JP2983125B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
皮膚外用剤Info
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Description
作用により、皮膚の老化防止,肌荒れ改善等に有効な皮
膚化粧料,抗炎症剤及び創傷治癒剤等として有用な皮膚
外用剤に関する。
分野において、皮膚細胞自体を賦活し、皮膚の機能その
ものを活性化して、皮膚症状の改善や抗炎症効果又は創
傷治癒効果を生ぜしめる研究が多くなされている。従
来、かかる皮膚賦活剤として、ホルモン類,ビタミン
類,γ-オリザノール,サポニン等の生薬抽出物、胎盤
抽出物、植物レクチン、きのこ抽出物、さらには動物由
来タンパク質といった種々の物質が使用されてきた。
うな皮膚賦活剤においては、副作用の問題から使用に際
し制限を受けたり、作用,効果が充分でないため、多量
の賦活剤を配合しなければならない、といった問題点が
あった。また、植物や動物由来の物質においては特に品
質の管理が困難で、安定な皮膚賦活剤の提供を受けるこ
とが難しく、さらに皮膚外用剤に配合した場合に、活性
が失われやすいという問題もあった。
め、我々は微量で充分な皮膚細胞賦活効果を有する物質
の検索を行い、α-ヒドロキシ酢酸が真皮の線維芽細胞
の増殖を有意に促進することを見い出し、開示している
(特開平5−112422)。その後、α-ヒドロキシ
酸が一般に真皮線維芽細胞の増殖を促進することが明ら
かになり、さらにα-ヒドロキシ酸の経皮吸収を促進さ
せ、効果を増大させるべく検討を行った。その結果、in
vitro系でα-ヒドロキシ酸のステロールエステルが、
0.5〜1.0重量%といった低濃度で、真皮線維芽細
胞のミトコンドリアの代謝活性を有意に促進する作用を
有することを見い出した。
ロキシ酸としては、α-ヒドロキシ酢酸(グリコール
酸),乳酸等の短鎖脂肪酸から、炭素数26までの長鎖
の脂肪酸まで含ませることができる。また、エステル化
は従来公知のエステル化反応により行わせることがで
き、たとえば無触媒又はパラトルエンスルホン酸,塩化
スズ等の触媒の存在下に、α-ヒドロキシ酸及びステロ
ールの混合物を約100〜250℃程度に加熱すれば良
い。この反応の終点は、酸価を測定することにより知る
ことができる。
の,植物起源のもの,及び合成によるもののいずれを用
いても良い。かかるステロールとしては、コレステロー
ル,ラノステロール,ジヒドロステロール,及びこれら
の混合物であるイソコレステロール,フィトステロー
ル,シトステロール,スチグマステロール,カンペステ
ロール,デスモステロール,7-デヒドロコレステロール
及びこれらステロールの還元物等を挙げることができ
る。本発明においては、これらステロールより選んだ1
種を単独で用いても良いが、2種以上を混合して用いて
も良い。
は、図1のような真皮線維芽細胞の賦活作用を示す。α
−ヒドロキシ酸ステロールエステルの真皮線維芽細胞の
賦活作用は、以下に述べるMTT還元法により測定し、
活性化指数で示した。活性化指数はα-ヒドロキシ酸ス
テロールエステルを添加した試料における細胞のミトコ
ンドリアの活性度を対照の活性度で除したものである。
なお、図1においては精製純度81.0重量%のα-ヒ
ドロキシ脂肪酸のコレステロールエステルを試料として
用いた。α-ヒドロキシ脂肪酸としては、炭素数14〜
26のノルマル型α-ヒドロキシ脂肪酸61.6重量
%、炭素数14〜26のイソ型α-ヒドロキシ脂肪酸1
6.9重量%、及び炭素数13〜25のアンテイソ型α
-ヒドロキシ脂肪酸2.6重量%が含まれる。
内に存在する脱水素酵素が基質に作用して生じる還元型
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に
より、系に添加したMTT(2-(4,5-dimethyl-2-thiazo
lyl)-3,5-diphenyltetrazolium bromide)のテトラゾリ
ウム環が開環することを利用する測定法である。テトラ
ゾリウム環の開環により、青色のフォルマザンが生成す
るので、これを560nmにおける吸光度により測定し
て細胞の活性度を求める。
酸のコレステロールエステルは、0.5〜2.0重量%
の濃度範囲において、活性化指数が1.13〜1.24
と危険率1%以下で有意な真皮線維芽細胞賦活効果を示
した。
ールエステルを皮膚外用剤に配合することを検討した。
ヒドロキシ脂肪酸、炭素数14〜26のイソ型α-ヒド
ロキシ脂肪酸、及び炭素数13〜25のアンテイソ型α
-ヒドロキシ脂肪酸より成るα-ヒドロキシ脂肪酸(精製
純度81.0重量%)とコレステロールとのエステル
を、1.0重量%となるようにワセリンに混合,均一化
し、ヘアレスマウス5匹の皮膚に1日1回,3週間連続
塗布した後、組織切片を作成し、皮膚全層及び表皮の厚
さを測定して真皮層の厚さを求めた。その際、コレステ
ロールを1.0重量%となるようにワセリンに混合,均
一化したものを同様に塗布した群を対照とした。その結
果を表1に示す。
テロールエステルを含有する試料を塗布した群では、対
照群に比べて皮膚全層に肥厚が認められ、一方表皮層の
厚さは減少していた。皮膚全層から表皮層の厚さを引い
た厚さが真皮層の厚さに相当し、α-ヒドロキシ脂肪酸
コレステロールエステル含有試料塗布群においては、対
照群の1.28倍であり、α-ヒドロキシ脂肪酸コレス
テロール塗布により真皮層において肥厚が生じることが
認められた。この肥厚は、真皮線維芽細胞の増殖促進に
よるものと考えられ、α-ヒドロキシ酸ステロールエス
テルを配合した皮膚外用剤が皮膚細胞の賦活に有効であ
ることが示唆された。
油性を示し、アルコールに溶解して、或いは他の油性基
剤とともに皮膚外用剤に配合できる。皮膚外用剤として
は、水溶液,乳剤,クリーム,軟膏等の形態を採ること
ができ、さらに化粧水,乳液,クリーム等の化粧料とし
ても提供できる。
合量は、上記した細胞賦活効果を有する濃度から、皮膚
外用剤として用いた場合の有効濃度を勘案して、0.0
01〜20.0重量%程度が適当であると考えられる。
説明する。以下の実施例においては、α-ヒドロキシ酸
ステロールエステルとして、精製純度81.0重量%で
あるα-ヒドロキシ脂肪酸のコレステロールエステルを
用いた。α-ヒドロキシ脂肪酸としては、炭素数14〜
26のノルマル型α-ヒドロキシ脂肪酸61.6重量
%、炭素数14〜26のイソ型α-ヒドロキシ脂肪酸1
6.9重量%、炭素数13〜25のアンテイソ型α-ヒ
ドロキシ脂肪酸2.6重量%が含まれる。このα-ヒド
ロキシ脂肪酸のコレステロールエステルは次のようにし
て製造した。すなわち、攪拌機,温度計,窒素ガス吹き
込み管及び水分離器を備えた2lの4ツ口フラスコにα
-ヒドロキシ脂肪酸(精製純度=81.0重量%)30
0gとコレステロール367.3gを入れ、触媒として
パラトルエンスルホン酸3gを加えて、窒素ガス吹き込
み下攪拌しながら減圧下にて120〜200℃で約5時
間反応させた。反応終了後、触媒を炭酸ナトリウムで中
和し、活性白土を用いて脱色後ろ過し、次いで200℃
で減圧下に水蒸気を吹き込んで脱臭し、同時に未反応の
コレステロールを除去して、α-ヒドロキシ脂肪酸のコ
レステロールエステル542.4gを得た。
を表2に示す。表2中、(5)を(6)に混合,溶解した後、
(1)〜(4),(7),(9)と混合,溶解して均一とし、(8)を
添加混合した後(9)で全量を100重量%とする。
表3に示す。表3中、(1)〜(6)の油相成分を混合,溶解
して均一とし、75℃に加熱する。一方(7),(8),(1
0),(13)の水相成分を混合溶解して75℃に加熱する。
ついで、上記の水相成分に油相成分を添加して予備乳化
し、これに(9)を加えた後、ホモミキサーにて均一に乳
化する。その後冷却し、(11)を加えてpHを調製し、5
0℃にて(12)を添加、混合する。
表4に示す。表4中、(1)〜(8)の油相成分を混合,溶解
して均一とし、75℃に加熱する。一方、(9),(10),
(12)の水相成分を混合,溶解して75℃に加熱する。つ
いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化した
後、ホモミキサーにて均一に乳化する。その後冷却し、
50℃にて(11)を添加混合する。
プの皮膚外用剤の処方を表5に示す。表5中、(1)〜(5)
の油相成分を混合,溶解して均一とし、75℃に加熱す
る。一方、(6),(7),(10)の水相成分を混合,溶解して
75℃に加熱する。ついで上記水相成分に油相成分を添
加して乳化し、冷却後、50℃にて(8),(9)を添加混合
する。
例について以下の試験を行った。各実施例において、α
-ヒドロキシ脂肪酸コレステロールエステルをコレステ
ロールに代替したものを、それぞれ比較例1,比較例
2,比較例3,比較例4とした。
例3,及び比較例1〜比較例3を、それぞれ肌荒れ症状
を有するパネラー20名に1月間使用させ、肌荒れ症状
の改善について評価させた。評価は、「改善」,「やや
改善」,「変化無し」,「やや悪化」,「悪化」の5段
階で行わせた。結果は、各評価を行ったパネラー数にて
表6に示した。
40%のパネラーが肌荒れ症状は改善されたと答えてお
り、肌荒れ症状が改善されなかったと答えたパネラーは
いなかった。これに対して比較例1では半数が変化なし
と答え、残りの大半はむしろ悪化したと答えていた。実
施例2及び実施例3では、ほとんどのパネラーが改善さ
れたと答え、比較例2又は比較例3を使用させたパネラ
ーのほとんどが症状の改善を認めないのと対照的であっ
た。
施例3,及び比較例1〜比較例3を、それぞれ皮膚の衰
えが気になる50〜60才代のパネラー20名に1月間
使用させ、皮膚の老化症状の改善について評価させた。
皮膚の老化症状の指標としては、しわ、皮膚のはり、皮
膚のきめを挙げ、前者についてはその防止効果を「有
効」,「やや有効」,「無効」、後二者については「良
好」,「やや良好」,「変化無し」の3段階で評価させ
た。結果は各評価を行ったパネラー数にて表7に示し
た。
ラーがしわ防止に有効と評価し、無効と答えたパネラー
はいなかった。皮膚のはりについてはほとんどが良好と
答え、皮膚のきめについても70%のパネラーが良好と
評価していた。これに対し、比較例1では皮膚のはりに
ついて45%のパネラーがやや良好と答えたものの残り
のパネラーは改善を認めていない。実施例2及び実施例
3では、しわ防止については70〜75%のパネラーが
有効と評価し、皮膚のはりについても75〜80%のパ
ネラーが良好とし、皮膚のきめについては90%以上の
パネラーが良好と答えており、無効或いは変化なしとし
たパネラーはいなかった。これに対し、比較例2び比較
例3では有効或いは良好としたパネラーはいずれの評価
項目についても0で、やや有効あるいはやや良好と評価
したパネラーは半数以下であった。
例4及び比較例4について、人工的に創傷又は炎症を生
じさせたマウス各5匹を用い、各試料を創傷部位又は炎
症部位に0.5gずつ1日2回7日間塗布した。7日目
に創傷又は炎症部位の状態を観察し、創傷の治癒につい
ては「完全治癒」、「ほぼ治癒」、「治癒が不完全」の
3段階で、抗炎症作用については「有効」、「やや有
効」、「無効」の3段階で評価した。結果は、各評価を
得たマウスの数にて表8に示した。
て創傷の治癒傾向が認められ、5例中3例においては完
全治癒を認めた。また抗炎症作用についても全例で有効
とされた。これに対し、比較例4では、4例において創
傷の治癒は不完全で、抗炎症作用については、ほとんど
のマウスにおいてかなりの改善を示していたが、実施例
4のように充分なものではなかった。
化粧料においては、従来の比較例に比べ、優れた肌荒れ
症状の改善や皮膚の老化防止効果を有しており、また、
本発明の実施例である皮膚外用剤においても、従来の比
較例に比べ優れた創傷治癒効果と抗炎症作用を有してい
た。
合するα-ヒドロキシ脂肪酸コレステロールエステル
は、種々の形態の皮膚化粧料や皮膚外用剤において安定
であり、また、非常に活性が高いため、微量を配合すれ
ば良く、皮膚刺激等の好ましくない影響や副作用が生じ
ることはなかった。
皮膚の老化防止,創傷治癒効果,抗炎症効果等に優れた
皮膚外用剤を提供することが出来た。
の線維芽細胞の増殖に及ぼす影響を、濃度に対する活性
化指数として示した図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 α-ヒドロキシ酸のステロールエステル
を、真皮線維芽細胞賦活剤として配合することを特徴と
する、皮膚外用剤。 - 【請求項2】 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴と
する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
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---|---|---|---|
JP5157843A JP2983125B2 (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | 皮膚外用剤 |
Publications (2)
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Family Applications (1)
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JP5157843A Expired - Lifetime JP2983125B2 (ja) | 1993-06-02 | 1993-06-02 | 皮膚外用剤 |
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-
1993
- 1993-06-02 JP JP5157843A patent/JP2983125B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
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