JP2981570B2 - 魚 道 - Google Patents

魚 道

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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/60Ecological corridors or buffer zones

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、河川等に設置された堰堤などによって、
魚が河川等をさかのぼれないときに、そのような場所に
人工的に設けられる魚道に係り、特に、水位変動の大き
な堰堤で魚道の施設が大型になるのを防ぎ、又その操作
も面倒でない魚道に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、河川等に設置された堰堤などによって、魚が河
川等をさかのぼれない場所には、魚が河川等をさかのぼ
れるように魚道が設けられている。このような魚道とし
て、固定式のものと可動式のものが知られている。
固定式魚道は水位変動の余り大きくない場所に設けら
れ、魚道の多くは固定式が主である。固定式魚道には、
平面式、導壁式、階段式、逆流式などがある。
平面式は魚道を構成する水路の傾斜が緩やかな構造の
ものである。導壁式は水路の左右両側壁面から交互に導
壁を水路の中央まで張り出した構造で、水路を流れる水
を蛇行させるようにしたものである。階段式は水路に複
数の堰を階段状に配置した構造で、水路を流れる水が各
堰を越流するようにして、魚が各堰の越流をさかのぼる
ようにしたものである。逆流式は水路の途中に逆流を生
じさせるような壁面を設けた構造のものである。
一方、可動式魚道は水位変動の大きい場所に設けられ
る。可動式魚道には、下流転倒式、上流転倒式、昇降
式、閘門式、エレベーター式などがある。
下流転倒式は魚道を構成する水路に複数のゲートを下
流側に転倒するように設けた構造のものである。上流転
倒式は水路に複数のゲートを上流側に転倒するように設
けた構造で、下流転倒式の低水位時の欠点を補うように
したものである。昇降式は水路に複数のゲートを昇降自
在に設けた構造のものである。閘門式は水路に設けた2
個のゲートが交互に昇降開閉する構造のものである。エ
レベーター式は水路の途中に魚を入れるエレベーターを
設けた構造で、このエレベーターを利用して魚を水位の
高い場所まで一気に引き上げるようにしたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、水位変動の大きい場所に設けられる従来の
可動式魚道は以下の理由により、魚道の施設が大型にな
ったり、又はその操作が非常に面倒である等の欠点があ
った。
下流転倒式及び上流転倒式では、魚道を構成する水路
の最も上流側に設置されるゲートは最高水位時を考慮し
た高さが要求され、水位変動の大きい場所に設置される
ゲートは大型にならざるを得ない。しかも、魚が越流で
きる高さは精々30cm程度であるため、一つのゲートで水
位高さを調整できる範囲は最大30cm程度が限度である。
このため、水位変動が大きい場所には、上流側から下流
側に向かって順次高さが小さくなるゲートを多数設置し
なければならず、しかも、各ゲートはその高さが全て異
なるものでなければならない。さらに、各ゲートの設置
に際しては、各ゲートの転倒時に隣接するゲート同士が
当たらないように十分な間隔をとらねばならず、このた
め、水路の流れ方向にある程度の長い距離が必要であ
り、魚道の施設は大型となった。
また、昇降式では、上記の転倒式と同様、水位変動の
大きい場所に設置する場合、大型のゲートや高さの異な
るゲートを多数必要とし、しかも、ゲートが昇降するた
め、各ゲート毎に高さの異なる昇降用の設備が必要であ
った。
また、閘門式では、ゲートは最高水位時を考慮した高
さが要求され、水位変動の大きい場所に設置されるゲー
トは大型にならざるを得ず、しかも、水路に設置された
2個のゲートを交互にバランス良く昇降させて開閉し
て、魚のさかのぼりの妨げにならないように配慮せねば
ならず、その操作は非常に面倒であった。
また、エレベーター式では、同様に魚のさかのぼりの
妨げにならないように、エレベーターの昇降を配慮せね
ばならず、その操作は非常に面倒であった。
更にまた、一般的に魚道においては、魚のさかのぼり
の能力などから、魚道の水路底面の最大傾斜は10の1程
度が限度である。このため、水位変動の大きさに比例し
て魚道の水路を長くしなければならず、水位変動の大き
い場所に設置する場合、魚道の施設が大型になった。
この発明は、上記のような問題点に鑑み、その問題点
を解決すべく創案されたものであって、その目的とする
ところは、水位変動の大きな堰堤に設けられる施設が大
型になるのを防ぎ、又その操作も面倒になることのない
魚道を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
以上の目的を達成するためにこの発明は、河川等に設
置された堰堤の下流側に、堰堤の躯体下流側壁面から突
出した密閉型のプール状水路を設け、堰堤の上流側とプ
ール状水路とを開通する魚導入孔を躯体に形成し、プー
ル状水路の外側壁面に所定の範囲内を折り返しながら緩
やかな傾斜で高さ方向に延びる魚道用水路を設け、該魚
道用水路の各所定高さに合わせて高さの異なる各魚導通
孔をプール状水路の壁面に複数形成すると共に、各魚導
通孔に開閉扉を設け、高位置の魚導通孔の開閉扉に、作
用する浮力で該開閉扉を上向きに押し上げて開くフロー
トを取付け、フロートに作用する浮力と開閉扉自体の自
重を利用して、高位置の魚導通孔の開閉扉を開閉自在と
した構成よりなる。
ここで、プール状水路は堰堤の高さ方向に複数設けら
れていてもよい。
〔作用〕
以上のような構成を有するこの発明は次のように作用
する。
すなわち、プール状水路内部の水位に最も近い高さに
形成された魚導通孔を開口し、それより下方に位置する
魚導通孔は閉じたままにする。
堰堤の上流側の水は魚導入孔を通ってプール状水路内
部に入り、プール状水路内部の水は開口された魚導通孔
を通って、堰堤の下流側に流出する。プール状水路の外
側壁面には所定の範囲内を折り返しながら緩やかな傾斜
で高さ方向に延びる魚道用水路が設けられており、また
各魚導通孔は魚道用水路の各所定高さに合わせて形成さ
れているので、魚導通孔を通った水はプール状水路の外
側壁面に形成された魚道用水路に流れ込み、そして、緩
やかな傾斜からなる魚道用水路を下方に向かって流れ、
堰堤の下流側の河川等に流れ込む。
開口された魚導通孔より下側の魚道用水路には、この
魚導通孔から流れ出る水によって魚がさかのぼることが
可能な水量が流れ、水位の高い堰堤の上流側と水位の低
い下流側とは、魚導入孔、プール状水路、魚道用水路を
通して、連続して流れる水の路が形成される。河川等を
さかのぼる魚はこの水路をさかのぼり、プール状水路の
開口された魚導通孔を通ってプール状水路の内部に入
り、そこから、魚導入孔を通って堰堤の上流側に進むこ
とができる。
〔実施例〕
以下、図面に記載の実施例に基づいてこの発明をより
具体的に説明する。
ここで、第1図は平面図、第2図は側断面図、第3図
はプール状水路の横断面図である。
図において、河川等に設置された堰堤1を構成する躯
体2は、河川等の水路を遮断する状態に設置されてお
り、河川等をさかのぼる魚にとって障害物になってい
る。魚にとって障害物となる躯体2は、その上流側壁面
2aが垂直面に形成されており、又下流側壁面2bが傾斜面
に形成されている。障害物となる躯体2を魚が通過でき
るように、躯体2の傾斜した下流側壁面2bには、この下
流側壁面2bから突出した密閉型のプール状水路3が設け
られ、又このプール状水路3の外側壁面3aに魚道用水路
4が設けられている。
プール状水路3は箱型形状に形成されており、躯体2
の下流側壁面2bから下流側に向かって細長く突出してい
る。その突出したプール状水路3の上面及び三側面は何
れも閉塞されており、プール状水路3の内部は堰堤1の
下流側に対して閉塞状態となっている。
堰堤1の下流側に対して閉塞状態になっているプール
状水路3は、堰堤1の上流側と魚導入孔5を介して連通
している。即ち、このプール状水路3と堰堤1の上流側
とを開通する魚導入孔5が躯体2の下部に形成されてい
る。
また、下流側に向かって細長く突出したプール状水路
3の三側面の外側壁面3aは何れも堰堤1の下流側に臨ん
でいるが、この三側面の外側壁面3aに魚道用水路4が設
けられている。
魚道用水路4はプール状水路3の三側面の外側壁面3a
の周囲に沿って設けられ、三側面の外側壁面3aの周囲に
沿って折り返しながら緩やかな傾斜で高さ方向に延びて
いる。魚道用水路4の緩やかな上向きの傾斜は、魚のさ
かのぼりを考慮して10分の1〜15分の1に形成されてい
る。
魚道用水路4の下流側は河川等の岸側に沿って設けら
れ、又上流側に延びる側の魚道用水路4は躯体2の下流
側壁面2bの下部で180度折り返してその方向を変え、プ
ール状水路3の突出方向つまり河川等の下流側方向に直
線状に延びており、又緩やかな傾斜で上向きに延びてい
る。
そして、プール状水路3の外側壁面3aを河川等の下流
側方向に直線状に延びた魚道用水路4は、そこから延び
方向が河川等の下流側方向に90度曲がり、躯体2の幅方
向と平行方向に緩やかな傾斜で上向きに直線状に延びて
いる。上流側に延びる魚道用水路4は、そこで再び延び
方向が河川等の上流側に向けて90度曲がり、河川等の上
流側方向に緩やかな傾斜で上向きに直線状に延びてい
る。
上流側に延びる魚道用水路4は、このような直線的な
延びと180度折り返しと90度の曲がりを経ながら、躯体
2の下流側壁面2bから突出したプール状水路3の三側方
の外側壁面3aに沿って高さ方向に緩やかな傾斜で延び、
その上端側はプール状水路3の壁面3aの最も上部に形成
された後述の魚導通孔6に臨んでいる。
魚道用水路4は左右に側壁が延長方向に形成されて溝
状になっており、その内部には所定間隔毎に堰4aが配置
されている。プール状水路3の外側壁面3aに沿って設け
られている領域では、魚道用水路4の側壁の片方が省略
されている。堰4aは両側壁より高さが低く、又堰4aの各
上端は上流側に向かって少しづつ順次高くなっている。
魚が越流できる高さは精々30cm程度であるため、各堰4a
の差は30cm以内になるように配置されている。このた
め、魚道用水路4を流れる水は各堰4aを越流し、又魚道
用水路4内の魚は各堰4aの越流をさかのぼることができ
る。
堰堤1の下流側に対して密閉型のプール状水路3の壁
面3aには、プール状水路3内と堰堤1の下流側とを開通
する魚導通孔6が複数形成されている。各魚導通孔6は
壁面3aを貫通しており、又各魚導通孔6は壁面3aの異な
る高さ位置に形成されている。
各魚導通孔6は、堰堤1の上流側の通常の水位変動範
囲に対応できる高さに各々形成されている。即ち、魚導
通孔6は通常の水位変動範囲での高水位及び低水位の位
置に各々形成され、高水位及び低水位で上流側の水が魚
導通孔6内を流れ、魚がこの魚導通孔6内をさかのぼる
ことができるようになっている。また、魚導通孔6はそ
の高水位と低水位の中間にも複数形成されている。
このうち、プール状水路3の壁面3aの高位置に形成さ
れている魚導通孔6Hは魚道用水路4の上流端に連通して
いる。
また、プール状水路3の壁面3aの低位置に形成されて
いる魚導通孔6Lは、下方に位置する魚道用水路4に連通
している。更に、プール状水路3の壁面3aの中間位置に
複数形成されている魚導通孔6Mは、その中間に位置する
魚道用水路4に連通している。
この実施例では、高水位と低水位の中間に複数の魚導
通孔6Mが形成されており、各魚導通孔6Mは高さ方向で水
位に対して互いに一部重複するように設けられているの
で、極めの細かい調整が可能となる。
プール状水路3の壁面3aを貫通する各魚導通孔6には
開閉扉7が各々設けられている。開閉扉7はプール状水
路3の内側壁面3aに設けられている。開閉扉7は魚導通
孔6を完全に密閉し、又昇降式の構造からなっている。
高位置の魚導通孔6Hに設けられる開閉扉7にはフロー
トが取付けられていて、フロートに作用する浮力によっ
て、水位の変動に追従して魚導通孔6Hを自動的に開閉で
きるようになっている。フロートは内部が中空になって
いて、水中では浮力が作用するようになっており、開閉
扉7を押し上げて、高位置の魚導通孔6Hを開く機能を果
たす。
また、河川等を堰き止めるように設置された堰堤1の
躯体2の下部には、前述したように、堰堤1の下流側に
対して密閉型のプール状水路3と堰堤1の上流側とを開
通する魚導入孔5が形成されている。魚導入孔5は略水
平か僅かに下向きに傾斜した状態で躯体2を貫通してい
る。
躯体2を貫通する魚導入孔5には必要に応じてこれを
開閉するゲート8が設けられている。例えば、堰堤1の
上流側が異常な高水位となり、プール状水路3内にかな
り高い水圧が作用する場合や、プール状水路3の保守点
検などを行う場合には、ゲート8が設けられているのが
好ましい。
ゲート8は躯体2の上流側壁面2aに設けられている。
ゲート8は魚導通孔6を密閉し、又昇降式の構造からな
り、ゲート8は躯体2の垂直な上流側壁面2aを昇降する
ようになっている。
このため、ゲート8には昇降用の索条8aの下端が連結
されている。この索条8aの上端側は躯体2の上端に設置
された昇降用の駆動ドラム8bに巻装されている。また、
躯体2の上流側壁面2aはゲート8の昇降する領域が上下
方向に亘って一部壁面側に凹状に窪んでおり、ゲート8
の左右両側は凹状に窪んだ壁面によって上下方向に案内
されるようになっている。
次に、上記実施例の構成に基づく作用について説明す
る。
堰堤1の上流側の水位が高水位の場合には、プール状
水路3の壁面3aに形成された中位置の複数の魚導通孔6M
及び低位置の魚導通孔6Lの開閉扉7を閉めたままにし
て、これらの魚導通孔6M及び魚導通孔6Lからプール状水
路3と魚導入孔5を介して連通する堰堤1の上流側の水
が下流側に流出するのを防ぐ。
一方、高位置の魚導通孔6Hを開閉する開閉扉7にはフ
ロートが取付けられているので、プール状水路3と魚導
入孔5を介して連通する堰堤1の上流側の水位がフロー
トの位置より高くなると、フロートには浮力が作用し、
この浮力によって開閉扉7を上向き押し上げて魚導通孔
6Hを開く。堰堤1の上流側の水は魚導入孔5及びプール
状水路3を流下して開口された魚導通孔6Hを通り抜けて
魚道用水路4内に流入する。
魚道用水路4内に流入した水は、プール状水路3の外
側壁面3aに沿って緩やかな傾斜で下方に延びる魚道用水
路4内を流れ、途中で方向を変えながら下方の魚道用水
路4を経て、堰堤1の下流側の河川等に流れ込む。
これにより、水位の高い堰堤1の上流側と水位の低い
下流側とは連続して流れる水の路が形成される。
この場合において、魚道用水路4内には堰4aが所定間
隔毎に配置されているので、魚道用水路4内を流れる水
は各堰4aを越流しながら下流側に流れる。
河川等をさかのぼる魚はこの魚道用水路4内の各堰4a
の越流を順次さかのぼり、魚道用水路4の上端に到達す
る。上端に到達した魚は、魚道用水路4の上端から魚導
通孔6Hを通り抜けて、プール状水路3に入る。
プール状水路3に入った魚は、プール状水路3から魚
導入孔5内に入り、その中を上流に向かってさかのぼ
り、魚導入孔5を通り抜けて、堰堤1の上流側に入り込
むことができる。
これに対して、堰堤1の水位が低水位の場合には、低
位置の魚導通孔6Lを閉じている開閉扉7を開ける。低位
置の魚導通孔6Lが開口されると、堰堤1の上流側の水は
魚導入孔5及びプール状水路3を流下して開口された魚
導通孔6Hを通り抜けて魚道用水路4内に流入する。魚道
用水路4内に流入した水は、下方の魚道用水路4を経
て、堰堤1の下流側の河川等に流れ込む。
このようにして、水位の低い堰堤1の上流側と下流側
とは連続して流れる水の路が形成され、魚はこの水の路
をさかのぼって堰堤1の上流側に入り込むことができ
る。
また、堰堤1の水位が中位置の場合には、低位置の魚
導通孔6Lの開閉扉7を閉じたままとし、中位置の最適高
さの魚導通孔6Mの開閉扉7を開ける。これ以後は、上記
の場合と同様であるので、その説明を省略する。
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではな
く、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をな
し得ることは勿論である。
例えば、上記実施例では開閉扉が昇降式の構造からな
っている場合で説明したが、これに限定されるものでは
なく、例えば回転式、ラジアル式などの構造でもよい。
更に、上記実施例では、プール状水路が1つ設けられ
ている場合で説明したが、堰堤の上流側の水位の変動範
囲が大きい場合には、プール状水路を高さ方向に複数設
けてもよい。プール状水路を高さ方向に複数設けること
により、大きな水位変動に充分対応することができる。
〔発明の効果〕
以上の記載より明らかなように、この発明に係る魚道
によれば、河川等に設置された堰堤の下流側に、堰堤の
躯体下流側壁面から突出した密閉型のプール状水路を設
け、堰堤の上流側とプール状水路とを開通する魚導入孔
を躯体に形成し、プール状水路の外側壁面に所定の範囲
内を折り返しながら緩やかな傾斜で高さ方向に延びる魚
道用水路を設け、該魚道用水路の各所定高さに合わせて
高さの異なる各魚導通孔をプール状水路の壁面に複数形
成すると共に、各魚導通孔に開閉扉を設けたので、水位
変動の大きい場所でも、魚道用水路の傾斜を魚がさかの
ぼることができる範囲内に維持しながら、魚道用水路の
直線状的な長さを小さく抑えることができ、しかも、堰
堤の上流側の水位に最も近い魚導通孔を開口すること
で、水位の変動に容易に対処でき、その操作も簡単であ
る。
さらに、高位置の開閉扉には、作用する浮力で該開閉
扉を上向きに押し上げて開くフロートが取付けられてい
るので、フロートに作用する浮力と開閉扉自体の自重を
利用して、開閉扉の自重による下向きの力とフロートに
よる上向きの力のバランスによって、高位置の魚導通孔
の開閉扉を自動的に開閉することができる。
また、プール状水路が堰堤の高さ方向に複数設けられ
ている場合には、堰堤の上流が水位が高いときと低いと
きで、高い位置に設けられたプール状水路と低い位置に
設けられたプール状水路とを使い分けることができる。
そして、これにより、プール状水路の外側壁面に設けら
れる魚道用水路の延長距離を小さくでき、魚のさかのぼ
る距離を少しでも減らすことが可能となる。
このように、この発明の魚道は、従来の転倒式や昇降
式のように、ゲートが大型になったり、ゲートの全ての
大きさが異なるということもなく、また、閘門式やエレ
ベーター式のように操作が非常に面倒になることもな
く、更に、一般的な魚道のように長くなることもない。
その結果、水位変動の大きな堰堤に設けられる魚道の
施設が大型になるのを防ぐことができ、地形的に長い距
離を確保できない場所にも魚道を設置することが可能と
なり、しかも、その操作が面倒になることがない等、極
めて新規的有益なる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
図面はこの発明に係る魚道の実施例を示すものであっ
て、第1図は平面図、第2図は側断面図、第3図はプー
ル状水路の横断面図である。 〔符号の説明〕 1:堰堤、2:躯体 2a:上流側壁面、2b:下流側壁面 3:プール状水路、3a:壁面 4:魚道用水路、4a:堰 5:魚導入孔、6:魚導通孔 6H:高位置の魚導通孔、6L:低位置の魚導通孔 6M:中位置の魚導通孔、7:開閉扉 8:ゲート、8a:索条 8b:駆動ドラム
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−83010(JP,A) 実開 昭52−5439(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E02B 8/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】河川等に設置された堰堤の下流側に、堰堤
    の躯体下流側壁面から突出した密閉型のプール状水路を
    設け、堰堤の上流側とプール状水路とを開通する魚導入
    孔を躯体に形成し、プール状水路の外側壁面に所定の範
    囲内を折り返しながら緩やかな傾斜で高さ方向に延びる
    魚道用水路を設け、該魚道用水路の各所定高さに合わせ
    て高さの異なる各魚導通孔をプール状水路の壁面に複数
    形成すると共に、各魚導通孔に開閉扉を設け、高位置の
    魚導通孔の開閉扉に、作用する浮力で該開閉扉を上向き
    に押し上げて開くフロートを取付け、フロートに作用す
    る浮力と開閉扉自体の自重を利用して、高位置の魚導通
    孔の開閉扉を開閉自在としたことを特徴とする魚道。
  2. 【請求項2】プール状水路を堰堤の高さ方向に複数設け
    た請求項1記載の魚道。
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