JP2985420B2 - 自動３輪車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はリーン式の自動３輪車
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のスクータ型の自動３輪車には、操
向可能な１つの前輪と、左右一対の後輪とを有し、カー
ブ走行時にドライバーが姿勢を左右に傾けたとき車体前
部が傾いても左右の後輪が接地した状態におかれるよう
に車体前部と車体後部とが回転するいわゆるリーン式車
体が採用されるものがある。

【０００３】従来のリーン構造は、車体前部と車体後部
が１本の回転軸により連結され、車体前部と車体後部が
回転軸廻りに相対的に回転されるように構成している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の１軸式のリーン構造では、車体の中心線上の
１点で回転する構造であるから、この連結部の１本の回
転軸に応力が集中し、この回転軸に強度を持たせるため
長手方向に長くかつ太くしなければならず、スペース的
に不利益をもたらし、また２点で連結するため回転角の
精度を高めることが必要となり、コストアップを招くな
どの問題点があった。

【０００５】この発明は、上述した事情を考慮してなさ
れたもので、車体前部と車体後部とを車幅方向２点で連
結し、強度を高めながら左右の後輪の上下揺動と車体前
部の傾動とを共に可能とする自動３輪車を提供すること
を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明に係る自動３輪車は、前輪およびこれを回
転自在かつ操舵自在に支持する前輪支持部、シートを支
持するシート支持部およびこれら両支持部を連結するフ
レームを備えた車体前部と、左右一対の後輪およびこれ
ら後輪を駆動し上記車体前部側へ突出する前方突出部を
有するエンジンユニットを備えた車体後部と、を回転自
在に連結するリーン式自動３輪車において、上記車体前
部のフレームの後部の車幅方向一側に、上記エンジンユ
ニットの前方突出部の前部を自在継手を介して連結する
一方、このフレームの後部の車幅方向他側に、自在継手
を介してロッドを連結し、このロッドの後端部を上記エ
ンジンユニットの車幅方向他側に自在継手を介して連結
したものである。

【０００７】

【作用】図１に示すようにエンジンユニットおよび後輪
を備えた車体後部は、車体前部に対し、この車体前部の
フレーム後部の左右の自在継手どうしを結ぶ線Ａ−Ａを
中心に上下に揺動すると共に、左右の後輪はエンジンユ
ニットの前部を連結する自在継手とロッドの後端の自在
継手とを斜めに結ぶ線Ｂ−Ｂを中心に斜め方向に揺動す
る。したがって、この２方向の揺動が合成されることに
より車体前部と車体後部とは左右のリーンを可能としな
がら上下の揺動も可能となり、路面からのショックを良
好に吸収することができる。また、車体前部と車体後部
とを、車幅方向２点で連結するので応力が分散され、応
力の１点集中を防止することができるので、車体強度の
増強を図ることができる。さらに従来例のように１本の
回転軸に強度を持たせるためにこの回転軸を長手方向に
長くかつ太くする必要もないので、小型軽量を図ること
ができる。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の実施例を図１〜図５に基づ
いて説明する。なお、これらの図中、同一または相当部
分には同一符号を付している。

【０００９】この発明の実施例に係る自動３輪車は、車
体前部１と車体後部とを回転自在に連結するリーン式自
動３輪車であり、この車体前部１は、前輪４を回転自在
に支持するステアリングシャフト５を操舵自在に支持す
るヘッドパイプ３（前輪支持部）に、ほぼＬ字状の１本
のパイプからなるダウンフレーム２（フレーム）の前端
を固着している。さらに、このダウンフレーム２の後端
には、車体前部のフレームの後部であるクロスバー６の
軸方向中間部をほぼ直角に固着し、このクロスバー６の
両端部上に、シートフレーム７（シート支持部）の左右
一対の縦フレーム８，８を起立するように溶着して、前
輪支持部をフレームによりシート支持部に連結してい
る。また、これら縦フレーム８，８の上端部後面には、
平面形状がほぼコ字状のフレーム１７のコ字状開口端部
を一体に連成している。

【００１０】そして、車体前部のフレームの後部である
前記クロスバー６の両側端部には、車体後部の車幅方向
両側端部が回転自在に装着される。すなわち、クロスバ
ー６の一側端部には、平面形状がＬ字状をしたケースを
有するエンジンユニット９の前方へ延びる前方突出部９
ａの前端がボールジョイント、ユニバーサルジョイント
等の自在継手１０を介して連結され、クロスバー６の他
側端部には、自在継手１１を介してロッド１２が連結さ
れており、このロッド１２の後端には、エンジンユニッ
ト９の他側端部が自在継手１３を介して連結される。

【００１１】このエンジンユニット９は、図２にスケル
トンで示すようにエンジン１４の回転力をプーリ、ベル
ト等の伝導機構１５を通じて後輪１６に伝達するように
なっている。

【００１２】そして、前記シートフレーム７の左右の横
フレーム１７，１７と、エンジンユニット９の前方へ延
びる前方突出部９ａの上面、および前記ロッド１２との
間には、クッションユニット１８，１８がそれぞれ介装
されている。但し、このクッションユニット１８は、図
５に示すようにシートフレーム７の横フレーム１７，１
７間に水平方向に架け渡した補助フレーム１９とエンジ
ンユニット９との間に１本のみ介装するようにしてもよ
い。

【００１３】本実施例は、このように構成されているの
で、図１に示すようにこの自動３輪車の走行時には、エ
ンジンユニット９および左右の後輪１６，１６は、車体
前部１に対しダウンフレーム２の後部の左右の自在継手
１０，１１どうしを結ぶ線Ａ−Ａを中心として上下に揺
動する。また、左右の後輪１６，１６は、エンジンユニ
ット９の前部を連結する自在継手１０とロッド１２の後
端の自在継手１３とを結ぶ線Ｂ−Ｂを中心に傾斜方向に
揺動する。この２つの揺動が合成されることにより車体
前部１と車体後部とは左右にリーンを可能としながら上
下の揺動が可能となり、路面の凹凸によるショックを吸
収することができる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
車体前部と車体後部とを車幅方向２点で複数の自在継手
の組合せにより連結するので、車体前部と車体後部とは
左右のリーンを可能としながら上下の揺動も可能となる
うえに、従来の１軸支持に較べ支持強度を分散させるこ
とができるので、応力の局部的な集中を防止ないし低減
することができる。このために、車体強度の増強を図る
ことができる。さらに従来例のように１本の回転軸に強
度を持たせるためにこの回転軸を長手方向に長くかつ太
くする必要もないので、小型軽量を図ることができる。
さらにまた、従来のスクータのユニットエンジンを基本
的に流用することができるので、コストアップもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る自動３輪車の基本構成を示す平
面図。

【図２】上記自動３輪車の斜視図。

【図３】上記自動３輪車の後面図。

【図４】上記自動３輪車の側面図。

【図５】自動３輪車の変形例を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 車体前部 ２ ダウンフレーム ７ シートフレーム ９ エンジンユニット １０，１１，１３ 自在継手 １２ ロッド １４ エンジン

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前輪およびこれを回転自在かつ操舵自在
   に支持する前輪支持部、シートを支持するシート支持部
   およびこれら両支持部を連結するフレームを備えた車体
   前部と、 左右一対の後輪およびこれら後輪を駆動し前記車体前部
   側へ突出する前方突出部を有するエンジンユニットを備
   えた車体後部と、 を回転自在に連結するリーン式自動３輪車において、 前記車体前部のフレームの後部の車幅方向一側に、前記
   エンジンユニットの前方突出部の前部を自在継手を介し
   て連結する一方、このフレームの後部の車幅方向他側
   に、自在継手を介してロッドを連結し、このロッドの後
   端部を前記エンジンユニットの車幅方向他側に自在継手
   を介して連結したことを特徴とする自動３輪車。