JP2985468B2 - 光記録媒体用基板の成形方法及び光記録媒体用基板の作製方法 - Google Patents

光記録媒体用基板の成形方法及び光記録媒体用基板の作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はレーザ光を利用して情報
の記録再生を行なう光記録媒体及びその基板の作製方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体では、光記録媒体上にレーザ
光を照射し、レーザ光照射領域に光吸収による局部的な
温度上昇あるいは化学変化を誘起して情報の記録あるい
は消去を行なう。情報の再生は、記録消去時と強度ある
いは波長の異なるレーザ光を光記録媒体上に照射し、記
録によって誘起された光記録媒体上の局部的変化を光記
録媒体からの反射光あるいは透過光の変化から検出す
る。このような記録媒体には、記録膜を加熱蒸発させて
記録するいわゆる穴あけ記録方式、記録膜の加熱による
相変化を利用して記録する相変化記録方式あるいは熱磁
気記録し、磁気光学効果を用いて再生する光磁気記録方
式等がある。さらに、光記録媒体としては、新たに記録
できないが既に記録されている情報の再生のみを目的と
するコンパクトディスクのようなものも含まれ、この場
合にはアルミニウム膜等の反射膜を記録層と見なすこと
が出来る。
【0003】上述の光記録媒体の基板材料として、樹脂
あるいはガラスが用いられるが、成形性、取扱性あるい
は価格の観点から、現在は樹脂が主に用いられている。
【0004】これらの基板上に保護膜、記録膜、反射膜
等からなる記録層及び樹脂コーティングによる保護層を
形成したものを片面仕様の光記録媒体として、あるいは
前記片面光記録媒体2枚を接着剤で張り合わせたものを
両面仕様の光記録媒体として用いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂基
板を用いた従来の光記録媒体では、成形直後の基板が歪
んでいたり(図1(a)参照)、基板の成形が数秒から
数十秒という短時間に行われることに起因して樹脂基板
が熱的に不安定非平衡な状態にあるために長期間の経過
や高温環境下において安定化すべく収縮する結果、基板
上に形成された記録層及び保護層との間でバイメタル的
作用によって光記録媒体が不可逆変形する(図12に、
従来の直径86mmの片面仕様の光記録媒体を80℃環
境に放置した時の最大反り量の変化を示す。)。このた
め記録再生特性が劣化し、極端な場合には光学ヘッドの
サーボが不安定になる。さらに片面仕様の光記録媒体の
場合には、動作状態で50℃前後に温度上昇した記録装
置内に装着すると、樹脂基板の脱湿によって光記録媒体
が過渡的に変形するため、一時的に記録再生特性が劣化
するという課題を有していた。
【0006】また、成形直後の基板はトラッキング溝周
辺に微小な歪が存在していると考えられ、そのままの基
板に記録層、保護層を形成した光記録媒体を再生した場
合には、それに起因するノイズが発生するという課題も
有していた。
【0007】本発明は上記課題に鑑み、初期の機械的特
性及び長期間保存や高温環境下保存に対する安定性に優
れ、かつ温度上昇している記録装置内に装着した時にも
過渡的変形量を小さくでき、さらには再生SN比を向上
できる光記録媒体及びその基板の作製方法を提供するも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の光記録媒体用基板の成形方法は、基板の
入射面側に位置する金型の温度を前記基板を構成する樹
脂材料の熱変形温度より20℃〜25℃低い温度に設定
するとともに、前記基板の他方の面側に位置する金型の
温度を前記熱変形温度より45℃〜50℃低い温度に設
定し、射出成型法で成形する、また本発明の光記録媒体
用基板の製造方法は上記成型法にて成形した基板に、前
基板を構成する樹脂材料の熱変形温度より5℃〜40
℃低い温度で熱処理し、前記基板の最大反り量を光入射
面側を凸方向に2〜5ミリラジアンに設定するものであ
り、本発明の光記録媒体は、基板の最大反り量を光入射
面側を凸方向に2〜5ミリラジアンとした基板上に、記
録層及び保護層を形成するものである。
【0009】
【作用】本発明の光記録媒体用基板の成形方法は、成形
された形状を基本的に保ち得る範囲でかつ数時間以内の
短時間で熱的に充分安定化し得る範囲の高温で成形後の
基板を金型から取り出すまでの間に、金型の余熱による
熱処理ができるため、樹脂材料が非平衡状態に分子配列
している成形後の基板を構造緩和させて全体を熱的に安
定化させ、成形完了後金型から基板を取り出す際に生ず
る基板の歪を除去するとともに、樹脂基板が熱的に不安
定非平衡な状態にあるために起こる収縮を記録層及び保
護層の形成前に終了させて光記録媒体としての変形を防
止するものである。さらに金型から基板を取り出す際
に、金型の一部の基板が吸着等することにより生じる基
板の歪を、基板に供する樹脂材料の熱変形温度より所定
の温度範囲低い温度で金型から取り出した基板を熱処理
することにより、基板の最大反り量をあらかじめ光入射
面側を凸方向に2〜5ミリラジアンに設定することによ
って、概ね圧縮応力を有する記録膜、保護膜、反射膜等
からなる記録層及び保護層を基板のトラッキング溝面側
に形成後にも片面仕様の光記録媒体に大きな反りが発生
することを防止するものである。
【0010】また、本発明の光記録媒体は、前記作製方
法によって作製された基板上に、記録層及び保護層を形
成することによって、高温環境下あるいは長期間使用に
対しても優れた機械特性及び記録再生特性を発揮するも
のである。さらに記録層、保護層の材料や厚さ等の反り
に対する影響と基板状態での最大反り量との組合せを調
整して、片面仕様の光記録媒体全体としての最大反り量
を光入射面側を凸方向に1〜3ミリラジアンに設定する
ことによって、温度上昇した記録装置内に装着した時の
樹脂基板の脱湿に伴って片面仕様の光記録媒体が光入射
面側を凹方向に過渡的に反る現象を抑制するものであ
る。さらにまた、成形直後の基板に存在するトラッキン
グ溝周辺の微小な歪を除去でき、それに起因するノイズ
を低減するとともにシグナルを増加させ、従来の光記録
媒体に比較して再生SN比を改善するものである。
【0011】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例の光記録媒体及
びその基板の作製方法について、図面を参照しながら説
明する。
【0012】図5は、基板の射出成形装置の固定金型及
び可動金型部分の拡大図を示すものである。図5におい
て、51は樹脂供給用のノズル、52は固定金型、53
は可動金型、54は基板表面にトラッキング溝または凹
凸のピット列を形成するためのスタンパー、55は溶融
状態の樹脂、56は基板である。図5に示すように基板
の成形は、溶融状態の樹脂55を樹脂供給用のノズル5
1を通して高温のまま固定金型52及び可動金型53の
間の部分に送り込み、固定金型52と可動金型53とで
加圧しながら冷却することによって行い、その後可動金
型53を開いて成形後の基板56を取り出す。
【0013】本実施例では、樹脂材料として熱変形温度
が140℃前後であるポリカーボネイト樹脂を用い、固
定金型52の温度115℃、可動金型53の温度115
〜95℃、ノズル先端の温度270〜300℃とし、射
出圧力80kg/cm2、冷却時間10秒で成形を行った。
【0014】さらに、成形後のポリカーボネイト基板に
対して、クリーンオーブン中で縦に保持しながら90℃
〜135℃で熱処理を行った。なお、90℃〜135℃
で熱処理後において、基板に異常な変形は認められなか
った。
【0015】図1(a)、(b)は、ポリカーボネイト
基板のそれぞれ成形直後及び90℃で4時間熱処理後の
変形状態の例を示したものである。成形直後は(a)に
示すように歪んでいる基板もあり、反り量に大きなばら
つきが認められるが、熱処理後には(b)に示すように
歪が無くなり、同一条件で成形した基板では反り量のば
らつきも小さくなる。熱処理によって安定化した基板上
における反り量のばらつきは±1ミリラジアン前後であ
る。
【0016】図2は、100℃及び130℃で熱処理し
た場合の直径86mmのポリカーボネイト基板の収縮量
を示したものである。2時間の熱処理後、100℃の場
合で25μm程度、130℃の場合では40μm程度収
縮している事が分かる。即ち、基板の成形が数秒から数
十秒という短時間に行われることに起因して、樹脂材料
が非平衡状態に分子配列している成形後の基板は、熱的
に安定化すべく構造緩和を起こして収縮するのである。
これは熱処理によって変化が加速されただけであって、
基板を熱処理せずに記録層及び保護層を形成した場合に
は、長期間の経過や高温環境下において基板が安定化す
べく収縮する結果、基板上に形成された記録層及び保護
層との間でバイメタル的作用によって光記録媒体が光入
射面側を凹方向に不可逆変形する(図12参照)。
【0017】図3は、本発明の第1実施例の光記録媒体
の構成を示すものである。図3において、31はポリカ
ーボネイト樹脂の基板、32及び34は保護膜、33は
記録膜、35は記録層、36は保護層である。100℃
で2時間熱処理後の直径86mmのポリカーボネイト基
板31上にZnS保護膜32、TbFeCo記録膜3
3、ZnSSiO2保護膜34からなる記録層35をス
パッタリング法により形成後、エポキシアクリレート系
樹脂からなる保護層36をスピンコーティング法によっ
て形成した。ここで各層の膜厚は、保護膜ZnSを80
nm、記録膜TbFeCoを100nm、保護膜ZnS
SiO2を100nm、エポキシアクリレート系樹脂保
護層を5μmと設定した。図4に、このようにして作製
した片面仕様の光記録媒体を80℃80%RHの環境中
に放置した場合の反り量の変化を示す。ここで光入射面
側を凸とした方向を+としている。2500時間経過後
も大きな変化は認められず、光記録媒体が熱的に安定化
されたことが分かる。
【0018】尚、ポリカーボネイト樹脂基板を用いたコ
ンパクトディスクを自動車内で使用した場合、車内温度
は80℃前後に達するため、本発明を用いることが、デ
ィスクの変形を防止するために有効な手段となる。ま
た、本発明によれば両面仕様の光記録媒体においても、
これを構成する片面仕様の光記録媒体が変形し難いた
め、貼合わせる接着剤にも負担がかからず、長期間の経
過や高温高湿環境下における信頼性が向上する。
【0019】以上のように本発明により、熱処理温度を
基板構成樹脂の熱変形温度より5℃〜50℃低い範囲で
設定すれば、初期の機械的特性及び長期間保存や高温環
境下保存に対する安定性に優れ、信頼性の高い記録再生
を可能とする光記録媒体及びその基板が得られる。
【0020】なお、本実施例の光記録媒体用基板の作製
方法では、基板を構成する樹脂材料として熱変形温度が
140℃前後であるポリカーボネイト樹脂を用いたが、
熱変形温度が140℃前後であるポリオレフィン樹脂、
熱変形温度が90℃前後であるアクリル樹脂、熱変形温
度が170℃前後であるポリアリレート樹脂あるいは熱
変形温度が160℃前後であるノルボルメン樹脂のいず
れかであっても同様の効果を有する。
【0021】また、本実施例の光記録媒体では、基板3
1としてポリカ−ボネイト基板、保護膜32としてZn
S膜、記録膜33としてTbFeCo膜、保護膜34と
してZnSSiO2膜、保護層36としてエポキシアク
リレート系樹脂層を用いたが、基板11はポリオレフィ
ン樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ノルボル
メン樹脂のいずれか、保護膜32及び34はTaO2
の酸化物の膜あるいはZnSe等の他のカルコゲン化物
の膜あるいはSiN等の窒化物の膜あるいはそれらの混
合物の膜、記録膜33は他の光磁気記録膜、相変化記録
膜等、保護層36はコーティング可能で保護性のある他
の樹脂材料を用いてもよい。さらに、記録層35の構成
は前記のような3層構成に限らず、例えばコンパクトデ
ィスクのように記録層がAl膜だけであってもよい。
【0022】次に、本発明の第2の実施例の光記録媒体
及びその基板の作製方法について、図面を参照しながら
説明する。
【0023】温度上昇した記録装置内に装着した時の樹
脂基板の脱湿に伴って、片面仕様の光記録媒体が光入射
面側を凹方向に過渡的に反る現象を考慮すると、温湿度
変化に対して記録再生特性の信頼性を維持するには、安
定状態にある光記録媒体を予め光入射面側を凸方向に数
ミリラジアン反らせることが効果的である。一方、記録
装置による記録再生特性に支障を生じさせないために
は、データ記録用途の場合で光記録媒体の反り量を5ミ
リラジアン以内にする必要があるため、光入射面側を凸
方向にも余裕を見積って(室内温湿度の変化によっても
光記録媒体は、光入射面側を凹凸方向に1〜2ミリラジ
アン程度変形する。)、光記録媒体全体としての最大反
り量は光入射面側を凸方向に1〜3ミリラジアンである
のがよい。
【0024】上記目的のためには、基板のトラッキング
溝面側に形成する記録膜、保護膜、反射膜等からなる記
録層が概ね圧縮応力を有し、光入射面側を凹方向に反ら
せる作用をするので、基板自体が光入射面側を凸方向に
数ミリラジアンよけいに反っている必要がある。また、
樹脂コーティングによる保護層も材質や厚さによって0
〜1ミリラジアン程度の圧縮応力あるいは引っ張り応力
を有する。ここで、保護膜が窒化膜系の場合で2〜4ミ
リラジアン程度、酸化膜系あるいはカルコゲン化膜系の
場合で1〜2ミリラジアン程度それぞれ光入射面側を凹
方向に反らせることを考慮すると、基板の最大反り量
は、光入射面側を凸方向に2〜5ミリラジアン程度とす
るのがよい。
【0025】基板の最大反り量を決定する大きな要素は
成形条件であり、特に固定金型と可動金型の温度差の影
響が大きい。樹脂材料として熱変形温度が140℃前後
であるポリカーボネイト樹脂を用い、固定金型52の温
度115〜95℃、可動金型53の温度115〜95
℃、ノズル先端の温度270〜300℃とし、射出圧力
80kg/cm2、冷却時間10秒で成形を行った後、100
℃で2時間熱処理して安定化させた基板の最大反り量と
両金型間の温度差の関係を図11に示す。ここで光入射
面側を凸とした方向を+としている。光入射面側を凸方
向に基板を反らせるためには、スタンパ−を支える可動
金型の温度が低く、固定金型の温度が高い方がよいこと
が分かる。一方、成形を数秒から数十秒という短時間に
確実に行うためには両金型の温度を、基板を構成する樹
脂の熱変形温度より20℃前後低くすることが望まし
く、また、スタンパ−を支える可動金型の温度を低くし
過ぎると成形時にスタンパ−から基板表面へのトラッキ
ング溝等の転写性が悪化するため、基板を構成する樹脂
の熱変形温度より50℃前後低い温度がほぼ下限と考え
られる。即ち、ポリカーボネイト樹脂基板の場合は、固
定金型温度115℃及び可動金型温度95℃が限界的成
形条件と考えられ、この時の最大反り量は光入射面側を
凸方向に2ミリラジアン前後である。
【0026】以上の結果を踏まえ、本実施例では、樹脂
材料として熱変形温度が140℃前後であるポリカーボ
ネイト樹脂を用い、固定金型52の温度115℃、可動
金型53の温度95℃の条件で成形を行った。
【0027】さらに、成形後の基板に対してクリーンオ
ーブン中で縦に保持しながら100℃〜140℃で2時
間の熱処理を行った。
【0028】図6に基板の最大反り量と熱処理温度との
関係を示す。光入射面側を凸方向に最大反り量は、熱処
理温度135℃まではほぼ直線的に増加して最大5ミリ
ラジアン弱に達する。熱処理温度140℃ではポリカー
ボネイト樹脂の熱変形温度付近のため、基板が不定形に
大きく変形してしまう。従って、熱処理温度を基板構成
樹脂の熱変形温度より5℃〜40℃低い範囲で設定すれ
ば、基板の最大反り量を光入射面側を凸方向に2〜5ミ
リラジアンの範囲に設定できることになる。なお、熱処
理が基板表面に形成されたトラッキング溝等に与える影
響についても調べた結果、135℃以下の熱処理温度で
はトラッキング制御関係の信号に顕著な劣化は認められ
なかった。
【0029】図7は、本発明の第2実施例の光記録媒体
の構成を示すものである。図7において、71はポリカ
ーボネイト樹脂の基板、72及び75は保護膜、73は
記録膜、74は反射膜、76は記録層、77及び78は
保護層である。100〜135℃で2時間熱処理後の直
径86mmのポリカーボネイト基板71上にZnS保護
膜72、TbFeCo記録膜73、Al反射膜74、Z
nSSiO2保護膜75からなる記録層76をスパッタ
リング法により形成後、エポキシアクリレート系樹脂か
らなる保護層77及びアクリル系樹脂からなる保護層7
8をスピンコーティング法によって形成した。ここで各
層の膜厚は、保護膜ZnSを80nm、記録膜TbFe
Coを40nm、反射膜Alを40nm、保護膜ZnS
SiO2を100nm、エポキシアクリレート系樹脂保
護層及びアクリル系樹脂保護層をともに5μmと設定し
た。成膜時のアルゴンガス等にもよるが、記録層76全
体としての圧縮応力による反りは、光入射面側を凸方向
に約1.5ミリラジアンであり、保護層77及び78は
基板に対して反対側に位置するので互いの応力はほぼ打
ち消し合っている。図6に前記構成の光記録媒体の最大
反り量と熱処理温度との関係を示す。従って上記構成の
場合には、熱処理温度を110〜135℃の範囲に設定
すれば、光記録媒体の最大反り量は光入射面側を凸方向
に1〜3ミリラジアン程度に設定できる。
【0030】図8は、33℃85%RHという高温多湿
な環境下で50℃に温度上昇した記録装置内(50℃3
6%RH相当)に装着した場合の、熱処理温度の異なる
前記構成の光記録媒体における過渡的反りの変化を示し
ている。初期の反り量の違い及び熱処理による基板の弾
性率増加を反映して光入射面側を凹方向とする過渡的反
り量に大きな差が生じている。熱処理温度100℃の場
合には、2時間経過後に最大6ミリラジアン以上の反り
量に達するが、熱処理温度115℃及び130℃の場合
には、それぞれ最大5ミリラジアン及び3.5ミリラジ
アン程度に納まる。即ち、本発明の片面仕様の光記録媒
体は、動作状態で50℃前後に温度上昇した記録装置内
に装着した時の過渡的反り量を小さくでき、信頼性の高
い記録再生を可能にする。
【0031】図9に、前記構成の光記録媒体における基
板の熱処理温度と再生SN比との関係を示す。熱処理温
度115℃以上で再生SN比が増加し、熱処理温度13
0℃では2dB以上再生SN比の向上が認められる。こ
れは成形直後の基板に存在するトラッキング溝周辺の微
小な歪が熱処理によって除去され、それに起因するノイ
ズが低減するとともにシグナルが増加したためと考えら
れる。さらに、図10に示すように熱処理温度が115
℃以上では、基板の複屈折に起因して生ずる再生信号の
エンベロープの揺らぎが減少し、再生信号品質が向上す
る。これは熱処理によってポリカーボネイト基板内の分
子の光学的異方軸の方向が揃うとともに基板の複屈折量
も減少した結果と考えられる。
【0032】従って、基板構成樹脂の熱変形温度より5
℃〜25℃低い温度で熱処理を行った基板上に記録層及
び保護層を形成すれば、再生SN比及び再生信号品質が
向上できることになる。
【0033】以上のように本発明によれば、温度上昇し
ている記録装置内に装着した時にも過渡的反り量を小さ
くできるため、信頼性の高い記録再生を可能であり、さ
らに、再生SN比を向上できる光記録媒体及びその基板
が得られる。
【0034】なお、本実施例の光記録媒体用基板の作製
方法では、基板を構成する樹脂材料として熱変形温度が
140℃前後であるポリカーボネイト樹脂を用いたが、
熱変形温度が140℃前後であるポリオレフィン樹脂、
熱変形温度が90℃前後であるアクリル樹脂、熱変形温
度が170℃前後であるポリアリレート樹脂あるいは熱
変形温度が160℃前後であるノルボルメン樹脂のいず
れかであっても同様の効果を有する。
【0035】また、本実施例の光記録媒体では、基板7
1としてポリカ−ボネイト基板、保護膜72としてZn
S膜、記録膜73としてTbFeCo膜、反射膜74と
してAl膜、保護膜75としてZnSSiO2膜、保護
層77としてエポキシアクリレート系樹脂層、保護層7
8としてアクリル系樹脂層を用いたが、基板71はポリ
オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、
ノルボルメン樹脂のいずれか、保護膜72及び75はT
aO2等の酸化物の膜あるいはZnSe等の他のカルコ
ゲン化物の膜あるいはSiN等の窒化物の膜あるいはそ
れらの混合物の膜、記録膜73は他の光磁気記録膜、相
変化記録膜等、反射膜74は高反射率を有する他の金属
膜、保護層77はコーティング可能で保護性のある他の
樹脂材料、保護層78は透明で基板表面の傷防止ができ
る程度に硬いコーティング可能な他の樹脂材料を用いて
もよい。さらに、記録層76の構成は前記のような4層
構成に限らず、例えばコンパクトディスクのように記録
層がAl膜だけであってもよく、保護層78が無いもの
であってもよい。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明は、基板の一方の面
側に位置する金型の温度を前記基板を構成する樹脂材料
の熱変形温度より20℃〜25℃低い温度に設定すると
ともに、前記基板の他方の面側に位置する金型の温度を
前記熱変形温度より45℃〜50℃低い温度に設定し、
射出成型法で成形する、あるいは基板の成形後に前記基
板を構成する樹脂材料の熱変形温度より5℃〜40℃低
い温度で熱処理し、前記基板の最大反り量を光入射面側
を凸方向に2〜5ミリラジアンに設定するという方法で
基板を作製し、その基板上に記録層及び保護層を形成
、各層の材料や厚さ等の反りに対する影響を調整して
全体としての最大反り量を光入射面側を凸方向に1〜3
ミリラジアンに設定した光記録媒体とすることによっ
て、初期の機械的特性及び長期間保存や高温環境下保存
に対する安定性に優れ、かつ温度上昇している記録装置
内に装着した時にも過渡的反り量を小さくでき、さらに
は再生SN比を向上できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における基板の初期の機
械特性を向上させる効果を示した図
【図2】同実施例における基板熱処理による直径86m
mのポリカーボネイト基板の収縮量を示した特性図
【図3】同実施例における光記録媒体の構成図
【図4】同実施例における光記録媒体を80℃80%R
Hの環境中に放置した場合の反り量の変化を示した特性
【図5】基板の射出成形装置の固定金型及び可動金型部
分の拡大断面図
【図6】本発明の第2の実施例における基板の最大反り
量と熱処理温度との関係を示す特性図
【図7】同実施例における光記録媒体の構成図
【図8】同実施例における光記録媒体を、33℃85%
RH環境下で50℃に温度上昇した記録装置内に装着し
た場合の過渡的反りの変化を示した特性図
【図9】同実施例における基板の熱処理温度と光記録媒
体の再生SN比との関係を示す特性図
【図10】同実施例における基板の熱処理温度と光記録
媒体の再生信号品質との関係を示す特性図
【図11】基板の最大反り量と固定金型及び可動金型間
の温度差との特性図
【図12】従来の光記録媒体を80℃環境に放置した時
の最大反り量の変化を示す特性図
【符号の説明】 31 基板 32 保護膜 33 記録膜 34 保護膜 35 記録層 36 保護層 51 樹脂供給用のノズル 52 固定金型 53 可動金型 54 スタンパー 55 溶融状態の樹脂 56 基板 71 基板 72 保護膜 73 記録膜 74 反射膜 75 保護膜 76 記録層 77 保護層 78 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川端 秀次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−137747(JP,A) 特開 平1−222918(JP,A) 特開 昭61−20719(JP,A) 特開 平1−273244(JP,A) 特開 平3−19152(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 7/26 G11B 7/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の光入射面側に位置する金型の温度を
    前記基板を構成する樹脂材料の熱変形温度より20℃〜
    25℃低い温度に設定するとともに、前記基板の他方の
    面側に位置する金型の温度を前記熱変形温度より45℃
    〜50℃低い温度に設定し、射出成型法で成形すること
    を特徴とする光記録媒体用基板の成形方法。
  2. 【請求項2】基板を構成する樹脂を一対の型の間隙に射
    出し成形する際に、前記基板の光入射面側に位置する金
    型の温度を前記樹脂材料の熱変形温度より20℃〜25
    ℃低い温度に設定するとともに、前記基板の他方の面側
    に位置する金型の温度を前記熱変形温度より45℃〜5
    0℃低い温度に設定し成形した後、前記基板を構成する
    樹脂材料の熱変形温度より5℃〜40℃低い温度で熱処
    理し、前記基板の最大反り量を光入射面側を凸方向に2
    〜5ミリラジアンとする光記録媒体用基板の作製方法。
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