JP2987256B2 - 作業車の自動アクセル構造 - Google Patents

作業車の自動アクセル構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用型芝刈り機や農用
トラクタ等の回転作業装置を備える作業車の自動アクセ
ル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の自動アクセル構造においては、
作業時にはエンジンが高回転状態で作業装置を駆動させ
るため、PTOクラッチを入り操作したときに、アクセ
ル設定具で設定されたアクセル位置に優先して作業走行
用の高回転位置がわに自動的に調速機構を強制操作した
り、変速ペダルを踏み込み操作したときに、アクセル設
定具で設定されたアクセル位置よりも前進高速がわへの
操作では、変速ペダルと連動して調速機構も操作される
よう構成したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、変速ペ
ダル等による変速操作と調速操作とを連動するように構
成しているものであっても、アクセル設定具等で設定で
きるエンジン回転の最高速度を実際のエンジン回転速度
の最高回転速度に近い状態に設定していたので、その最
高速度がわに操作したときには、エンジン騒音が極めて
大となり、作業走行時に特に作業環境が悪化して居住性
が悪いという問題があった。本発明は、上記実情に鑑み
てなされたものであって、作業走行時において、エンジ
ンの回転速度を必要に応じて例えば騒音発生を抑制した
状態に適宜に調整して設定することのできる作業車の自
動アクセル構造の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる作業車の
自動アクセル構造は、上記目的を達成するために、エン
ジンに備えた調速機構の調速レバーをアクセル設定具の
人為操作に基づいて移動走行に適した任意のアクセル位
置に設定保持可能に操作する第1アクセル操作手段と、
回転作業装置を駆動させるためのPTOクラッチレバー
のクラッチ入り操作に基づいて前記調速レバーを前記第
1アクセル操作手段によるアクセル位置より高回転位置
の作業走行用アクセル位置へ強制操作する第2アクセル
操作手段と、前記PTOクラッチレバーのクラッチ切り
状態において、前記第1アクセル操作手段で設定された
アクセル設定位置以上の高回転域で、走行用変速操作具
の前進側への増速操作に連動して前記調速レバーをアク
セルアップ側に操作する第3アクセル操作手段とを備え
るとともに、前記第1アクセル操作手段には、前記調速
レバーに対する操作で設定できる前記エンジンの前記作
業走行用アクセル位置を任意に変更調節可能な作業走行
用アクセル位置調節手段を備えてあることを特徴構成と
する。かかる特徴構成による作用・効果は次の通りであ
る。
【0005】
【作用】即ち、移動走行時には、第1アクセル操作手段
を用いて適当な低回転位置にアクセルセットを行い、こ
の状態で走行用変速操作具を任意に変速操作すること
で、第1アクセル操作手段によるアクセルセットはアク
セルの下限設定となり、これよりも高回転域では第3ア
クセル操作手段によって走行用変速操作具が前進側に増
速操作されるのに連動してアクセルアップ操作が自動的
に行われる。又、作業走行のためにPTOクラッチレバ
ーがクラッチ入り操作されると、第2アクセル操作手段
が働いて、予め設定された回転作業装置を一定回転速度
で駆動できるに適した移動走行時より高回転位置となる
作業走行用アクセル位置に調速機構が自動的に設定され
維持される。又、PTOクラッチレバーをクラッチ切り
操作すると上記したように第1アクセル操作手段あるい
は第3アクセル操作手段で設定したアクセル設定状態に
戻る。そして、調練レバーに対する操作で設定できるエ
ンジンの作業走行用アクセル位置を、作業走行用アクセ
ル位置調節手段によって任意に変更調節可能となってい
るから、エンジンにおいて騒音の発生を小さくさせなが
らも作業装置等を駆動しながら走行できる出力が得られ
る回転速度を作業走行用のエンジン回転速度となるよう
に設定しておくことで、騒音の発生少なく作業を行うこ
とができる。
【0006】
【発明の効果】従って、本発明によると、作業走行と移
動走行との変更の都度逐一アクセルセットの変更を行う
必要がなく、操作性を高めることができるとともに、移
動走行時にはアクセル下限を設定した上で走行速度に対
応したアクセルが自動的に設定されるので、低速走行時
には低騒音、低燃費の走行を行うことができ、又、高速
走行時には走行変速操作とアクセル操作とを同時に行っ
て加速性及び減速性の高い走行ができ、機動性に優れた
走行を行える。しかも、第2アクセル設定手段で設定で
きる作業走行用にアクセル設定されるエンジン回転速度
を適宜に変更設定できることで、作業走行時における
ンジン騒音の発生も必要に応じて小さなものにできるこ
とになって、居住環境を良好に維持することができるに
至った。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図5に、作業車の一例としての乗用型芝刈り機を示
している。この乗用型芝刈り機は、乗用走行車体1の前
後車輪2,3間に回転作業装置としてのモーア4を装備
したミッドマウント型に構成されており、車体後部に搭
載した縦軸型エンジン5の出力の一部をベルト伝動装置
6、静油圧式無段変速装置7及びミッションケース8を
介して後車輪3に伝達するとともに、エンジン出力の他
の一部をベルト伝動装置9を介してモーア4に伝達する
よう構成している。そして、走行用変速装置である静油
圧式無段変速装置7は、変速ペダル10の前方あるいは
後方への踏み込みによって前進あるいは後進の無段変速
が可能であり、又、ベルト伝動装置9に備えたテンショ
ン式のPTOクラッチ11を運転部手元のPTOクラッ
チレバー12で入り切り操作できるようにしている。
【0008】次に、エンジン5に備えた調速機構の操作
構造について説明する。図1に示すように、エンジン5
はディーゼルエンジンであって、このエンジン5に備え
た調速機構13の調速レバー13aは最低回転位置(ア
イドリング位置)MINに付勢されており、この調速レ
バー13aから導出したワイヤ14が支点Pを中心に揺
動可能な中継アーム15に連結されている。中継アーム
15の支点Pには操作アーム16が独立揺動可能に装備
され、この操作アーム16から導出したワイヤ17の先
端が前記静油圧式無段変速装置7に備えた変速レバー7
aに長孔融通7bを介して連結されていて、前記変速ペ
ダル10が中立位置Nから前進F方向に踏み込み操作さ
れて変速操作レバー7aが図において反時計回りに操作
された場合のみ、ワイヤ17を引き操作して前記操作ア
ーム16を反時計回りに揺動させるようになっている。
そして、前記操作アーム16に備えた接当片16aが中
継アーム15を接当操作して反時計回りに揺動させるこ
とで、ワイヤ14が引き操作されて調速レバー13aが
高回転側に操作されるようになっている。前記中継アー
ム15は、アクセル駆動機構18から導出したワイヤ1
9に長孔融通20を介してピン連結されており、ワイヤ
19がアクセル駆動機構18によって引き操作されて中
継アーム15が反時計回りに揺動されることで調速レバ
ー13aが最低回転位置MINから最高回転位置MAX
までの範囲で操作されるようになっている。尚、前記長
孔融通20は、中継アーム15が変速ペダル10によっ
て操作される際の融通として機能する。
【0009】前記アクセル駆動機構18の構成が図2〜
図4に示されている。図2において、21は減速機構付
きの正逆転可能な電動モータであり、その出力軸21a
に連結した回転板22の表面に銅板からなる電極23が
付設されるとともに、回転板22に前記ワイヤ19が連
結されている。24は前記回転板22に対向して同心状
に回転可能に配備されたアクセル設定具であり、前記電
極23に摺接可能な一対の接点25,26が備えられて
いるとともに、外部からつまみDにより人為的に回転操
作可能にケース27に装着されている。28は、前記ケ
ース27に支持された固定の接点であり、前記可動電極
23に摺接可能である。前記PTOクラッチレバー12
がクラッチ入り操作されたことを検知するPTOスイッ
チ29が備えられており、このスイッチ29、前記電極
23および接点25,26,28が図4に示す回路を介
して前記電動モータ21に接続されている。尚、図中3
0は前記電動モータ21を正逆駆動するリレー回路であ
って、アクセルアップ側に作動させるリレー31、アク
セルダウン側に作動させるリレー32を備えている。
又、33は前記PTOスイッチ29のオン・オフに基づ
いてアクセルアップ用リレー31及びアクセルダウン用
リレー32に対する回路を切り換えるためのリレーであ
る。
【0010】次に前記アクセル駆動機構18の作動を説
明する。アクセル設定具24が最低回転位置MINにあ
り、かつ、前記回転板22も最低回転位置にあるとき、
接点25,26はともに電極23から離れてアクセルア
ップ用およびアクセルダウン用のリレー31,32がと
もにオフ状態にあり、又、接点28は電極23に接触し
ている。前記PTOクラッチレバー12がクラッチ切り
(PTOスイッチ29がオフ)の状態において、図1及
び図3に示すように、アクセル設定具24を反時計回り
に回転させてアクセルアップ操作すると、アクセル設定
具24に設けた接点25のみが可動電極に接触し、これ
によってリレー31が作動して電動モータ21は回転板
22を反時計回りに回転させ、電極23が接点25から
離れるまで電動モータ21が回転されて停止する。この
回転板22の反時計回りの回転に伴うワイヤ19の引き
操作が前記中継アーム15およびワイヤ14を介して調
速レバー13aに伝えられて、図1に示すように、調速
機構13はアクセル設定具24の操作量に応じた量だけ
アクセルアップされる。又、このようにアクセルセット
した状態からアクセル設定具24を時計回りにアクセル
ダウン操作すると、この場合はアクセル設定具24に設
けた接点26のみが電極23に接触し、これによってリ
レー32が作動して電動モータ21は回転板22を時計
回りに回転させ、電極23が接点26から離れるまで電
動モータ21が回転されて停止する。この回転板22の
時計回りの回転に伴うワイヤ19の戻し操作によって調
速レバー13aはアクセルダウン方向に付勢復帰移動す
る。このように、アクセル設定具24を回転操作するこ
とで、その操作量に対応して調速機構13の調速レバー
13aを最低回転位置(アイドリング位置)MINから
最高回転位置MAXまでの範囲で任意にアクセル設定で
きるように操作する第1アクセル操作手段Aが構成され
ているのである。
【0011】又、前記PTOクラッチレバー12がクラ
ッチ入り操作されると、PTOスイッチ29がオンされ
てリレー33が作動し、アクセルアップ用リレー31に
対する回路が接点28側に切り換えられ、接点28が既
に電極23に接触しているためリレー31が作動して電
動モータ21は回転板22を反時計回りに回転させ、電
極23が接点28から離れるまで電動モータ21が回転
され、電極23が接点28から離れると電動モータ21
が停止する。従って、回転板22の反時計回りの回転が
ワイヤ19、中継アーム15およびワイヤ14を介して
調速レバー13aに伝えられて、調速機構13は作業走
行アクセル位置に相当する最高回転位置MAXにセット
される。このように、PTOクラッチレバー12をクラ
ッチ入り操作することで、前記第1アクセル設定手段A
によるアクセルセットに優先して調速機構13を最高回
転位置MAXにセットする第2アクセル操作手段Bを構
成している。
【0012】又、PTOクラッチ切り状態で前記第1ア
クセル操作手段Aによるアクセルセットが最低回転位置
の場合、変速ペダル10の前進全域での踏み込みに連動
してワイヤ17、中継アーム15及びワイヤ14を介し
て調速機構13がアクセルアップ操作され、又、図1に
示すように、前記第1アクセル操作手段Aによるアクセ
ルセットが中速の場合には、操作アーム16の接当片1
6aが中継アーム15に当たるまでの変速ペダル10の
前進側への踏み込みまでは調速機構13は操作されるこ
とがなく、それ以上に変速ペダル10が踏み込み増速操
作がされると操作アームの接当片16aを介して中継ア
ーム15が接当操作されてアクセルアップ操作がなされ
る。このように、第1アクセル操作手段Aによるアクセ
ルセット位置を下限としてそれ以上の高回転域で変速ペ
ダル10の前進側への踏み込みで調速機構13をアクセ
ルアップする第3アクセル操作手段Cが構成されてい
る。
【0013】更に、前記調速レバー13aに対する操作
で設定できる作業走行時における前記エンジン5の最高
回転速度に相当する作業走行用アクセル位置を任意に変
更調節可能な作業走行用アクセル位置調節手段34を
1アクセル操作手段Aに備えている。すなわち、作業走
行用アクセル位置調節手段34は、図1乃至図3に示す
ように、前記固定接点28の固定位置を前記出力軸21
aの軸芯を中心とした周方向に沿って変更操作するよう
に、前記固定接点28の支持部材35を前記ケース27
に対して前記出力軸21aの軸芯周りで摺動操作可能に
保持するとともに、任意の位置で摩擦保持するように設
けている。そして、ケース27の外部に露出した前記支
持部材35は人為的に摺動操作できるよう操作部35a
を備えている。
【0014】上記構成により、固定接点28の固定位置
を前記出力軸21aの軸芯周りで変更できるので、前記
電極23と固定接点28とが非接触状態となる位置が前
記電動モータ21の回転方向で変更されることになっ
て、前記ワイヤ19の引き操作の限界位置も変更され、
そして、その結果、固定接点28の位置で決定される
業走行用アクセル位置に相当する調速レバー13aの最
高回転位置MAXが変更されることになる。そこで、芝
刈り作業時にエンジン5からの騒音が耳障りになるほど
大きいときには、エンジン5の最高回転速度を騒音が小
さくなるような低速がわに切り換えることも可能であ
る。又、予め、芝刈り作業に必要な動力を騒音少ない最
高回転速度でエンジン6を駆動できるようにしておきな
がら、動力に余力を持たしておくことで、作業負荷が少
し過大なものとなっても、エンジン回転速度が不当に低
下することも抑制できるのである。
【0015】尚、調速機構としては、上記実施例のよう
にディーゼルエンジンにあってはガバナが相当するもの
であって、ガソリンエンジンにあってはスロットルバル
ブが相当する。
【0016】尚、作業走行用アクセル位置調節手段とし
ては、上記実施例のように機械的にその変更を行うもの
に限られるものではなく、電気的に変更調節するように
しても良い。
【0017】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクセル操作構造の構成図であり、第1アクセ
ル操作手段によるアクセルセット状態を示している。
【図2】アクセル駆動機構を示す縦断面図
【図3】アクセル駆動機構の要部を示す平面図
【図4】アクセル駆動機構の回路図
【図5】乗用型芝刈り機を示す全体側面図
【符号の説明】
5 エンジン 10 走行用変速操作具 12 PTOクラッチレバー 13 調速機構 13a 調速レバー 24 アクセル設定具 34 作業走行用アクセル位置調節手段 A 第1アクセル操作手段 B 第2アクセル操作手段 C 第3アクセル操作手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(5)に備えた調速機構(1
    3)の調速レバー(13a)をアクセル設定具(24)
    の人為操作に基づいて移動走行に適した任意のアクセル
    位置に設定保持可能に操作する第1アクセル操作手段
    (A)と、 回転作業装置(4)を駆動させるためのPTOクラッチ
    レバー(12)のクラッチ入り操作に基づいて前記調速
    レバー(13a)を前記第1アクセル操作手段(A)に
    よるアクセル位置より高回転位置の作業走行用アクセル
    位置へ強制操作する第2アクセル操作手段(B)と、 前記PTOクラッチレバー(12)のクラッチ切り状態
    において、前記第1アクセル操作手段(A)で設定され
    たアクセル設定位置以上の高回転域で、走行用変速操作
    具(10)の前進側への増速操作に連動して前記調速レ
    バー(13a)をアクセルアップ側に操作する第3アク
    セル操作手段(C)とを備えるとともに、 前記第1アクセル操作手段(A)には、前記調速レバー
    (13a)に対する操作で設定できる前記エンジン
    (5)の前記作業走行用アクセル位置を任意に変更調節
    可能な作業走行用アクセル位置調節手段(34)を備え
    てある作業車の自動アクセル構造。
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