JP2991379B2 - Niメッキ鋼板からなる成型品の製造法、Niメッキ鋼板の製造法およびNiメッキ鋼板 - Google Patents

Niメッキ鋼板からなる成型品の製造法、Niメッキ鋼板の製造法およびNiメッキ鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、Niメッキ鋼板、該Niメッキ鋼板からなる成
型品、およびその製造法に関し、詳しくは、鋼素地とNi
メッキ層との間に両者を強固に結合させてメッキの密着
性を高めるFe−Ni拡散層を設けて、耐食性、加工性、鏡
面性の向上を図るものである。
従来の技術 従来より普通冷延鋼板にNiメッキを施した製品が製造
されている。しかし、鋼素地の表面に直接Niメッキ層を
設けたものでは、メッキ層と鋼素地の密着性が良好でな
いため、加工を施した場合に、その形状によっては鋼板
の変形にNiメッキ層が追従することが出来ず、剥離が生
じることがある。また、該Niメッキ層は硬くて脆いた
め、剥離を免れた部分にもクラックが発生しやすく、さ
らに、メッキの付着量を増やしてもピンホールの発生を
回避することができない。
上記した種々の理由により、鋼板表面に直接Niメッキ
層を設けたNiメッキ鋼板は加工性、耐食性等の点で問題
があった。
上記問題を解決するため、例えば、特開昭61−235594
号公報に開示されているような、鋼素地の表面にNiメッ
キを9〜62g/m2の付着量で施した後に、中性または還元
ガス雰囲気中で600〜800℃で1分〜15時間加熱保持する
焼鈍処理を行い、鋼素地とNiメッキ層とを拡散させるこ
とにより、鋼素地とNiメッキ層との間にFe−Ni拡散層を
形成する方法が提供されている。
上記のように、鋼素地とNiメッキ層との界面に、冶金
学的に結合したFe−Ni拡散層を設けると、鋼素地に対す
るメッキ層の密着性が高まり、耐食性、加工性等を向上
させることができる。
発明が解決しようとする課題 しかし、上記の従来提供されている方法では、Fe−Ni
拡散層およびNiメッキ層、鋼素地の厚さをそれぞれ略均
一な一定厚さにすることが極めて困難で、第27図に示す
ように、鋼素地1、Fe−Ni拡散層2およびNiメッキ層3
の三つの層の厚さが、それぞれ一定しない。
上記した各種の厚さが一定しない問題は、鋼素地に対
して、必要量の全ての付着量でNiメッキを施した後に、
該メッキ層の表層部にNiメッキ層を残した状態で該メッ
キ層の内部の鋼素地との界面部分にのみ、焼鈍処理によ
りFe−Ni拡散層を形成しようとすることにより発生して
いる。
即ち、上記焼鈍処理の方法としてはバッチ焼鈍方法
と、連続焼鈍方法とがあるが、バッチ焼鈍の場合、例え
ば、焼鈍用容器内において、通常、コイル状などのNiメ
ッキ鋼板は積み重ねて焼鈍され、コイルの外部より内部
へ、積重段の上段より下段へと徐々に加熱され、例え
ば、温度を600℃に設定した場合、コイルの内部および
下段においては550℃と温度の低い部分が発生する。こ
のように温度分布が異なるため、温度が高いコイル外部
および上側ではFe−Niの拡散が早く始まる一方、内部お
よび下段では拡散が遅れて始まり、よって、生成される
Fe−Ni拡散層の厚さに必然的に不均一が生じる。そのた
め、第28図に比較して示すように、温度が低い部分はFe
−Ni拡散層2の厚さは薄く、従って、Niメッキ層の厚さ
は厚く、また、温度の高い部分はFe−Ni拡散層2が厚
く、従って、Niメッキ層の厚さが薄くなる。特に、極度
に温度が高い部分は、Niメッキ層の全体がFe−Ni拡散層
2となりNiメッキ層が表層部側に残らなくなると共に、
鋼素地の部分にもFe−Ni拡散層が食い込み、鋼素地の厚
さ自体も不均一となる。さらに、メッキ鋼板をコイル状
としている場合、温度を700℃以上の高温とすると、巻
き重なった表面のNiメッキ層同士が密着してしまうこと
もある。
通常、上記従来方法を用い、かつ、バッチ焼鈍で鋼素
地とNiメッキ層の間にFe−Ni拡散層を形成する場合、実
際上、略3μのFe−Ni拡散層を設ける目的で、500℃〜7
00℃で10〜36時間、長時間焼鈍すると、形成されるFe−
Ni拡散層の厚さに1〜7μとバラツキが発生している。
一方、連続焼鈍の場合についても、短時間で加熱する
ため、高温としており、例えば、800℃で0.5〜4分程度
で焼鈍しているが、その場合、Niメッキ層と鋼素地との
拡散速度が速く、短時間で拡散するため、Fe−Ni拡散層
2の厚みを制御することが出来ない。従って、上記バッ
チ焼鈍の場合と同様に、均一な一定厚さの拡散層を作る
ことが出来ない。
上記したように、従来提供されている方法で、即ち、
鋼素地に必要量の全てのNiメッキを施した後に、焼鈍処
理して、Niメッキ層の表層部側にはNiメッキ層を残した
状態で、鋼素地とNiメッキ層の界面部分にFe−Ni拡散層
を形成する方法では、Fe−Ni拡散層を均一な一定の厚さ
にすることが出来ない。
しかしながら、Niメッキ鋼板において、Fe−Ni拡散層
を均一な一定の厚さにすることは不可欠なことであり、
上記厚さが不均一であると、プレス加工等の後加工で製
造された製品に、問題が生じる。即ち、Fe−Ni拡散層が
所要の厚さより薄い部分では耐食性が劣り、また、Fe−
Ni拡散層が所要厚より厚い部分では加工時にクラックが
発生し耐食性が著しく損なわれる。
また、鋼板の表裏両面に相違した厚さのFe−Ni拡散層
および/あるいはNiメッキ層を設ける場合、従来方法で
は、上記片面の場合と同様に、第29図に示すように、鋼
素地1の両面に夫々相違した全メッキ量を付着してNiメ
ッキ層4A、4Bを形成した後、焼鈍処理を施し、Niメッキ
層と鋼素地との間にFe−Ni拡散層2A,2Bを形成すること
となる。しかしながら、片面のみでもFe−Ni拡散層の厚
さを精度良く任意に制御することは困難であるため、両
面のFe−Ni拡散層の夫々の厚さ及びこれらFe−Ni層の表
面のNiメッキ層の厚さを制御することも極めて困難であ
る。例えば、焼鈍処理時には鋼板の表裏の温度は同一で
あるため、層厚が厚いNiメッキ層4Aに必要な厚さのFe−
Ni拡散層を形成しようとすると、焼鈍温度が高い部分で
は薄いNiメッキ層4Bの方ではNiメッキ層の全てがFe−Ni
拡散層となってしまい、Niメッキ層がなくなってしまう
こととなる。
この種のNiメッキ鋼板からなる成型品においては、表
裏両面に同厚あるいは差厚の所要厚さのFe−Ni拡散層お
よび/或いはNiメッキ層を必要とすることがある。例え
ば、表面側あるいは裏面側のいずれか一方に特に耐食性
が要求される場合には、一方面側のFe−Ni拡散層を他方
面側より厚くして、その要求に応える必要がある。しか
しながら、上記したように、従来の方法ではFe−Ni拡散
層の厚さを制御することが困難であるため、差厚のFe−
Ni拡散層および/或いはNiメッキ層を形成することも当
然ながら困難であった。
さらにまた、上記した従来方法で製造されたNiメッキ
鋼板は、通常、無光沢メッキを付着して全メッキを施し
た後にFe−Ni拡散層を形成しているため、製造されたNi
メッキ鋼板の表層部には鏡面性が十分でない欠点があ
る。特に、上記の方法により製造されたNiメッキ鋼板を
深絞り加工した場合、例えば、第26図に示すように、電
池のケーシング5のプラス側部分6を深絞り加工して製
造した際、深絞り部分の加工の度合が大きいために光沢
が全くなくなり、外観として見える電池のプラス側が光
沢がないことにより、製品価値が落ちる欠点があった。
本発明は、上記した従来のNiメッキ鋼板、該Niメッキ
鋼板からなる成型品、およびその製造法の問題点に鑑み
てなされたもので、下記に列挙する点を主たる目的とし
ている。
鋼素地の表裏両面の少なくともいずれか一方の面にお
けるFe−Ni拡散層の厚さを均一な厚さとすること。
鋼素地の表裏両面の少なくともいずれか一方に設ける
Fe−Ni拡散層の厚さを任意に制御出来るようにするこ
と。
Fe−Ni拡散層の厚さを任意に制御出来るようにするこ
とから、鋼素地の表裏両面に同厚あるいは差厚のFe−Ni
拡散層を形成可能とすること。
Fe−Ni拡散層を備えたNiメッキ鋼板から成型品を製造
する場合に、プレス加工等の成型加工工程を、Fe−Ni拡
散層の形成後のNiメッキ工程の前あるいは後のいずれに
も適宜に選択して為しえるようにすること。
課題を解決するための手段 上記目的を達成するため、本発明は、鋼素地の表裏両
面の少なくともいずれか一方の面の全体にわたって適宜
な薄さでNiメッキを施し、該Niメッキを次工程の焼鈍処
理で全てをFe−Ni拡散層とすることにより、Fe−Ni拡散
層の厚さを任意に制御可能とすると共に、このFe−Ni拡
散層の厚さを面全体にわたって均一な一定厚さとするこ
とを主たる特徴とし、該方法を用いないことにより、鋼
素地の表裏両面に同厚あるいは差厚のFe−Ni拡散層およ
び/あるいはNiメッキ層を設けることを可能とするもの
である。
詳しくは、本発明は、鋼素地の表裏両面の少なくとも
いずれか一方の面の全体にわたって均一な一定厚さのFe
−Ni拡散層を備えると共に、該一定厚さのFe−Ni拡散層
の少なくともいずれか一方の表面全体に一定厚さのNiメ
ッキ層を備え、該Niメッキ層と上記Fe−Ni拡散層とが略
直線状の界面を介して積層され、板厚方向における鋼素
地、Fe−Ni拡散層およびNiメッキ層の割合が全体にわた
って略均一であることを特徴とするNiメッキ鋼板を提供
するものである。
上記したFe−Ni拡散層は、鋼素地の表裏両面のいずれ
か一方側にのみ形成してもよく、あるいは表裏両面に形
成しても良く、かつ、表裏両面に形成する場合には表裏
両面のFe−Ni拡散層を同厚あるいは差厚とすることが出
来る。
また、上記Niメッキ層は、無光沢Niメッキ層のみ、光
沢Niメッキ層のみ、無光沢Niメッキ層の表面に光沢Niメ
ッキ層を積層したもののいずれでも良い。
上記Niメッキ鋼板は、具体的には、各Fe−Ni拡散層の
厚さが1.0〜8.0μ、上記Niメッキの厚さは、無光沢Niメ
ッキのみの場合は9.0〜54g/m2(1.0〜6.0μ)、光沢Ni
メッキのみの場合は1.8〜31.5g/m2(0.2〜3.5μ)、無
光沢Niメッキの表面に光沢Niメッキを積層した場合では
無光沢Niメッキが9.0〜54g/m2(1.0〜6.0μ)で光沢Ni
メッキが1.8〜13.5g/m2(0.2〜1.5μ)の範囲で被覆す
ることが好ましい。
また、本発明は、鋼素地の表裏両面の少なくとも一方
の面に、薄い厚さでNiメッキを施した後、中性あるいは
還元性ガス雰囲気中において加熱して焼鈍処理し、上記
Niメッキを全てFe−Ni拡散層として鋼素地の表面に一定
厚さのFe−Ni拡散層を形成し、ついで、調質圧延を行っ
た後に、Fe−Ni拡散層の表面に、Niメッキ(即ち、無光
沢Niメッキのみ、光沢Niメッキのみ、あるいは無光沢Ni
メッキの表面に光沢Niメッキの施す3種の方法のいずれ
かの方法によるNiメッキ)を施して、鋼素地、Fe−Ni拡
散層およびNiメッキ層を夫々略直線状の界面を隔てて積
層するNiメッキ鋼板の製造法を提供するものである。
上記した鋼素地に対して最初に為されるNiメッキは、
鋼素地の表裏両面に同時あるいは片面づつ別に同厚のNi
メッキを施して同厚のFe−Ni拡散層を形成する場合と、
鋼素地の表面側に所要厚さのNiメッキを施した後に裏面
側に相違する厚さのNiメッキを施し、差厚のFe−Ni拡散
層を形成する場合及び鋼素地の表裏両面に同時に差厚の
Niメッキを施して相違する厚さのFe−Ni拡散層を形成す
る場合も含むものである。
さらにまた、本発明は、鋼素地の表裏両面の少なくと
も一方の面に、薄い厚さでNiメッキを施した後、中性あ
るいは還元性ガス雰囲気中において加熱して焼鈍処理
し、上記Niメッキを全てFe−Ni拡散層として鋼素地の表
面に一定厚さのFe−Ni拡散層を形成し、ついで、調質圧
延を行った後に、該Fe−Ni拡散層を備えた鋼板を所要の
寸法に切断し、該切断した鋼板をプレス成型して容器等
からなる成型品を形成し、ついで、該成型品の少なくと
も一方面側のFe−Ni拡散層の表面にNiメッキを施して形
成することを特徴とするNiメッキ鋼板からなる成型品の
製造法を提供するものである。
上記した成型品の製造法においても、鋼素地の表裏両
面に形成するFe−Ni拡散層を同厚とする場合と差厚とす
る場合を含むものである。
作用 上記したように、本発明に係わるNiメッキ鋼板の製造
法では、鋼素地に施した薄厚なNiメッキを中性あるいは
還元性ガス雰囲気中において焼鈍処理して、上記Niメッ
キを全てFe−Ni拡散層とした後に、Niメッキを施すた
め、均一な厚さのFe−Ni拡散層を形成することが出来る
と共に、該Fe−Ni拡散層の厚さを任意に制御することが
可能となる。
また、上記方法により製造されるNiメッキ鋼板は、鋼
素地の表面に任意な厚さで且つ面全体にわたって均一な
厚さの拡散層を有するため、拡散層の厚さが必要以上に
薄すぎたり或いは厚すぎたりする部分がなく、加工性お
よび耐食性の点でバラツキが生じない。しかも、Fe−Ni
拡散層を形成した後、その表面にNiメッキ層を形成する
ため、鋼素地の表裏両面に任意厚さ(差厚および同厚を
含む)のNiメッキ層を確実に形成することが出来ると共
に、表面に光沢Niメッキを施した場合には鏡面性の向上
も図ることが出来る。
さらに、Fe−Ni拡散層を設けた鋼板をプレス等で成型
加工した後に、バレルメッキ装置等でメッキする方法を
用いる場合、プレス曲げ加工時にクラックが発生した
時、後からNiメッキを施すために、上記クラック発生の
問題を補償することが出来る。かつ、プレス曲げ加工時
における光沢性が減少する場合も解消することが出来
る。
実施例 次に、本発明を図面に示す実施例により詳細に説明す
る。
第1図は本発明の第1実施例に係わるNiメッキ鋼板を
示し、鋼素地の片面(表面側)にFe−Ni拡散層およびNi
メッキ層を設けたものであり、該Niメッキ鋼板の製造法
を第2図から第5図に示している。
第1図中、10は普通冷延鋼板からなる鋼素地で、実施
例の鋼素地10は未焼鈍材であるが、焼鈍材でも良い。11
は鋼素地10の片面(表面)に積層される略一定厚さのFe
−Ni拡散層、12はFe−Ni拡散層11の表面に積層される無
光沢Niメッキ層、13は無光沢Niメッキ層12の表面に積層
される光沢メッキ層である。
上記した厚さ方向に積層される鋼素地10、Fe−Ni拡散
層11、無光沢メッキ層12および光沢メッキ層13は、図示
のように、鋼板の長さ方向において夫々が略一定厚さを
有し、各層の界面L1、L2、L3が略直線状となっている。
従って、鋼板のいずれの板厚方向の断面においても、鋼
素地10、Fe−Ni拡散層11、無光沢メッキ層12および光沢
メッキ層13の割合が略一定となっている。
上記第1図に示すNiメッキ鋼板の製造法を第2図から
第4図により説明する。
まず、第2図に示すように、第1回目のメッキ処理と
して、コイル状に巻回している未焼鈍普通冷延鋼板の鋼
素地10を巻戻しながらその表面に、電気メッキ法により
1.5〜9.0g/m2の厚さでNiメッキ15を施し、その後、コイ
ル状に巻き取っている。
次に、該第1回目のメッキ処理が終了したコイル状鋼
板に、上記Niメッキ層と鋼板素地を拡散させるために、
バッチ焼鈍装置を利用してコイル状の鋼板を容器等に入
れて焼鈍処理を施す。処理条件としては、N2ガス雰囲気
中で500〜900℃に加熱して、0.5分〜36時間保持する。
この熱処理により、上記Niメッキ層を鋼素地と拡散させ
て、Fe−Ni拡散層11を形成する。その際、第3図に示す
ように、付着したNiが全て拡散して、Niメッキ層が無く
なり、すべてFe−Ni拡散層11となるまで焼鈍処理してい
る。該Fe−Ni拡散層11の厚みは、第1回目のメッキ付着
量(1.5〜9.0g/m2)に対応して決まり、1.0〜8.0μの範
囲とすることが好ましい。
上記焼鈍処理して形成されるFe−Ni拡散層11は、コイ
ル内で焼鈍温度にバラツキが生じても影響を受けず一定
厚さとなる。これは、第1回目のメッキで付着したNiを
表層部まで全て拡散してFe−Ni拡散層としてしまうから
であり、かつ、第1回目のNi付着量が従来と比較して極
めて少量であるため、温度が高い部分においても鋼素地
側にFe−Ni拡散層が大幅に食い込むことはなく、Fe−Ni
拡散層11および鋼素地10の厚さを一定に保持することが
出来、よって、鋼素地10とFe−Ni拡散層11の界面L1は略
直線形状となっている。
上記Fe−Ni拡散層11の厚さは、上記したように、第1
回目のNiメッキ付着量により決まり、よって、形成する
Fe−Ni拡散層11の厚さを簡単に制御することが出来る。
例えば、上記第1回目のNiメッキ付着量が2.0g/m2の場
合はFe−Ni拡散層の厚さは略1.5〜2.0μ、5.0g/m2の場
合は略2.5〜3.0μとなる。
上記形成されるFe−Ni拡散層11の厚さを1.0〜8.0μの
間にすることが好ましく、拡散層の厚さが1.0μm以下
であるとNiメッキ層12の密着性が悪くなり、製品とした
場合に耐食性に問題が生じる一方、8.0μ以上であるとF
e−Ni拡散層は硬いため、深絞り加工時等にクラックが
発生し耐食性、鏡面性等が著しく損なわれるからであ
る。該Fe−Niメッキ層11の厚さはより好ましくは2〜5
μ、最も好ましくは3μである。
上記焼鈍処理のガス雰囲気はN2ガスに限定されるもの
ではなく、その他の還元性ガスやH2とN2の混合ガス等の
中性ガスを用いてもよい。
上記焼鈍処理が終了すると、約1.5〜2.0%の調質圧延
を実施する。この調質圧延により鋼板全体、特に、鋼素
地10の板厚や鋼板の形状が整えられると共に腰折れが防
止される。
次に、第2回目のメッキ処理として電解メッキ法によ
りNiメッキを施し、第4図で示すように、9.0〜54g/m2
の付着量で無光沢Niメッキを施し、1〜6μのNiメッキ
層12を形成する。該無光沢Niメッキ層12をFe−Ni拡散層
11の上に形成することにより、設定した一定の厚さのNi
メッキ層を形成することが出来る。
上記第2回目のメッキにより無光沢メッキ層12を形成
して後、第3回目のメッキ処理として電解メッキ法によ
りNiメッキを行う。該第3回目のメッキ処理ではNi液中
に少量の有機物を添加して、光沢Niメッキを施し、形成
されたNiメッキ層が鏡面性を帯びるようにしている。こ
の光沢Niメッキ層13は1.8〜13.5g/m2の付着量で、0.2〜
1.5μの厚さとしており、該第3回目の光沢メッキ層13
の形成により、製造工程が終了し、第1図に示すNiメッ
キ鋼板がコイル状に巻回した状態で形成される。
尚、Niメッキ鋼板の表層部に鏡面性が必要でない場合
には、上記第3回目の光沢メッキは不要である。
上記した実施例はメッキ方法として電気メッキ法を用
いているが、他の適宜なメッキ法、例えば、無電解メッ
キ法、蒸着メッキ法等を用いても良いことは言うまでも
ない。
第5図は、本発明の第2実施例を示し、鋼素地の表裏
両面に同厚のFe−Ni拡散層および同厚のNiメッキを施し
たものである。該第2実施例の両面同厚Niメッキ鋼板を
製造する方法は、上記第1実施例と同様であり、まず、
鋼素地10の表裏両面に電解法により同時に同一付着量の
Niメッキを施す。ついで、第1実施例の片面の場合と同
様の条件で焼鈍処理を行い、表裏両面のNiメッキ層と鋼
素地10を拡散させて夫々一定の同一厚さのFe−Ni拡散層
11A、11Bを形成する。次に、上記表裏両面のFe−Ni拡散
層の外面に電解法により同一付着量で無光沢Niメッキを
施し、無光沢メッキ層12A、12Bを形成する。最後に、光
沢メッキを施し、鋼板の表裏両面の表層部に光沢メッキ
層13A、13Bを形成する。
上記表裏同厚Niメッキの場合、各層の厚さを一定巾
で、かつ、任意の厚さに簡単に制御できるため、鋼板の
表裏両面に均一な同厚のFe−Ni拡散層およびNiメッキ層
を容易に形成することが出来る。
尚、表裏同厚メッキを施す場合、上記実施例では表裏
同時にメッキしているが、片面づつ別個にメッキを施し
て表裏同厚としても良い。
第6図は本発明の第3実施例を示し、鋼板の表裏両面
に同厚のFe−Ni拡散層を形成する一方、これらFe−Ni拡
散層の外面に厚さの相違するNiメッキを施したものであ
る。該第3実施例では同一厚さのFe−Ni拡散層11A、11B
の夫々の外面に形成する無光沢Niメッキ層は、表面側の
層12Aは裏面側の層12Bより厚くしている。また、該表面
側の無光沢メッキ層12Aの表面側にのみ光沢メッキ層13A
を形成し、裏面側には光沢メッキ層は設けていない。
尚、必要に応じて、裏面側の無光沢メッキ層の外面にも
光沢メッキ層を設け、かつ、該光沢メッキ層の厚さを表
面側の光沢メッキ層の厚さと相違させても良い。
第7図は本発明の第4実施例に係わるNiメッキ鋼板を
示すものであり、鋼素地10の表裏両面に差厚のFe−Ni拡
散層11A、11Bを備えている。該Niメッキ鋼板は、図示の
ように鋼素地10の裏面側に厚さの厚いFe−Ni拡散層11B
を備える一方、鋼素地10の表面側に厚さの薄いFe−Ni拡
散層11Aを備え、該表面側のFe−Ni拡散層11Aの表面側に
無光沢Niメッキ層12A、該無光沢Niメッキ層12Aの表面に
光沢Niメッキ層13Aを備えている。
該第4実施例においては、上記裏面側のFe−Ni拡散層
11Bの厚さは6μ、鋼素地10の厚さは250μ、表面側のFe
−Ni拡散層11Aの厚さは3μ、無光沢Niメッキ層12Aの厚
さは3μ、光沢Niメッキ層13Aの厚さは0.5μとしてい
る。
上記第4実施例に係わるNiメッキ鋼板は第8図および
第9図に示す工程で製造される。
即ち、まず、鋼素地10(未焼鈍普通冷延鋼板)の表面
側に所要厚さのNiメッキ11A′を施す。ついで、該鋼素
地10の裏面側に所要厚さのNiメッキ11B′を施す。本実
施例では表面側に0.5μ、裏面側に0.8μを施している。
上記した鋼素地10に対する表面側および裏面側への片
面づつのメッキは第10図から第14図に示すメッキ装置に
より為され、該メッキ装置および作用は後述する。
上記鋼素地10の表裏両面に差厚のNiメッキを施した
後、該Niメッキ層と鋼素地を拡散させるために、前記第
1実施例と同様にバッチ式あるいは連続式に焼鈍処理を
施している。該焼鈍処理により、上記鋼素地10の表裏両
面のNiメッキ11A′、11B′を鋼素地10と拡散させ、Fe−
Ni拡散層11A、11Bを形成している。各Fe−Ni拡散層11
A、11Bの厚さは付着したメッキ量に応じて決まり、0.5
μのメッキを施した表面側では3μの厚さのFe−Ni拡散
層11Aが形成され、0.8μのメッキを施した裏面側では6
μの厚さのFe−Ni拡散層11Bが形成される。このよう
に、鋼素地の両面に付着するメッキ量に応じて、形成す
るFe−Ni拡散層の厚さを任意かつ正確に制御することが
出来る。
上記焼鈍処理が終了すると、約1.5〜2.0%の調質圧延
を実施する。この調質圧延により鋼板全体、特に、鋼素
地10の板厚や鋼板の形状が整えられると共に腰折れが防
止される。
調質圧延が終了して後、表面側のFe−Ni拡散層11Aの
表面側に任意の厚さで無光沢Niメッキを施して無光沢Ni
メッキ層12Aを設け、更に、該無光沢Niメッキ層12Aの表
面側に光沢Niメッキを施して光沢Niメッキ層13Aを設け
ている。
上記第4実施例では表面側のFe−Ni拡散層に対しての
み、無光沢Niメッキおよび光沢Niメッキ層を積層して設
けているが、裏面側のFe−Ni拡散層にも無光沢Niメッキ
層と光沢Niメッキ層を積層しても良く、かつ、これら差
厚のFe−Ni拡散層の片面あるいは両面に、同厚あるいは
差厚で無光沢Niメッキのみ或いは光沢Niメッキのみを付
着しても良い。
次に、前記した鋼素地10の表面側および裏面側の片面
づつへのNiメッキ装置およびメッキ方法について第10図
から第14図を参照して説明する。
鋼素地10への片面づつのNiメッキ方法は、概略的に
は、第10図に示すようにコイル状に巻回したシート状の
鋼素地10を巻き出しながら第1メッキ槽40に搬送し、該
第1槽40で鋼素地10の表面側にNiメッキ11A′を施した
後、第2槽41へ連続的に搬送し、鋼素地10の裏面側にNi
メッキ11B′を施し、この表裏両面にNiメッキ11A′、11
B′を施した鋼素地10をコイル状に巻き取っている。
詳しくは、第1槽40の入口側の上方に、シート状の鋼
素地10と接触して、該鋼素地10を陰極とするコンダクタ
ロール42を設置している。該コンダクタロール42は鋼素
地10を第1槽40の内部に案内するガイドロールも兼ねて
いる。第1槽40および第2槽41は同様な構造であり、よ
って、第11図から第14図に示す第1槽40について説明し
て、第2槽41の説明は省略する。
図示の如き横長矩形状の外槽43の内部に、長さ方向の
全長にわたって前後一対の仕切壁44を設置し、該仕切壁
44および外槽43の左右外壁43aで囲繞されたメッキ槽45
を形成している。該メッキ槽45の左右両側には仕切壁44
の上面とわずかな間隔をあけてガイドロール46、47を設
置しており、かつ、出口側(図中右側)のガイドロール
47の上方にコンダクタロール48を設置している。よっ
て、コイルより巻き出されるシート状の鋼素地10はコン
ダクタロール42、ガイドロール46、47およびコンダクタ
ロール48により支持されて、第1槽40内に挿入され、メ
ッキ槽45の仕切壁44の上面に沿って水平に搬送され、出
口側で第1槽40より導出されて、第2槽41に導かれる。
その際、第1槽40では仕切壁44の上面と対向する鋼素地
10の下面が表面側となり、第2槽41では仕切壁44の上面
と対向する鋼素地10の下面が裏面側となるように設定し
ている。
メッキ槽45の内部には陽極玉49(カソードボール)を
配置すると共に、該メッキ槽45の長さ方向(鋼素地搬送
方向)の一端にメッキ液噴出用のノズルパイプ50を設置
し、メッキ槽45内にメッキ液を吐出している。該メッキ
液はメッキ槽45の内部で一杯となり、仕切壁44の上面と
鋼素地10の下面の間の隙間から溢出する程度に吐出して
いる。よって、該メッキ液によりメッキ槽45の上面に位
置する鋼素地10の下面のみがメッキされる。上記溢出し
たメッキ液は外槽43とメッキ槽45の間の前後両側のメッ
キ液溜51に集められ、メッキ槽45の他端の底面に穿設し
たドレン穴52より排出している。ドレン穴52はドレン管
53と接続し、該ドレン管53を通してメッキ液溜54にメッ
キ液を回収している。該メッキ液溜54からポンプ55によ
りメッキ液を供給管56を通して上記ノズルパイプ50に送
り、メッキ液を循環させている。
上記した装置において、ガイドロールに支持されたシ
ート状の鋼素地10は、その下面側のみがメッキ槽の上面
に位置されるため、下面のみメッキが付着される。この
ように、コイル体から巻き出されるシート状の鋼素地に
対して、表裏両面に片面ずつメッキを施すことが出来、
よって、表裏両面に同一厚さのメッキを施すことも出来
ると共に、厚さを相違させてメッキを施すことも出来
る。
尚、鋼素地の表裏両面に対する片面ずつのメッキ方法
は、上記方法に限定されず、例えば、片面をシールした
状態でメッキ浴中に浸漬すること等によっても可能であ
る。また、鋼素地の表裏両面に同時に差厚のメッキを施
すことも可能である。
第15図および第16図は上記鋼素地にFe−Ni拡散層およ
びNiメッキ層を積層したNiメッキ鋼板で成型した容器10
0を示している。該容器100は後述するように、鋼素地の
表面にFe−Ni拡散層を形成した後、Niメッキを施してか
らプレス成型して製造する第1の方法と、Fe−Ni拡散層
を形成した鋼板を所要寸法に切断した後、プレス成型し
て容器を成型し、該容器に対してNiメッキを施して製造
する第2の方法とにより製造しえる。
まず、第1の方法であるFe−Ni拡散層を形成した後、
Niメッキを施し、該Niメッキ鋼板をプレス成型して容器
100を製造する方法を説明する。
該成型品の製造方法は、第17図および第18図に示すよ
うに、鋼素地10の表裏両面に差厚のFe−Ni拡散層11A、1
1Bを形成している。尚、本実施例では、裏面側のFe−Ni
拡散層11Bを表面側のFe−Ni拡散層11Aより厚くしてい
る。この表裏両面にFe−Ni拡散層を備えた鋼板を調質圧
延する。ついで、表面側のFe−Ni拡散層11Aの表面にの
みNiメッキ(本実施例ではNiメッキは光沢Niメッキの
み)を施してコイルに巻き取る。ついで、該コイル体を
所要寸法に切断した後、プレス成型で第15図および第16
図に示す一端開口の円筒状の成型品100を製造してい
る。
上記したように、プレス成型加工の前にNiメッキを行
い、メッキ工程を終了した後にプレス成型する場合に
は、ラインにより自動化が容易であるため、生産性が高
く、コストダウンを図ることが出来る。
第19図および第20図は上記第2の方法による容器の製
造工程を示すものであり、鋼素地10の表裏両面に同時に
同厚のNiメッキを施し、鋼素地10の表裏両面に同厚のFe
−Ni拡散層11A、11Bを形成している。上記Fe−Ni拡散層
11A、11Bを備えた鋼板のコイル体を、コイル状にて各寸
法巾にスリッティング(切断)し、次いで、連続プレス
機(図示せず)にて打ち抜き、第15図および第16図に示
すような一端開口の円筒状容器からなる成型品100′を
形成している。
上記プレス成型の後、成型された容器100′に対してN
iメッキを施す。該メッキは成型品をメッキする場合に
通常用いられている第21図から第23図に示すバレルメッ
キ装置30によるメッキ方法(通称、ガラメッキ)が好適
に用いられる。
上記バレルメッキ装置30において、31は陽極(+)、
32は陰極(−)であり、メッキ槽33のメッキ浴中に陽極
31と接続した陽極板34を吊設すると共に、成型品100′
を充填しているバレル(カゴ)35に陰極接点36を設け、
該陰極接点を上記陰極32と接続している。
上記バレル35の内部には大量の成型品100′を互いに
接触する状態で充填している。例えば、単三用電池のケ
ースでは数百〜数千個程度のケースをバレル内に一度に
充填することが出来る。このように成型品100′を充填
したバレル35をメッキ槽33の内部で回転させながらメッ
キする。このバレルメッキ方法により円筒状容器をメッ
キする際、容器1ケ1ケのメッキ厚を均一にすることは
不可能であると共に、容器の外面側にはメッキはほぼ完
全に所要の厚さで付着させることが出来るが、内面側に
は容器同士が互いに重なりあったり、形状が円筒状であ
ること等によりメッキが付着しにくく、薄くしか付着し
ない。よって、円筒状容器100の内面側にはFe−Ni拡散
層11Bの表面にNiメッキ層が不均一にしかもごく薄くし
か形成されず、一方、容器100の外面側にはFe−Ni拡散
層11Aの表面にほぼ所要の厚さのNiメッキ層が積層され
るという不利益が見られる。
しかし、一般に上記バレルメッキ方法やスポットメッ
キ(タコ掛けメッキ)等によりメッキを施こす場合、凸
部にメッキが厚く付着するため、円筒状容器100′の90
度曲げ部分に厚くメッキが付着するという特性があり、
当該部分は前工程のプレス曲げ成型時にクラックが発生
しやすい部分でもあることから、Fe−Ni拡散層形成後、
プレス成型した後、再度メッキを施す方法では、プレス
成型時に該部分にクラックが発生していても厚くメッキ
が付着されるために、Fe−Ni拡散層形成後にNiメッキを
施した後、プレス成型した成型品より耐食性の良い容器
100が製造されるという利点がある。
上記成型品に対するメッキ方法として、前述の如く、
成型品を一つ一つメッキ浴槽にフック等で吊設するスポ
ットメッキ(通称、タコ掛けメッキ方法)等も可能であ
るが、コスト的に高い為、あまり適さない。
尚、上記実施例では、バレルメッキするNiメッキは、
無光沢Niメッキと光沢Niメッキとからなり、まず、上記
バレルメッキ装置により無光沢Niメッキを施し、Fe−Ni
拡散層11A、11Bの表面に無光沢Niメッキ層を形成し、つ
いで、別のバレルメッキ装置により光沢Niメッキを施
し、上記無光沢Niメッキ層の表面に光沢Niメッキ層を形
成している。
第24図および第25図は、差厚のFe−Ni拡散層11A、11B
を形成した鋼板をプレス成型した後、バレルメッキ等で
Niメッキを施す工程を示すものである。
上記プレス成型した容器100′は、表面側の薄厚のFe
−Ni拡散層11Aを円筒状の外面側とし、裏面側の厚いFe
−Ni拡散層11Bを内面側としている。本実施例では円筒
状容器の内部に充填する部材の関係より、容器内面側に
特に耐食性が要求される場合に対応させている。よっ
て、容器の内面側より外面側に耐食性が要求される場
合、例えば、特に外面の耐食性が要求される電池ケース
等の場合には厚いFe−Ni拡散層がある裏面側を容器の外
面側となるようにプレス成型することが好ましい。この
場合、Fe−Ni拡散層が厚い外面側に、絞り角度を90度と
する成型時に、クラックが発生しやすいが、成型後にNi
メッキをするためにクラックを保護することが出来る。
《実験例》 上記本発明に係るNiメッキ鋼板と従来のNiメッキ鋼板
の耐食性試験を行った。
試験片として、下記の表に掲げるように、本発明の前
記第1実施例に係るNo.1、2、3のNiメッキ鋼板と、従
来のNo.4、5のNiメッキ鋼板を設けた。表に示すよう
に、本発明の3種類のNiメッキ鋼板は、1回目のメッキ
付着量のみを変化させ、他の条件は同一として、Fe−Ni
拡散層の厚さを夫々1.6μ、2.6μ、4.5μとしている。
従来のNiメッキ鋼板は鋼素地にNiメッキ層を直接形成し
たものである。
試験方法は夫々の試験片について第26図に示す単3乾
電池のトップケーシングの形状に深絞り加工を行った加
工後と、加工前の前後について、夫々JIS Z2371に準じ
た塩水噴霧試験を行い、レイティングNo.8を基準として
耐食性を調べる方法を取った。なお、深絞り加工後につ
いては第26図の部分Aの角部分についてその耐食性を調
べた。その結果、表に示すように、本発明に係るNiメッ
キ鋼板はいずれも加工前と加工後の耐食性にほとんど差
は認められなかった。一方、従来のNiメッキ鋼板は加工
前には、本発明のNiメッキ鋼板と耐食性に大きな差異は
認められないが、加工後の耐食性は著しく本発明に係る
Niメッキ鋼板より劣っていた。上記実験より、本発明に
係るNiメッキ鋼板は加工後においても耐食性が低下しな
いことが確認できた。
効果 以上の説明より明らかなように、本発明によれば、鋼
素地に施したNiメッキを焼鈍処理して、該Niメッキを全
てFe−Ni拡散層とするために、均一な厚さのFe−Ni拡散
層を設けることが出来ると共に、該Fe−Ni拡散層の厚さ
を任意の厚さに制御することが出来る。また、このよう
な均一な厚さのFe−Ni拡散層の表面にNiメッキを施すた
め、該Niメッキ層の厚さも均一とすることが出来、よっ
て、均一な厚さのFe−Ni拡散層およびNiメッキ層を有す
るNiメッキ鋼板を製造することができる。また、Fe−Ni
拡散層の厚さ自体も任意に制御出来ることより、鋼素地
の表裏両面に同厚あるいは差厚のFe−Ni拡散層およびNi
メッキ層を形成することも可能となる。
上記の方法により製造されるNiメッキ鋼板は、均一の
厚さのFe−Ni拡散層およびNiメッキ層を有しているた
め、従来のようにFe−Ni拡散層の厚さが薄すぎたり或い
は厚過ぎたりすることはないため、製品に加工した後に
おける耐食性にバラツキが生じることがない。
また、Fe−Ni拡散層の表面にNiメッキ層を施すため、
光沢Niメッキを施した場合は、深絞り加工などをおこな
った場合も、Niメッキ鋼板表面の鏡面が確保でき、品質
の向上などを図ることが出来る。特に、Fe−Ni拡散層を
形成した後に、プレス等により成型品に加工し、つい
で、バレルメッキ等でメッキを施す場合には、成型加工
時に発生するクラックを後メッキによりカバーして保護
することが出来、しかも、後メッキであるために鏡面性
を確実に確保することが出来る等の利点を有する。一
方、Fe−Ni拡散層を形成し、Niメッキを施した後に、プ
レス加工等で成型する場合には、Niメッキ厚を両面同
厚、差厚、あるいは必要な面のみNiメッキを施す等、用
途に応じて任意に選択でき、しかも表面全面において均
一なメッキ厚を確保することが出来る為、品質の安定や
向上を図ることが出来ると共に、自動化ラインにのせや
すく、よって、安価にNiメッキ鋼板からなる容器を製造
することが出来る等の利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るNiメッキ鋼板の第1実施例を示す
断面図、第2図、第3図および第4図は第1実施例のNi
メッキ鋼板の製造方法を示す断面図、第5図は本発明の
第2実施例のNiメッキ鋼板の断面図、第6図は本発明の
第3実施例のNiメッキ鋼板の断面図、第7図は本発明の
第4実施例のNiメッキ鋼板の断面図、第8図は第4実施
例の製造工程を示すブロック図、第9図は第4実施例の
製造工程を概略的に示す断面図、第10図は上記製造工程
で用いる鋼素地に対する片面メッキ装置の概略図、第11
図は第10図に示す第1メッキ槽の平面図、第12図は第11
図のX−X線断面図、第13図は第11図のY−Y線断面
図、第14図は第11図のZ−Z線断面図、第15図は本発明
に係わるNiメッキ鋼板で成型する容器の斜視図、第16図
は第15図に示す容器の断面図、第17図は上記容器の第1
の方法に係わる製造工程を示すブロック図、第18図は第
17図に示す製造工程を概略的に示す断面図、第19図は上
記容器の第2の方法に係わる製造工程を示すブロック
図、第20図は第19図の製造工程を概略的に示す断面図、
第21図は該製造工程で用いるバレルメッキ装置の概略平
面図、第22図は第21図の概略断面図、第23図はバレル内
部に容器を充填している状態を示すための図面、第24図
は上記第2の方法の変形例を示す製造工程のブロック
図、第25図は第24図に示す製造工程の概略断面図、第26
図は実験例のために製造した電池のトップケーシングの
断面図、第27図は従来のFe−Ni拡散層を有するNiメッキ
鋼板の欠点を示す断面図、第28図も従来の欠点を比較し
て示す断面図、第29図はFe−Ni拡散層を有する両面Niメ
ッキ鋼板の従来の欠点を示す断面図である。 1、10……鋼板素地、 2、11(11A、11B)……Fe−Ni拡散層、 3、12(12A、12B)……Niメッキ層、 13……光沢メッキ層、 100……容器。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼素地の表裏両面の少なくとも一方の面
    に、薄い厚さでNiメッキを施した後、中性あるいは還元
    性ガス雰囲気中において加熱して焼鈍処理し、上記Niメ
    ッキを全てFe−Ni拡散層として鋼素地の表面に一定厚さ
    のFe−Ni拡散層を形成し、ついで、該Fe−Ni拡散層を備
    えた鋼板を所要の寸法に切断し、該切断した鋼板をプレ
    ス成型して容器等からなる成型品を形成し、該成型品の
    少なくとも一方面側のFe−Ni拡散層の表面に、Niメッキ
    を施して形成することを特徴とするNiメッキ鋼板からな
    る成型品の製造法。
  2. 【請求項2】鋼素地の表面に、薄い厚さでNiメッキを施
    した後、中性あるいは還元性ガス雰囲気において加熱し
    て焼鈍処理し、上記Niメッキを全てFe−Ni拡散層として
    鋼素地の表面に一定厚さのFe−Ni拡散層を形成した後、
    無光沢Niメッキを施し、その後、少なくとも一方の表面
    側に光沢メッキを施して、鋼素地、Fe−Ni拡散層、無光
    沢メッキ層、光沢メッキ層が夫々略直線状の界面を隔て
    て積層するNiメッキ鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】上記1回目のNiメッキは1.5〜9.0g/m2付着
    し、該メッキ後にH2、N2混合ガス雰囲気中で500℃〜800
    ℃で0.5分〜36時間の焼鈍処理を行って、1.0〜5.0μの
    厚さのFe−Ni拡散層を形成し、ついで、調質圧延を行っ
    た後、上記2回目のNiメッキを行い、9.0〜54g/m2付着
    して1.0〜6.0μの無光沢Niメッキ層を形成し、ついで、
    3回目のNiメッキを行い、少量の有機物を添加して4.5
    〜13.5g/m2付着し、0.5〜1.5μの厚さの光沢Niメッキ層
    を形成する請求項2に記載のNiメッキ鋼板の製造法。
  4. 【請求項4】鋼素地の表面全体にわたって1.0μ〜5.0μ
    のFe−Ni拡散層を備えると共に、該一定厚さのFe−Ni拡
    散層の表面全体に1.0〜6.0μの厚さのNiメッキ層を備
    え、該Niメッキ層と上記Fe−Ni拡散層とが略直線状の界
    面を介して積層され、板厚方向における鋼素地、Fe−Ni
    拡散層およびNiメッキ層の割合が全体にわたって略均一
    であると共に、鋼素地、Fe−Ni拡散層およびNiメッキ層
    の夫々の厚さが一定であることを特徴とするNiメッキ鋼
    板。
  5. 【請求項5】鋼素地の表面全体にわたって均一な一定厚
    さのFe−Ni拡散層を備えると共に、該一定厚さのFe−Ni
    拡散層の表面全体に無光沢Niメッキ層を備え、該無光沢
    Niメッキ層の少なくとも一方側の表面全体に光沢メッキ
    層を備え、表層部を鏡面仕上げとし、かつ、鋼素地とFe
    −Ni拡散層面、Fe−Ni拡散層と無光沢Niメッキ層、無光
    沢Niメッキ層と光沢Niメッキ層とがそれぞれ略直線状の
    界面を介して積層されると共に、板厚方向の割合が全体
    にわたって略均一であることを特徴とするNiメッキ鋼
    板。
  6. 【請求項6】上記Fe−Ni拡散層は1.0〜5.0μの厚さと
    し、上記無光沢Niメッキ層は1.0〜6.0μの厚さとし、上
    記光沢Niメッキ層は0.5〜1.5μとしている請求項5に記
    載のNiメッキ鋼板。
  7. 【請求項7】上記鋼素地の両面にFe−Ni拡散層を備え、
    該Fe−Ni拡散層に夫々同一厚さ、あるいは異なる厚さの
    無光沢Niメッキ層を備え、該無光沢メッキ層の少なくと
    も一方側に光沢Niメッキ層を備えている請求項5または
    請求項6に記載のNiメッキ鋼板。
  8. 【請求項8】請求項5乃至7のいずれか1項に記載のNi
    メッキ鋼板を深絞り加工して電池のトップケーシングを
    形成し、該トップケーシングの表面に上記光沢Niメッキ
    がなされている電池のトップケーシング。
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