JP4720459B2 - 表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐錆性、耐食性に優れ、さらに皮膜の経時安定性(黄変性、塗料密着性)にも優れる表面処理鋼板およびその製造方法に関し、特に電解クロム酸処理鋼板(ティンフリースチール、以下TFS)代替のCrフリー鋼板として好適な表面処理鋼板およびその製造方法に関する。
鋼板表面に金属CrとCr酸化物を有するTFSは、塗装前の一次防錆性と塗料密着性に優れる性質を有することから、特に塗装缶用の下地鋼板として広く使用されている。TFSはその製造過程で6価のCrを含む水溶液にて電解処理が施される。電解処理にて形成される皮膜は0価と3価のCrのみであり、電解処理後は水や湯洗浄を行うことから、6価のCrは皮膜に含有されない。しかしながらCrを含有する処理液を使用することから、排水処理、排気処理等の環境負荷対応設備費用が今後さらに増加することが懸念され、また製品は0価と3価のCrのみであってもCrに対するイメージから一般的に敬遠される可能性もある。ますます環境問題がクローズアップされる今後は、皮膜中にCrを含まない脱Cr化製品(Crフリー鋼板)への要求が高まると考えられる。
TFS代替のCrフリー鋼板として、特許文献1〜3等がある。特許文献1は、鋼板上にリン酸塩層を有する皮膜構造を有する。鋼板上に化成処理皮膜のみの場合、金属めっきに比べバリア効果が低いためか、耐錆性や耐食性が劣る問題がある。化成処理の主流であるクロメートでさえも化成処理皮膜単独では缶用鋼板としての性能を十分満足しないため、下層に金属Cr層を有する皮膜構造を有する。したがって、特許文献1に開示された技術も耐錆性や耐食性を満足するものでは無かった。
一方、特許文献2は、鋼板上にSn、Zn、Niから選ばれた少なくとも1種の金属と鉄との合金層とその上層にシランカップリング剤処理層とさらにその上層に熱可塑性ポリエステル樹脂層を有する鋼板をプレス成形した缶である。これはプレス成形に耐えうるポリエステルフィルムとの密着性に優れた下地皮膜層としてシランカップリング処理層を有する。シランカップリング処理薬剤は高価であり、TFS代替としてプレス加工しない場合や塗装缶の場合にはかなりのコストアップになってしまい、実用的でない。また食品用途として従来使用されたことのない皮膜層を有する場合、食品用缶としての適正を判断するための試験の費用と時間を必要とする。
また、特許文献3は、鋼板上にFe−Ni拡散層とその上層にNi層、さらにその上層にNi−Sn合金層と最上層に0.1mg/m以上10mg/m以下の非合金化金属Sn層を有する皮膜構造を有する。非合金化金属Sn層を有する場合、その表層にSn酸化物皮膜が形成される。Sn酸化物皮膜は脆くて凝集破壊を起こしやすいため、塗膜剥離の原因となりやすい。また経時によりSn酸化物皮膜量は増加し、塗料密着性が劣化するだけでなく、表面が黄変する問題も引き起こす。そのため、従来の錫めっき鋼板ではSn層上にクロメート処理やリン酸塩処理等の化成処理を施すことによって、Sn酸化物を還元させたり、それ以上酸化物皮膜が形成されにくいようにしている。特許文献3もクロメート処理皮膜やリン酸塩処理皮膜を有しない場合は、経時により塗料密着性の劣化や外観の黄変を生じるといった問題を生じる。
一方、Sn付着量を低減した溶接缶用薄めっきぶりきに関する技術として特許文献4〜6等がある。
特許文献4はSnめっきをSn−Ni合金めっきとして皮膜形成し、非合金化Snを低減しようとするものである。NiによりSnの合金化を促進しようとするものであり、価格の高いNiめっき量を多く必要としてコスト高になるだけでなく、Sn−Ni合金めっきだけでは充分な塗料密着性や耐食性が得られないため、クロメート処理を施す必要があり、Crフリー鋼板とはならないものであった。
特許文献5は、缶外面側はSnを完全に合金化するものであるが、缶内面には合金化していない金属Snを残存させクロメート処理を施すものである。TFS代替に見合うコストと塗料密着性を有し尚且つCrフリー鋼板を達成したものでは無い。
特許文献6はFe−Sn合金層とその上層にNiめっき層を有するものである。Niめっきを単独めっき層として最表層に有するため、傷や欠陥部、端面等鋼板のFeが露出された部分と電位差を生じ局部的に鉄が溶解し耐錆性や耐食性が劣る。
特開2001−220685号公報 特開2003−267336号公報、 特開2005−29808号公報 特開昭63−266094号公報 特公平8−26477号公報 特開昭59−205494号公報
本発明の課題は、耐錆性、耐食性に優れ、さらに皮膜の経時安定性(黄変性、塗料密着性)にも優れる表面処理鋼板およびその製造方法を提供することである。
また、本発明の課題は、TFS代替のCrフリー鋼板として食品缶用途にも使用できる表面処理鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らはTFS代替のCrフリー鋼板としてまず、従来技術の特許文献1のように鋼板上に種々の化成処理皮膜を形成させることを試みた。しかしながら化成処理皮膜はその上層の有機樹脂皮膜層や下層の金属層との密着性に優れることはあっても耐錆性や耐食性が劣ることがわかった。酸素や水分のバリア性という観点からはやはり酸化物よりも金属が優れており、少量でも金属めっき層を有することで飛躍的に耐錆性や耐食性が向上することがわかった。特に湿潤環境にさらされず、塗料の一次密着性しか要求されない化粧缶等のような缶については、高価な薬剤を使用したり、食品用缶として実績の無い薬剤を使用する必要が無く、既存設備を使用してTFS代替のCrフリー鋼板の製造が可能となった。また新規な薬剤処理が追加されないため、コスト面や安全性についての検証の問題点も解決できた。
さらに、本発明者らは、ぶりきや薄目付けぶりきのCrフリー化成処理も検討した。皮膜としては、錫めっき層は従来のぶりきや薄目付けぶりきと同じ皮膜で表層のクロメート皮膜をCrフリー化成処理皮膜にした。その結果錫めっき量が少ない程、塗料密着性が良好で経時による表面黄変の問題が少なくなることがわかった。このことから、TFS代替のCrフリー技術(鋼板)として、鋼板表面に合金化していない金属Snを有しない全合金化錫めっき層を設けることを想到し、本発明に至った。
本発明の要旨は以下に記載するとおりである。
(1)鋼板の少なくとも片面にFe−Sn合金層を有し、該Fe−Sn合金層上の非合金化Sn量が0.1mg/m未満であることを特徴とする表面処理鋼板(第1発明)。
(2)鋼板の少なくとも片面にFe−Ni合金層を有し、該Fe−Ni合金層上にFe−Ni−Sn合金層を有し、該Fe−Ni−Sn合金層上の非合金化Sn量が0.1mg/m未満であることを特徴とする表面処理鋼板(第2発明)。
(3)前記Fe−Sn合金層または前記Fe−Ni−Sn合金層の片面あたりのSn付着量が0.01〜1.0g/mであることを特徴とする(1)または(2)記載の表面処理鋼板(第3発明)。
(4)冷延鋼板に焼鈍、調質圧延したのち、片面あたりのSn付着量が0.01〜1.0g/mとなるようにSnめっき処理を施し、その後加熱溶融処理を施して非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法(第4発明)。
(5)冷延鋼板の両面にNiめっき処理、焼鈍、調質圧延を順次施したのち、片面あたりのSn付着量が0.01〜1.0g/mとなるようにSnめっき処理を施し、その後加熱溶融処理を施して非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法(第5発明)。
(6)加熱溶融処理を施して非合金化Sn量を0.1mg/m未満としたのち、電解質水溶液中で1〜10C/dmの陰極電解処理を施すことを特徴とする(4)または(5)記載の表面処理鋼板の製造方法(第6発明)。
本発明によれば、耐錆性、耐食性に優れ、さらに皮膜の経時安定性(黄変性、塗料密着性)にも優れる表面処理鋼板が得られる。本発明の表面処理鋼板は、Crを全く使用しない皮膜を有する鋼板であり、食品缶用鋼板として使用された場合も安全である。
本発明の表面処理鋼板は、(1)鋼板の少なくとも片面にFe−Sn合金層を有し、該Fe−Sn合金層上の非合金化Sn量が0.1mg/m未満である(第1発明)、または(2)鋼板の少なくとも片面にFe−Ni合金層を有し、該Fe−Ni合金層上にFe−Ni−Sn合金層を有し、該Fe−Ni−Sn合金層上の非合金化Sn量が0.1mg/m未満である(第2発明)。
第1発明の表面処理鋼板は、鋼板の少なくとも片面にFe−Sn合金層を有することで耐錆性と耐食性に優れる作用を奏する。また、Fe−Sn合金層上の非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることにより、塗料密着性に優れ、経時による塗料密着性の劣化や外観の劣化の無い鋼板が得られる。
第1発明の表面処理鋼板は、冷延鋼板に焼鈍、調質圧延したのち、片面あたりのSn付着量が0.01〜1.0g/mとなるようにSnめっき処理を施し、その後加熱溶融処理することによって製造される。Fe−Sn合金層は加熱溶融処理で形成される。Snめっきは一般的に使用されているフィロスタン浴、ハロゲン浴、MSA浴等を用いて行えば良い。
加熱溶融処理は、めっきした金属Snを非合金化Sn量が0.1mg/m未満となるように錫融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理を施す。具体的には抵抗加熱法又は高周波加熱法により加熱する。
非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることにより、塗料密着性に優れ、経時による塗料密着性の劣化や外観の劣化の無い鋼板が得られる。ここでいう非合金化Sn量が0.1mg/m未満とは、JIS G 3303−1969の付属書に規定される電解はく離法によるぶりきのすず付着量試験方法において、電位−時間曲線において合金化していない表面すずの溶解による停滞電位が無く、直ちに合金すず溶解電位が現れる場合を指す。
Snめっき付着量は片面あたり0.01〜1.0g/mとすることが好ましい。0.01g/m未満ではめっきによる耐錆性、耐食性の効果が現れないことがあるためである。1.0g/m超では加熱溶融処理で非合金化Sn量を0.1mg/m未満にすることが難しいためである。また高速製造性の観点からは、Sn付着量は少な目のほうが望ましく、0.01〜0.5g/mが好ましい。
第2発明の表面処理鋼板は、鋼板の少なくとも片面にFe−Ni合金層を有し、該Fe−Ni合金層上にFe−Ni−Sn合金層を有することで、耐食性、塗料密着性、耐錆性に優れる。すなわち、Fe−Ni−Sn合金層は緻密な構造であるために薄くてもピンホールが少なく耐食性に優れた性質を有する。また合金層にNiを含有することにより、塗料密着性も向上する。この理由は定かではないが、おそらく最表層に形成される酸化物の形態に何らかの影響を及ぼすものと考えられる。
NiはFe−Ni合金層として鋼板表面に存在することによって、Feの電位をやや貴な方向にシフトし、Feの溶出速度すなわち腐食速度を低減させる。一方、Niが単独のNiめっき層として残存する場合は、逆に貴なNiとFeあるいはFe−Ni合金との間に電位差を生じ、Feの溶解を促進させるからである。
第2発明の表面処理鋼板は、冷延鋼板の両面にNiめっき処理、片面あたりのSn付着量が0.01〜1.0g/mとなるようにSnめっき処理を施し、その後加熱溶融処理することによって製造される。Fe−Ni−Sn合金層は加熱溶融処理で形成される。
焼鈍および調質圧延をNiめっき処理後Snめっき処理前に行っても良いし、焼鈍および調質圧延後Niめっき処理とSnめっき処理を続けて行っても良い。Niめっき処理、焼鈍、調質圧延を順次施したのち、Snめっき処理を施すことがNiが鋼中により深く拡散するため、耐錆性の点から好ましい。
Niめっき処理方法は限定されない。一般的に用いられるワット浴、硫酸浴、スルファミン酸浴などを用いることができる。
Niめっき付着量は片面あたり0.002〜0.1g/mが好ましい。Niめっき付着量が0.002g/m未満の場合は上記に記載したような緻密な合金層が形成されなくなり、耐食性向上効果が得られなくなる。一方Niめっき付着量が0.1g/mを超えた場合は、最終工程後もNiめっきが単独のNiめっき層として不必要に残存してしまい、コスト高になるだけではなく、却って耐食性を劣化させる。
焼鈍は、鋼板を還元性雰囲気中で連続焼鈍処理することが好ましい。還元性雰囲気としては特に制限されず、例えばNとHの混合雰囲気等が挙げられる。また焼鈍温度は、650℃〜750℃で30秒〜10分間行われる。調質圧延は伸び率が1.5〜2%の処理を行うことが好ましい。
加熱溶融処理ではめっきした金属Snを非合金化Sn量が0.1mg/m未満となるように加熱し、合金化する。非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることにより、塗料密着性に優れ、経時による塗料密着性の劣化や外観の劣化の無い鋼板が得られる。
Snめっき付着量は、前述のとおり片面あたり0.01〜1.0g/mとすることが好ましい。0.01g/m未満ではめっきによる耐錆性、耐食性の効果が現れにくいためである。1.0g/m超ではFe−Sn合金にさらにNiが入った場合、加熱溶融処理時に金属Snをはじいて島状金属Snを形成しやすいため、非合金化Sn量を0.1mg/m未満とするのが非常に困難となりやすく、合金化するための加熱処理コストがかかる上、それ以上の耐錆性、耐食性効果が得られない傾向にある。
上述の各表面処理鋼板の製造方法において、加熱溶融処理後に電解質水溶液中で陰極処理することがさらに好ましい。これによって塗料密着性をさらに向上させることができる。Snめっき後すぐに金属Sn表面にはSn酸化物皮膜が形成され、さらに加熱溶融処理時には合金化が下地鉄との界面から進み、表面は金属Snが高温状態にさらされるため、さらにSn酸化物皮膜が形成される。加熱溶融処理後に電解質水溶液中で陰極処理することによってSn酸化物皮膜を還元し、塗料密着性をさらに向上させることができる。電解質水溶液は、めっき層が溶解しないことや耐食性等に悪影響を及ぼさないことが好ましく、例えばNaCO水溶液やNaHCO水溶液などの中性〜弱アルカリ性水溶液が好適に使用できる。陰極処理は1〜10C/dm程度で行う。
本発明で用いる冷延鋼板(めっき原板)は、公知のめっき原板を使用できる。板厚も特に限定されないが、例えば0.12〜0.60mmのものを使用できる。
上述の本発明の表面処理鋼板は、耐錆性、耐食性に優れ、さらに経時による表面の黄変、塗料密着性低下の問題がなく、また、この表面処理鋼板は、Crを全く使用しない皮膜を有する鋼板であり、環境対応商品としての付加価値を高めることができるだけでなく、食品缶用鋼板として使用された場合も安全である。
本発明の表面処理鋼板の製造過程ではCrを含有する処理液を全く使用しないことや他の化成処理薬剤も使用しないことにより、排水処理、排気処理等の環境負荷対応が簡便になる。
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、実施例では冷延鋼板の両面に以下に示す製法による処理を施した。
(製法A)冷間圧延後のめっき原板(厚さ0.2mm)を電解脱脂した後、後述する(a)浴を用いてNiめっきを行い、10vol%H+90%volN雰囲気中で700℃で焼鈍し、Niめっきを拡散浸透させた。この鋼板を伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗を行い、後述する(b)浴を用いてSnめっきした。引き続きSnの融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理した。
(製法B)冷間圧延後焼鈍、調質圧延を施しためっき原板(厚さ0.2mm)をアルカリ電解脱脂、硫酸酸洗した後(a)浴を用いてNiめっきを施し、さらに後述する(c)浴を用いてSnめっきを施し、Snの融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理した。
(製法C)冷間圧延後焼鈍、調質圧延を施しためっき原板(厚さ0.2mm)をアルカリ電解脱脂、硫酸酸洗した後(b)浴を用いてSnめっきを施し、Snの融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理した。
(製法D)冷間圧延後のめっき原板(厚さ0.2mm)を電解脱脂した後、(a)浴を用いてNiめっきを行い、10vol%H+90vol%N雰囲気中で700℃で焼鈍し、Niめっきを拡散浸透させた。この鋼板を伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗を行い、(b)浴を用いてSnめっきした。引き続きSnの融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理し、さらに30g/lの炭酸水素ナトリウム水溶液中で5C/dmの陰極電解処理を行った。
(製法E)冷間圧延後焼鈍、調質圧延を施しためっき原板(厚さ0.2mm)を電解脱脂した後、(a)浴を用いてNiめっきを行い、10vol%H+90vol%N雰囲気中で700℃で焼鈍し、Niめっきを拡散浸透させた。この鋼板を伸び率1.5%の調質圧延を行った後、脱脂、酸洗を行い、(b)浴を用いてSnめっきした。
(製法F)冷間圧延後焼鈍、調質圧延を施しためっき原板(厚さ0.2mm)をアルカリ電解脱脂、硫酸酸洗した後、後述する(d)浴に5秒浸漬して0.5g/mのリン酸亜鉛皮膜を形成した。
(製法G)冷間圧延後焼鈍、調質圧延を施しためっき原板(厚さ0.2mm)をアルカリ電解脱脂、硫酸酸洗した後(b)浴を用いてSnめっきを施し、Snの融点以上の温度に加熱保持する加熱溶融処理した。引き続き後述する(e)液を塗布後到達板温100℃で乾燥した。
(a)〜(e)浴の組成は下記の通りである。
(a)浴(Niめっき浴)
硫酸ニッケル 250g/l
塩化ニッケル 45g/l
ほう酸 30g/l
(b)浴(Snめっき浴)
Sn2+ 20g/l
遊離メタンスルホン酸 25g/l
光沢剤 適量
酸化防止剤 適量
(c)浴(Snめっき浴)
硫酸第一錫 55g/l
フェノールスルホン酸(65%) 35g/l
光沢剤 適量
(d)浴(リン酸Zn浴)
Znイオン 4g/l
Niイオン 1g/l
Mn2+イオン 0.5g/l
PO 3−イオン 10g/l
NO イオン 適量
(e)液(シランカップリング剤水溶液)
3−アミノプロピルトリエトキシシラン 15g/l
以下に得られた鋼板の試験方法を述べる。
1)全Niめっき量
蛍光X線分析により予め付着量既知のサンプルを測定して得た検量線を用いて求めた。
2)Sn合金めっき量、非合金化金属Sn量
JIS G 3303−1969付属書の電解はく離法を用いて求めた。
3)Tピール試験(塗料密着性試験)
2枚の試料表面にそれぞれエポキシ・フェノール系塗料を50mg/dmとなるように塗装し、鋼板温度として210℃で10分焼付けた後、塗装面同士をナイロンフィルムを挟んで向かい合わせにしてホットプレスにて圧着し、これを5mm幅の試験片に分割し引張り試験片を作成した。向かい合って接着された鋼板の接着強度を引張り試験機にて測定した。引張り強度が2.5kg/5mm以上を◎、1.5kg/5mm以上2.5kg/5mm未満を○、1.0kg/5mm以上1.5kg/5mm未満を△、1.0kg/5mm未満を×とした。
4)鉄溶出試験(耐食性試験)
試料表面にそれぞれエポキシ・フェノール系塗料を50mg/dmとなるように塗装し、鋼板温度として210℃で10分焼付けた後、4cm×8cmのサイズに切り出し、裏面と端面をシールした。塗装面にカッターにて地鉄に達するまでのカット(4cm長さ)を2本入れ(クロスカット)、1.5mass%NaCl水溶液と1.5mass%クエン酸水溶液を同量ずつ混合した試験液80mlに浸漬し、55℃で4日間経過した後取り出して鉄溶出量を測定した。鉄溶出量が0.06g/l以下を○、0.06g/l超0.2g/l未満を△、0.2g/l以上を×とした。
5)耐錆性試験
裏面および端面をシールした50×100mmの試験片を、温度60℃、相対湿度70%の雰囲気中で経時させ、2週間後に取り出して観察し、評価した。錆発生個数0個を◎、1〜10個を○、11〜50個を△、51個以上を×とした。
6)耐黄変性試験
温度60℃、相対湿度70%の雰囲気中で経時させ、10日後に取り出してハンターLab系を測定した。b値が5以下を○、5超〜7未満を△、7以上を×とした。
結果を表1に示した。
また、表1中、評価欄の食品実績は、皮膜が食品用途で使用実績があるか否かを評価したもので、○は使用実績があるもの、×は使用実績がないものである。
Figure 0004720459
本発明例No.1〜6は、塗料密着性、耐黄変性、耐錆性、耐食性に優れ、缶用素材としての性能を満足している。合金SnめっきのなされていないNo.10は、耐錆性と耐食性は良好であるが、塗料密着性と耐黄変性が劣っていた。No.7〜9は耐錆性と耐食性は良好であるが、表層に合金化していない金属Sn層を有するため、塗料密着性と耐黄変性が劣っていた。No.11は塗料密着性には優れるものの、金属めっき層を有さないため耐食性と耐錆性が劣った。No.12は塗料密着性、耐食性、耐錆性には優れるが食品缶用皮膜としての実績が無く、コストアップとなるため、直ちに食品缶用途に適用することはできない。
本発明の表面処理鋼板は、耐錆性、耐食性、塗料密着性および耐黄変性に優れるので、これらの性能が要求される用途分野、例えば塗装下地鋼板として、化粧缶等の一般缶や家電製品、事務用品等の用途分野に利用することができる。
本発明の表面処理鋼板は、容器用鋼板として使用されているTFS等のCrを含有する皮膜を有する表面処理鋼板代替のCrフリー鋼板として、菓子缶や海苔缶などのドライパック食品缶にも好適に使用される。
本発明の表面処理鋼板は、本発明の表面処理鋼板を製造する方法として利用することができる。

Claims (3)

  1. 鋼板の少なくとも片面に片面あたりのSn付着量が0.01〜0.5g/m であるFe−Sn合金層を有し、該Fe−Sn合金層上の非合金化Sn量が0.1mg/m未満であることを特徴とする表面処理鋼板。
  2. 冷延鋼板に焼鈍、調質圧延したのち、片面あたりのSn付着量が0.01〜0.5g/mとなるようにSnめっき処理を施し、その後加熱溶融処理を施して非合金化Sn量を0.1mg/m未満とすることを特徴とする表面処理鋼板の製造方法。
  3. 加熱溶融処理を施して非合金化Sn量を0.1mg/m未満としたのち、電解質水溶液中で1〜10C/dmの陰極電解処理を施すことを特徴とする請求項記載の表面処理鋼板の製造方法。
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