JP2987087B2 - 被 服 - Google Patents

被 服

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JP2987087B2
JP2987087B2 JP7183790A JP18379095A JP2987087B2 JP 2987087 B2 JP2987087 B2 JP 2987087B2 JP 7183790 A JP7183790 A JP 7183790A JP 18379095 A JP18379095 A JP 18379095A JP 2987087 B2 JP2987087 B2 JP 2987087B2
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貫一 村瀬
章夫 村瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、背広、ブレザー、
学生服、作業衣、礼服等の被服に関するものであり、特
に、腕が動かし易い袖構造の被服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、従来の背広等の被服は、機能面
よりも外観の見栄えに重点がおかれている。これを図9
乃至図13を用いて説明する。
【0003】図9は従来の一般的な背広の袖を示す斜視
図、図10は図9の背広の袖の山袖を示す平面図、図1
1は図9の背広の袖の下袖を示す平面図、図12はその
従来の一般的な背広の身頃の要部を示す斜視図、図13
は図12の背広の身頃の要部を示す平面図である。
【0004】図9のように、背広の袖1Aは、着用状態
で上部に位置する山袖2Aと着用状態で下部に位置する
下袖3Aの二枚の袖布を縫合わせて形成されている。そ
して、図10及び図11のように、山袖2Aのクラウン
6Aは中央が凸状に彎曲した形状であり、下袖3Aの袖
底4Aはこれと反対に中央が凹状に彎曲した形状となっ
ている。そのため、身頃8Aに対する取付け部分である
袖1Aの袖立切線5Aは、図9のように、山袖2Aのク
ラウン6Aと下袖3Aの袖底4Aとで上下方向を長軸と
する略橢円形状になっている。また、図13に示すよう
に、身頃8Aは、着用者の体型に合わせて立体化させる
ための身頃脇ダーツ13Aを挟んだ前身9Aと細腹10
Aとからなる前身頃11Aと後身頃12Aとから形成さ
れており、その袖刳り14Aの形状は脇部分で下方に凹
状に彎曲した形状となっている。そして、図12に示す
ように、この身頃8Aを肩及び脇部分で縫合わせること
で袖刳り14Aの袖刳り立切線15Aは、袖立切線5A
に対応する略楕円形状を呈する。そして、袖1Aと身頃
8Aとは、袖1Aを下げた状態で外観が良いように縫目
7Aで縫合わされている。なお、その縫目7Aは、袖立
切線5A及び袖刳り立切線15Aに沿って、通常、それ
らの内側約7mmの位置に形成されている。
【0005】この種の背広は、着用して腕を下げた状態
では何ら不自由な点はないが、腕を上げたり、腕を前に
出したりするのには不自由な袖構造となっている。つま
り、袖1Aは身頃8Aに沿って下げた状態で縫付けられ
ているため、腕を上げると、下袖3Aの袖底4Aも上方
に上がり、この下袖3Aと身頃8Aが互いに引合うため
に、背広の着用者は窮屈感を覚える。また、腕を前方に
突出する場合も、袖1Aの後部が前方に引張られ、身頃
8Aも袖1Aによって前方に引張られるために、着用者
は窮屈感を覚える。
【0006】このような窮屈感を解消し、腕の動かし易
さを追及した洋服としては、楽団の指揮者等が着用する
もので、袖刳りを通常の背広に比べ小さくし、袖底を脇
下に近接させて、腕を動かし易くした洋服がある。ま
た、狩猟等の際に着用するもので、身頃と袖との接続部
である下袖の袖底の脇部分に、所謂、角(つの)と呼ば
れる袋状の部分を形成し、腕を動かしても袖が身頃を引
張らないようにしたピボット袖と称される袖構造の狩猟
服がある。この狩猟服の要部正面図を図14に示す。図
14の(a)は袖を下げた状態、(b)は袖を上げた状
態を各々示している。なお、図中、16Bは上記の角で
ある。
【0007】しかし、上記の指揮者等の洋服のように背
広を形成し、袖刳りを小さくすると、腕は動かし易いも
のの、腕を動かすことにより袖が身頃側に引張られ、袖
口部分が腕の上方に捲くれ上がるという不具合がある。
また、そのように形成した背広は、特に、腕を前方に伸
ばした場合には、袖口部分が身頃に引張られ、手首の部
分が大きく露出し、見栄えが非常に悪い。
【0008】また、活動性を重視し、図14の狩猟服の
ように、背広の袖底の脇部分に袋状の角16Bを形成す
ると、腕を上げた際に、角16B部分が大きく露出し、
特に、縞柄の生地で背広を作った場合には、見栄えを大
きく損なう結果となる。
【0009】そこで、腕を動かし易く、しかも見栄えも
よい、即ち、機能及び見栄えの両面で優れた袖構造の背
広等の被服として、本出願人の提案にかかる特開平06
−264303号公報に開示されたものが知られてい
る。この背広においては、袖構造に次のような工夫が施
されている。これを、図15乃至図18を用いて説明す
る。
【0010】図15はこの特開平06−264303号
公報に開示された袖構造の背広を示す要部正面図、図1
6は図15の背広の袖を示す斜視図、図17は図16の
背広の袖の山袖を示す平面図、図18は図16の背広の
袖の下袖を示す平面図である。なお、図中、図9乃至図
13の従来例と同一符号及び記号は、その従来例の構成
部分と同一または相当する構成部分を示す。
【0011】図16のように、この背広の袖1Cも山袖
2Cと下袖3Cとを縫合わせて形成され、また、図17
のように、山袖2Cのクラウン6Cは中央が凸状に彎曲
した形状となっている。しかし、図18のように、下袖
3Cの袖底4Cの形状は途中から凸状に彎曲したものと
なっており、従来の一般的な背広の下袖3Aの袖底4A
の袖立切線5A(二点鎖線で示す)の上方のレンズ状形
状の部分によって、折畳部18Cが形成されている。な
お、この背広の身頃8Cは、図12及び図13に示した
上記の従来の一般的な背広の身頃8Aと同じである。そ
して、山袖2Cと下袖3Cとを縫合わせた袖1Cは、下
袖3Cの上記折畳部18Cを出来上線17Cで折畳んだ
状態で身頃8Cの袖刳りに縫付けられる。つまり、この
背広の袖1Cの袖立切線5Cは、身頃8Cの袖刳り立切
線に合わせて、山袖2Cのクラウン6Cと下袖3Cの袖
底4Cの折畳部18Cとで従来と同様の略橢円形状を呈
しており、これらの立切線に沿って袖1Cと身頃8Cと
が縫合わされている。
【0012】こうして、図15のように、背広の脇下部
分に折畳部18Cを備えた袖構造が形成される。そのた
め、この背広によれば、これを着用して腕を上方や前方
にある程度動かしても脇下部分に余裕があり、身頃8C
が引張られないので、腕を動かし易い。しかも、折畳部
18Cは、腕を下げた状態では見えず、腕を上げたり、
前に伸ばしたりしてもそれ程目立たないので、見栄えも
よい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記の特
開平06−264303号公報に開示された背広は、腕
を動かし易く、しかも外観性もよい。即ち、機能及び見
栄えの両面で優れたものである。
【0014】しかし、この背広においては、下袖3Cの
袖底4Cにこのようなレンズ状形状の折畳部18Cを備
えるため、袖底4Cの袖立切線5Cは、なだらかに連続
するものではなく、途中で一旦反転した不連続な線とな
っている。そのため、固く伸縮性の小さい生地を用いて
縫製した場合には、この反転する部分にひきつりが生じ
ることがあった。そして、これを解消するためには、例
えば、袖立切線5Cが反転する部分の縫代に切込みを入
れることが考えられるが、縫代に切込みを入れた場合、
洗濯等によって応力等の負担が繰返しかけられると、切
込みの先端に当たる布地組織がほつれてくる可能性があ
った。
【0015】また、下袖3Cの袖底4Cがこのように複
雑な形状になっているため、この下袖3Cと山袖2Cか
らなる袖1Cを身頃8Cに縫付ける縫製作業は比較的困
難であり、細心の注意と技能とが必要であった。
【0016】更に、脇下部分に位置する折畳部18C
は、着用時に身体に接触しないように、袖1Cを下げた
状態で袖1Cの内側に納められていることが望ましい。
そして、そのためには、例えば、その折畳部18Cを折
畳んだ状態でアイロン処理してその出来上線17Cの長
さを引伸ばすことが考えられる。しかし、折畳部18C
を折畳んだ状態でアイロン処理等によって出来上線17
Cの長さを引伸ばすことは容易ではなく、特に、ポリエ
ステル等の伸縮性の小さい生地を用いた場合には、この
アイロン処理による引伸ばしは困難であり、手間がかか
るものであった。
【0017】そこで、本発明は、上記の特開平06−2
64303号公報に開示された背広等の被服を更に改良
し、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、
機能及び見栄えの両面で優れており、しかも、その伸縮
性の小さい生地を用いた場合にもこの袖構造を構成する
布片にほつれが生じることなく、更に、製作も容易な被
服の提供を課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項にかかる被服
は、山袖と、前記山袖と縫合わされて袖を形成する下袖
と、前記山袖と前記下袖からなる袖を取付ける身頃と、
前記身頃の袖刳りに設けられた所定形状の身頃側折返部
と、前記下袖の袖底に設けられ、前記身頃側折返部と縫
合わされて、袖を下げた状態で脇下に折畳まれる折畳部
を形成する所定形状の袖側折返部とを具備し、前記縫合
わされた後の折畳部を形成する前記袖側折返部の袖立切
線が、前記袖側折返線より伸張しているものである。
【0019】請求項にかかる被服は、山袖と、前記山
袖と縫合わされて袖を形成する下袖と、前記山袖と前記
下袖からなる袖を取付ける身頃と、前記身頃の袖刳りに
設けられた所定形状の身頃側折返部と、前記下袖の袖底
に設けられ、前記身頃側折返部と縫合わされて、袖を下
げた状態で脇下に折畳まれる折畳部を形成する所定形状
の袖側折返部とを具備し、前記身頃側折返部は上部でダ
ーツが開かれており、その袖刳り立切線の一部はバイヤ
ス状になっていると共に、前記袖側折返部の袖立切線も
バイヤス状になっているものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の被服を背広として
具体化した実施の形態について説明する。
【0021】[第一の実施の形態] 図1乃至図7は本発明の第一の実施の形態の背広を示
し、図1はその背広を示す要部正面図であり、また、図
2は図1の背広の要部を示す断面図であり、(a)は袖
を下げた状態、(b)は袖を上げた状態を各々示してい
る。更に、図3は図1の背広の袖を示す斜視図、図4は
図3の背広の袖の山袖を示す平面図、図5は図3の背広
の下袖を示す平面図、図6は図1の背広の身頃の要部を
示す斜視図、図7は図6の背広の身頃の要部を示す平面
図である。なお、図中、図9乃至図13の従来の一般的
な背広と同一符号及び記号は、その従来の一般的な背広
の構成部分と同一または相当する構成部分を示す。
【0022】図3に示すように、本実施の形態の背広の
袖1も山袖2と下袖3とを縫合わせて形成されている。
そして、図4のように、山袖2のクラウン6は、従来の
背広の山袖2Aと同様に中央が凸状に彎曲した形状とな
っている。しかし、図5のように、下袖3の袖底4は、
従来の一般的な背広の下袖3Aの袖底4Aと異なり中央
が凹状に彎曲しているのではなく、途中から袖1の前側
位置になる部分に向けて下方に傾斜した直線形状となっ
ている。ここでは、従来の一般的な背広の下袖3Aの袖
底4Aの袖立切線5Aを一点鎖線で示している。そし
て、この一点鎖線で示す従来の背広の袖底4Aの袖立切
線5Aと本実施の形態の背広の袖底4の袖立切線5の直
線部分とに挟まれた略半月状部分によって、袖側折返部
21が形成されている。また、図7のように、本実施の
形態の背広の身頃8の袖刳り14の形状も、従来の一般
的な背広の身頃8Aの袖刳り14Aと異なり、脇部分で
下方に凹状に彎曲した形状ではなく、袖1を取付ける際
に下袖3と縫合わされる脇下部分が直線形状となってい
る。ここでは、従来の一般的な背広の身頃8Aの袖刳り
14Aの袖刳り立切線15Aを二点鎖線で示している。
そして、この二点鎖線で示す従来の身頃8Aの袖刳り1
4Aの袖刳り立切線15Aと本実施の形態の身頃8の袖
刳り14の袖刳り立切線15の直線部分とに挟まれた略
半月状部分によって、身頃側折返部22が形成されてい
る。このように形成された袖側折返部21と身頃側折返
部22は、身頃8の袖刳り14に山袖2と下袖3とを縫
合わせた袖1が取付けられる際に、互いに立切線に沿っ
て縫合わされて、脇下部分に折畳部23を形成する。
【0023】つまり、本実施の形態の背広においては、
下袖3の袖底4に略半月状の袖側折返部21を設けると
共に、身頃8の袖刳り14の脇下部分に袖側折返部21
と同じ略半月状の身頃側折返部22を設ける。そして、
身頃8に袖1を取付ける際に、背広の脇下部分に袖側折
返部21と身頃側折返部22とを縫合わせて折畳部23
を形成する。この折畳部23は、上記特開平06−26
4303号公報に開示された被服の折畳部18Cと、構
造上は異なるが作用上対応するものである。
【0024】ここで、身頃8の身頃側折返部22と袖1
の袖側折返部21について、胸囲の取り寸法が86cmで
ある場合の設計の一例と共に、更に詳細に説明する。
【0025】まず、身頃側折返部22について説明す
る。
【0026】身頃側折返部22は、図7に示すように、
従来の一般的な身頃8Aの袖刳り立切線15A(二点鎖
線で示す)の脇下の最下点Aを通るバストラインaから
の距離kが、バストラインaから後身頃12の袖後合点
Vまでの距離lの半分よりも約1cm長い、即ち、バスト
ラインaからの距離kが約6.4cmである従来の袖刳り
立切線15A上の点Cと、バストラインaからの距離m
が約1.3cmである従来の袖刳り立切線15A上の点B
とを結んで袖刳り立切線15を描いて形成する。なお、
この身頃側折返部22は、身頃8を着用者の体型に合わ
せて立体化させるために前身9と細腹10との間に設け
られている身頃脇ダーツ13の上部に形成されるため、
この身頃脇ダーツ13を延長した立切線が設けられる。
そして、身頃脇ダーツ13を縫製する際にこの立切線も
同時に縫目7で縫合わされて、略半月状の身頃側折返部
22が形成される。また、この身頃側折返部22は、従
来の身頃8Aの裁断の際には不要となり廃棄する部分で
あるので、生地を余分に使用するのではなく、生地を無
駄なく使用することができる。
【0027】次に、袖側折返部21について説明する。
【0028】袖側折返部21は、図5に示すように、従
来の一般的な下袖3Aの袖底4Aの袖立切線5A(一点
鎖線)の脇下の最下点A1を通るバストラインaからの
距離nが約6.4cmである従来の袖立切線5A上の点C
1と、バストラインaからの距離pが約1.3cmである
従来の袖立切線5A上の点B1とを結んで袖立切線5を
描いて形成する。即ち、袖側折返部21は、上記のよう
に身頃側折返部22を設けた身頃8に袖1を取付ける際
に、身頃側折返部22と重なる位置に、身頃側折返部2
2と対応する形状で形成される。なお、この袖立切線5
は、点C1より後側位置となる袖底4の立切線となだら
かに連続して形成されている。そのため、下袖3の袖底
4部分の裁断が容易にできると共に、袖立切線5の途中
に反転する点がないため、固い生地を用いた場合も、縫
製したときに生地がつれて細かい皺がよったりすること
はない。したがって、生地のつれを防止するために、縫
代部分に切込みを設ける等の必要がないので、ほつれ等
が生じることもなく、丈夫である。更に、このように形
成された袖側折返部21は、身頃側折返部22と同様
に、従来の下袖3Aの裁断の際には不要となり廃棄する
部分であるので、生地を余分に使用するのではなく生地
を無駄なく使用することができる。
【0029】そして、このように袖底4に袖側折返部2
1を設けた下袖3は、山袖2と縫合わされて袖1を形成
し、また、上記のように袖刳り14に身頃側折返部22
を設けた身頃8も、肩及び脇部分を縫合わされ立体化さ
れる。そして、袖側折返部21の袖立切線5の点B1か
ら点C1の間及び身頃側折返部22の袖刳り立切線15
の点Bから点Cの間は、それらを各々引張りながらアイ
ロン処理することによって、引伸ばされている。
【0030】更に、袖立切線5を引伸ばされた袖側折返
部21は、従来の背広における袖底4Aの袖立切線5A
(一点鎖線)を袖側折返線24、即ち、袖側折返部21
の脇下に折畳まれる袖側折返線24とし、この袖側折返
線24から袖1の内側に向けて折返される。このとき、
図3のように、身頃8に対する取付け部分である袖1の
袖立切線5は、袖側折返部21の立切線が引伸ばされた
ことによって、山袖2のクラウン6と下袖3の袖側折返
部21を設けた袖底4とで僅かに縦長の略楕円形状とな
っている。
【0031】また、袖刳り立切線15を引伸ばされた身
頃側折返部22も、従来の背広における身頃8Aの袖刳
り14Aの袖刳り立切線15A(二点鎖線)を身頃側折
返線25とし、この身頃側折返線25から袖1を取付け
た場合に袖1の内側となる方向に向けて折返される。こ
のとき、身頃8の袖刳り立切線15は、図6に示すよう
に、身頃側折返部22の立切線が引伸ばされたことによ
って、袖1の袖立切線5の形状と対応した略楕円形状と
なっている。
【0032】そして、身頃8と袖1は、背広の見栄えが
良いように、袖1を下げた状態で身頃8に縫目7で縫付
けられる。この際、身頃8の身頃側折返部22と袖1の
袖側折返部21とは、アイロンで引伸ばされた各々の立
切線の点Bと点B1 及び点Cと点C1 を合わせ、更に、
この二点間の長さを引伸ばしながら、縫目7で示された
ように縫合わされて折畳部23を形成する。この縫目7
は、従来と同様に袖1の袖立切線5及び身頃8の袖刳り
立切線15の内側約7mmの位置であり、袖立切線5及び
袖刳り立切線15の形状に沿って僅かに縦長の略楕円形
状になっている。したがって、この折畳部23を有する
袖1では、点Bと点Cまたは点B1 と点C1 を結んだ線
が折畳部23の出来上線17となり、腕を上方向に動か
した場合に、従来の一般の袖1Aに比べて距離r分の、
即ち約3cmの余裕がある。この余裕分の範囲内において
は、身頃8と袖1とが引張り合わないので、窮屈感が生
じない。
【0033】こうして、図2に示すように、身頃8に袖
1を縫付けた本実施の形態の背広においては、袖1を下
げた状態では折畳まれて袖1内側に納められている折畳
部23が、袖1が腕の動きに伴って上方に上がると開
く。したがって、この背広を着用した場合には、腕の動
きによって袖1が動いても身頃8を引張らないので、腕
が動かし易い。また、この下袖3の袖側折返部21と身
頃8の身頃側折返部22とから形成される折畳部23
は、腕を下げた状態では外部から見えず、腕を上げた状
態でも狩猟服の角(16B)のように目立たないので、
気にする程のこともなく、背広の外観の見栄えもよい。
しかも、下袖3の袖側折返部21の袖立切線5と身頃8
の身頃側折返部22の袖刳り立切線15は、アイロン処
理により引伸ばされて長くなっており、これらを更に引
伸ばしながら縫合わせて形成された折畳部23は、出来
上線17の長さが長くなったことによって、袖1を下ろ
した場合には、安定に袖1の内側に納められる。したが
って、本実施の形態の背広の着用時に、折畳部23が脇
下で身体に接触して着心地を損なったり、外側に膨出し
て背広の見栄えを損なったりすることはない。
【0034】このように、本実施の形態の背広は、山袖
2と、山袖2と縫合わされて袖1を形成する下袖3と、
袖1を取付ける身頃8と、身頃8の袖刳り14に設けら
れた略半月状の身頃側折返部22と、下袖3の袖底4に
設けられ、身頃側折返部22と縫合わされて折畳部23
を形成する略半月状の袖側折返部21とを備えており、
その袖側折返部21を設けた下袖3の袖底4の袖立切線
5は、なだらかに連続して形成されている。即ち、本実
施の形態の背広は、袖1を取付ける身頃8の袖刳り14
に略半月状の身頃側折返部22を、また、山袖2と共に
袖1を形成する下袖3の袖底4に同じく略半月状の袖側
折返部21を有し、これを設けた下袖3の袖底4の袖立
切線5はなだらかに連続して形成されているものであっ
て、身頃8に袖1を取付けた場合には、袖側折返部21
と身頃側折返部22とが縫合わされて、背広の脇下部分
に折畳部23が形成されるものである。
【0035】したがって、身頃8に袖1を縫付けた場合
には、背広の脇下部分に袖側折返部21と身頃側折返部
22とが縫合わされて形成された折畳部23が位置し、
この背広を着用して腕を上方や前方に或る程度動かして
も脇下部分に余裕があり、袖1と身頃8が引き合わない
ので、腕を動かし易く、極めて活動性が高い。また、折
畳部23は袖1を下げた状態では見えず、従来の一般的
な背広と何ら変らず、腕を上げた状態でもそれ程目立た
ないので、見栄えを損なわない。
【0036】そして、折畳部23を形成する袖側折返部
21を設けた下袖3の袖底4の袖立切線5は、なだらか
に連続した形状になっているため、裁断が容易にできる
と共に、縫製したときに下袖3にひきつりが生じて細か
い皺がよること等もない。
【0037】更に、折畳部23は、袖側折返部21の袖
立切線5と身頃側折返部22の袖刳り立切線15を揃え
て各立切線に沿って縫合わせることによって形成される
が、この縫製は容易にできるものである。
【0038】更にまた、折畳部23は、出来上線17が
アイロン処理によって引伸ばされることで、袖1を下げ
た状態で袖1内側に折畳まれて安定に納まる。したがっ
て、本実施の形態の背広を着用したときに、折畳部23
が脇下部分で身体に接触して着心地を損ねたり、外側に
膨出して外観を損ねたりすることはない。しかも、この
出来上線17は、予め、袖側折返部21の袖立切線5及
び身頃側折返部22の袖刳り立切線15を各々アイロン
処理によって引伸ばし、更に引伸ばしながら縫合わせる
ことで、容易に長くすることができる。
【0039】このように、本実施の形態の背広は、その
製作作業が容易であるので、量産することも可能であ
る。
【0040】なお、袖側折返部21及び身頃側折返部2
2の大きさは適宜変化させることができ、袖側折返部2
1及び身頃側折返部22を大きくすることで、つまり折
畳部23を大きくすることで、より動き易さを追求する
ことができる。しかし、袖側折返部21の設計におい
て、点B1を更に上方に設けると、山袖2と下袖3の縫
合線が前方にでるため見栄えが悪くなり、また、身頃側
折返部22の設計において、点Cを更に上方に設ける
と、下袖3のかぶりが少なくなり、やはり背広の見栄え
が損なわれる。したがって、背広の見栄えを考慮しつつ
活動性を追求する場合、折畳部23を形成する袖側折返
部21及び身頃側折返部22は、腕を動かした場合に従
来の袖1Aに比べて余裕分となる距離rが、胸囲の取り
寸法が86cmの場合で約3cm、胸囲の取り寸法が110
cmの場合で約4.5cmまで大きくすることができる。
【0041】[第二の実施の形態] 図8は、本発明の第二の実施の形態の背広の身頃の要部
を示す平面図である。なお、図8において、図9乃至図
13の従来の一般的な背広及び図1乃至図7の第一の実
施の形態の背広と同一符号及び記号は、その従来の一般
的な背広及び第一の実施の形態の背広の構成部分と同一
または相当する構成部分を示す。
【0042】本第二の実施の形態の背広は、第一の実施
の形態の背広と同様に、山袖2と縫合わされて袖1を形
成する下袖3の袖底4に略半月状の袖側折返部21を、
また図8に示すように袖1を取付ける身頃8の袖刳り1
4に同じく略半月状の身頃側折返部22aを有してい
る。そして、袖側折返部21を設けた下袖3の袖底4の
袖立切線5はなだらかに連続して形成されている。な
お、本第二の実施の形態の背広の袖1は、図3乃至図5
に示した上記の第一の実施の形態の背広における袖1と
同じである。そして、袖1を身頃8に取付けた場合に
は、袖側折返部21と身頃側折返部22aが縫合わされ
て形成される折畳部23が、背広の脇下部分に位置する
が、本第二の実施の形態の背広においては、第一の実施
の形態の背広における身頃側折返部22にダーツを設け
ることによって、袖刳り立切線15aを構造的に長く
し、また、細腹10及び下袖3を、身頃側折返部22a
の袖刳り立切線15aの一部及び袖側折返部21の袖立
切線5がバイヤス状になるように裁断し、アイロン処理
による引伸ばしが難しい伸縮性の小さい生地を使用した
場合にも、折畳部23を袖1の内側に納めて安定させる
ことを図ったものである。
【0043】ここで、身頃側折返部22aについて具体
的に説明する。
【0044】図8に示すように、本実施の形態の背広の
身頃8も、袖刳り14の脇下部分に所定形状の身頃側折
返部22aを有している。一般に、背広の身頃には、身
頃を着用者の体型に合わせて立体化させるために身頃脇
ダーツ13が設けられているが、本実施の形態の背広に
おける身頃側折返部22aは、図7に示す第一の実施の
形態の背広の身頃8の身頃側折返部22の先端部分で、
この身頃脇ダーツ13を前身9側と細腹10側とで幅s
ずつ開き身頃脇ダーツ13aを設けて袖刳り立切線15
aを描き形成する。ここで、幅sは約1cmとしている。
したがって、この身頃側折返部22aでは、袖刳り立切
線15aの長さは図7に示した上記の第一の実施の形態
の背広における身頃側折返部22の袖刳り立切線15に
比べ約2cm長くなる。更に、身頃側折返部22aの袖刳
り立切線15aをできるだけ引伸ばすことができるよう
に、細腹10を身頃側折返部22aの袖刳り立切線15
aが生地の縦糸及び横糸に対して約25度の角度になる
ように、即ちバイヤス状になるように裁断する。そし
て、このように裁断した細腹10と前身9を縫目7に沿
って縫合わせ、略半月状の身頃側折返部22aを形成
し、その袖刳り立切線15aをアイロン処理して引伸ば
す。
【0045】更にまた、下袖3についても、袖底4に設
けられた袖側折返部21の袖立切線5の点B1から点C
1の間の長さをできるだけ引き伸ばすことができるよう
に、袖側折返部21の袖立切線5の点B1から点C1の
間の直線部分が、生地の縦糸及び横糸に対して約45度
の角度になるように、即ち、最も生地が伸び易い、所
謂、正バイヤス状になるように、或いは正バイヤスにで
きるだけ近いバイヤス状になるように裁断する。そし
て、このように裁断した下袖3と山袖2とを縫い合わせ
て袖1を形成し、下袖3の袖底4に設けられた袖側折返
部21の袖立切線5をアイロン処理してできるだけ引伸
ばす。
【0046】このように身頃側折返部22a及び袖側折
返部21を形成した場合、身頃側折返部22aの袖刳り
立切線15aは、開いた身頃脇ダーツ13aにより長く
なっており、更に、細腹10の上方部分に当たる身頃側
折返部22aの袖刳り立切線15aはバイヤス状で伸び
易いので、軽くアイロン処理するだけで、身頃側折返線
25a(二点鎖線)の長さに近づけることができる。ま
た、袖側折返部21の袖立切線5も正バイヤス状になっ
ているので伸び易く、アイロン処理によって容易に袖側
折返線24(一点鎖線)の長さに近づけることができ
る。そして、袖1を身頃8に取付ける際に袖側折返部2
1と身頃側折返部22aとを縫合わせて形成する折畳部
23を安定に袖1内側に納めることができる。
【0047】このように、本実施の形態の背広は、山袖
2と、山袖2と縫合わされて袖1を形成する下袖3と、
袖1を取付ける身頃8と、身頃8の袖刳り14に設けら
れた略半月状の身頃側折返部22aと、下袖3の袖底4
に設けられ、身頃側折返部22aと縫合わされて折畳部
23を形成する略半月状の袖側折返部21とを備えてお
り、その袖側折返部21を設けた下袖3の袖底4の袖立
切線5は、なだらかに連続して形成されている。そし
て、身頃側折返部22aの上部で開いた身頃脇ダーツ1
3aを設けると共に、細腹10及び下袖3を、身頃側折
返部22aの袖刳り立切線15aの一部及び袖側折返部
21の袖立切線5がバイヤス状になるように裁断したも
のである。
【0048】上記のように構成された背広は、第一の実
施の形態の背広と同様に、身頃8に袖1を縫付けた場合
には、脇下部分に袖側折返部21と身頃側折返部22a
を縫合わせて形成された折畳部23が位置し、この背広
を着用して腕を上方や前方にある程度動かしても脇下部
分に余裕があり、身頃8が引張られないので、腕が動か
し易い。また、折畳部23は、袖1を下げた状態では見
えず、袖1を上げた状態でもそれほど目立たないので、
見栄えを損なわない。即ち、機能及び見栄えの両面で優
れた袖構造の背広となる。
【0049】そして、折畳部23を形成する袖側折返部
21を設けた下袖3の袖底4の袖立切線5は、なだらか
に連続した形状になっているため、裁断が容易にできる
と共に、伸縮性が小さく固い布地を用いて縫製した場合
もつれることがない。
【0050】更に、折畳部23は、袖側折返部21の袖
立切線5と身頃側折返部22aの袖刳り立切線15aを
揃え、各立切線に沿って縫合わせることによって形成さ
れるが、この縫製は容易にできる。
【0051】更にまた、見頃脇ダーツ13を身頃側折返
部22aの上部で開いたダーツ13aとすることで、袖
刳り立切線15aを長くすることができると共に、袖側
折返部21の袖立切線5と身頃側折返部22aの袖刳り
立切線15aの一部がバイヤス状になるように裁断する
ことによって、ポリエステル等の伸縮性が小さくアイロ
ン処理によって引伸ばすことが困難な生地を用いた場合
も、袖側折返部21及び身頃側折返部22aの各立切線
の長さを伸ばすことができ、これによって、折畳部23
を袖1内側に安定に納めることができる。したがって、
本実施の形態の背広の着用時に、折畳部23が脇下部分
で身体に接触して着心地を損ねたり、外側に膨出して外
観を損ねたりすることはない。
【0052】なお、本実施の形態では、折畳部23を袖
1内側に安定に納めるために、身頃側折返部22aの袖
刳り立切線15aの長さを、身頃脇ダーツ13を上部で
前身9側と細腹10側とで約1cmずつ、即ち、計約2cm
開いた見頃脇ダーツ13aによって伸ばすものとした
が、このダーツを開く幅sは、使用する生地の伸縮性や
しなやかさ等の性質を考慮して適宜に決めることができ
る。一般には、身頃脇ダーツを計2cmから3cmの範囲で
開くことによって、折畳部23を袖1内側に安定に納め
ることができる。
【0053】また、上記第一の実施の形態及び第二の実
施の形態では、背広の事例で説明したが、ブレザーや礼
服等の被服に使用できることはいうまでもない。特に、
指揮者の着用する燕尾服等では、身頃が上下に大きく動
いたり、袖がまくれ上ったりすることがない。また、製
作作業が容易なので、学生服や作業衣等の量産できるこ
とが望ましい被服に使用することもできる。
【0054】上記実施の形態の被服においては、山袖2
と縫合わされて袖1を形成する下袖3の袖底4に所定形
状の袖側折返部21を有し、また、この山袖2と下袖3
からなる袖1を取付ける身頃8の袖刳り14に所定形状
の身頃側折返部22を有するものであるから、身頃8に
袖1を縫付けた状態では、被服の脇下部分に、袖側折返
部21と身頃側折返部22が縫合わされて形成された折
畳部23が位置する。そのため、脇下部分に折畳部23
によって余裕が形成されるので、この被服を着用して腕
を上方や前方にある程度動かしても、身頃8が引張られ
ない。また、折畳部23は、袖1を下げた状態では見え
ず、腕を上げた状態でもそれ程目立たない。
【0055】しかも、折畳部23を形成する袖側折返部
21を設けても下袖3の袖底4の袖立切線5はなだらか
に連続した形状であるため、伸縮性が小さく固い生地を
用いた場合もひきつり等が生じることなく縫製でき、切
込み等を設ける必要がない。また、袖1を身頃8に縫製
によって取付ける際には、折畳部23は、袖側折返部2
1及び身頃側折返部22を単に重合わせて縫付ければよ
いため、その作業は容易である。また、折畳部23を袖
1内側に納めるためにその出来上線17を引き伸ばす場
合には、予め袖側折返部21及び身頃側折返部22の各
々の立切線を引伸ばせばよく、その作業も容易である。
【0056】即ち、機能及び見栄えの両面で優れ、しか
も、固い生地を用いた場合も袖1につれが生じることが
なく、更に、製作が容易である。
【0057】この実施の形態によれば、山袖2と縫合わ
されて袖1を形成する下袖3の袖底4に所定形状の袖側
折返部21を、また袖1が取付けられる身頃8の袖刳り
14の脇下部分に所定形状の身頃側折返部22を有する
ことにより、身頃8に袖1を取付けた場合には、袖側折
返部21と身頃側折返部22とが縫合わされて被服の脇
下部分に折畳部23が形成され、この被服を着用して腕
を上方や前方に或る程度動かしても脇下部分に余裕があ
り、身頃8が引張られないので、腕を動かし易く機能的
である。また、折畳部23は、袖1を下げた状態では見
えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たないので、見栄
えが損なわれない。
【0058】そして、折畳部23を形成する袖側折返部
21を設けた下袖3の袖底4の袖立切線5は、急激な凹
凸を有しないなだらかに連続した形状になっているた
め、裁断が容易にできると共に、特に、切込みを有して
いないから応力等の負担がかかっても、ほつれ等が生じ
難く丈夫である。
【0059】しかも、折畳部23は、袖側折返部21の
袖立切線5と身頃側折返部22の袖刳り立切線15を揃
えて各立切線に沿って縫合わせることによって形成され
るが、この縫製は連続的であり、その作業性が容易であ
る。更に、折畳部23は、出来上線17を伸ばすことで
袖1を下ろしたときに袖1の内側に安定に納まり、この
着用時に、折畳部23が脇下部分で身体に接触し着心地
を損ねることがない。しかも、この折畳部23を袖1内
側に納めるための、出来上線17の引伸ばしは、伸縮性
の大きな生地を用いる場合は袖刳り立切線15及び袖立
切線5を引張りながらアイロン処理することによって、
また、伸縮性の小さな生地を用いる場合は身頃脇ダーツ
13を身頃側折返部22の上部で開いて袖刳り立切線1
5の長さを伸ばすことによって、容易に行うことができ
る。したがって、この被服によれば、容易に製作するこ
とができる効果がある。
【0060】上記実施の形態の被服においては、請求項
の実施の形態に相当し、山袖2と縫合わされて袖1を
形成する下袖3の袖底4に所定形状の袖側折返部21を
有し、また、この山袖2と下袖3からなる袖1を取付け
る身頃8の袖刳り14に所定形状の身頃側折返部22を
有するものであるから、身頃8に袖1を縫付けた状態で
は、被服の脇下部分に、袖側折返部21と身頃側折返部
22が縫合わされて形成された折畳部23が位置する。
そのため、脇下部分に折畳部23によって余裕が形成さ
れるので、この被服を着用して腕を上方や前方にある程
度動かしても、身頃8が引張られない。また、折畳部2
3は、袖1を下げた状態では見えず、腕を上げた状態で
もそれ程目立たない。更に、袖1を身頃8に縫製によっ
て取付ける際には、折畳部23は、袖側折返部21及び
身頃側折返部22を単に重合わせて縫付ければよいた
め、その作業は容易である。
【0061】しかも、袖側折返部21の袖立切線5及び
身頃側折返部22の袖刳り立切線15がアイロン処理に
より引伸ばされているため、これを縫合わせることによ
って形成される折畳部23の出来上線17は長くなり、
折畳部23は袖1内側に安定に納まる。
【0062】このように、請求項の実施の形態によれ
ば、山袖2と縫合わされて袖1を形成する下袖3の袖底
4に所定形状の袖側折返部21を、また、袖1が取付け
られる身頃8の袖刳り14の脇下部分に所定形状の身頃
側折返部22を有することにより、身頃8に袖1を取付
けた場合には、袖側折返部21と身頃側折返部22とが
縫合わされて被服の脇下部分に折畳部23が形成され、
この被服を着用して腕を上方や前方に或る程度動かして
も脇下部分に余裕があり、身頃8が引張られないので、
腕を動かし易く機能的である。また、折畳部23は、袖
1を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程
目立たないので、見栄えが損なわれない。しかも、折畳
部23は、袖側折返部21の袖立切線5と身頃側折返部
22の袖刳り立切線15を揃えて各立切線に沿って縫合
わせることによって形成されるが、この縫製は容易にで
きる。更に、折畳部23は、前記縫合わされた後の折畳
部23を形成する前記袖側折返部21の袖立切線5が、
前記袖側折返線24より伸張しているので、折畳部23
の出来上線17の長さが長くなり、折畳部23を安定に
袖1内側に納めることができる。
【0063】上記実施の形態の被服においては、請求項
の実施の形態に相当し、山袖2と縫合わされて袖1を
形成する下袖3の袖底4に所定形状の袖側折返部21を
有し、また、この山袖2と下袖3からなる袖1を取付け
る身頃8の袖刳り14に所定形状の身頃側折返部22a
を有するものであるから、身頃8に袖1を縫付けた状態
では、被服の脇下部分に、袖側折返部21と身頃側折返
部22aが縫合わされて形成された折畳部23が位置す
る。そのため、脇下部分に折畳部23によって余裕が形
成されるので、この被服を着用して腕を上方や前方にあ
る程度動かしても、身頃8が引張られない。また、折畳
部23は、袖1を下げた状態では見えず、腕を上げた状
態でもそれ程目立たない。更に、袖1を身頃8に縫製に
よって取付ける際には、折畳部23は、袖側折返部21
及び身頃側折返部22aを単に重合わせて縫付ければよ
いため、その作業は容易である。
【0064】しかも、身頃側折返部22aは上部でダー
ツが開かれており、その袖刳り立切線15aの一部がバ
イヤス状になっているので、身頃側折返部22aの袖刳
り立切線15aは構造的に長くなると共に、一部バイヤ
ス状にしたことで伸び易くなる。また、袖側折返部21
の袖立切線5もバイヤス状であるので伸び易い。そのた
め、伸縮性の低い生地を用いた場合も、身頃側折返部2
2aの袖刳り立切線15a及び袖側折返部21の袖立切
線5を長くし、これを縫合わせた折畳部23を袖1内側
に納めることができる。
【0065】このように、請求項の実施の形態によれ
ば、山袖2と縫合わされて袖1を形成する下袖3の袖底
4に所定形状の袖側折返部21を、また袖1が取付けら
れる身頃8の袖刳り14の脇下部分に所定形状の身頃側
折返部22aを有することにより、身頃8に袖1を取付
けた場合には、袖側折返部21と身頃側折返部22aと
が縫合わされて被服の脇下部分に折畳部23が形成さ
れ、この被服を着用して腕を上方や前方に或る程度動か
しても脇下部分に余裕があり、身頃8が引張られないの
で、腕を動かし易く機能的である。また、折畳部23
は、袖1を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でも
それ程目立たないので、見栄えが損なわれない。
【0066】しかも、身頃側折返部22aは上部でダー
ツが開かれており、その袖刳り立切線15aの一部がバ
イヤス状になっているので、身頃側折返部22aの袖刳
り立切線15aは構造的に長くなると共に、一部バイヤ
ス状にしたことで伸び易くなる。また、袖側折返部21
の袖立切線5もバイヤス状であるので伸び易い。そのた
め、伸縮性の低い生地を用いた場合も、身頃側側折返部
22aの袖刳り立切線15a及び袖側折返部21の袖立
切線5を長く伸ばすことができ、これを縫合わせた折畳
部23を袖1内側に納めることができる。
【0067】なお、本実施の形態の袖刳り立切線15a
の一部はバイヤス状、袖側折返部21の袖立切線5もバ
イヤス状は、直交する織物糸に対して45度の方向に設
定するのが最良であるが、本発明を実施する場合には、
織物糸の材料との関係で、直交する織物糸との間に傾き
を設けたものであればよい。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の
被服は、山袖と縫合わされて袖を形成する下袖の袖底に
所定形状の袖側折返部を、また、袖が取付けられる身頃
の袖刳りの脇下部分に所定形状の身頃側折返部を有する
ことにより、身頃に袖を取付けた場合には、袖側折返部
と身頃側折返部とが縫合わされて被服の脇下部分に折畳
部が形成され、この被服を着用して腕を上方や前方に或
る程度動かしても脇下部分に余裕があり、身頃が引張ら
れないので、腕を動かし易く機能的である。また、折畳
部は、袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でも
それ程目立たないので、見栄えが損なわれない。しか
も、折畳部は、前記袖側折返部の脇下に折畳まれる袖立
切線と身頃側折返部の袖刳り立切線を揃えて各立切線に
沿って縫合わせることによって形成されるが、この縫製
は容易にできる。更に、前記縫合わされた後の折畳部を
形成する前記袖側折返部の袖立切線が、前記袖側折返線
より伸張しているので、折畳部の出来上線の長さが長く
なり、折畳部を安定に袖内側に納めることができる。
【0069】請求項の被服は、山袖と縫合わされて袖
を形成する下袖の袖底に所定形状の袖側折返部を、また
袖が取付けられる身頃の袖刳りの脇下部分に所定形状の
身頃側折返部を有することにより、身頃に袖を取付けた
場合には、袖側折返部と身頃側折返部とが縫合わされて
被服の脇下部分に折畳部が形成され、この被服を着用し
て腕を上方や前方に或る程度動かしても脇下部分に余裕
があり、身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能
的である。また、折畳部は、袖を下げた状態では見え
ず、腕を上げた状態でもそれ程目立たないので、見栄え
が損なわれない。
【0070】しかも、身頃側側折返部は上部でダーツが
開かれており、その袖刳り立切線の一部がバイヤス状に
なっているので、身頃側折返部の袖刳り立切線は構造的
に長くなると共に、一部バイヤス状にしたことで伸び易
くなる。また、袖側折返部の袖立切線もバイヤス状であ
るので伸び易い。そのため、伸縮性の低い生地を用いた
場合も、身頃側側折返部の袖刳り立切線及び袖側折返部
の袖立切線を長く伸ばすことができ、これを縫合わせた
折畳部を袖内側に納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の第一の実施の形態の背広を示
す要部正面図である。
【図2】 図2は図1の背広の要部を示す断面図であ
る。
【図3】 図3は図1の背広の袖を示す斜視図である。
【図4】 図4は図3の背広の袖の山袖を示す平面図で
ある。
【図5】 図5は図3の背広の袖の下袖を示す平面図で
ある。
【図6】 図6は図1の背広の身頃の要部を示す斜視図
である。
【図7】 図7は図6の背広の身頃の要部を示す平面図
である。
【図8】 図8は本発明の第二の実施の形態の背広の身
頃の要部を示す平面図である。
【図9】 図9は従来の一般的な背広の袖を示す斜視図
である。
【図10】 図10は図9の背広の袖の山袖を示す平面
図である。
【図11】 図11は図9の背広の袖の下袖を示す平面
図である。
【図12】 図12は従来の一般的な背広の身頃の要部
を示す斜視図である。
【図13】 図13は図12の背広の身頃の要部を示す
平面図である。
【図14】 図14は狩猟服を示す要部正面図である。
【図15】 図15は従来の袖構造の背広を示す要部正
面図である。
【図16】 図16は図15の背広の袖を示す斜視図で
ある。
【図17】 図17は図16の背広の袖の山袖を示す平
面図である。
【図18】 図18は図16の背広の袖の下袖を示す平
面図である。
【符号の説明】
1 袖 2 山袖 3 下袖 4 袖底 5 袖立切線 6 クラウン 7 縫目 8 身頃 9 前身 10 細腹 11 前身頃 12 後身頃 13,13a 身頃脇ダーツ 14 袖刳り 15,15a 袖刳り立切線 17 出来上線 21 袖側折返部 22,22a 身頃側折返部 23 折畳部 24 袖側折返線 25,25a 身頃側折返線
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A41D 1/02 A41D 27/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着用状態で上部に位置する山袖と、 前記山袖と縫合わされて袖を形成する下袖と、 前記山袖と前記下袖からなる袖を取付ける身頃と、 前記身頃の袖刳りに設けられた所定形状の身頃側折返部
    と、 前記下袖の袖底に設けられ、前記身頃側折返部と縫合わ
    されて、袖を下げた状態で脇下に折畳まれる折畳部を形
    成する所定形状の袖側折返部とを具備し、 前記縫合わされた後の折畳部を形成する前記袖側折返部
    の袖立切線が、前記袖側折返部の脇下に折畳まれる袖側
    折返線より伸張していることを特徴とする被服。
  2. 【請求項2】 着用状態で上部に位置する山袖と、 前記山袖と縫合わされて袖を形成する下袖と、 前記山袖と前記下袖からなる袖を取付ける身頃と、 前記身頃の袖刳りに設けられた所定形状の身頃側折返部
    と、 前記下袖の袖底に設けられ、前記身頃側折返部と縫合わ
    されて、袖を下げた状態で脇下に折畳まれる折畳部を形
    成する所定形状の袖側折返部とを具備し、 前記身頃側折返部は上部でダーツが開かれており、その
    袖刳り立切線の一部はバイヤス状であると共に、前記袖
    側折返部の袖刳り立切線もバイヤス状であることを特徴
    とする被服。
JP7183790A 1995-07-20 1995-07-20 被 服 Expired - Lifetime JP2987087B2 (ja)

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