JP2000067466A - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体およびその製造方法

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JP2000067466A
JP2000067466A JP10235648A JP23564898A JP2000067466A JP 2000067466 A JP2000067466 A JP 2000067466A JP 10235648 A JP10235648 A JP 10235648A JP 23564898 A JP23564898 A JP 23564898A JP 2000067466 A JP2000067466 A JP 2000067466A
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Takashi Tomie
崇 冨江
Yoshinori Ikeda
吉紀 池田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光記録媒体が急激な環境温度湿度変化に晒さ
れた時の光ディスクの急激な反りの変化を防止する。加
えて、光入射面が汚れて、その汚れを拭き取る時の傷付
きを防止する。 【解決手段】 基板の無機記録層を形成した面と反対の
面に、40℃における水蒸気透過量が1.2g/(m2
・day)以下のDLC膜(ダイヤモンドライクカーボ
ン膜)を形成する。さらに、透明基板を通して情報を再
生する基板入射タイプの光記録媒体においては、該DL
C膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)の塑性変形硬さ
が1300kg/mm2以上、情報の再生に用いる光に
おける屈折率(n)が2.7以下、消衰係数(k)が
0.4以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に形成した
無機記録層に光を照射することにより、少なくとも情報
の再生を行なう光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、光記録媒体は、特に円板形状の光
ディスクが多く実用化されている。コンパクトディスク
(CD)、ミニディスク(MD)、光磁気記録ディスク
(MO)、相変化記録ディスク(PD、CD−RW)な
どの光記録媒体は、0.6mmから1.2mm程度の厚
さのポリカーボネート透明樹脂基板の片面にAl薄膜、
TbFeCo薄膜、GeSbTe薄膜などの無機記録膜
が形成された構造である。CDにおけるAl薄膜は光の
反射膜として機能するが、ピット(穴)として基板に設
けられた情報を読み出すのに必要なものであり、本発明
では無機記録膜の1種と見なす。
【0003】これらの光記録媒体の全ては透明基板を通
してレーザ光を無機記録膜に照射する基板入射タイプの
光ディスクである。光が入射する面には、傷付き防止の
為に紫外線硬化型のアクリル樹脂が数μmの厚さに塗布
されたもの(MOディスク)もあるが、大抵の光ディス
クでは、ポリカーボネート樹脂のままであり、甚だしい
傷や汚れが付くと再生エラーが発生する問題がある。
【0004】さらに、近年、基板を通さずに膜面側から
レーザ光を照射する膜面入射タイプの光記録が注目され
ている(雑誌「エレクトロニクス」1996年5月号、
87〜91ページ参照)。この膜面入射タイプ媒体は、
従来の媒体よりも高密度記録が可能であることにより、
研究が開始されているが、実用レベルでの記録再生の実
証はなされていない。今後に克服すべき種々の問題点が
発生すると思われる。媒体としては、光磁気記録媒体と
相変化記録媒体が考えられている。用いられる基板とし
ては低価格の観点からはポリカーボネート樹脂が好まし
い。この場合は、無機記録膜が形成される面と反対の面
に記録再生レーザ光が通過しないことより、傷、汚れの
問題はなく、この面になんらかの加工をする考えはなか
った。
【0005】光磁気記録媒体は、光照射、主にレーザー
光の照射によって記録膜の温度を上昇させて、その膜の
保磁力を低下させ、外部磁界で磁化方向を反転させて記
録・消去するものである。記録膜の温度は約200℃ま
で上昇する。
【0006】相変化記録媒体は、光照射、主にレーザー
光の照射によって生じた物質の非晶質状態と結晶状態の
間の可逆的な構造変化(相変化)を、情報の記録・消去
に利用している。記録膜の温度は、記録の時は約600
℃に、消去の時は約170℃になる。こうした相変化記
録媒体は、情報の高速処理能力に加えて記録容量が大き
い。また、ドライブの価格は、その構造が光磁気記録ド
ライブより簡単なことより、廉価になるメリットもあ
る。
【0007】また、これらの光磁気記録媒体と相変化記
録媒体の代表的構造は、ポリカーボネイト(PC)製の
透明円板上に蒸着やスパッタ法で形成される無機薄膜の
積層体であり、現在の市販の通常媒体は、PC/第1誘
電体/記録膜/第2誘電体/反射膜/有機樹脂保護層、
という構造である。光磁気記録媒体の記録層はTbFe
Coなどの希土類・遷移金属合金、相変化記録媒体の記
録層はGeSbTeやAgInSbTeなどのカルコゲ
ン合金が使用されている。光磁気記録媒体の誘電体はS
iNなどのチッ化膜、相変化記録媒体の誘電体はZnS
・SiO2などのZnS系の膜が使用される。
【0008】これらの現在の市販の通常媒体に対して、
研究が開始された膜面入射タイプ媒体では基板からの薄
膜の積層順序を逆にするのが通常の考えである。すなわ
ち、「基板/反射膜/下部誘電体/記録膜/上部誘電
体」の基本構成で研究されている。なお、基板と反射膜
との間に断熱層が必要なことが多い。特に、相変化記録
媒体では記録膜の温度上昇が大きく、PC基板の熱ダメ
ージを低減する必要があり、断熱層の必要性は大きい。
【0009】用いられる光ヘッド(ピックアップ)は、
媒体面と光ヘッドの対物レンズを近接させる必要によ
り、ハードディスクと同様の構造が提案されている。す
なわち、スライダーに対物レンズを搭載した浮上ヘッド
が用いられて研究されている。その為に、上部誘電体と
しては、スライダーとの接触に耐えるように硬度の高い
膜が用いられる。このような膜の代表的なものはSiや
Alのチッ化膜であり、従来より光磁気記録媒体の誘電
体として多用されてきたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】透明樹脂基板の片側に
無機記録膜を形成した光記録媒体、特に円板形状の光デ
ィスクにおいて、光ディスクが急激な環境湿度変化に置
かれた時に、大きい反り変化を示すことが判明した。例
えば、90mm光磁気ディスクのJIS規格X6272
−1992の70ページにはこの光ディスクの使用環境
が規定されている。すなわち、この使用環境内であれ
ば、温度、湿度が変化しても使用に不都合が生じてはな
らない。例えば、32.8℃、85%RHの雰囲気から
急に50℃、36.3%RHの雰囲気に環境変化するこ
とに対しても信頼性が確保されなければならない。現実
には、高湿度の雰囲気に長く置かれたディスクが温度上
昇したドライブに急に挿入された時が、この場合に相当
すると考えられる。
【0011】そこで、90mm光磁気ディスクを32.
8℃、85%RHの雰囲気から急に55℃、36%RH
に移して、ディスクの反りの時間変化(32.8℃、8
5%RHでの初期の反り量からの変化)を調査した。約
70分後にディスクの反りの初期量からの変化は90μ
mの最大値を示し、その後は徐々に元の反り量に戻り、
約400分後は初期の反り量から約50μmの変化とな
り、定常状態となった。定常状態の初期値から変化は、
PC基板の吸湿による寸法変化が基板の片面に形成され
た無機薄膜により拘束された結果生じることが判明し、
さらに、約70分後の過渡状態での大きい変化は、吸湿
した基板から水分が無機記録膜を形成していない面から
のみ抜けていくことにより発生することが判明した。す
なわち、基板の中の厚さ(1.2mm厚さ)方向で水分
の含有率が異なることにより(湿度膨張の厚さ方向むら
により)大きい反りを発生させることが判明した。この
ような現象は32.8℃、85%RHでの平衡吸湿量が
0.1重量%程度以上の樹脂基板を用いた時に顕著とな
る。なお、上記のポリカーボネート樹脂基板では吸湿量
は約0.25重量%である。なお、ディスクの「反り」
とは、ディスクを(テーブルなどの)平坦面に凸面側を
下にして水平に置いた時の、ディスク外周部の該平坦面
からの距離をいう。
【0012】光記録において、年々記録密度が向上して
いる。記録密度の向上は用いられる光ヘッドのレーザ光
の波長を短くすることと、対物レンズの開口数(NA)
を大きくすることに大きく負っている。レーザ波長の短
波長化と高NA化により、光ディスクの反りへの要求
(平坦さへの要求)は益々厳しくなってきた。
【0013】特に、フライングヘッドを用いる膜面入射
タイプ媒体では要求が大きい。膜面入射タイプ媒体で
は、対物レンズ又はSIL(ソリッドイマージョンレン
ズ)を搭載したHD(ハードディスク)で公知の構造の
フライングヘッド(浮上ヘッド)が用いられる。フライ
ングヘッドではヘッド浮上量の安定さとヘッド姿勢の安
定さが要求され、ディスクの急激な反り変化は特に許容
されない。
【0014】本発明はかかる課題を解決して、反りの急
激な変化や大きい反りを発生しない光記録媒体を得るこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の光記録媒体は、
基板上に形成した無機の記録層に光を照射することによ
り、少なくとも情報の再生を行なう光記録媒体におい
て、記録層を形成した側とは反対側の基板面上に、40
℃における水蒸気透過量≦1.2g/(m2・day)
のDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)を形成し
たことを特徴とする。これにより、反りの急激な変化や
大きい反りの発生を防ぐことができる。
【0016】ここでDLC膜は、塑性変形硬さ≧130
0kg/mm2、かつ情報の再生に用いる光の波長にお
ける屈折率(n)≦2.7で消衰係数(k)≦0.4で
あり、さらに記録層を形成した側とは反対側の基板面側
から、透明基板を通して記録層に光を照射して、情報の
再生を行なうことが好ましい。これにより、透明基板を
通して記録層に光を照射して、情報の再生を行なう際
に、光を減衰させることなく、ディスクの光入射面に付
着した汚れを布などで拭き取る時の傷付き防止効果を高
めることができる。また本発明は、記録層の基板側とは
反対の側から、記録層に光を照射して情報の再生を行な
う光記録媒体においても、好ましく用いることができ
る。
【0017】そして本発明では、反りを抑えることがで
きるために、光の照射により生じる記録層の物理特性の
変化を利用して、情報の記録・再生を行なう光記録媒
体、特に記録層の物理特性の変化は、記録層の構造特性
の変化である光記録媒体においてより好ましい。さらに
またDLC膜は、水素原子が膜中の炭素原子と結合した
状態で添加されていることにより、摩擦力を低下させる
ことができるのでより好ましい。
【0018】こうした本発明の光記録媒体を製造する際
には、水素または炭化水素ガスを含むアルゴンガス雰囲
気中で、炭素ターゲットを高周波スパッタして、DLC
膜を製膜することより、本発明において必要な特性を有
する光記録媒体を生産性良く製造することができる。あ
るいはまた本発明の光記録媒体を製造する際には、ベン
ゼンやトルエンを原料とした熱フィラメントDCプラズ
マCVD法で、DLC膜を製膜することより、本発明に
おいて必要な特性を有する光記録媒体を生産性良く製造
することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の光記録媒体は、0.6m
mから3.0mm程度の厚さのプラスチック製基板の片
面に、少なくとも1層の無機記録膜を形成し、他の面に
後述のDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)を形
成した光記録媒体である。本発明の光記録媒体は再生専
用の光記録媒体でもいいが、ディスクの反りの悪影響が
大きい記録、消去、再生が可能な書き換え可能型光記録
媒体に適用される時により大きい効果を発揮する。書き
換え可能型光記録媒体には相変化記録媒体と光磁気記録
媒体があるが、特に相変化記録媒体は、情報の高速処理
能力に加えて記録容量が大きく、また、ドライブの価格
がその構造が光磁気記録ドライブより簡単なことより廉
価になるメリットもあり、本発明でも好適の適用され
る。
【0020】書き換え可能型光記録媒体は、0.6mm
から3.0mm程度の厚さのプラスチック製基板の片面
に、蒸着やスパッタ法で形成される無機薄膜の積層体が
用いられる。基板入射タイプ媒体は、PC/第1誘電体
/記録膜/第2誘電体/反射膜/有機樹脂保護層、とい
う構造が代表的なものである。光磁気記録媒体の記録層
はTbFeCoなどの希土類・遷移金属合金、相変化記
録媒体の記録層はGeSbTeやAgInSbTeなど
のカルコゲン合金が使用されている。光磁気記録媒体の
誘電体はSiNなどのチッ化膜、相変化記録媒体の誘電
体はZnS・SiO2などのZnS系の膜が使用され
る。反射膜はAlにTi、Cr、Auなどを添加したA
l合金膜が使用される。一方、膜面入射タイプの光記録
媒体はプラスチック基板の片面に、順に、反射層、下部
誘電体層、記録層、上部誘電体層からなる基本構成を有
する。基板と反射層の間に接着層があってもよい。基板
が耐熱温度の低いプラスチック基板では熱の悪影響を防
止する為の断熱層が基板と反射層の間にある方が好まし
い。また、誘電体層は透明誘電体膜の2層以上の積層体
層であってもよい。さらに、上部誘電体層の上にDLC
膜などの低摩擦係数膜があってもよい。また、DLC膜
の上に液体潤滑剤が薄く塗布されていてもよい。上部誘
電体層の上にDLC膜を形成する時に、同時に本発明の
DLC膜を基板面(無機記録膜が形成された面と反対の
基板材料が露出している面)に形成することもできる。
すなわち、両面に同時にDLC膜を形成することによ
り、ディスクの生産性を高めることができる。
【0021】本発明においてDLC膜の製造方法にはス
パッタ法、プラズマCVD法などがある。ここでいうD
LC(ダイヤモンドライクカーボン)膜はアモルファス
カーボン膜であるが、カーボン原子の2つの結合様式で
あるSP2結合とSP3結合との混在した状態がラマン散
乱分光スペクトルで観察される膜である。さらに水素原
子を膜中に炭素原子と結合した状態で添加することによ
り摩擦力が低下して最も好ましい。スパッタ法ではC
(グラファイト)ターゲットを用いてAr(アルゴン)
にH2(水素)やCH4(メタン)を添加したガス雰囲気
で製膜される。H2(水素)やメタン(CH4)ガスを用
いることによりH(水素)が添加されたDLC膜を作製
することができる。スパッタ法ではプラズマ密度を高く
する観点とアーク放電を防止する観点から高周波(R
F)放電を用いるのが好ましい。プラズマCVD(Pl
asma Chemical Vapor Depos
ition)法では、メタン(CH4)、ベンゼン(C6
6)、トルエン(C65CH3)などの原料ガスを高周
波放電や直流放電で発生させたプラズマ中で分解して基
板(本発明では光記録媒体)上にDLC膜を堆積させる
ものである。なお、直流放電ではプラズマ密度をあげる
為に、フィラメントを用いて熱電子を発生させ、フィラ
メントとフィラメント近傍に設置したアノード電極との
間に直流電圧を印加して放電させる熱フィラメントDC
プラズマCVD法が好ましい。高周波スパッタ法は工業
的に確立された方法であり、光記録媒体を構成する各種
の薄膜がスパッタ法で作製されることより、最終工程の
DLC膜作製をそれまでの記録膜作製に続いて、スパッ
タ製膜される面を反対にするだけで、連続的に行なうこ
とができるので最も容易に工業化できて好ましい方式で
ある。熱フィラメントDCプラズマCVD法では薄くて
良好な膜質の水素添加されたDLC膜を得ることができ
る。またDC放電である為に、電源の価格が安い、放電
の開始時刻を厳密に制御できることにより生産タクト時
間を短縮できる、といった工業上のメリットが大きい。
【0022】以上の手法で作製される水素添加されたD
LC膜(以下はDLC膜という。)の水蒸気透過率は4
0℃において1.2g/(m2・day)以下となるよ
うに、その製膜条件と膜厚が選定されなければならな
い。DLC膜の密度が低い場合や、膜に多くの亀裂があ
るような条件では本発明の目的を満足することはできな
い。すなわち、水蒸気透過率が1.2g/(m2・da
y)より大きいと、湿度変化に対して反りの急激な変化
を防止する効果が小さくなる。水蒸気透過率はプラスチ
ック基板の片面にDLC膜を形成して、DLC膜面側を
加湿側にして測定される。本発明では、米国MODER
N CONTROLS, INC.社(通称MOCO
N)のPERMATRAN−W1A型水蒸気透過率測定
装置を用いて、DLC膜面側を加湿側(40℃、90%
RH)にして測定された。
【0023】さらに、本発明の光記録媒体が、情報の再
生を、基板の無機記録層を形成した面と反対の面から透
明基板を通して行なう基板入射タイプの光記録媒体の時
は、DLC膜の硬度が高いことと使用される波長の光に
対する光透過性能が要求される。すなわち、塑性変形硬
さが1300kg/mm2以上、情報の再生に用いる光
の波長における屈折率(n)が2.7以下、消衰係数
(k)が0.4以下となるようにDLC膜の製膜条件が
選定されなければならない。
【0024】ディスクの光入射面に付着した汚れを布な
どで拭き取る時の傷付き防止効果を満足するには、DL
C膜の塑性変形硬さが1300kg/mm2以上の硬
く、塑性変形し難い層が必要である。単にヤング率(弾
性変形硬さ)が高いだけでは、本発明の目的の上部誘電
体層に用いることはできない。すなわち、拭き取り作業
の時の繰り返しシェア変形に耐える必要があるからであ
る。薄膜の「塑性変形硬さ」は、株式会社エリオニクス
社製のナノインデンテーション・テスタ(Type E
NT−1100型)で測定、評価された(雑誌「月刊ト
ライボロジ」1997年9月号20、21ページ、参照
方)。「塑性変形硬さ」は、当該測定手法においては、
除荷の際の曲線の最大変位における接線を求め、その傾
きからから塑性変形量を分離してビッカース硬度に相当
する硬さを求めたものである。圧子形状になどにより実
際のビッカース値とは若干異なる。式;HV=3.79
26×0.01×Pmax/(hr×hr)(ただし、
Pmaxは最大荷重、hrは除荷の際の曲線の最大変位
における接線の荷重=0の時の変位)で算出される値で
ある。塑性変形硬さが1300kg/mm2以下の膜で
は傷付き防止効果が小さかった。なお、「塑性変形硬
さ」の測定は単結晶Si基板上に作製された約100n
mの膜厚の膜で測定された。すなわち、実際の媒体と異
なり、同じ製膜条件でSi基板上に作製された膜で測定
されることとする。
【0025】さらに、上記のように基板入射タイプの光
記録媒体では、本発明のDLC膜は使用される光に対し
て、記録情報の読み出しに支障ない程度の高い透過率で
なければならない。DLC膜の膜厚はおおよそ10nm
から20nmの範囲である。10nmより薄いと十分な
保護性能がでなく、20nmより厚いと膜の内部応力の
ために剥離などの問題が発生し易い。10nmから20
nmの範囲の膜厚のDLC膜の光透過率が十分な値を持
つためには、DLC膜の屈折率(n)が2.7以下、か
つ消衰係数(k)が0.4以下でなければならない。好
ましくは、屈折率(n)が2.2から2.7以下の時の
消衰係数(k)は0.2以下、屈折率(n)が2.2以
下の時の消衰係数(k)は0.4以下が良い。
【0026】本発明の基板は、吸水率が約0.1重量%
以上のプラスチック基板が好ましく用いられる。原料価
格が安く射出成形し易いポリカーボネートを代表とする
厚さ0.6mmから3.0mm程度で、直径45mmか
ら130mmの熱可塑性樹脂円板が好ましく使用される
が、これに限定されるものではない。傷付き防止効果の
みを期待する時は吸水率の小さいポリオレフィン系のプ
ラスチック基板などにも適用される。
【0027】
【実施例1、比較例】1.2mm厚さのプラスチック基
板の片面に、基板面から順に、断熱層、反射層、下部誘
電体層、記録層、第1上部誘電体層、第2上部誘電体
層、からなる構成を有し、基板の反対面にDLC膜を有
する膜面入射タイプの相変化光記録媒体(以下、実施例
1のディスクと称する。)を作製した。ここで、プラス
チック基板には、120mm直径で、内径15mmのセ
ンターホールを有するポリカーボネイト製の基板を用い
た。基板の射出成形により、連続サーボ用の螺旋溝(グ
ルーブ)が半径24mm〜58mmの範囲に形成されて
いる。溝深さは70nmであり、トラックピッチは1.
10μmである。グルーブ幅とランド幅は、ともに約
0.55μm幅である。該基板の記録面(グルーブ面)
上に、膜面入射タイプの相変化記録媒体を作製した。断
熱層と下部誘電体層と第1上部誘電体層としてZnS−
SiO2膜(ZnS:SiO2=80:20mol%のタ
ーゲットをスパッタして得られる膜)を用いた。記録層
は、GeSbTe合金膜(Ge:Sb:Te=2:2:
5原子%、膜厚20nm)である。反射層は、AlCr
合金膜(Al:Cr=97:3原子%、膜厚150n
m)である。これらの無機薄膜はマグネトロンスパッタ
リングによって形成した。使用したスパッタ装置はAN
ELVA Corp.製のインラインスパッタ装置(I
LC3102型)であり、ターゲットは8インチ直径
で、基板は自公転しながら製膜される。膜厚はスパッタ
時間で調節した。断熱層の膜厚は初期化の時の基板変形
が防止できる膜厚とした。反射膜の膜厚は記録感度と繰
り返しオーバライト耐久性の観点から決定した。膜厚が
光学特性に関与する層の膜厚は、膜面から650nmの
光を照射した時の反射率(初期結晶化後の反射率)が約
20〜40%になるように、各層の膜厚を調節した。具
体的には、ZnS−SiO2膜の屈折率は2.18であ
り、断熱層の膜厚は150nm、下部誘電体層の膜厚は
15nm、第1上部誘電体層の膜厚は20nmである。
また、上記のように記録層の膜厚は20nmであり、反
射層の膜厚は150nmである。第2上部誘電体層はS
iN膜とした。すなわち、金属Siをターゲットにして
Arガスと窒素ガスの70:30混合比のガスを用いて
スパッタ製膜した。膜厚は70nmであり、屈折率は
1.95であった。以上で得られた第2上部誘電体層ま
で製膜したサンプルディスクを比較例とする。
【0028】次に、第2上部誘電体層まで製膜したサン
プルを別の真空装置(ANELVACorp.製SPF
−430Hスパッタ装置)に移して、基板の反対面(プ
ラスチック材料が露出した面)の上にDLC膜を15n
mの膜厚に形成した。すなわち、4インチのC(グラフ
ァイト)ターゲットをArガスとCH4(メタン)ガス
との混合ガスで高周波スパッタ製膜した。スパッタ中の
Arガスの流量は63SCCM、CH4(メタン)ガス
の流量は7SCCMであり、ガス圧力は0.67Paで
ある。高周波電力は500wattで堆積速度は4.1
5nm/minだった。この水素添加されたDLC膜の
水蒸気透過率は(1.2mmPC基板の片面に同じDL
C膜を15nm製膜して測定したところ)0.4g/
(m2・day)だった。なお、塑性変形硬さは150
0(kg/mm2)であり、410nmの光における屈
折率(n)は2.20で消衰係数(k)は0.19だっ
た。
【0029】以上で、1.2mm厚さのプラスチック基
板の片面に、基板面から順に、断熱層、反射層、下部誘
電体層、相変化記録層、第1上部誘電体層、第2上部誘
電体層を有し、基板の反対面にDLC膜を有する構成の
膜面入射タイプの相変化光記録媒体、すなわち実施例1
が完成した。
【0030】比較例のディスクと実施例1のディスクの
湿度変化による反り変化を調べた。すなわち、ディスク
を32.8℃、85%RHの雰囲気に3日間放置して環
境湿度と平衡状態にした。その後、恒温恒湿槽から取り
出し急に55℃、36%RHの環境下に移して、ディス
クの反りの時間変化(32.8℃、85%RHでの初期
の反り量からの変化)を調査した。比較例のディスクで
は、約70分後にディスクの反りの初期量からの変化は
170μmの最大値を示し、その後は徐々に元の反り量
に戻り、約400分後に定常状態となった。実施例のデ
ィスクでは、このような大きい変化は見られなかった。
すなわち、70分後もディスクの反りの初期量からの変
化は30μmであり、その後も急激な変化は見られなか
った。400分後でも反りの初期量からの変化は50μ
mであった。ドライブに挿入して使用する現実状況を勘
案すると、400分でテスト終了した。このように、本
発明(実施例1)のディスクでは、反りの急激な劣化を
防止する効果が大きかった。
【0031】
【実施例2】実施例1と同じ装置(ANELVA Co
rp.製のインラインスパッタ装置(ILC3102
型))、同じターゲットを用いて、実施例1と同じPC
基板上に相変化の無機記録膜の積層体を製膜し、基板面
にはプラズマCVD装置でDLC膜を製膜して基板入射
タイプの相変化記録媒体(以下、実施例2のディスク)
を作製した。
【0032】すなわち、まず、PC/第1誘電体/記録
膜/第2誘電体/反射膜の構成の媒体を作製した。誘電
体は実施例1と同じZnS・SiO2膜であり、記録
膜、反射膜も実施例1と同じ材料、同じ製膜条件であ
る。スパッタ時間の調節で、第1誘電体の膜厚は100
nm、記録膜の膜厚は20nm、第2誘電体の膜厚は1
5nm、反射膜の膜厚は150nmとした。
【0033】反射膜まで製膜したサンプルを別の真空装
置(プラズマCVD装置)に移して、基板の反対面(プ
ラスチック材料が露出した面)の上にDLC膜を15n
mの膜厚に形成した。すなわち、トルエン(C65CH
3)を原料として熱フィラメントDCプラズマCVD法
で2.7nm/minの製膜速度で水素添加された15
nm厚さのDLC膜を製膜した。フィラメントには24
A(アンペア)の電流を流して(電力は230wat
t)、フィラメント近傍に設置したアノードとの間に4
4ボルトを印加、230mAの電流を流してプラズマを
生成した。なお、該プラズマ源から240mm離した所
に設置した基板近傍には7mmピッチのメッシュ状電極
(グリッド)を設置して−1350voltの電位を印
加してプラス粒子を加速して基板に堆積させた。
【0034】このDLC膜の塑性変形硬さは2200
(kg/mm2)だった。560nmの光における屈折
率(n)は1.97で消衰係数(k)は約0(ゼロ)だ
った。410nmの光における屈折率(n)は2.42
で消衰係数(k)は0.13だった。
【0035】以上で、1.2mm厚さのポリカーボネー
トを基板として、DLC膜/PC基板/第1誘電体/記
録膜/第2誘電体/反射膜からなる構成を有する基板入
射タイプの相変化光記録媒体(実施例2)が完成した。
(なお、反射膜面上には、薄膜の保護の為に、紫外線硬
化樹脂をスピンコート法で形成した。)このディスクの
光入射面(DLC膜面)をワイピングクロス(商品名
「BEMCOT」、旭化成(株)製)を用いて500g
の荷重で繰り返し摩擦するテストを行った。DLC膜の
ないPC基板では5回の摺動ですでに無数の傷が発生し
たが、本発明のDLC膜を形成した実施例2のディスク
では100回の繰り返し摺動後も目視できる傷は一切な
かった。また、実施例2のディスクを650nmのレー
ザ光を用いる光ディスク評価機(パルステック工業製D
DU−1000型装置)を用いて、線速度6m/sec
で4.86MHz(記録マーク長0.62μm)の信号
を記録、再生した。スペクトルアナライザーで得られた
再生信号の信号雑音比(CNR)は48dBであり、D
LC膜を光入射面に有しない媒体の通常レベルと誤差範
囲で同じだった。また、ディスクの反射率も変化なかっ
た。以上より、実施例2の媒体は十分な傷つきを防止と
光透過率を有することが判明した。
【0036】
【発明の効果】本発明の光記録媒体によれば、本発明の
DLC膜を、無機記録膜を形成していない基板面に有す
ることにより、急激な湿度変化に媒体が置かれても、急
激な反りの発生が防止でき、ドライブ内のトラブル(C
NR劣化やトラッキング不良やフライングヘッドの破
損)が防止できる。また、光の透過率を損なうことな
く、汚れを拭き取る時の傷付きが防止できた。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成した無機の記録層に光を照
    射することにより、少なくとも情報の再生を行なう光記
    録媒体において、記録層を形成した側とは反対側の基板
    面上に、40℃における水蒸気透過量≦1.2g/(m
    2・day)のDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン
    膜)を形成したことを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 DLC膜は、塑性変形硬さ≧1300k
    g/mm2、かつ情報の再生に用いる光の波長における
    屈折率(n)≦2.7で消衰係数(k)≦0.4であ
    り、さらに記録層を形成した側とは反対側の基板面側か
    ら、透明基板を通して記録層に光を照射して、情報の再
    生を行なうことを特徴とする請求項1記載の光記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 記録層の基板側とは反対の側から、記録
    層に光を照射して情報の再生を行なうことを特徴とする
    請求項1記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 光記録媒体は、光の照射により生じる記
    録層の物理特性の変化を利用して、情報の記録・再生を
    行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録層の物理特性の変化は、記録層の構
    造特性の変化であることを特徴とする請求項4記載の光
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 DLC膜は、水素原子が膜中の炭素原子
    と結合した状態で添加されていることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 DLC膜は、水素または炭化水素ガスを
    含むアルゴンガス雰囲気中で、炭素ターゲットを高周波
    スパッタして製造することを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載の光記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 DLC膜は、ベンゼンやトルエンを原料
    とした熱フィラメントDCプラズマCVD法で製造する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光記
    録媒体の製造方法。
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