、第2の領
域11b、第3の領域11cに形成された島状領域を複
数に分離した状態を示したものである。この例に示した
超伝導集積回路においては、この第4のエッチング工程
により最終回路パターンが完成することとなる。
【0077】以上の実施形態においては、基板面上に直
接ジョセフソン接合の下部電極となる酸化物超伝導体層
が形成されていたが、超伝導配線インダクタンスを低減
するための超伝導グランドプレーンと、その上の層間絶
縁用の酸化物絶縁体膜をあらかじめ基板上に形成してお
き、その上にジョセフソン接合の下部電極となる酸化物
超伝導体層を形成するようにしてもよい。この場合に
も、本発明の超伝導集積回路およびその製造方法が適用
できることは言うまでもない。
【0078】(実施形態5)次ぎに、本発明のさらに具
体的な実施形態について説明する。
【0079】図10(a)は、本発明の超伝導集積回路
の回路パターンの構成の例を模式的に示す平面図であ
る。この図では簡単のため、第1の超伝導電極12、第
2の超伝導電極13、第3の超伝導電極15のパターン
のみを示し、バリア層14、層間絶縁膜16は図示を省
略している。
【0080】第1の超伝導電極12、第2の超伝導電極
13、第3の超伝導電極15は、YBa2 Cu3 6.9
で実質的な組成が表わされる、厚さ約200nmの酸化
物超伝導薄膜からなり、層間絶縁層16はSrTiO3
で実質的な組成が表わされる、厚さ約200nmの絶縁
性薄膜からなる。
【0081】これらの超伝導集積回路は前述したような
本発明の超伝導集積回路の製造方法で示したプロセスに
より作製されたものである。具体的には、まず、厚さ2
00nmのYBa2 Cu3 6.9 で組成が表わされる酸
化物超伝導薄膜と厚さ500nmのSrTiO3 でその
実質的な組成が表わされる絶縁体膜を基板11上全面
に、多元スパッタ法により連続成膜し、レジスト21を
マスクとした、Arイオンによる方向性エッチングを2
回行って、SrTiO3 膜を所定のパターンを有するよ
うに加工した。次いで、レジスト21を除去した後に、
基板11を回転させながら、Arイオンを、基板面に対
して40度の角度から照射し、SrTiO3 層に形成さ
れていた端面の形状を損なうことなく、YBa2 Cu3
6.9 層のエッチングを行った。このエッチング工程に
より、第1の領域11a、第2の領域11b、第3の領
域11cの領域に残存する層間絶縁層の厚さは200n
mとなった。
【0082】第1の超伝導電極12、第2の超伝導電極
領域13の端面には、厚さ約10nmのPrBa2 Cu
3 6.9 で組成が表わされるバリア層14と厚さ約30
0nmの、YBa2 Cu3 6.9 で実質的な組成が表わ
される第3の超伝導電極15の積層構造が積層して形成
されており、この傾斜端面に図中J1からJ6で表わさ
れるジョセフソン接合が形成されている。
【0083】ジョセフソン接合J1、J2、J3、J4
が形成された領域第1の領域11aの上部超伝導電極で
ある第3の超伝導電極15は、C1、C2の部分で第2
の超伝導電極13の端面13aに重畳されており、これ
らの部分で、第1の領域11aに形成されたジョセフソ
ン接合と第2の領域11bに形成されたジョセフソン接
合との間を超伝導電流が流れられるように電気的な接続
を形成している。
【0084】また、ジョセフソン接合J5とJ6とが形
成された領域第2の領域11bの上部超伝導電極である
第3の超伝導電極15は、C3、C4の部分で第2の超
伝導電極13の端面13bに重畳されており、これらの
部分で、第1の領域11aに形成されたジョセフソン接
合と第2の領域11bに形成されたジョセフソン接合と
の間を超伝導電流が流れられるように電気的な接続を形
成している。
【0085】このように複数のジョセフソン接合間を接
続する配線層としても機能する第3の超伝導電極15
は、ウエハ全面に、厚さ約10nmのPrBa2 Cu3
6.9で実質的な組成が表わされるバリア層14と厚さ
約300nmの、YBa2 Cu3 6.9 で組成が表わさ
れる第3の超伝導電極15の積層構造を、多元スパッタ
法で作製した後、レジストをマスクとしたイオンエッチ
ングによって、所定パターンに加工した。
【0086】図10(b)は、図10(a)に例示した
本発明を適用した超伝導集積回路のを回路図として示し
たものである。この図では、ジョセフソン接合をX印と
して示している。
【0087】図10(a)、図10(b)に例示した回
路は、SET端子51間に第1の入力信号を与えると、
OUT端子52間に出力電圧を発生し、この状態で、R
ESET端子53間に第2の入力信号を与えると、OU
T端子52の出力が0(ゼロ)に復帰するという、フリ
ップフロップ回路である。
【0088】図11は、図10(a)に例示した超伝導
集積回路を作製するのと同時に、同一ウェハー上の別の
領域に形成した、上部電極である第3の超伝導電極の幅
を4μmにした単一のジョセフソン接合の特性を示す図
である。
【0089】第1の超伝導電極12の相対する2つの端
面12a、12b上に形成した傾斜型ジョセフソン接合
は、ジョセフソン臨界電流値Ic 、常伝導抵抗値Rn の
いずれにおいてもほとんど同一の値を示し、本発明を適
用した超伝導集積回路において、第1の超伝導電極の2
つの相対する端面12a、12bに形成されたジョセフ
ソン接合が十分に均一な特性を持つことが確認された。
【0090】図12は、図10(a)の超伝導集積回路
と同じウェハー上に作製された、第2の領域における第
2の超伝導電極13と第3の超伝導電極15との接続部
(幅4μm)の電流一電圧特性を示したものである。こ
の接続部には、3mAを越える超伝導電流が流れ、20
00A/mに相当する磁界を外部から印加しても、超伝
導電流値の減少は認められなかった。このことより、本
発明の超伝導集積回路における第2の領域(配線接続領
域)では、第2の超伝導電極13と第3の超伝導電極1
5との間には、十分良好な超伝導コンタクトが形成され
ていることが確認された。
【0091】図13は、図10に例示した本発明の超伝
導集積回路の動作を測定した結を示す図である。SET
端子にSET入力が入力されると直ちにOUT端子にO
UT出力が発生している。また、RESET端子にRE
SET入力が入力されると直ちにOUT端子の出力が0
(ゼロ)に復帰することが確認され、設計通りのフリッ
プフロップ動作を得ることができた。
【0092】図10に示した超伝導集積回路において
は、図10(b)の回路図における超伝導配線のインダ
クタンスの値を正しく設定することが、正常に動作させ
るために極めて重要である。本発明の超伝導集積回路に
おいては、第1の領域11aと第2の領域11bとに形
成されたジョセフソン接合を、第3の領域11cを介し
て短い配線長で接続することが可能であり、超伝導集積
回路の回路パターンの設計の自由度を大幅に増大させる
ことができた。
【0093】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の超伝導
集積回路およびその製造方法によれば、1つの下部超伝
導電極の2つの相対する端面上に、特性の均一な傾斜型
ジョセフソン接合を形成することができる。また、複数
の異なる島状領域に形成された傾斜型ジョセフンン接合
間を、上部電極と下部電極との間に超伝導電流が流れる
ように形成した配線接続領域を介して短い距離の超伝導
配線で接続することができる。
【0094】したがって、本発明の超伝導集積回路によ
れば、超伝導集積回路の集積度を大幅に向上することが
できる。また、超伝導配線のインダクタンスを大幅に低
減することができる。さらに、大規模な超伝導集積回路
を形成することができる。これにより、例えばジョセフ
ソン接合を用いた単一磁束量子の転送特性を利用する論
理回路などにおいて、超伝導配線のインダクタンスを小
さい値に制御することができ、超伝導集積回路をこのよ
うな論理回路へ応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超伝導集積回路の構成の1例を概略的
に示す図。
【図2】第3の領域に形成した第2の超伝導電極の曲面
形状を有する傾斜端面を模式的に示す図。
【図3】第3の領域に形成した第2の超伝導電極の曲面
形状を有する傾斜端面を模式的に示す図。
【図4】本発明の超伝導集積回路の構成の別の1例を概
略的に示す図。
【図5】本発明の超伝導集積回路の製造方法を説明する
ための図。
【図6】本発明の超伝導集積回路の製造方法を説明する
ための図。
【図7】本発明の超伝導集積回路の製造方法を説明する
ための図。
【図8】本発明の超伝導集積回路の製造方法を説明する
ための図。
【図9】本発明の超伝導集積回路の製造方法を説明する
ための図。
【図10】本発明の超伝導集積回路の回路パターンの構
成の例を模式的に示す平面図。
【図11】図10(a)に例示した超伝導集積回路を作
製するのと同時に同一ウェハー上の別の領域に形成した
単一のジョセフソン接合の特性を示す図。
【図12】第2の超伝導電極と第2の超伝導電極との間
の電流一電圧特性を示す図。
【図13】図10に例示した本発明の超伝導集積回路の
動作を測定した結を示す図。
【図14】酸化物超伝導体とバリア層を積層したジョセ
フソン接合の構造の例を概略的に示す図。
【図15】傾斜端面を形成する様子を模式的に示す図。
【図16】従来の超伝導集積素子の構成の1例を概略的
に示す図。
【図17】従来の超伝導集積回路の製造工程を説明する
ための図。
【図18】本発明による超伝導集積素子の傾斜端面の形
成工程を模式的に示す図。
【符号の説明】
11………基板、 11a……第1の領域 11b……第2の領域 11c……第3の領域 12・・・・・・第1の超伝導電極(下部超伝導電極) 12a、12b……傾斜端面(平坦) 13………第2の超伝導電極 13a、13b……傾斜端面(凹曲面) 14………バリア層 15………第3の超伝導電極(上部超伝導電極) 16………層間絶縁膜 20………窪み 21a、21b……レジスト 51………SET端子 52………OUT端子 53………RESET端子 91………基板 92………下部超伝導電極 93………層間絶縁膜 94a、94b……傾斜端面 95………バリア層 96………上部超伝導電極 100………粒界

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面が絶縁性を呈し、第1の
    領域と、第2の領域と、前記第1の領域および前記第2
    の領域に挟まれた第3の領域とを有する基板と、 前記基板の前記第1の領域および前記第2の領域に、
    端面が前記基板面に対して傾斜した平面形状を有するよ
    うに形成された、酸化物超伝導体からなる第1の超伝導
    電極と、 前記基板の前記第3の領域に、前記第1の領域および前
    記第2の領域に形成された第1の超伝導電極から所定の
    間隔を隔て、かつ前記第1の領域側および前記第2の領
    域側の両端面が傾斜した凹面形状を有するように形成さ
    れた、酸化物超伝導体からなる第2の超伝導電極と、前記第1の超伝導電極および前記第2の超伝導電極上で
    あって、その端面を除いた領域に形成された酸化物から
    なる絶縁層と、 前記基板上に前記第1の超伝導電極の前記平面形状を有
    する端面および前記第2の超伝導電極の前記凹面形状
    有する端面を覆うように形成された酸化物からなるバリ
    ア層と、 前記バリア層上に、前記第1の領域の前記第3の領域側
    の端面から前記第3の領域の前記第1の領域側の端面ま
    でを連続して覆うように、かつ、前記第2の領域の前記
    第3の領域側の端面から前記第3の領域の前記第2の領
    域側の端面までを連続して覆うように形成された、酸化
    超伝導体からなる第3の超伝導電極であって、 前記第1の領域および第2の領域それぞれの前記第3の
    領域側の前記傾斜した平面形状を有する端面において、
    前記第1の超伝導電極との間にジョセフソン結合が形成
    され、 かつ、前記第3の領域の前記傾斜した凹面形状を有する
    両端面それぞれにおいて、前記第2の超伝導電極との間
    に超伝導電流が流れる接続が形成されている第3の超伝
    導電極と、 を具備したことを特徴とする超伝導集積回路。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面が絶縁性を呈し、第1の
    領域と、第2の領域と、前記第1の領域および前記第2
    の領域に挟まれた第3の領域とを有する基板と、 前記基板の前記第1の領域および前記第2の領域に、
    端面が前記基板面に対して第1の傾斜角を有するように
    形成された、酸化物超伝導体からなる第1の超伝導電極
    と、 前記基板の前記第3の領域に、前記第1の領域および前
    記第2の領域に形成された第1の超伝導電極から所定の
    間隔を隔て、かつ前記第1の領域側および前記第2の領
    域側の両端面それぞれの少なくとも一部が前記第1の傾
    斜角度よりも大きな第2の傾斜角度を有するように形成
    された、酸化物超伝導体からなる第2の超伝導電極と、前記第1の超伝導電極および前記第2の超伝導電極上で
    あって、その端面を除いた領域に形成された酸化物から
    なる絶縁層と、 前記基板上に前記第1の超伝導電極および前記第2の超
    伝導電極の前記端面を覆うように形成された酸化物から
    なるバリア層と、 前記バリア層上に、前記第1の領域の前記第3の領域側
    の端面から前記第3の領域の前記第1の領域側の端面ま
    でを連続して覆うように、かつ、前記第2の領域の前記
    第3の領域側の端面から前記第3の領域の前記第2の領
    域側の端面までを連続して覆うように形成された、酸化
    超伝導体からなる第3の超伝導電極であって、 前記第1の領域および第2の領域それぞれの前記第3の
    領域側の前記第1の傾斜角度を有する端面において、前
    記第1の超伝導電極との間にジョセフソン結合が形成さ
    れ、 かつ、前記第3の領域の前記第2の傾斜角度を有する両
    端面それぞれにおいて、前記第2の超伝導電極との間に
    超伝導電流が流れる接続が形成されている第3の超伝導
    電極と、 を具備したことを特徴とする超伝導集積回路。
  3. 【請求項3】 前記第2の超伝導電極の前記第1の領域
    側および前記第2の領域側の両端面は凹面形状に形成さ
    れていることを特徴とする請求項2に記載の超伝導集積
    回路。
  4. 【請求項4】 前記第1の超伝導電極の端面の前記基板
    に対する傾斜角は、約20°よりも小さいことを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載の超伝導集積回
    路。
  5. 【請求項5】 少なくとも表面が絶縁性を呈し、第1の
    領域と、第2の領域と、前記第1の領域および前記第2
    の領域に挟まれた第3の領域とを有する基板上に、酸化
    物超伝導体からなる第1の超伝導層と、酸化物絶縁体か
    らなる絶縁性層とを積層する工程と、 前記絶縁性の前記第1の領域の前記第3の領域側と、前
    記第2の領域の前記第3の領域と反対側に前記基板と所
    定の傾斜角を有するような平坦な端面が形成されるよう
    に、かつ、前記第1の領域の前記第3の領域と反対側お
    よび前記第3の領域の前記第1の領域側に凹面形状を有
    する端面が形成されるように前記絶縁性層上にレジスト
    を形成し、前記基板に対して所定の角度をなす一定方向
    からイオンまたは中性原子を照射する第1のエッチング
    工程と、 前記絶縁性層の前記第1の領域の前記第3の領域側と、
    前記第2の領域の前記第3の領域と反対側と、前記第3
    の領域の前記第1の領域側とに形成された端面が覆われ
    るように前記絶縁性層上にレジストを形成し、前記絶縁
    性層の前記第1の領域の前記第3の領域の反対側と、前
    記第2の領域の前記第3の領域側とに前記基板と所定の
    傾斜角を有するような平坦な端面が形成されるように、
    かつ、前記3の領域の前記第2の領域側に前記凹面形状
    を有する端面が形成されるように、前記第1のエッチン
    グ工程とは逆方向から前記基板に対して前記所定の角度
    をなすように前記イオンまたは前記中性原子を照射する
    第2のエッチング工程と、 前記基板を前記基板表面が含まれるような平面内で回転
    させながら前記絶縁性層および前記第1の超伝導層とに
    前記イオンまたは前記中性原子を照射する第3のエッチ
    ング工程とを有し、 前記第1乃至第3のエッチング工程によって、前記第1
    の領域と前記第3の領域の境界および前記第2の領域と
    前記第3の領域の境界において、前記第1の超伝導層が
    除去される ことを特徴とする超伝導集積回路の製造方
    法。
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