JP2986498B2 - 生体吸収性ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents
生体吸収性ポリエステルおよびその製造方法Info
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- JP2986498B2 JP2986498B2 JP2015004A JP1500490A JP2986498B2 JP 2986498 B2 JP2986498 B2 JP 2986498B2 JP 2015004 A JP2015004 A JP 2015004A JP 1500490 A JP1500490 A JP 1500490A JP 2986498 B2 JP2986498 B2 JP 2986498B2
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- glycolide
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G63/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
- C08G63/02—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
- C08G63/06—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from hydroxycarboxylic acids
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C08—ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
- C08G—MACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
- C08G63/00—Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、手術用縫合糸、徐放性薬剤の基材(マトリ
ックス)や骨折治療用接骨プレート等の医療用具として
使用される生体吸収性ポリエステルおよびその製造方法
に関する。
ックス)や骨折治療用接骨プレート等の医療用具として
使用される生体吸収性ポリエステルおよびその製造方法
に関する。
更に詳しくは、グリコール酸単位および/または乳酸
単位の繰り返し構造単位を有する生体吸収性ポリエステ
ルのポリマー分子の連鎖中に、配糖体を導入結合させて
含有する加水分解性の改良された生体吸収性ポリエステ
ルおよびその製造方法に関する。
単位の繰り返し構造単位を有する生体吸収性ポリエステ
ルのポリマー分子の連鎖中に、配糖体を導入結合させて
含有する加水分解性の改良された生体吸収性ポリエステ
ルおよびその製造方法に関する。
本発明における生体吸収性ポリエステルとは、その基
本繰り返し構造単位が、グリコール酸単位および/また
は乳酸単位を有するものであり、一般式(I) (式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し
構造単位を有するポリマーである。
本繰り返し構造単位が、グリコール酸単位および/また
は乳酸単位を有するものであり、一般式(I) (式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し
構造単位を有するポリマーである。
このような繰り返し構造単位を有する生体吸収性ポリ
エステルは、通常、上記の一般式(I)において、R1お
よびR2が水素である比率が80〜100%であり、メチル基
である比率が0〜20%であるグリコール酸系重合体と、
R1およびR2が水素である比率が0〜80%であり、メチル
基である比率が20〜100%である乳酸系重合体とに区分
されている。
エステルは、通常、上記の一般式(I)において、R1お
よびR2が水素である比率が80〜100%であり、メチル基
である比率が0〜20%であるグリコール酸系重合体と、
R1およびR2が水素である比率が0〜80%であり、メチル
基である比率が20〜100%である乳酸系重合体とに区分
されている。
これらの生体吸収性ポリエステルは、いずれも生体内
で非酵素的に加水分解され、その分解生成物であるグリ
コール酸や乳酸は代謝経路により最終的には炭酸ガスと
水になり体外へ放出されてしまう興味ある生体吸収性材
料である。
で非酵素的に加水分解され、その分解生成物であるグリ
コール酸や乳酸は代謝経路により最終的には炭酸ガスと
水になり体外へ放出されてしまう興味ある生体吸収性材
料である。
しかしながら、前者のグリコール酸系重合体(以下、
PGAと略称する)は、一般に、溶媒に対する溶解性が悪
く、融点も180〜240℃と高く、成形性に難点がある。こ
のような特性から、高分子量のものが繊維状に加工され
て縫合糸やガーゼ等の無菌外科手術用材として用いられ
ている。
PGAと略称する)は、一般に、溶媒に対する溶解性が悪
く、融点も180〜240℃と高く、成形性に難点がある。こ
のような特性から、高分子量のものが繊維状に加工され
て縫合糸やガーゼ等の無菌外科手術用材として用いられ
ている。
具体的には、既に、グリコール酸系重合体を用いた手
術用縫合糸が、アメリカのACC社やエチコン社からそれ
ぞれDexon(グリコール酸構造100モル%)およびVicryl
(グリコール酸構造85〜90モル%,乳酸構造10〜15モル
%)の商品名で市販されている。
術用縫合糸が、アメリカのACC社やエチコン社からそれ
ぞれDexon(グリコール酸構造100モル%)およびVicryl
(グリコール酸構造85〜90モル%,乳酸構造10〜15モル
%)の商品名で市販されている。
これらのグリコール酸系重合体は、生体内で加水分解
されて重合体の初期の強度を大部分失うのに、約1月程
の長い期間を必要とする。
されて重合体の初期の強度を大部分失うのに、約1月程
の長い期間を必要とする。
このため、縫合部位や縫合方法によっては、更に短期
間で加水分解され、吸収される材料の開発が望まれてい
る。
間で加水分解され、吸収される材料の開発が望まれてい
る。
一方、乳酸系重合体は、乳酸構造とグリコール酸構造
の割合によって、通常、次のように区分される。すなわ
ち、一般式(I)において、R1およびR2がメチル基であ
る比率が100%であるポリ乳酸(以下、PLAと略称する)
と、R1およびR2が水素である比率が0〜80%で、メチル
基である比率が20〜100%(但し、R1およびR2がともに
メチル基である比率が100%のものを除く)の乳酸−グ
リコール酸共重合体(以下、PGLAと略称する)である。
の割合によって、通常、次のように区分される。すなわ
ち、一般式(I)において、R1およびR2がメチル基であ
る比率が100%であるポリ乳酸(以下、PLAと略称する)
と、R1およびR2が水素である比率が0〜80%で、メチル
基である比率が20〜100%(但し、R1およびR2がともに
メチル基である比率が100%のものを除く)の乳酸−グ
リコール酸共重合体(以下、PGLAと略称する)である。
PLAは、ポリマーとして高強度のものが得られ、特に
高分子量のPLAは棒状またはプレート状に加工されて、
骨折治療用の生体吸収性接骨プレート等として使用され
ている。
高分子量のPLAは棒状またはプレート状に加工されて、
骨折治療用の生体吸収性接骨プレート等として使用され
ている。
また、PGLAは、ポリマーとしては強度がやや劣るた
め、主として徐放性のマトリックスとして使用されてい
る。
め、主として徐放性のマトリックスとして使用されてい
る。
このように、乳酸系重合体は、加工性や溶媒に対する
溶解性に優れているため、ペレット、針状、フィルム
状、微小球状等に加工されて、体内埋め込み用または静
脈注射用の徐放性薬剤のマトリックス等として広範囲に
使用されている。
溶解性に優れているため、ペレット、針状、フィルム
状、微小球状等に加工されて、体内埋め込み用または静
脈注射用の徐放性薬剤のマトリックス等として広範囲に
使用されている。
ところで、PLAで加工された骨折治療用の生体吸収性
接骨プレート等は、生体内での加水分解に半年〜1年を
要し、最近の医学の進歩により、より短期間で加水分解
される材料の開発が要望されている。
接骨プレート等は、生体内での加水分解に半年〜1年を
要し、最近の医学の進歩により、より短期間で加水分解
される材料の開発が要望されている。
また、PGLAの徐放性のマトリックスについても、放出
される薬剤の種類やその適用方法によっては、さらに短
期間で、例えば、数日間で加水分解されるようなマトリ
ックス材の開発が要望されている。
される薬剤の種類やその適用方法によっては、さらに短
期間で、例えば、数日間で加水分解されるようなマトリ
ックス材の開発が要望されている。
以上のように、生体吸収性ポリエステルは、その種類
によって使用目的・態様が異なるものの、いずれの種類
の生体吸収性ポリエステルに対しても共通の課題は、生
体内における加水分解性を一層早いもの、または任意の
加水分解性を有するように制御されたものの開発にあ
る。
によって使用目的・態様が異なるものの、いずれの種類
の生体吸収性ポリエステルに対しても共通の課題は、生
体内における加水分解性を一層早いもの、または任意の
加水分解性を有するように制御されたものの開発にあ
る。
したがって、そのような生体吸収性ポリエステルの開
発は強く要望されている状況にある。
発は強く要望されている状況にある。
このような要望に対して、グリコール酸系重合体の製
造に関しては、例えば、特公昭62−31736号公報で
は、グリコリドに対し0.01〜0.05重量%のオクタン酸第
一スズ、およびオクタン酸第一スズに対し0.5〜2.8重量
倍の炭素数12〜18の中で偶数個の炭素を有する一価の直
鎖状飽和脂肪アルコールの存在下で、160〜180℃の温度
でグリコリドを重合させることを特徴とするポリグリコ
ール酸の製造方法、また、特開昭63−17929号公報で
は、グリコリドに対し0.001〜0.005重量%のオクタン酸
第一スズを用い、グリコリドに対して0.11〜0.22モル%
の炭素数10〜18を有する直鎖脂肪族の一価アルコールを
用いて、220〜250℃の温度条件下で重合させることを特
徴とする固有粘度0.85〜1.1を有するポリグリコール酸
の製造方法等が提案されている。
造に関しては、例えば、特公昭62−31736号公報で
は、グリコリドに対し0.01〜0.05重量%のオクタン酸第
一スズ、およびオクタン酸第一スズに対し0.5〜2.8重量
倍の炭素数12〜18の中で偶数個の炭素を有する一価の直
鎖状飽和脂肪アルコールの存在下で、160〜180℃の温度
でグリコリドを重合させることを特徴とするポリグリコ
ール酸の製造方法、また、特開昭63−17929号公報で
は、グリコリドに対し0.001〜0.005重量%のオクタン酸
第一スズを用い、グリコリドに対して0.11〜0.22モル%
の炭素数10〜18を有する直鎖脂肪族の一価アルコールを
用いて、220〜250℃の温度条件下で重合させることを特
徴とする固有粘度0.85〜1.1を有するポリグリコール酸
の製造方法等が提案されている。
一方、乳酸系重合体の製造法に関しては、例えば、特
開昭62−64824号公報で、乳酸構造25〜100モル%および
グリコール酸構造0〜75モル%を含有し、固有粘度4以
下(クロロホルムまたはジオキサンに溶した1g/100ml溶
液)を有する低分子量で不均一性の乳酸−グリコール酸
共重合物およびその製造方法が提案されている。この特
開昭62−64824号公報に開示された製造方法は、具体例
として、触媒に0.2重量%のオクタン酸第一スズを用
い、含水dl−乳酸の存在下、ラクチドとグリコリドとを
160℃で重合させ所望の共重合物を得る方法が記載され
ている。
開昭62−64824号公報で、乳酸構造25〜100モル%および
グリコール酸構造0〜75モル%を含有し、固有粘度4以
下(クロロホルムまたはジオキサンに溶した1g/100ml溶
液)を有する低分子量で不均一性の乳酸−グリコール酸
共重合物およびその製造方法が提案されている。この特
開昭62−64824号公報に開示された製造方法は、具体例
として、触媒に0.2重量%のオクタン酸第一スズを用
い、含水dl−乳酸の存在下、ラクチドとグリコリドとを
160℃で重合させ所望の共重合物を得る方法が記載され
ている。
以上のように、生体吸収性ポリエステルの製造方法に
関しては、グリコール酸や乳酸の無水環状二量体である
グリコリドやラクチドを適当な触媒により開環重合させ
る方法が開示され、この重合に際して触媒の他に助触媒
(連鎖増大剤)として、ラウリルアルコール等のアルコ
ール類またはグリコール酸等のヒドロキシ酸を共存させ
る方法がもっとも一般的方法として提案されている。
関しては、グリコール酸や乳酸の無水環状二量体である
グリコリドやラクチドを適当な触媒により開環重合させ
る方法が開示され、この重合に際して触媒の他に助触媒
(連鎖増大剤)として、ラウリルアルコール等のアルコ
ール類またはグリコール酸等のヒドロキシ酸を共存させ
る方法がもっとも一般的方法として提案されている。
しかしながら、上記に示す公知のいずれの製造方法に
も生体内での加水分解性を高めたり、所望の加水分解性
に応じた生体吸収性ポリエステルを製造する技術は開示
されておらず、単に生体吸収性ポリエステルの加水分解
速度のコントロール、特に加水分解速度を速めるために
採られてきた手段は、専ら重合の際に用いる助触媒の添
加量を多くすることであった。すなわち、助触媒の添加
量を増せば、生成するポリエステルの分子量が小さくな
り、その結果、加水分解速度が大きくなることを利用す
るものであった。このような手段は分子量が小さくなる
ため物理的特性が低下する問題点を生じ、広く適用でき
る好ましい方法ではなかった。
も生体内での加水分解性を高めたり、所望の加水分解性
に応じた生体吸収性ポリエステルを製造する技術は開示
されておらず、単に生体吸収性ポリエステルの加水分解
速度のコントロール、特に加水分解速度を速めるために
採られてきた手段は、専ら重合の際に用いる助触媒の添
加量を多くすることであった。すなわち、助触媒の添加
量を増せば、生成するポリエステルの分子量が小さくな
り、その結果、加水分解速度が大きくなることを利用す
るものであった。このような手段は分子量が小さくなる
ため物理的特性が低下する問題点を生じ、広く適用でき
る好ましい方法ではなかった。
本発明の課題は、生体吸収性ポリエステルが有する生
体内での加水分解性を改良するとともに、生体内への各
種の適用に応じた任意の加水分解性を有する生体吸収性
ポリエステルおよびその製造方法を提供することであ
る。
体内での加水分解性を改良するとともに、生体内への各
種の適用に応じた任意の加水分解性を有する生体吸収性
ポリエステルおよびその製造方法を提供することであ
る。
本発明者等は、上記課題について鋭意検討を重ねた結
果、グリコリドやラクチドを重合させてグリコール酸単
位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を有する
生体吸収性ポリエステルを得るに際し、重合反応を配糖
体の存在下に行なって得られるポリエステルは、加水分
解性が一段と向上したものであることを見出し、本発明
を完成するに至った。
果、グリコリドやラクチドを重合させてグリコール酸単
位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を有する
生体吸収性ポリエステルを得るに際し、重合反応を配糖
体の存在下に行なって得られるポリエステルは、加水分
解性が一段と向上したものであることを見出し、本発明
を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一般式(I) (式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよい)で表されるグリコー
ル酸単位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を
有するポリマー分子構造中に配糖体を導入結合させて、
加水分解性の改善された生体吸収性ポリエステル、なら
びにこの生体吸収性ポリエステルをグリコリドおよび/
またはラクチドを配糖体の存在下に重合させて製造する
方法である。
いに同一でも異なっていてもよい)で表されるグリコー
ル酸単位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を
有するポリマー分子構造中に配糖体を導入結合させて、
加水分解性の改善された生体吸収性ポリエステル、なら
びにこの生体吸収性ポリエステルをグリコリドおよび/
またはラクチドを配糖体の存在下に重合させて製造する
方法である。
以下、本発明について説明する。
本発明の生体吸収性ポリエステルは、次の方法によっ
て製造することができる。
て製造することができる。
すなわち、まず、前記一般式(I)の繰り返し構造単
位を有するポリマーの生成に必要な原料として、グリコ
リドおよび/またはラクチドが使用される。グリコリド
およびラクチドは、それぞれグリコール酸および乳酸の
脱水重縮合反応、およびそれに続く熱分解反応により容
易に調製される環状二量体である。ラクチドには、D−
乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、L−乳酸の環状
二量体であるL−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環
状二量化したメソラクチド、およびD−ラクチドとL−
ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあり、
いずれのラクチドも原料として用いることができる。
位を有するポリマーの生成に必要な原料として、グリコ
リドおよび/またはラクチドが使用される。グリコリド
およびラクチドは、それぞれグリコール酸および乳酸の
脱水重縮合反応、およびそれに続く熱分解反応により容
易に調製される環状二量体である。ラクチドには、D−
乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、L−乳酸の環状
二量体であるL−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環
状二量化したメソラクチド、およびD−ラクチドとL−
ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあり、
いずれのラクチドも原料として用いることができる。
これらのモノマーとして用いるグリコリドやラクチド
に加えて、他のラクトン類を併用して重合を行うことも
できる。ラクトン類としては、例えば、β−プロピオラ
クトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε
−カプロラクトン等が挙げられる。
に加えて、他のラクトン類を併用して重合を行うことも
できる。ラクトン類としては、例えば、β−プロピオラ
クトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε
−カプロラクトン等が挙げられる。
グリコリドおよび/またはラクチドの使用量は、得ら
れる生体吸収性ポリエステルの適用目的に応じて変化さ
せることができる。例えば、一般式(I)において、R1
およびR2がともに水素であるグリコール酸単位、ならび
にR1およびR2がともにメチル基である乳酸単位の場合
は、それぞれグリコリドまたはラクチドのみを使用し、
また、一般式(I)において、R1およびR2が水素および
メチル基であるグリコール酸単位と乳酸単位を含む場合
は、得られる生体吸収性ポリエステルに要求される性質
に応じて、グリコリドとラクチドの使用量を決めること
ができる。
れる生体吸収性ポリエステルの適用目的に応じて変化さ
せることができる。例えば、一般式(I)において、R1
およびR2がともに水素であるグリコール酸単位、ならび
にR1およびR2がともにメチル基である乳酸単位の場合
は、それぞれグリコリドまたはラクチドのみを使用し、
また、一般式(I)において、R1およびR2が水素および
メチル基であるグリコール酸単位と乳酸単位を含む場合
は、得られる生体吸収性ポリエステルに要求される性質
に応じて、グリコリドとラクチドの使用量を決めること
ができる。
前記のように、公知の生体吸収性ポリエステルでは、
一般式(I)で表される繰り返し構造単位において、R1
およびR2が水素である比率が80〜100%であり、メチル
基である比率が0〜20%であるグリコール酸系重合体
と、R1およびR2が水素である比率が0〜80%であり、メ
チル基である比率が20〜100%である乳酸系重合体とに
区分される。
一般式(I)で表される繰り返し構造単位において、R1
およびR2が水素である比率が80〜100%であり、メチル
基である比率が0〜20%であるグリコール酸系重合体
と、R1およびR2が水素である比率が0〜80%であり、メ
チル基である比率が20〜100%である乳酸系重合体とに
区分される。
グリコール酸系重合体は高分子量のものが繊維状に加
工されて縫合糸やガーゼ等の無菌外科手術用材として用
いられて、また、乳酸−グリコール酸共重合体および乳
酸単独重合体は加工性や溶媒に対する溶解性に優れてい
るため、ペレット、針状、フィルム状、微小球状等に加
工されて、体内埋め込み用または静脈注射用の徐放性薬
剤のマトリックスとして使用されている。特に、高分子
量の乳酸単独重合体は、棒状またはプレート状に加工さ
れて、骨折治療用の生体吸収性接骨プレートとして使用
されている。
工されて縫合糸やガーゼ等の無菌外科手術用材として用
いられて、また、乳酸−グリコール酸共重合体および乳
酸単独重合体は加工性や溶媒に対する溶解性に優れてい
るため、ペレット、針状、フィルム状、微小球状等に加
工されて、体内埋め込み用または静脈注射用の徐放性薬
剤のマトリックスとして使用されている。特に、高分子
量の乳酸単独重合体は、棒状またはプレート状に加工さ
れて、骨折治療用の生体吸収性接骨プレートとして使用
されている。
したがって、これらの適用目的を考慮してグリコリド
およびラクチドの使用量を決めればよい。
およびラクチドの使用量を決めればよい。
つぎに、ポリマーの分子構造中に導入結合させるのに
使用される配糖体は、一般的に生体に対する毒性が低
く、生体吸収性ポリエステル等の医用高分子材料の設計
に使用するには極めて適した原料である。
使用される配糖体は、一般的に生体に対する毒性が低
く、生体吸収性ポリエステル等の医用高分子材料の設計
に使用するには極めて適した原料である。
本発明の方法で使用される配糖体として、メチルグル
コシド(1−O−メチル−D−グルコース)、ジギタリ
ス、ヌクレオチド、ヌクレオシド等が挙げられる。
コシド(1−O−メチル−D−グルコース)、ジギタリ
ス、ヌクレオチド、ヌクレオシド等が挙げられる。
本発明の効果は、これらの配糖体を使用して得られる
ので、これらの配糖体から所望の効果に応じて適宜選択
して使用できる。例えば、好ましく使用される配糖体と
して、メチルグルコシドが例示される。
ので、これらの配糖体から所望の効果に応じて適宜選択
して使用できる。例えば、好ましく使用される配糖体と
して、メチルグルコシドが例示される。
また、これらの配糖体は、単独で使用しても、また二
種以上を併用しても差し支えない。
種以上を併用しても差し支えない。
配糖体の使用量は、目的とする生体吸収性ポリエステ
ルの用途、例えば、所望の加水分解性、または成形物と
したときの強度等を考慮して適宜決めることができる。
ルの用途、例えば、所望の加水分解性、または成形物と
したときの強度等を考慮して適宜決めることができる。
例えば、縫合糸や接骨プレート等の一般的に生体吸収
性ポリエステルの強度を必要とする用途に対しては、通
常、グリコリドおよび/またはラクチドに対して配糖体
の水酸基濃度が0.001〜1モル%、好ましくは0.01〜0.1
モル%となる量の範囲で使用される。0.001モル%未満
では、本発明の効果である加水分解性の改良が不十分で
あり、1モル%越えると、加水分解性の改良効果はある
ものの、この効果にくらべポリマーの強度低下が大きく
なる傾向があり、用途によっては好ましくない場合があ
る。
性ポリエステルの強度を必要とする用途に対しては、通
常、グリコリドおよび/またはラクチドに対して配糖体
の水酸基濃度が0.001〜1モル%、好ましくは0.01〜0.1
モル%となる量の範囲で使用される。0.001モル%未満
では、本発明の効果である加水分解性の改良が不十分で
あり、1モル%越えると、加水分解性の改良効果はある
ものの、この効果にくらべポリマーの強度低下が大きく
なる傾向があり、用途によっては好ましくない場合があ
る。
また、生体吸収性ポリエステルの強度が問題とならな
い使用目的に対しては、例えば、徐放性薬剤のマトリッ
クス等に使用される場合は、配糖体の使用量は相当多量
に使用可能であり、グリコリドおよび/またはラクチド
に対して配糖体の水酸基濃度が100モル%程度までも使
用できる。
い使用目的に対しては、例えば、徐放性薬剤のマトリッ
クス等に使用される場合は、配糖体の使用量は相当多量
に使用可能であり、グリコリドおよび/またはラクチド
に対して配糖体の水酸基濃度が100モル%程度までも使
用できる。
重合反応は、溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロ
エタン等の有機溶媒を用いる溶液重合によっても実施で
きるが、通常は、溶融状態による塊状重合で実施するの
が好ましい。
エタン等の有機溶媒を用いる溶液重合によっても実施で
きるが、通常は、溶融状態による塊状重合で実施するの
が好ましい。
この反応は、触媒の不存在下であっても、存在下であ
っても実施可能である。しかし、短時間で高分子量の重
合体を得るためには触媒を用いるのが好ましい。この重
合触媒としては、アニオン触媒、カチオン触媒、配位触
媒等の公知のものを含め本重合反応に触媒作用を示すも
のを使用することができる。例えば、塩化亜鉛、四塩化
チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素エーテル錯体、塩化ア
ルミニウム、三フッ化アンチモン、酸化鉛等の主として
多価金属を含む化合物が用いることができ、中でもスズ
化合物または亜鉛化合物が好ましく使用される。スズ化
合物の中ではオクタン酸第一スズが特に好ましい。
っても実施可能である。しかし、短時間で高分子量の重
合体を得るためには触媒を用いるのが好ましい。この重
合触媒としては、アニオン触媒、カチオン触媒、配位触
媒等の公知のものを含め本重合反応に触媒作用を示すも
のを使用することができる。例えば、塩化亜鉛、四塩化
チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素エーテル錯体、塩化ア
ルミニウム、三フッ化アンチモン、酸化鉛等の主として
多価金属を含む化合物が用いることができ、中でもスズ
化合物または亜鉛化合物が好ましく使用される。スズ化
合物の中ではオクタン酸第一スズが特に好ましい。
触媒の使用量は、その種類や重合温度によって適宜決
められるが、好ましくはモノマーであるグリコリドおよ
び/またはラクチドに対して、およそ0.001〜0.1重量%
である。
められるが、好ましくはモノマーであるグリコリドおよ
び/またはラクチドに対して、およそ0.001〜0.1重量%
である。
重合温度は、溶融重合の場合には、原料モノマーであ
るグリコリドやラクチドの融点(グリコリド:85℃付
近、L−ラクチドまたはD−ラクチド:95℃付近、DL−
ラクチド:120℃付近、メソ−ラクチド:45℃付近)以上
であればよく、また、クロロホルム、ジクロロエタン等
の溶媒を用いる溶液重合の場合には、上記の融点以下の
温度でも反応を実施することができる。
るグリコリドやラクチドの融点(グリコリド:85℃付
近、L−ラクチドまたはD−ラクチド:95℃付近、DL−
ラクチド:120℃付近、メソ−ラクチド:45℃付近)以上
であればよく、また、クロロホルム、ジクロロエタン等
の溶媒を用いる溶液重合の場合には、上記の融点以下の
温度でも反応を実施することができる。
以上のような製造方法により得られる本発明の生体吸
収性ポリエステルは、主として、前記の一般式(I)で
表される繰り返し構造単位のポリマー分子構造に配糖体
骨格が導入結合されたものであり、従来の方法により得
られる生体吸収性ポリエステルとはその構造を異にする
ものである。
収性ポリエステルは、主として、前記の一般式(I)で
表される繰り返し構造単位のポリマー分子構造に配糖体
骨格が導入結合されたものであり、従来の方法により得
られる生体吸収性ポリエステルとはその構造を異にする
ものである。
このことは、後記の実施例により証明される。
すなわち、本発明の生体吸収性ポリエステルである配
糖体の存在下でラクチドを重合させた実施例1のポリエ
ステル(PLA−2という)と、配糖体の不存在下で従来
方法による比較例1のラクチドの重合体(PLA−1)と
を、それぞれクロロホルムに溶解させた溶液のH−NMR
(核磁気共鳴)スペクトルを測定した。その結果によれ
ば、第2図に示すPLA−1のスペクトルでは、1.55ppmと
5.16ppmにそれぞれポリ乳酸 のメチル水素に由来する二重線(b)とメチン水素に由
来する四重線(a)とが単純かつ明確に現れており、こ
れに対して、PLA−2のスペクトルでは、上記のスペク
トルのほかに、3.3〜4.8ppmの範囲に配糖体に由来する
ピークが現れている。
糖体の存在下でラクチドを重合させた実施例1のポリエ
ステル(PLA−2という)と、配糖体の不存在下で従来
方法による比較例1のラクチドの重合体(PLA−1)と
を、それぞれクロロホルムに溶解させた溶液のH−NMR
(核磁気共鳴)スペクトルを測定した。その結果によれ
ば、第2図に示すPLA−1のスペクトルでは、1.55ppmと
5.16ppmにそれぞれポリ乳酸 のメチル水素に由来する二重線(b)とメチン水素に由
来する四重線(a)とが単純かつ明確に現れており、こ
れに対して、PLA−2のスペクトルでは、上記のスペク
トルのほかに、3.3〜4.8ppmの範囲に配糖体に由来する
ピークが現れている。
PLA−1、PLA−2ともH−NMR(核磁気共鳴)スペク
トルの測定に際して、クロロホルムに溶解させており、
たとえ、PLA−2に未反応の配糖体が残存していても、
配糖体は親水性のため、クロロホルムに溶解しないの
で、PLA−2のスペクトルに現れたピークは重合の過程
で配糖体の水酸基にポリエステル鎖が結合したものであ
ることは明白である。
トルの測定に際して、クロロホルムに溶解させており、
たとえ、PLA−2に未反応の配糖体が残存していても、
配糖体は親水性のため、クロロホルムに溶解しないの
で、PLA−2のスペクトルに現れたピークは重合の過程
で配糖体の水酸基にポリエステル鎖が結合したものであ
ることは明白である。
このほか、ポリマー構造の差異は、本発明の生体吸収
性ポリエステルが従来の方法により得られる生体吸収性
ポリエステルと異なる性質や挙動、例えば、加水分解性
向上、溶融粘度低下、溶媒に対する溶解性向上、ポリエ
ステルの融点の降下、または融点消滅等の変化が現れる
ということ等に示されている。
性ポリエステルが従来の方法により得られる生体吸収性
ポリエステルと異なる性質や挙動、例えば、加水分解性
向上、溶融粘度低下、溶媒に対する溶解性向上、ポリエ
ステルの融点の降下、または融点消滅等の変化が現れる
ということ等に示されている。
さらに、ポリマーの分子量は、例えば、ゲル・パーミ
エイション・クロマトグラフィ(GPC)や溶液粘度測定
等の通常の方法により推定することができる。本発明の
生体吸収性ポリエステルについて、溶液粘度と分子量と
の関係式は得られていないが、通常の生体吸収性ポリエ
ステルと同様に溶液粘度の高いものほど分子量が高いと
考えて良い。
エイション・クロマトグラフィ(GPC)や溶液粘度測定
等の通常の方法により推定することができる。本発明の
生体吸収性ポリエステルについて、溶液粘度と分子量と
の関係式は得られていないが、通常の生体吸収性ポリエ
ステルと同様に溶液粘度の高いものほど分子量が高いと
考えて良い。
本発明の生体吸収性ポリエステルは、その製造に際
し、重合時に系中に共存させる配糖体の種類や添加量に
よって生成重合体の分子量や一次構造、すなわちポリエ
ステル連鎖と糖骨格との組成比、ポリエステル鎖長、糖
骨格の構造、糖骨格の分子量等を規制することができ
る。
し、重合時に系中に共存させる配糖体の種類や添加量に
よって生成重合体の分子量や一次構造、すなわちポリエ
ステル連鎖と糖骨格との組成比、ポリエステル鎖長、糖
骨格の構造、糖骨格の分子量等を規制することができ
る。
さらに、ストレプトマイシンのような薬効性の配糖体
等であれば、体内に投与された生体吸収性ポリエステル
は、徐々に加水分解を受けて薬物を徐放することとな
り、有用な素材となり、また、ドラッグデリバリーシス
テム(DDS)への応用も可能である。
等であれば、体内に投与された生体吸収性ポリエステル
は、徐々に加水分解を受けて薬物を徐放することとな
り、有用な素材となり、また、ドラッグデリバリーシス
テム(DDS)への応用も可能である。
以上のように、本発明は、加水分解性やその他の性能
において、特に従来の生体吸収性ポリエステルに比べ、
同レベルの分子量を有しながら加水分解性の高い、優れ
た性能を有する多様な生体吸収性ポリエステルを提供す
るものであり、生体吸収性ポリエステルの用途を拡大す
るものである。
において、特に従来の生体吸収性ポリエステルに比べ、
同レベルの分子量を有しながら加水分解性の高い、優れ
た性能を有する多様な生体吸収性ポリエステルを提供す
るものであり、生体吸収性ポリエステルの用途を拡大す
るものである。
次に、本発明を、実施例によりさらに具体的に説明す
る。なお、実施例中の物性値その他は以下の方法により
測定した。
る。なお、実施例中の物性値その他は以下の方法により
測定した。
平均分子量および分子量分布 重合体をクロロホルム、またはクロロホルムに溶解し
ない場合はヘキサフルオロイソプロパノール(以下、HF
IPと略記する)に溶解し(1%)、それぞれクロロホル
ムまたはHFIPを溶離液に用いたGPCにより、重量平均分
子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をポリスチレン換
算で求めた。
ない場合はヘキサフルオロイソプロパノール(以下、HF
IPと略記する)に溶解し(1%)、それぞれクロロホル
ムまたはHFIPを溶離液に用いたGPCにより、重量平均分
子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をポリスチレン換
算で求めた。
両者の比(Mw/Mn)により重合体の分子量分布を評価
した。
した。
加水分解性試験 重合体がクロロホルムに溶解する場合は、クロロホル
ム溶液(約5%)を調製し、水平台上のフラットシャー
レにキャストして常温で乾燥することによりフィルム状
試料を作製した。また、重合体がクロロホルムに溶解し
ない場合は、粉砕して粉末状にて試験に供した。試料25
0mgを試験管に入れリン酸−クエン酸緩衝溶液(pH7.3)
25mlを加えた。試験管を37℃の恒温槽中に固定し、所定
時間後に試験管内容物を減圧下で濃縮した。乾固した濃
縮残渣をクロロホルムまたはHFIPにより溶解し、GPCに
てMwを測定した。分子量保持率(%)の算出は次式によ
った。
ム溶液(約5%)を調製し、水平台上のフラットシャー
レにキャストして常温で乾燥することによりフィルム状
試料を作製した。また、重合体がクロロホルムに溶解し
ない場合は、粉砕して粉末状にて試験に供した。試料25
0mgを試験管に入れリン酸−クエン酸緩衝溶液(pH7.3)
25mlを加えた。試験管を37℃の恒温槽中に固定し、所定
時間後に試験管内容物を減圧下で濃縮した。乾固した濃
縮残渣をクロロホルムまたはHFIPにより溶解し、GPCに
てMwを測定した。分子量保持率(%)の算出は次式によ
った。
(所定時間後のMw)×100/(初期のMw) 核磁気共鳴(H−NMR)スペクトル 試料を重水素化クロロホルムまたはHFIP/重水素化ク
ロロホルム(10/1)混合溶媒に溶解し(10%)、濾過し
たものを5mmφの試料管に入れ、100MHzのH−NMR測定装
置にて測定した。
ロロホルム(10/1)混合溶媒に溶解し(10%)、濾過し
たものを5mmφの試料管に入れ、100MHzのH−NMR測定装
置にて測定した。
赤外吸収(IR)スペクトル KBr錠剤法にて測定した。
融点 示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃/minに
て測定した。
て測定した。
元素分析 試料を850℃で熱分解し、熱伝導度検出器を備えた元
素分析計で測定した。
素分析計で測定した。
溶融粘度 高化式フローテスターにて、孔径1mm、長さ10mmのノ
ズルを用い、温度235℃で測定した。
ズルを用い、温度235℃で測定した。
溶液粘度 クロロホルム、HFIPまたはトリクロロフェノール/フ
ェノール(7/10)混合液を溶媒に用い、試料濃度0.5g/d
lの溶液を調製し、クロロホルムまたはHFIPの場合は25
±0.05℃の温度、またトリクロロフェノール/フェノー
ル(7/10)混合液の場合は30±0.05℃の温度でウベロー
デ型粘度計を用いて測定した。
ェノール(7/10)混合液を溶媒に用い、試料濃度0.5g/d
lの溶液を調製し、クロロホルムまたはHFIPの場合は25
±0.05℃の温度、またトリクロロフェノール/フェノー
ル(7/10)混合液の場合は30±0.05℃の温度でウベロー
デ型粘度計を用いて測定した。
次式により溶液の粘度ηを算出した。
η=loge(T1/T0)/C T0=ブランク測定時間 T1=測定時間 C=溶液濃度(0.5) 実施例1 ガラス製重合管にL−ラクチド5.0g(0.035モル)を
取り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン
溶液(オクタン酸スズとして0.015重量%)およびメチ
ルグルコシド(1−O−メチル−D−グルコース)1.0g
(20.0重量%)を加えた。
取り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン
溶液(オクタン酸スズとして0.015重量%)およびメチ
ルグルコシド(1−O−メチル−D−グルコース)1.0g
(20.0重量%)を加えた。
この重合管を数時間脱気乾燥した後、熔封して150℃
で2時間重合した。反応後の反応混合物に塩化メチレン
50mlを加えて攪拌したところ、いずれも完溶した。この
ことは、原料として使用したメチルグルコシドがポリマ
ーの構造単位となっていることを明白に示している。
で2時間重合した。反応後の反応混合物に塩化メチレン
50mlを加えて攪拌したところ、いずれも完溶した。この
ことは、原料として使用したメチルグルコシドがポリマ
ーの構造単位となっていることを明白に示している。
この溶液に、攪拌しながら石油エーテル100mlをゆっ
くり滴下し、白色沈澱物を得た。これを濾別、乾燥しPL
Aを得た。このPLAについて、つぎの諸物性の測定を行っ
た。
くり滴下し、白色沈澱物を得た。これを濾別、乾燥しPL
Aを得た。このPLAについて、つぎの諸物性の測定を行っ
た。
示差走査熱量計(DSC)により測定した融点は、72℃
であった。これは従来のPLAの融点(175〜185℃付近)
および原料であるラクチドの融点(97℃)とメチルグル
コシドの融点(178℃)と明らかに異なっている。ま
た、吸熱量も従来のPLAに比べ少なく、結晶化度が低い
ことを示していた。
であった。これは従来のPLAの融点(175〜185℃付近)
および原料であるラクチドの融点(97℃)とメチルグル
コシドの融点(178℃)と明らかに異なっている。ま
た、吸熱量も従来のPLAに比べ少なく、結晶化度が低い
ことを示していた。
H−NMRスペクトルを第1図に示した。1.55ppmと5.16
ppmに夫々従来のPLAのメチル水素に由来する二重線とメ
チン水素に由来する四重線が明確に現れ、且つポリマー
構造単位となったメチルグルコシドに由来するピークが
3.3〜4.8ppmの範囲に現れた。
ppmに夫々従来のPLAのメチル水素に由来する二重線とメ
チン水素に由来する四重線が明確に現れ、且つポリマー
構造単位となったメチルグルコシドに由来するピークが
3.3〜4.8ppmの範囲に現れた。
IRスペクトルを第3図に示した。
950〜1000cm-1付近および1500〜1600cm-1付近に、従
来のポリ乳酸のIRスペクトルには見られない吸収が観察
された。
来のポリ乳酸のIRスペクトルには見られない吸収が観察
された。
元素分析の結果は、 C H O 測定値(%) 48.28 5.99 45.73 計算値(%) 48.59 5.89 45.51 であり、良く一致した。
加水分解試験における2週間後の分子量保持率はゼロ
に近く、モノマーまたはオリゴマーに近い極低分子量の
物質に分解されており、加水分解性が良好なことを示し
た。
に近く、モノマーまたはオリゴマーに近い極低分子量の
物質に分解されており、加水分解性が良好なことを示し
た。
また、有機溶剤に対する溶解性はメタノールに可溶で
従来のPLAとは異なった性質を示した。
従来のPLAとは異なった性質を示した。
実施例2 メチルグルコシドの添加量を第1表に示す値に変えた
以外は実施例1と同様に重合し、後処理し白色のPLAを
得た。このポリマーも実施例1と同様、塩化メチレンに
完溶し、且つメタノールにも可溶であった。
以外は実施例1と同様に重合し、後処理し白色のPLAを
得た。このポリマーも実施例1と同様、塩化メチレンに
完溶し、且つメタノールにも可溶であった。
その他の物性の測定結果は第1表に示す。
実施例3および比較例1〜2 ガラス製重合管にL−ラクチド5.0g(0.035モル)を
取り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン
溶液(オクタン酸スズとして0.03重量%)および各種添
加物(配糖体またはアルコール)を第1表に示す量加え
た。添加物の使用量は比較例2以外は水酸基濃度を0.05
3モル%に統一した。
取り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン
溶液(オクタン酸スズとして0.03重量%)および各種添
加物(配糖体またはアルコール)を第1表に示す量加え
た。添加物の使用量は比較例2以外は水酸基濃度を0.05
3モル%に統一した。
この重合管を数時間脱気乾燥した後、熔封して180℃
で4時間重合した。反応後の反応混合物に塩化メチレン
30mlを加えて攪拌したところ、いずれも完溶した。この
塩化メチレン溶液をメタノール500ml中に注ぎ白色の沈
澱を得た。これを濾別乾燥して夫々PLAを得た。実施例
3で得たPLAが塩化メチレンに完溶したことは原料とし
て使用したメチルグルコシドがポリマー構造となってい
ることを示している。また、該PLAの加水分解性はいず
れも比較例1で得たPLAに比べ良好で、加水分解2週間
後の分子量保持率は低かった。
で4時間重合した。反応後の反応混合物に塩化メチレン
30mlを加えて攪拌したところ、いずれも完溶した。この
塩化メチレン溶液をメタノール500ml中に注ぎ白色の沈
澱を得た。これを濾別乾燥して夫々PLAを得た。実施例
3で得たPLAが塩化メチレンに完溶したことは原料とし
て使用したメチルグルコシドがポリマー構造となってい
ることを示している。また、該PLAの加水分解性はいず
れも比較例1で得たPLAに比べ良好で、加水分解2週間
後の分子量保持率は低かった。
比較例1で得たPLAのH−NMRスペクトルを第2図に示
した。1.55ppmと5.16ppmにそれぞれPLAのメチル水素に
由来する二重線(b)とメチン水素に由来する四重線
(a)とが単純かつ明確に現れている。
した。1.55ppmと5.16ppmにそれぞれPLAのメチル水素に
由来する二重線(b)とメチン水素に由来する四重線
(a)とが単純かつ明確に現れている。
また、比較例1で得られたPLAのIRスペクトルを第4
図に示した。
図に示した。
これらスペクトルはいずれも前記した実施例1で得ら
れたPLAのスペクトルと明らかに異なっており分子構造
の相違を示している。
れたPLAのスペクトルと明らかに異なっており分子構造
の相違を示している。
実施例7で得られた重合体は、DSC測定により163℃付
近と174℃付近とに明確に分かれる二つの融解ピークを
示した。
近と174℃付近とに明確に分かれる二つの融解ピークを
示した。
その他の物性の測定結果を第1表に示した。
比較例3〜4 添加物(配糖体またはラウリルアルコール)の種類お
よび量、重合温度、重合時間を第1表に示す条件とした
以外は実施例3と同様にして夫々白色のPLAを得た。
よび量、重合温度、重合時間を第1表に示す条件とした
以外は実施例3と同様にして夫々白色のPLAを得た。
それぞれのPLAの物性の測定結果を第1表に示した。
実施例4、比較例5〜7 ガラス製重合管にグリコリド5g(0.043モル)を取
り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン溶
液(15mg/10ml)を10μ、および第2表に示す各種添
加物(配糖体またはアルコール)を加えた。この重合管
を数時間脱気乾燥した後、熔封して180℃のオイルバス
で4時間重合した。
り、そこへ触媒としてオクタン酸第一スズのトルエン溶
液(15mg/10ml)を10μ、および第2表に示す各種添
加物(配糖体またはアルコール)を加えた。この重合管
を数時間脱気乾燥した後、熔封して180℃のオイルバス
で4時間重合した。
重合終了後、反応混合物にフェノール/トリクロロフ
ェノール(10/7)混合溶液を加え、150℃に加熱するこ
とにより溶解させた。この溶液をメタノール中に投入し
て、生じた沈澱物(重合体)を回収して乾燥した。物性
値および加水分解性試験の結果を第2表にまとめた。表
中の溶液粘度は溶媒としてトリクロロフェノール/フェ
ノール(7/10)混合液を用いて測定したものである。
ェノール(10/7)混合溶液を加え、150℃に加熱するこ
とにより溶解させた。この溶液をメタノール中に投入し
て、生じた沈澱物(重合体)を回収して乾燥した。物性
値および加水分解性試験の結果を第2表にまとめた。表
中の溶液粘度は溶媒としてトリクロロフェノール/フェ
ノール(7/10)混合液を用いて測定したものである。
実施例4で得たPGAは、比較例5で得たPGAに比べ、加
水分解性が早い他に、分子量が高いにもかかわらず、低
い溶融粘度を示し、より低い温度で成形加工が可能なこ
とを示している。
水分解性が早い他に、分子量が高いにもかかわらず、低
い溶融粘度を示し、より低い温度で成形加工が可能なこ
とを示している。
実施例5 グリコリド2.32g(0.02モル)とDL−ラクチド(D−
ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物)2.88g(0.0
2モル)とをガラス製重合管に取り、オクタン酸第一ス
ズを0.01重量%およびメチルグルコシド0.5モル%を加
えて実施例1と同様に脱気・熔封した後、180℃のオイ
ルバス中で6時間重合を行った。
ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物)2.88g(0.0
2モル)とをガラス製重合管に取り、オクタン酸第一ス
ズを0.01重量%およびメチルグルコシド0.5モル%を加
えて実施例1と同様に脱気・熔封した後、180℃のオイ
ルバス中で6時間重合を行った。
実施例3と同様の方法で精製して得られた重合体のク
ロロホルム中の溶液粘度は0.92であった。
ロロホルム中の溶液粘度は0.92であった。
加水分解2週間後の分子量保持率は39%であった。
比較例8 メチルグルコシドの代わりにラウリルアルコールを0.
5モル%添加した以外は、実施例12と同様に、グリコリ
ドとDL−ラクチドとの共重合を行った。
5モル%添加した以外は、実施例12と同様に、グリコリ
ドとDL−ラクチドとの共重合を行った。
得られた重合体のクロロホルム中の溶液粘度は0.49で
あり、加水分解2週間後の分子量保持率は81%であっ
た。
あり、加水分解2週間後の分子量保持率は81%であっ
た。
実施例6 グリコリド4.06g(0.035モル)とL−ラクチド5.04g
(0.035モル)とをガラス製重合管に取り、オクタン酸
第一スズを0.015重量%およびメチルグルコシド10mg
(0.01重量%)を加えて実施例1と同様に脱気・熔封し
た後、120℃のオイルバス中で重合を行った。約20分後
にはかなり反応溶液が増粘した。
(0.035モル)とをガラス製重合管に取り、オクタン酸
第一スズを0.015重量%およびメチルグルコシド10mg
(0.01重量%)を加えて実施例1と同様に脱気・熔封し
た後、120℃のオイルバス中で重合を行った。約20分後
にはかなり反応溶液が増粘した。
20時間重合を行った後、反応混合物をHFIPにより溶解
し、続いてメタノール中に投入することにより白色固体
状の重合体を得た。この重合体のHFIP中の溶液粘度は1.
71であり、加水分解2週間後の分子量保持率は51%であ
った。
し、続いてメタノール中に投入することにより白色固体
状の重合体を得た。この重合体のHFIP中の溶液粘度は1.
71であり、加水分解2週間後の分子量保持率は51%であ
った。
比較例9 重合系にメチルグルコシドを添加しなかったこと以外
は実施例13と同様に重合を行った。
は実施例13と同様に重合を行った。
実施例13における重合開始20分後の粘度とおなじ程度
に増粘するのには5〜6時間を要した。
に増粘するのには5〜6時間を要した。
20時間重合を行った後、反応混合物をHFIPにより溶解
し、続いてメタノール中に投入することにより白色固体
状の重合体を得た。この重合体のHFIP中の溶液粘度は2.
74であり、加水分解2週間後の分子量保持率は88%であ
った。
し、続いてメタノール中に投入することにより白色固体
状の重合体を得た。この重合体のHFIP中の溶液粘度は2.
74であり、加水分解2週間後の分子量保持率は88%であ
った。
本発明により新規な生体吸収性ポリエステルおよびそ
の製造方法が提供される。
の製造方法が提供される。
本発明の生体吸収性ポリエステルは、ポリマーの分子
構造中に配糖体骨格を持つので、従来の生体吸収性ポリ
エステルに比較し特異な特性を有している。とくに、加
水分解性は著しく改良されており、かつ、分子量の低下
を伴うことなく加水分解性が向上している。
構造中に配糖体骨格を持つので、従来の生体吸収性ポリ
エステルに比較し特異な特性を有している。とくに、加
水分解性は著しく改良されており、かつ、分子量の低下
を伴うことなく加水分解性が向上している。
すなわち、本発明では、使用する配糖体の種類や量を
変えることにより、加水分解性の改善された、あるいは
使用目的に応じた任意の加水分解性を有する生体吸収性
ポリエステルを得ることができ医療分野における利用価
値が非常に増大した。
変えることにより、加水分解性の改善された、あるいは
使用目的に応じた任意の加水分解性を有する生体吸収性
ポリエステルを得ることができ医療分野における利用価
値が非常に増大した。
第1図は、実施例1で得られた生体吸収性ポリエステル
のH−NMRスペクトル、第2図は比較例1で得られたポ
リ乳酸のH−NMRスペクトルである。また、第3図は実
施例1で得られた生体吸収性ポリエステルのIRスペクト
ルであり、第4図は比較例1で得られたポリ乳酸のIRス
ペクトルである。
のH−NMRスペクトル、第2図は比較例1で得られたポ
リ乳酸のH−NMRスペクトルである。また、第3図は実
施例1で得られた生体吸収性ポリエステルのIRスペクト
ルであり、第4図は比較例1で得られたポリ乳酸のIRス
ペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08G 63/08 C08G 63/08 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 63/00 - 63/91 A61L 17/00,27/00 A61K 47/34,47/36 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (9)
- 【請求項1】一般式(I) (式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよい)で表されるグリコー
ル酸単位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を
有するポリマー分子構造中に配糖体を導入結合して含有
することを特徴とする生体吸収性ポリエステル。 - 【請求項2】グリコリドおよび/またはラクチドを、配
糖体の存在下で重合させ、一般式(I) (式中、R1およびR2は、水素またはメチル基を示し、互
いに同一でも異なっていてもよい)で表されるグリコー
ル酸単位および/または乳酸単位の繰り返し構造単位を
有するポリマー分子構造中に配糖体を導入結合させて含
有させたことを特徴とする生体吸収性ポリエステル。 - 【請求項3】配糖体が、メチルグルコシドである請求項
1または2記載の生体吸収性ポリエステル。 - 【請求項4】配糖体を、グリコリドおよび/またはラク
チドに対して、糖類の水酸基含有量が0.001〜1モル%
となる量で存在させる請求項2記載の生体吸収性ポリエ
ステル。 - 【請求項5】配糖体を、グリコリドおよび/またはラク
チドに対して、配糖体の水酸基含有量が0.01〜0.1モル
%となる量で存在させる請求項2記載の生体吸収性ポリ
エステル。 - 【請求項6】グリコリドおよび/またはラクチドを、配
糖体の存在下で重合させることを特徴とする生体吸収性
ポリエステルの製造方法。 - 【請求項7】配糖体が、メチルグルコシドである請求項
6記載の方法。 - 【請求項8】配糖体を、グリコリドおよび/またはラク
チドに対して、配糖体の水酸基含有量が0.001〜1モル
%となる量で存在させる請求項6記載の方法。 - 【請求項9】配糖体を、グリコリドおよび/またはラク
チドに対して、配糖体の水酸基含有量が0.01〜0.1モル
%となる量で存在させる請求項6記載の方法。
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