JP2992791B2 - ゲル被膜で覆われた食品の製造法 - Google Patents

ゲル被膜で覆われた食品の製造法

Info

Publication number
JP2992791B2
JP2992791B2 JP4334496A JP33449692A JP2992791B2 JP 2992791 B2 JP2992791 B2 JP 2992791B2 JP 4334496 A JP4334496 A JP 4334496A JP 33449692 A JP33449692 A JP 33449692A JP 2992791 B2 JP2992791 B2 JP 2992791B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
container
solution
food
gel coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4334496A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06178678A (ja
Inventor
隆志 野沢
章宏 北河
健治 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichirei Corp
Original Assignee
Nichirei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichirei Corp filed Critical Nichirei Corp
Priority to JP4334496A priority Critical patent/JP2992791B2/ja
Publication of JPH06178678A publication Critical patent/JPH06178678A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2992791B2 publication Critical patent/JP2992791B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流動状食品又は固形物
を含む流動状食品等をゲルにより被覆した、任意形状及
び大きさのゲル被膜で覆われた食品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、流動状食品又は固形物を含む
流動状食品等をゲルにより被覆した食品の製造法が種々
提案されている。
【0003】例えば、滴下法又は液滴の表面張力を利用
した方法としては、可食物原料中にアルギン酸ナトリウ
ムを含有させ、次いで塩化カルシウム溶液で凝固させる
方法(特公昭36−15088号公報)、ゼラチンを配
合した液滴を、20℃以下において植物油中で凝固させ
る方法(特公昭46−21772号公報)、2重ノズル
を用いてゲル化性多糖類を含む被覆剤を外周面に形成し
た食材を、ゲル化助剤を含む浸漬液に滴下してゲル化さ
せる方法又はゲル化助剤を含む芯材をゲル化性多糖類を
含む浸漬液に滴下してゲル化させる方法(特公昭48−
16183号公報)が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法はいずれも液
滴の表面張力を利用しているため、得られる食品の形状
は略球状をなし、その粒径も最大で10mm程度が限度
であって、種々の形状及び大きさに成型できず、更には
変形、相互付着等の欠点がある。
【0005】そこで、これらの欠点を解消するために凍
結成型法、具体的には例えば、カルシウム塩を含有させ
た原料を凍結成型しアルギン酸ナトリウムを含む水溶液
中でゲル被膜を形成する方法(特公昭61−29701
号公報、特公昭61−29702号公報)、アルギン酸
ナトリウム等の水溶液を凍結し、多価金属塩水溶液と接
触させてゲルを形成する方法(特開平4−187056
号公報)、ゲル化助剤を凍結成型し、ゲル形成剤中に浸
漬する方法、ゲル形成剤を凍結成型し、ゲル化助剤中に
浸漬する方法、食材をゲル化助剤で被覆し、凍結後ゲル
形成剤中に浸漬する方法又は食材をゲル形成剤で被覆
し、凍結後ゲル化助剤中に浸漬する方法(特開平4−2
22562号公報)が提案されている。
【0006】しかしながら、これらの凍結成型方法で
は、ゲル化助剤又はゲル形成剤等を含む成分に保型性を
付与するために、全体を凍結し、次いで該凍結した成分
を解凍しながらゲル化するための装置に導入する必要が
ある。このため、保型時の全体凍結及びゲル化時の解凍
に多大のエネルギーが必要であり、更に凍結及びゲル化
に長時間を有し、しかも凍結工程及びゲル化工程を別個
に行う装置が必要であるため装置自体も大型化するとい
う欠点が生じ、工業的に生産する場合には生産効率が低
いのが実状である。しかもリンゴ、モモ等の食品固形物
を含有させる場合には、保型のための全体冷凍時に冷凍
変性を引き起こす恐れがあり、含有させる食品固形物の
種類が限定されるという欠点もある。更にまた食品固形
物を含有させる場合には、ゲル化時の解凍により、食品
固形物の表面が突出し、形成されるゲル被膜が破られた
り、極端に薄くなる等の問題が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、所望の形状及び大きさに容易に成型でき、しかも工
業的にも優れた生産効率で生産することが可能なゲル被
膜で覆われた食品の製造法を提供することにある。
【0008】本発明の別の目的は、ゲル形成のための反
応を、低温且つ短時間で行うことが可能なゲル被膜で覆
われた食品の製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、開口部
を有する所望形状の容器を凍結した後、ゲル化助剤含有
溶液を該容器の内表面に接触・付着させる工程と、該ゲ
ル化助剤含有溶液が付着した容器内に、ゲル化助剤と反
応してゲルを形成するゲル形成剤含有溶液を注入し、容
器内表面にゲル被膜を形成する工程と、少なくとも容器
開口部に相当する部分において露出する、前記注入され
たゲル形成剤に、ゲル化助剤含有溶液を接触させて、該
開口部に相当する部分にゲル被膜を形成する工程とを行
うことを特徴とするゲル被膜で覆われた食品の製造法が
提供される。
【0010】また本発明によれば、開口部を有する所望
形状の容器を凍結した後、ゲル形成剤含有溶液を該容器
の内表面に接触・付着させる工程と、該ゲル形成剤含有
溶液が付着した容器内に、ゲル形成剤と反応してゲルを
形成するゲル化助剤含有溶液を注入し、容器内表面にゲ
ル被膜を形成する工程と、少なくとも容器開口部に相当
する部分において露出する、前記注入されたゲル化助剤
に、ゲル形成剤含有溶液を接触させて、該開口部に相当
する部分にゲル被膜を形成する工程とを行うことを特徴
とするゲル被膜で覆われた食品の製造法が提供される。
【0011】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0012】本発明の製造法では、まず開口部を有する
所望形状の容器を凍結する。該凍結は、次のゲル化助剤
含有溶液又はゲル形成剤含有溶液を接触させた際に、容
器内表面に略均一に付着する程度に凍結すれば良く、好
ましくは−5〜−50℃の範囲で凍結させるのが望まし
い。次に凍結させた容器の内表面に、ゲル化助剤含有溶
液又はゲル形成剤含有溶液を接触させて、該ゲル化助剤
含有溶液又はゲル形成剤含有溶液を付着させる。この際
これらの溶液の付着は、凍結した容器内表面に接触させ
ることにより、溶液自体が凍結凝固して略均一に付着す
るので、保型のための新たな凍結工程をする必要がな
い。該接触は、例えば塗布又は噴霧等により行うことが
できる。
【0013】本発明に用いるゲル化助剤含有溶液として
は、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウ
ム塩等の多価金属塩で構成されるゲル化助剤等を水溶液
としたもの等を挙げることができ、好ましくはゲル化助
剤として溶解度の高い塩化カルシウム、グルコン酸カル
シウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム等を挙げるこ
とができる。該溶液中のゲル化助剤の濃度は、好ましく
は0.03M以上、特に好ましくは0.05〜1.8M
の範囲である。
【0014】一方本発明に用いるゲル形成剤含有溶液と
しては、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリ
ウム等のアルギン酸塩;低メトキシルペクチン、ジェラ
ンガム、アゾトガム(アゾトバクタービネランジー(Az
otobacter vinelandii)の生産する多糖類)等の多糖類
で構成されるゲル形成剤等を水溶液としたもの等を挙げ
ることができる。該溶液中のゲル形成剤の濃度は、0.
3〜5.0重量%の範囲であるのが好ましい。
【0015】本発明の製造法では、次の工程として、前
記ゲル化助剤含有溶液が付着した容器内に、該ゲル化助
剤と反応してゲルを形成するゲル形成剤含有溶液を注入
するか、若しくは前記ゲル形成剤含有溶液が付着した容
器内に、該ゲル形成剤と反応してゲルを形成するゲル化
助剤含有溶液を注入して、容器内表面にゲル被膜を形成
する。この際注入するゲル形成剤含有溶液又はゲル化助
剤含有溶液は、容器の開口部から注入すれば良い。該注
入する溶液の液温は、容器内表面に付着したゲル形成剤
含有溶液又はゲル化助剤含有溶液を溶解させ、ゲル化反
応が進行する温度であれば良く、具体的には5〜95℃
に調整するのが好ましい。即ち、注入する溶液の液温を
調整することにより、容器内表面に付着した溶液を解凍
するための新たな工程を行う必要がない。また前記ゲル
化反応は、前記溶液を注入後1〜40分間保持する方法
等により行うことができる。この工程によって、本発明
の製造法では開口部を除く容器の形状に沿ってゲル被膜
を形成することができる。また前記注入するゲル形成剤
含有溶液又はゲル化助剤含有溶液中には、食することが
できる果汁等の液状物質、固形物入り液状物質、ジャム
状物質、ソフトゼリー状物質等を添加することができる
他、ゼラチン、寒天、タマリンド種子多糖類、メチルセ
ルロース、ローカストビーンガム、グアガム又は澱粉分
解物等の増粘剤等の添加剤を加えることができる。
【0016】またこの容器内表面にゲル被膜を形成する
工程では、前記溶液の注入前、注入中、注入後におい
て、注入溶液がゲル形成剤含有溶液の場合には、ゲル化
助剤を有する食品固形物を、また注入溶液がゲル化助剤
含有溶液の場合には、ゲル形成剤を有する食品固形物を
添加することができる他、予めゲル被膜を形成した食品
固形物を容器内に添加することもできる。該食品固形物
としては、例えばモモ、リンゴ、ミカン、メロン等の農
産物、イカ、タコ、エビ、魚卵、魚肉、練り製品等の水
産物、チキン、ポーク、ビーフ、これらの結着又は練り
肉製品等の畜産物若しくはこれらの加工品等を挙げるこ
とができ、その形状及び大きさは任意である。またゲル
化助剤を有する食品固形物、ゲル形成剤を有する食品固
形物とは、食品固形物に、ゲル化助剤含有溶液若しくは
ゲル形成剤含有溶液を含浸させるか、又はゲル化助剤若
しくはゲル形成剤を練り込む方法等により調製すること
ができ、このような食品固形物を容器内に添加すること
により、容器内において注入される溶液と反応して食品
固形物にゲル被膜を形成することができる。更に前記予
め食品固形物にゲル被膜を形成するには、例えば食品固
形物にゲル化助剤含有溶液を含浸させるか、又はゲル化
助剤を練り込んだ後、ゲル形成剤含有溶液中に浸漬させ
ゲル被膜を形成する方法、食品固形物にゲル形成剤含有
溶液を含浸させるか、又はゲル形成剤を練り込んだ後、
ゲル化助剤含有溶液中に浸漬させゲル被膜を形成する方
法等により行うことができる。このように予めゲル被膜
を形成した食品固形物を容器内に添加することにより、
次工程の容器開口部に相当する部分にゲル被膜を形成す
る際等において、該形成されるゲル被膜を破壊したり、
その一部が極端に薄くなる等の問題を防止することがで
きる。尚、ゲル被膜の破壊等が生じなければ、食品固形
物をそのまま添加することもできる。
【0017】本発明の製造法では、次に少なくとも容器
開口部に相当する部分において露出する、前記ゲル形成
剤にゲル化助剤含有溶液を接触させるか、又はゲル化助
剤にゲル形成剤含有溶液を接触させて、該開口部に相当
する部分にゲル被膜を形成する。
【0018】前記容器開口部に相当する部分とは、前述
のゲル化助剤含有溶液又はゲル形成剤含有溶液を注入し
た際にゲル被膜が形成されない部分である。
【0019】前記接触は、例えば前記容器開口部に、ゲ
ル被膜を形成する溶液を添加する方法、前工程において
ゲル形成剤含有溶液が注入された容器をそのままゲル化
助剤含有溶液中に浸漬する方法、前工程においてゲル化
助剤含有溶液が注入された容器をそのままゲル形成剤含
有溶液中に浸漬する方法、前工程においてゲル形成剤含
有溶液を注入しゲル被膜を形成し、保型性を持たせた
後、開口部に相当する部分を除きゲル被膜で覆われた食
品を容器から取り出し、ゲル化助剤含有溶液中に浸漬さ
せる方法、前工程においてゲル化助剤含有溶液を注入し
ゲル被膜を形成し、保型性を持たせた後、開口部に相当
する部分を除きゲル被膜で覆われた食品を容器から取り
出し、ゲル形成剤含有溶液中に浸漬させる方法等により
行うことができ、接触後ゲル被膜が形成される時間、好
ましくは1〜40分間保持することにより、容器開口部
に相当する部分にゲル被膜を形成することができ、全体
的にゲル被膜に覆われた食品を製造することができる。
この際、開口部に相当する部分にゲル被膜を形成する工
程は、前工程の容器表面にゲル被膜を形成する工程にお
いて、ゲル形成剤含有溶液又はゲル化助剤含有溶液を注
入後、完全にゲル被膜が形成される前に、即ち注入後直
ちに行って、容器内表面へのゲル被膜の形成と並行して
開口部に相当する部分のゲル被膜を形成させることもで
きる。尚、製造に使用した容器は、最終的にゲル被膜で
覆われた食品を調製した後、除去することができる他、
前述のとおり、容器開口部に相当する部分にゲル被膜を
形成する前に除去することもできる。
【0020】本発明により得られるゲル被膜に覆われた
食品におけるゲル被膜は、使用するゲル化助剤及び/又
はゲル形成剤の濃度並びにゲル形成時の温度、保持時間
等を調整することにより所望の食感とすることができ、
また該ゲル被膜の膜厚は、1〜10mmとなるように調
整するのが好ましい。この際膜厚が薄い場合には、前記
開口部に相当する部分にゲル被膜を形成する工程を行っ
た後、更にゲル化反応を行うこともできる。具体的には
例えば、容器内部にゲル形成剤含有溶液が注入されてい
る場合には、保型性を有するゲル被膜で覆われた食品
を、容器から取り出し、ゲル化助剤含有溶液中に浸漬さ
せる方法、また容器内部にゲル化助剤含有溶液が注入さ
れている場合には、保型性を有するゲル被膜で覆われた
食品を、容器から取り出し、ゲル形成剤含有溶液中に浸
漬させる方法等を行うことによって、所望のゲル被膜厚
で覆われた食品を得ることができる。従って、前記容器
内表面にゲル被膜を形成する工程においては、必ずしも
最終製品に必要な膜厚のゲル被膜を形成する必要はな
く、ゲル被膜の膜厚は保型性を有する程度であっても良
い。
【0021】
【発明の効果】本発明の製造法では、所望形状の容器を
用いるので、所望の形状及び大きさに容易に成型するこ
とができる。また容器自体を凍結させた後、ゲル化助剤
含有溶液又はゲル形成剤含有溶液を接触させるのみで、
容器内表面に付着させるので、エネルギー効率に優れ、
しかもゲル化助剤含有溶液又はゲル形成剤含有溶液の凍
結及び解凍のための煩雑な工程を行う必要がない。従っ
て工業的生産においても極めて有用である。また本発明
の製造法では、ゲル形成のための反応を、低温且つ短時
間で行うことができるので、ゲル被膜の食感を向上させ
ることができる。更に本発明における容器内表面にゲル
被膜を形成させる工程において、ゲル化助剤を有する食
品固形物、ゲル形成剤を有する食品固形物又は予めゲル
被膜を形成した食品固形物を添加した場合には、食品全
体を覆うゲル被膜の破損及び極端に被膜が薄くなるのを
防止することができる。
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例及び比較例に基づいて更
に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0023】
【実施例1】星型の開口を有し、且つ全体が星型の金属
製容器を−30℃で5分間凍結した後、ゲル化助剤含有
溶液として塩化カルシウム10重量%含有水溶液(以下
A溶液と称す)を、前記容器内表面に均一に噴霧した。
その結果、該噴霧されたA溶液が凍結凝固し、容器内表
面に略均一に付着した。
【0024】次いで容器開口から水87重量部、液糖1
0重量部、アルギン酸ナトリウム2重量部及び低メトキ
シルペクチン1重量部からなる液温40℃のゲル形成剤
含有溶液(以下B溶液と称す)を注入して容器内を満た
した後、直ちに容器開口全体に前記A溶液を噴霧し、1
分間保持して、容器内表面及び開口部に膜厚1mm以上
のゲル被膜を形成した。得られた食品を容器から取り出
し、水洗したところ、全体がゲル被膜で覆われた食品で
あり、その形状は、頂点及び辺がはっきりした星型であ
った。また得られた食品を食したところ、ゲル被膜の食
感は良好であった。
【0025】
【比較例1】実施例1と同様な容器に、B溶液を注入し
て容器内を満たした後、保型性を持たせるため全体を−
30℃で20分間凍結した。次いで凍結した容器を95
℃、1分間暖めて型抜きした後、得られたB溶液凍結物
を、A溶液で満たしたゲル反応槽中に投入し、20℃に
保温しながら5分間ゲル化反応を行った。得られた反応
物を水洗したところ、膜厚1mm以上のゲル被膜を有す
る食品であった。この食品の形状は、A溶液の表面張力
の影響を受けた頂点及び辺がはっきりとしない球状に近
い花型であった。またこの食品を食したところ、ゲル被
膜は、表面が硬化した違和感のある食感であった。これ
は、ゲル化反応槽中におけるB溶液凍結物の表面解凍に
時間を要し、実施例1に比してゲル化反応時間が長くな
り、高濃度のA溶液との接触時間が長かったためであ
る。
【0026】
【比較例2】ゲル化反応を60℃にて1分間とした以外
は、比較例1と同様にゲル被膜を有する食品を製造し
た。得られた食品のゲル被膜は1mm以上であり、形状
は、頂点及び辺がはっきりとした星型であった。また食
した際のゲル被膜の食感は、表面のザラ付いた違和感の
あるものであった。これは60℃という高温でA溶液と
接触させたことに起因すると考えられる。
【0027】
【実施例2】球型の開口を有し、且つ半球型の金属製容
器を−30℃で5分間凍結した後、ゲル化助剤含有溶液
として塩化カルシウム7重量%含有水溶液(以下C溶液
と称す)を、前記容器内表面に均一に噴霧した。その結
果、該噴霧されたC溶液が凍結凝固し、容器内表面に略
均一に付着した。
【0028】次いで容器開口からB溶液を注入した後、
予め調製した10mm角のリンゴ(以下D固形物と称
す)をC溶液に1分間浸漬して水洗したゲル化助剤を有
するD固形物を投入し、容器内を満たした。この状態で
1分間保持し、容器内表面に沿って厚さ1mm以上の保
型性を有するゲル被膜を形成した。
【0029】次に容器開口全体に前記C溶液を噴霧し、
10分間保持して、開口部に膜厚1mm以上のゲル被膜
を形成した。得られた食品を容器から取り出し、水洗し
たところ、全体がゲル被膜で覆われた食品であり、ゲル
被膜の破損及び膜厚が1mm未満になるという現象は認
められなかった。また形状は、容器の型と略同一の半球
状であった。更に得られた食品を食したところ、リンゴ
の食感に変化は認められず、ゲル被膜の食感も良好であ
った。
【0030】
【実施例3】実施例2において、容器開口全体に前記C
溶液を噴霧する代わりに、B溶液及びゲル化助剤を有す
るD固形物を入れた容器を、そのままC溶液で満たされ
たゲル反応槽中に投入し、20℃に保温しながら10分
間ゲル化反応を行った後、引揚げ水洗した。得られた食
品は、全体がゲル被膜で覆われた食品であり、ゲル被膜
の破損及び膜厚が1mm未満になるという現象は認めら
れなかった。また形状は、表面張力によって球状であっ
た。更に得られた食品を食したところ、リンゴの食感に
変化は認められず、ゲル被膜の食感も良好であった。
【0031】
【実施例4】球型の開口を有し、且つ半球型の金属製容
器を−30℃で5分間凍結した後、ゲル化助剤含有溶液
として塩化カルシウム7重量%含有水溶液(以下C溶液
と称す)を、前記容器内表面に均一に噴霧した。その結
果、該噴霧されたC溶液が凍結凝固し、容器内表面に略
均一に付着した。
【0032】次いで容器開口からB溶液を注入した後、
予め調製したゲル化助剤を有するD固形物を投入し、容
器内を満たした。この状態で1分間保持し、容器内表面
に沿って保型性を有するゲル被膜を形成した。
【0033】次に容器開口全体に前記C溶液を噴霧し、
1分間保持した後、表面に薄いゲル被膜を有し、ゲル化
助剤を有するD固形物を含むB溶液を容器から取り出
し、C溶液で満たされたゲル化反応槽中に投入した。該
反応槽を20℃に保温しながら9分間ゲル化反応を行
い、水洗した。得られた食品は、全体が1mm以上のゲ
ル被膜で覆われた食品であり、一部のD固形物が表面に
近づいていたが、ゲル被膜の破損及び膜厚が1mm未満
になるという現象は認められなかった。また形状は、半
球のように僅かにゆがんだ球状であった。更に得られた
食品を食したところ、リンゴの食感に変化は認められ
ず、ゲル被膜の食感も良好であった。
【0034】
【比較例3】実施例1と同様な容器に、B溶液を注入
し、更に固形物Dを投入して容器内を満たした後、保型
性を持たせるため全体を−30℃で20分間凍結した。
次いで凍結した容器を95℃、1分間暖めて型抜きした
後、得られたD固形物を含むB溶液凍結物を、C溶液で
満たしたゲル化反応槽中に投入し、20℃に保温しなが
ら10分間ゲル化反応を行った。得られた反応物を水洗
したところ、膜厚1mm以上のゲル被膜が全体の60%
程度であり、残りの40%がD固形物が表面に突出して
ゲル被膜が破損しているか、部分的に膜厚1mm未満の
食品であった。この食品の形状は、表面張力によって球
状であった。またこの食品を食したところ、リンゴは凍
結変性しスポンジ状の食感であった。
【0035】
【実施例5】星型の開口を有し、且つ全体が星型の金属
製容器を−30℃で5分間凍結した後、水79.4重量
部、液糖20重量部及びアルギン酸ナトリウム0.6重
量部からなるゲル形成剤含有溶液(以下E溶液と称す)
を、前記容器内表面に均一に塗布した。その結果、該塗
布されたE溶液が凍結凝固し、容器内表面に略均一に付
着した。
【0036】次いで容器開口から水83重量部、液糖1
0重量部、レモン果汁5重量部、乳酸カルシウム2重量
部、レモンフレーバー0.03重量部及び色素(食用黄
色4号)0.002重量部からなる液温40℃のゲル化
助剤含有溶液(以下F溶液と称す)を注入して容器内を
満たした後、直ちに容器開口全体に前記E溶液を添加
し、10分間保持して、容器内表面及び開口部に膜厚1
mm以上のゲル被膜を形成した。得られた食品を容器か
ら取り出し、水洗したところ、全体がゲル被膜で覆われ
た食品であり、その形状は、頂点及び辺がはっきりした
星型であった。また得られた食品を食したところ、ゲル
被膜の食感は良好であった。
【0037】
【実施例6】実施例5において、容器開口全体に前記F
溶液を添加する代わりに、E溶液を注入した容器を、そ
のままF溶液で満たされたゲル反応槽中に投入し、20
℃に保温しながら10分間ゲル化反応を行った後、引揚
げ水洗した。得られた食品は、全体が膜厚1mm以上の
ゲル被膜で覆われた食品であり、また形状は、表面張力
の影響を受けた頂点及び辺のはっきりしない球状に近い
ものであった。更に得られた食品を食したところ、ゲル
被膜の食感は良好であった。
【0038】
【実施例7】星型の開口を有し、且つ全体が星型の金属
製容器を−30℃で5分間凍結した後、E溶液を、前記
容器内表面に均一に塗布した。その結果、該塗布された
E溶液が凍結凝固し、容器内表面に略均一に付着した。
【0039】次いで容器開口からF溶液を注入して容器
内を満たした後、直ちに容器開口全体に前記E溶液を注
入し、5分間保持した後、表面に薄いゲル被膜を有する
F溶液を容器から取り出し、E溶液で満たされたゲル化
反応槽中に投入した。該反応槽を20℃に保温しながら
5分間ゲル化反応を行い、水洗した。得られた食品は、
全体が1mm以上のゲル被膜で覆われた食品であり、ま
た形状は、ゲル化反応槽中における表面張力をやや受け
た頂点及び辺が丸くなった花型に近い星型であった。更
に得られた食品を食したところ、ゲル被膜の食感は良好
であった。
【0040】
【比較例4】実施例5と同様な容器に、F溶液を注入し
て容器内を満たした後、保型性を持たせるため全体を−
30℃で20分間凍結した。次いで凍結した容器を95
℃、1分間暖めて型抜きした後、得られたF溶液凍結物
を、E溶液で満たしたゲル反応槽中に投入し、20℃に
保温しながら10分間ゲル化反応を行った。得られた反
応物を水洗したところ、膜厚1mm以上のゲル被膜を有
する食品であった。この食品の形状は、ゲル化反応槽中
における表面張力を受けた頂点及び辺がはっきりしない
球状型であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23P 1/08 A23L 1/05

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口部を有する所望形状の容器を凍結し
    た後、ゲル化助剤含有溶液を該容器の内表面に接触・付
    着させる工程と、 該ゲル化助剤含有溶液が付着した容器内に、ゲル化助剤
    と反応してゲルを形成するゲル形成剤含有溶液を注入
    し、容器内表面にゲル被膜を形成する工程と、 少なくとも容器開口部に相当する部分において露出す
    る、前記注入されたゲル形成剤に、ゲル化助剤含有溶液
    を接触させて、該開口部に相当する部分にゲル被膜を形
    成する工程とを行うことを特徴とするゲル被膜で覆われ
    た食品の製造法。
  2. 【請求項2】 前記容器内表面にゲル被膜を形成する工
    程において、ゲル化助剤を有する食品固形物を添加する
    ことを特徴とする請求項1記載のゲル被膜で覆われた食
    品の製造法。
  3. 【請求項3】 開口部を有する所望形状の容器を凍結し
    た後、ゲル形成剤含有溶液を該容器の内表面に接触・付
    着させる工程と、 該ゲル形成剤含有溶液が付着した容器内に、ゲル形成剤
    と反応してゲルを形成するゲル化助剤含有溶液を注入
    し、容器内表面にゲル被膜を形成する工程と、 少なくとも容器開口部に相当する部分において露出す
    る、前記注入されたゲル化助剤に、ゲル形成剤含有溶液
    を接触させて、該開口部に相当する部分にゲル被膜を形
    成する工程とを行うことを特徴とするゲル被膜で覆われ
    た食品の製造法。
  4. 【請求項4】 前記容器内表面にゲル被膜を形成する工
    程において、ゲル形成剤を有する食品固形物を添加する
    ことを特徴とする請求項3記載のゲル被膜で覆われた食
    品の製造法。
  5. 【請求項5】 前記請求項1又は請求項3における容器
    内表面にゲル被膜を形成する工程において、予めゲル被
    膜を形成した食品固形物を容器内に添加することを特徴
    とする請求項1又は請求項3記載のゲル被膜で覆われた
    食品の製造法。
JP4334496A 1992-12-15 1992-12-15 ゲル被膜で覆われた食品の製造法 Expired - Fee Related JP2992791B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4334496A JP2992791B2 (ja) 1992-12-15 1992-12-15 ゲル被膜で覆われた食品の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4334496A JP2992791B2 (ja) 1992-12-15 1992-12-15 ゲル被膜で覆われた食品の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06178678A JPH06178678A (ja) 1994-06-28
JP2992791B2 true JP2992791B2 (ja) 1999-12-20

Family

ID=18278056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4334496A Expired - Fee Related JP2992791B2 (ja) 1992-12-15 1992-12-15 ゲル被膜で覆われた食品の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2992791B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6334029B1 (ja) * 2017-04-27 2018-05-30 株式会社Mr.Orange 粒状組成物、その製造方法及びその保存方法、並びに、粒状食品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06178678A (ja) 1994-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3922360A (en) Simulated soft fruits
US3362831A (en) Artificial fruits and vegetables
US5002785A (en) Method of making encapsulated food products
GB2114417A (en) Production of shaped food products
JPS6260058B2 (ja)
JP2992791B2 (ja) ゲル被膜で覆われた食品の製造法
USH1053H (en) Composition and method of forming extrudable food items
JPS6129701B2 (ja)
JPS6129700B2 (ja)
JPH06284875A (ja) 被覆乾燥食品
JPS597417B2 (ja) 固形ジユ−スの製造方法
JPS63192352A (ja) カプセル型流動状食品の製造法
JPS5936540A (ja) マイクロカプセルの製造法
JPS5813133B2 (ja) ゲルデヒフクサレタゾルリユウノセイゾウホウ
JP3648385B2 (ja) 食品素材およびその製造方法
JP2552685B2 (ja) キャビア様食品及びその製造方法
JPH02195860A (ja) ハム・ソーセージ類およびその製法
JP2003210075A (ja) 釣用疑似餌、その製造方法及び釣用疑似餌の製造用キット
JPS61282053A (ja) 食品片付着食品の製造方法
JP3282864B2 (ja) 食品の製造方法
JPH04222562A (ja) 食用カプセルの製造法
JPH0352947B2 (ja)
JP3244430B2 (ja) 加工梅及びその製造方法
JPH0411853A (ja) 発泡ゲル状食品及びその製造法
JPS586459B2 (ja) 球形凝固体の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071022

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081022

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111022

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121022

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees